最終更新: touhou_icha 2016年12月21日(水) 22:02:43履歴
キャラ崩壊とかあるかもしれません。
独自設定も気になる事もあるかも。
ご注意下さい。
━━━━━━━━━
「お酒ちょーだい」
「鈴仙……、来るなり挨拶も無しにそれはどーなの。いや、商売だから出したげるけどさ」
ミスティアが苦笑しながら酒を出す、鈴仙も常連なのだろう、温度も聞かずに酒を温め、二合徳利を置く。
「ナズーリンさんのこの前の話しを聞いてから何だかねー……」
「んー? まさか、人里で本気で男漁りでもしてるの?」
「まさか、まぁ道行く人に目を奪われる事は多くなったわ……。別に声を掛けたりはしないけど」
「隣、いいかな?」
「はーいどうぞー……。え?」
返事の言葉を聞いて、現れた男性は鈴仙の隣に座る。
鈴仙はこの屋台には珍しい男の客を綺麗に二度見した。
「いらっしゃいお兄さん。ご注文は?」
「串一人前と、辛口一合。ぬる燗で」
「はいよ。ふふふ、物は試しにそのお兄さんを口説いてみたら?」
「ちょっとやめてよ、私が男に飢えてるような言い草」
「飢えてるのか? そういうようには見えないけどなぁ」
「どっちか言うと恋に飢えてる」
「恋に恋するオトメって歳でも無いでしょうに」
和気あいあいと談笑しながら酒を飲む2人と次の串を仕込んだりと作業をしながら談笑に交じる1人。
鈴仙は結構なペースで飲んでいて、酒が回ってきたのか、本当に男性を口説いてみたりし始める。
男性側も適当に受け答えしながら、お返しにかわいいだの何だのと鈴仙をほめてみたりする。
そろそろ頃合いかな。
「鈴仙、人の恋人を誑かそうとしないほうがいい、鼠にかじられて死ぬよ?」
「────!?」
彼の隣に腰掛けて、テーブルに頬杖をつき、鈴仙に意地悪い笑みを向ける。
酒にか雰囲気にか、酔って赤くなった顔が青くなっていくのを見れば、イタズラは成功、といったところか。
「い、いいい、いやいやいやいや、そんなつもりは!?」
「というか、すぐ気づくと思ったんだけどねぇ。横からだから見えなかったのかな?
首にぶら下がってるナズーリンとお揃いのペンデュラム。
それに妖怪の臭いがする人間なんて、私はナズーリンのいい人しか知らないし。
さて、ナズーリンはいつものでいいの?」
いつものでいい、と告げると早速用意を始めるミスティア。
その間に私の胸元と、彼の胸元を交互に見比べて、ため息をつく鈴仙。
彼は私が貸した予備のペンデュラムを首からぶら下げている。スペルカードとセットの道具だ。
まだまだ扱いは甘いけど、一応でも弾幕を張れるのだから護身用には十分だろう。
「キミも、あんまり他人をからかうものじゃないよ?」
「それ、ナズーリンが言う? 私からだとナズーリン丸見えだったんだけど、
黙ってろってジェスチャーされて笑いを堪えるのが大変だったんだよ?
どーせ、ナズーリンとグルだったんでしょ? 私も悪乗りしたけど」
「まぁ、そーだよ。二人で来たんだけど、鈴仙をちょっとからかおうってナズーリンに言われてね」
「えぇー……。3人がかりでからかうなんて酷い。お酒もう一本!」
楽しそうに笑いながらミスティアが酒の準備を始める。
「イケズだからねぇ」
「いけず言うな」
流し見ながらいうと、すぐにそう帰ってくる。彼曰く、いけず、と言われるのはあまり好きじゃないらしい。
「ああ、言ってましたね……。床でも焦らされたりよくいけずされるーって。
聞く限り結構ないじわるさんらしいですけど」
「んー? そんなことまで話したのか?」
「言ってましたよー、床での話しも自慢気に」
「別に恥ずかしがる事でも無いだろうに……」
「いやいや、床での事は他人様に言う事じゃないだろうに。んーむ……」
少し考えた後、唐突に私の腰に手を回し、抱えるようにすると自分の膝に乗せてくる。
……マズい、嫌な予感がする。い、いや、彼の膝の上は心地よくて大好きなのだけど。
自宅で時々、膝に乗せてもらっているのは秘密だ。
「何か、すごく違和感なく収まるね、膝の上のナズーリンって。はい、いつもの」
「俺もナズーリンの恥ずかしい話しでも暴露しようかな」
「何かあったかな?」
ミスティアの出した酒をすすり、平静を装うが、嫌な予感。
「冷静でいつも余裕があるように見えるナズーリンだが。実はものすごく甘えん坊だ」
「─っ!」
「嘘!? ナズーリンが!?」
やはりか! 私のイメージが崩れるからそれ以上はやめて欲しい。切実に。
あと髪を撫でるのもやめて欲しい、顔がにやけたらどうしてくれるんだ。
「……、ナズーリンさんが真っ赤になったのは初めて見た気がします」
「私も」
「そうだなぁ、最初の時は……」
あの時は確か……。
━━━━━━━━━
「ナズーリン?」
布団に入ってから、私は彼にゆるく抱きついた。
今日は手を出してくる気配の無かった彼はこちらを向いて不思議そうな顔をする。
私からあまり積極的に誘う事はしなかったし。
「お願いがあるんだ。次は……意地悪は無しにしてもらえないかい?
キミに甘えたいんだ」
「ん、まぁそりゃいいけど」
返事とともにゆるく髪をなでてくれるのがたまらなく心地いい。
目を閉じて軽く彼の胸に顔を押し付ける。
暖かくて、とても安心出来て、このまま眠ってしまえば明日の朝はさぞかし良い目覚めだろう。
「ナズーリンがそんなこと言うの、珍しいな」
「良いじゃないかたまには、不服かい?」
「いや、見た目相応の女の子みたいで可愛いとね、こういうナズーリンも好きだなぁ」
不意打ちは良くないと思う。
好きだのなんだの、情事の最中でもあまり言わないのに。
彼の胸に顔を埋めていたのは幸いだ。緩んだ顔を見られる事が無い。
いや、見られても別に問題は無いのだけど。
「ひぁっ!?」
急に尻尾を握られて喘ぎとも悲鳴ともつかない変な声を出してしまう。
嬉しくてつい無意識に、私が彼の手に尻尾を絡めていたのを、彼が握ったらしい。
そのまま尻尾をゆるく扱き上げるようにされると、背筋にぞくぞくと快感が走る。
が、それだけで尻尾からは手が離され、不満の視線を彼に向けるべく顔を上げると、唇を奪われた。
結構がっつきがちないつもの彼と違い、髪を撫でながら、ついばむように何度も唇を重ねてくる。
彼なりの、優しいやり方なのはすぐ分かった。
背や髪を撫でられながら何度も口付けを交わし、手が徐々に私の胸やお尻に移っていく。
いつも以上に心地いい。まだ触れられてもいないのに、濡れて下着が張り付いているのが分かる。
唇に舌が入り込んでくれば、それを舌で出迎え、絡め合わせる。貪りあう、という程でもない、ゆるい口付け。
舌を絡める水音と、どちらのものか分からないくぐもった吐息がそう広くない部屋に響く。
相変わらず私の両手は彼にゆるく回したままで、尻尾を彼の衣服に潜り込ませ、その一物をゆるく刺激する。
尻尾の器用さには自信がある。普段から籠をぶら下げて動きまわっても落とさないぐらいだから。
「ナズーリン」
「ん……?」
愛撫を止めて呼びかけられ、それに応じて私が目を開き彼の顔を見れば、それを確認した彼が口を開く。
「愛してる」
「──っ!?」
好きとはちらほら言われるけれど、これを言われたのはまだ片手の指で足りるほど。
顔が今まで以上に熱い。きっとびっくりするほど真っ赤に違いない。
「わ、わた……私も……愛してる」
照れ隠しに彼の胸に顔を埋め、返事を返す。私らしくない、蚊の鳴くような声だったに違いない。
たった一言だったのに、私の鼓動は一気に早くなり、下腹部が切なくなる。
彼は身体を起こすと、私のことも抱き起こし、向い合せで座るように、対面座位の格好に私を誘う。
誘われるがまま、一物をくわえ込んで、それを確かめるようにゆっくりと腰を動かす。
「好き……好きぃ……。ん……ちゅっ……。好き……」
この体位を選んだのは抱き合いながら行為に及ぶのが容易だから、という彼の気遣いだと思う。
私は両手を彼の背にまわして時折口付けを求める私に、片手を背に回し、もう片方の手で髪をなでてくれる彼。
優しい愛撫と、愛してるという一言で、のぼせてしまった私は、彼への想いを何度も口にしながら、
必死に求めて、二人して達して……。特に私は思い切り達してしまって、
結局彼を押し倒すようにして布団に倒れこみそのまま眠ってしまったんだっけ……。
━━━━━━━━━
「何か私の知ってるナズーリンさんじゃない。それ絶対ウソですよね?」
「いやー、ナズーリンの反応を見るに本当じゃない?」
彼の話しは私が思い出した事よりかなり大雑把だったが、それでも要点は押さえている、……恥ずかしい。
顔から火が出る思いとはこういうことか。
逃げ出してしまいたい気持ちもあるが、膝の上で彼がガッチリ私を抱えている所為で逃げるに逃げられない。
「可愛かったなぁ、あの時のナズーリン」
「私が可愛いのはいつもだろう?」
「いつも以上にね」
「……私の自慢の赤い目が緑色になりそう。私に春は来るのかしら」
「結局それなの? 本当に恋に恋してるんだねぇ」
鈴仙の言葉にミスティアが苦笑を返す。私と彼もやはり苦笑を浮かべている。
「さて、そろそろ帰らないかい? キミは確か明日は朝から人里で用事があったはずだろう?」
「あー、そういえばそうだったな……」
私の言葉で彼がようやく手を離してくれたので、名残惜しいけれど膝から降りて、酒代を手渡し、それからおもむろにロッドを構える。
「次はどこに春が来るか、『探して』みようか」
「えふっ……!?」
お酒を煽った鈴仙が私の言葉を聞いてむせる。
口元をハンカチで拭いながら、興味深げに私のロッドを見る……というか凝視する。
「ま、占いみたいなものだよ、大体は人里を指すだろうし。んー……?」
2本のロッドがそれぞれ別の方を指し示す。それはいずれも人里とは違う方向を指していた。
「二箇所? その棒の向いた方って確か、魔法の森と……地底行きの洞窟……だったっけ?
地底はよく知らないけど、魔理沙やアリスに春……ねぇ?
にわかには信じがたいけどなぁ」
「二箇所を指すときは大体当てにならないんだけど。
たまたまそちらに対象が居ただけかもしれないしね。
ま、私は探しに行くような無粋をする気は無いし。
君らも目星がついていてもあんまり詮索しない方がいいよ、馬に蹴られて死にたくなければ。
それじゃあね」
━━━━━━━━━
「私じゃないのは予想してたわよ……。お酒追加ー!」
「あんまり飲むと明日に残るよ」
「大丈夫、この程度なら大丈夫」
「しかしあの彼、予想以上に妖怪の臭いがしたねぇ……」
「ん、んー、ナズーリンさんが力を渡してたからじゃ?」
「まぁ詳しくはわかんないけどね。はいお酒。それは奢るから、飲んだら帰りなよー?
かなり飲んでるよ?」
「そうする」
メガリス Date: 2016/05/13 18:53:42
SS : ナズーリンへ戻る
独自設定も気になる事もあるかも。
ご注意下さい。
━━━━━━━━━
「お酒ちょーだい」
「鈴仙……、来るなり挨拶も無しにそれはどーなの。いや、商売だから出したげるけどさ」
ミスティアが苦笑しながら酒を出す、鈴仙も常連なのだろう、温度も聞かずに酒を温め、二合徳利を置く。
「ナズーリンさんのこの前の話しを聞いてから何だかねー……」
「んー? まさか、人里で本気で男漁りでもしてるの?」
「まさか、まぁ道行く人に目を奪われる事は多くなったわ……。別に声を掛けたりはしないけど」
「隣、いいかな?」
「はーいどうぞー……。え?」
返事の言葉を聞いて、現れた男性は鈴仙の隣に座る。
鈴仙はこの屋台には珍しい男の客を綺麗に二度見した。
「いらっしゃいお兄さん。ご注文は?」
「串一人前と、辛口一合。ぬる燗で」
「はいよ。ふふふ、物は試しにそのお兄さんを口説いてみたら?」
「ちょっとやめてよ、私が男に飢えてるような言い草」
「飢えてるのか? そういうようには見えないけどなぁ」
「どっちか言うと恋に飢えてる」
「恋に恋するオトメって歳でも無いでしょうに」
和気あいあいと談笑しながら酒を飲む2人と次の串を仕込んだりと作業をしながら談笑に交じる1人。
鈴仙は結構なペースで飲んでいて、酒が回ってきたのか、本当に男性を口説いてみたりし始める。
男性側も適当に受け答えしながら、お返しにかわいいだの何だのと鈴仙をほめてみたりする。
そろそろ頃合いかな。
「鈴仙、人の恋人を誑かそうとしないほうがいい、鼠にかじられて死ぬよ?」
「────!?」
彼の隣に腰掛けて、テーブルに頬杖をつき、鈴仙に意地悪い笑みを向ける。
酒にか雰囲気にか、酔って赤くなった顔が青くなっていくのを見れば、イタズラは成功、といったところか。
「い、いいい、いやいやいやいや、そんなつもりは!?」
「というか、すぐ気づくと思ったんだけどねぇ。横からだから見えなかったのかな?
首にぶら下がってるナズーリンとお揃いのペンデュラム。
それに妖怪の臭いがする人間なんて、私はナズーリンのいい人しか知らないし。
さて、ナズーリンはいつものでいいの?」
いつものでいい、と告げると早速用意を始めるミスティア。
その間に私の胸元と、彼の胸元を交互に見比べて、ため息をつく鈴仙。
彼は私が貸した予備のペンデュラムを首からぶら下げている。スペルカードとセットの道具だ。
まだまだ扱いは甘いけど、一応でも弾幕を張れるのだから護身用には十分だろう。
「キミも、あんまり他人をからかうものじゃないよ?」
「それ、ナズーリンが言う? 私からだとナズーリン丸見えだったんだけど、
黙ってろってジェスチャーされて笑いを堪えるのが大変だったんだよ?
どーせ、ナズーリンとグルだったんでしょ? 私も悪乗りしたけど」
「まぁ、そーだよ。二人で来たんだけど、鈴仙をちょっとからかおうってナズーリンに言われてね」
「えぇー……。3人がかりでからかうなんて酷い。お酒もう一本!」
楽しそうに笑いながらミスティアが酒の準備を始める。
「イケズだからねぇ」
「いけず言うな」
流し見ながらいうと、すぐにそう帰ってくる。彼曰く、いけず、と言われるのはあまり好きじゃないらしい。
「ああ、言ってましたね……。床でも焦らされたりよくいけずされるーって。
聞く限り結構ないじわるさんらしいですけど」
「んー? そんなことまで話したのか?」
「言ってましたよー、床での話しも自慢気に」
「別に恥ずかしがる事でも無いだろうに……」
「いやいや、床での事は他人様に言う事じゃないだろうに。んーむ……」
少し考えた後、唐突に私の腰に手を回し、抱えるようにすると自分の膝に乗せてくる。
……マズい、嫌な予感がする。い、いや、彼の膝の上は心地よくて大好きなのだけど。
自宅で時々、膝に乗せてもらっているのは秘密だ。
「何か、すごく違和感なく収まるね、膝の上のナズーリンって。はい、いつもの」
「俺もナズーリンの恥ずかしい話しでも暴露しようかな」
「何かあったかな?」
ミスティアの出した酒をすすり、平静を装うが、嫌な予感。
「冷静でいつも余裕があるように見えるナズーリンだが。実はものすごく甘えん坊だ」
「─っ!」
「嘘!? ナズーリンが!?」
やはりか! 私のイメージが崩れるからそれ以上はやめて欲しい。切実に。
あと髪を撫でるのもやめて欲しい、顔がにやけたらどうしてくれるんだ。
「……、ナズーリンさんが真っ赤になったのは初めて見た気がします」
「私も」
「そうだなぁ、最初の時は……」
あの時は確か……。
━━━━━━━━━
「ナズーリン?」
布団に入ってから、私は彼にゆるく抱きついた。
今日は手を出してくる気配の無かった彼はこちらを向いて不思議そうな顔をする。
私からあまり積極的に誘う事はしなかったし。
「お願いがあるんだ。次は……意地悪は無しにしてもらえないかい?
キミに甘えたいんだ」
「ん、まぁそりゃいいけど」
返事とともにゆるく髪をなでてくれるのがたまらなく心地いい。
目を閉じて軽く彼の胸に顔を押し付ける。
暖かくて、とても安心出来て、このまま眠ってしまえば明日の朝はさぞかし良い目覚めだろう。
「ナズーリンがそんなこと言うの、珍しいな」
「良いじゃないかたまには、不服かい?」
「いや、見た目相応の女の子みたいで可愛いとね、こういうナズーリンも好きだなぁ」
不意打ちは良くないと思う。
好きだのなんだの、情事の最中でもあまり言わないのに。
彼の胸に顔を埋めていたのは幸いだ。緩んだ顔を見られる事が無い。
いや、見られても別に問題は無いのだけど。
「ひぁっ!?」
急に尻尾を握られて喘ぎとも悲鳴ともつかない変な声を出してしまう。
嬉しくてつい無意識に、私が彼の手に尻尾を絡めていたのを、彼が握ったらしい。
そのまま尻尾をゆるく扱き上げるようにされると、背筋にぞくぞくと快感が走る。
が、それだけで尻尾からは手が離され、不満の視線を彼に向けるべく顔を上げると、唇を奪われた。
結構がっつきがちないつもの彼と違い、髪を撫でながら、ついばむように何度も唇を重ねてくる。
彼なりの、優しいやり方なのはすぐ分かった。
背や髪を撫でられながら何度も口付けを交わし、手が徐々に私の胸やお尻に移っていく。
いつも以上に心地いい。まだ触れられてもいないのに、濡れて下着が張り付いているのが分かる。
唇に舌が入り込んでくれば、それを舌で出迎え、絡め合わせる。貪りあう、という程でもない、ゆるい口付け。
舌を絡める水音と、どちらのものか分からないくぐもった吐息がそう広くない部屋に響く。
相変わらず私の両手は彼にゆるく回したままで、尻尾を彼の衣服に潜り込ませ、その一物をゆるく刺激する。
尻尾の器用さには自信がある。普段から籠をぶら下げて動きまわっても落とさないぐらいだから。
「ナズーリン」
「ん……?」
愛撫を止めて呼びかけられ、それに応じて私が目を開き彼の顔を見れば、それを確認した彼が口を開く。
「愛してる」
「──っ!?」
好きとはちらほら言われるけれど、これを言われたのはまだ片手の指で足りるほど。
顔が今まで以上に熱い。きっとびっくりするほど真っ赤に違いない。
「わ、わた……私も……愛してる」
照れ隠しに彼の胸に顔を埋め、返事を返す。私らしくない、蚊の鳴くような声だったに違いない。
たった一言だったのに、私の鼓動は一気に早くなり、下腹部が切なくなる。
彼は身体を起こすと、私のことも抱き起こし、向い合せで座るように、対面座位の格好に私を誘う。
誘われるがまま、一物をくわえ込んで、それを確かめるようにゆっくりと腰を動かす。
「好き……好きぃ……。ん……ちゅっ……。好き……」
この体位を選んだのは抱き合いながら行為に及ぶのが容易だから、という彼の気遣いだと思う。
私は両手を彼の背にまわして時折口付けを求める私に、片手を背に回し、もう片方の手で髪をなでてくれる彼。
優しい愛撫と、愛してるという一言で、のぼせてしまった私は、彼への想いを何度も口にしながら、
必死に求めて、二人して達して……。特に私は思い切り達してしまって、
結局彼を押し倒すようにして布団に倒れこみそのまま眠ってしまったんだっけ……。
━━━━━━━━━
「何か私の知ってるナズーリンさんじゃない。それ絶対ウソですよね?」
「いやー、ナズーリンの反応を見るに本当じゃない?」
彼の話しは私が思い出した事よりかなり大雑把だったが、それでも要点は押さえている、……恥ずかしい。
顔から火が出る思いとはこういうことか。
逃げ出してしまいたい気持ちもあるが、膝の上で彼がガッチリ私を抱えている所為で逃げるに逃げられない。
「可愛かったなぁ、あの時のナズーリン」
「私が可愛いのはいつもだろう?」
「いつも以上にね」
「……私の自慢の赤い目が緑色になりそう。私に春は来るのかしら」
「結局それなの? 本当に恋に恋してるんだねぇ」
鈴仙の言葉にミスティアが苦笑を返す。私と彼もやはり苦笑を浮かべている。
「さて、そろそろ帰らないかい? キミは確か明日は朝から人里で用事があったはずだろう?」
「あー、そういえばそうだったな……」
私の言葉で彼がようやく手を離してくれたので、名残惜しいけれど膝から降りて、酒代を手渡し、それからおもむろにロッドを構える。
「次はどこに春が来るか、『探して』みようか」
「えふっ……!?」
お酒を煽った鈴仙が私の言葉を聞いてむせる。
口元をハンカチで拭いながら、興味深げに私のロッドを見る……というか凝視する。
「ま、占いみたいなものだよ、大体は人里を指すだろうし。んー……?」
2本のロッドがそれぞれ別の方を指し示す。それはいずれも人里とは違う方向を指していた。
「二箇所? その棒の向いた方って確か、魔法の森と……地底行きの洞窟……だったっけ?
地底はよく知らないけど、魔理沙やアリスに春……ねぇ?
にわかには信じがたいけどなぁ」
「二箇所を指すときは大体当てにならないんだけど。
たまたまそちらに対象が居ただけかもしれないしね。
ま、私は探しに行くような無粋をする気は無いし。
君らも目星がついていてもあんまり詮索しない方がいいよ、馬に蹴られて死にたくなければ。
それじゃあね」
━━━━━━━━━
「私じゃないのは予想してたわよ……。お酒追加ー!」
「あんまり飲むと明日に残るよ」
「大丈夫、この程度なら大丈夫」
「しかしあの彼、予想以上に妖怪の臭いがしたねぇ……」
「ん、んー、ナズーリンさんが力を渡してたからじゃ?」
「まぁ詳しくはわかんないけどね。はいお酒。それは奢るから、飲んだら帰りなよー?
かなり飲んでるよ?」
「そうする」
メガリス Date: 2016/05/13 18:53:42
SS : ナズーリンへ戻る
コメントをかく