東方キャラとウフフにイチャつくまとめ

師走の末にはある特別な日がある。
それはクリスマス――神であるイエス=キリストの誕生を祝う祭りだ。
だが今ではその意義も曖昧になりつつあり、単純に家族や恋人と一緒に楽しいひと時を過ごす日として認識されている。
とりわけ生誕日である25日よりもその前日――クリスマスイブは恋人達にとっては一年の中で一番大切な日と言っても過言ではない。
その日に恋人達は挙って愛を育むのであった。
勿論、実際に神が住まう幻想郷にそんな風習は無かった。
しかし外の世界からクリスマスについて特集した雑誌やら本が流れ着き、それを見つけた烏天狗達が新聞のネタとして面白おかしく広めた為、今では幻想郷でも一般的な風習となっている。
――もはや神の誕生を祝う趣旨はまるで残っていないが。
そして今日がその降誕の前日――クリスマス・イヴである。
だが、様々な男女が色めき立つこの日に春告精――リリーホワイトは一人家で思案顔をしていた。
その理由は、今日と言うこの日に大好きな恋人である○○に対するプレゼントが思い付いていないからである。
きっと○○は何も無かったとしても特に気にしないだろう。
それでも何かしてあげたいと思うのはリリーの○○へ対する愛情の表れなのだ。
何か良い考えは無いものかと先程から思案しているのだが、中々に良い案は浮かばない。

「……あっ、そうだ」

その時、何か思いついたらしい。
今まで幻想郷に馴染みの無かったクリスマスと言う風習。
それが広まったきっかけは外から流れ着いた書籍である。
つまりその類いの書籍を読めば何か良い考えが浮かぶのではないか?
そしてそれらが集まりそうな所に思い当たりがあった。
幻想郷では珍しい外の世界からの漂着物を販売している店――。

「霖之助さんの所なら何かあるかも……」

そう、森近霖之助が営む香霖堂である。
香霖堂には彼女も○○と一緒に何度か行った事があった。
幻想郷では見た事のない様々な用途不明の物が置いてあったのを覚えている。
あの中にそのクリスマスについて書かれた雑誌ももしかしたらあるかもしれない、そう思ったのだ。
ならば行動に移すのは早い方が良い。
もしかしたら首尾よく良い案が手に入り、○○を驚かせ、喜ばせれるかもしれないからだ。
愛用の桜色のマフラーと手袋をしたリリーは、先程までの悩みっぷりが嘘のように元気良く家を飛び出していった――


「寒いですね〜……」

白い息を吐きながらリリーは身を震わせた。
冬を経験するのは初めてではないが、春告精としてはやはり寒さは苦手だ。
手袋越しに手に息を吹きかけ暖を取る。
空から見る幻想郷は遥か彼方まで雪によって真っ白の銀世界である。
気温だけでなく、視覚的にも寒さを訴えかけてくるようだ。
そういえば昔博麗の巫女に撃ち堕とされた時も幻想郷はこんな風に真っ白だったなぁ、とふと昔の事を思い出す。
――尤も、その時は冬ではなく春だったのだが。
そんな風に感慨に浸っている内に目的地が見えてきた。
一見見渡す限り真っ白でどこに何があるか分からないかもしれないが、幸いにも香霖堂は人里から離れた所に建っている。
ある程度記憶のある場所から白い煙が立っていればほぼ確定である。
降り立ってみると、建物の周りにある恐らく外の世界の物と思われる物が雪を被っていて軽く埋もれかけていた。
どうやら正解だったらしい。
しかし、ここまで店先が放置されていると店の中には誰も居ないのではないかと思えてくる。
空から見る限り煙突から煙が出ていたので中に店主はいるのだろうが、こんな冬の日に開店しているだろうか?
少し不安になりながら戸の取っ手を持ち、軽く押してみると戸は簡単に開いた。
どうやら営業しているらしい。
リリーは安堵の息をつきながら店の中に入る。
店の店主はいつもの様に本を読みながら受付の所に座っていた。

「こんにちわ〜」
「……ん?やあ、いらっしゃい。珍しいね、君が一人で来るなんて」

リリーの挨拶で気付いたのか、香霖堂の店主――森近霖之助は本から顔を上げた。
彼女がこの店に来るのは初めてではない。
外来人である○○と一緒に何か幻想郷でも使える物が無いか何度か来た事があるし、霖之助としても用途と名前が分かっても使い方が分からなかった品物の事について聞けたりと歓迎されていた。
所謂お得意様と言うやつだ。
そんな事もあってリリーと霖之助の二人は顔見知りである。
尤も、彼女が一人で会うのは初めてであったが。

「え〜と、ちょっと探し物があって……」
「ふむ、妖精である君が探し物か……君の彼氏にはお世話になってるし、良かったらその探し物を見つけるお手伝いをするよ?」
「ほ、本当ですか〜!?」

正に渡りに船である。
思わずリリーの顔に満面の笑みが浮かぶ。
店主である彼の力を借りれば、この雑多な店内から目的の物を見つける時間が省けるというものだ。

「それで、何を探しているんだい?」
「クリスマスについて書かれた本を探していて……」
「クリスマス……ああ、あの新聞に書かれていたアレか。それならそこの本棚にあるよ。確かそのクリスマスについて書いた烏天狗がその辺りで本を読んでいたはずだから」
「分かりました、ありがとうございます〜!」

大きく頭を下げ、リリーはその本棚へパタパタと駆けて行った。
その可愛らしい動作に思わず霖之助が笑みを浮かべる。
本棚の前に来たリリーはクリスマスについて書かれた本を探し始めた。

「え〜と、え〜と……あっ、ありました〜」

手に取ったのは普通の本に比べると表紙が遥かに薄く、かなりカラフルな配色がされた本だった。
表紙の端には『クリスマス特集!カレにあげるプレゼントはこれだ!』と書かれている。
表紙にクリスマスと書かれているのでこの本で間違いないようだ。
何か良い情報は無いか早速読み始めた。
それから数分後、再び受付で本を読んでいた霖之助の元に、先程の本を持ったリリーが近づいてきた。
だが、その様子が少しおかしい。
やたらとキョロキョロして落ち着かない様だ。

「あ、あの……」
「ん?探してた物は見つかったかい?」
「え、ええと……は、はい。それで、この本って貰えますか……?」
「ふむ、それは別に良いけれども。……顔が少し赤いけど大丈夫かい?」
「ふぇ!?だ、大丈夫ですよ〜!?」

面白い位動揺した。
先程からのリリーのおかしな挙動に霖之助は少し首を傾げる。
しかし、彼女は自分にとっては貴重な客の一人だ。
変に詮索しない方が良いだろう。
その本の代金は彼女の彼氏にツケておく事にした。

「……まあ良いか。持って行ってもらって構わないよ」
「あ、ありがとうございます〜!!そ、それじゃ私は帰りますね!!」

そのまま彼女はもの凄い速度で店を出て飛んで行ってしまった。

「一体どうしたんだろうか……?」

日は傾き始め、暗くなり始める頃の出来事であった――。


「くはぁ〜、今日も疲れたぁ……」

思わず漏れた欠伸と一緒に口から白い息が出る。
人里での仕事を終えた○○は、寒さと労働で凝り固まった筋肉をほぐす様に体を伸ばしながら帰路に付いていた。
その手には紙の箱を持っている。
中身は人里のカフェで購入したケーキだ。
今日はクリスマスと言う事でリリーの為に購入したのであった。

「親方がいつもより早く仕事を切り上げてくれて助かったよ」

実は他の労働者から折角のクリスマスなんだから仕事は休みにしてくれと言う要望が出ていた。
しかしそこは頑固な親方、「外から入って来たよく分からないもので休みにしてたまるか!!」と取り付く島が無かった。
それでも少しはこちらの事を考えてくれたのだろう、流石に休みにはしなかったものの仕事の切り上げをいつもより二刻程早めてくれたのだ。
おかげでケーキも買う事が出来た。
これがいつもと同じ時間に仕事を切り上げていたら売り切れで買えなかった事だろう。

「これであいつも喜んでくれるかな」

思いを馳せるのは恋人であるリリーホワイトだ。
彼女はもちろん女の子であり、甘い物が好きな妖精である。
彼女が喜ぶ姿が容易に想像でき、思わず頬が緩む。
そんな事を考えている内に、家の前へ到着した。

「ただいまー」

戸を開けてみたが誰も居ない。
いつもだったらリリーが笑顔で抱きついて来るものなのだが。

「リリー、居ないのかー?」

不審に思いながら履き物を脱ぎ、家に上がる。
本当に留守にしているのかとキョロキョロと周りを探る。
ふと、何か変わった物を発見した。
いつも布団を敷いて寝る辺りに何かがある。
よく見るとそれはいつも使っている布団だった。
その布団が少しだけ盛り上がっている。
もしかしたらリリーが寝ているのだろうか?

「リリー、寝てるのか――」

本当にそこに彼女がいるのか確かめる為、○○は掛け布団を捲った。

「クリスマスプレゼントですよ〜」
「……」
「ク、クリスマスプレゼントですよ〜」
「……」
「○、○○さん?クリスマスプレゼント、ですよ〜……?」

○○の思考が停止する。
少し冷静に考えてみよう。
今日はクリスマスと言う事もあって仕事が早く切り上がった。
だからケーキを買って帰路に付いた。
そして家に帰ったら誰も居ないようだった。
だが少し盛り上がった布団があった為、もしかしてそこにリリーがいるのではないかと思い布団を捲った。
ここまでは良い。
問題はその布団の中身だ。
――どうしてリリーが『全裸で』『体中にリボンを巻き付けている』か、と言う事である。
ピンク色のリボンは体中に巻きつき、足首同士だけでなくどうやって結んだのか手首同士もリボンで結ばれている。
まるで身動きが出来ないように拘束されているようにも見える。
体勢も重要な部分が見せそうで見えない絶妙な角度で、ご丁寧に太股には白いガーターリングが身に付けられていた。
これら全てを統合すると、まるで男を誘っているようにも見える。
だが、それをリリーがする意味がよく分からない。
布団を捲った状態からピクリとも動かない○○を見て、彼女の顔に不安と焦りの様な物が浮かび始める。
こんな状態をまじまじと見られて恥ずかしいのか、顔を赤くしてあうあう言っている。

「まてまてまてまて……」

無意識の内に手で顔を覆う。
とりあえず落ち着く為に○○はリリーから視線を外した。
特に意味も無く周りを見回していると、ふと気になる物が目に入った。
この家の中でやたら目立つ色をしている物が落ちている。

「ん、これは……?」

よく見るとそれは外の世界では身近だった雑誌の様だった。
とりあえずリリーをそのまま放置し、その雑誌を手にとって見る。
どうやら女性向け雑誌らしい。
表紙の端には『クリスマス特集!カレにあげるプレゼントはこれだ!』といかにもな事が書かれている。
何故こんな物が家にあるのかと首を傾げながらページを捲っていくと、先程の光景とよく似た写真が載せられたページを見つけた。
ページの見出しは『今年のクリスマスはちょっとエッチに彼を誘惑しちゃおう!』という何とも頭が痛くなりそうなもの。
写真には女性モデルがリリーの様に全裸でリボンを体中に巻き付け、こちら側に向かって誘惑する様な艶めかしい表情を向けている。
その後の文章にはリボンの結び方や、扇情的に見える様な体勢の解説などがやたら詳しく書かれていた。
この状況とこの雑誌を見たら考えられる結論は一つしかない。
リリーはこの雑誌を読み、それを模倣した――と。
自分をリボンでラッピングする事でプレゼントに見立て、愛する人にプレゼントとして自らの躰を差し出すという外の世界でもファンタジーな事を。
――むしろ外の世界で『幻想』だからこそ、今目の前でそれが起こっているのかもしれないが。
それが分かった時、○○の頭の中で何かが吹っ切れた。

「あ、あの……○○さ〜ん……?」

○○が自分に目もくれずに霖之助から貰った本に目を通していて、不安と寂しさに駆られたリリーが声を出した。
声に反応したのか○○は手に持っていた本を無造作に床に放った。
気だるげに視線を上に向け、ふぅーっと息を一つ吐いた。
その状態のまま首だけを彼女の方へ向ける。
どこか達観した様な表情を向けられ、リリーは心配で思わず身を固くした。。
もしかして喜んでもらえなかったのではないか、何かやり方を間違えたのではないか――そんな嫌な考えが頭を過ぎった瞬間――。

「ひぁあ、○、○○さん!?」

突然、横になっているリリーに○○がもの凄い勢いで覆いかぶさった。
いきなりのその行動に思わずリリーの口から悲鳴が漏れる。
○○は心底嬉しそうに口角を上げ、歯を剥き出しにしたもの凄い笑顔を彼女の顔に近づける。
今の状況と囲炉裏の炎の明かりによる陰も相まって、ハッキリ言って怖い部類である。

「リリーさ、『コレ』ってつまりあの雑誌に書いてあった事と同じ事をしようとしたって事だよな?」
「そ、そうですよ〜……」

動揺しながらも肯定する。
すると○○の口角が更に上がり、目を細めた。

「つまりだ、俺が好きなふうにプレゼントにして良いって事だよな〜?」

そのもの凄く嬉しそうな笑顔にリリーは思わず引き攣った笑みを浮かべた。
もしかして自分はとんでもない事をしてしまったのではないだろうか?
ああ、でも○○さんはすごく喜んでるし――と、心中複雑なリリーであった――。


「さぁてと、それじゃあプレゼントを頂くとしますか」

心底嬉しそうな声で○○が言う。
彼は布団の上に横になっているリリーを抱き起こす。
そして体の向きを変え、自分に寄り掛からせる。
丁度彼女を後ろから抱きしめる形になった。
反射的にリリーはほんの少しだけ身体を強張らせる。
別に○○を信頼していない訳ではないが先程の怖い位の良い笑顔が忘れられず、○○が暴走してしまうのではないかという心配で思わず身を固くしてしまったのだ。
この普段と違う格好に緊張しているというのもあるのだが。

「あの、や、優しくしてくださいね……?」

はにかみながらも、どこか不安げな瞳を○○に向ける。
○○は何の事かと一瞬思案したが、すぐに意味を理解してリリーを安心させる為に微笑んだ。

「当たり前だろ、こんな良いプレゼント乱暴にしたらそれこそ閻魔様に説教食らっちまうぜ」

そう言って彼女の頬に軽く口づけをする。
安心したのか彼女は少し照れた様な笑顔を浮かべ、ゆっくりと躰の強張りを解く。
○○もリリーの緊張が解けたのを見て、良かったと小さく頷いた。
プレゼントとは言っていたが、やはり彼女も気持ち良くなって欲しいのだ。
さて、改めて自分の腕の中に居るリリーを見てみる。
今の彼女の状態はリボンによって手足を縛られた半拘束の様な状態。
身に付けているのは太股の白いガーターリング、そして申し訳程度に躰を覆うピンク色のリボンのみである。
当然そんな物が服の機能を果たす訳も無く、肌は露出している部分が多い。
そして抱き寄せた事によって体勢が変わり、色々と重要な部分が見えてしまっている。
現状を一言で言えば――

『メッチャ興奮するなこれ……』

リリーから見えない角度で、○○は口角を釣り上げてほくそ笑んだ。
見付けた時は混乱が先行してしまい、ここまで考えを巡らす事が出来なかったがこれは非常に扇情的である。
女の子が自らを拘束し、さらにその躰をプレゼントと称し差し出すシチュエーション。
リボンを躰に巻きつける事で、却って不安定さから醸し出されるエロティシズム。
しかもそれが自分が愛する女性である。
これで興奮しない男はまずいないだろう。
気を抜けばいきなり彼女に襲いかかってしまうかもしれない。
しかし、それでは面白くないと心の中で自戒する。
折角彼女がくれたプレゼントだ、それなら長く楽しもうと思ったのだ。
ならばと、まず○○はリリーの太股へと手を伸ばした。
巻きついたリボンの上から自身の名前の様に白く透き通るような肌に手を這わせる。
指先だけで、触れるか触れないかと言う所でまるで壊れ物を扱うかの様にゆっくりと愛撫をする。

「んっ、はぁ……」

こそばゆい快感にリリーの口から艶っぽい吐息が漏れる。
それに気を良くした○○は指先だけでなく、手全体を使って愛撫を開始した。
太股に手を這わすと、滑らかな感触が手に返ってくる。
太股を撫でる、それだけなのにその感触がとても心地良くむしろこちら側が快感を感じている様にも思えてくる。

「ちょっと、手つきがやらしいです……」
「ん〜、そんな事無いぜぇ?」

もはやニヤニヤを隠そうともせず、受け流した。
太股を撫でる手は内股も撫で始める。
思わずリリーの躰ばビクッと小さく震えた。
嬌声が吐息と共に漏れ出る。
快感に耐える為か、○○の空いている方の手を掴んでいたリリーの手に力が入る。
しかしそこまで。
それ以上重要な所は触れようとしない。
寸前まで撫で、敢えてそこだけを避ける。
そのまま上に上がっていき、正中線に沿って躰を撫で、焦らす。
こそばゆい、しかし少し物足りない快感に身を軽く揺する。

「う〜、意地悪です〜……」

恨めしそうな声と共に潤んだ瞳を向けられる。
朱に染まった頬と口から漏れる熱っぽい吐息で更なる快感を求めているのが見て取れた。
その様子を見て、完全に彼女の躰を自分の手で弄んでいるという事にゾクゾクとした何かが背筋を走る。
顔に出てしまったのだろうか、リリーが少し怒った様な表情をした。
だが正直、上気した頬と潤んだ瞳、熱に浮かされたようにとろんとした目元でそれをしてもそれは可愛いという部類になってしまうが。

「分かった分かった、悪かったよ」

思わず苦笑を漏らしながら、○○は手でリリーの顔を少しこちら側に向かせる。
何をするのか察したのか、彼女はゆっくりと目を閉じた。
そして顔を近づけ、唇にゆっくりと口付けをした。
唇でリリーのそれを挟み、軽く吸い立てて舌先で舐める。
彼女もそれを真似して同じ事をし返してきた。

「んっ……はぁ……ちゅっ」

音を立てて唇を吸い、啄ばみ合う。
互いに柔らかいその感触を楽しむ。
時折舌先同士が触れ合い、その感触にリリーが躰を震わせた。
もっとしてと言わんばかりに躰を○○に擦り付け、夢中になってキスをする。
全神経が唇へ向き、リリーの躰からゆっくりと力が抜けて○○に身を任せる。
それを確認した○○はリリーに気付かれないようにゆっくりと手を彼女の躰の下部へと移動させていく。

「はむ……ちゅう……んんむ!?」

突然リリーが驚いた様な声を上げた。
○○が彼女の秘所に指を挿入したからだ。
先程までの愛撫とキスのお陰か、秘所は十分指を受け入れる程に濡れていた。

「○、○○さ……んむっ」

驚きから声を上げようとしたリリーの口を自身のそれで塞いだ。
挿入した指を動かすと、リリーの躰がビクビクと痙攣する。
快感から逃れようとしているのか、リリーが身を捩るが躰と手足に巻きついているリボンのせいでそれは叶わない。
結果、リリーはされるがままになる。
彼女の呼吸が少し苦しそうな気がしたので、一度顔を離してみる。
――責め立てる指は止めないが。
不足した酸素を求めてリリーが喘ぐ。
泣きそうな、しかしとろんと蕩けた目を○○へと向けてくる。

「○○……さん……んあ、あっ」

普段の無邪気な姿からは想像出来ない扇情的な姿。
その姿を見れるのは自分だけという優越感、そして目の前の光景に否応無しに興奮が高まる。
思わず先程の様に顔が猛烈にニヤけそうになるが、今の状況ではリリーを怖がらせてしまうだろうと思い無理矢理抑え込む。

「大丈夫だよ……」

安心させる為に努めて笑顔で優しい声を掛ける。
その言葉に安心したのか、リリーが快感に飲まれながらも僅かに笑みを浮かべた。
再び彼女に口付けをする。
加えて指で秘所を責める。
キスをしている口の中でリリーがくぐもった嬌声を上げた。
先程とは違い快楽の波に身を任せ、与えられる快感をただ受け入れる。
調子に乗った○○はもう一方の手をリリーの胸へと伸ばした。
妖精にしては――というより女の子にしてもたわわに実った胸をゆっくりと揉みしだく。
全人類の男子諸兄が夢中になって止まない二つの膨らみ。
リリーのそれは正しくその理想形を体現していると言っても過言では無かった。
感触は張りがあって、それでいて揉んでいてとても心地の良い弾力。
一回揉んだら、その至福の感触が癖になってずっと揉んでいたくなってしまう――そんな感触だ。
○○も例に漏れず、心地良い感触を求めて無意識の内に手が動いてしまう。

「ひゃん!!……んちゅ、んふ……」

二か所の同時攻撃に、リリーも思わず嬌声を上げた。
しかし、すぐに自分から再びを唇を重ねる。
まるでもっとしてと言っているようだ。
ならばと、○○も責める勢いを強める。
胸を揉む手は揉みしだくだけに留まらず、胸の先端の桜色の蕾にまで及んだ。
堅くなった蕾を摘み、軽く引っ掻き、弾き、こねくり回す。
もう片方の手は挿入のスピードを速くする。
グチュグチュと淫らな水音を立てて責め立てる。
リリーは躰を痙攣させ手足に力を入れて指を固く握り始めた。
どうやら限界が近いらしい。
ふと、突然○○が口を離した。
そのまま耳元へと口を近づける。
そして囁いた。

「ほら、イッちゃえ……」

同時に耳を啄ばむ。
リリーの全身が粟立った。
完全に無意識な所からの快感。
一旦全身を襲った快感は快楽の波をギリギリまで塞き止めていた壁を突き抜けた。
一度穴が空いた壁は脆かった。
壁は決壊し、今まで塞き止められていた快楽の波がリリーを襲う。

「ひぁ、あ、ああ、ああああ――!!」

今のリリーにそれだけの快楽に抗える術など無かった。
全身を電流の様に快感が流れる。
四肢を硬直させ、ビクビクと痙攣させる。
○○は彼女を優しく抱きしめ、快楽の波が過ぎ去るのをじっと待った。
やがて波が去ったのか、力が入っていた四肢から徐々に力が抜けていった。
くたりと完全に脱力し、躰を○○に委ねる。
力無く口を開け、ハアハアと荒い息をつく。
息が整うまで優しく頭を撫でてやる。

「大丈夫か?」
「ハァ……ハァ……は、はい……」

蕩けて潤んだ瞳を向けてくる。
○○は微笑み、よしよしと再び頭を撫でる。
その感触が心地良いのか、幸せそうに目を閉じた。
しばらくゆったりとしていたリリーであったが、やがてゆっくりと目を開いた。
○○をじっと見つめる。
○○は首を傾げ顔で「どうした?」と問うと、リリーは身を捩った。
彼の腕の中で躰を動かし、向き合う。
そのまま縛られたままの手を○○の両頬に添えて、ゆっくりと顔を近づける。
何をしようとしているのか察した○○はゆっくりと目を閉じる。
やがて、唇に柔らかい張りのある感触。
続けて温かくヌルヌル蠢く物の感触。
○○もそれに応えて舌を突き出す。

「あむ、ちゅ、じゅる、くちゅ、んちゅ、ちゅぷ……」

舌同士を絡め合い、擦りつけ合い、たまに吸って唇で挟んで軽く扱く。
ゆっくりとした激しくのない、しかし濃厚な口付け。
一旦収まっていた興奮が再び燃え上がってくる。
しばらくするとリリーが顔を離した。
離された舌同士の間に糸が引く。
あんな事をしていたというのに、彼女の顔はどこか切なげだった。

「もっと……もっとしてください……」

もっと――この状況下で意味する物は一つしか無い。
リリーのそのおねだりに思わず○○は苦笑を浮かべる。

「俺がプレゼントされてる側のはずだったんだけどなぁ」

途端リリーが不安そうな表情を浮かべた。
もしかしたら怒られるのかと思ったのかもしれない。

「冗談だよ、こっちおいで……ってそれじゃあ無理か。ちょっと待ってな」

そういうと○○は今までずっとリリーの手首と足首に巻きついて拘束していたリボンを解いてやる。
手足が完全に自由になったリリーは、勢いよく○○に抱きついた。
今まで触れあえなかった分を埋め合わせるかのように、躰の面積を最大限に使って彼に抱きつく。
彼のその体温、感触、匂いに安心したのか大きく息を吐く。
それに合わせるように、○○も抱きしめ返した。
背中に手を這わせ、愛撫する。
肩から肩甲骨、背中、臀部と下へ向かって撫でさする。
そのまままた上に上がり、背中に生えている妖精特有の透けるほど薄い羽の付け根を指先で擽る。
感じるのか小さく声を上げ、小さく震えた。

「……○○さんだけ服を着ててズルイです〜……」

ふと、リリーが顔を上げそんな事を言った。
確かに見てみれば○○は仕事帰りの作業服であるのに対し、リリーは躰を申し訳程度に隠すリボンのみである。
正直全裸と言っても過言ではない。
どうやら彼女は自分だけが全裸に近い状態だから愛撫で感じてしまうのが不服らしい。

「分かった分かった、脱げば良いんだろ?」

今更そんな事は些細なことだろう――と思ったがまあどうせ最終的には脱ぐし、と言う事で脳内で了解する。
一旦リリーを引き離すと、自分で上半身の衣服を脱ぎ始めた。
彼女も手伝おうと思ったのか、下半身の衣服を脱がしに掛かる。
紐を解き、衣服を褌ごと脱がせると――

「わぁ……」

そこにはとっくに臨戦態勢になっている陰茎があった。
赤黒く怒張したそれは鎌首をもたげ、獲物を求めるかのように鼓動に合わせて小さく上下していた。

「やっぱり……大きいですね〜……」

今までに何度も見てはいるが、やはりそう思ってしまう。
こんな大きな物がこれから自分の中に入る――そう思うだけで興奮が高まり、下半身の辺りがきゅんと疼く様な気がした。
無意識の内に固唾を飲んでしまう。

「……そんなにまじまじと見られると照れるんだけども」
「はっ、そ、そうですね、あはは……」

思わずリリーが顔を少し赤くして照れ笑いをする。
慌てて脱ぎかけだった衣服を完全に脚から抜き取る。
遂に二人は生まれたままの姿になった。
――内一人は『ほぼ』なレベルだが。
改めて二人は抱き合う。
衣服が無くなった事により、より密着度が上がった様に感じられた。
○○の胸板にはリリーのたわわに実った胸が押し付けられる。
ぐにゅりと押し潰された胸は、彼に心地良い感触を伝える。
一方のリリーの下腹部には○○の堅く怒張した陰茎が押し付けられる。
ぐいと押し付けられた陰茎は、彼女に熱と興奮の度合いを誇示する。
しばらく互いの感触を楽しんだ後、二人は顔を見合わせた。

「良いか……?」
「……ハイ」

頬を赤らめてリリーが頷く。
彼女の秘所は受け入れる準備が出来ている様だった。
挿入する角度を調整する為に○○の陰茎を軽く握る。
外部からの刺激にほんの一瞬だけ彼の躰が震えた。
その様子が可笑しかったのか、リリーが小さく笑う。
掴んだ陰茎の亀頭を自身の秘所に擦りつける。
クチュ、と粘ついた音が立った。
リリーが深く息を吐く。
そして目を閉じると、ゆっくりと腰を下ろしていく。

「は、あ、あぁぁ……」

快感に耐えているのか、○○の肩に掴まり俯きながら声を漏らす。
やがて完全に腰を下ろしきった。
対面座位の体位になる。

「入り……ましたぁ……」

震えながら顔を上げると、その顔は快楽で蕩けていた。
だらしなく開いた口、とろんとした目、痙攣する躰。
それでも必死に笑顔を作ろうとするリリーに対して愛しい気持ちが溢れてくる。
彼女の躰を抱き寄せ、よしよしと頭を撫でてやる。

「……もう大丈夫か?」

しばらくしてから○○が問いかける。
その問いに対し、リリーは無言でコクコクと頷いて答えた。
彼女の返答を確認して、○○は彼女の太股を抱えるように手を回した。
そしてゆっくりと上下に揺すり始める。

「んあぁ……あぁ……んん……」

○○の挿入の動きに合わせて、リリーの口から嬌声が漏れ出る。
やがてリリーの方からも腰を動かし始め、挿入の動きは激しくなる。

「○○……さ、ん……」

ふと、リリーが○○を呼んだ。

「ど、どうした?」

もしかして無理をし過ぎてしまったのか――?
嫌な考えが脳裏を過ぎる。
しかし――

「キスして、ください……」

どうやらその考えは杞憂だったようだ。
そんな事お安い御用だと、優しく唇を重ねた。
初めは先程までの様に唇同士でじゃれ合う様に。
次は舌同士を絡ませ合う。
舌の動きに連動してか、腰の動きも激しくなり始めた。
どうやらお互いに限界が近いらしい。
互いを抱き合う腕に力が入る。

「○○さん……○○さん……!!」
「リリー……!!」

無我夢中で互いの名前を呼び合う。
名前を呼び合うだけでとても愛しい気持ちが溢れてくるのが分かった。
そして、その時は訪れた――。

「ひゃ、あ、あぁ、あああ――!!」
「ぐうぅ――……!!」

絶頂――その瞬間に訪れる最高級の快感に身を震わせる。
それでも、○○はその快感の中でもリリーをしっかりと抱きしめ、快感の波が引くまで彼女の頭を撫で続けた――


どれだけの時間が経っただろうか?
二人はまだ抱き合ったまままどろみの時間を過ごしていた。
時折どちらかが思い出したように躰をさすったり、軽い口付けをする程度だ。

「リリーさ……」
「ふぇ……?」

○○の心地良い体温でまどろんでいたリリーはその声で気が付いたようだ。

「ありがとな、俺の為に」
「い、いえ、そんなこと〜……」

○○の胸板に顔を押し付け、照れ顔を隠す。
だが、満更でも無い様だ。
照れ笑いが漏れ出る。

「……くしゅん!」

突然、リリーがくしゃみをした。
どうやら冷えてしまったらしい。
むしろこんな真冬に裸でいたら当然かもしれない。

「このままじゃ風邪引いちまうな。一緒に風呂入って温まろうぜ?」
「そうですね、ふふ……」
「んでその後に晩飯食って、買ってきたケーキでも食べるか」
「あ、良いですね〜」

先程までの情事が嘘の様な無邪気で子供っぽい笑みを浮かべる。

「それからさ」
「?」
「俺からもリリークリスマスプレゼントあげようかな」
「ほ、本当ですか〜!?」
「ああ、冬の夜は長いからな」

○○がニヤニヤしながら言った。

「……あっ」

プレゼント、夜、そして今の○○のニヤニヤ顔。
それらで全てを察した。
つまり、『そういう事』なのだろう。

「……ハイ!」

照れ笑いを浮かべながらも、リリーは元気に返事をした。
彼らの聖なる夜の性なる夜はこれからのようだ――


メガリス Date : 2012/12/24 21:07:51

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