小傘とちゅっちゅもみもみおどろけー! する話
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touhou_icha 2012年06月18日(月) 21:21:51履歴
「はぁ……まいったなぁ……」
目の前に広がる絶望的な状況に、僕は深く冷たい溜息をつき、一人項垂れる。
僕を此処までダウナーな気分にさせるその光景とは、激しく屋根を打ち地を鳴らす大雨。
否、大雨というには一粒一粒が重たく、硬度をもち、そして何よりも冷たい。
それは雨というよりも、多分に氷の結晶を含んだ霙なのであった。
「どうして雪にならないものかなぁ〜」
辺りには突然の大雨、もとい大霙に慌てふためく人たちで溢れかえっている。
人はいれども誰も聞かないであろう独り言を、僕は誰に言うでもなく虚空に問いかける。
しかしその問いかけの中身ももっともな話。
今、此処幻想郷は冬真っ盛りで、天気はというと雪の日が続いて歩くのに苦労したり雪かきに精を出したり、
時たま晴れの日が数日続いて心穏やかになる日があっても、このように液相分を多様に含んだ水飛沫が降り注ぐ日はなかった。
そんななか突然降り始めた霙に、僕はもとより周囲の人々も大混乱といった様子だ。
今日は人里の商店まで食料の買い出しにやってきた。
前述のとおりに雨なんて降るとは思ってもいなく、雪はフード付きの厚着で済ませてしまおうなんて考えていた物だから、
この突然の大霙に対抗しうる、傘という名の神器を今この場に持ち合わせていないのだ。
仕方なく、今は商店の屋根の下で雨宿りをしている……
「無理矢理にでも突っ走って帰れば……いや風邪ひくなこりゃ」
風邪をひく、それどころの話ではない。
寒さに身を打たれ弱まった体で森の中を歩けば、妖怪に対して襲ってくださいと言っている様なものだ。
そう考えて僕は、改めて今非常に八方塞な状況にあることを強く自覚した。
寒い、体がどんどん冷え込んで来るのが分かる。屋根の下、斜めに差し込む冷たい水飛沫が衣服に吹きかかり、浸透し、徐々に、しかし確実に熱を奪ってゆく。
このまま此処に居続けるだけでも、確実に消耗してゆくのだろう。どうすることもできないと判っているから尚更悔しい。
ああ、手袋に水が浸透してきた。冷たく湿ったそれはもはや使い物にならない。そしていずれは、僕の手自身までもが……
「うう……そんなの嫌だ……早く帰らないと」
手が悴みびりびりとした痛みを訴え始める。何とかして帰る方法を考えないと……
というか周りの人間はどうしているんだろう？ こんな急な霙なら僕以外にも予測できず被害を被っている筈。
そう思って周囲に気を配ってみれば確かに、大勢の人間が慌てふためき、なんとかして身を守るものは無いかと必死に探し、
そして商店のビニール傘へと殺到してゆくのが……ああ、ビニール傘か。
「そうだ、何を考えているんだ僕は……突然の雨天の時の為のビニール傘じゃないか……」
ビニール傘は僕が雨宿りをしている商店でも売られていた。十分すぎる量を備えて。
店主の笑顔と言ったら実に雨天様々、ビニール傘様々といった感じだ。
だが丁度いい。僕の懐にも持ち合わせが十二分にある。
外界に比べると少々値が張るようだが、大風邪拗らせて病院で治療を受けたり、妖怪に喰われて葬式挙げる金を考えれば安すぎる。
此処は一つ、僕もビニール傘様々な気分を味わっても良い筈だ。というか早くしないと凍死する。
僕は藁にもすがる思いで、商店の入り口に大々的に置かれた金バケツの中に無造作に差し込まれたビニール傘の一つに腕をを伸ばし……
腕を止めた。
「あいつ……何て言うかな……」
全身を凍てつく風と飛沫に打たれ、刻々と熱を、そして時間を奪われゆく中、
急がなければならない僕の正気が疑われる脳裏に浮かんだのは、自宅にて待つ、想い人の姿……
ビニール傘を手にとって帰宅する僕を、悲しそうな瞳で、恨めしそうな視線で貫く最愛の人のヴィジョンだった。
「意外に嫉妬深いからなぁ……あいつ……」
嫉妬深い……それは愛の大きさの裏返しだ。それは僕も十二分に理解している。むしろ嬉しく思うほどだ。
しかしいくらなんでもビニール傘を買って嫉妬されるなんて理不尽すぎると思う。
というかそもそも怒られると決まったわけではない。勝手に僕が決め付けただけだ……
ああそうだ、考えてみれば理不尽なのは傘を買っただけで大切な人に軽蔑の視線を向けられるという、
実に突拍子もない考えを抱いた僕の方じゃないか。
そんなので傘を買わずして、あげく生命の危機に立たされるなんて実に馬鹿げている。
そうだ、だからビニール傘を手に取るのだ。
ビニール傘を手にとって雨風から身を守り、身を刺す様な寒さから逃れるのだ。
庵による暖房が利いていて、炬燵もあって、温かい家がお前を待っているぞ。
温かいお風呂に温かい食事……それから温かいかみさん……
ああそうだ、家にはお前のことを今か今かと待っている大切な人がいるじゃないか。
大切な人を待たせてどうするんだ、このまま帰るのが遅れたら……あるいは帰ることすら適わなくなったら……
それこそお前は一体どの面下げて彼女に謝るというのだ……
ビニール傘を手にとって帰る位なんてことないさ……ビニール傘はビニール傘、お前の嫁はお前の嫁だ、なんの関係もない。
さあ僕……目の前にあるビニール傘を手に取り、勘定し、それをさして自宅へと帰るのだ……
簡単なことだ、何を戸惑う事がある？ さあ僕、目の前のビニール傘を手に取るんだ……
でも、それでも……
「いや、僕には無意味だな……」
そっとビニール傘から手を離した。
きっと馬鹿げたことをしてるって、この上ない身勝手なことしてるって自分でも分かる。でも、後悔は無かった。
止むまで、待とう……
「はぁ……なんだか温かくなってきたな……」
止むまで待つ、そんな僕の判断を楽観的だと嘲笑うかのように、雨粒……氷粒は激しさを増してゆく。
冷静に考えれば寒さが増してゆく筈なのに、どういう訳か体がポカポカと暖かくなってきた。
まともな思考を持つ人間なら、そろそろ体にガタが来始めているんだって結論に至るのだろうけれど、
今の僕には、ビニール傘よりも愛を取るという一つの結論をつけることが出来たからだと、そんなふうに思う。
ああ、このまま凍死したら……僕は愛に生き愛に死んだことになるのだろうか？
ビニール傘差して平然と帰るのと、このまま死ぬの、あいつはどっちの方が怒るのだろうか？
……なんて考えていたらすごく自分に対して胸糞悪い気分になってきた。この上ない、なんて自分本位で身勝手な発想なんだ。
「くぅ…、はぁ……なんだか視界がぼんやりしてきた……」
斜めから差し込む雨粒が時折僕の露出した肌を打ち、漂泊してゆく。
もはや冷たいというよりも痛さすら感じる筈なのに、今の僕はなんだかぼんやりとした意識に支配されてゆく。
視界がぼやける……意識がぼやける……感覚が……ぼやける……
こんな状況を答え�８充造枠鷯陲任△襦△覆鵑童世Δ里世蹐Α�
ああ、本当に彼女が傘を手に取りここまで助けに来てくれたらと、そう思う。
……そして、そんなことあるはず無いって、家で待っている想い人が、傘を持っていかなかった僕を案じて人里までくるなんて都合のいいことあるはずないってことも。
第一、あの傘を持ってこられたら、まどろみゆく視界も、意識も、一瞬で覚醒するぐらいに目立つ……？
「……なんだあれ？」
薄れゆく視界に現れた、今しがた自分で否定したあるはずのないモノ。
いやきっとこれは幻覚かもうそうに違いない。ああ僕、もうだめだな……
目を擦る気力も、頬を抓る元気もなく、瞬きをするエネルギーもない。ただ注意を凝らして覗くのみ。
その場限りのまやかしならいっそ早く消えて欲しいのに、それは徐々に、しかし確実に鮮明になってゆく。
視界全体が……薄れかけていた意識も、感覚も、はっきりと鮮明になってゆく……
それは日本古来より高貴な色として、高い地位の象徴であった紫色で、
それは一人……いや二人を激しく冷たい水飛沫から守るのに十分大きく、
それは握る手に安心感を持たせる十分太い骨組みを持つ。
その時代遅れの顔は、冷たい雨に打たれ続け心身共に衰弱しきった僕を和やかな気持ちにさせてくれる。
そしてその傘を持つ少女は、青碧色の御髪に風邪に煽られて危うい太ももを曝すスカート、
真冬にしては少々薄い気がする水色で統一された衣服に紅と蒼のオッドアイ、それから下駄。
そこには紛れもなく、願い恋焦がれた僕の想い人、多々良小傘その人がいたのだ……
「みつけた……」
「こ……がさ？」
全てがはっきりしていた。視界も、意識も、感覚も……そして事実も。
それでもまだ僕は、何処かこのあまりにも予定調和すぎる現実に不安を覚えていて、
確かめるように、確認するようにそっとその愛しき存在へと手を伸ばす。
前へと足を踏み出す。おそるおそる、自分が地に足をつけていることを確かめるように、
今まで水飛沫の直撃から僕の身を守っていた、そして僕の存在を縛り続けていた商店の屋根の保護からはずれる。
そのまま霙の滝のなかに身を突っ込むか……そんな僕に小傘は……
「はい、傘」
「あ、うん……ありがとう」
自分の丈と同じくらいある化け傘をそっと僕に差し出すのだった。
慣性に任されえるまま、その聖なる庇護の領域へと足を踏み入れ、僕は霙を被ることなきを得る。
差しだされたか化け傘の中で、何を言えばいいのか、どんな態度を振る舞えばいいのかもわからず、
咄嗟に喉の奥から出てきた感謝の言葉を呆然と口にすることしかできなかった……
そんな、なんだか情けない僕に対して、小傘は期待の籠った瞳を僕に向ける。
「ねぇ？ 私が来たのに驚いた？」
「……うん、びっくりした」
「ふふっ、そうでしょうね。私もお腹いっぱいだわ」
そう言って満足そうにお腹を撫で擦る小傘。
彼女の満腹中枢がどういう仕組みになっているのか僕にはよく分からないが、
小傘を一瞬で満腹にさせる、それ程までに驚いているというのは自分自身良く自覚していた。
なんたって、最も傍に居て欲しい人が、最も傍に居て欲しい時に来てくれたのだ。それも半ば絶望しかけたタイミングで。
これまでも何度か、彼女には驚かされてきたが、今回のはとびっきりだった。
そのうえ驚かされた後の、後味が実に心地よい。
「まったく……私を一緒に連れて行かないから」
小傘の方も、口では不満を言って見せつつも、人の心を喰らう妖怪の本懐を、
本来の方法とは少し違った形であれ達成できたことでなんだか嬉しそうだ……
それとも……僕に傘を渡す事が出来て良かった……そう考えるのは惚気過ぎだろうか？
「此処の所雨降って無かったし、人里にはあまり小傘を連れてきたくなかったからね」
「その結果がこれね……」
「うん、深く反省した……その……」
「……？」
とりあえず、言わなきゃいけないことを言ってみる。既に言ったけれど、面と向かってもう一度……
「ありがとう……助かったよ」
ああ、顔が熱い……体が熱い……。普段はおどけた態度の小傘に、僕もつられておどけているものだから、
こうして面と向かって感謝の気持ちを伝えるのは凄く恥ずかしい。
「どういたしましてっ♪ さ、帰りましょ」
照れ隠しなのか、彼女本来の恥の薄さゆえか、小傘は軽く舌を出して僕に応えて、そして帰り路へと向きを変える。
小傘に促されるままに、歩きだした小傘の持つ、化け傘の傘下からはみ出さぬよう豪雨の中を歩き進める。
「本当に、この雨の中遠い所よく来てくれたよ……」
「当然じゃない……私は○○に拾って貰った傘だもの♪」
「小傘……」
僕に拾って貰えた、どうやら小傘はこの言い回しが好きらしかった。
僕としては、小傘に驚かされて、何度も何度も驚かされて、次第に懐かれて、僕の中にも恋心が芽生えて、
気が付いたら小傘の事が大好きで、だから僕を求める小傘のことを受け入れて、そして一緒に暮らす様になった、
思い出としては、一言二言では語り尽くせないほど色々なことがあったけれど、流れは単純。
でも捨てられ傘から生まれた小傘としては、ずっと一緒に居てくれる存在が出来たことが嬉しかったみたいで、
そんな訳か僕との出会いというか狎れ初めを“拾って貰った”と形容するのが好きみたい。
それは、僕としても嬉しいことなのだけど、でも本当は……
「拾って貰ったのは、僕の方だよ」
「へ？」
暫く間をおいた雨の中の帰り道、突然僕の口からでた言葉に小傘はきょとんとする……
いつもはお互いにおちゃらけていて、なかなかに言う機会が見つからない、でも大切な言葉を、
僕は今、折角胸が熱くなってきたから、霙に打たれて冷めきってしまう前に、熱い想いに乗せて続ける。
「小傘と出会えたから、幻想郷に来て不安ばかりだったけれど無事に生きてこれた……
小傘と出会えたから、こんなにも楽しい毎日が送れる……
小傘と出会えたから今の僕がいて、それに今とても満足しているんだ……」
「○○……」
「僕は……小傘に拾って貰ったんだ……」
言い終わると、顔をほんのりと赤く染めて、軽く下を俯いて閉口する小傘。
普段めったに恥ずかしがることの無い彼女なだけに、この反応はちょっぴり嬉しい。
でも、代償もでかい。冬の冷たい外気に吹かれ、クールダウンしてきた思考が、
今、自分はとんでもなく恥ずかしいことを平然と口走っていたという事実を、僕の前に突きつける。
もし小傘が照れる顔を見る為だけにこれだけのことをしたというのなら、これは実に大きすぎる代償だ。
でも紛れもない、僕の正直な気持ちだから、多少の犠牲を払ってでも言わなきゃいけないことだから、
悔いなんてない……羞恥心にも勝る達成感があった。
「その……○○……」
やがて暫く歩いた後に、小傘が口を開く。やっぱり少し恥ずかしそうに、でもなんだか、とてつもなく嬉しそうに。
「これからも……○○を、○○を守るから……雨の下から守るから……小傘は○○のものだからっ！」
「ああ……僕も、もっと小傘と一緒に居たい、雨の日も晴れの日も、いつも何処でも、僕は小傘のものでありつづけたい……」
最後には、不思議と恥ずかしさがなかった。代わりに不思議な充足感が、僕の心の中を満たしていた。
それから、小傘への、好きだ、愛してるの気持ちが胸の中を渦巻いていた……
ああ、小傘の顔が眩しい……いつものような明るい笑顔とは違うけれど、でもきっと幸福そうな笑顔が、凄く眩しい……
なんだろう、いつも平然と見ていた顔が、なんだか今は直視できない……それでいて、もっと見ていたい……
小傘の顔……見ていたい。ああ、これはあれか……
「惚れ直した……」
「ん？」
「小傘に傘を持ってきてもらって、改めて小傘のこと、好きになった」
「えへへ……」
負けた。僕は小傘に負けた。
小傘の、一世一代きっての驚かせ大勝負は、確実に僕の心をとらえて喰らうに至った。
身動きが取れないなか、ただ体力が削られゆくのを待つしかない、絶望の中に立たされた僕に、
僕が最も傍に居て欲しいと願った存在は、遠く遠く人里の外れの森の奥からやってきた。
それはただ僕の、傘を持って行く必要がないという油断が、そして小傘がいなくても自分は平気という慢心が生んだ結果、
窮地に立たされた僕を救うという、ただそれだけの為に、傘を渡す為に、傍に居る為だけに来てくれた。
そんな小傘の、妖怪としての、あるいは恋する女としての大勝負は、結果僕の負け、小傘の勝ち。
最初から敵う筈がなかった。雨の中、唯僕の為を想って傘を持ってくる、そんな芸当に驚かずにいられる訳が無かった。
勝負に負けた僕はただ小傘に屈服し、敗北感を味わう。僕はもはや小傘がいないとただの弱い人間なんだという証。
もちろん負けたことへの悔しさなんてない。あるのは、ただ小傘への愛。
そしていつか、小傘がとびっきり驚くぐらいの恩返しをしてやりたいという、ささやかな復讐心。
「○○…？」
「ん？ なんだ？」
「好きなら……さ、腕組んでもらってもいいかな？」
といって、傘を持っている反対の方の腕が差し出される。
それはつまり、今二人が横に並んでいるのだから、傘を持つ手が外側で、
でも霙から二人を守るために傘は僕達の中心にいなければならないわけで、
つまりは、小傘の外側の腕も内側へと指向性を向け、結果的に僕たちは物凄く密着することになる。
「お安いご用で」
「んふ……」
自らの腕を。差しだされた小傘の細い腕に絡める。
細い、とはいってもこの馬鹿でかい化け傘を軽く使いこなす妖怪じみた力強い腕なのだが。見た目は壊れそうなくらい細い。
前述の通り、僕の小傘は隙間ないほどに密着する。温かい、小傘の小さな体から温もりが伝わってくる。
手と手を絡める……指と指が、手のひらと手のひらがぴったり密着する。小傘の手は温かいなぁ……
「○○の手、冷たいね」
「ずっと外に居たからね……小傘は寒くないのか？ 結構薄着な気がするけれど」
夏のころよりも、上半身は幾分か厚着になったとはいえ、正直人間の平均的なこの時期の出で立ちからすると大分薄い。。
でもそれ以上に下半身が色々と薄い気がする。
決して短いスカートではないのだが、薄っぺらい材質と余裕のある構造の所為か、
風雨に煽られて時折見える健康的な太ももが如何にも悩ましい。太もも……いいよね。
じゃなくて、見ているこっちが不安になる程度には薄着である。
「私は妖怪だからね……これくらい平気なの」
「そうか……まあ小傘がそう言うなら大丈夫なんだろう」
「○○こそ……体、冷え切ってるんじゃない？」
「ああ、さっきまで寒かったけれど、小傘が来てくれたからそんなの無くなった」
「それって……ただのやせ我慢じゃない？」
呆れた様な、馬鹿を見る様な小傘の視線が突き刺さる。うん、そう思われても仕方がない。
でも温かいものは温かいのだ。
「小傘の体が、温かいからさ……僕は大丈夫なんだ」
「ふぅ〜ん、じゃあもっとくっついてあげる」
「あっ……ん、ありがとう小傘」
組んだ腕を、小傘にぎゅっと引き寄せられる。
それは紛れもない、妖怪様の力強さ。おもわずバランスを崩しそうになるくらい強く、引き寄せられる。
小傘の温かさをより至近距離で感じる。冷え切った僕の体に小傘の熱が注がれる。
でもそれ以上に小傘の心遣いが、気遣いが温かいなぁ……
もう二度と離さないように……手放してしまわぬように僕も腕を組み返す。
それだけでは足りなくて、小傘にありがとうの気持ちを伝えたいというエネルギーの行き場が欲しくて、
だから僕は……
「傘、僕も持つよ」
「えっ、あ……う、うん……一緒に」
購入した食料の入った袋を腕に通して、僕の体を冷たい飛沫から守ってくれている唐傘をそっと握り締めて持ち上げる。
ずっしりと重い、これを平然と使いこなすあたり、やっぱり小傘は妖怪なんだなぁって思う。
ぎゅっと掴む、これもまた、小傘の一つの感触。
迎えに来てくれたことへの感謝を、霙雨を防いでくれることへの感謝を、
いつも僕と一緒に居てくれることへの感謝を、驚かしてくれることへの感謝を込めて握り締める。
それをっ見た小傘は、嬉しそうな、半ば蕩けた様な眼差しで目の顔と手を交互に見つめ……
「これってさぁ、相合傘だよね」
僕の手の上に、その小さな手をそっと重ねてきた。
「ふふふ……」
突然の小傘の行動と、含み笑いにどきっとする。また小傘に驚かされた。
ただ手が触れるだけの何事もないことなのに、現にもう片方の手は深く絡み合っているというのに。
平然と何事もないように微笑む彼女は、これくらいなんともないのか、それとも僕が狼狽する様子を心の中で楽しんでいるのか。
それはわからないが、ただただ手の甲を包まれ注がれる熱が、ひたすらに温かい。
人里を抜けて森に入り、辺りに人の気配はない。少しほっとする。
あまり二人で逢瀬などしたことが無いものだから、まして人里に二人で来るなんてなかったから、
小傘に相合傘って言われて、正直周囲の目が堪らなく心配だった。
霙雨が地を打つ以外には至って静かな静寂の森。特にお互いに言葉を交わす事もない……
沈黙……でも気まずいわけじゃない、だって小傘の表情はとても嬉しそうで、それを見つめる僕も嬉しい気分になれるから。
早くお家に帰って暖まりたいと思う一方で、もう少しこの逢瀬ごっこを楽しむのもありかな、なんて思ったりもする。
そんな一時はあっという間に過ぎ去り……
「ふぅ……着いた」
「お疲れ、○○」
「小傘こそ、お疲れさん……それから、改めて今日はありがとうな」
「ふふっ、もうそれはいいって」
呆れた様な、でも照れているようにも見える、そして何より嬉しそうな表情の小傘。
自宅に上がった僕は、化け傘を手に取り布巾で水飛沫を拭き取ってやる。
小傘の能力の所為か撥水使用になっているらしく、サッとふき取るだけで簡単に水を拭い去ることが出来る。
拭き残しの無いように丁寧に丹念に全体を拭いてあげて、小傘に渡すと後光が差しているかのように眩しい笑顔を見せてくれた。
今日は色々あって疲れた、肉体的にも精神的にも。まだ日は明るく晩御飯の支度までは時間がある。
一先ずこの体を休めよう、そう思い僕はベッドに腰掛ける……
ふわりと柔らかい感触が僕の体重を支える。思わずこのまま眠りたくなる衝動に駆られるが、小傘を蔑ろにはできない。
「さて、晩御飯までは時間があるし、どうしようか？ 小傘……」
小傘に声をかけながら、ベッド上の僕の横の空いているスペースを手のひらで整えてみせ、軽くたたいて小傘に座るように促す。
僕の提案に、小傘は甘えるようにベッドの上へと腰を降ろし、そして僕の体に体重をかけて、肩に頭をちょこんと乗せてきた。
「ねえ……○○？」
おずおずと、小傘が僕に尋ねてくる。顔には不安そうな、いまにもくしゃくしゃになって壊れそうな表情を浮かべて……
いつも明るい小傘だけれども、一日に必ず一回は、こうして不安げな、今にも壊れてしまいそうな表情をする。
いつもいつも毎日、僕はその度に説得して、それは成功するのだけれど、でも次の日にまた同じことの繰り返し。そして慣れることは無い。
ああ、やめてくれ……そんな不安そうな表情をされたら……僕まで不安になってくる……見たく、ないんよ。
「なんだ？」
「私……○○の役に立ったかな？」
見たくない、小傘の不安そうな表情……猪突猛進を地でゆく小傘が唯一不安を覚える話題は、いつも同じだ。
見たくないから、小傘の不安そうな表情は見たくなくて、まして不安の要因が僕の想いにあるなんて耐えられなくて、
だから僕は、正直な気持ちを思いの丈を込めて語りかける。
「当然だろう？ 大役立ちさ……小傘がいてくれなかったら本当に困ってた」
「その……」
僕の答えにもまだ不安を拭いされない様で、小傘は言葉を詰まらせながら、不安を……小傘を覆い続けている不安を打ち明けてくる。
「私のこと、ずっと傍に置いてくれる？ 私のこと……捨てない？」
この問いかけも、もう幾度となく繰り返した。その度に僕は胸が締め付けられそうになる。
どうしても不安を拭いきれない小傘を、責める気にはなれない。なれないけれど……
「ああ、絶対に捨てないよ」
でもいつか、この問いかけが、不安が小傘からきれいさっぱり無くなる日を夢見てる。
「だから小傘、自分が、僕のモノのような言い方は、まして使い捨て品のような言い方は……よしてくれ」
「……ごめん……でもどうしても、不安で」
「ああ分かってる……だから毎日教えてあげる」
僕の愛が小傘に伝わらない、なんて思わない。伝わっているんだ。きっと後は、時間が解決してくれるってそう信じてる。
「小傘は、可愛らしくて、綺麗で、僕が不釣り合いな程に美人で、心も綺麗だ。本来なら僕の方が捨てられてしまうんじゃないかって心配になるほどにな」
「あぅ……そんなこと」
「いいやっ、そんなことある。僕も小傘と同じ、小傘に捨てられるんじゃないかって不安を抱えて、捨てられないように努力して、そして小傘のことを信じようとしてる、毎日ね」
少し、小傘の頬が紅く染まる。それ以上に僕は顔が熱いのだけれど、ああ恥ずかしさで熱いのだけれど、でもどうしても伝えたいから。少しの辛抱。
「それに、ずっと分かっていたつもりだけど今日改めて分かった。僕、小傘がいないとダメなんだ……生きていけない」
「あう……○○……」
「なぁ小傘、僕のこと、ずっと傍に置いてくれる？ 僕のこと……捨てない？」
なんだか皮肉っぽくなってしまったが、というか実際皮肉だけど、でもこれは僕の切実なお願い。
「そんな、○○を捨てモノになんてしないからっ……そんな言い方やめてっ……？ ……あうぅ」
きっぱりと言いきって、そして僕の皮肉に気が付いたのか、恥ずかしそうに縮こまる小傘。
「な、お互いさまだ……」
「あは……あははは……」
「その、上手く証明は出来ないけれど、僕は小傘のこと愛していて、絶対離したく……ないからさ」
「……うん」
「今すぐ信じきれなくても、ゆっくりとでいいから……いつまでも、僕……待ってるからさ」
「うん……ありがとう」
すっかり不安の抜けきった表情で、僕に向かって静かに微笑み、そして体を寄せる小傘。
少しでも安心のひと時を、長く幸せに過ごして欲しくて、僕は彼女の頭を抱き寄せそっと撫で擦り……
「どういたしまして……こちらこそ、ありがとうな」
と声をかける。僕の単純な脳ミソが導き出せる、やっとの最善策。だがこんな足掻きのような策でも、僕は幸せになれる。
「それで、これからの時間どうしようか？」
「んふぅ……○○に甘える♪」
「ああ、こうやって過ごすのがいいな……僕も小傘に甘えたい」
小傘の肩をそっと抱き寄せて、頭を寄せ合う。
心底惚れて、恋焦がれた最愛の人にこうもべったりされると、もう頭がどうにかなってしまいそうだ。
……いやいっそ……どうにか、なってしまいたい。
小傘の香りが、甘ったるいいい匂いが僕を包み込む。くらくらする。それでいて、身も心も安らぐ。
「小傘……」
「ん……」
「何かして欲しいことは無いか？」
「んー？ どうしたの急に？」
「その……、どうしても小傘のことを労ってあげたくてさ……」
霙の中から救ってもらえて、その上癒しまでもらって。
それはとても嬉しいことだけれど、だからこそ何かしてあげたいって思う。
申し訳ないとか、男の沽券だとか、そんな事よりも、純粋に小傘の為に尽くしてあげたい。小傘の為に役立ちたい。
小傘が、自分は僕の物だと言ってくれた同様に、僕も小傘の物でありたいから。
「ご褒美に欲しいものとかないか？」
「欲しいもの？ 欲しいもの……」
僕の提案に対し小傘は腕を組み、目を閉ざして眉間に皺を寄せ、考え込んでしまう。
態とらしい仕草が滑稽で、でも可愛らしいと素直にそう思ってしまう。
「あー、あんまり難しく考えなさんな」
「……欲しいものって何でもいいの？」
少し悪戯っぽく尋ねてくる。なにか思いついたのだろうか。思いついたのは欲しいものか、あるいは僕への悪戯心か。
「あー、流石に手に入らないものとか買えないものはＮＧな。無理なものは無理という訳だ」
男の二言とは我ながら卑怯な気もするが、一応保険をかけておかないと。蓬莱の玉の枝とか要望されても何もしてやれん。
ともかく、これで良からぬ考えは遮蔽できた。見ろ、小傘の残念そうな顔……
……あらあら小傘さん、とても嬉しそうな顔してどうなさったの？
「そう……それなら問題ないわね……欲しいものは、此処にあるもの……」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、片手をそっと僕の頬に当てて、そして僕の顔に急接近する小傘。
左右異色の瞳が、各々狙いを定めるように、獲物に標準を合わせるように僕の瞳を覗き込む。
「○○が……欲しいな……」
また驚かされた。
はたして僕の目の前にいるのは、人を驚かすのに苦心しているとは到底思えない程の妖艶さを湛えた、
紛れもなく人を驚愕させてその心を喰らう妖怪としての、本性をむき出しにした小傘だった。
「ははは……それって結局いつもと一緒の……」
「うん、いつもと一緒。だめかな？」
言葉は疑問形でも、表情は疑問の体裁をしていない。暗に、断ったら無理矢理にでもと言っているのか。
まあ断る理由なんてないし、いつものことならお安い御用なのだが。
「もちろん……僕にとっても一番準備がしやすくて、あげたいもの……御褒美にあげるよ」
「んふ……頂戴♪」
小傘の紅潮した表情が、徐々に荒くなりゆく呼吸が、彼女の興奮を、期待を物語る。
物欲しそうに僕の目を見つめて……否、僕の目より幾分か下にある器官を切なげに見つめて、薄紅の双弁を突き出してくる。
今僕の視界に映り込む小傘のカラダの中でも、最も柔らかくて、弾力があって、美味しそうな所……
外部に露出した粘膜は、触れあってみたらきっと気持ち良くて、幸せな気分になれることを保証してくれるのだ。
近付ける、視界の中で鮮やかなピンクの存在が大きく広がってゆく。これからすることへの期待に口元がむずむずしだす。
期待の籠った小傘の瞳は、やがて静かに瞼の中へと消え、かわりに唇が前へ前へと突き出される。
小傘に誘われる様に僕も目をゆっくりと閉じる。情報の７０％を失い、唇の先の感覚が鋭利になる。
あげたい、小傘に。欲しい、小傘のが。
目的の果実は見えなくても。一際強い熱を放っているから、僕はそれを辿るだけでいい。
「ちゅ……」
「……っ…、んふぅ」
僕の唇と小傘の唇が、優しく正確に重なる。
二人の唇は乾いている筈なのに、触れあった瞬間、頭の奥底にまで接吻独特の水音が響く様だ……
触れただけなのに、軽くくっついただけなのに唇の味を感じて、口内では唾液の分泌が始まる。
飢えた唇が、疼いた唇が一気に満たされて歓喜の声を上げる……
「ん…、っ…、んむぅ……」
そっと彼女の頭の後ろに手を回す。無理な力がかからないように、綺麗に整えられた青碧の御髪を乱さないように優しく。
もう片方の手は背中に、両の手でギュッと抱きしめ、可能な限り広い接触面積を確保。小傘を堪能する。
唇を動かすことなく、腕も体も動かすことなく、小傘の熱を、匂いを、内なる鼓動を感受する。
数十秒の間、ただ唇が重なるだけの静寂で至福な時間を満喫し……
「んぷ…、ぷぁ……はぁ…ん」
ゆっくりと唇を離す……
「はぁ…、んぅ…、キス……気持ちいい……」
既に出来上がった、興奮で紅潮した顔で小傘が淫蕩に呟く。
出来あがった、とは僕も人のことは言えない。僕も確実に、唇が齎した魔力に中てられてしまった。
ただ一回、それも軽く触れあっただけなのに、唇を離してもなお体表面をピリピリと痺れが走るようだ。
触れただけでこんなにも狂わされてしまったのなら、もっと深く濃厚に交わったらどうなってしまうのか、実に先が思いやられる。
一度満たされることを知った唇が、そしてその先にあるもっと深く甘い充足を垣間見た口唇が、悶々としだす。
「もっと…、してくれるんでしょ？」
一度スイッチが入ると、もう小傘はいつもの、無邪気で、無鉄砲で、色事を一切感じさせぬ振る舞いの小傘ではなくなる。
目の前に居るのは、誰よりも僕のことを知り尽くしていて、僕を驚かせ虚を突き、心を貪ることを至上の幸福とする妖怪様……
僕の唇の疼きを、口腔の乾きを見抜いて、誘う様に……色っぽく、でも優しく囁く。
それは一方で、小傘も僕と同じだという証拠。小傘も、キスが気持ち良くて、唇がもどかしくて、深く交わりたいという裏返し。
そこに……二人とも幸せになれる唯一の方法がある。
小傘に幸せをあげる為に、僕自身幸せになる為に、再び小傘に唇を捧げる。
「ちゅ…、ん…、ふぅ…、ん……」
そっと、ぴったりと触れあう。
今度は目を見開いたまま、小傘の大きな碧色と緋色の眼差しを見つめたまま、唇を重ねて僕たちは一つになる。
触れあってすぐに、オッドアイは甘美なキスの魅力にふにゃりと蕩ける。でもきっと、僕の瞳も同じこと。
小傘の唇は温かくて、アツアツで、触れているだけで唇が、やがては顔全体が蕩けてしまいそうだ。
「ふっ…、ん…、ちゅ…、んむぅ……」
今度はすぐに唇を離して、また口づけして、そしてまた離して……何度も何度も口づけを交わす。
唇同士が密着して離れるその瞬間に、唇で気持ちいい電流の様なものが弾ける。
その快感欲しさに、繰り返し小傘に口づけをする。もっと欲しい……小傘にももっとあげたい。
「ちゅう…、ちゅ…、ん…、ちゅむ……」
小傘の方からも、積極的に僕の唇を啄みに来てくれる。
お互いに口唇を繰り出すうちに、いつしかどっちがどっちに口づけをしているのか分からなくなる。
でも、どっちでも同じ。二人の唇と唇の距離が無くなって、離れて、また無くなってを繰り返すことに変わりはない。
もっと小傘の唇を……小傘を味わいたい。小傘に、味わってほしい、食べて欲しい。
「ちゅ…、ん…、んんっ…、んぅ……」
小傘の肩に手をかけてそっと力を加えてゆく。
このままベッドに押し倒してしまいたい、小傘を全力で堪能したい、そんな一心で腕に力をかけてゆく。
ところが……
「ちゅ…、んっ…！ ぁ……」
「んぷ……ふふふ……」
力をいくら加えども小傘の体はベッドへと沈むことは無い。それどころか代わりに、僕の視界が徐々に傾いて行く。
小傘を見据えていた視線は徐々に空を仰ぎ始め、天井へと至ると同時に、背中を柔らかい感触が包む。
何が起こったのか、キスの甘美な快楽に恍惚としていた僕はその問いに答えることが出来ない。
状況が把握できたのは、僕の両肩に加えられた力を認識し、その発生源を辿った所に小傘の顔を認めた時だった。
「ご褒美……貰うんじゃないのか？」
「無理矢理奪う方が楽しいし、あなたも驚いてくれるもの♪」
僕をベッドへと押し倒した張本人は、右の蒼の瞳に嗜虐を、左の紅の眼差しに情愛を輝かせる。
肩にかけた手をゆっくりと滑らせて、僕の手首を固定し、そのまま僕の体の上へと圧し掛かる。
小傘の体は見た目以上に軽くて、そのうえ柔らかく圧し掛かられるとそれだけで気持ちいいと全身が歓喜に震えるほど。
でも、気持ちいいとは関係なしに、僕の体は完全に四肢を封じられて身動きが取れなくなった。
ゆっくりと小傘の体が近付いてくる。胸がドキドキする、先程のキスの所為か唇に注意が向く。唇が視界の中で拡がる。
あわや喰らいつくのか、という所でぴたりと動きを止める小傘。
「お腹いっぱいになるまで、驚いてもらうね」
淫蕩な声で囁きかけると、唇の割れ目から舌先を伸ばして自らの唇をペロリと舐めまわす小傘。
乾いた唇が、見る見るうちに潤いを取り戻してゆく。つやつやと輝くそれは、ルビーのよう……
美味しそうな小傘のそれは……しかし今、食べられてしまうのは紛れもなく僕の方なのだ。
再び小傘の唇が迫る。食べたい、と思って接近するのと食べられる、と思いながら見守るのだと心持も違うものだ……
……否、やっぱり同じだ。どちらにせよ二人とも気持ち良くなって、蕩けあって、幸せになることになんの変わりもない。
「ん…、ちゅ」
かくして唇は再度ぴったりと密着する。少し離れていた所為で寂しさを覚えつつあった僕の唇が、悦びで満たされてゆく。
満たされる、満足する。僕一人ではなにもかもが足りないから。小傘とこうして繋がって、埋めてもらう事で満ち足りる。
「ちゅ…、ちゅう……ちゅむ…、ちゅ……」
さっきのとは違う、潤いに満ちた……小傘のエキスを潤沢に塗された唇に、何度も何度も口づけをされる。
しっとりと湿った唇は、よりぴったりと僕の唇に調和して、馴染んでゆく。溶けあう。蕩けあう。交りあう。
触れあうだけの、ファーストキスしたての恋人同士がやる様な切なげなキスなのに、どうしてこうも飽きないのだ……
初めて小傘の唇を奪ったその日から、小傘に初めてを捧げたその日から今に至るまで、一度もこの口づけを惜しんだことはない。
初めてした時の甘酸っぱい感触が、唇が触れるたびに思い出される……、
否、回数を重ねるごとに、切ない、初々しいキスは甘酸っぱいフレーバを帯びてゆく……
「ちゅぷ……ふふふ、キス……気持ちいい……気持ちいい？」
「気持ちいいよ……小傘……」
「ふふん…、ん…、ふぅ…、ちゅ……」
僕の気持ちいいという言葉に、小傘は少し恥ずかしそうに、でも嬉しさを隠し切れないのといった風に微笑むと、
もっと“気持ちいい”を求めるように、もっと“気持ちいい”を僕に与える為に再び唇を落とす。
「ちゅ…、ちゅう…、ちゅ…、ん……ちゅく……」
小傘の前に無防備な僕の唇が、何度も何度も啄まれる。
僕の唇に、僕との接吻に興奮して夢中になっている小傘の様子に中てられて、僕も小傘に夢中にさせられてゆく……
小傘の唇が欲しい、もっと欲しい。小傘が欲しい。大好きだ……僕の体の上で唇を貪る少女が愛しい……
「ちゅぷ…、ん…、あむっ…、ちゅる」
小傘は少し唇の隙間を開けると、僕の下唇を挟み込んで、ちゅるちゅると吸付く様にして口内へと含んでいった。
普段食べ物を吸い、口に含み、咀嚼を助ける為の器官が、今は小傘に吸われ、食まれて、咀嚼されようとしている。
小傘に下唇を食べられている……小傘の物にされようとしている……気持ちいい。全身の力が吸われてしまいそう。
もっと吸われたい、食べられたい……その一心で、小傘がしやすいようにそっと唇を差し出してやる……
「ちゅむ…、はむっ…、ちゅ…、ちゅぅ……」
深く、小傘の唇が僕の歯に当たるくらい深く喰らいついて、貪られる。
唇をにゅるにゅるとスライドさせて、ちゅっちゅと強く吸付いて、んむんむと唇で咀嚼を繰り返す。
ねっとりと唾液を塗した舌が小傘の口内で僕の下唇をたっぷりと舐り、潤いを齎してゆく。
熱い……小傘の熱い舌は、チューイングキャンディを舐めるように、僕の唇を転がして、溶かしてゆく。
「ちゅぷ…、ん…、ぷぁ……」
名残惜しそうに僕の下唇を解放する小傘。たっぷりと小傘のエキスを塗布された唇から、粘性の液体が垂れる。
彼女の色っぽい姿に、卑猥な接吻にめくるめく興奮を抑えきれず、呼吸が荒くなる。
小傘は無言で、顔を傾けて上目遣いに、アイコンタクトを測る。
無言のままで、碧と緋の視線が語りかける、『キス、気持ちいい？』『キスで、興奮しちゃった？』『私とのキス、好き？』
そんな反則的な可愛らしい仕草の前に、僕はただ黙って頷き、溜まりに溜まった唾液を喉を鳴らして飲み込むことしかできない……
「ん…、ちゅる…、ちゅぅぅ……」
下が終わったら当然……と言わんばかりに、今度は僕の上唇に吸付く小傘。
ぷっくりと膨れた、弾力のある唇は淫らな水音を奏でて僕の唇を口内へと受け入れてゆく……
上唇を強く唇で挟まれて、軽く歯を立てられる。その度に、僕の唇を発散元に全身へとめくるめく快感が走る。
本物の咀嚼の様に痛くは無いけれど、本当に咀嚼されているみたいに、唇が解れ、蕩け、小傘の糧になる。
口吸いによる強力で甘美な快楽は、いつまでも慣れることなく僕の中に驚きを生み出し、小傘の欲を満たしていくのだろう……
「ちゅむ…、ちゅる…、ちゅ…、ん…んぷ……」
散々上唇を舐り、嫐り、我がものとした後、後惹かれる様に唇を離す小傘。僕は途端に唇に寂しさを覚える。
少し僕の顔から距離を置いて、小傘の表情の全容が明らかになる……
僕を散々驚かせて、待望の人の心に豪快に齧り付くことが出来て御満悦な表情は、
しかしまだまだ先にはより深いがあることを知って、期待の眼差しを、蠱惑の視線を僕に向ける。
「こ…が……さ……」
「んぅっ……はぁ…ん……♪」
僕の呼びかけに、小傘は甘い声を漏らしながら体を震わせて、表情を破顔させる。
僕の両手首に枷をしていた両手が、そっと首元へと差し込まれる。
絹の様に滑らかな感触の白い手が、少しばかり敏感になった首筋周りを円を書く様に刺激する。
気持ちの良い感触に思わず声が出そうになるのを必死に堪えていると、徐々に上へ上へと小傘の手が上り詰めてくる。
ふんわりと、僕の顔が小傘の手によって包まれる。親指と人差し指が頬を軽く挟み、引き延ばす様に動く。
僕の顔を両の手で固定して、小傘の唇がそっと開く……
「私の舌で……○○のお口の中をさでずむしてあげる♪」
淫蕩な囁き声が僕の耳に入る。それだけで、これからすること、されることの期待に全身を穏やかな快感が走る。
顔を固定されて、逃れることが出来ない僕の唇に、ゆっくりと、確実に小傘の捕食器官が迫る……
微かに開いた唇の隙間からは、貪欲に蠢く小傘の口腔が垣間見える。もうすぐ……味わえる……堪能できる。
「ん…、ちゅ…、ちゅう…、ちゅく……」
僕と小傘、二人の口唇が重なり合う。ぴったりと、まるで元々双対のものであったかのように、隙間なくぴったりと咬み合う。
先程までの、口先同士が触れ合うだけでもなければ、切なげに片唇をしゃぶるだけでもない……
顔の角度を少し傾けて、ぴったりと深く混じり合う、二人が一緒になれる、そんなキス。
唇に与えられる快感と、大好きな小傘と愛し合える幸せに、
そして小傘にももっと気持ち良くなってもらいたい、幸せを感じてもらいたい、その一心に、
僕は自由になった腕を小傘の背中と頭に回して、ぎゅっと強く抱きしめる。
「ちゅ…、はむっ…、んっ……ふふっ、抱きしめてくれるんだ♪」
「もう置いて行ったりしない……離さない、離れたくないって約束だ……」
「あ…はぁ、ん……嬉しい……離さないで……もっと強く…、んっ…、ちゅ……」
開閉を繰り返しながら、吸引するように僕の唇を食む小傘。
口元を包む心地よい感触に、僕も恩返しの気持ちを込めて同じように唇を動かす。
触れ合うだけの接吻から始まった口戯は徐々に激しさ、深さを増し、お互いの受け入れ合いを、愛し合いを浮き彫りにしてゆく。
「ん…、ちゅる……」
何か柔らかいモノが歯茎を伝って僕の口腔内へと差し込まれる。
散々焦らされた口腔が、そしてその柔らかいモノの正体を、その味を覚えてしまった僕の口内が歓喜に震える。
焦れていたのは小傘もだろう……まさに嬉々とした様子で、柔らかな舌は上顎を伝って奥へ奥へと侵入する。
「ちゅ…、れろ…、ぴちゅ…、ちゅく……」
唐傘お化けのチャームポイントともいえる小傘の舌は、しかし普通の女の子のそれと同じで、小さくて、柔らかい。
ただ、僕を驚かす事に特化し続けたその動きは、僅か数秒で僕を魅了し、悶絶至らしめるに十分なのである。
ずん、ずんと喉奥の方へ舌が差し迫る。まるで何処までも伸びてきそうな動き。
奥の方まで舐めたい、舐りたい、蹂躙したい……そう、さでずむしたいと言わんばかりに、意志を持ったように蠢く。
口内を犯される快感に、そして小傘に尽くされる心地よさに僕は堪らず、小傘の舌の裏に自らの舌を重ねてそっと舐め上げる。
びくんっと僕の腕の中で小傘の体が震える。僕からのレスポンスに驚いたのだろうか？
でも至極幸せそうな表情だ。もっとその表情が見たい、その一心で小傘の舌をさらに舐る。。
「れる…、ん…、ちゅる…、ぴちゃ……」
小傘の舌への奉仕に、小傘もさらに応えるように僕の舌に絡み付いてくる。
それは溶けてしまいそうなほど柔らかくて、熱い。本当に蕩け続けているみたいな感触。
でも、蕩け続けて無くなるなんてことは無く、代わりに僕の理性とか、思考とかが溶かされてゆく。ドロドロと溶けだす。
味なんてしない筈なのに、小傘の舌に多分に塗された唾液は僕の味覚を刺激して、仄かな甘みを齎す。
甘い、小傘の舌が甘い。もっと味わいたい……その一心で小傘の舌に自らの舌を絡め、蹂躙を受ける。
「ちゅぷ…、あむ…、くちゅ……」
舌が絡み合う度に頭の後ろにまで響く様な淫らな水音を奏でて、僕に快感を齎す。より、その気にさせる。
小傘も、何かに取りつかれた様に、徐々に激しくて深い、濃厚なディープキスを繰り出してゆく。
僕の舌に巻きつく様にして絡み付き、喉の入り口の方まで這いずり回り、口腔内をぐるぐると掻き回してめちゃくちゃにする。
めちゃくちゃにしてくれたお礼に、僕も必死に小傘の舌を追いかけて、捕まえて、交わり合いを求める。
僕の口内を蠢き、蹂躙し、凌辱する小傘の舌に、
まるで頭の奥底にまで、体の幹にまで舌を突っ込まれて掻き回されているような錯覚を覚える。
「ちゃぷ…、ちゅく…、ちゅぴ……ん…、ぷぁ……はぁ」
頭に酸素が回らなくなった頃、タイミングを見計らったように小傘の舌が引き抜かれる。
口元の間に架かるものを、普通なら銀色の橋と表現したい所だが、押し倒された、上下関係の中で架かるそれは、
橋、にはなりえず、銀色の塔が、ひたすらに僕の口内に降り注ぐのであった。
「はぁっ…、はぁっ…、はぁ……」
薄くなった酸素濃度を回復するべく、必死に荒い呼吸を繰り返す。
ぼやけた視界に小傘の唇が、僕の口を散々嫐った唇が妖しく微笑む様子だけが鮮明に映り込む。
「あはぁ……もうすっかりトロトロだぁ」
「小傘だって……すっかりふやけた顔になってるよ？」
「だってぇ……いっぱい驚いてくれるんだもの……嬉しくなっちゃった」
「そう……か、満足して頂けたようで何より……」
「ん？ ふふふ……」
僕の言葉に、小傘は妖しい含み笑いを返す……
それは紛れもなく、身動きの取れない獲物を見つけた時の、獣の顔。
小傘が食べるのは人の心だけれど、でもそれでも同じこと。今し方のキスで、今の僕はあまりにも無防備にされてしまった。
そんな無防備な僕の耳元に顔を、そして唇を近付けて……
「まだまだ……もっと○○驚く様なこと、させて♪」
淫蕩に、囁やかれる。それだけで、僕の体がぞくぞくと震える。思わずぎゅっと小傘の体を抱きしめる。
「まだ……食べたりないのか？」
「むぅ、わちきの食い意地が張ってると申すか」
冗談っぽく言う僕に、小傘もまた冗談めかして言葉を返す。
「いや、今の小傘はそう思われても仕方ない気がするぞ」
「あら……大好きな人の中で乱れたい、大好きな人の乱れる姿を見たいという気持ちを蔑ろにするのね○○は」
始めは受け気質なのかなと思っていたが、なかなかどうして、小傘は結構な嗜虐家ではありませんか。
いや、両方いけるのかこやつは、幾夜を共にしてつくづくそう思う。
「少し、オシオキ……」
「っ…、ぁ…！」
突然、股間の辺りから湧き上がる異様な感覚に、思わず上ずった声をあげてしまう。
異変の正体がなんなのか、それを調べようと視線を移そうとして……したが、小傘の熱っぽい視線に絡め取られて止まる。
悪戯な、サディスティックな小傘の眼差しを注がれる。情けない声をあげてしまったことに対する恥ずかしさを擽られる。
恐る恐る小傘の顔を、肩を視線で辿っていき、肘、手首の先には、股間部分にてこんもりと釣鐘状を形成する僕の衣服と、
それを寄ってたかって苛めようとしている、小傘のすらっとした細い５本の指の姿が映り込んできた。
「こんなにお服を張らせて……もしかして、苦しいんじゃない？」
「そんなことなっ……っ！」
否定の言葉を述べようとするや、人差し指で軽く布製の丘を、その裏になりを潜める男棒をピンっと弾かれて、
息苦しさにも似た欲望の悲鳴と、腰部一帯を包み込むじんわりとした快感に言葉を封殺されてしまった。
「ふふっ……かわいいのね♪」
「ぁ…、はぁっ……こが……さ」
焦れる様な、でも確実に僕を追い詰めてゆく快楽攻めに、そして羞恥心を煽る小傘の言葉に、
堪らず僕は、抑えきれなくなった甘声を漏らしつつ小傘の名前を呟く。
名前を呼ばれると、それだけで小傘の表情が蕩けてゆく様が良く分かる。もっと呼んであげたい、羞恥を受けながらもそう思う。
「あはぁ…ん……とりあえず苦しそうなモノ、取り出しちゃおうね」
下半身の、身にまとっている物を丁寧に剥いて、肌蹴させてゆく。
一枚一枚丁寧に剥かれる。布の擦れる感触がこれまた僕を焦らしてゆく。
ゆっくりと、肉棒を覆っていた最後の布切れが取り払われる……
……今まで蓄積していた弾性ポテンシャルを解放するように、ピンッと勢いよく屹立する。
「わぁ……もうこんなに大きい……」
既に雁首をもたげている僕の男根に、感嘆……というよりは賞賛と期待の眼差しを注ぐ小傘。
嬉々とした視線を肉棒と僕の顔交互に注ぐが、僕としては凄く恥ずかしい。これも小傘の趣向の一環か？
「どうして……もうこんなにしちゃったのかな……」
「……っ……大好きな人に、圧し掛かられて、濃厚な口吸いを受けたら……そりゃこうなるだろうね」
「あらあら……キスだけでこんなにしちゃうんだ、○○は」
「あ……、あまり辱めるなよぉ……これでも小傘のこと、褒めているんだぜ？ ……っ！」
続く言葉は、またもや秘部から発せられる突然の快感に酔って遮られた。
先程の……布の上から股間を弄られた時とは違う、異質な快感。全身をよじりたい衝動に駆られるも、力が入らない。
見ると、僕の玉袋をに、、窄めた５本の指をあてがって、徐々に包み込むようにして開いてゆく小傘の姿。
ぞわぞわする、皮を、隔てた先に弱い所を備えた薄っぺらい皮を指の腹で摩擦され、ぞわぞわとした快楽が全身に広がる。
「〜〜っ！ んぁっ！ まて、タンマッ！ 〜〜〜〜っ！」
「辱めてごめんね……それと、ありがとう♪ キスで○○を満足させることが出来て……嬉しいよ」
僕の目を覗き込みながら、小傘は淫蕩な笑みを浮かべて、静かに、でも心底嬉しそうに囁く。
囁いている間も睾丸への愛撫を止めることは無い。指の腹を絡めて、円を描く様に擦って、少し抓むように圧迫する。
彼女が、少しでも力を入れようものなら、僕は耐えがたい苦痛の後一瞬で気絶するだろう……
そんな、綱渡りにもにた緊張感が、ああこんな緊張感僕は嫌いだが……悔しいことに興奮を誘っている。
「皮……柔らかくて気持ちいい……」
「もしかして…、っ！ 遊んでる？」
「ん？ ふふ、どうかしらね……」
指で散々弄んだあとは、肉袋を手のひらでそっと、優しく包み込む小傘……
ぎゅぅぅっと六方から軽く握り締められる。気持ちいい……何日も自慰を控えた時のムラムラ感、それを強くした感じだ。
今、小傘にもっとも自分の大切な場所を握られている。それこそ自分の命を無防備に手渡しているといってもいい。
小傘だから、信頼できる小傘だから出来ること。この世で一番信頼できる小傘に、最も大事な所を手渡す。
でももしこのまま握りつぶされてしまったら……そんな想像が倒錯的な興奮を呼び覚ます。。
もちろんそんなことをされる筈もなく、小傘の手は壊れ物を扱う様に、優しく優しく肉玉を転がす。
「上の方も……可愛がってあげる」
小傘はそう囁くと、玉袋から手を離して、人差し指を突き出しビンビンに自己主張をしている怒張の裏筋をなぞり始める。
下から上に、上から下にゆっくりと、指の腹で擦りあげられる。ビンっと張った肉茎の裏筋を……丁寧に、丹念に。
反り立ちに沿う様に、小傘の綺麗な指が……触れられているだけなのに耐えがたい快感が僕の性感を滾らせる。
肉棒だけじゃない、体の幹を一文字になぞられた様な、全身に至る快感……
全身で快楽を享受し身悶えする僕を、小傘の異色の瞳が絶え間なく視姦する……
「指でなぞり上げるだけで……もう苦しそうね」
「小傘……お願いっ……」
「ん、任せて」
熱り立つ肉茎から人差し指を離すと、その白く細長い指は、５片の花弁の様に花開き、
「ううぁっ……」
一斉に、怒張へと絡み付いた……
「ふふっ……○○のおちんちん……凄く……熱ぅい……」
蕩けた視線を、自らの小さな手で握る肉棒に注ぎながらゆっくりと鞘を動かし始める小傘。
熱い、と小傘は言うが、小傘の手のひらも負けず劣らず、小さいながら僕の自身へと熱を送り込んでくる。
ゆっくりと扱かれる……ねちょ、にちょという卑猥な水音が部屋中に響き渡るようだ……
「あぁっ…、小傘っ……気持ちいい…よ……」
「ふふふ……“傘”の扱いは任せて♪」
「傘、てのはちょっと無理があるんじゃ…、っぁ…、ないカナ〜」
「そうねぇ〜、男の子なのに扱く前からこんなに濡らしちゃって、これじゃ中の人水浸しの不良傘ねぇ……」
なんだか屈辱的なことを言われている気がするが、視界が桃色に霞むほどの快楽を前に反論の言葉も出ない。
なにより、彼女の言うとおり鈴口からは定期的に透明な液体が噴き出し、小傘と肉棒の間を潤滑油の様に満たしていく。
包皮を擦り上げる手淫から、次第にカウパー腺液を潤滑剤として肉竿を包み滑らせる様な手淫へと変わっていく。
擦れる度に粘性のある水音を奏でる……恥ずかしさに顔を何かに埋めたくなるも小傘の視線がそれを許してはくれない……
「でも、そんな不良傘でも、私は使ってあげるよ……○○が私にそうしてくれたみたいに……ね♪」
「小傘を……そんなふうに思ったことなんてっ……ぁぁっ！ 一度もないっ！ 小傘はっ…、不良傘なんかじゃっ！ ふぁぁ」
「はぁ……ん♪ 本当に、嬉しいこと言ってくれるのね……もう大サービス、してあげる♪」
抑えたくても抑えきれない……自分の声とは思えない様な甲高い嬌声が口元から溢れ出る。恥ずかしいとか、考える余裕すらも無くなる。
頭の中が小傘から齎される快楽で真っ白に染まる。視界が小傘の手淫する姿で、聴覚が小傘の言葉愛撫でいっぱいになる。
肉体、精神両面にて余裕のない僕を嘲笑うかのように、あるいは無防備だからこそ、快楽を齎すには絶好のチャンスだと言わんばかりに、
小傘は丹念に、執拗に愚息を扱きあげ、嗜虐と情愛を存分に感じさせられる言葉を紡ぐ。
大サービス、と彼女は言った。
日常ではそうそう見られない、サディスティックな視線を僕の瞳に絡ませて、もう片方の手を僕の身につけている服の襟元に伸ばす。
本能が告げる、抵抗しなければ、と。でも力が入らない。思考も回らない。今の僕には小傘が何をしようとしているのか把握するのがやっと。
丁寧に、僕が上半身に身につけているものを剥ぎ取ってゆく……折り重なった衣を、一枚、また一枚と丁寧に肌蹴させられる。
胸部が外気にさらされる。小傘が見つめる視界中に……無防備に晒される。
「ふふ……こっちもおいしそう……♪」
僕の胸元を見つめて、唇の端をにやりと釣りあげる。そんな彼女の最高の笑顔に中てられて、背筋がゾクっとする。
それは、ダメだ……そんなことしちゃいけない。そう静止の声を張り裂けるほどに叫びたいのに、声が出ない。
小傘の顔が、僕の胸元に接近する。徐々に、しかし確実に……にやりと笑った唇が……捕食者の様に……
僕の視界の中で、小傘の唇が大きく映える……先程のキスの時のように、視界の中で拡がってゆく。
先程僕の唇を、僕の口腔を心ゆくまで蹂躙した唇が、今度はもっと敏感な、弱い所を貪ろうとしている。想像しただけで、思考回路がショートする。
どんどんと小傘の顔が近付く最中にあっても、肉茎を包むしっとりとした小傘の手淫の感触は消えることが無い。
顔を近付けながら、獲物を見定めながらも手を休めることをしないあたり、器用なんだなぁと、僅かに残った理性のそのまた隅で思わされる。
唇が、僕の乳首の手前にまで来る。小傘の吐息がそっと吹きつけられる。
「っ！ 〜〜っ！ こがさっ！ それっ……だめだっ！」
「ふふ……いただきます♪」
小傘の唇から柔らかいものがニュルリと剥いでて、愚息に負けず劣らず勃起した乳頭をペロリと、舐め上げた。
「っ……」
言葉も、声も出ない、出せなくなる様な猛烈な快感と、多幸感が僕の全身を包みこむ。
上体で最も敏感な部位に、ぬめりとした小傘の舌の感触……一度舐められて、すぐに離れたにもかかわらずいつまでも何時までも拭われる感触が残る。
「ん…、ふふっ……おちんちん、ビクってした♪」
震えた、なんてものじゃない。胸に意識が集中していなかったら今頃敢え無く果てていて、小傘の手のひらを白濁で汚していただろう。
早すぎる射精を必死に堪える僕……そんな僕の様子を、小傘は嗜虐的な、でも愛おしさでいっぱいといった表情で見つめてくる。
絶頂の限界を、何処まで耐えられるかを確かめるように、ギリギリの僕に一つ、また一つと快感を積み重ねるように舌が舐る。
「ん…、ぺろ…、れろ…ちゅ……ふふ……、下と一緒でこっちも固くなってる♪ いっぱい……コリコリしてあげるね」
「っ！ 〜〜っ！ ぅ……ぁ…！」
小傘の舌先が細動して僕の乳頭に連続的に刺激を加えてゆく。たっぷりと小傘の体液を含んだ舌が、乳輪を、乳首を濡らしてゆく。
全身に、快楽を何処かに逃がす排水溝のない、捌け口の無い快楽受容器の全身に、ただ蓄積してゆくだけの快感が注がれる。
なんとか声だけは出すまいとするも、強すぎる快感に堪えることはできず、小傘の舌の動きに合わせて、甘い声を漏らしてしまう。
我が耳を疑いたくなるような女々しい嬌声、乳首を舐られて発してしまうという事実に、羞恥と情けなさで心の中がいっぱいになる。
でも、嫌な感覚じゃない。小傘の舌で……大好きな小傘の舌でこんな風に転がされて喘がされることに、少なからず興奮を覚えている自分もいる。
「男の子でも…、ぺろ…、乳首……気持ちいいんだよね…、ちゅ……」
「ぁっ…、っ…！ 言っておくけど、小傘以外には……こんな痴態見せないんだからな…、っ！ あと後で覚えてろっ！ んぁっ！」
胸部を拭う舌によってもたらされる、全身を揺さぶるような快楽に身を浸されながらも、苦し紛れに強がりを言ってみる。
やっぱりこうまで為すがままにされるのは恥ずかしいんだなぁと、悦楽に埋もれた思考の片隅でしみじみ……できはしない。
丹念に、丁寧に、僕の表情を常に窺いながら乳首を舌で舐り上げる小傘……舐り上げるたびに男の薄っぺらな胸が微かに震える……
胸を震わされる度に、全身の幹を、そして快感を感じる神経まで震わされるみたいだ……
「ふふふ、反対側も……こっちは舐めるんじゃなくて……ん…、ちゅぅ」
「っ！！」
小傘の口が開いて、ねっとりと唾液を湛えた口内を僕に見せつけると、今まで苛めていた方とは逆の乳首に吸いついた。
その瞬間、吸付かれる感覚を認知するよりも前に、反射的に体が大きく跳ねる……続けて、乳首を蕩ける様な快感が支配してゆく。
いやらしく、態と水音を立てて吸う小傘……嗜虐的な快楽責めでもあり、丁寧なご奉仕でもある口吸いに、
羞恥、苦悶、悦楽……そして情愛の入り混じった感情が、僕の内でぐるぐると渦巻く……
乳首を責めながらも、文字通り手を抜くことなく淫棒を扱く小傘、このあたり実に器用だと思う……
ただ漏れになったカウパー腺液が白く泡立ち、限界まで充血した肉棒と小傘の手との摩擦を限りなくゼロにする。
肉茎から齎される、精を放つ為の生産的な快楽と、胸を覆う、射精に関与しないより高度な法悦に揉まれ挟まれ燻されて、
僕の理性が一つ、また一つと焼き消される……あとには、気持ちいいという真実しか残らない……
「小傘っ！ もう…、ダメっ……」
「ん…、ちゅぷ……イかせてほしい？ 私の目をずっと見ていてくれたら、このまま抜いてあげるね」
小傘に縋る様な気持で、より多くの快楽を、射精感を求める本能のままに最後の力を振り絞って、小傘の瞳を見つめる。
愛しき、美しき僕の愛した赤と青のオッドアイは、僕を喘ぎ悶えさせたいという欲望を帯びながらも、悦ばせたいという情愛の籠った眼差し……
僕の瞳孔の奥の奥まで覗きこまれる……言葉を発さずとも『イかせてあげるね♪』と直接脳内に語りかけるように……
乳首に吸いついた唇の中で、小傘の舌が僕の突起を擦り転がし、愚息を扱く手の動きはスパートをかけるように激しさを増す……
上り詰めてゆく……腰を高く突き上げる……小傘の手に導かれる様にして法悦を極める……
「小傘っ……こがさっ！ っ…、〜〜〜っ！！」
腰を浮かせ、全身を痙攣させて絶頂に達する。股間の自身から熱の篭った白濁を放出する。
何時しか僕の愚息を握っていた小傘の手は、亀頭に覆い被さるようにして精液の飛散を防ぎ、その綺麗な手のひらで汚濁を受け止める。
熱素が……温かみを帯びた生命素が、小傘の手を汚してゆく……受け止めきれない白濁が、僕の肉棒に絡み付く……
「ん…、あはぁ……せーえき、温かぁい……ん、ちゅ」
「ひぅっ！」
手のひらで僕の迸りを感じながらも、ダメ押しとばかりに僕の、絶頂のおかげで極限まで感度が高まった敏感な乳首を一吸いする。
その一吸いが、まるで僕の射精感を司るスイッチを押したかのように……連動して肉棒が脈動し、精液を放たせる。
ビクビクと痙攣する肉棒の律動は徐々に弱まり……しかし男性のソレとは違う、虚しさの無い余韻が僕の体を包んでいる。
やがて小傘は名残惜しそうに肉棒を解放し、僕の体を離れる。
白濁に汚された自らの手を、何処かうっとりとした視線で見つめる小傘……その姿に思わずドキッとする。
「ふぁ…ぁ、いっぱい……私の手に射精してくれちゃって……私の手を孕ませる気かしら」
「……何処でそんな表現を覚えたんだ……」
「ふふふっ……ヒニン、してあげないと……」
呆気に取られる僕の目の前で、小傘は淫靡に囁くと、舌を伸ばして無垢な手のひらに付着した蛋白質を舐めとってゆく……
下から上へ舌を伸ばして舐め上げるように……僕に見せつける様にして白濁を払拭してゆく……
「ん、ちゅ…、はぁ…ん…、○○の味……ん」
「これ……結構見せつけられるのって恥ずかしいもんだな……」
「ふふ……もっと、見せつけてあげる……」
いやらしく口を拡げて、伸ばした舌で白濁を舐めとってゆく小傘……
三億にも及ぶ、次世代へ自分を伝播するための細胞が、一つ、また一つと死滅し、小傘の糧となる。
そんな姿を、恥ずかしいと言いながらも見惚れているうちに、手に付着した汚濁は全て舐めとられてしまった。
「あぁ……全部舐めちゃったよ……」
「ん？ 嬉しい？」
「あー、僕にはそう言う趣味がないからそれほどでも……いや、小傘が僕の為にって思ってしてるなら素直にうれしいのかな……」
「ふぅ〜ん……ふふ、○○についたのもお掃除してあげるね」
へ？ 今、何とおはせになりましたか？ ちょっと聞き捨てならない言葉が耳に入ってきたのですが……
ねえ小傘さん……いえ小傘様、なんで股間に顔を埋めるのデス？
「ちゅ…、ぺろ……」
「ぁひっ…！」
小傘の言動に対する薄っぺらな疑問は、股のあたりを拭うぬめりとした感触によって解決、霧散した。
「ふふ、まずは下に垂れちゃったのから……ん、ぺろ……意外と少ないね」
そういって、竿の根元付近に付着した、僅かな白濁を丹念に舐めとってゆく小傘……
まだ直接的な性感帯ではないものの、絶頂の余韻に全身を震わせる僕には、くすぐったい以上のもっと高等な感覚が齎される。
「なあ、その……それ位自分で拭くから……な？」
「そんなのダメに決まってるじゃない……折角デコレーティングしたのに……勿体無い……」
「ああ、なんだ。最初からこうするつもりだったのか……降参だ畜生」
股間に付着した白濁は、小傘に舐めとられて、唾液のぬめりへと取って変えられてゆく。
円を描く様に、中心に愚息を望む形で徐々に徐々に距離を詰めてゆく。小傘の舌が敏感な個所に迫る。
既に精を放ったばかりの肉茎が早くも首をもたげる……我ながら何処にそんな元気があるのかと思う……あるいは愛の力？
そしてついに、小傘の舌は僕の“中心”へと伸びてゆく……獲物を見つめる蛇の舌のように、先端を上下に細動させて追い詰めてゆく……
我ながらこう言う形容をするのもどうかと思うが、ある意味果実にも似たその丸い肉玉に、小傘の得物たる肉鞭が忍び寄る……
「っ……、なぁ？ そこは汚れてないと思うんだけど？」
「そうね……でもおいしそう♪ それに○○のココも、私に向かって『食べて欲しいよっ』てお願いしてるみたい」
睾丸の傍で囁く小傘……囁かれると、発声に伴う空気の振動が肉玉を刺激する。
先程の手による陰嚢責めの時に感じたぼんやりと包み込むような気持ち良さが再び伝わってくる。
今度は小傘の得意な舌で……お口でされてしまう……絶頂したばかりとはいえ興奮を隠す事なんて出来ない……
そんな再び昂った僕の表情を、小傘はやはり見つめながら……
「まずはお味見……ん…、ぺろ……」
「……っ！ っあ…、ひ」
玉袋をぺろり、と一舐めしてきた。
「ふふ……○○ってココに色々されるの……好きだよね」
「いや…、まあ…、男の……弱い所だからさ……」
「ふぅん……じゃあ私以外の娘にさわさわされても、欲情しちゃうの？」
「冗談を……小傘以外には触らせはしないし、触られたって気持ち良くならない……全力で大声出して逃げてやる」
「うふ、それじゃあココは……私専用ね…、ちゅ…、れろ……」
「っ…、かはぁっ…！ いや、専用とはなんだ専用とは……あくまで僕の物なんだけど…、っ！」
私のモノ♪ と主張せんが如く、与えられる快楽に疼く双玉に第二、第三の舌を繰り出す小傘。
舌の平を肉玉の形にフィットするように御椀状に形作って、ぴったりと這い、舐めまわしてゆく……
まるで睾丸を地面にして、引力を受けながら地を這うように、袋の外から、中の玉を形作るように、ねっとり……ねっとりと。
気持ちいい、またもや恥ずかしい声が勝手に出てきてしまう。僕が声を漏らせば漏らすほどに、小傘の舌の動きはより濃厚な動きを見せる。
小傘の舌から齎される熱が、睾丸内の無数の命に働きかけ、活性化を促す。精の活性化によって、肉棒はすっかり元通りに自己主張を始める。
「はぁ…ん……張ってきたよ……もうパンパンだね…、ちゅ…、れろ……」
恍惚とした表情で僕の陰嚢を見つめながら、淫猥に囁いて、舌をのたくらせる小傘……
精液に汚れていない、濡れてすらいなかった筈なのに、いつの間にか僕の玉袋は小傘の唾液でドロドロに濡らされてしまった。
やがて小傘は、舌を引っ込めると、今度は唇を突き出し、その扉を開いて行く。ルビー色の秘室が見え隠れする……
「あ…むぅ……」
「いっ…！」
「ん…、むぐ…、ちゅ……んぷ……」
ちゅるん、と……それはまるで温泉卵の黄身を割ることなく丸呑みにする要領で、小傘は僕の弱所を口内に含んだ。
僕に苦痛を与えまいとめいいっぱい口を頬張っているのだろうが、流石にソレを含むには小傘の口腔は少し小さい……
でも痛くない……思わず意識が飛びそうなくらいに……気持ちいい。小傘の口内が……温かくて気持ちいい。
ぴったりと小傘の柔らかい頬が、僕の陰嚢に密着する。ゼリーともコンニャクとも違う、もっと餅のように弾力があって、蕩けそうなほど柔らかい。
「れろ…、ちゅ…、あむ……」
口蓋の開閉を繰り返し、口内では舌で積極的に肉玉を這いまわす小傘……
自分の最も弱い所を、最も愛していて信頼できる者の口内に委ねるという、信頼と愛情の為せる行為。
デリケートな淫玉が、小傘の口腔に、舌に……小傘の細胞に……小傘に包まれる。睾丸の中で無数の細胞が歓喜にどよめき、渦を巻く。
先程の様な陰茎を激しく扱かれた時とはまた違うその快感は、悶絶するほどの激しさは無いけれど、地に足が付かなくなる様な浮遊感を伴う。
小傘の口腔内で、舌に舐め上げられるたびに、全身をふわり、ふわりとした穏やかで、でも芯にまで響く様な快感を受ける……
「ん……ぷぁ……、反対側も…、ん…、くぷ……」
片玉を解放して、もう片方の肉玉に齧り付く小傘……。
睾丸を見つめるその目は、とても率直で、それでいて淫蕩で、普段の素直らしさと床上での妖艶さの入り混じった眼差し。
そして逐一、僕の反応を確認するように、視線の標準を僕の顔へと投げてくる。
それは、『私、ちゃんと○○を気持ち良く出来ているかな？』という不安の眼差しかもしれないし、あるいは自信に満ちたものかもしれない。
そんなオッドアイのアイコンタクトに応えるように、あまり他人には見せたくない破顔した顔を曝してやると、
嬉しそうに鼻を鳴らして、小傘はより熱心に陰嚢を刺激してゆくのである……
「ちゅぷ…、れろ…、あむっ…、んふ……」
回る……舌が這いずり回る……舐め回される、大きな飴玉のようにレロレロと口内で転がされる……
大事な肉玉を転がされて、まるで全身が大きな舌の上で舐め転がされている様な、そんな感覚に陥る。
気持ちいい……小傘に転がされるの……堪らなく気持ちいい。レロレロ動く……舌が動く……
「ん…、ぷぁ……はぁ」
小傘が陰嚢を解放する。絡み付いた唾液が糸を引く……ねっとりと、ヌルヌルと……
その様子を見て呆然とする僕の意識を呼び戻す様に、小傘は淫靡な表情を浮かべて語りかける。
「ふふ……そろそろ、一番汚れている所、お掃除するね……」
……そういえば、そんな流れだったなぁ。実際、彼女の睾丸愛撫のおかげで、僕の肉棒は先程以上に反り立っている。
もはや一度精を放ったばかりだということを証明するものは、付着した白濁のみだ……
その白濁すら、これから小傘に払拭されてしまうのだ……そう考えるだけでドキドキする……小傘が肉棒に接近する様子を、固唾を飲んで見守る……
「……ちゅ」
「っ……」
小傘の唇が、裏筋の根元に触れる。ビクッと愚息が……そして全身が震える。
その感触は、まるでフランスのお菓子の様に、繊細で、柔らかくて、そしてぷるんと潤っていて……
いやらしいとか、気持ちいいというよりも……尊い、という言葉が似合う気がする。
「ちゅむ……れろ……」
肉棒に触れた唇の隙間から、ニュルニュルとしなやかな舌が這い出て、裏筋を根元から侵し始める。
僕の口の中を、胸部を、そして陰嚢を蹂躙して回った小傘の得物は、自己主張をする愚息をも悦ばせ満足させてくれることを約束する。
期待に、熱棒へ血流が集まってゆく。熱く滾る血液を含んだ海綿体はますます熱り立ち、それを眺める小傘の眼差しに期待の光を灯す。
「あはぁ……ぷるぷる震えて……どんどん大きくなってきたぁ……ん…、ぺろ……」
「はぁっ…、ぅぁ…、ぃ…、ぃ……」
小傘の舌がゆっくりと、屹立した肉棒を上へ舐め上げてゆく。付着した白濁を根こそぎ払拭するように、ゆっくり……ゆっくりと。
舌面のざらつきが愚息の裏筋と擦れ合う度に、根元から上へ、先端へと向かって熱いものが込み上げてくる。
込みあげると同時に、電流の様な鋭い快楽が、ビリビリと背筋を通って頭にまで行きわたる。思考を快感が痺れさせ、支配してゆく。
まだ舐められているだけなのに……それもゆっくりと、それでも、僕の理性が、精神が、限界まで法悦によって追い詰められてゆく。
小傘の舌がこんなにも気持ちいいのは、きっと僕の体全部が小傘の舌に愛され続けたおかげで、彼女にとって都合のいい体にされてしまったから？
「ふふ…、ん…ちゅ……横も、舐めとってあげる……」
肉竿の裏筋を逸れて、舌が側面を這いまわる、右へ左へ、適宜舐めやすいように顔を傾けながら……
小傘は淫蕩な、それでいて何処か真剣な表情を崩すことなく、白濁の一切を舐めとってゆく……
その行為は彼女自身の、僕の体を弄り倒したいという欲望からか……それとも止まることの無い悦楽に僕の表情が蕩けるのを見つめる為か、
あるいはより僕を気持ち良くさせたいという奉仕の心ゆえか……
いずれにせよ僕は、溢れんばかりの快感と愛情を齎してくれている小傘に感謝を込めて、
僕は霞んだ視界の中、手探りするように小傘の頭を探し当て、そしてそっと撫で始めた……
柔らかい髪の感触が指に絡み付く……こんなにも僕を愛してくれる……小傘の感触……精一杯指先で、手のひらで感じる。
「れろ…、ん……ちゅ…、ん？ どうしたの？」
「こが…さ…、気持ち……いい…、好…き……」
「あ……、うん……もっとシテあげる♪」
僕の言葉に、小傘は少し恥ずかしいといった、照れたような表情を見せて、それからとても嬉しそうに微笑んだ。
一瞬見せる、色気だとか妖艶さを全て飛散させた、普段の素直でちょっぴり幼げな小傘の表情。
そしてすぐに、僕からさらに根こそぎ精を搾り取ろうと企む、淫靡な表情へと様変わりする。
どっちも小傘らしい表情で、どっちも僕の好きな表情。もっと見たい、見てやりたい……その一心で小傘の頭をかいぐりする。
「んふ……ん…、ぺろ…、れろ……」
頭を撫でられることの喜びを表現するように、あるいは僕にお返しをするかのように、小傘は僕の欲望に舌を這わせ続ける。
下から上へ、そして左右を移動するだけの単調な動きから、次第にぴったりと絡み付いてからの、回転を伴った複雑で卑猥な動きに……
舐められる、から包まれるへと変わってゆく。温かな小傘の舌の感触が、僕の屹立した剛直を包み込む。
気持ちいい、小傘の舌が齎す快感に、一向に慣れも飽きも来る気配がない。恒久的な快楽が肉棒に、そして全身に齎される……
竿に付着していた白濁の姿は最早そこに無く、代わりに小傘の唾液がたっぷりと塗りつけられて黒光りを放つ。
先端に残された白濁も、間欠泉の噴き出しに薄められてゆくなか、真っ赤に充血した鈴割れに小傘の舌が迫る。
「ふふっ……あとは、先っちょね」
「あぁ…、小傘っ……、っ！」
竿攻めの時とは違い、チロチロと細かく、素早く動いて亀頭を責めてゆく。雁首の境目をコチョコチョと舌先が蠕動する。
付着した精液は確実に舐めとられてゆき……しかしその度に齎される強烈な快感に、舐め取られても次々に透明な液体が鈴割れから噴き出す。
噴き出した液体をも舐め取ろうと、小傘の舌は忙しく亀頭を転がす。僕の顔を、快楽に歪む顔を見つめながら、舌を見せつけるように……
そのいやらしい光景と、僕の欲望を蹂躙し音を上げさせることに特化した、濃厚な舌攻めのコンビネーションに、
僕は全身をぶるぶると痙攣させて、甲高い嬌声を漏らす。
「なかも、少しだけね♪」
「あっ…、ああっ…、ひぅ！」
ちろちろと舌先をうねらせて、鈴割れに侵入しようとする小傘の舌に、恐怖、期待、快楽の入り混じった悲鳴を上げる。
当然、いくら小傘の舌が小さくて器用に動くからと言って尿道の中までずっぽり入る訳ないのだけれど、
それでも小傘の舌の動きは、中まで侵入したいという明確な意思を持っているように……僕の目にそう映る。
実際には入り口付近の精液を、コチョコチョと舌先で舐め取られてゆくだけなのだけれど、
もし奥まで挿入されてしまったら……そう考えると肉棒の根元付近に微かな疼痛と、むらむらとした切なさを覚える。
「ちゅ…、ぺろ……ふふ……大体綺麗になった」
綺麗になった、そう言っておきながら小傘は舌責めを止める気は無いようである。
僕の亀頭が球状の飴玉なら、今の小傘はまさに、飴玉を下品に舐め回す少女のそれ。
控えめに舌先でチロチロとなぞり上げたり、豪快に円を描く様に雁首を一周してみせたり、全ての動きが僕の羞恥を煽る。
「そうだ…っ…、な……だからもう…、っ…、いいんじゃないかな？ 舌で舐めるのは」
そんなこと、僕だって当然本心で思ってない。つい数分前は思っていたが小傘による口淫に、すっかり欲望が元通りになってしまったのだ。
そして小傘も、こんなくらいじゃ満足してくれない。それも十二分に僕には分かっていた。
「だめよ。尿道の中まで、吸い取ってちゃんとお掃除してあげなくちゃ」
それだから小傘も、『分かってるんでしょ？』と言いたげな意地悪な表情を僕に向けて、そう言ったのだろう。
そう言って、ぷっくりと膨れた唇を亀頭の先端に近付けて……
「ちゅ……」
「ぁ……」
唇の割れ目をぴたりとあてがう。
柔らかい感触が肉棒の先端を覆う。柔らかい……キスの時にたっぷりと堪能させられた感触と一緒。
隙間が、ゆっくりと開いてゆき、僕の欲望を中へ受け入れてゆく……中へ…、内へ……
「ん…、ちゅぷ…、ちゅぷぷ……」
「はぁ…、小傘っ…、すごっ……」
先端から飲み込まれる、見えなくなってゆく……見えなくなった個所から、柔らかい、生温かな感触に包まれる。
ゆっくり……ゆっくりと僕の分身が侵されてゆく。その様子を、荒っぽい溜息と共に見つめる僕。
様子を見つめる僕を、小傘はずっと見つめ返している。僕の肉棒を口腔で受け入れながら、僕の表情が悦楽に染まってゆく過程を楽しむように。
「んぐっ…、ん…、ちゅ」
「う…ぁ…っ…、ひ……」
小傘は僕の欲望を、ずずり……ずずりと飲み込んでゆき、やがてその唇が肉棒の根元に口づけするまでに至る。
身も心も、肢体も脳味噌も蕩かしてしまいそうなほどの、深く、甘い快感に、口づけの瞬間僕の全身をガクンと震えてしまう。
ぷりっとした弾力のある唇の締まり、柔らかな頬肉の優しい抱擁、喉奥のねっとりと絡み付く粘膜質、
小傘の口腔が備える器官全てが、僕の欲望を、根元から亀頭まで凌辱して、搾精に勤しむ。
「ずぷ…、ちゅぷ…、ずぷぷぷ……」
「ひぃっ…、吸われっ…、っ…！」
強く肉棒を締め付けたまま、上へ上へと肉棒が引き抜かれる。
小傘の顎の動きと同時に、大量のカウパー酸液が上へ上へと上り詰める。尿道に残った白濁の残滓を洗い流してゆく、根元では更なる欲望の充填を始めながら。
上へ上へと引き抜くにつれて、締まりが強く動きがゆっくりになる。完全に開放なんてしない、と主張するように、動きに対する抵抗が強まる。
口唇が雁首にまで達すると、嵌り込んでそれ以上に動かなくなる。小傘の口腔内で充血した亀頭が、いやらしくのたくる舌にチロチロと刺激され、絡み付かれる。
「ん…、じゅぷ…、くぷ…、ずぶ……」
「あっ…、ぅぁ…、っ…、か…は……」
そして高まったポテンシャルを解放するように、再び口内いっぱいに僕の愚息を受け入れてゆく小傘。
今度は先程の様にゆっくりではなく、一気に根元まで加えこむ。分身を、自信を全て小傘の中に収められる快感に身悶えする僕。
奥まで竿を咥え込んだ小傘は、この世の全ての幸福を噛み締めるかのような、蕩けきった表情を浮かべて、そして再び肉棒を引き抜く。
抜いて、咥えて、引き抜いて、咥え込んで……尿道に残ったモノのみならず、その奥に潜むモノまで上へ上へと吸い上げられる。
思わず腰を持ち上げてしまう僕を宥めるように、両手で腰を抑えつけながら、なすがままの男根を蹂躙する小傘。
「ちゅる…、ぢゅぷ…、れろ…、きゅぷ…、ずぶぶ……」
唇が僕の肉茎を喰い締めたまま、激しく上下にストロークする。
柔らかくて、包むように肉棒に絡み付く頬の柔肉が、ニュルニュルと雁首に擦りつき、射精感を高めてゆく。
蕩けてしまいそうな程に熱くて柔らかな喉奥が、奥舌が亀頭にねっとりと絡み付いて、ただ漏れになった僕のカウパー腺液を体内へと収めてゆく。
じゅぷじゅぷ、じゅぷじゅぷとストロークは止まらない、激しくなる。抽送するごとに、僕の視界はスパークして、恥ずかしくも甲高い喘ぎ声を漏らしてしまう。
「もう…、イっ……」
「ん……ぷぁ」
限界を覚え、口淫に任せて盛大に迸りを放とうと思った矢先、小傘の口が肉棒から離れる。
このまま射精させてもらえると思っていただけに、突然肉棒を温かく包む物を失った感覚に虚しさを覚える。
「あっ……うぅ」
「ふふっ、ごめんね。別に焦らしてるわけじゃなくて……もう少し、愉しませて……」
失望を込めた眼差しを小傘に向けた僕だったが、僕の予想に反し、小傘は別段意地悪な表情を返すでもない。
それは期待と、情愛の籠った表情。もっと僕が驚く様なことをしたいという表情。もっと僕を悦ばせたいという、慈愛の眼差し。
そんな小傘の、健気で、無邪気で、でも色っぽい仕草を僕が唖然と見つめる中、
小傘は水色のベストに手をかけてそれを脱ぎ、ブラウスのボタンも外し始める。
一つ、一つ丁寧に――それは極限の興奮状態にある僕を焦らす為か、あるいは彼女自身の欲望を制する為か――ゆっくりとボタンが外れてゆく。
白い生肌が……そしてブラジャーを張り詰めさせる双丘が露わになる。
「ふふふ〜ん♪」
「あ…、小傘っ……」
「最後は、これで……♪」
小最後の封であるブラジャーのホックも、小傘は何のためらいもなく外した。
するりと純白のブラジャーが落ちると共に、綺麗な形をした二つの肉乳がぷるんと震える。
彼女が無頓着なのか、自らの胸の戦闘力を顧みない、少々小さめのブラウスとベストを身につけているおかげで、
普段は少し分かりにくいけれど、小傘のちょっぴり大きくて、そしてとても綺麗な形のおっぱい。
波打ち、揺れる女性の象徴は、触れてみずとも触るに柔らかく、挟まれるに気持ちいいことを約束してくれる。
「これで、挟んであげる♪」
両手をそれぞれ御椀の様にして下乳を持ち上げ、僕を挑発するように谷間を開く小傘。
美しい曲線を描く、肉丘と肉丘、そしてその間の盆地が、まるで僕の愚息を吸い寄せるように、妖しく誘う。
小傘は笑顔で、僕を悦楽の中に浸らせて、よがり狂わせ、絶頂させるという使命感を帯びた笑顔で僕を見つめ、
そしてゆっくりと、熱り立つ肉棒に自身の白乳を寄せる……
「小傘っ…、ひっ！」
「ふふ、可愛い声あげちゃって……挟んであげる」
最初に、ビクビクと痙攣する愚息に触れたのは大きな丘の間に位置するなだらかな盆地。
余分な肉の無い谷間は、しかしピッタリと屹立する肉棒に密着する。まるで僕の男根の形に合わせて造形されたかのように……ぼくの欲望を受け入れる。
続いて肉房が、ぷるんと張って、たゆんと柔らかに波打つ肉房が、開いた谷間を閉ざす様にして、静かに僕の分身を挟み包む……
閉ざされる……先程までの口淫の余韻と、これから為されてしまうことの期待にびくびくと震える肉棒が……双丘に埋もれ、閉ざされてゆく……
「はぁっ…、うはぁ…、っ……！」
触れただけで蕩けてしまいそうなほどに柔らかい肉の塊が、じんわりと愚息にフィットして、包み込んでくれる。
気持ちいい……小傘のおっぱいが気持ちいい、そして何より幸せだ……柔らかさに包まれて幸せ……気持ち良くて幸せ。
小傘のおっぱいに包まれて……小傘に包まれて幸せ……もっと包んで欲しい……幸せ欲しい。
手淫も口淫も齎してくれなかった新たな感情が僕の中をぐるぐると渦巻く。“気持ちいい”とも“射精したい”とも違う新しい悦楽……
「ふふっ……おっぱいで挟まれるの、好きだよね」
「ああ…、っ…！ まるで小傘を全身で感じてるみたい…、ぃ……」
「あはぁ……私も……パイズリするの、好きだよ。何度してあげても、○○が驚いてくれるんだもの」
この気持ちいいとか、幸せという感情は驚きにカウントされるのか。それとも小傘のおっぱいの柔らかさ気持ち良さに対する驚きのことをいっているのか。
いや、どうでもいいか。こんなに気持ちよくしてもらえた上に、小傘にも喜んでもらえるんだ。なんていうか、パイズリ万歳！
「ほらぁ……おっぱい、ズリズリって動かすよ」
そう言って小傘は、柔らかな双丘を手で掬う様に持ち上げて動かし始める。キメ細やかな、シルクの様な触感の皮膚が、僕の欲望を優しく摩擦し始める。
穏やかな悦楽の波が、刺激を受けている局部から全身に流れ出て、ゆったり、ゆったりと僕の体を包み込んでゆくようだ。
純粋な気持ち良さ、快感の激しさなら口淫の方が上かもしれないけれど、でもこの行為の方がされていて気持ちいい、もっとされたいって思う。
それは胸で扱くという事への軽い背徳感からかもしれない、口淫に比べて小傘が余裕を持って僕を見つめてくれるからかもしれない。
「はぁ…ん、おちんちん……見えなくても、私のおっぱいの中でちゃんと……揉まれてるの分かる？ んしょっ」
「あぁ…、そりゃもう切実に……見えなくても、気持ちいいのが伝わってるよ」
「んふ、私も……おっぱい気持ち良くなっちゃう……はぁ……っ…、私のおっぱいで、○○のおちんちん虐めてあげる」
口が自由になってから、小傘は様々な表情を見せてくれる。それから言葉も。
少し言葉責めが入って、普段なら生意気な奴めなんて思ったりするのだろうけれど、今は小傘が愉しいのならそれでいいって素直にそう思う。
胸の中で肉棒が溶かされてゆく……不定形の双丘は肉棒が上下に動くたびに内側で形を変えながらも、強い弾力でしっかりと肉棒を圧迫する。
乳肉に嫐られる快感に、小傘に愛の籠った眼差しを注がれる多幸感に、全身から熱が愚息の根元へと集中する。
ぐぐぐ……と、雁首が亀頭が乳房の中を、身を包む肉を押しのけるように屹立してゆくのを感じる。
「んっ…、んぁ……おっぱいのなかでおちんちんがびくびくって……あはぁっ……先っぽが覗いて♪」
柔肉による蹂躙から逃れて、充血した亀頭が外気に触れる。否、外気よりも生温かい、小傘の吐息が降り注ぐ。
窮屈な胸の中からやっと逃れた先端だが、油断はできないだろう。小傘は姿を覗かせた亀頭に驚きつつも、すぐに妖しげな笑みを向ける。
そんな小傘の姿を見て、また熱いものが怒張の根元へと集まり、乳肉ごと竿を震わせて、膨張させてゆく。彼女の期待通りに……悦ばせるように……
「ん……れろぉ……」
「っ…、こがさっ」
「ふふ……舌を伸ばしただけでおちんちん震わせちゃって……ココはちゃんと、何されちゃうか分かってるんだね」
顔を俯かせて、肉房に揉まれながらも必死に自己主張を続ける亀頭にゆっくりと舌を伸ばす小傘。
完全に焦らされている僕。そんな小傘はちょっと意地悪で、でも僕の悦ばせ方をつくづく分かっているんだなぁって思う、本当に。
煽情的にうねる舌の動きに焦れる僕を両の目で見つめながらも、小傘は正確に、標的へと舌を忍ばせてゆく。
乳房に挟まれては、逃れることはできない。逃れる気もないが。
「ちゅ…、ぺろ」
「おうっ……」
「まずは舌で……可愛い」
本日二度目の、僕の分身と小傘の舌との邂逅。尿道の割れ目を縦にチロリとなぞられる。
それだけで何かに操られたように、まさしく小傘に操られたかのように腰が勝手に突き上がってしまう。
一舐めされただけで、柔らかな舌で舐られる感触の余韻が、肉棒の先端に残り続ける。まるでずっと舐られ続けているかのようだ。
もっと欲しい、一舐めだけなんてずるい、もっと舐め続けて欲しい、そんな内側から湧きおこる切ない欲求が沸きおこる。
「れろ…、ぺろ…、ん……れろ…、ちろ……」
ついつい恨みまがしい視線を小傘に向けると、僕の欲求を汲んでくれたのか、後発は次々にやってきた。
舌が亀頭を弾く様に擦る度に、まるで体の幹に走る弦を弾かれたかのように快感が走る。
次々に際限なく齎され、全身を走る快楽の波はやがて僕の中で共鳴し合い、大きな波となって僕の身も心も支配してゆく。
チロッ、チロッと小傘の舌が舐る、ガクッ、ガクッと腰が勝手に揺れる、はぁっ、はぁっと荒い息が漏れ出す。
「れりゅ…、れろ……カウパー汁が、いっぱい出て……私のおっぱいがヌルヌルになっちゃうね」
小傘が言うとおり、亀頭の先端からはまるで女の子の愛液みたいに、透明な液体が滾々と湧きだして小傘の双丘を濡らしていく。
我慢汁が小傘のおっぱいを汚している。もっと汚したい……否、あまりにも綺麗な、造形美を極めたその二つの白丘を、僕の汚らわしいモノで汚すなんてとんでもない。
むしろその神聖な乳肉でもって、僕の汚れた欲望を清めて欲しいといったところか。
透明な液体を噴き出し続けて、透明でない液体が根元に溜まり、渦巻いている。痛々しいほどに陰嚢が張っているのが良く分かる。
「小傘っ！ もう…、辛いっ……んだけどっ」
「れろ…、ちゅ…、ん……そう♪ じゃあ今度は……さっきみたいに外も内も汚れないように……ちゅくん」
「いっ…！」
乳丘から顔をのぞかせる欲望の先端に、小傘の……鮮やかな桃色の唇が吸付く。生温かな感触、甘美な快楽に女々しく声をあげてしまう。
肉茎をマシュマロのような弾力のある柔らかさに包まれて、亀頭はマーガリンの様な蕩けゆく柔らかさに包まれる。
きゅううと雁首が口唇に締め付けられる……雁首が唇に引っ掛かる。まるで、事を済ませるまでは絶対に離さない、と言わんばかりに。
「ちゅく…、ちゅぷ…、はむっ……にゅる……」
先端を啄むように小傘の唇が肉竿を含んでは吸い上げ、含んでは吸い上げを繰り返す。
肉棒を頬張るごとに、白磁の双丘が押しつぶされて肉棒を圧迫する。根元から雁首までを乳房に、雁首から先端までを唇に蹂躙される。
小傘の口内では鈴口を柔らかな舌にチロチロと刺激される。ピリピリとした快感が肉棒の根元から先端にかけて走る。
「ちゅく…、ちゅぅ…、ちゅぷ…、れろぉ……んぷ……」
頬の筋を巧みに動かして、紅色の輪が男根を締め付けたまま上下に移動を繰り返す。
口腔内に肉棒が含まれてゆくたびに、気持ちいい粘膜が肉棒を包んでゆく感触に酔いしれて、
キュッと口唇が肉棒を喰い締めたまま引き戻される度に、全身から力を吸い上げられる。
下りて、上って、含んで、抜いて……次第にその周期は短く、激しくなる。じゅぷじゅぷと先端を、アイスキャンディのようにしゃぶりつくす。
強い快感に、悦楽の波に視界が桃色に染まる……染まる中にあってもなお、小傘の秘色の瞳が妖しく光る。
もっと僕の痴態を目に焼き付けてやろうという嗜虐の籠った眼光？ それとも僕を悦ばせたいという奉仕の眼差し？
どちらにせよ、小傘は僕を強く愛してくれているんだなってことだけは良く分かった。
「ちゅる…、じゅぷ…、じゅる…、んむ…、ずぷ……」
唇による剛直への虐げが激しくなる中、胸による刺激も止むことは無い。
剛直をずっぽりと包む乳肉は口淫の動きによって上下に、手の動きによって左右に押しつぶされて中の硬棒を圧迫する。
激しく乱れるおっぱいの様子は見る目を楽しませるとともに、根元から先端にかけてゆったりと、穏やかな快感を送り続ける。
陰茎が、溶かされる。美しい姿形のおっぱいに。アツアツに蕩けたお口に。口内でのたくる舌に。肉棒を溶かされる。
「もう…、無理っ！」
「んふ…、ん…、じゅるる……」
「っ！ うぁっ……こがっ、さっ……っ！」
僕の……嘆願するような断末魔の叫び。
それをきっかけにするように、小傘は強く肉棒を吸引し始める。
いやらしい水音を、部屋中に、頭の奥底にまで響き渡る水音を奏でながら、根元に溜まりに溜まった欲望を吸い上げようとしてくる。
淫らな水音、必死な……でも何処か余裕な小傘の表情、強く吸引される快感、柔肉に圧迫される悦楽、
これら全てが融和して僕を絶頂へと上り詰めらせようとする……その連携プレイに、もはや為す術なく僕は……
「小傘っ！ 出るっ…、射精るっ！」
「ん…、んっ！ んぅ…、じゅぷ…、じゅぶぶ…」
悲鳴にも似た絶頂の宣言と共に、小傘の愛らしい咥内に熱を湛えた白濁を放つ。
いきなり生温かな、不味いものを吐き出されて、一瞬小傘は目を瞑って驚くような素振りを見せるものの、
一切嫌な表情を見せることなく……それどころか嬉しそうに、恍惚とした表情で、僕の屈服の証を受け入れてゆく。
射精前よりもずっと強力な吸引に、悶々とさせられる……意識を揺さぶられ、気を失いそうになる……
「うぁぁ…、かはぁ……あぁっ……」
「ちゅる…、ちゅぅぅ……じゅぶぶ……」
一度小傘の、端整な御手に欲望を吐き出した身であるにも拘らず、僕の愚息は脈動を続けながら生命素を放ち続ける。
小傘の、一滴残らず精を要求する様なバキュームフェラに応じるように、まるで元来存在しなかった分まで吐き出す様に……
柔らかい乳肉の海の中で肉茎をぷるぷると悶えさせながら、尿道に残ったものも、精管に溜まったものも吸い尽くされる。
迸りの脈動に呼応するように、小傘の喉元がこくん…、こくんと脈動する。生命素が小傘の体内へと収められる。
精と一緒に、なにか生きてゆくのに大切な、吸われてはならないモノまで吸い尽くされる感覚に、軽い悪寒を覚え言葉を失う。
全身を襲うゾクゾクとした体の震え……嫌じゃない、冷たい水飛沫の中を立たされたあの感覚とは違う、心地よい震え……
もっと感じていたい……このまま射精が止まらなかったらどうなってしまうのだろう？ でもそれもまた……
……なんてことはなく、当然、心地よいオルガズムスの時間は終わりを告げ、
「ん…、ちゅう…、ちゅぷ……ぷぁ……」
小傘は口内から僕の肉棒を解放して、そのまま口を、物寂しそうにぽかんと開いている。
白濁を、あれ程大量に放った筈なのに、小傘の口からは白濁が垂れることもなく、口腔内からその惨状を覗かせることもない。
その背後に潜む事実に……一滴残らず飲み干してしまった、という事実に思わずぞくりとさせられる。
なにか物言いたげに、あるいは何か言葉をかけて欲しそうに僕をまじまじと見つめる小傘。
僕はというと、何か言葉をかけてやりたいのだけれど、何て言えばいいのか分からず、極度の興奮と快楽の余韻に息も整わず、
ただ仕方なく、小傘の異色の瞳を見つめ返す……労いと情愛を込めて……吸いこまれるように……
見つめあう……静寂の時。息も絶え絶えな僕と、なんだか余裕の表情の小傘。
「ふふっ……御馳走様♪ いっぱい驚いてくれたね……美味しかったよ」
「はぁ……ふぅ……それは、僕の心を食べた感想？」
「そう、○○が、喘いで悶えて、驚いてくれたの、美味しかった」
満足げな、幸せそうな笑みを浮かべる小傘。ああ、そんな表情が一番可愛らしい。もっと見ていたい。
その笑顔を見る為にだったら、いくらでも驚いてやりたい。愛でてやりたいと……素直にそう思う。
「全部……その……精液、飲んじゃったのか」
「うん！ 飲んじゃった」
「不味くて、喉越しも最悪だろうに……どうして小傘は全部……」
あまり自分の精液を飲ませたいとは思わない。
いや、飲んでもらうのが嫌なわけじゃないけれど、興奮を覚えないと言ったらウソだけど、あんな汚いもの、飲ませたくは無い。
飲んだことは無いけれど、あの鼻にくるニオイ、独特の粘性、所々ゲル化した塊、あまり口にしたくないモノであることは想像に難くない。
可愛らしく美しい小傘の体を、外からも内からも汚す……そんな興奮を覚えることもあるけれど、
それ以上に、僕の粗末なものから出た汚濁で小傘を汚す事には……抵抗を感じる。
綺麗すぎるんだ……小傘の体が、色も、形も……全身も、手先も、口元も胸も……僕なんかが汚していいのかって、そう思う。
でも小傘は……
「だって、全部飲んだ方が○○、驚いてくれるし……それに○○が私で気持ち良くなってくれた、降参の証だもの……」
ああ、降参だ。僕の負け。
そんな無知そうな、限りなく性に無縁そうな無邪気な顔して、口先では卑猥な言葉をを平然と言ってのける事ができるあたり凄いと思う。それも惚気たっぷりに。
うん、降参。でも次は負けないよ。
「そっか……ありがとな。じゃあ今度は……」
「えっ……あ……」
体を起して、小傘をギュッと抱きしめる。
小さく細いか細い体。ちょっと力を入れすぎてしまったら壊れてしまいそうな体は、
しかし僕よりもずっとパワフルで、人を驚かす為に毎日奮闘していて……そして今し方も、僕を悦ばせる為に小さな体をめいいっぱい使って、僕の欲望を受け止めた。
抱きしめる、ぎゅぅぅって……柔らかい、のは胸が当ってるからじゃなくて、いや胸も柔らかいんだけど、何と言うか体が全体的にしなやかで柔らかい。
抱きしめるだけで、抱きしめている僕の方が溶けてしまいそうだ……柔らかい……
「やっぱり小傘からしてもらうだけじゃ、傘を持ってきてくれたお礼……御褒美返せないや」
「ん……」
「それどころか、却って恩返ししなきゃいけないことが……増えちゃったよ」
「うん……」
「今度は僕からするの……受け取って、くれないか？」
「うん……いっぱいシて？ いっぱい……愛して♪」
そう言って、期待と蠱惑の眼差しを僕に向けて応える小傘。
されっぱなしというのはやっぱり沽券というものがあるし、やっぱり気持ち良くさせてあげたいものだ。
小傘はお腹いっぱいになるからと僕にしてくれたけれど、僕は何もしてないのが堪らなく悔しい。
シテあげたい、捧げたい。尽くしてあげたい。小傘がシテくれたみたいに、小傘がくれたもの、尽くしてくれたことの恩返しを、全部……全部……
体を抱きしめたまま、小傘の頭をゆっくりと撫でる。蒼碧色の美しく整った御髪を、乱してしまわないように、流れに沿う様に、ゆっくりと梳いて行く。
さらさらな髪の毛が手のひらを、指の腹を優しく摩擦する感触が気持ちいい。指と指の間を御髪がさわさわと刺激して、心地よい。
「ん…、んぅ……んふ…、はぁ…ん…、ぅ……」
小傘もかいぐりされるのが心地よいといったように、両目を閉じて、鼻に抜けた撫で声をあげる。
ああ、そうだ、こんな表情が、もっと見てみたい。この表情を見れただけで、実に頭を撫でた甲斐があったというものだ。もっと見てみたい。
おでこに、指を差し込んでゆっくりと前髪を掻き上げる。前髪から指を引き抜いて、乱れてしまった髪を戻す様に丁寧に梳き下す。
指に絡み付く御髪の感触を名残惜しみながら、手を髪から離し、横顔を滑らせて頬に当てる。
ああ、何て柔らかいんだ。もちもちだぁ。親指と人差し指で軽く、白くキメ細やかな頬を抓む。ぷにぷにと、痛くないように。
軽く引っ張ってみるが特に小傘は不快といった表情をすることもない。これも気持ちいいのだろうか？ だったら、うれしいなぁ……
でも遊んでばかりいても失礼なのでここらへんで止めにしておこう。
「ふ…、ん…♪ んぅ……」
小傘の頬にそっと手を当てて、ゆっくりと唇を近付ける。先程は、あげようと思ったら奪われてしまったモノ。今度こそ、きちんと“あげたい”。
唇を近寄せる。胸がどくん、どくんと強く鼓動する。背筋が緊張する。
初めてじゃないのに、もっと深く濃厚なのとか、いっそのこともっとエッチなことすらいっぱいしてきたのに、
やっぱり行為の初めにする口づけというのは、なかなかどうして初々しさが抜けきらないものか……だがそれがいいのかも。
触れる……柔らかな小傘の唇、かつて僕の唇を嫐り、乳首を蹂躙し、愚息を凌辱したトリックスター。
少しでも恩返しできたらという気持ちを込めて、そっと触れる。
「んっ…、んんっ！」
「っ！」
軽く唇をふれると、急に目を見開き全身を震えさせて暴れる小傘。そのあまりにも強い抵抗に、思わず僕もたじろいでしまう。
どうしてだろう？ 小傘は、きっと僕よりもキスが好きで、突然の接吻を予測こそ出来なかったとしてもこんなに暴れて抵抗するほど驚くとは思わなかった。
なにか、小傘の心に触るようなことをしてしまったのだろうか？
「キス……嫌なのか？」
「だってぇ……○○のせーえき……飲んじゃって汚いから」
ああなるほど、理解した。口に残る精液の所為で僕に嫌われると思ったのか、それとも僕に、不味くて感触の悪い物を飲ませないと思ったのか。
いずれにせよ、小傘の心遣いが胸の内に、ずぅーんと染みる。日々をムードと勢いで生きてるように見えて、彼女なりに思う所があるんだなぁって。
でもね、それだけの理由で止めるわけにはいかない。
「全部飲んでくれたんじゃなかったの？」
「でも……まだ残ってるかも」
成程確かに自分の精液なんて――いや赤の他人の精液とか尚更だけど――あまり飲みたい代物じゃないけれど、
でも……だからこそ、
「僕の……その、汚いモノを……飲んでくれた小傘の唇にも……御奉仕、してあげたいんだ」
「あ……んぅ、ずるいよ……そんなこと言われたら、キス……断れないじゃない……」
そう言って小傘は唇を突き出してくる。いやらしく貪欲にではなく、顔ごと僕の方へと寄せるように上品に……
“そんなこと言われたら断れない”と小傘は言うけれど、それなら僕だって、そんな可愛らしい仕草で催促されたら、キスせずにはいられなくなる。
その唇に誘われるように、僕も顔を突きだす……今度は小傘の瞳、うっすらと開いている……物欲しそうに、緩んだ瞳……
――ちゅ……
触れる……小傘の柔らかい……触れただけで溶けてしまいそうな生唇……
小傘の体がビクって震える……でもこれは拒絶の震えじゃない……歓喜の震えだと僕にはわかる。
もっと悦ばせてあげたい……僕がしてもらったのと同様に、ううん、それ以上に気持ち良くて幸せなキスをあげたい。
――ちゅ…、ちゅう……
続けて二度、三度……何度も何度も唇を落とす。先程とは違って、今度の小傘はひたすら僕を受け入れるように、じっと唇を構えている。
可愛らしいおねだりに応えるように、何度も何度も口当たりの良い唇を啄む。ちゅぷ…、ちゅぷと小気味よい音が体の芯に響き渡る……心地よい。
「ちゅ…、ん……○○って、キス……好きなの？」
「……うん、小傘に……好きにさせられた」
「えへへ……もっといっぱい、する？ んっ…、ちゅ……」
小傘をキスに溺れさせてやりたいのに、キスの快楽と幸福でその整った顔をとろとろにしてやりたいのに、
早くもキスに溺れてしまったのは、僕の方のようだ。如何してくれようか？ 引きずり込んでやろう。
肩に手をかけて、ゆっくりと体重をかける。
小傘は先程みたいに反抗する節を見せることもなく、それどころかむしろ、僕の腰に両腕を伸ばして倒れ込むようにベッドへと吸い込まれていった。
期待する様な小傘の視線……ちょっぴり挑発的で、悪戯っぽい微笑み。誘われるように、白い肌の中紅く映える唇を奪う。
――ちゅむ…、ちゅぷ…、んむ……ちゅう……
唇同士が触れ合って、そして弾ける粘っこい音、触れ合う度にぷるぷると震える小傘の柔らかな肢体、漏れ出す撫で声、細める瞳……
全てが、小傘の接吻に対するレスポンスの全てが僕の欲望を滾らせて、キスへと夢中にさせる、奉仕したくなる……
開かれた唇同士を繋いで……口腔を空間的に接続して、小傘の体をぎゅぅぅと抱きしめたまま……ゆっくりと……
「ん…、んぅ！ ん…、んふぅ……ちゅ……」
ずっと物欲しそうにしていた唇の隙間に舌を侵入させる。体を振るわせて、僕の背中に回した腕にぎゅっと力を入れる小傘。
ぎゅううって、強い力。痛くは無いけれど、力強く締め付けられる。僕も強く抱き返す。小傘の振動と温もりが気持ちいい。
小傘の言うとおり、微かに精の臭いを、咽返りそうな味を感じるけれど、小傘の口腔の感触があまりにも甘美過ぎて、対して気にならない。
いっそ残ったものは僕が掃除してしまおうか、そんな気持ちにさせられる位に小傘の口腔の感触は、優しく、柔らかく、そして甘い。
―ちゅく…、れろ…、にゅぷ……ぴちゅ……
小傘の口の中を舌で舐めまわす。這いずり回る。小傘がしてくれたみたいに、歯茎、頬肉、舌の付け根、上顎と丁寧に舐る。
舌で触れた所から溶けてしまいそうなくらいに、柔らかくてアツアツな小傘の口腔。肉に絡み付かれた僕の舌が、逆に蕩けてしまいそうだ。
侵入してきたものに絡み付いて蹂躙する器官、そんな器官にこんなにも優しく、でも激しく己の分身を咥え込まれてしまったら、
なるほどひとたまりもなく、容易く屈服の証を放ってしまうのも最もな話だと思う。
「ちゅる…、れろ…、にゅ……れりゅ……」
小傘の舌に、自らのを絡み付ける。散々舐って、嫐って、舌も乳首も、愚息も虐めてくれたからね。お返ししてあげなくちゃ。
舌の柔らかな根元も、ヌルヌルが気持ちいい裏側も、程良くざらついた表側も全て丹念に、味わう様に舐り上げる。
舌を絡みつけて擦り合わせようとすると、小傘も応えるように舌を重ねてくる。先程のようにがっつくのではなく、僕の動きに合わせるように、奉仕してくれる。
舌全体に小傘の味が拡がる……甘い、もっと舐めたい……味わいたい、小傘……欲しい……
「んっ…、ふぁ…、あむぅ……ちゅる…、ぴちゃ……」
唇を重ね食み合い、舌を絡め擦りあう度に、僕の体を抱きしめる小傘の腕に力が込められる。
ぎゅっ、ぎゅっ、と規則的に……小傘の鼓動、体の震え……温もり…、全てが気持ちいい。
全身をやんわりと包み込む上品な快感……そのほんの一部でも……いやいっそ倍くらいにお返ししたい、
その一心で、接吻の甘美な悦楽に小さな体を震わせる小傘を宥めるように抱きしめつつ、唇から更なる快楽を注ぎ込む……
「ちゅる…、ちゅく……ん…、ちゅう」
舌を強く吸付かれる……肉棒のように、ナニかを絞りだそうとちゅうちゅう吸われる。舌から射精してしまいそう。
当然精を吐き出せる筈もなく、かわりに唾液の分泌が促される……ドロドロと、僕の口腔が、舌が透明な液体に溶けだす。
舌を伝って僕の口から小傘の口へ、唾液が注がれる……注ぎ込む。僕の唾液……ドロリドロリと、僕の熱が溶け込んだ唾液。
求めるように小傘の唇による吸引が強くなる……さらに促されるように唾液を分泌して、注ぎ込む。ポタリ……ポタリ。
「ちゅぅぅ…、ちゅぷ…、ちゃぷ…、はむぅ……」
唾液の伝う舌で小傘の口腔を掻きまわす。柔らかい頬に、敏感な上顎に僕の唾液を塗りたくるように。ヌルヌルと浸透させる。
二人の唾液は絡み合い、粘度を増す、それはもはや僕の唾液でも、小傘のでも無い。僕と小傘の、二人で作ったラブジュース。
さらに掻きまわす……ゆっくりと、ゆるりと。歯茎の形、頬の柔らかさを堪能しつつ、二人の液体を舌に湛えて塗りたくる。
小傘の舌も、僕を追いかけるように、ぐるり、ぐるりと中で暴れる。僕の舌に絡み付いては逃げられ、絡み付いては逃げられを繰り返す。
「ちゅく…、ん……んくっ……ぷぁ…、もっとぉ……欲しいよ……」
口腔に溜まった唾液を喉を鳴らして飲み干して、物欲しそうな目をして更なる唾液を催促する小傘。
可愛らしい要望に応えて、もう一回唇を唇で塞ぎ、舌を差し込んであげる。ぬぷぬぷと舌を出し入れすると、ちゅうちゅうと吸付かれる。
貪欲に、求められる。あげたい……捧げたい。二人蕩けあうまで、唇から溶け流れ出る快楽が全身を満たすまで、唇を重ね、舌を絡ませ、唾液を交換する。
「ぷぁ……はぁっ…、小傘……」
「○○……好きっ♪」
此処で、健気そうな笑みを浮かべて“好き”はずるいと思う。本当に。その一言だけで、僕の全てが救われてしまう。
手淫、乳首責め、フェラチオ、パイズリ、パイフェラ、数々の奉仕を受けたことも、
キスしたりされたりしたことも、これからしようとしている行為も全てが、その一言の為に正当化される。
“好き”、その言葉を聞きたくて、その想いに応えたくて僕も、
「僕も、小傘が大好きだよ」
至近距離で小傘の瞳を見つめて想いを告げる。
今までに幾度と交わしてきた言葉……でもいざ言おうとすると、ちょっと勇気がいる言葉。
何のためらいもなくのたまう小傘には、見習いたいと思う、切実に。
僕の言葉に目を細めて破顔する小傘に……ああ言って良かったと、素直に思う。
「小傘……」
「○○……んんっ！？」
「ここも、労ってあげないとね」
小傘の乳丘を両手でやんわりと覆う。ビクッと体を跳ねて反応する小傘。
「あ…ん、おっぱい……するの？」
「いっぱい、おっぱいにしてもらったからね……これも、恩返し」
ゆっくりと指に力を込めて、乳房を揉み解してゆく。
手で触れてみて、改めてその柔らかいこと、上質の織物のような質感のよさ、ぷるんとした弾力を実感する。
普段着ているベストの上からだと分かりずらい、意外とおおきな小傘の双丘、僕だけが知っているかもしれない乳肉。
その素晴らしい感触の前に、思わずうっとりとしてしまう……そんな所を小傘に見つめられて、
「おっぱい……好きなんだ？」
と悪戯っぽく言われてしまう。
「うん……でも小傘のだけだよ……小傘のおっぱいだから大好きなんだ」
「ん…、キメ顔で言うことじゃない……んぅ…、でも気持ちいいよ……もっとして……」
鷲掴みにするように、柔らかな乳肉に指を埋めてゆく。
その柔らかさゆえに、小傘の双丘は容易に形を変えて僕の指を、手のひらをやんわりと受け入れてゆく。
ぬかるみに嵌るように指が、ずぶりずぶりと柔肉に包まれて気持ちいい……このまま指から射精してしまいそうな程に。
「んぁ…、ふぁぅ……いやらしい動き……だね」
「いやらしい動きは嫌い？」
「ううん……むしろそんなんじゃ足りないの……もっといやらしく……シて……」
もっといやらしく、とは如何にとも思うのだけれど、ともあれ麗しき姫君からそんな勅命を受けては拒むことなどできない。
使命のままに、そして欲望のままに小傘の乳丘を揉みしだいて行く。
やんわりと掴んで上下左右に動かしてみたり、きゅっきゅと指に力を入れて軽く握ってみたり、
常に僕の手と同じ形を取り続けるその柔軟さが、僕の目を楽しませてくれる。見て気持ち良くて、揉んで気持ちいい小傘のおっぱい、もっと揉んでいたい……
「はぁ…、あっ……ふぁぁ…、おっぱい……熱ぅいの……じんじんってして、気持ちいい」
「ふふふ……乳首も悦ばせてあげるよ」
「あっ…、っ！ ひぃあっ…」
乳房を鷲掴みにしながら、人差し指を伸ばして丘の中心にある突起を軽く弾くと、全身を痙攣させ甲高い嬌声を上げる小傘……
その様子が堪らなく面白くて、もっと見たくて、つい何度も何度も人差し指をピンッ、ピンッと往復させてしまう。
両手で息の合った周期的な指の動きに、小傘の体も規則的に振動して甘ったるい吐息を僕に吹きかける。
「んはぁ……ちくびぃ…、コリコリってぇ……もっとぉ」
乳輪をなぞる様に輪を描いてみたり、硬くなった乳首をそそり立たせるように、上になぞり上げたりと焦らしてゆき、
我慢できないの、と言いたげに胸をもじもじさせた所で指を蠕動させて乳首に細かく刺激を加えてゆく。
両胸で乳首に快感を与えるタイミングをずらしてみたり、片方は揉むことに専念してみたり、小傘の反応の変化を楽しみたい一心で、愛撫の動きにも様々な変化を与えてゆく。
やんわりと動きが激しくなるのが焦れるのか、そしてそれがまた気持ちいいのか、小傘の頬の紅みが、徐々に徐々に増してゆく……
「ふぁぁ……もしかしてぇ……遊んでる？」
「まぁね……、さっき小傘にも色々遊ばれちゃったし」
「むぅ……さでずむ……」
「ああ、そんな悲しそうな目をしないで……しっかりと御奉仕、してあげるから」
膨れっ面になりつつもどこかまんざらではない様子の小傘ではあったが、僕の顔を柔丘に近付けてやると、これからされることへの期待の為か目を輝かせた。
顔を、口元を近付ける……小傘が僕にしてくれたみたいに、まずはそっと息を吹きかける……ふぅっと……
「〜〜っ！ ぁ！ やぁっ！」
息を吹きかける……それだけで小傘は激しく胴体を床から突き上げ、甘い悦声を部屋中に響かせる。
ぷるんと僕の目の前で、文字通り目と鼻の先で双丘が揺れる……美味しそうに、食べて♪ と言わんばかりに……
見た目だけで、プリンよりも柔らかく甘い、魅力的なスイーツであることを約束してくれる……
小傘の目を……期待に涙ぐむ小傘の愛らしきオッドアイを見つめながら、まずは舌を伸ばして……
「……ぁ！ あはぁっ♪」
ペロリ、と左胸の乳頭を舐め上げる。何かが弾けたように体を揺らして喜悦の撫で声を上げる小傘。
休む暇を与えぬよう、２回、３回と次々に乳首を舐り上げてゆく……悩ましげな喘ぎ声が何度も反響する。
その声が僕を、乳首の御奉仕へと夢中にさせてゆく……舐めたい、いっぱい舐って小傘を悦ばせたい……僕にしてくれたみたいに……
「っ…、ぁ…、やぁ……もっとぉ…、ふぁぁぁ……いっぱい、ちくびぃペロペロってぇ…、はぁんぅ♪」
はやる小傘の要望を燻らせるように、ゆっくり、ゆっくりと舐り上げる……ざらざらとした舌の感触を味わってもらいたくて、ゆっくりと、じんわりと……
固く充血した突起が舌を刺激する……乳首の感触が舌に残る……残滓が気持ちいい……病みつきになってしまいそうだ。
反対側の乳首を指の腹で摩擦しながら、唾液をねっとりと乳輪に絡みつけてヌルヌルに濡らしてゆく。
「や…、んぅ……おっぱい……ヌルヌル……気持ちいいよ……はぁっ……んっ…、ふふふ」
「ん、どうした？」
「○○の、私の顔見ながら乳首をペロペロする姿……なんだか可愛いなって……っ！」
乳首から齎される悦楽に悶えながらも、慈しい、愛しいといった表情を僕に向かる小傘。
その、可愛いとか言われると、恥ずかしいというか、照れる。でも小傘にだったら言われるのも悪くない。
いや、嬉しい……素直に嬉しい、もっと言って欲しい、ああ、もっと可愛がってもらいたい。
そんな思いから、より丁寧に丹念に、乳首に舌を絡ませて御奉仕する。小傘の愛しき瞳を見つめながら……小傘がしてくれたように……
「あ…、んっ！ 舌の動きが激しくなったぁ……可愛がられるの、好きなのねぇ」
「小傘に想われるのなら……何でも好きなんだよ……ふふ」
「ん…、はぁ……舌がくねくねって…、っ……」
「あと、小傘のおっぱい舐られて悦んでる姿も可愛いよ、もっと見せてもらうね」
「う、うんっ……もっと、もっと可愛がって……いっぱい、おっぱいにごほーし……してっ…、あっ…、ああっ」」
乳首の感触、乳首の味、乳首の舌触り全てが病みつきになる……夢中にさせられてゆく……
小さな体の……白い肌の震え、脳の奥底まで響きそうな色めかしい声、小傘の反応の全てが愛しい。
愛しく思う気持ちをその小さな体にぶつけるように、コリコリ、コリコリと乳首を舌で弾き、舐り上げる。
「はぁ……むねぇ……あつぅい……きもち…、いいっ」
「次に小傘は、僕の胸にどうしてくれたっけね……」
「えっ？ うん…、お願い……ちゅうちゅうって……いっぱい吸って」
「仰せのままに、今度は右の胸にしてあげる……ちゅぷ」
「……っ！ 〜〜ぁ、〜〜〜っ！」
僕にしてもらったことをしてあげる。小傘も僕の言葉に、次は何をしてもらえるのか分かっているらしく、可愛らしくおねだりする。
期待に沿うように唇で右胸のその勃起した突起に食み付くと、体を大きく震わせて悦びを表現する小傘。
「はぁ…、ぁ…！ おっぱい……ちゅうちゅう……いいっ……あっ…、ああっ！」
涙目になりながら訴えかけてくる小傘。立て続けに、何度も何度も小傘の乳首を口に含み、ちゅうちゅうと啜ってやる。
味なんてしないけれども、硬く充血した乳首が唇と擦れる感触が心地よくて、もっと堪能したい、その一心で何度も何度も吸う。
乳首から齎される淫悦に夢中になる小傘を尻目に、僕の方も、乳首の口吸いに夢中にさせられてゆく。もっと吸っていたい。
「あっ…、っ！ くぅっ……これじゃあ大きな赤ちゃんじゃないっ…、ふぁぁっ…、〜〜〜っ！」
「れろ…、ちゅぷ…、ちゅうぅぅっ！ こんな大きな赤ちゃんでも、小傘は可愛がってくれるか？」
「あんっ…、あっ…、んもぅ……頭悪い発言っ……、ふぁぁ…、ふぁぁぁぁ……いいよっ…、こうして可愛がってあげるっ！」
胸部に齎される快楽に身を震わせて、呆れた様な視線を投げかけながらも、小傘は慈愛を込めた眼差しで僕に微笑みかけると、
震える小さな手のひらを僕の頭に乗せてあやす様にゆっくりと撫で擦り始める。
温かい……頭から小傘の熱が伝わってくる……心地よい…、少しイケナイ香りのするプレイに興奮が抑えきれず、
情欲に任せて乳嘴にしゃぶりつく。わざとらしく卑猥な水音を奏でながらピンク色の果実を啜り愛でる。
「ふぁぁ…、くぅっ……撫でられて興奮するなんてっ…、はぁっ……変態ねっ」
「ちゅぷ…、れろ……見損なった？」
「ん…、あんぅ……まさかぁ……私も、負けないもんねっ…、っ！ 〜〜〜っ」
快感に喘ぎ体を引き攣らせながらも僕の体をぎゅっと抱きしめる小傘。まさに母親にあやされる赤ん坊の形となる。
こういうちょっぴりアブノーマルなプレイでもノリノリでしてくれるあたりが実に小傘らしい。
撫でられ抱きしめられ、包まれる心地よさに応えるように、強く柔丘に乗った突起に吸付いて、舌で転がす。
乳輪に沿う様に円を描き、唇を窄めて中心に寄せ集め、乳首が取れないか確認するように舌で何度も摩擦する。
左胸を刺激することも忘れずに、何度も何度も指を往復させて乳嘴に刺激を与え続ける。
楽器の弦を扱う様に繊細に弾くたびに、この世のどんな楽器よりも繊細で柔らかい音を口元から奏で続ける小傘。
頭に乗せられた手と、僕を抱きしめる腕が呼応するように震えるのが愛らしく、心地よい。
心行くまで小傘の双丘を堪能し、静かに解放する。ヌラヌラと唾液に濡れた乳輪が、照明の光を反射して銀色に輝く。
「ん…、こんなものかな」
「はぁ…、んっ……満足げな顔して……」
「小傘だって、僕を散々気持ち良くさせた時は満足そうな顔してたんだ。お互いさま」
「うん、別に嫌じゃない……むしろ私の体で満足してくれたなら……どんな形でも嬉しいかな……」
「そっか……でも、これから満足するのは……小傘の方だよ」
体を起して小傘の体から離れ、右手をいやらしく蠢かせて小傘に見せつける。
既に乳房への濃厚な愛撫によって小傘の表情は恍惚としているものの、わざとらしい手の動きに期待の視線が集まる。
期待されている……それだけで嬉しい、ちょっぴり重圧だけれど、でももっと小傘を喜ばせたい、悦ばせたい。
ゆっくりと、小傘の太ももに手を這わせる……
「あっ…、ふふふ……」
触れた瞬間に、少し驚いたようなそぶりを見せるものの、次に何をされるのかはとうに分かっていて、
それでいて少し焦らす様な僕の行動が恥ずかしいのか、照れ隠しをするように微笑む小傘。
期待に応えるように、ゆっくりと太ももを這いながら、奥へ奥へと接近する。
秘境に近付くにつれて湿っぽい空気が手を包み始める。地が微かに汗ばむのを感じる。奥へ、奥へと進める。
十分奥へと進んで、頃合いを見計らってその聖なる布へと指を伸ばし……
「んぅっ……」
小傘はビクッと体を震わせた。
手に残ったのは、パンティの繊細な生地の感触……というよりも、しっとりと愛蜜に濡れた聖布の感触。
「小傘……」
「ふぇ……？」
「ごめんな……ここはずっと、準備して、我慢してたんだね……辛かっただろう？」
「う……うん、最初にキスした時から……おまたがキュンてしてて、でも○○を気持ち良くさせたかったし、○○の好きなように体を楽しませてあげたかったから」
「小傘……」
驚愕に飢えていて、いつも人を、とりわけ僕を驚かせることに苦心する麗しき姫君は、なかなかどうして健気で、慈愛に満ちていて、僕をこんなにも悦ばせてくれるのだろう。
でも、負けたくは無い。注ぐ愛の量で小傘に負けたくは無い。僕だって小傘のことが好きで好きで仕方がない。小傘が悦ぶようなことを何でもしてあげたいから。
そんな、ささやかな勝負心を胸に……
「あ……うん、脱がせて」
スカートに手をかけて、そっと脱がせる。
小傘は抵抗することなく、むしろ期待の眼差しを僕に注ぎ、僕の意を汲むように、脱がせやすいように足を閉じた。
おかげでスカートはするすると、容易く取り払われ、程良い肉つきの太ももと、それに囲まれた魅惑的な純白のショーツのデルタが露わになる。
ショーツの上から生地の感触ごと、小傘を堪能したいという欲が沸きおこる。でも、これ以上遠回りに責めるのはかわいそうだ。
欲を堪えて、純白のショーツも降ろしてゆく。スルリスルリとさしたる抵抗もなく下りてゆく。やはり小傘は、脱がせやすいように足を股を僅かに開いてる。
そんな小傘の期待に、少しでも応えてあげないと……なぁ。
小傘の蜜裂があらわになる……薄らと生えた産毛に、すでにたっぷりと湛えた愛蜜の雫がキラキラと輝きを放つ。
太ももの隙間に手を差し込んで、脚をそっと開こうとすると、小傘からも積極的に開帳してくれる。
こう言った所の恥じらいは少ないあたりが如何にも小傘らしい。
「んふ……あ…ん…、太ももすりすりしちゃ……あはぁ……」
「ここも、柔らかくてもちもちしてるなぁ……」
「あ…、○○っ……恥ずかしいって……」
「御開帳は良くて太ももは恥ずかしいのかい……」
「恥ずかしいものは恥ずかしいのっ！」
このまま乳肉のように太ももを揉み倒してしまいたい衝動に駆られるが、これ以上すると後が怖いのでやめておこう。
愛蜜を滴らせる小傘の秘所に、ゆっくりと顔を近づけてゆく……温かな熱気が顔を覆い、甘酸っぱい芳香が鼻腔を刺激する。
期待の為か、小傘の秘裂は微かに震えている……震えながら、僕を誘っている。
「その……こうすると、シやすいよね」
興奮を抑えきれないのは小傘も同じらしく、太ももに外側から手を回して固定し、自ら土手肉をアピールさせる。
やっぱり少し恥ずかしそうに、でも悪戯っぽく、いっそ僕を驚かせようという意気込みを込めた小傘の瞳がニクく、愛しい。
ぷりっ、と大腿に引きつられて小傘の秘裂が割れて、綺麗な桃色の果実がより一層露わになる。さらにむわっとした、小傘の香りが漂う。
「ああ、そんなに期待してくれてるんだな。ありがとう」
「ん…、どういたしまして…、っ！ 息が…、ぁぁぁ……」
僕が声を出すたびに、昂る心を宥めようと呼吸をする度に小傘の蜜壺口がぷるぷると震える。
まるで行き場を失った快楽に慌てふためく様な小傘の下の口を鎮めるべく、唇を交ねる。
「っ…！」
重なり合った瞬間に、僕の唇に秘唇を押し付けるように小傘の体が振動して腰を突き上げられる。
顔面にわりと勢いよく直撃を貰う、でも痛くなんてない。小傘の柔らかな股間の柔肉が気持ち良い。
「あ…、あぁっ……はぅ……」
間髪いれずに舌を拡げて小傘の秘肉を舐め上げる。膣口の下から陰核の上までを、まずはゆっくり、形と味を舌で確かめるように。
舌のざらつきに秘所を責められて堪らないといったように小傘は甘ったるい媚声をあげて悦びを謳歌する。
やっとのことで与えられた快楽に満足しつつも、まだ足りないのと言いたげにヒクつく小傘の陰唇に、第２、第３の舌を繰り出してゆく。
「ぁ…、気持ち…いいっ…、もっとぉ……頂戴♪」
舌を上下に往復させる度に、嫣然な撫で声を漏らしながら、更なる悦びを求める小傘。
そんな声が嬉しくて、もっともっと聞きたくて、夢中にさせられて、次第に舌の動きを速めてゆく。
「その…、ん……れろ…、小傘みたいに器用に舌を動かせないから、上手に出来てるか分からないけれど……」
「っ…、はぁっ……そんなことな……いっ！ 舌…、上手っ……いいっ…、あはぁっ」
「そっか……もっと、頑張るね……ん…、れろ……ふふふ」
秘所に舌を這わせながら、両手を取り出して陰唇にあてがい、ゆっくりと開いてゆく。
ぱっくりと、小傘の秘部の全てがはっきりと露わになる。紅く充血した陰核、淫猥に窄む膣口、そのおくに姿を覗かせる膣道。
めいいっぱい拡がった桃色の陰唇の壁を、円を描く様に舌で舐め回す。たらたらと、次々に溢れ出る愛液を舌で拭い去る様に、膣口の周りで円を描く。
舌による奉仕を続けながら陰唇を拡げている指を伸ばして、しっかりと自己主張をしている陰唇を軽く擦る。
「はぁっ…、っ…！ 〜〜〜っ！」
「れろ…、ちゅぷ……ここが好きなの？」
「うんっ！ クリトリスにっ！ もっとちょうだぁいっ！」
「ん…、可愛がってあげる」
膣口の縁を舌先で舐りながら、紅く勃起した陰核を指の腹で擦り続ける。
頭を左右に振り、涙ぐみながらも恍惚とした表情で幾度も訪れる快楽の波に溺れる小傘。
それでも時折心配そうに、あるいは着地点を見出すかのように僕の表情を窺ってくる。
そんな小傘の為に……これも小傘がしてくれたことだから、ずっと小傘の顔を、小傘の目を見つめていてあげよう。
小傘の、僕が与えた淫悦に溺れる様を見ながら、それを励ましに僕はクンニリングスへと没頭してゆく。
「はぁっ…、やぁっ！ クリぃ…、いいっ……あっ…、やぁっ…、ふぁぁ…あああぁっ！」
両手の指で包皮を拡げて陰核をそそり立たせ、そのまま唇に含んであげると発狂したかの様に甲高い嬌声を漏らす小傘。
その狂乱ぶりに少し不安にさせられるものの、すぐさま僕に向き直って、もっとほしいの、と催促してくるあたり流石妖怪だなと思う。
続けて唇に含み、ちゅうちゅうと啜りながら舌先で舐り上げる……溢れだした愛液が口内へと染み渡る。
甘酸っぱい、小傘の味をもっと味わいたくて、しゃぶりつくしたくて、卑猥に水音を奏でながら陰核への口淫を続ける。
「あはぁっ…、ああっ…、あああっ！」
舌先で陰核を舐りながら、指で下の方を刺激する。柔らかい陰唇の触り心地、熱い蜜の溜まりになっている膣口、どれも愛したい。
舌と陰核が擦れ合う音が、指が蜜液を拭っては陰唇を捲る水音が延々と響き渡る。官能的なその音に興奮を滾らせられてゆく。
モノを挿れるには少し狭そうな膣口にも、指を差し込みゆっくりと解してゆく……
否、それは解す必要など無いほどに十分柔らかく、指の動きに合わせて容易に穴の形を変え、
それでいて指を抜くと、元の締まりの良さそうな秘穴に戻るのである。
その面白さに、ついつい壺口も弄り倒してしまう……悩ましげな小傘の喘ぎ声が、それを加速させる。
「んぁ…、はぁ……膣内…、疼いちゃう……なかに……欲しいのぉ……ナカに…、頂戴……」
「中……？ 指、挿れていいか？」
「うんっ、ゆびぃ……頂戴っ！ いっぱい……くちゅくちゅってして欲しいっ！」
脚を拡げ、焦点の定まらない瞳でおねだりする小傘。
こうなんも躊躇いもなく恥じらいも感じさせずにおねだりする小傘は凄いと思う。
それは、はしたないだとか、節操無いという意味ではなく……此処まで僕を欲しい、僕を愛してるってことなのであれば、
何としても、僕のなけなしの沽券に懸けて小傘を満足させてあげたい。満たしてあげたい。
――ちゅぷ……
「……ぁ」
中指を蜜穴の入口へと差し込む。卑猥な水音と小傘の掠れた声が同時に響く。
温かい感触が指先を包み込む。小傘の熱、小傘の温もり。僕にとっての最大の癒し。指先に意識を集中して感じ取る。
「○○っ……」
「なぁに、小傘」
「ずっと、見つめていて……」
そう言う小傘の表情は微笑んでいて、でもその声は不安そうで。
「ああ、ずっと見ていてあげる……だから遠慮せずに、飛んじゃっていいよ」
「えへへ……」
安心させようと力強く約束してやると、心底嬉しそうに微笑んでくれた。
情事の最中である事を微塵も感じさせない微笑み、先程までの法悦に浸る艶顔、ころころと変わる小傘の表情が堪らなく好きだ。
そして今からもまた、この笑顔を、快楽に染めていくこととなるのだろう、そう思うだけで興奮する。やりがいを感じる。
――ずぷぷ……
「んぁ…、あはぁ……指ぃ……挿入ってくるぅ……」
ゆっくりと中指を挿入させる。膣内の柔肉の感触を味わう様に、あるいはじっくりと小傘の官能を高めていくようにゆっくりと。
狭い膣道は、しかし、きゅうきゅうと締め付けることはあれど指の侵入に抵抗することなく、積極的に受け入れてゆく。
そう、僕が指を挿れているのではない……小傘の秘裂に吸付かれているのだ。
長く、熱く、小傘が吐息を漏らす。ほら、もうこんなにも色っぽい表情をしている。そんな小傘も見ていたい。
――ぬぷ……
「んっ…、っ……あはっ♪ ゆびぃ、根元まで咥え込んじゃった」
第一関節、第二関節を飲み込み、遂には中指の根元まで小傘の膣内に収められる。なにか達成を得た様な満足げな表情を浮かべる小傘。
膣壁の柔肉は微かに蠢いて僕の指をやわやわと刺激する。それはまるで、そう、精を絞らんとするように。
あいにく射精は出来ないのだけれど、口で強く吸われた時の様な、力が抜ける感じがして気持ちいい。
絡み付く様にして締め付けてくる膣肉を振りほどく様に、ゆっくりと指を前後に動かし始める。
――ちゅぷ…、ぬぷ…、ずぷ……
「ん…、はぁ……あぁ…、んぁ……」
ゆっくりと引き抜いて、挿し込み、またゆっくりと引き抜いてを繰り返す。
指を引き抜こうとすると、抵抗するように途端に淫肉が指に纏わりついて離すまいとし、挿し込みに転じると一切の抵抗なく指を受け入れてゆく。
穏やかな吐息の混じった小傘の喘ぎ、陰核責めのような息も絶え絶えになるほどの激しい快楽とはまた違う、内側を優しく蠢かれる感覚を堪えているといった様子だ。
それならば、両方いじってみるのはどうだろう。
「あぁぁ…、っ！ あぁっ！ んぁっ！ クリトリスも一緒にっ、なんてぇっ……あぁっ！」
膣内を弄られる様を寂しそうに傍観していた陰核を親指で刺激してやると、呆然とした表情を崩して甲高い声で喘ぐ小傘。
休む暇を与えまいと、さらに中指を抜き差しして親指で陰核を転がす。
ぬっぷぬっぷという指の抽送に伴って現れる水音と、頭の芯にまで響きそうな小傘の嬌声がシンクロする。
「小傘……どっちが好き？」
「あっ…、あぁんっ……どっちもっ……クリトリスもナカもどっちも好きなのっ」
「どっちも……気持ちいいか？」
「あぁっ…、どっちもぉ……○○のゆびぃ……じょうずでっ…、あはぁっ……きもちいいのぉっ……」
ああ、こんなにも小傘を悦ばせることが出来るなんて、嬉しい……切実に。
「ありがとう小傘……最後にまた、おっぱいさせてくれ」
「えっ……あぁっ、やぁんっ！」
小傘の返答を聞くよりも前に、体を前に倒して喘ぎにぷるんぷるんと震える肉丘の片割れへと口元を近付ける。
『ずっと、見つめていて』と言われた約束の、唯一の妨げ手であった僕の目の前で悩ましげにゆれる乳肉を……
……それならば僕の口で封印してしまえばいい。揺れることも、目に付くこともなく、僕によし、小傘によしだ。
一瞬小傘の瞳から視線を逸らしてしまうことを心の中で詫びながら、白磁色の果実を口に含む。
――ちゅぷ……
「ひぁ…、もう……本当に私のおっぱい、好きなのね」
「うん……れろ…、小傘の体なら何処でも好きなんだけれどね、此処はほら、僕を気持ち良くしてくれたから」
「だからキメ顔でいうことじゃな……っ…、んもぅ……これじゃ大きな赤ちゃんじゃない……」
呆れ顔で、でも心底嬉しそうにそう言うと、小傘は片手を取り出して僕の頭の上に置き、そっと抱え込んでくる。
小さくて、でもどこか力強い手の感触が頭から伝わる。温かい……これ、気付いたら僕が小傘に包まれる形だな……
「こうして、赤ちゃん扱いしてやるんだからぁっ！」
「……ああ、僕の全力御奉仕だ……受け取ってくれ……」
赤ちゃん扱いというのは少々屈辱的な気もしたけれど、でもこうして小傘に優しく包まれるのが嬉しくて、
……やっぱり恥ずかしいからありがとうとは言えないけれど、でも全力で小傘を悦ばせることを誓う。
再び小傘の乳房を口に含み、止まっていた秘所責めを再開する。
――ちゅう、ちゅるる……
―‐くちゅ…、ずぷ…、にゅぷ……
「あっ…、あぁっ…、やぁ……あぁぁっ！」
口が乳首に吸いつく音、指が秘所を掻き乱す音が愛撫の再開を告げ、ワンテンポ遅れて小傘の喜悦の嬌声が鳴り渡る。
ぶるぶると、密着した肌から小傘の体の震えを感じる。伝わる震動が心地よい。もっと震わせたい、よがらせたい。
その一心で硬く勃起した乳首を舌で舐りあげ、キツキツに絡み付く膣壁をかき分けるように解し、充血した陰核を親指で弾く。
――れろ、ちゅる…、ちゅう……
――ずぷ…、ぬぷ…、くちゅ…、ずぷぷ……
「あぁっ…、すごっ…、い…いっ…、おかしくなっちゃ…、あぁっ！」
体を激しく痙攣させ、指マンに呼応するようにガクガクと腰を突き上げる小傘。
僕の頭を抱え込む手の力が強くなり、ぎゅうぎゅうと顔を双丘に押しつけられる。柔らかな乳房の海に埋められる。
溺れるように小傘の肉実にしゃぶりつき、芯を舌で転がす。乳首の感触を味わう様に、何度も何度も舌の平で舐る。
「ダメぇっ…、私……もうっ……イっちゃっ……」
「ああ、ずっと……見つめていてあげる、抱きしめていてあげるから……安心してイってくれっ」
男の我が身には理解できない、話に聴くだけのオンナの絶頂に伴う恐怖感を少しでも和らげようと、小傘の瞳をしっかりと見つめる。
小傘もまた、蕩けきった焦点の定まらない視線を必死に泳がせて、なんとか僕の目を捕らえようとしている。
差し向けられた視線をしっかりと掴むように、握り返す様に見つめ返して、施しにラストスパートをかけてゆく。
――ちゅぷぷ…、にゅぷ…、ちゅうう……
――くちゅ…、くちゅ…、ぐっちゅ…、ぐぷ……
「あっ…、やぁっ……んぁ…、あぁっ！」
中指を深く挿し込んで軽く指を曲げ、ざらついた天井を確かめるように圧迫してゆく。
外側からは痛々しく充血した陰核を親指で、根元からなぞり上げるように擦りつける。
スキーン腺と陰核の同時攻めに、湿っぽく粘り気のある水音が卑猥に鳴り響く。小傘の狂ったような喘ぎも一緒に……
揺れる乳房に吸付いて、舌を絡ませる……目の前の、小傘の崩れた顔を、でも必死に僕を見つめる顔を堪能しながら、肉実をじっくりと味わう……
辿り着くべき頂きへと上り詰めらせる為に、胸も、秘所も、秘裂の中も全てに快楽注ぐ。
安心して達せられるように、しっかりと小傘の体を空いた方の腕で抱えて、快楽に崩れる愛しき顔を見つめ続ける。
目に見えて小傘が絶頂へと上り詰めるさまが良く分かる……気持ち良くさせることが出来る喜びを胸に、とどめを刺す。
「あぁっ…、イっ…、っ！ 〜〜〜〜っ！」
最後に一際強く、小傘の尿道海綿体を指圧してやると、スイッチを押されたかのように体を揺らし絶句して、絶頂に達する小傘。
中指が凄まじい力で柔肉に喰い締められる。透明な生温かな液体が手のひらへと吹きつけられる。ゆっくりと指を動かしてその余韻を味わう。
これまでにない体の震えを宥めるように、ぎゅっと抱き寄せる、包んであげる。絶頂とその余韻が、小傘にとって少しでも心地よい物になったらいいなという願いを込めて。
「はぁっ…、あっ…♪ はぁ…、やぁ……はぁ…」
絶頂の余韻はなかなかに収まらず、荒い呼吸が、微かな体の痙攣が続く。
目を細めて、首を左右に振りながら取り乱していた可愛らしい小傘の顔が、少しずつ落ち着きを取り戻して、呆然とした大きな瞳を僕に向ける。
その緋色の瞳を、蒼色の瞳を見つめ返す。ずっと見つめていたよって、ずっと見ていてあげるよって、大好きだよって気持ちを込めて。
微かに口元がにんまりと微笑む。ぶるりと体を震わせ、長く緩やかな法悦に身を委ねながらも僕に微笑みかける……ああ、可愛らしいなぁ。
自惚れかもしれないけれど、こんなにも小傘の幸せそうな表情が見れて、気持ち良くさせることが出来て、僕もまた、幸せでいっぱいになる。
「はぁ…、ふぅ……んぁ……はぁ」
「落ち着いた？」
昂りを冷まそうと呼吸を繰り返す小傘にそっと問いかける。小傘の口元から漏れ出す吐息が温かく、そして甘い。
「うん……気持ち良かったよ。いっぱいシてくれて……ありがとう」
「こっちこそありがとう、小傘が悦んでくれると、ちょっぴり恥ずかしいけれど、嬉しいというか、救われるんよ」
「んふふー」
嬉しそうに微笑む小傘の髪の毛に、そっと手櫛を差し込む。絶頂の為噴き出した汗の為か、少々湿っぽい。でもさらさらと指の隙間を通過してゆく。
敏感になった体に頭の撫でられる感覚がくすぐったいのか、小傘は微かに目を細めて顔を揺らし、鼻に抜ける撫で声を漏らす。
「小傘……」
「ん……」
「傘のお礼と、御奉仕のお礼……返せたかな」
「ふふふ……なぁに、それ？ ○○が勝手に言いだした事でしょう？ 私が評価することじゃないわ」
「ああ、それもそうか」
「でも、お腹いっぱいにはなったよ……○○ってば私にごほーししてる最中にも驚いてくれるんだもの……だから、大満足♪」
実に、その言葉だけで救われる思いだ。小傘が何て言おうと、どう思っていようと、なにか小傘にされっぱなしというのは嫌だったから。
今日の事……まあヌいてもらうのは毎日の事なんだけど、とりわけ傘を持ってきてくれた事に関しては、きちんと恩返しがしたかった。
恩返し……出来て、よかった。
「本当に……よかった。それじゃそろそろ夕食の準備に……」
「ああ、それはダメかな♪」
「……っ！？」
小傘の体から離れ、立ち上がろうとした瞬間、物凄い力で引っ張られ再び床に膝をついてしまう。
張力の発生源は、僕の腕をぎゅっと握りしめた小傘の腕、白い腕、細い腕、綺麗な腕、でも妖怪様の力強い腕。
恐る恐る、小傘の表情を窺う……さっきまで見つめ続けることが出来た顔が、今は見るのが怖い……
つい数秒前まで為すがままに愛撫を受けていた少女は、酷く意地悪な表情を僕に向けていた……
「まだ、食べれそうね」
「お腹いっぱいなんじゃないのか？」
「たとえお腹一杯でも、目の前に御馳走があったら齧り付く……そうでしょ？」
「これ以上は驚いてやれる自信がないよ……なにせ２回も射精したんだし」
「あら、じゃあこのご馳走はなにかしら？」
「ぇ……っ！」
悪戯な視線を向けられると共に、局部を襲ったむずむずとした感触に思わず悲鳴じみた声をあげてしまう僕。
見ると、再び熱り立った肉棒を愛しそうに擦る小傘の手が、そこにあった。なんか悔しい。
悔しいけれど小傘の示唆する通り、僕の分身は紛れもなく、御馳走の塊で、吐き出さないことには僕にとってのお荷物であるようだ。
「ああ……あと別に食い意地張ってるわけじゃないのよ？ あんなに御奉仕されちゃったら余計に疼いちゃってさ……最後まで、シたいの」
「そっか、分かったよ……最後の最後まで、僕を、小傘にあげる」
「うん……頂戴♪ ○○が……欲しいよ……」
そう言うと先程と同じように、両脚を開いて腕で抱え込んで固定する小傘。いわゆるＭ字開脚の形。
僕が散々愛した秘所は、これ以上ないほど潤滑に満ちており、いかにも物欲しいの、といわんばかりにヒクついている。
それを見つめるだけで、僕の愚息がより熱を帯びて、硬度を得てゆく。まるで、どうすればいいか分かってるな？ と言われているようだ。
奮う肉茎を指でつまみ、そっと肉扉にあてがう。
「んふ……おちんちん……暴れてるの、挿れる前でも分かるよ……」
「小傘の方こそ……凄く、貪欲だ……喰われてしまいそうだ」
そのままゆっくりと、カウパー腺液に濡れる亀頭を、愛蜜を湛える柔肉に擦りつける。
ちゅぷり、ちゅぷりという淫靡な音が耳の奥まで響いて、そのあまりにも官能的な響きに、思わずため息が漏れる。
亀頭を擦らせるたびに、ぶるりっと花唇が震えて、更なる蜜液を染みださせてゆく。
「ん…、はぁ……焦らしてるの？」
「まあ、形式美というか……」
「別にいいけど……後が怖いわよ？」
「ああ、まったくだ。おまんこが怖いよ」
顔は悪戯っぽい笑みを浮かべて、暗に焦らさないでと言われてしまう。実際、ぎりぎりなのは僕の方だ。
このままもう少し、柔らかな濡れ肉にセンズリしたい気持ちをぐっとこらえつつ、充血した先端を淫口へそっと差し込む。
「んぁ…、挿入って……くるぅ……」
柔らかな粘膜に分身が包まれてゆく様を堪能しながら、ゆっくりと小傘の中へと入ってゆく。
指を挿れるにも狭く感じた膣口は、しかしその倍以上の太さはあるであろう肉棒をもなんなく奥へ奥へと受け入れてゆく。
喰い締める、という形容が相応しいほどに強く締め付けてくるのに、侵入に一切の抵抗を感じない……
そればかりか、まるで小傘の膣内が待ちきれないの、と言わんばかりに吸付いて、積極的に飲み込んでゆくようですらある。
気を抜いたら一瞬で根元まで咥え込まれてしまう……そのまま精を抜かれてしまいそうな吸引に耐えるように、ゆっくりと挿れてゆく。
「あ……ん…、大きい……おまんこ……おちんちんの形になっちゃうかも……」
「はぁっ…、むしろ既に形を覚えられてるみたいだっ…、はぁっ……ぅ…ぁ……」
ぴったりと絡み付く膣肉を掻き分け、ゆっくり、ゆっくりと……柔肉が僕の雁首の形に沿う様に柔軟に形を変えてゆく。
亀頭、雁首、竿……次々に飲み込まれる……まるで体を優しく丸呑みにされている様な全身を伝う激しい快感に、長い息を漏らしながら、
すぐにでも欲望を吐き出してしまいそうになるのを必死に堪えて、膣肉の感触を感じながら根元まで差し込んでゆく……
「あぁ…、根元まで挿入った……く…、喰い締められるっ」
「だめ……」
「ん？」
「もっと、近くに来てっ」
「っ…、うぁっ……」
ずっぽりと、外から見えなくなるまで愚息を膣内に収め、その快感に射精しそうになるのを堪える時間を与えまいとするように、
ぐいっと両手を小傘に掴まれ、そのまま引っ張られてしまう。
一瞬にして小傘の顔が目の前に接近する。小傘のお腹とか、胸とかが僕の体に密着する。温かな小傘の地肌を、全身で感じる。
「ふふっ……膣奥まで……挿入ってきたぁ……お腹の中…、○○でいっぱいだよ」
「ああ…、っ……咥え込まれてる……小傘にっ……かはっ……」
重力の支援を受けて小傘の上に圧し掛かり、根元まで挿し込む形となり、このまま色々なモノを吐き出してしまいそうになるのをぐっと堪えるのがやっとだ。
このまま射精を堪えながら抽送を開始したら……考えただけで理性を焼かれてしまいそうだ。
「ふふっ……驚いてる♪ いつものシてることなのにねぇ」
「ああ、ごめん。しばらくこのままじっとしていて……いいか？」
「うん、いいよ。私もしばらくこうしていたいし……そのかわり……」
小傘が唇の端をにんまりと吊り上げたかと思うと、後頭部を押さえつけるような感覚に見舞われ、そのまま
「ん…、ちゅ……」
「っ…！」
接近してきた唇に、本日三度目の接吻を受ける。
そのあまりにも柔らかな、心地よい感触に……折角の静止が無駄になりそうになるが、なんとか射精を堪える。
「ふふ…、キスで一発ヌいちゃうかもって思ったのに、堪えるのね」
「それだけは勘弁だ……もう後がなさそうだしな」
「そう……じゃあ続けてキスしちゃうよ。ん…、ふぅ…、ちゅう……」
悪戯な笑みを浮かべて、二回、三回と口づけをされる。唇を触れあっているだけなのに、肉棒を柔肉に包まれるのと同じくらい気持ちいい。
立て続けに唇から齎される快楽に、少しずつ浸ってゆき、なんとか愚息から意識を外すも今度は全身を緩やかな快楽が包む。
体表を波打つような、ゾクゾクという快感……頭を固定されて甘美なその媚悦から逃れることも許されない。
「ねぇ……○○からも……キス、して♪」
「うん……ん…、ちゅ……ちゅぷ」
小傘に促されるままに、頭を落として桃色の口唇を啄む。ぐっと腰に体重がかかり、より一層深みに嵌ってゆくのを感じる。
でもそれよりも、唇が触れ合うことの快感に、夢中になる。小傘がしてくれた分、いやそれ以上のキスを返す。
「ん…、ちゅぷ…、れろ……ちゅる…、ちゅぱ……」
どちらからというでもなく、お互いに舌を伸ばして絡め合う。小傘の舌の程良い滑りとざらつきの加減が快楽を齎してゆく。
小傘を求めて舌を絡ませる。濃厚に……絡み合う。小傘もまた、激しく僕を求めるように、うねりうねりと舌を絡みつけてくる。
重なり合う、蕩けあう、混ざり合う……秘部も口も、体も心も一つになる……小傘を包んで、小傘に包まれる。
「小傘…、ちゅ……本当にキスが好きなんだな」
「ふふ……○○が教えてくれたんだよ？ キスが気持ちいいってこと……ちゅ…、れろ……」
「んむっ…、ちゅく……そんな馬鹿な、僕は小傘によってキスが好きになったんだ……ぴちゅ……辻褄があわないぞ」
「どっちだって……、れろ…、ちゅる……いいじゃない……気持ちいいんだもん」
「ああ……どっちでも……ちゅく…、はむ…、いいな……れろ……ちゅ……」
言葉を交わしながら、接吻への称賛を繰り返しながら、僕たちは深く、激しく……そして何よりも甘く舌を絡め合う。
こんなにも長い間唇を交わしあっているのに、今日三回目の接吻なのに、
それこそ小傘のことを好きになって、想いが通じ合ったその日から、毎日といっていいほど唇を交わしてきたのに、
一向に唇を重ね、舌を絡め合うというこの行為に飽きる気配がない……少なくとも僕は、そして小傘もきっと。
そんなことを想いながら、キスに没頭してゆく……没頭させられてゆく。
「ふふ…、ちゅ…、んっ……おちんちん……どんどん大きくなってるよ？」
「ああ……小傘も、きゅっきゅって締め付けが強くなってる…、ん……ちゅ」
「んふ……大丈夫？ 射精しちゃいそうなんじゃなかったの？」
「うん……さっきよりも、もっと気持ち良くなってるのに、射精を堪えらそうだ」
「そう……じゃあそろそろ、動きましょ？ んっ」
返事をする代わりに、ゆっくりと腰を持ち上げてゆく。
肉棒を引き抜いてゆくと、膣壁が強く肉棒を締め付ける。まるで離すまい、抜いちゃいやだと主張するように。
螺旋状に絡み付く柔肉は雁首に引っ掛かって激しく抵抗する……その抵抗が、強い快楽となって悶々とさせられる。
雁首まで引き抜いてから、このまま全て抜かれてしまうことを悲しむ小傘の蜜壺を安心させるように、挿入へと転じる。
一転して締め付けが緩くなり、動きへの激しい抵抗感が消え去る。招かれる様にして奥へ奥へと咥え込まれる。
「あ……ん、そんなゆっくりぃ……動かれると……」
「ごめんね、この姿勢だとあまり速く動けない……っ…、はぁ……」
「ううん、ゆっくり動かれるのも……気持ちいいの…、ひぃっ！？ 奥に……当たって」
根元まで突き入れると、コリコリとした膣壁とは少々違う感触に行き当たる。
小傘の子宮口、刺激して欲しいのとばかりに肉棒に心地よい感触。コツン、コツンと揺すってあげるとぶるりと小傘の体が痙攣する。
「あぁっ…、はぁっ…、奥…、突かれるのぁ……幸せぇ……」
「ああ、僕も……奥を刺激するの、気持ちいいぞ…、くぅっ……本能……かもなっ」
「あ……ん…、ふふっ……本能ねぇ」
本能、という言葉を聞いた瞬間に、小傘はうっとりと焦がれるような表情を浮かべる。
「○○は……私達の赤ちゃん、欲しい？」
「……ああ、それが小傘へのプレゼントになるのなら……とても欲しいかな」
「今までもいっぱいヤっちゃってるけど……諦めずに続けたら…、んぁ…、出来るかな？」
「……ああ、まったく分からん。でも小傘が欲しいのなら、僕は何でもするよっ！」
「あ…ん…、人を喜ばせるのが好きなのねっ」
「喜ばせる事しかできないけどなぁ…、くぅっ…、あと、“人”じゃなくて“小傘”だけっ」
どうだろう、これまでに散々搾り取られちゃって一向に兆しなしだからなぁ、人間と妖怪じゃ無理なのかなぁ。
でもきっと、なんでもありの此処幻想郷だから、なにか方法がある筈。
今は、僕に出来ることを、小傘にプレゼントできる物を、ただ捧げるだけさ。
「あっ…、はぁ……もっと、激しく……好きにしていいのよ？」
「はぁ…、っ…、ははっ……ではお言葉に甘えて」
抽送の振動ゆえか、あるいは快感に対する反応ゆえか、僕の視界の中で蠱惑するように揺れる純白の肉丘にそっと手を這わせる。
ああ、相変わらず柔らかい……もちもちだぁ……
「っ…、やぁっ……また胸ばっかりぃ」
「まあ好きにしてと言われても、ヤることはこれくらいしかなくて」
「そんなこと言ってぇ…、っ！ んぁ……本当に、おっぱい大好きなのねっ」
「うん、とても大好き」
「キメ顔で言うことじゃないっ…、３回も言わせ…、るなぁっ！」
口ではそう言いながらも――口ですら、語調は抵抗も拒絶も感じさせないのだけど――体は正直なようで、
貫かれながら双丘を捏ね繰り回されるのが心地よいのか、力を加えるたびに体を震わせ、可愛らしく喘ぐ小傘。
「はぁ…、いい…、おっぱいぃ……おまんこぉ……あっ…、いいのっ」
「すっかりトロ顔じゃないか…、うれしい…、っ…、ぞ」
「んぁ…、ん…、ふふふ……じゃあ私からも、好き勝手させてもらうね」
「えっ…、あっ…、あぁっ！」
溜まらず悲鳴を上げたのは、小傘の脚が腰回りに絡み付いてきて、締め付けてきたから。
きゅっと強く、小傘の柔肌に密着することを強制される。深く、小傘の奥地へと分身を突き挿れることとなる。
両腕も背中の後ろに伸ばされ抱きしめられる。抱きしめる力は妖怪じみた強さで、もはやひきはがす事はできない。
「ふふ…、あ……んぅ…、これぇ……だいしゅきホールドって言うんだよねぇ」
「っ…、う…ぁ、何処で……そんな言葉っ……拾ってきたっ？」
内側からも、外側からも締め付けられる……ヤバイっ……本当に、絞られているようだ……
深挿れを強要するように、腰に絡み付いた両脚が、強く絞まる……中に溜まっているモノを吐き出せと呼びかけているようだ。
腰回りに抱きついた腕のおかげで、胸やお腹、地肌でもより広く深く密着して、全身が気持ちいい。もう快感の逃げ場なんてない。
「ふふっ…、あんぅ……捕まえた♪ このままぁ……ん…、ちゅ……れろ」
逃げ場の無くなった僕の唇を奪い、緩い唇の隙間に一気に舌を突き入れてくる小傘。敏感になった口腔の粘膜に容赦ない刺激を与えられる。
肉棒が膣内を暴れ抉るのに合わせて、小傘の舌が僕の口内を蠢き蹂躙する。舌が上顎を舐るのに合わせて、まるで頭の中を舐られているかのような錯覚を覚える。
ぴちゃぴちゃと口内から響く唾液と舌の絡みあう音、じりじりと思考を焼き切る電流のような快感……追い詰められてゆく。
挿れながら挿れられる媚悦に、なりを潜めていた射精感が込み上げてくるのを感じる。
「ん…、ぴちゃ……はむぅ…、んぷ……はぁん……キスでおちんちんビクビクって……あっ…、ん…、ちゅ」
「んぐっ…、ぷぁ……小傘っ…、もう……イキそう」
「うん……一緒に…、んちゅ……」
僕の反応を見た小傘は恍惚とした表情で僕の唇を奪い、舌を激しく絡ませてくる。
それはまるで、近付く絶頂が待ちきれないのと言わんばかりに、射精感を促す様に、そしてより心地よい絶頂を僕に味わせるかのように。
そんな小傘にも気持ち良くなって欲しくて、侵入してきた舌に僕からも舌を絡める。
激しさを増す接吻に促されるように、腰を深く突きいれると、小傘の膣肉の締め付けもより強くなる。
小傘もきっと絶頂が近いのかもしれない。一緒にイキたい、そんな共通の欲望をかなえるべく、一心不乱に腰を打ちつける。
肉棒を引き抜く度に膣内の粘膜が精を絞り上げるように絡み付き、突き入れる毎にコリコリとした子宮口が亀頭に刺激を与える。
高まる射精感に合わせて小傘の最奥をコツン、コツンと、これから此処に精を出すよと告げるようにノックする。
「小傘っ……こがさっ…、僕……もうっ！」
「うんっ、頂戴っ！ 私の膣内にっ…、○○のせーえき…、いっぱいちょうだいっ！ 一緒にイクからぁっ！」
僕が腰を振るのに合わせて小傘も腰を上に突き上げる。ぱんっ、ぱんっ、と腰と腰がぶつかりあい、亀頭と子宮口がちゅっ、ちゅと衝突する。
膣壁は意志を持っているかのように、蠕動して精を求めてくる……既に限界ぎりぎりな僕を確実に高めてゆく。
精嚢に溜まり溜まった欲望を腰の突きに任せて解き放つように、一際強く腰を打ちつけると、それがとどめとなったのか、膣肉が激しく分身を喰い締める。
それが、僕に対してもとどめとなった
「こがさっ…、受け取ってっ…、っ！！」
「あっ…、イっちゃっ…、〜〜〜っ！」
小傘の絶頂に合わせて、腰を深く突き込んで子宮口に軽く咥えさせた先端から白濁を放出する。
とくん、とくんと根元の律動に合わせて、温かいものが精管を、尿道を通過し子宮へ直接注がれる。
精の放出に合わせて剛直を包み込む柔肉が強く痙攣し次の放出を何度も催促する。
膣だけではない。彼女の脚が、腕が強く絡み付いて、胎への精の献上を強要する。
精液を漏らすことも、射精を打ち止めることも許されず、彼女の要求に応じてドクン、ドクンと熱を放ち続ける。
「あはぁ…、んぅ……温かいのっ…、射精てるっ！ 奥にピュッピュて……当たってるの……気持ちいい」
「っ…、ぁ……か…はぁ……搾りっ……取られっ」
貪欲に精を求める小傘の膣内のポンプ運動に、２度も射精をしたにもかかわらず、欲望の脈動は終わる気配を見せない。
先端を子宮口に密着……否、軽く先端を食まれたまま、小傘の貪るような膣壁の律動に応じるように、
温かな生命素を、濃厚な遺伝情報の塊を小傘の子壺へと注ぎ込む……小傘を満たしてゆく、僕を……全て捧げる。
溜まったモノを全て空っぽにされ、よもや精製中のモノまで吸われそうになった所で、ようやく膣肉の蠕動が、やがては精管の収縮が収まる。
「はぁ…、ん……膣内にぃ…、いっぱいっ……お腹がたぷたぷって……いっぱいぃ♪」
「うん……抜くよ……くぅ…、体がっ……ふぅっ……」
満足げにお腹を撫で擦り、なんとも穏やかな表情で微笑む小傘の姿に軽く幸福を覚えつつ、空っぽにされて思う様に動かない体に鞭打ち肉棒を引き抜く。
微かに白いだけの、ほぼ透明な液体が亀頭とクレバスの間に垂れる。あとは、すっかり胎に吸収されてしまった。
卑猥に収縮を繰り返す膣口の様子に軽い興奮こそ覚えるものの、もはや股間が何か物言う様子は無い。
それよりも、満足そうな小傘の笑みだけが、僕のただひとつの達成感だった。
「小傘……」
「ん…、お腹……いっぱい」
「それはどういう意味だ」
「んふふー、それはもう、○○がイク瞬間に、いっぱい驚いてくれるんだもの」
「そうか……御馳走出来た様でなにより」
「まぁ、コッチも……いっぱいだけどねぇ……」
そう言いつつ、小傘は自分の腹部に愛しそうな視線を注ぎつつ、引き続き優しく撫で擦り続ける。
対していつもと変わらない、程良く柔肉のついた、でも引きしまった小傘のお腹。
あの中に空っぽになるまで注ぎ込んだ僕の生命素が渦を巻くように溜まっていて、万に一つ愛の結晶を生成するかもしれない、
そう考えると少しでも恩返しできたかなって、そう思う。
「さて……立ち上がらないと……っ…、あぁっ」
立ち上がろうと腰に力を入れる。膝と腕を地について全力を振り絞る、も一向に動く気配をみせない。
ここまで精を抜かれたのは初めてだ。でも小傘に捧げたって考えると、悪くない気もする。
……やっぱり情けないけど。
「ははっ……力がはいらねぇ……だらしねぇや」
「私は、○○を“食べた”からね……あんまり無理しない方がいいと思うよ？」
ああ成程。これが、心を喰うって事なのか。
小傘に驚かされたという話はあまり聞かないし、僕自身、これ程までに一日で驚かされたことはないので気付かなかったけれど、
ここまで人を腑抜けにしてしまうあたり、やっぱり小傘も流石妖怪なんだなぁって、素直に思う。
でも正直、あまり他の人の心を喰って欲しくはないかなぁって、出来れば僕の心で食いつないで欲しいなぁと思うのは我儘だろうか？
「でも夕食の準備をしないとなぁ……」
「私ならお腹いっぱいだけど」
「僕はお腹が空いたんだ……小傘の心で腹を満たせないからね」
「私が作ろっか？」
立ち上がろうと苦心する僕を嘲笑うかのように、すぐさま起き上り、するっと立ち上がる小傘。
「なんでそんなに元気に立ち上がれるんだ……」
「満たされてますから」
「いや……分かってはいるんだ、いるんだけど……」
「それで、今日のご飯は私が作ってあげるよ」
「うーむ……雨の中を助けてもらって、さらに助けてもらっては礼がしきれな……」
「いやいや、そんなにあざといこと考えてないって」
なんだか嬉しそうだ。小傘が喜んでくれるというのなら、それもいいか。
「うん、じゃあお願い、しようかな」
「ふふん、任せてっ……驚くようなモノ、作っちゃうよ」
そう言って、小傘はいつのまにやら衣服を身につけると、鼻唄を歌いながら台所へと消えていった。
驚く様なもの、というとゲテモノかなにかとも思うのだが、意外にも小傘は料理が上手だ。ビックリした。
なんだかんだで、努力家なんだなぁと思う。努力の方向性が間違ってることがあるけれど。
「あ、そうそう。○○？」
「ん？」
ふと台所から顔を出して何やら尋ねてきた小傘。
「ごはんのお礼に、夜……期待しちゃっていいんだよね」
「……」
こがさこわい。
ロダicyanecyo_0327.txt
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目の前に広がる絶望的な状況に、僕は深く冷たい溜息をつき、一人項垂れる。
僕を此処までダウナーな気分にさせるその光景とは、激しく屋根を打ち地を鳴らす大雨。
否、大雨というには一粒一粒が重たく、硬度をもち、そして何よりも冷たい。
それは雨というよりも、多分に氷の結晶を含んだ霙なのであった。
「どうして雪にならないものかなぁ〜」
辺りには突然の大雨、もとい大霙に慌てふためく人たちで溢れかえっている。
人はいれども誰も聞かないであろう独り言を、僕は誰に言うでもなく虚空に問いかける。
しかしその問いかけの中身ももっともな話。
今、此処幻想郷は冬真っ盛りで、天気はというと雪の日が続いて歩くのに苦労したり雪かきに精を出したり、
時たま晴れの日が数日続いて心穏やかになる日があっても、このように液相分を多様に含んだ水飛沫が降り注ぐ日はなかった。
そんななか突然降り始めた霙に、僕はもとより周囲の人々も大混乱といった様子だ。
今日は人里の商店まで食料の買い出しにやってきた。
前述のとおりに雨なんて降るとは思ってもいなく、雪はフード付きの厚着で済ませてしまおうなんて考えていた物だから、
この突然の大霙に対抗しうる、傘という名の神器を今この場に持ち合わせていないのだ。
仕方なく、今は商店の屋根の下で雨宿りをしている……
「無理矢理にでも突っ走って帰れば……いや風邪ひくなこりゃ」
風邪をひく、それどころの話ではない。
寒さに身を打たれ弱まった体で森の中を歩けば、妖怪に対して襲ってくださいと言っている様なものだ。
そう考えて僕は、改めて今非常に八方塞な状況にあることを強く自覚した。
寒い、体がどんどん冷え込んで来るのが分かる。屋根の下、斜めに差し込む冷たい水飛沫が衣服に吹きかかり、浸透し、徐々に、しかし確実に熱を奪ってゆく。
このまま此処に居続けるだけでも、確実に消耗してゆくのだろう。どうすることもできないと判っているから尚更悔しい。
ああ、手袋に水が浸透してきた。冷たく湿ったそれはもはや使い物にならない。そしていずれは、僕の手自身までもが……
「うう……そんなの嫌だ……早く帰らないと」
手が悴みびりびりとした痛みを訴え始める。何とかして帰る方法を考えないと……
というか周りの人間はどうしているんだろう？ こんな急な霙なら僕以外にも予測できず被害を被っている筈。
そう思って周囲に気を配ってみれば確かに、大勢の人間が慌てふためき、なんとかして身を守るものは無いかと必死に探し、
そして商店のビニール傘へと殺到してゆくのが……ああ、ビニール傘か。
「そうだ、何を考えているんだ僕は……突然の雨天の時の為のビニール傘じゃないか……」
ビニール傘は僕が雨宿りをしている商店でも売られていた。十分すぎる量を備えて。
店主の笑顔と言ったら実に雨天様々、ビニール傘様々といった感じだ。
だが丁度いい。僕の懐にも持ち合わせが十二分にある。
外界に比べると少々値が張るようだが、大風邪拗らせて病院で治療を受けたり、妖怪に喰われて葬式挙げる金を考えれば安すぎる。
此処は一つ、僕もビニール傘様々な気分を味わっても良い筈だ。というか早くしないと凍死する。
僕は藁にもすがる思いで、商店の入り口に大々的に置かれた金バケツの中に無造作に差し込まれたビニール傘の一つに腕をを伸ばし……
腕を止めた。
「あいつ……何て言うかな……」
全身を凍てつく風と飛沫に打たれ、刻々と熱を、そして時間を奪われゆく中、
急がなければならない僕の正気が疑われる脳裏に浮かんだのは、自宅にて待つ、想い人の姿……
ビニール傘を手にとって帰宅する僕を、悲しそうな瞳で、恨めしそうな視線で貫く最愛の人のヴィジョンだった。
「意外に嫉妬深いからなぁ……あいつ……」
嫉妬深い……それは愛の大きさの裏返しだ。それは僕も十二分に理解している。むしろ嬉しく思うほどだ。
しかしいくらなんでもビニール傘を買って嫉妬されるなんて理不尽すぎると思う。
というかそもそも怒られると決まったわけではない。勝手に僕が決め付けただけだ……
ああそうだ、考えてみれば理不尽なのは傘を買っただけで大切な人に軽蔑の視線を向けられるという、
実に突拍子もない考えを抱いた僕の方じゃないか。
そんなので傘を買わずして、あげく生命の危機に立たされるなんて実に馬鹿げている。
そうだ、だからビニール傘を手に取るのだ。
ビニール傘を手にとって雨風から身を守り、身を刺す様な寒さから逃れるのだ。
庵による暖房が利いていて、炬燵もあって、温かい家がお前を待っているぞ。
温かいお風呂に温かい食事……それから温かいかみさん……
ああそうだ、家にはお前のことを今か今かと待っている大切な人がいるじゃないか。
大切な人を待たせてどうするんだ、このまま帰るのが遅れたら……あるいは帰ることすら適わなくなったら……
それこそお前は一体どの面下げて彼女に謝るというのだ……
ビニール傘を手にとって帰る位なんてことないさ……ビニール傘はビニール傘、お前の嫁はお前の嫁だ、なんの関係もない。
さあ僕……目の前にあるビニール傘を手に取り、勘定し、それをさして自宅へと帰るのだ……
簡単なことだ、何を戸惑う事がある？ さあ僕、目の前のビニール傘を手に取るんだ……
でも、それでも……
「いや、僕には無意味だな……」
そっとビニール傘から手を離した。
きっと馬鹿げたことをしてるって、この上ない身勝手なことしてるって自分でも分かる。でも、後悔は無かった。
止むまで、待とう……
「はぁ……なんだか温かくなってきたな……」
止むまで待つ、そんな僕の判断を楽観的だと嘲笑うかのように、雨粒……氷粒は激しさを増してゆく。
冷静に考えれば寒さが増してゆく筈なのに、どういう訳か体がポカポカと暖かくなってきた。
まともな思考を持つ人間なら、そろそろ体にガタが来始めているんだって結論に至るのだろうけれど、
今の僕には、ビニール傘よりも愛を取るという一つの結論をつけることが出来たからだと、そんなふうに思う。
ああ、このまま凍死したら……僕は愛に生き愛に死んだことになるのだろうか？
ビニール傘差して平然と帰るのと、このまま死ぬの、あいつはどっちの方が怒るのだろうか？
……なんて考えていたらすごく自分に対して胸糞悪い気分になってきた。この上ない、なんて自分本位で身勝手な発想なんだ。
「くぅ…、はぁ……なんだか視界がぼんやりしてきた……」
斜めから差し込む雨粒が時折僕の露出した肌を打ち、漂泊してゆく。
もはや冷たいというよりも痛さすら感じる筈なのに、今の僕はなんだかぼんやりとした意識に支配されてゆく。
視界がぼやける……意識がぼやける……感覚が……ぼやける……
こんな状況を答え�８充造枠鷯陲任△襦△覆鵑童世Δ里世蹐Α�
ああ、本当に彼女が傘を手に取りここまで助けに来てくれたらと、そう思う。
……そして、そんなことあるはず無いって、家で待っている想い人が、傘を持っていかなかった僕を案じて人里までくるなんて都合のいいことあるはずないってことも。
第一、あの傘を持ってこられたら、まどろみゆく視界も、意識も、一瞬で覚醒するぐらいに目立つ……？
「……なんだあれ？」
薄れゆく視界に現れた、今しがた自分で否定したあるはずのないモノ。
いやきっとこれは幻覚かもうそうに違いない。ああ僕、もうだめだな……
目を擦る気力も、頬を抓る元気もなく、瞬きをするエネルギーもない。ただ注意を凝らして覗くのみ。
その場限りのまやかしならいっそ早く消えて欲しいのに、それは徐々に、しかし確実に鮮明になってゆく。
視界全体が……薄れかけていた意識も、感覚も、はっきりと鮮明になってゆく……
それは日本古来より高貴な色として、高い地位の象徴であった紫色で、
それは一人……いや二人を激しく冷たい水飛沫から守るのに十分大きく、
それは握る手に安心感を持たせる十分太い骨組みを持つ。
その時代遅れの顔は、冷たい雨に打たれ続け心身共に衰弱しきった僕を和やかな気持ちにさせてくれる。
そしてその傘を持つ少女は、青碧色の御髪に風邪に煽られて危うい太ももを曝すスカート、
真冬にしては少々薄い気がする水色で統一された衣服に紅と蒼のオッドアイ、それから下駄。
そこには紛れもなく、願い恋焦がれた僕の想い人、多々良小傘その人がいたのだ……
「みつけた……」
「こ……がさ？」
全てがはっきりしていた。視界も、意識も、感覚も……そして事実も。
それでもまだ僕は、何処かこのあまりにも予定調和すぎる現実に不安を覚えていて、
確かめるように、確認するようにそっとその愛しき存在へと手を伸ばす。
前へと足を踏み出す。おそるおそる、自分が地に足をつけていることを確かめるように、
今まで水飛沫の直撃から僕の身を守っていた、そして僕の存在を縛り続けていた商店の屋根の保護からはずれる。
そのまま霙の滝のなかに身を突っ込むか……そんな僕に小傘は……
「はい、傘」
「あ、うん……ありがとう」
自分の丈と同じくらいある化け傘をそっと僕に差し出すのだった。
慣性に任されえるまま、その聖なる庇護の領域へと足を踏み入れ、僕は霙を被ることなきを得る。
差しだされたか化け傘の中で、何を言えばいいのか、どんな態度を振る舞えばいいのかもわからず、
咄嗟に喉の奥から出てきた感謝の言葉を呆然と口にすることしかできなかった……
そんな、なんだか情けない僕に対して、小傘は期待の籠った瞳を僕に向ける。
「ねぇ？ 私が来たのに驚いた？」
「……うん、びっくりした」
「ふふっ、そうでしょうね。私もお腹いっぱいだわ」
そう言って満足そうにお腹を撫で擦る小傘。
彼女の満腹中枢がどういう仕組みになっているのか僕にはよく分からないが、
小傘を一瞬で満腹にさせる、それ程までに驚いているというのは自分自身良く自覚していた。
なんたって、最も傍に居て欲しい人が、最も傍に居て欲しい時に来てくれたのだ。それも半ば絶望しかけたタイミングで。
これまでも何度か、彼女には驚かされてきたが、今回のはとびっきりだった。
そのうえ驚かされた後の、後味が実に心地よい。
「まったく……私を一緒に連れて行かないから」
小傘の方も、口では不満を言って見せつつも、人の心を喰らう妖怪の本懐を、
本来の方法とは少し違った形であれ達成できたことでなんだか嬉しそうだ……
それとも……僕に傘を渡す事が出来て良かった……そう考えるのは惚気過ぎだろうか？
「此処の所雨降って無かったし、人里にはあまり小傘を連れてきたくなかったからね」
「その結果がこれね……」
「うん、深く反省した……その……」
「……？」
とりあえず、言わなきゃいけないことを言ってみる。既に言ったけれど、面と向かってもう一度……
「ありがとう……助かったよ」
ああ、顔が熱い……体が熱い……。普段はおどけた態度の小傘に、僕もつられておどけているものだから、
こうして面と向かって感謝の気持ちを伝えるのは凄く恥ずかしい。
「どういたしましてっ♪ さ、帰りましょ」
照れ隠しなのか、彼女本来の恥の薄さゆえか、小傘は軽く舌を出して僕に応えて、そして帰り路へと向きを変える。
小傘に促されるままに、歩きだした小傘の持つ、化け傘の傘下からはみ出さぬよう豪雨の中を歩き進める。
「本当に、この雨の中遠い所よく来てくれたよ……」
「当然じゃない……私は○○に拾って貰った傘だもの♪」
「小傘……」
僕に拾って貰えた、どうやら小傘はこの言い回しが好きらしかった。
僕としては、小傘に驚かされて、何度も何度も驚かされて、次第に懐かれて、僕の中にも恋心が芽生えて、
気が付いたら小傘の事が大好きで、だから僕を求める小傘のことを受け入れて、そして一緒に暮らす様になった、
思い出としては、一言二言では語り尽くせないほど色々なことがあったけれど、流れは単純。
でも捨てられ傘から生まれた小傘としては、ずっと一緒に居てくれる存在が出来たことが嬉しかったみたいで、
そんな訳か僕との出会いというか狎れ初めを“拾って貰った”と形容するのが好きみたい。
それは、僕としても嬉しいことなのだけど、でも本当は……
「拾って貰ったのは、僕の方だよ」
「へ？」
暫く間をおいた雨の中の帰り道、突然僕の口からでた言葉に小傘はきょとんとする……
いつもはお互いにおちゃらけていて、なかなかに言う機会が見つからない、でも大切な言葉を、
僕は今、折角胸が熱くなってきたから、霙に打たれて冷めきってしまう前に、熱い想いに乗せて続ける。
「小傘と出会えたから、幻想郷に来て不安ばかりだったけれど無事に生きてこれた……
小傘と出会えたから、こんなにも楽しい毎日が送れる……
小傘と出会えたから今の僕がいて、それに今とても満足しているんだ……」
「○○……」
「僕は……小傘に拾って貰ったんだ……」
言い終わると、顔をほんのりと赤く染めて、軽く下を俯いて閉口する小傘。
普段めったに恥ずかしがることの無い彼女なだけに、この反応はちょっぴり嬉しい。
でも、代償もでかい。冬の冷たい外気に吹かれ、クールダウンしてきた思考が、
今、自分はとんでもなく恥ずかしいことを平然と口走っていたという事実を、僕の前に突きつける。
もし小傘が照れる顔を見る為だけにこれだけのことをしたというのなら、これは実に大きすぎる代償だ。
でも紛れもない、僕の正直な気持ちだから、多少の犠牲を払ってでも言わなきゃいけないことだから、
悔いなんてない……羞恥心にも勝る達成感があった。
「その……○○……」
やがて暫く歩いた後に、小傘が口を開く。やっぱり少し恥ずかしそうに、でもなんだか、とてつもなく嬉しそうに。
「これからも……○○を、○○を守るから……雨の下から守るから……小傘は○○のものだからっ！」
「ああ……僕も、もっと小傘と一緒に居たい、雨の日も晴れの日も、いつも何処でも、僕は小傘のものでありつづけたい……」
最後には、不思議と恥ずかしさがなかった。代わりに不思議な充足感が、僕の心の中を満たしていた。
それから、小傘への、好きだ、愛してるの気持ちが胸の中を渦巻いていた……
ああ、小傘の顔が眩しい……いつものような明るい笑顔とは違うけれど、でもきっと幸福そうな笑顔が、凄く眩しい……
なんだろう、いつも平然と見ていた顔が、なんだか今は直視できない……それでいて、もっと見ていたい……
小傘の顔……見ていたい。ああ、これはあれか……
「惚れ直した……」
「ん？」
「小傘に傘を持ってきてもらって、改めて小傘のこと、好きになった」
「えへへ……」
負けた。僕は小傘に負けた。
小傘の、一世一代きっての驚かせ大勝負は、確実に僕の心をとらえて喰らうに至った。
身動きが取れないなか、ただ体力が削られゆくのを待つしかない、絶望の中に立たされた僕に、
僕が最も傍に居て欲しいと願った存在は、遠く遠く人里の外れの森の奥からやってきた。
それはただ僕の、傘を持って行く必要がないという油断が、そして小傘がいなくても自分は平気という慢心が生んだ結果、
窮地に立たされた僕を救うという、ただそれだけの為に、傘を渡す為に、傍に居る為だけに来てくれた。
そんな小傘の、妖怪としての、あるいは恋する女としての大勝負は、結果僕の負け、小傘の勝ち。
最初から敵う筈がなかった。雨の中、唯僕の為を想って傘を持ってくる、そんな芸当に驚かずにいられる訳が無かった。
勝負に負けた僕はただ小傘に屈服し、敗北感を味わう。僕はもはや小傘がいないとただの弱い人間なんだという証。
もちろん負けたことへの悔しさなんてない。あるのは、ただ小傘への愛。
そしていつか、小傘がとびっきり驚くぐらいの恩返しをしてやりたいという、ささやかな復讐心。
「○○…？」
「ん？ なんだ？」
「好きなら……さ、腕組んでもらってもいいかな？」
といって、傘を持っている反対の方の腕が差し出される。
それはつまり、今二人が横に並んでいるのだから、傘を持つ手が外側で、
でも霙から二人を守るために傘は僕達の中心にいなければならないわけで、
つまりは、小傘の外側の腕も内側へと指向性を向け、結果的に僕たちは物凄く密着することになる。
「お安いご用で」
「んふ……」
自らの腕を。差しだされた小傘の細い腕に絡める。
細い、とはいってもこの馬鹿でかい化け傘を軽く使いこなす妖怪じみた力強い腕なのだが。見た目は壊れそうなくらい細い。
前述の通り、僕の小傘は隙間ないほどに密着する。温かい、小傘の小さな体から温もりが伝わってくる。
手と手を絡める……指と指が、手のひらと手のひらがぴったり密着する。小傘の手は温かいなぁ……
「○○の手、冷たいね」
「ずっと外に居たからね……小傘は寒くないのか？ 結構薄着な気がするけれど」
夏のころよりも、上半身は幾分か厚着になったとはいえ、正直人間の平均的なこの時期の出で立ちからすると大分薄い。。
でもそれ以上に下半身が色々と薄い気がする。
決して短いスカートではないのだが、薄っぺらい材質と余裕のある構造の所為か、
風雨に煽られて時折見える健康的な太ももが如何にも悩ましい。太もも……いいよね。
じゃなくて、見ているこっちが不安になる程度には薄着である。
「私は妖怪だからね……これくらい平気なの」
「そうか……まあ小傘がそう言うなら大丈夫なんだろう」
「○○こそ……体、冷え切ってるんじゃない？」
「ああ、さっきまで寒かったけれど、小傘が来てくれたからそんなの無くなった」
「それって……ただのやせ我慢じゃない？」
呆れた様な、馬鹿を見る様な小傘の視線が突き刺さる。うん、そう思われても仕方がない。
でも温かいものは温かいのだ。
「小傘の体が、温かいからさ……僕は大丈夫なんだ」
「ふぅ〜ん、じゃあもっとくっついてあげる」
「あっ……ん、ありがとう小傘」
組んだ腕を、小傘にぎゅっと引き寄せられる。
それは紛れもない、妖怪様の力強さ。おもわずバランスを崩しそうになるくらい強く、引き寄せられる。
小傘の温かさをより至近距離で感じる。冷え切った僕の体に小傘の熱が注がれる。
でもそれ以上に小傘の心遣いが、気遣いが温かいなぁ……
もう二度と離さないように……手放してしまわぬように僕も腕を組み返す。
それだけでは足りなくて、小傘にありがとうの気持ちを伝えたいというエネルギーの行き場が欲しくて、
だから僕は……
「傘、僕も持つよ」
「えっ、あ……う、うん……一緒に」
購入した食料の入った袋を腕に通して、僕の体を冷たい飛沫から守ってくれている唐傘をそっと握り締めて持ち上げる。
ずっしりと重い、これを平然と使いこなすあたり、やっぱり小傘は妖怪なんだなぁって思う。
ぎゅっと掴む、これもまた、小傘の一つの感触。
迎えに来てくれたことへの感謝を、霙雨を防いでくれることへの感謝を、
いつも僕と一緒に居てくれることへの感謝を、驚かしてくれることへの感謝を込めて握り締める。
それをっ見た小傘は、嬉しそうな、半ば蕩けた様な眼差しで目の顔と手を交互に見つめ……
「これってさぁ、相合傘だよね」
僕の手の上に、その小さな手をそっと重ねてきた。
「ふふふ……」
突然の小傘の行動と、含み笑いにどきっとする。また小傘に驚かされた。
ただ手が触れるだけの何事もないことなのに、現にもう片方の手は深く絡み合っているというのに。
平然と何事もないように微笑む彼女は、これくらいなんともないのか、それとも僕が狼狽する様子を心の中で楽しんでいるのか。
それはわからないが、ただただ手の甲を包まれ注がれる熱が、ひたすらに温かい。
人里を抜けて森に入り、辺りに人の気配はない。少しほっとする。
あまり二人で逢瀬などしたことが無いものだから、まして人里に二人で来るなんてなかったから、
小傘に相合傘って言われて、正直周囲の目が堪らなく心配だった。
霙雨が地を打つ以外には至って静かな静寂の森。特にお互いに言葉を交わす事もない……
沈黙……でも気まずいわけじゃない、だって小傘の表情はとても嬉しそうで、それを見つめる僕も嬉しい気分になれるから。
早くお家に帰って暖まりたいと思う一方で、もう少しこの逢瀬ごっこを楽しむのもありかな、なんて思ったりもする。
そんな一時はあっという間に過ぎ去り……
「ふぅ……着いた」
「お疲れ、○○」
「小傘こそ、お疲れさん……それから、改めて今日はありがとうな」
「ふふっ、もうそれはいいって」
呆れた様な、でも照れているようにも見える、そして何より嬉しそうな表情の小傘。
自宅に上がった僕は、化け傘を手に取り布巾で水飛沫を拭き取ってやる。
小傘の能力の所為か撥水使用になっているらしく、サッとふき取るだけで簡単に水を拭い去ることが出来る。
拭き残しの無いように丁寧に丹念に全体を拭いてあげて、小傘に渡すと後光が差しているかのように眩しい笑顔を見せてくれた。
今日は色々あって疲れた、肉体的にも精神的にも。まだ日は明るく晩御飯の支度までは時間がある。
一先ずこの体を休めよう、そう思い僕はベッドに腰掛ける……
ふわりと柔らかい感触が僕の体重を支える。思わずこのまま眠りたくなる衝動に駆られるが、小傘を蔑ろにはできない。
「さて、晩御飯までは時間があるし、どうしようか？ 小傘……」
小傘に声をかけながら、ベッド上の僕の横の空いているスペースを手のひらで整えてみせ、軽くたたいて小傘に座るように促す。
僕の提案に、小傘は甘えるようにベッドの上へと腰を降ろし、そして僕の体に体重をかけて、肩に頭をちょこんと乗せてきた。
「ねえ……○○？」
おずおずと、小傘が僕に尋ねてくる。顔には不安そうな、いまにもくしゃくしゃになって壊れそうな表情を浮かべて……
いつも明るい小傘だけれども、一日に必ず一回は、こうして不安げな、今にも壊れてしまいそうな表情をする。
いつもいつも毎日、僕はその度に説得して、それは成功するのだけれど、でも次の日にまた同じことの繰り返し。そして慣れることは無い。
ああ、やめてくれ……そんな不安そうな表情をされたら……僕まで不安になってくる……見たく、ないんよ。
「なんだ？」
「私……○○の役に立ったかな？」
見たくない、小傘の不安そうな表情……猪突猛進を地でゆく小傘が唯一不安を覚える話題は、いつも同じだ。
見たくないから、小傘の不安そうな表情は見たくなくて、まして不安の要因が僕の想いにあるなんて耐えられなくて、
だから僕は、正直な気持ちを思いの丈を込めて語りかける。
「当然だろう？ 大役立ちさ……小傘がいてくれなかったら本当に困ってた」
「その……」
僕の答えにもまだ不安を拭いされない様で、小傘は言葉を詰まらせながら、不安を……小傘を覆い続けている不安を打ち明けてくる。
「私のこと、ずっと傍に置いてくれる？ 私のこと……捨てない？」
この問いかけも、もう幾度となく繰り返した。その度に僕は胸が締め付けられそうになる。
どうしても不安を拭いきれない小傘を、責める気にはなれない。なれないけれど……
「ああ、絶対に捨てないよ」
でもいつか、この問いかけが、不安が小傘からきれいさっぱり無くなる日を夢見てる。
「だから小傘、自分が、僕のモノのような言い方は、まして使い捨て品のような言い方は……よしてくれ」
「……ごめん……でもどうしても、不安で」
「ああ分かってる……だから毎日教えてあげる」
僕の愛が小傘に伝わらない、なんて思わない。伝わっているんだ。きっと後は、時間が解決してくれるってそう信じてる。
「小傘は、可愛らしくて、綺麗で、僕が不釣り合いな程に美人で、心も綺麗だ。本来なら僕の方が捨てられてしまうんじゃないかって心配になるほどにな」
「あぅ……そんなこと」
「いいやっ、そんなことある。僕も小傘と同じ、小傘に捨てられるんじゃないかって不安を抱えて、捨てられないように努力して、そして小傘のことを信じようとしてる、毎日ね」
少し、小傘の頬が紅く染まる。それ以上に僕は顔が熱いのだけれど、ああ恥ずかしさで熱いのだけれど、でもどうしても伝えたいから。少しの辛抱。
「それに、ずっと分かっていたつもりだけど今日改めて分かった。僕、小傘がいないとダメなんだ……生きていけない」
「あう……○○……」
「なぁ小傘、僕のこと、ずっと傍に置いてくれる？ 僕のこと……捨てない？」
なんだか皮肉っぽくなってしまったが、というか実際皮肉だけど、でもこれは僕の切実なお願い。
「そんな、○○を捨てモノになんてしないからっ……そんな言い方やめてっ……？ ……あうぅ」
きっぱりと言いきって、そして僕の皮肉に気が付いたのか、恥ずかしそうに縮こまる小傘。
「な、お互いさまだ……」
「あは……あははは……」
「その、上手く証明は出来ないけれど、僕は小傘のこと愛していて、絶対離したく……ないからさ」
「……うん」
「今すぐ信じきれなくても、ゆっくりとでいいから……いつまでも、僕……待ってるからさ」
「うん……ありがとう」
すっかり不安の抜けきった表情で、僕に向かって静かに微笑み、そして体を寄せる小傘。
少しでも安心のひと時を、長く幸せに過ごして欲しくて、僕は彼女の頭を抱き寄せそっと撫で擦り……
「どういたしまして……こちらこそ、ありがとうな」
と声をかける。僕の単純な脳ミソが導き出せる、やっとの最善策。だがこんな足掻きのような策でも、僕は幸せになれる。
「それで、これからの時間どうしようか？」
「んふぅ……○○に甘える♪」
「ああ、こうやって過ごすのがいいな……僕も小傘に甘えたい」
小傘の肩をそっと抱き寄せて、頭を寄せ合う。
心底惚れて、恋焦がれた最愛の人にこうもべったりされると、もう頭がどうにかなってしまいそうだ。
……いやいっそ……どうにか、なってしまいたい。
小傘の香りが、甘ったるいいい匂いが僕を包み込む。くらくらする。それでいて、身も心も安らぐ。
「小傘……」
「ん……」
「何かして欲しいことは無いか？」
「んー？ どうしたの急に？」
「その……、どうしても小傘のことを労ってあげたくてさ……」
霙の中から救ってもらえて、その上癒しまでもらって。
それはとても嬉しいことだけれど、だからこそ何かしてあげたいって思う。
申し訳ないとか、男の沽券だとか、そんな事よりも、純粋に小傘の為に尽くしてあげたい。小傘の為に役立ちたい。
小傘が、自分は僕の物だと言ってくれた同様に、僕も小傘の物でありたいから。
「ご褒美に欲しいものとかないか？」
「欲しいもの？ 欲しいもの……」
僕の提案に対し小傘は腕を組み、目を閉ざして眉間に皺を寄せ、考え込んでしまう。
態とらしい仕草が滑稽で、でも可愛らしいと素直にそう思ってしまう。
「あー、あんまり難しく考えなさんな」
「……欲しいものって何でもいいの？」
少し悪戯っぽく尋ねてくる。なにか思いついたのだろうか。思いついたのは欲しいものか、あるいは僕への悪戯心か。
「あー、流石に手に入らないものとか買えないものはＮＧな。無理なものは無理という訳だ」
男の二言とは我ながら卑怯な気もするが、一応保険をかけておかないと。蓬莱の玉の枝とか要望されても何もしてやれん。
ともかく、これで良からぬ考えは遮蔽できた。見ろ、小傘の残念そうな顔……
……あらあら小傘さん、とても嬉しそうな顔してどうなさったの？
「そう……それなら問題ないわね……欲しいものは、此処にあるもの……」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、片手をそっと僕の頬に当てて、そして僕の顔に急接近する小傘。
左右異色の瞳が、各々狙いを定めるように、獲物に標準を合わせるように僕の瞳を覗き込む。
「○○が……欲しいな……」
また驚かされた。
はたして僕の目の前にいるのは、人を驚かすのに苦心しているとは到底思えない程の妖艶さを湛えた、
紛れもなく人を驚愕させてその心を喰らう妖怪としての、本性をむき出しにした小傘だった。
「ははは……それって結局いつもと一緒の……」
「うん、いつもと一緒。だめかな？」
言葉は疑問形でも、表情は疑問の体裁をしていない。暗に、断ったら無理矢理にでもと言っているのか。
まあ断る理由なんてないし、いつものことならお安い御用なのだが。
「もちろん……僕にとっても一番準備がしやすくて、あげたいもの……御褒美にあげるよ」
「んふ……頂戴♪」
小傘の紅潮した表情が、徐々に荒くなりゆく呼吸が、彼女の興奮を、期待を物語る。
物欲しそうに僕の目を見つめて……否、僕の目より幾分か下にある器官を切なげに見つめて、薄紅の双弁を突き出してくる。
今僕の視界に映り込む小傘のカラダの中でも、最も柔らかくて、弾力があって、美味しそうな所……
外部に露出した粘膜は、触れあってみたらきっと気持ち良くて、幸せな気分になれることを保証してくれるのだ。
近付ける、視界の中で鮮やかなピンクの存在が大きく広がってゆく。これからすることへの期待に口元がむずむずしだす。
期待の籠った小傘の瞳は、やがて静かに瞼の中へと消え、かわりに唇が前へ前へと突き出される。
小傘に誘われる様に僕も目をゆっくりと閉じる。情報の７０％を失い、唇の先の感覚が鋭利になる。
あげたい、小傘に。欲しい、小傘のが。
目的の果実は見えなくても。一際強い熱を放っているから、僕はそれを辿るだけでいい。
「ちゅ……」
「……っ…、んふぅ」
僕の唇と小傘の唇が、優しく正確に重なる。
二人の唇は乾いている筈なのに、触れあった瞬間、頭の奥底にまで接吻独特の水音が響く様だ……
触れただけなのに、軽くくっついただけなのに唇の味を感じて、口内では唾液の分泌が始まる。
飢えた唇が、疼いた唇が一気に満たされて歓喜の声を上げる……
「ん…、っ…、んむぅ……」
そっと彼女の頭の後ろに手を回す。無理な力がかからないように、綺麗に整えられた青碧の御髪を乱さないように優しく。
もう片方の手は背中に、両の手でギュッと抱きしめ、可能な限り広い接触面積を確保。小傘を堪能する。
唇を動かすことなく、腕も体も動かすことなく、小傘の熱を、匂いを、内なる鼓動を感受する。
数十秒の間、ただ唇が重なるだけの静寂で至福な時間を満喫し……
「んぷ…、ぷぁ……はぁ…ん」
ゆっくりと唇を離す……
「はぁ…、んぅ…、キス……気持ちいい……」
既に出来上がった、興奮で紅潮した顔で小傘が淫蕩に呟く。
出来あがった、とは僕も人のことは言えない。僕も確実に、唇が齎した魔力に中てられてしまった。
ただ一回、それも軽く触れあっただけなのに、唇を離してもなお体表面をピリピリと痺れが走るようだ。
触れただけでこんなにも狂わされてしまったのなら、もっと深く濃厚に交わったらどうなってしまうのか、実に先が思いやられる。
一度満たされることを知った唇が、そしてその先にあるもっと深く甘い充足を垣間見た口唇が、悶々としだす。
「もっと…、してくれるんでしょ？」
一度スイッチが入ると、もう小傘はいつもの、無邪気で、無鉄砲で、色事を一切感じさせぬ振る舞いの小傘ではなくなる。
目の前に居るのは、誰よりも僕のことを知り尽くしていて、僕を驚かせ虚を突き、心を貪ることを至上の幸福とする妖怪様……
僕の唇の疼きを、口腔の乾きを見抜いて、誘う様に……色っぽく、でも優しく囁く。
それは一方で、小傘も僕と同じだという証拠。小傘も、キスが気持ち良くて、唇がもどかしくて、深く交わりたいという裏返し。
そこに……二人とも幸せになれる唯一の方法がある。
小傘に幸せをあげる為に、僕自身幸せになる為に、再び小傘に唇を捧げる。
「ちゅ…、ん…、ふぅ…、ん……」
そっと、ぴったりと触れあう。
今度は目を見開いたまま、小傘の大きな碧色と緋色の眼差しを見つめたまま、唇を重ねて僕たちは一つになる。
触れあってすぐに、オッドアイは甘美なキスの魅力にふにゃりと蕩ける。でもきっと、僕の瞳も同じこと。
小傘の唇は温かくて、アツアツで、触れているだけで唇が、やがては顔全体が蕩けてしまいそうだ。
「ふっ…、ん…、ちゅ…、んむぅ……」
今度はすぐに唇を離して、また口づけして、そしてまた離して……何度も何度も口づけを交わす。
唇同士が密着して離れるその瞬間に、唇で気持ちいい電流の様なものが弾ける。
その快感欲しさに、繰り返し小傘に口づけをする。もっと欲しい……小傘にももっとあげたい。
「ちゅう…、ちゅ…、ん…、ちゅむ……」
小傘の方からも、積極的に僕の唇を啄みに来てくれる。
お互いに口唇を繰り出すうちに、いつしかどっちがどっちに口づけをしているのか分からなくなる。
でも、どっちでも同じ。二人の唇と唇の距離が無くなって、離れて、また無くなってを繰り返すことに変わりはない。
もっと小傘の唇を……小傘を味わいたい。小傘に、味わってほしい、食べて欲しい。
「ちゅ…、ん…、んんっ…、んぅ……」
小傘の肩に手をかけてそっと力を加えてゆく。
このままベッドに押し倒してしまいたい、小傘を全力で堪能したい、そんな一心で腕に力をかけてゆく。
ところが……
「ちゅ…、んっ…！ ぁ……」
「んぷ……ふふふ……」
力をいくら加えども小傘の体はベッドへと沈むことは無い。それどころか代わりに、僕の視界が徐々に傾いて行く。
小傘を見据えていた視線は徐々に空を仰ぎ始め、天井へと至ると同時に、背中を柔らかい感触が包む。
何が起こったのか、キスの甘美な快楽に恍惚としていた僕はその問いに答えることが出来ない。
状況が把握できたのは、僕の両肩に加えられた力を認識し、その発生源を辿った所に小傘の顔を認めた時だった。
「ご褒美……貰うんじゃないのか？」
「無理矢理奪う方が楽しいし、あなたも驚いてくれるもの♪」
僕をベッドへと押し倒した張本人は、右の蒼の瞳に嗜虐を、左の紅の眼差しに情愛を輝かせる。
肩にかけた手をゆっくりと滑らせて、僕の手首を固定し、そのまま僕の体の上へと圧し掛かる。
小傘の体は見た目以上に軽くて、そのうえ柔らかく圧し掛かられるとそれだけで気持ちいいと全身が歓喜に震えるほど。
でも、気持ちいいとは関係なしに、僕の体は完全に四肢を封じられて身動きが取れなくなった。
ゆっくりと小傘の体が近付いてくる。胸がドキドキする、先程のキスの所為か唇に注意が向く。唇が視界の中で拡がる。
あわや喰らいつくのか、という所でぴたりと動きを止める小傘。
「お腹いっぱいになるまで、驚いてもらうね」
淫蕩な声で囁きかけると、唇の割れ目から舌先を伸ばして自らの唇をペロリと舐めまわす小傘。
乾いた唇が、見る見るうちに潤いを取り戻してゆく。つやつやと輝くそれは、ルビーのよう……
美味しそうな小傘のそれは……しかし今、食べられてしまうのは紛れもなく僕の方なのだ。
再び小傘の唇が迫る。食べたい、と思って接近するのと食べられる、と思いながら見守るのだと心持も違うものだ……
……否、やっぱり同じだ。どちらにせよ二人とも気持ち良くなって、蕩けあって、幸せになることになんの変わりもない。
「ん…、ちゅ」
かくして唇は再度ぴったりと密着する。少し離れていた所為で寂しさを覚えつつあった僕の唇が、悦びで満たされてゆく。
満たされる、満足する。僕一人ではなにもかもが足りないから。小傘とこうして繋がって、埋めてもらう事で満ち足りる。
「ちゅ…、ちゅう……ちゅむ…、ちゅ……」
さっきのとは違う、潤いに満ちた……小傘のエキスを潤沢に塗された唇に、何度も何度も口づけをされる。
しっとりと湿った唇は、よりぴったりと僕の唇に調和して、馴染んでゆく。溶けあう。蕩けあう。交りあう。
触れあうだけの、ファーストキスしたての恋人同士がやる様な切なげなキスなのに、どうしてこうも飽きないのだ……
初めて小傘の唇を奪ったその日から、小傘に初めてを捧げたその日から今に至るまで、一度もこの口づけを惜しんだことはない。
初めてした時の甘酸っぱい感触が、唇が触れるたびに思い出される……、
否、回数を重ねるごとに、切ない、初々しいキスは甘酸っぱいフレーバを帯びてゆく……
「ちゅぷ……ふふふ、キス……気持ちいい……気持ちいい？」
「気持ちいいよ……小傘……」
「ふふん…、ん…、ふぅ…、ちゅ……」
僕の気持ちいいという言葉に、小傘は少し恥ずかしそうに、でも嬉しさを隠し切れないのといった風に微笑むと、
もっと“気持ちいい”を求めるように、もっと“気持ちいい”を僕に与える為に再び唇を落とす。
「ちゅ…、ちゅう…、ちゅ…、ん……ちゅく……」
小傘の前に無防備な僕の唇が、何度も何度も啄まれる。
僕の唇に、僕との接吻に興奮して夢中になっている小傘の様子に中てられて、僕も小傘に夢中にさせられてゆく……
小傘の唇が欲しい、もっと欲しい。小傘が欲しい。大好きだ……僕の体の上で唇を貪る少女が愛しい……
「ちゅぷ…、ん…、あむっ…、ちゅる」
小傘は少し唇の隙間を開けると、僕の下唇を挟み込んで、ちゅるちゅると吸付く様にして口内へと含んでいった。
普段食べ物を吸い、口に含み、咀嚼を助ける為の器官が、今は小傘に吸われ、食まれて、咀嚼されようとしている。
小傘に下唇を食べられている……小傘の物にされようとしている……気持ちいい。全身の力が吸われてしまいそう。
もっと吸われたい、食べられたい……その一心で、小傘がしやすいようにそっと唇を差し出してやる……
「ちゅむ…、はむっ…、ちゅ…、ちゅぅ……」
深く、小傘の唇が僕の歯に当たるくらい深く喰らいついて、貪られる。
唇をにゅるにゅるとスライドさせて、ちゅっちゅと強く吸付いて、んむんむと唇で咀嚼を繰り返す。
ねっとりと唾液を塗した舌が小傘の口内で僕の下唇をたっぷりと舐り、潤いを齎してゆく。
熱い……小傘の熱い舌は、チューイングキャンディを舐めるように、僕の唇を転がして、溶かしてゆく。
「ちゅぷ…、ん…、ぷぁ……」
名残惜しそうに僕の下唇を解放する小傘。たっぷりと小傘のエキスを塗布された唇から、粘性の液体が垂れる。
彼女の色っぽい姿に、卑猥な接吻にめくるめく興奮を抑えきれず、呼吸が荒くなる。
小傘は無言で、顔を傾けて上目遣いに、アイコンタクトを測る。
無言のままで、碧と緋の視線が語りかける、『キス、気持ちいい？』『キスで、興奮しちゃった？』『私とのキス、好き？』
そんな反則的な可愛らしい仕草の前に、僕はただ黙って頷き、溜まりに溜まった唾液を喉を鳴らして飲み込むことしかできない……
「ん…、ちゅる…、ちゅぅぅ……」
下が終わったら当然……と言わんばかりに、今度は僕の上唇に吸付く小傘。
ぷっくりと膨れた、弾力のある唇は淫らな水音を奏でて僕の唇を口内へと受け入れてゆく……
上唇を強く唇で挟まれて、軽く歯を立てられる。その度に、僕の唇を発散元に全身へとめくるめく快感が走る。
本物の咀嚼の様に痛くは無いけれど、本当に咀嚼されているみたいに、唇が解れ、蕩け、小傘の糧になる。
口吸いによる強力で甘美な快楽は、いつまでも慣れることなく僕の中に驚きを生み出し、小傘の欲を満たしていくのだろう……
「ちゅむ…、ちゅる…、ちゅ…、ん…んぷ……」
散々上唇を舐り、嫐り、我がものとした後、後惹かれる様に唇を離す小傘。僕は途端に唇に寂しさを覚える。
少し僕の顔から距離を置いて、小傘の表情の全容が明らかになる……
僕を散々驚かせて、待望の人の心に豪快に齧り付くことが出来て御満悦な表情は、
しかしまだまだ先にはより深いがあることを知って、期待の眼差しを、蠱惑の視線を僕に向ける。
「こ…が……さ……」
「んぅっ……はぁ…ん……♪」
僕の呼びかけに、小傘は甘い声を漏らしながら体を震わせて、表情を破顔させる。
僕の両手首に枷をしていた両手が、そっと首元へと差し込まれる。
絹の様に滑らかな感触の白い手が、少しばかり敏感になった首筋周りを円を書く様に刺激する。
気持ちの良い感触に思わず声が出そうになるのを必死に堪えていると、徐々に上へ上へと小傘の手が上り詰めてくる。
ふんわりと、僕の顔が小傘の手によって包まれる。親指と人差し指が頬を軽く挟み、引き延ばす様に動く。
僕の顔を両の手で固定して、小傘の唇がそっと開く……
「私の舌で……○○のお口の中をさでずむしてあげる♪」
淫蕩な囁き声が僕の耳に入る。それだけで、これからすること、されることの期待に全身を穏やかな快感が走る。
顔を固定されて、逃れることが出来ない僕の唇に、ゆっくりと、確実に小傘の捕食器官が迫る……
微かに開いた唇の隙間からは、貪欲に蠢く小傘の口腔が垣間見える。もうすぐ……味わえる……堪能できる。
「ん…、ちゅ…、ちゅう…、ちゅく……」
僕と小傘、二人の口唇が重なり合う。ぴったりと、まるで元々双対のものであったかのように、隙間なくぴったりと咬み合う。
先程までの、口先同士が触れ合うだけでもなければ、切なげに片唇をしゃぶるだけでもない……
顔の角度を少し傾けて、ぴったりと深く混じり合う、二人が一緒になれる、そんなキス。
唇に与えられる快感と、大好きな小傘と愛し合える幸せに、
そして小傘にももっと気持ち良くなってもらいたい、幸せを感じてもらいたい、その一心に、
僕は自由になった腕を小傘の背中と頭に回して、ぎゅっと強く抱きしめる。
「ちゅ…、はむっ…、んっ……ふふっ、抱きしめてくれるんだ♪」
「もう置いて行ったりしない……離さない、離れたくないって約束だ……」
「あ…はぁ、ん……嬉しい……離さないで……もっと強く…、んっ…、ちゅ……」
開閉を繰り返しながら、吸引するように僕の唇を食む小傘。
口元を包む心地よい感触に、僕も恩返しの気持ちを込めて同じように唇を動かす。
触れ合うだけの接吻から始まった口戯は徐々に激しさ、深さを増し、お互いの受け入れ合いを、愛し合いを浮き彫りにしてゆく。
「ん…、ちゅる……」
何か柔らかいモノが歯茎を伝って僕の口腔内へと差し込まれる。
散々焦らされた口腔が、そしてその柔らかいモノの正体を、その味を覚えてしまった僕の口内が歓喜に震える。
焦れていたのは小傘もだろう……まさに嬉々とした様子で、柔らかな舌は上顎を伝って奥へ奥へと侵入する。
「ちゅ…、れろ…、ぴちゅ…、ちゅく……」
唐傘お化けのチャームポイントともいえる小傘の舌は、しかし普通の女の子のそれと同じで、小さくて、柔らかい。
ただ、僕を驚かす事に特化し続けたその動きは、僅か数秒で僕を魅了し、悶絶至らしめるに十分なのである。
ずん、ずんと喉奥の方へ舌が差し迫る。まるで何処までも伸びてきそうな動き。
奥の方まで舐めたい、舐りたい、蹂躙したい……そう、さでずむしたいと言わんばかりに、意志を持ったように蠢く。
口内を犯される快感に、そして小傘に尽くされる心地よさに僕は堪らず、小傘の舌の裏に自らの舌を重ねてそっと舐め上げる。
びくんっと僕の腕の中で小傘の体が震える。僕からのレスポンスに驚いたのだろうか？
でも至極幸せそうな表情だ。もっとその表情が見たい、その一心で小傘の舌をさらに舐る。。
「れる…、ん…、ちゅる…、ぴちゃ……」
小傘の舌への奉仕に、小傘もさらに応えるように僕の舌に絡み付いてくる。
それは溶けてしまいそうなほど柔らかくて、熱い。本当に蕩け続けているみたいな感触。
でも、蕩け続けて無くなるなんてことは無く、代わりに僕の理性とか、思考とかが溶かされてゆく。ドロドロと溶けだす。
味なんてしない筈なのに、小傘の舌に多分に塗された唾液は僕の味覚を刺激して、仄かな甘みを齎す。
甘い、小傘の舌が甘い。もっと味わいたい……その一心で小傘の舌に自らの舌を絡め、蹂躙を受ける。
「ちゅぷ…、あむ…、くちゅ……」
舌が絡み合う度に頭の後ろにまで響く様な淫らな水音を奏でて、僕に快感を齎す。より、その気にさせる。
小傘も、何かに取りつかれた様に、徐々に激しくて深い、濃厚なディープキスを繰り出してゆく。
僕の舌に巻きつく様にして絡み付き、喉の入り口の方まで這いずり回り、口腔内をぐるぐると掻き回してめちゃくちゃにする。
めちゃくちゃにしてくれたお礼に、僕も必死に小傘の舌を追いかけて、捕まえて、交わり合いを求める。
僕の口内を蠢き、蹂躙し、凌辱する小傘の舌に、
まるで頭の奥底にまで、体の幹にまで舌を突っ込まれて掻き回されているような錯覚を覚える。
「ちゃぷ…、ちゅく…、ちゅぴ……ん…、ぷぁ……はぁ」
頭に酸素が回らなくなった頃、タイミングを見計らったように小傘の舌が引き抜かれる。
口元の間に架かるものを、普通なら銀色の橋と表現したい所だが、押し倒された、上下関係の中で架かるそれは、
橋、にはなりえず、銀色の塔が、ひたすらに僕の口内に降り注ぐのであった。
「はぁっ…、はぁっ…、はぁ……」
薄くなった酸素濃度を回復するべく、必死に荒い呼吸を繰り返す。
ぼやけた視界に小傘の唇が、僕の口を散々嫐った唇が妖しく微笑む様子だけが鮮明に映り込む。
「あはぁ……もうすっかりトロトロだぁ」
「小傘だって……すっかりふやけた顔になってるよ？」
「だってぇ……いっぱい驚いてくれるんだもの……嬉しくなっちゃった」
「そう……か、満足して頂けたようで何より……」
「ん？ ふふふ……」
僕の言葉に、小傘は妖しい含み笑いを返す……
それは紛れもなく、身動きの取れない獲物を見つけた時の、獣の顔。
小傘が食べるのは人の心だけれど、でもそれでも同じこと。今し方のキスで、今の僕はあまりにも無防備にされてしまった。
そんな無防備な僕の耳元に顔を、そして唇を近付けて……
「まだまだ……もっと○○驚く様なこと、させて♪」
淫蕩に、囁やかれる。それだけで、僕の体がぞくぞくと震える。思わずぎゅっと小傘の体を抱きしめる。
「まだ……食べたりないのか？」
「むぅ、わちきの食い意地が張ってると申すか」
冗談っぽく言う僕に、小傘もまた冗談めかして言葉を返す。
「いや、今の小傘はそう思われても仕方ない気がするぞ」
「あら……大好きな人の中で乱れたい、大好きな人の乱れる姿を見たいという気持ちを蔑ろにするのね○○は」
始めは受け気質なのかなと思っていたが、なかなかどうして、小傘は結構な嗜虐家ではありませんか。
いや、両方いけるのかこやつは、幾夜を共にしてつくづくそう思う。
「少し、オシオキ……」
「っ…、ぁ…！」
突然、股間の辺りから湧き上がる異様な感覚に、思わず上ずった声をあげてしまう。
異変の正体がなんなのか、それを調べようと視線を移そうとして……したが、小傘の熱っぽい視線に絡め取られて止まる。
悪戯な、サディスティックな小傘の眼差しを注がれる。情けない声をあげてしまったことに対する恥ずかしさを擽られる。
恐る恐る小傘の顔を、肩を視線で辿っていき、肘、手首の先には、股間部分にてこんもりと釣鐘状を形成する僕の衣服と、
それを寄ってたかって苛めようとしている、小傘のすらっとした細い５本の指の姿が映り込んできた。
「こんなにお服を張らせて……もしかして、苦しいんじゃない？」
「そんなことなっ……っ！」
否定の言葉を述べようとするや、人差し指で軽く布製の丘を、その裏になりを潜める男棒をピンっと弾かれて、
息苦しさにも似た欲望の悲鳴と、腰部一帯を包み込むじんわりとした快感に言葉を封殺されてしまった。
「ふふっ……かわいいのね♪」
「ぁ…、はぁっ……こが……さ」
焦れる様な、でも確実に僕を追い詰めてゆく快楽攻めに、そして羞恥心を煽る小傘の言葉に、
堪らず僕は、抑えきれなくなった甘声を漏らしつつ小傘の名前を呟く。
名前を呼ばれると、それだけで小傘の表情が蕩けてゆく様が良く分かる。もっと呼んであげたい、羞恥を受けながらもそう思う。
「あはぁ…ん……とりあえず苦しそうなモノ、取り出しちゃおうね」
下半身の、身にまとっている物を丁寧に剥いて、肌蹴させてゆく。
一枚一枚丁寧に剥かれる。布の擦れる感触がこれまた僕を焦らしてゆく。
ゆっくりと、肉棒を覆っていた最後の布切れが取り払われる……
……今まで蓄積していた弾性ポテンシャルを解放するように、ピンッと勢いよく屹立する。
「わぁ……もうこんなに大きい……」
既に雁首をもたげている僕の男根に、感嘆……というよりは賞賛と期待の眼差しを注ぐ小傘。
嬉々とした視線を肉棒と僕の顔交互に注ぐが、僕としては凄く恥ずかしい。これも小傘の趣向の一環か？
「どうして……もうこんなにしちゃったのかな……」
「……っ……大好きな人に、圧し掛かられて、濃厚な口吸いを受けたら……そりゃこうなるだろうね」
「あらあら……キスだけでこんなにしちゃうんだ、○○は」
「あ……、あまり辱めるなよぉ……これでも小傘のこと、褒めているんだぜ？ ……っ！」
続く言葉は、またもや秘部から発せられる突然の快感に酔って遮られた。
先程の……布の上から股間を弄られた時とは違う、異質な快感。全身をよじりたい衝動に駆られるも、力が入らない。
見ると、僕の玉袋をに、、窄めた５本の指をあてがって、徐々に包み込むようにして開いてゆく小傘の姿。
ぞわぞわする、皮を、隔てた先に弱い所を備えた薄っぺらい皮を指の腹で摩擦され、ぞわぞわとした快楽が全身に広がる。
「〜〜っ！ んぁっ！ まて、タンマッ！ 〜〜〜〜っ！」
「辱めてごめんね……それと、ありがとう♪ キスで○○を満足させることが出来て……嬉しいよ」
僕の目を覗き込みながら、小傘は淫蕩な笑みを浮かべて、静かに、でも心底嬉しそうに囁く。
囁いている間も睾丸への愛撫を止めることは無い。指の腹を絡めて、円を描く様に擦って、少し抓むように圧迫する。
彼女が、少しでも力を入れようものなら、僕は耐えがたい苦痛の後一瞬で気絶するだろう……
そんな、綱渡りにもにた緊張感が、ああこんな緊張感僕は嫌いだが……悔しいことに興奮を誘っている。
「皮……柔らかくて気持ちいい……」
「もしかして…、っ！ 遊んでる？」
「ん？ ふふ、どうかしらね……」
指で散々弄んだあとは、肉袋を手のひらでそっと、優しく包み込む小傘……
ぎゅぅぅっと六方から軽く握り締められる。気持ちいい……何日も自慰を控えた時のムラムラ感、それを強くした感じだ。
今、小傘にもっとも自分の大切な場所を握られている。それこそ自分の命を無防備に手渡しているといってもいい。
小傘だから、信頼できる小傘だから出来ること。この世で一番信頼できる小傘に、最も大事な所を手渡す。
でももしこのまま握りつぶされてしまったら……そんな想像が倒錯的な興奮を呼び覚ます。。
もちろんそんなことをされる筈もなく、小傘の手は壊れ物を扱う様に、優しく優しく肉玉を転がす。
「上の方も……可愛がってあげる」
小傘はそう囁くと、玉袋から手を離して、人差し指を突き出しビンビンに自己主張をしている怒張の裏筋をなぞり始める。
下から上に、上から下にゆっくりと、指の腹で擦りあげられる。ビンっと張った肉茎の裏筋を……丁寧に、丹念に。
反り立ちに沿う様に、小傘の綺麗な指が……触れられているだけなのに耐えがたい快感が僕の性感を滾らせる。
肉棒だけじゃない、体の幹を一文字になぞられた様な、全身に至る快感……
全身で快楽を享受し身悶えする僕を、小傘の異色の瞳が絶え間なく視姦する……
「指でなぞり上げるだけで……もう苦しそうね」
「小傘……お願いっ……」
「ん、任せて」
熱り立つ肉茎から人差し指を離すと、その白く細長い指は、５片の花弁の様に花開き、
「ううぁっ……」
一斉に、怒張へと絡み付いた……
「ふふっ……○○のおちんちん……凄く……熱ぅい……」
蕩けた視線を、自らの小さな手で握る肉棒に注ぎながらゆっくりと鞘を動かし始める小傘。
熱い、と小傘は言うが、小傘の手のひらも負けず劣らず、小さいながら僕の自身へと熱を送り込んでくる。
ゆっくりと扱かれる……ねちょ、にちょという卑猥な水音が部屋中に響き渡るようだ……
「あぁっ…、小傘っ……気持ちいい…よ……」
「ふふふ……“傘”の扱いは任せて♪」
「傘、てのはちょっと無理があるんじゃ…、っぁ…、ないカナ〜」
「そうねぇ〜、男の子なのに扱く前からこんなに濡らしちゃって、これじゃ中の人水浸しの不良傘ねぇ……」
なんだか屈辱的なことを言われている気がするが、視界が桃色に霞むほどの快楽を前に反論の言葉も出ない。
なにより、彼女の言うとおり鈴口からは定期的に透明な液体が噴き出し、小傘と肉棒の間を潤滑油の様に満たしていく。
包皮を擦り上げる手淫から、次第にカウパー腺液を潤滑剤として肉竿を包み滑らせる様な手淫へと変わっていく。
擦れる度に粘性のある水音を奏でる……恥ずかしさに顔を何かに埋めたくなるも小傘の視線がそれを許してはくれない……
「でも、そんな不良傘でも、私は使ってあげるよ……○○が私にそうしてくれたみたいに……ね♪」
「小傘を……そんなふうに思ったことなんてっ……ぁぁっ！ 一度もないっ！ 小傘はっ…、不良傘なんかじゃっ！ ふぁぁ」
「はぁ……ん♪ 本当に、嬉しいこと言ってくれるのね……もう大サービス、してあげる♪」
抑えたくても抑えきれない……自分の声とは思えない様な甲高い嬌声が口元から溢れ出る。恥ずかしいとか、考える余裕すらも無くなる。
頭の中が小傘から齎される快楽で真っ白に染まる。視界が小傘の手淫する姿で、聴覚が小傘の言葉愛撫でいっぱいになる。
肉体、精神両面にて余裕のない僕を嘲笑うかのように、あるいは無防備だからこそ、快楽を齎すには絶好のチャンスだと言わんばかりに、
小傘は丹念に、執拗に愚息を扱きあげ、嗜虐と情愛を存分に感じさせられる言葉を紡ぐ。
大サービス、と彼女は言った。
日常ではそうそう見られない、サディスティックな視線を僕の瞳に絡ませて、もう片方の手を僕の身につけている服の襟元に伸ばす。
本能が告げる、抵抗しなければ、と。でも力が入らない。思考も回らない。今の僕には小傘が何をしようとしているのか把握するのがやっと。
丁寧に、僕が上半身に身につけているものを剥ぎ取ってゆく……折り重なった衣を、一枚、また一枚と丁寧に肌蹴させられる。
胸部が外気にさらされる。小傘が見つめる視界中に……無防備に晒される。
「ふふ……こっちもおいしそう……♪」
僕の胸元を見つめて、唇の端をにやりと釣りあげる。そんな彼女の最高の笑顔に中てられて、背筋がゾクっとする。
それは、ダメだ……そんなことしちゃいけない。そう静止の声を張り裂けるほどに叫びたいのに、声が出ない。
小傘の顔が、僕の胸元に接近する。徐々に、しかし確実に……にやりと笑った唇が……捕食者の様に……
僕の視界の中で、小傘の唇が大きく映える……先程のキスの時のように、視界の中で拡がってゆく。
先程僕の唇を、僕の口腔を心ゆくまで蹂躙した唇が、今度はもっと敏感な、弱い所を貪ろうとしている。想像しただけで、思考回路がショートする。
どんどんと小傘の顔が近付く最中にあっても、肉茎を包むしっとりとした小傘の手淫の感触は消えることが無い。
顔を近付けながら、獲物を見定めながらも手を休めることをしないあたり、器用なんだなぁと、僅かに残った理性のそのまた隅で思わされる。
唇が、僕の乳首の手前にまで来る。小傘の吐息がそっと吹きつけられる。
「っ！ 〜〜っ！ こがさっ！ それっ……だめだっ！」
「ふふ……いただきます♪」
小傘の唇から柔らかいものがニュルリと剥いでて、愚息に負けず劣らず勃起した乳頭をペロリと、舐め上げた。
「っ……」
言葉も、声も出ない、出せなくなる様な猛烈な快感と、多幸感が僕の全身を包みこむ。
上体で最も敏感な部位に、ぬめりとした小傘の舌の感触……一度舐められて、すぐに離れたにもかかわらずいつまでも何時までも拭われる感触が残る。
「ん…、ふふっ……おちんちん、ビクってした♪」
震えた、なんてものじゃない。胸に意識が集中していなかったら今頃敢え無く果てていて、小傘の手のひらを白濁で汚していただろう。
早すぎる射精を必死に堪える僕……そんな僕の様子を、小傘は嗜虐的な、でも愛おしさでいっぱいといった表情で見つめてくる。
絶頂の限界を、何処まで耐えられるかを確かめるように、ギリギリの僕に一つ、また一つと快感を積み重ねるように舌が舐る。
「ん…、ぺろ…、れろ…ちゅ……ふふ……、下と一緒でこっちも固くなってる♪ いっぱい……コリコリしてあげるね」
「っ！ 〜〜っ！ ぅ……ぁ…！」
小傘の舌先が細動して僕の乳頭に連続的に刺激を加えてゆく。たっぷりと小傘の体液を含んだ舌が、乳輪を、乳首を濡らしてゆく。
全身に、快楽を何処かに逃がす排水溝のない、捌け口の無い快楽受容器の全身に、ただ蓄積してゆくだけの快感が注がれる。
なんとか声だけは出すまいとするも、強すぎる快感に堪えることはできず、小傘の舌の動きに合わせて、甘い声を漏らしてしまう。
我が耳を疑いたくなるような女々しい嬌声、乳首を舐られて発してしまうという事実に、羞恥と情けなさで心の中がいっぱいになる。
でも、嫌な感覚じゃない。小傘の舌で……大好きな小傘の舌でこんな風に転がされて喘がされることに、少なからず興奮を覚えている自分もいる。
「男の子でも…、ぺろ…、乳首……気持ちいいんだよね…、ちゅ……」
「ぁっ…、っ…！ 言っておくけど、小傘以外には……こんな痴態見せないんだからな…、っ！ あと後で覚えてろっ！ んぁっ！」
胸部を拭う舌によってもたらされる、全身を揺さぶるような快楽に身を浸されながらも、苦し紛れに強がりを言ってみる。
やっぱりこうまで為すがままにされるのは恥ずかしいんだなぁと、悦楽に埋もれた思考の片隅でしみじみ……できはしない。
丹念に、丁寧に、僕の表情を常に窺いながら乳首を舌で舐り上げる小傘……舐り上げるたびに男の薄っぺらな胸が微かに震える……
胸を震わされる度に、全身の幹を、そして快感を感じる神経まで震わされるみたいだ……
「ふふふ、反対側も……こっちは舐めるんじゃなくて……ん…、ちゅぅ」
「っ！！」
小傘の口が開いて、ねっとりと唾液を湛えた口内を僕に見せつけると、今まで苛めていた方とは逆の乳首に吸いついた。
その瞬間、吸付かれる感覚を認知するよりも前に、反射的に体が大きく跳ねる……続けて、乳首を蕩ける様な快感が支配してゆく。
いやらしく、態と水音を立てて吸う小傘……嗜虐的な快楽責めでもあり、丁寧なご奉仕でもある口吸いに、
羞恥、苦悶、悦楽……そして情愛の入り混じった感情が、僕の内でぐるぐると渦巻く……
乳首を責めながらも、文字通り手を抜くことなく淫棒を扱く小傘、このあたり実に器用だと思う……
ただ漏れになったカウパー腺液が白く泡立ち、限界まで充血した肉棒と小傘の手との摩擦を限りなくゼロにする。
肉茎から齎される、精を放つ為の生産的な快楽と、胸を覆う、射精に関与しないより高度な法悦に揉まれ挟まれ燻されて、
僕の理性が一つ、また一つと焼き消される……あとには、気持ちいいという真実しか残らない……
「小傘っ！ もう…、ダメっ……」
「ん…、ちゅぷ……イかせてほしい？ 私の目をずっと見ていてくれたら、このまま抜いてあげるね」
小傘に縋る様な気持で、より多くの快楽を、射精感を求める本能のままに最後の力を振り絞って、小傘の瞳を見つめる。
愛しき、美しき僕の愛した赤と青のオッドアイは、僕を喘ぎ悶えさせたいという欲望を帯びながらも、悦ばせたいという情愛の籠った眼差し……
僕の瞳孔の奥の奥まで覗きこまれる……言葉を発さずとも『イかせてあげるね♪』と直接脳内に語りかけるように……
乳首に吸いついた唇の中で、小傘の舌が僕の突起を擦り転がし、愚息を扱く手の動きはスパートをかけるように激しさを増す……
上り詰めてゆく……腰を高く突き上げる……小傘の手に導かれる様にして法悦を極める……
「小傘っ……こがさっ！ っ…、〜〜〜っ！！」
腰を浮かせ、全身を痙攣させて絶頂に達する。股間の自身から熱の篭った白濁を放出する。
何時しか僕の愚息を握っていた小傘の手は、亀頭に覆い被さるようにして精液の飛散を防ぎ、その綺麗な手のひらで汚濁を受け止める。
熱素が……温かみを帯びた生命素が、小傘の手を汚してゆく……受け止めきれない白濁が、僕の肉棒に絡み付く……
「ん…、あはぁ……せーえき、温かぁい……ん、ちゅ」
「ひぅっ！」
手のひらで僕の迸りを感じながらも、ダメ押しとばかりに僕の、絶頂のおかげで極限まで感度が高まった敏感な乳首を一吸いする。
その一吸いが、まるで僕の射精感を司るスイッチを押したかのように……連動して肉棒が脈動し、精液を放たせる。
ビクビクと痙攣する肉棒の律動は徐々に弱まり……しかし男性のソレとは違う、虚しさの無い余韻が僕の体を包んでいる。
やがて小傘は名残惜しそうに肉棒を解放し、僕の体を離れる。
白濁に汚された自らの手を、何処かうっとりとした視線で見つめる小傘……その姿に思わずドキッとする。
「ふぁ…ぁ、いっぱい……私の手に射精してくれちゃって……私の手を孕ませる気かしら」
「……何処でそんな表現を覚えたんだ……」
「ふふふっ……ヒニン、してあげないと……」
呆気に取られる僕の目の前で、小傘は淫靡に囁くと、舌を伸ばして無垢な手のひらに付着した蛋白質を舐めとってゆく……
下から上へ舌を伸ばして舐め上げるように……僕に見せつける様にして白濁を払拭してゆく……
「ん、ちゅ…、はぁ…ん…、○○の味……ん」
「これ……結構見せつけられるのって恥ずかしいもんだな……」
「ふふ……もっと、見せつけてあげる……」
いやらしく口を拡げて、伸ばした舌で白濁を舐めとってゆく小傘……
三億にも及ぶ、次世代へ自分を伝播するための細胞が、一つ、また一つと死滅し、小傘の糧となる。
そんな姿を、恥ずかしいと言いながらも見惚れているうちに、手に付着した汚濁は全て舐めとられてしまった。
「あぁ……全部舐めちゃったよ……」
「ん？ 嬉しい？」
「あー、僕にはそう言う趣味がないからそれほどでも……いや、小傘が僕の為にって思ってしてるなら素直にうれしいのかな……」
「ふぅ〜ん……ふふ、○○についたのもお掃除してあげるね」
へ？ 今、何とおはせになりましたか？ ちょっと聞き捨てならない言葉が耳に入ってきたのですが……
ねえ小傘さん……いえ小傘様、なんで股間に顔を埋めるのデス？
「ちゅ…、ぺろ……」
「ぁひっ…！」
小傘の言動に対する薄っぺらな疑問は、股のあたりを拭うぬめりとした感触によって解決、霧散した。
「ふふ、まずは下に垂れちゃったのから……ん、ぺろ……意外と少ないね」
そういって、竿の根元付近に付着した、僅かな白濁を丹念に舐めとってゆく小傘……
まだ直接的な性感帯ではないものの、絶頂の余韻に全身を震わせる僕には、くすぐったい以上のもっと高等な感覚が齎される。
「なあ、その……それ位自分で拭くから……な？」
「そんなのダメに決まってるじゃない……折角デコレーティングしたのに……勿体無い……」
「ああ、なんだ。最初からこうするつもりだったのか……降参だ畜生」
股間に付着した白濁は、小傘に舐めとられて、唾液のぬめりへと取って変えられてゆく。
円を描く様に、中心に愚息を望む形で徐々に徐々に距離を詰めてゆく。小傘の舌が敏感な個所に迫る。
既に精を放ったばかりの肉茎が早くも首をもたげる……我ながら何処にそんな元気があるのかと思う……あるいは愛の力？
そしてついに、小傘の舌は僕の“中心”へと伸びてゆく……獲物を見つめる蛇の舌のように、先端を上下に細動させて追い詰めてゆく……
我ながらこう言う形容をするのもどうかと思うが、ある意味果実にも似たその丸い肉玉に、小傘の得物たる肉鞭が忍び寄る……
「っ……、なぁ？ そこは汚れてないと思うんだけど？」
「そうね……でもおいしそう♪ それに○○のココも、私に向かって『食べて欲しいよっ』てお願いしてるみたい」
睾丸の傍で囁く小傘……囁かれると、発声に伴う空気の振動が肉玉を刺激する。
先程の手による陰嚢責めの時に感じたぼんやりと包み込むような気持ち良さが再び伝わってくる。
今度は小傘の得意な舌で……お口でされてしまう……絶頂したばかりとはいえ興奮を隠す事なんて出来ない……
そんな再び昂った僕の表情を、小傘はやはり見つめながら……
「まずはお味見……ん…、ぺろ……」
「……っ！ っあ…、ひ」
玉袋をぺろり、と一舐めしてきた。
「ふふ……○○ってココに色々されるの……好きだよね」
「いや…、まあ…、男の……弱い所だからさ……」
「ふぅん……じゃあ私以外の娘にさわさわされても、欲情しちゃうの？」
「冗談を……小傘以外には触らせはしないし、触られたって気持ち良くならない……全力で大声出して逃げてやる」
「うふ、それじゃあココは……私専用ね…、ちゅ…、れろ……」
「っ…、かはぁっ…！ いや、専用とはなんだ専用とは……あくまで僕の物なんだけど…、っ！」
私のモノ♪ と主張せんが如く、与えられる快楽に疼く双玉に第二、第三の舌を繰り出す小傘。
舌の平を肉玉の形にフィットするように御椀状に形作って、ぴったりと這い、舐めまわしてゆく……
まるで睾丸を地面にして、引力を受けながら地を這うように、袋の外から、中の玉を形作るように、ねっとり……ねっとりと。
気持ちいい、またもや恥ずかしい声が勝手に出てきてしまう。僕が声を漏らせば漏らすほどに、小傘の舌の動きはより濃厚な動きを見せる。
小傘の舌から齎される熱が、睾丸内の無数の命に働きかけ、活性化を促す。精の活性化によって、肉棒はすっかり元通りに自己主張を始める。
「はぁ…ん……張ってきたよ……もうパンパンだね…、ちゅ…、れろ……」
恍惚とした表情で僕の陰嚢を見つめながら、淫猥に囁いて、舌をのたくらせる小傘……
精液に汚れていない、濡れてすらいなかった筈なのに、いつの間にか僕の玉袋は小傘の唾液でドロドロに濡らされてしまった。
やがて小傘は、舌を引っ込めると、今度は唇を突き出し、その扉を開いて行く。ルビー色の秘室が見え隠れする……
「あ…むぅ……」
「いっ…！」
「ん…、むぐ…、ちゅ……んぷ……」
ちゅるん、と……それはまるで温泉卵の黄身を割ることなく丸呑みにする要領で、小傘は僕の弱所を口内に含んだ。
僕に苦痛を与えまいとめいいっぱい口を頬張っているのだろうが、流石にソレを含むには小傘の口腔は少し小さい……
でも痛くない……思わず意識が飛びそうなくらいに……気持ちいい。小傘の口内が……温かくて気持ちいい。
ぴったりと小傘の柔らかい頬が、僕の陰嚢に密着する。ゼリーともコンニャクとも違う、もっと餅のように弾力があって、蕩けそうなほど柔らかい。
「れろ…、ちゅ…、あむ……」
口蓋の開閉を繰り返し、口内では舌で積極的に肉玉を這いまわす小傘……
自分の最も弱い所を、最も愛していて信頼できる者の口内に委ねるという、信頼と愛情の為せる行為。
デリケートな淫玉が、小傘の口腔に、舌に……小傘の細胞に……小傘に包まれる。睾丸の中で無数の細胞が歓喜にどよめき、渦を巻く。
先程の様な陰茎を激しく扱かれた時とはまた違うその快感は、悶絶するほどの激しさは無いけれど、地に足が付かなくなる様な浮遊感を伴う。
小傘の口腔内で、舌に舐め上げられるたびに、全身をふわり、ふわりとした穏やかで、でも芯にまで響く様な快感を受ける……
「ん……ぷぁ……、反対側も…、ん…、くぷ……」
片玉を解放して、もう片方の肉玉に齧り付く小傘……。
睾丸を見つめるその目は、とても率直で、それでいて淫蕩で、普段の素直らしさと床上での妖艶さの入り混じった眼差し。
そして逐一、僕の反応を確認するように、視線の標準を僕の顔へと投げてくる。
それは、『私、ちゃんと○○を気持ち良く出来ているかな？』という不安の眼差しかもしれないし、あるいは自信に満ちたものかもしれない。
そんなオッドアイのアイコンタクトに応えるように、あまり他人には見せたくない破顔した顔を曝してやると、
嬉しそうに鼻を鳴らして、小傘はより熱心に陰嚢を刺激してゆくのである……
「ちゅぷ…、れろ…、あむっ…、んふ……」
回る……舌が這いずり回る……舐め回される、大きな飴玉のようにレロレロと口内で転がされる……
大事な肉玉を転がされて、まるで全身が大きな舌の上で舐め転がされている様な、そんな感覚に陥る。
気持ちいい……小傘に転がされるの……堪らなく気持ちいい。レロレロ動く……舌が動く……
「ん…、ぷぁ……はぁ」
小傘が陰嚢を解放する。絡み付いた唾液が糸を引く……ねっとりと、ヌルヌルと……
その様子を見て呆然とする僕の意識を呼び戻す様に、小傘は淫靡な表情を浮かべて語りかける。
「ふふ……そろそろ、一番汚れている所、お掃除するね……」
……そういえば、そんな流れだったなぁ。実際、彼女の睾丸愛撫のおかげで、僕の肉棒は先程以上に反り立っている。
もはや一度精を放ったばかりだということを証明するものは、付着した白濁のみだ……
その白濁すら、これから小傘に払拭されてしまうのだ……そう考えるだけでドキドキする……小傘が肉棒に接近する様子を、固唾を飲んで見守る……
「……ちゅ」
「っ……」
小傘の唇が、裏筋の根元に触れる。ビクッと愚息が……そして全身が震える。
その感触は、まるでフランスのお菓子の様に、繊細で、柔らかくて、そしてぷるんと潤っていて……
いやらしいとか、気持ちいいというよりも……尊い、という言葉が似合う気がする。
「ちゅむ……れろ……」
肉棒に触れた唇の隙間から、ニュルニュルとしなやかな舌が這い出て、裏筋を根元から侵し始める。
僕の口の中を、胸部を、そして陰嚢を蹂躙して回った小傘の得物は、自己主張をする愚息をも悦ばせ満足させてくれることを約束する。
期待に、熱棒へ血流が集まってゆく。熱く滾る血液を含んだ海綿体はますます熱り立ち、それを眺める小傘の眼差しに期待の光を灯す。
「あはぁ……ぷるぷる震えて……どんどん大きくなってきたぁ……ん…、ぺろ……」
「はぁっ…、ぅぁ…、ぃ…、ぃ……」
小傘の舌がゆっくりと、屹立した肉棒を上へ舐め上げてゆく。付着した白濁を根こそぎ払拭するように、ゆっくり……ゆっくりと。
舌面のざらつきが愚息の裏筋と擦れ合う度に、根元から上へ、先端へと向かって熱いものが込み上げてくる。
込みあげると同時に、電流の様な鋭い快楽が、ビリビリと背筋を通って頭にまで行きわたる。思考を快感が痺れさせ、支配してゆく。
まだ舐められているだけなのに……それもゆっくりと、それでも、僕の理性が、精神が、限界まで法悦によって追い詰められてゆく。
小傘の舌がこんなにも気持ちいいのは、きっと僕の体全部が小傘の舌に愛され続けたおかげで、彼女にとって都合のいい体にされてしまったから？
「ふふ…、ん…ちゅ……横も、舐めとってあげる……」
肉竿の裏筋を逸れて、舌が側面を這いまわる、右へ左へ、適宜舐めやすいように顔を傾けながら……
小傘は淫蕩な、それでいて何処か真剣な表情を崩すことなく、白濁の一切を舐めとってゆく……
その行為は彼女自身の、僕の体を弄り倒したいという欲望からか……それとも止まることの無い悦楽に僕の表情が蕩けるのを見つめる為か、
あるいはより僕を気持ち良くさせたいという奉仕の心ゆえか……
いずれにせよ僕は、溢れんばかりの快感と愛情を齎してくれている小傘に感謝を込めて、
僕は霞んだ視界の中、手探りするように小傘の頭を探し当て、そしてそっと撫で始めた……
柔らかい髪の感触が指に絡み付く……こんなにも僕を愛してくれる……小傘の感触……精一杯指先で、手のひらで感じる。
「れろ…、ん……ちゅ…、ん？ どうしたの？」
「こが…さ…、気持ち……いい…、好…き……」
「あ……、うん……もっとシテあげる♪」
僕の言葉に、小傘は少し恥ずかしいといった、照れたような表情を見せて、それからとても嬉しそうに微笑んだ。
一瞬見せる、色気だとか妖艶さを全て飛散させた、普段の素直でちょっぴり幼げな小傘の表情。
そしてすぐに、僕からさらに根こそぎ精を搾り取ろうと企む、淫靡な表情へと様変わりする。
どっちも小傘らしい表情で、どっちも僕の好きな表情。もっと見たい、見てやりたい……その一心で小傘の頭をかいぐりする。
「んふ……ん…、ぺろ…、れろ……」
頭を撫でられることの喜びを表現するように、あるいは僕にお返しをするかのように、小傘は僕の欲望に舌を這わせ続ける。
下から上へ、そして左右を移動するだけの単調な動きから、次第にぴったりと絡み付いてからの、回転を伴った複雑で卑猥な動きに……
舐められる、から包まれるへと変わってゆく。温かな小傘の舌の感触が、僕の屹立した剛直を包み込む。
気持ちいい、小傘の舌が齎す快感に、一向に慣れも飽きも来る気配がない。恒久的な快楽が肉棒に、そして全身に齎される……
竿に付着していた白濁の姿は最早そこに無く、代わりに小傘の唾液がたっぷりと塗りつけられて黒光りを放つ。
先端に残された白濁も、間欠泉の噴き出しに薄められてゆくなか、真っ赤に充血した鈴割れに小傘の舌が迫る。
「ふふっ……あとは、先っちょね」
「あぁ…、小傘っ……、っ！」
竿攻めの時とは違い、チロチロと細かく、素早く動いて亀頭を責めてゆく。雁首の境目をコチョコチョと舌先が蠕動する。
付着した精液は確実に舐めとられてゆき……しかしその度に齎される強烈な快感に、舐め取られても次々に透明な液体が鈴割れから噴き出す。
噴き出した液体をも舐め取ろうと、小傘の舌は忙しく亀頭を転がす。僕の顔を、快楽に歪む顔を見つめながら、舌を見せつけるように……
そのいやらしい光景と、僕の欲望を蹂躙し音を上げさせることに特化した、濃厚な舌攻めのコンビネーションに、
僕は全身をぶるぶると痙攣させて、甲高い嬌声を漏らす。
「なかも、少しだけね♪」
「あっ…、ああっ…、ひぅ！」
ちろちろと舌先をうねらせて、鈴割れに侵入しようとする小傘の舌に、恐怖、期待、快楽の入り混じった悲鳴を上げる。
当然、いくら小傘の舌が小さくて器用に動くからと言って尿道の中までずっぽり入る訳ないのだけれど、
それでも小傘の舌の動きは、中まで侵入したいという明確な意思を持っているように……僕の目にそう映る。
実際には入り口付近の精液を、コチョコチョと舌先で舐め取られてゆくだけなのだけれど、
もし奥まで挿入されてしまったら……そう考えると肉棒の根元付近に微かな疼痛と、むらむらとした切なさを覚える。
「ちゅ…、ぺろ……ふふ……大体綺麗になった」
綺麗になった、そう言っておきながら小傘は舌責めを止める気は無いようである。
僕の亀頭が球状の飴玉なら、今の小傘はまさに、飴玉を下品に舐め回す少女のそれ。
控えめに舌先でチロチロとなぞり上げたり、豪快に円を描く様に雁首を一周してみせたり、全ての動きが僕の羞恥を煽る。
「そうだ…っ…、な……だからもう…、っ…、いいんじゃないかな？ 舌で舐めるのは」
そんなこと、僕だって当然本心で思ってない。つい数分前は思っていたが小傘による口淫に、すっかり欲望が元通りになってしまったのだ。
そして小傘も、こんなくらいじゃ満足してくれない。それも十二分に僕には分かっていた。
「だめよ。尿道の中まで、吸い取ってちゃんとお掃除してあげなくちゃ」
それだから小傘も、『分かってるんでしょ？』と言いたげな意地悪な表情を僕に向けて、そう言ったのだろう。
そう言って、ぷっくりと膨れた唇を亀頭の先端に近付けて……
「ちゅ……」
「ぁ……」
唇の割れ目をぴたりとあてがう。
柔らかい感触が肉棒の先端を覆う。柔らかい……キスの時にたっぷりと堪能させられた感触と一緒。
隙間が、ゆっくりと開いてゆき、僕の欲望を中へ受け入れてゆく……中へ…、内へ……
「ん…、ちゅぷ…、ちゅぷぷ……」
「はぁ…、小傘っ…、すごっ……」
先端から飲み込まれる、見えなくなってゆく……見えなくなった個所から、柔らかい、生温かな感触に包まれる。
ゆっくり……ゆっくりと僕の分身が侵されてゆく。その様子を、荒っぽい溜息と共に見つめる僕。
様子を見つめる僕を、小傘はずっと見つめ返している。僕の肉棒を口腔で受け入れながら、僕の表情が悦楽に染まってゆく過程を楽しむように。
「んぐっ…、ん…、ちゅ」
「う…ぁ…っ…、ひ……」
小傘は僕の欲望を、ずずり……ずずりと飲み込んでゆき、やがてその唇が肉棒の根元に口づけするまでに至る。
身も心も、肢体も脳味噌も蕩かしてしまいそうなほどの、深く、甘い快感に、口づけの瞬間僕の全身をガクンと震えてしまう。
ぷりっとした弾力のある唇の締まり、柔らかな頬肉の優しい抱擁、喉奥のねっとりと絡み付く粘膜質、
小傘の口腔が備える器官全てが、僕の欲望を、根元から亀頭まで凌辱して、搾精に勤しむ。
「ずぷ…、ちゅぷ…、ずぷぷぷ……」
「ひぃっ…、吸われっ…、っ…！」
強く肉棒を締め付けたまま、上へ上へと肉棒が引き抜かれる。
小傘の顎の動きと同時に、大量のカウパー酸液が上へ上へと上り詰める。尿道に残った白濁の残滓を洗い流してゆく、根元では更なる欲望の充填を始めながら。
上へ上へと引き抜くにつれて、締まりが強く動きがゆっくりになる。完全に開放なんてしない、と主張するように、動きに対する抵抗が強まる。
口唇が雁首にまで達すると、嵌り込んでそれ以上に動かなくなる。小傘の口腔内で充血した亀頭が、いやらしくのたくる舌にチロチロと刺激され、絡み付かれる。
「ん…、じゅぷ…、くぷ…、ずぶ……」
「あっ…、ぅぁ…、っ…、か…は……」
そして高まったポテンシャルを解放するように、再び口内いっぱいに僕の愚息を受け入れてゆく小傘。
今度は先程の様にゆっくりではなく、一気に根元まで加えこむ。分身を、自信を全て小傘の中に収められる快感に身悶えする僕。
奥まで竿を咥え込んだ小傘は、この世の全ての幸福を噛み締めるかのような、蕩けきった表情を浮かべて、そして再び肉棒を引き抜く。
抜いて、咥えて、引き抜いて、咥え込んで……尿道に残ったモノのみならず、その奥に潜むモノまで上へ上へと吸い上げられる。
思わず腰を持ち上げてしまう僕を宥めるように、両手で腰を抑えつけながら、なすがままの男根を蹂躙する小傘。
「ちゅる…、ぢゅぷ…、れろ…、きゅぷ…、ずぶぶ……」
唇が僕の肉茎を喰い締めたまま、激しく上下にストロークする。
柔らかくて、包むように肉棒に絡み付く頬の柔肉が、ニュルニュルと雁首に擦りつき、射精感を高めてゆく。
蕩けてしまいそうな程に熱くて柔らかな喉奥が、奥舌が亀頭にねっとりと絡み付いて、ただ漏れになった僕のカウパー腺液を体内へと収めてゆく。
じゅぷじゅぷ、じゅぷじゅぷとストロークは止まらない、激しくなる。抽送するごとに、僕の視界はスパークして、恥ずかしくも甲高い喘ぎ声を漏らしてしまう。
「もう…、イっ……」
「ん……ぷぁ」
限界を覚え、口淫に任せて盛大に迸りを放とうと思った矢先、小傘の口が肉棒から離れる。
このまま射精させてもらえると思っていただけに、突然肉棒を温かく包む物を失った感覚に虚しさを覚える。
「あっ……うぅ」
「ふふっ、ごめんね。別に焦らしてるわけじゃなくて……もう少し、愉しませて……」
失望を込めた眼差しを小傘に向けた僕だったが、僕の予想に反し、小傘は別段意地悪な表情を返すでもない。
それは期待と、情愛の籠った表情。もっと僕が驚く様なことをしたいという表情。もっと僕を悦ばせたいという、慈愛の眼差し。
そんな小傘の、健気で、無邪気で、でも色っぽい仕草を僕が唖然と見つめる中、
小傘は水色のベストに手をかけてそれを脱ぎ、ブラウスのボタンも外し始める。
一つ、一つ丁寧に――それは極限の興奮状態にある僕を焦らす為か、あるいは彼女自身の欲望を制する為か――ゆっくりとボタンが外れてゆく。
白い生肌が……そしてブラジャーを張り詰めさせる双丘が露わになる。
「ふふふ〜ん♪」
「あ…、小傘っ……」
「最後は、これで……♪」
小最後の封であるブラジャーのホックも、小傘は何のためらいもなく外した。
するりと純白のブラジャーが落ちると共に、綺麗な形をした二つの肉乳がぷるんと震える。
彼女が無頓着なのか、自らの胸の戦闘力を顧みない、少々小さめのブラウスとベストを身につけているおかげで、
普段は少し分かりにくいけれど、小傘のちょっぴり大きくて、そしてとても綺麗な形のおっぱい。
波打ち、揺れる女性の象徴は、触れてみずとも触るに柔らかく、挟まれるに気持ちいいことを約束してくれる。
「これで、挟んであげる♪」
両手をそれぞれ御椀の様にして下乳を持ち上げ、僕を挑発するように谷間を開く小傘。
美しい曲線を描く、肉丘と肉丘、そしてその間の盆地が、まるで僕の愚息を吸い寄せるように、妖しく誘う。
小傘は笑顔で、僕を悦楽の中に浸らせて、よがり狂わせ、絶頂させるという使命感を帯びた笑顔で僕を見つめ、
そしてゆっくりと、熱り立つ肉棒に自身の白乳を寄せる……
「小傘っ…、ひっ！」
「ふふ、可愛い声あげちゃって……挟んであげる」
最初に、ビクビクと痙攣する愚息に触れたのは大きな丘の間に位置するなだらかな盆地。
余分な肉の無い谷間は、しかしピッタリと屹立する肉棒に密着する。まるで僕の男根の形に合わせて造形されたかのように……ぼくの欲望を受け入れる。
続いて肉房が、ぷるんと張って、たゆんと柔らかに波打つ肉房が、開いた谷間を閉ざす様にして、静かに僕の分身を挟み包む……
閉ざされる……先程までの口淫の余韻と、これから為されてしまうことの期待にびくびくと震える肉棒が……双丘に埋もれ、閉ざされてゆく……
「はぁっ…、うはぁ…、っ……！」
触れただけで蕩けてしまいそうなほどに柔らかい肉の塊が、じんわりと愚息にフィットして、包み込んでくれる。
気持ちいい……小傘のおっぱいが気持ちいい、そして何より幸せだ……柔らかさに包まれて幸せ……気持ち良くて幸せ。
小傘のおっぱいに包まれて……小傘に包まれて幸せ……もっと包んで欲しい……幸せ欲しい。
手淫も口淫も齎してくれなかった新たな感情が僕の中をぐるぐると渦巻く。“気持ちいい”とも“射精したい”とも違う新しい悦楽……
「ふふっ……おっぱいで挟まれるの、好きだよね」
「ああ…、っ…！ まるで小傘を全身で感じてるみたい…、ぃ……」
「あはぁ……私も……パイズリするの、好きだよ。何度してあげても、○○が驚いてくれるんだもの」
この気持ちいいとか、幸せという感情は驚きにカウントされるのか。それとも小傘のおっぱいの柔らかさ気持ち良さに対する驚きのことをいっているのか。
いや、どうでもいいか。こんなに気持ちよくしてもらえた上に、小傘にも喜んでもらえるんだ。なんていうか、パイズリ万歳！
「ほらぁ……おっぱい、ズリズリって動かすよ」
そう言って小傘は、柔らかな双丘を手で掬う様に持ち上げて動かし始める。キメ細やかな、シルクの様な触感の皮膚が、僕の欲望を優しく摩擦し始める。
穏やかな悦楽の波が、刺激を受けている局部から全身に流れ出て、ゆったり、ゆったりと僕の体を包み込んでゆくようだ。
純粋な気持ち良さ、快感の激しさなら口淫の方が上かもしれないけれど、でもこの行為の方がされていて気持ちいい、もっとされたいって思う。
それは胸で扱くという事への軽い背徳感からかもしれない、口淫に比べて小傘が余裕を持って僕を見つめてくれるからかもしれない。
「はぁ…ん、おちんちん……見えなくても、私のおっぱいの中でちゃんと……揉まれてるの分かる？ んしょっ」
「あぁ…、そりゃもう切実に……見えなくても、気持ちいいのが伝わってるよ」
「んふ、私も……おっぱい気持ち良くなっちゃう……はぁ……っ…、私のおっぱいで、○○のおちんちん虐めてあげる」
口が自由になってから、小傘は様々な表情を見せてくれる。それから言葉も。
少し言葉責めが入って、普段なら生意気な奴めなんて思ったりするのだろうけれど、今は小傘が愉しいのならそれでいいって素直にそう思う。
胸の中で肉棒が溶かされてゆく……不定形の双丘は肉棒が上下に動くたびに内側で形を変えながらも、強い弾力でしっかりと肉棒を圧迫する。
乳肉に嫐られる快感に、小傘に愛の籠った眼差しを注がれる多幸感に、全身から熱が愚息の根元へと集中する。
ぐぐぐ……と、雁首が亀頭が乳房の中を、身を包む肉を押しのけるように屹立してゆくのを感じる。
「んっ…、んぁ……おっぱいのなかでおちんちんがびくびくって……あはぁっ……先っぽが覗いて♪」
柔肉による蹂躙から逃れて、充血した亀頭が外気に触れる。否、外気よりも生温かい、小傘の吐息が降り注ぐ。
窮屈な胸の中からやっと逃れた先端だが、油断はできないだろう。小傘は姿を覗かせた亀頭に驚きつつも、すぐに妖しげな笑みを向ける。
そんな小傘の姿を見て、また熱いものが怒張の根元へと集まり、乳肉ごと竿を震わせて、膨張させてゆく。彼女の期待通りに……悦ばせるように……
「ん……れろぉ……」
「っ…、こがさっ」
「ふふ……舌を伸ばしただけでおちんちん震わせちゃって……ココはちゃんと、何されちゃうか分かってるんだね」
顔を俯かせて、肉房に揉まれながらも必死に自己主張を続ける亀頭にゆっくりと舌を伸ばす小傘。
完全に焦らされている僕。そんな小傘はちょっと意地悪で、でも僕の悦ばせ方をつくづく分かっているんだなぁって思う、本当に。
煽情的にうねる舌の動きに焦れる僕を両の目で見つめながらも、小傘は正確に、標的へと舌を忍ばせてゆく。
乳房に挟まれては、逃れることはできない。逃れる気もないが。
「ちゅ…、ぺろ」
「おうっ……」
「まずは舌で……可愛い」
本日二度目の、僕の分身と小傘の舌との邂逅。尿道の割れ目を縦にチロリとなぞられる。
それだけで何かに操られたように、まさしく小傘に操られたかのように腰が勝手に突き上がってしまう。
一舐めされただけで、柔らかな舌で舐られる感触の余韻が、肉棒の先端に残り続ける。まるでずっと舐られ続けているかのようだ。
もっと欲しい、一舐めだけなんてずるい、もっと舐め続けて欲しい、そんな内側から湧きおこる切ない欲求が沸きおこる。
「れろ…、ぺろ…、ん……れろ…、ちろ……」
ついつい恨みまがしい視線を小傘に向けると、僕の欲求を汲んでくれたのか、後発は次々にやってきた。
舌が亀頭を弾く様に擦る度に、まるで体の幹に走る弦を弾かれたかのように快感が走る。
次々に際限なく齎され、全身を走る快楽の波はやがて僕の中で共鳴し合い、大きな波となって僕の身も心も支配してゆく。
チロッ、チロッと小傘の舌が舐る、ガクッ、ガクッと腰が勝手に揺れる、はぁっ、はぁっと荒い息が漏れ出す。
「れりゅ…、れろ……カウパー汁が、いっぱい出て……私のおっぱいがヌルヌルになっちゃうね」
小傘が言うとおり、亀頭の先端からはまるで女の子の愛液みたいに、透明な液体が滾々と湧きだして小傘の双丘を濡らしていく。
我慢汁が小傘のおっぱいを汚している。もっと汚したい……否、あまりにも綺麗な、造形美を極めたその二つの白丘を、僕の汚らわしいモノで汚すなんてとんでもない。
むしろその神聖な乳肉でもって、僕の汚れた欲望を清めて欲しいといったところか。
透明な液体を噴き出し続けて、透明でない液体が根元に溜まり、渦巻いている。痛々しいほどに陰嚢が張っているのが良く分かる。
「小傘っ！ もう…、辛いっ……んだけどっ」
「れろ…、ちゅ…、ん……そう♪ じゃあ今度は……さっきみたいに外も内も汚れないように……ちゅくん」
「いっ…！」
乳丘から顔をのぞかせる欲望の先端に、小傘の……鮮やかな桃色の唇が吸付く。生温かな感触、甘美な快楽に女々しく声をあげてしまう。
肉茎をマシュマロのような弾力のある柔らかさに包まれて、亀頭はマーガリンの様な蕩けゆく柔らかさに包まれる。
きゅううと雁首が口唇に締め付けられる……雁首が唇に引っ掛かる。まるで、事を済ませるまでは絶対に離さない、と言わんばかりに。
「ちゅく…、ちゅぷ…、はむっ……にゅる……」
先端を啄むように小傘の唇が肉竿を含んでは吸い上げ、含んでは吸い上げを繰り返す。
肉棒を頬張るごとに、白磁の双丘が押しつぶされて肉棒を圧迫する。根元から雁首までを乳房に、雁首から先端までを唇に蹂躙される。
小傘の口内では鈴口を柔らかな舌にチロチロと刺激される。ピリピリとした快感が肉棒の根元から先端にかけて走る。
「ちゅく…、ちゅぅ…、ちゅぷ…、れろぉ……んぷ……」
頬の筋を巧みに動かして、紅色の輪が男根を締め付けたまま上下に移動を繰り返す。
口腔内に肉棒が含まれてゆくたびに、気持ちいい粘膜が肉棒を包んでゆく感触に酔いしれて、
キュッと口唇が肉棒を喰い締めたまま引き戻される度に、全身から力を吸い上げられる。
下りて、上って、含んで、抜いて……次第にその周期は短く、激しくなる。じゅぷじゅぷと先端を、アイスキャンディのようにしゃぶりつくす。
強い快感に、悦楽の波に視界が桃色に染まる……染まる中にあってもなお、小傘の秘色の瞳が妖しく光る。
もっと僕の痴態を目に焼き付けてやろうという嗜虐の籠った眼光？ それとも僕を悦ばせたいという奉仕の眼差し？
どちらにせよ、小傘は僕を強く愛してくれているんだなってことだけは良く分かった。
「ちゅる…、じゅぷ…、じゅる…、んむ…、ずぷ……」
唇による剛直への虐げが激しくなる中、胸による刺激も止むことは無い。
剛直をずっぽりと包む乳肉は口淫の動きによって上下に、手の動きによって左右に押しつぶされて中の硬棒を圧迫する。
激しく乱れるおっぱいの様子は見る目を楽しませるとともに、根元から先端にかけてゆったりと、穏やかな快感を送り続ける。
陰茎が、溶かされる。美しい姿形のおっぱいに。アツアツに蕩けたお口に。口内でのたくる舌に。肉棒を溶かされる。
「もう…、無理っ！」
「んふ…、ん…、じゅるる……」
「っ！ うぁっ……こがっ、さっ……っ！」
僕の……嘆願するような断末魔の叫び。
それをきっかけにするように、小傘は強く肉棒を吸引し始める。
いやらしい水音を、部屋中に、頭の奥底にまで響き渡る水音を奏でながら、根元に溜まりに溜まった欲望を吸い上げようとしてくる。
淫らな水音、必死な……でも何処か余裕な小傘の表情、強く吸引される快感、柔肉に圧迫される悦楽、
これら全てが融和して僕を絶頂へと上り詰めらせようとする……その連携プレイに、もはや為す術なく僕は……
「小傘っ！ 出るっ…、射精るっ！」
「ん…、んっ！ んぅ…、じゅぷ…、じゅぶぶ…」
悲鳴にも似た絶頂の宣言と共に、小傘の愛らしい咥内に熱を湛えた白濁を放つ。
いきなり生温かな、不味いものを吐き出されて、一瞬小傘は目を瞑って驚くような素振りを見せるものの、
一切嫌な表情を見せることなく……それどころか嬉しそうに、恍惚とした表情で、僕の屈服の証を受け入れてゆく。
射精前よりもずっと強力な吸引に、悶々とさせられる……意識を揺さぶられ、気を失いそうになる……
「うぁぁ…、かはぁ……あぁっ……」
「ちゅる…、ちゅぅぅ……じゅぶぶ……」
一度小傘の、端整な御手に欲望を吐き出した身であるにも拘らず、僕の愚息は脈動を続けながら生命素を放ち続ける。
小傘の、一滴残らず精を要求する様なバキュームフェラに応じるように、まるで元来存在しなかった分まで吐き出す様に……
柔らかい乳肉の海の中で肉茎をぷるぷると悶えさせながら、尿道に残ったものも、精管に溜まったものも吸い尽くされる。
迸りの脈動に呼応するように、小傘の喉元がこくん…、こくんと脈動する。生命素が小傘の体内へと収められる。
精と一緒に、なにか生きてゆくのに大切な、吸われてはならないモノまで吸い尽くされる感覚に、軽い悪寒を覚え言葉を失う。
全身を襲うゾクゾクとした体の震え……嫌じゃない、冷たい水飛沫の中を立たされたあの感覚とは違う、心地よい震え……
もっと感じていたい……このまま射精が止まらなかったらどうなってしまうのだろう？ でもそれもまた……
……なんてことはなく、当然、心地よいオルガズムスの時間は終わりを告げ、
「ん…、ちゅう…、ちゅぷ……ぷぁ……」
小傘は口内から僕の肉棒を解放して、そのまま口を、物寂しそうにぽかんと開いている。
白濁を、あれ程大量に放った筈なのに、小傘の口からは白濁が垂れることもなく、口腔内からその惨状を覗かせることもない。
その背後に潜む事実に……一滴残らず飲み干してしまった、という事実に思わずぞくりとさせられる。
なにか物言いたげに、あるいは何か言葉をかけて欲しそうに僕をまじまじと見つめる小傘。
僕はというと、何か言葉をかけてやりたいのだけれど、何て言えばいいのか分からず、極度の興奮と快楽の余韻に息も整わず、
ただ仕方なく、小傘の異色の瞳を見つめ返す……労いと情愛を込めて……吸いこまれるように……
見つめあう……静寂の時。息も絶え絶えな僕と、なんだか余裕の表情の小傘。
「ふふっ……御馳走様♪ いっぱい驚いてくれたね……美味しかったよ」
「はぁ……ふぅ……それは、僕の心を食べた感想？」
「そう、○○が、喘いで悶えて、驚いてくれたの、美味しかった」
満足げな、幸せそうな笑みを浮かべる小傘。ああ、そんな表情が一番可愛らしい。もっと見ていたい。
その笑顔を見る為にだったら、いくらでも驚いてやりたい。愛でてやりたいと……素直にそう思う。
「全部……その……精液、飲んじゃったのか」
「うん！ 飲んじゃった」
「不味くて、喉越しも最悪だろうに……どうして小傘は全部……」
あまり自分の精液を飲ませたいとは思わない。
いや、飲んでもらうのが嫌なわけじゃないけれど、興奮を覚えないと言ったらウソだけど、あんな汚いもの、飲ませたくは無い。
飲んだことは無いけれど、あの鼻にくるニオイ、独特の粘性、所々ゲル化した塊、あまり口にしたくないモノであることは想像に難くない。
可愛らしく美しい小傘の体を、外からも内からも汚す……そんな興奮を覚えることもあるけれど、
それ以上に、僕の粗末なものから出た汚濁で小傘を汚す事には……抵抗を感じる。
綺麗すぎるんだ……小傘の体が、色も、形も……全身も、手先も、口元も胸も……僕なんかが汚していいのかって、そう思う。
でも小傘は……
「だって、全部飲んだ方が○○、驚いてくれるし……それに○○が私で気持ち良くなってくれた、降参の証だもの……」
ああ、降参だ。僕の負け。
そんな無知そうな、限りなく性に無縁そうな無邪気な顔して、口先では卑猥な言葉をを平然と言ってのける事ができるあたり凄いと思う。それも惚気たっぷりに。
うん、降参。でも次は負けないよ。
「そっか……ありがとな。じゃあ今度は……」
「えっ……あ……」
体を起して、小傘をギュッと抱きしめる。
小さく細いか細い体。ちょっと力を入れすぎてしまったら壊れてしまいそうな体は、
しかし僕よりもずっとパワフルで、人を驚かす為に毎日奮闘していて……そして今し方も、僕を悦ばせる為に小さな体をめいいっぱい使って、僕の欲望を受け止めた。
抱きしめる、ぎゅぅぅって……柔らかい、のは胸が当ってるからじゃなくて、いや胸も柔らかいんだけど、何と言うか体が全体的にしなやかで柔らかい。
抱きしめるだけで、抱きしめている僕の方が溶けてしまいそうだ……柔らかい……
「やっぱり小傘からしてもらうだけじゃ、傘を持ってきてくれたお礼……御褒美返せないや」
「ん……」
「それどころか、却って恩返ししなきゃいけないことが……増えちゃったよ」
「うん……」
「今度は僕からするの……受け取って、くれないか？」
「うん……いっぱいシて？ いっぱい……愛して♪」
そう言って、期待と蠱惑の眼差しを僕に向けて応える小傘。
されっぱなしというのはやっぱり沽券というものがあるし、やっぱり気持ち良くさせてあげたいものだ。
小傘はお腹いっぱいになるからと僕にしてくれたけれど、僕は何もしてないのが堪らなく悔しい。
シテあげたい、捧げたい。尽くしてあげたい。小傘がシテくれたみたいに、小傘がくれたもの、尽くしてくれたことの恩返しを、全部……全部……
体を抱きしめたまま、小傘の頭をゆっくりと撫でる。蒼碧色の美しく整った御髪を、乱してしまわないように、流れに沿う様に、ゆっくりと梳いて行く。
さらさらな髪の毛が手のひらを、指の腹を優しく摩擦する感触が気持ちいい。指と指の間を御髪がさわさわと刺激して、心地よい。
「ん…、んぅ……んふ…、はぁ…ん…、ぅ……」
小傘もかいぐりされるのが心地よいといったように、両目を閉じて、鼻に抜けた撫で声をあげる。
ああ、そうだ、こんな表情が、もっと見てみたい。この表情を見れただけで、実に頭を撫でた甲斐があったというものだ。もっと見てみたい。
おでこに、指を差し込んでゆっくりと前髪を掻き上げる。前髪から指を引き抜いて、乱れてしまった髪を戻す様に丁寧に梳き下す。
指に絡み付く御髪の感触を名残惜しみながら、手を髪から離し、横顔を滑らせて頬に当てる。
ああ、何て柔らかいんだ。もちもちだぁ。親指と人差し指で軽く、白くキメ細やかな頬を抓む。ぷにぷにと、痛くないように。
軽く引っ張ってみるが特に小傘は不快といった表情をすることもない。これも気持ちいいのだろうか？ だったら、うれしいなぁ……
でも遊んでばかりいても失礼なのでここらへんで止めにしておこう。
「ふ…、ん…♪ んぅ……」
小傘の頬にそっと手を当てて、ゆっくりと唇を近付ける。先程は、あげようと思ったら奪われてしまったモノ。今度こそ、きちんと“あげたい”。
唇を近寄せる。胸がどくん、どくんと強く鼓動する。背筋が緊張する。
初めてじゃないのに、もっと深く濃厚なのとか、いっそのこともっとエッチなことすらいっぱいしてきたのに、
やっぱり行為の初めにする口づけというのは、なかなかどうして初々しさが抜けきらないものか……だがそれがいいのかも。
触れる……柔らかな小傘の唇、かつて僕の唇を嫐り、乳首を蹂躙し、愚息を凌辱したトリックスター。
少しでも恩返しできたらという気持ちを込めて、そっと触れる。
「んっ…、んんっ！」
「っ！」
軽く唇をふれると、急に目を見開き全身を震えさせて暴れる小傘。そのあまりにも強い抵抗に、思わず僕もたじろいでしまう。
どうしてだろう？ 小傘は、きっと僕よりもキスが好きで、突然の接吻を予測こそ出来なかったとしてもこんなに暴れて抵抗するほど驚くとは思わなかった。
なにか、小傘の心に触るようなことをしてしまったのだろうか？
「キス……嫌なのか？」
「だってぇ……○○のせーえき……飲んじゃって汚いから」
ああなるほど、理解した。口に残る精液の所為で僕に嫌われると思ったのか、それとも僕に、不味くて感触の悪い物を飲ませないと思ったのか。
いずれにせよ、小傘の心遣いが胸の内に、ずぅーんと染みる。日々をムードと勢いで生きてるように見えて、彼女なりに思う所があるんだなぁって。
でもね、それだけの理由で止めるわけにはいかない。
「全部飲んでくれたんじゃなかったの？」
「でも……まだ残ってるかも」
成程確かに自分の精液なんて――いや赤の他人の精液とか尚更だけど――あまり飲みたい代物じゃないけれど、
でも……だからこそ、
「僕の……その、汚いモノを……飲んでくれた小傘の唇にも……御奉仕、してあげたいんだ」
「あ……んぅ、ずるいよ……そんなこと言われたら、キス……断れないじゃない……」
そう言って小傘は唇を突き出してくる。いやらしく貪欲にではなく、顔ごと僕の方へと寄せるように上品に……
“そんなこと言われたら断れない”と小傘は言うけれど、それなら僕だって、そんな可愛らしい仕草で催促されたら、キスせずにはいられなくなる。
その唇に誘われるように、僕も顔を突きだす……今度は小傘の瞳、うっすらと開いている……物欲しそうに、緩んだ瞳……
――ちゅ……
触れる……小傘の柔らかい……触れただけで溶けてしまいそうな生唇……
小傘の体がビクって震える……でもこれは拒絶の震えじゃない……歓喜の震えだと僕にはわかる。
もっと悦ばせてあげたい……僕がしてもらったのと同様に、ううん、それ以上に気持ち良くて幸せなキスをあげたい。
――ちゅ…、ちゅう……
続けて二度、三度……何度も何度も唇を落とす。先程とは違って、今度の小傘はひたすら僕を受け入れるように、じっと唇を構えている。
可愛らしいおねだりに応えるように、何度も何度も口当たりの良い唇を啄む。ちゅぷ…、ちゅぷと小気味よい音が体の芯に響き渡る……心地よい。
「ちゅ…、ん……○○って、キス……好きなの？」
「……うん、小傘に……好きにさせられた」
「えへへ……もっといっぱい、する？ んっ…、ちゅ……」
小傘をキスに溺れさせてやりたいのに、キスの快楽と幸福でその整った顔をとろとろにしてやりたいのに、
早くもキスに溺れてしまったのは、僕の方のようだ。如何してくれようか？ 引きずり込んでやろう。
肩に手をかけて、ゆっくりと体重をかける。
小傘は先程みたいに反抗する節を見せることもなく、それどころかむしろ、僕の腰に両腕を伸ばして倒れ込むようにベッドへと吸い込まれていった。
期待する様な小傘の視線……ちょっぴり挑発的で、悪戯っぽい微笑み。誘われるように、白い肌の中紅く映える唇を奪う。
――ちゅむ…、ちゅぷ…、んむ……ちゅう……
唇同士が触れ合って、そして弾ける粘っこい音、触れ合う度にぷるぷると震える小傘の柔らかな肢体、漏れ出す撫で声、細める瞳……
全てが、小傘の接吻に対するレスポンスの全てが僕の欲望を滾らせて、キスへと夢中にさせる、奉仕したくなる……
開かれた唇同士を繋いで……口腔を空間的に接続して、小傘の体をぎゅぅぅと抱きしめたまま……ゆっくりと……
「ん…、んぅ！ ん…、んふぅ……ちゅ……」
ずっと物欲しそうにしていた唇の隙間に舌を侵入させる。体を振るわせて、僕の背中に回した腕にぎゅっと力を入れる小傘。
ぎゅううって、強い力。痛くは無いけれど、力強く締め付けられる。僕も強く抱き返す。小傘の振動と温もりが気持ちいい。
小傘の言うとおり、微かに精の臭いを、咽返りそうな味を感じるけれど、小傘の口腔の感触があまりにも甘美過ぎて、対して気にならない。
いっそ残ったものは僕が掃除してしまおうか、そんな気持ちにさせられる位に小傘の口腔の感触は、優しく、柔らかく、そして甘い。
―ちゅく…、れろ…、にゅぷ……ぴちゅ……
小傘の口の中を舌で舐めまわす。這いずり回る。小傘がしてくれたみたいに、歯茎、頬肉、舌の付け根、上顎と丁寧に舐る。
舌で触れた所から溶けてしまいそうなくらいに、柔らかくてアツアツな小傘の口腔。肉に絡み付かれた僕の舌が、逆に蕩けてしまいそうだ。
侵入してきたものに絡み付いて蹂躙する器官、そんな器官にこんなにも優しく、でも激しく己の分身を咥え込まれてしまったら、
なるほどひとたまりもなく、容易く屈服の証を放ってしまうのも最もな話だと思う。
「ちゅる…、れろ…、にゅ……れりゅ……」
小傘の舌に、自らのを絡み付ける。散々舐って、嫐って、舌も乳首も、愚息も虐めてくれたからね。お返ししてあげなくちゃ。
舌の柔らかな根元も、ヌルヌルが気持ちいい裏側も、程良くざらついた表側も全て丹念に、味わう様に舐り上げる。
舌を絡みつけて擦り合わせようとすると、小傘も応えるように舌を重ねてくる。先程のようにがっつくのではなく、僕の動きに合わせるように、奉仕してくれる。
舌全体に小傘の味が拡がる……甘い、もっと舐めたい……味わいたい、小傘……欲しい……
「んっ…、ふぁ…、あむぅ……ちゅる…、ぴちゃ……」
唇を重ね食み合い、舌を絡め擦りあう度に、僕の体を抱きしめる小傘の腕に力が込められる。
ぎゅっ、ぎゅっ、と規則的に……小傘の鼓動、体の震え……温もり…、全てが気持ちいい。
全身をやんわりと包み込む上品な快感……そのほんの一部でも……いやいっそ倍くらいにお返ししたい、
その一心で、接吻の甘美な悦楽に小さな体を震わせる小傘を宥めるように抱きしめつつ、唇から更なる快楽を注ぎ込む……
「ちゅる…、ちゅく……ん…、ちゅう」
舌を強く吸付かれる……肉棒のように、ナニかを絞りだそうとちゅうちゅう吸われる。舌から射精してしまいそう。
当然精を吐き出せる筈もなく、かわりに唾液の分泌が促される……ドロドロと、僕の口腔が、舌が透明な液体に溶けだす。
舌を伝って僕の口から小傘の口へ、唾液が注がれる……注ぎ込む。僕の唾液……ドロリドロリと、僕の熱が溶け込んだ唾液。
求めるように小傘の唇による吸引が強くなる……さらに促されるように唾液を分泌して、注ぎ込む。ポタリ……ポタリ。
「ちゅぅぅ…、ちゅぷ…、ちゃぷ…、はむぅ……」
唾液の伝う舌で小傘の口腔を掻きまわす。柔らかい頬に、敏感な上顎に僕の唾液を塗りたくるように。ヌルヌルと浸透させる。
二人の唾液は絡み合い、粘度を増す、それはもはや僕の唾液でも、小傘のでも無い。僕と小傘の、二人で作ったラブジュース。
さらに掻きまわす……ゆっくりと、ゆるりと。歯茎の形、頬の柔らかさを堪能しつつ、二人の液体を舌に湛えて塗りたくる。
小傘の舌も、僕を追いかけるように、ぐるり、ぐるりと中で暴れる。僕の舌に絡み付いては逃げられ、絡み付いては逃げられを繰り返す。
「ちゅく…、ん……んくっ……ぷぁ…、もっとぉ……欲しいよ……」
口腔に溜まった唾液を喉を鳴らして飲み干して、物欲しそうな目をして更なる唾液を催促する小傘。
可愛らしい要望に応えて、もう一回唇を唇で塞ぎ、舌を差し込んであげる。ぬぷぬぷと舌を出し入れすると、ちゅうちゅうと吸付かれる。
貪欲に、求められる。あげたい……捧げたい。二人蕩けあうまで、唇から溶け流れ出る快楽が全身を満たすまで、唇を重ね、舌を絡ませ、唾液を交換する。
「ぷぁ……はぁっ…、小傘……」
「○○……好きっ♪」
此処で、健気そうな笑みを浮かべて“好き”はずるいと思う。本当に。その一言だけで、僕の全てが救われてしまう。
手淫、乳首責め、フェラチオ、パイズリ、パイフェラ、数々の奉仕を受けたことも、
キスしたりされたりしたことも、これからしようとしている行為も全てが、その一言の為に正当化される。
“好き”、その言葉を聞きたくて、その想いに応えたくて僕も、
「僕も、小傘が大好きだよ」
至近距離で小傘の瞳を見つめて想いを告げる。
今までに幾度と交わしてきた言葉……でもいざ言おうとすると、ちょっと勇気がいる言葉。
何のためらいもなくのたまう小傘には、見習いたいと思う、切実に。
僕の言葉に目を細めて破顔する小傘に……ああ言って良かったと、素直に思う。
「小傘……」
「○○……んんっ！？」
「ここも、労ってあげないとね」
小傘の乳丘を両手でやんわりと覆う。ビクッと体を跳ねて反応する小傘。
「あ…ん、おっぱい……するの？」
「いっぱい、おっぱいにしてもらったからね……これも、恩返し」
ゆっくりと指に力を込めて、乳房を揉み解してゆく。
手で触れてみて、改めてその柔らかいこと、上質の織物のような質感のよさ、ぷるんとした弾力を実感する。
普段着ているベストの上からだと分かりずらい、意外とおおきな小傘の双丘、僕だけが知っているかもしれない乳肉。
その素晴らしい感触の前に、思わずうっとりとしてしまう……そんな所を小傘に見つめられて、
「おっぱい……好きなんだ？」
と悪戯っぽく言われてしまう。
「うん……でも小傘のだけだよ……小傘のおっぱいだから大好きなんだ」
「ん…、キメ顔で言うことじゃない……んぅ…、でも気持ちいいよ……もっとして……」
鷲掴みにするように、柔らかな乳肉に指を埋めてゆく。
その柔らかさゆえに、小傘の双丘は容易に形を変えて僕の指を、手のひらをやんわりと受け入れてゆく。
ぬかるみに嵌るように指が、ずぶりずぶりと柔肉に包まれて気持ちいい……このまま指から射精してしまいそうな程に。
「んぁ…、ふぁぅ……いやらしい動き……だね」
「いやらしい動きは嫌い？」
「ううん……むしろそんなんじゃ足りないの……もっといやらしく……シて……」
もっといやらしく、とは如何にとも思うのだけれど、ともあれ麗しき姫君からそんな勅命を受けては拒むことなどできない。
使命のままに、そして欲望のままに小傘の乳丘を揉みしだいて行く。
やんわりと掴んで上下左右に動かしてみたり、きゅっきゅと指に力を入れて軽く握ってみたり、
常に僕の手と同じ形を取り続けるその柔軟さが、僕の目を楽しませてくれる。見て気持ち良くて、揉んで気持ちいい小傘のおっぱい、もっと揉んでいたい……
「はぁ…、あっ……ふぁぁ…、おっぱい……熱ぅいの……じんじんってして、気持ちいい」
「ふふふ……乳首も悦ばせてあげるよ」
「あっ…、っ！ ひぃあっ…」
乳房を鷲掴みにしながら、人差し指を伸ばして丘の中心にある突起を軽く弾くと、全身を痙攣させ甲高い嬌声を上げる小傘……
その様子が堪らなく面白くて、もっと見たくて、つい何度も何度も人差し指をピンッ、ピンッと往復させてしまう。
両手で息の合った周期的な指の動きに、小傘の体も規則的に振動して甘ったるい吐息を僕に吹きかける。
「んはぁ……ちくびぃ…、コリコリってぇ……もっとぉ」
乳輪をなぞる様に輪を描いてみたり、硬くなった乳首をそそり立たせるように、上になぞり上げたりと焦らしてゆき、
我慢できないの、と言いたげに胸をもじもじさせた所で指を蠕動させて乳首に細かく刺激を加えてゆく。
両胸で乳首に快感を与えるタイミングをずらしてみたり、片方は揉むことに専念してみたり、小傘の反応の変化を楽しみたい一心で、愛撫の動きにも様々な変化を与えてゆく。
やんわりと動きが激しくなるのが焦れるのか、そしてそれがまた気持ちいいのか、小傘の頬の紅みが、徐々に徐々に増してゆく……
「ふぁぁ……もしかしてぇ……遊んでる？」
「まぁね……、さっき小傘にも色々遊ばれちゃったし」
「むぅ……さでずむ……」
「ああ、そんな悲しそうな目をしないで……しっかりと御奉仕、してあげるから」
膨れっ面になりつつもどこかまんざらではない様子の小傘ではあったが、僕の顔を柔丘に近付けてやると、これからされることへの期待の為か目を輝かせた。
顔を、口元を近付ける……小傘が僕にしてくれたみたいに、まずはそっと息を吹きかける……ふぅっと……
「〜〜っ！ ぁ！ やぁっ！」
息を吹きかける……それだけで小傘は激しく胴体を床から突き上げ、甘い悦声を部屋中に響かせる。
ぷるんと僕の目の前で、文字通り目と鼻の先で双丘が揺れる……美味しそうに、食べて♪ と言わんばかりに……
見た目だけで、プリンよりも柔らかく甘い、魅力的なスイーツであることを約束してくれる……
小傘の目を……期待に涙ぐむ小傘の愛らしきオッドアイを見つめながら、まずは舌を伸ばして……
「……ぁ！ あはぁっ♪」
ペロリ、と左胸の乳頭を舐め上げる。何かが弾けたように体を揺らして喜悦の撫で声を上げる小傘。
休む暇を与えぬよう、２回、３回と次々に乳首を舐り上げてゆく……悩ましげな喘ぎ声が何度も反響する。
その声が僕を、乳首の御奉仕へと夢中にさせてゆく……舐めたい、いっぱい舐って小傘を悦ばせたい……僕にしてくれたみたいに……
「っ…、ぁ…、やぁ……もっとぉ…、ふぁぁぁ……いっぱい、ちくびぃペロペロってぇ…、はぁんぅ♪」
はやる小傘の要望を燻らせるように、ゆっくり、ゆっくりと舐り上げる……ざらざらとした舌の感触を味わってもらいたくて、ゆっくりと、じんわりと……
固く充血した突起が舌を刺激する……乳首の感触が舌に残る……残滓が気持ちいい……病みつきになってしまいそうだ。
反対側の乳首を指の腹で摩擦しながら、唾液をねっとりと乳輪に絡みつけてヌルヌルに濡らしてゆく。
「や…、んぅ……おっぱい……ヌルヌル……気持ちいいよ……はぁっ……んっ…、ふふふ」
「ん、どうした？」
「○○の、私の顔見ながら乳首をペロペロする姿……なんだか可愛いなって……っ！」
乳首から齎される悦楽に悶えながらも、慈しい、愛しいといった表情を僕に向かる小傘。
その、可愛いとか言われると、恥ずかしいというか、照れる。でも小傘にだったら言われるのも悪くない。
いや、嬉しい……素直に嬉しい、もっと言って欲しい、ああ、もっと可愛がってもらいたい。
そんな思いから、より丁寧に丹念に、乳首に舌を絡ませて御奉仕する。小傘の愛しき瞳を見つめながら……小傘がしてくれたように……
「あ…、んっ！ 舌の動きが激しくなったぁ……可愛がられるの、好きなのねぇ」
「小傘に想われるのなら……何でも好きなんだよ……ふふ」
「ん…、はぁ……舌がくねくねって…、っ……」
「あと、小傘のおっぱい舐られて悦んでる姿も可愛いよ、もっと見せてもらうね」
「う、うんっ……もっと、もっと可愛がって……いっぱい、おっぱいにごほーし……してっ…、あっ…、ああっ」」
乳首の感触、乳首の味、乳首の舌触り全てが病みつきになる……夢中にさせられてゆく……
小さな体の……白い肌の震え、脳の奥底まで響きそうな色めかしい声、小傘の反応の全てが愛しい。
愛しく思う気持ちをその小さな体にぶつけるように、コリコリ、コリコリと乳首を舌で弾き、舐り上げる。
「はぁ……むねぇ……あつぅい……きもち…、いいっ」
「次に小傘は、僕の胸にどうしてくれたっけね……」
「えっ？ うん…、お願い……ちゅうちゅうって……いっぱい吸って」
「仰せのままに、今度は右の胸にしてあげる……ちゅぷ」
「……っ！ 〜〜ぁ、〜〜〜っ！」
僕にしてもらったことをしてあげる。小傘も僕の言葉に、次は何をしてもらえるのか分かっているらしく、可愛らしくおねだりする。
期待に沿うように唇で右胸のその勃起した突起に食み付くと、体を大きく震わせて悦びを表現する小傘。
「はぁ…、ぁ…！ おっぱい……ちゅうちゅう……いいっ……あっ…、ああっ！」
涙目になりながら訴えかけてくる小傘。立て続けに、何度も何度も小傘の乳首を口に含み、ちゅうちゅうと啜ってやる。
味なんてしないけれども、硬く充血した乳首が唇と擦れる感触が心地よくて、もっと堪能したい、その一心で何度も何度も吸う。
乳首から齎される淫悦に夢中になる小傘を尻目に、僕の方も、乳首の口吸いに夢中にさせられてゆく。もっと吸っていたい。
「あっ…、っ！ くぅっ……これじゃあ大きな赤ちゃんじゃないっ…、ふぁぁっ…、〜〜〜っ！」
「れろ…、ちゅぷ…、ちゅうぅぅっ！ こんな大きな赤ちゃんでも、小傘は可愛がってくれるか？」
「あんっ…、あっ…、んもぅ……頭悪い発言っ……、ふぁぁ…、ふぁぁぁぁ……いいよっ…、こうして可愛がってあげるっ！」
胸部に齎される快楽に身を震わせて、呆れた様な視線を投げかけながらも、小傘は慈愛を込めた眼差しで僕に微笑みかけると、
震える小さな手のひらを僕の頭に乗せてあやす様にゆっくりと撫で擦り始める。
温かい……頭から小傘の熱が伝わってくる……心地よい…、少しイケナイ香りのするプレイに興奮が抑えきれず、
情欲に任せて乳嘴にしゃぶりつく。わざとらしく卑猥な水音を奏でながらピンク色の果実を啜り愛でる。
「ふぁぁ…、くぅっ……撫でられて興奮するなんてっ…、はぁっ……変態ねっ」
「ちゅぷ…、れろ……見損なった？」
「ん…、あんぅ……まさかぁ……私も、負けないもんねっ…、っ！ 〜〜〜っ」
快感に喘ぎ体を引き攣らせながらも僕の体をぎゅっと抱きしめる小傘。まさに母親にあやされる赤ん坊の形となる。
こういうちょっぴりアブノーマルなプレイでもノリノリでしてくれるあたりが実に小傘らしい。
撫でられ抱きしめられ、包まれる心地よさに応えるように、強く柔丘に乗った突起に吸付いて、舌で転がす。
乳輪に沿う様に円を描き、唇を窄めて中心に寄せ集め、乳首が取れないか確認するように舌で何度も摩擦する。
左胸を刺激することも忘れずに、何度も何度も指を往復させて乳嘴に刺激を与え続ける。
楽器の弦を扱う様に繊細に弾くたびに、この世のどんな楽器よりも繊細で柔らかい音を口元から奏で続ける小傘。
頭に乗せられた手と、僕を抱きしめる腕が呼応するように震えるのが愛らしく、心地よい。
心行くまで小傘の双丘を堪能し、静かに解放する。ヌラヌラと唾液に濡れた乳輪が、照明の光を反射して銀色に輝く。
「ん…、こんなものかな」
「はぁ…、んっ……満足げな顔して……」
「小傘だって、僕を散々気持ち良くさせた時は満足そうな顔してたんだ。お互いさま」
「うん、別に嫌じゃない……むしろ私の体で満足してくれたなら……どんな形でも嬉しいかな……」
「そっか……でも、これから満足するのは……小傘の方だよ」
体を起して小傘の体から離れ、右手をいやらしく蠢かせて小傘に見せつける。
既に乳房への濃厚な愛撫によって小傘の表情は恍惚としているものの、わざとらしい手の動きに期待の視線が集まる。
期待されている……それだけで嬉しい、ちょっぴり重圧だけれど、でももっと小傘を喜ばせたい、悦ばせたい。
ゆっくりと、小傘の太ももに手を這わせる……
「あっ…、ふふふ……」
触れた瞬間に、少し驚いたようなそぶりを見せるものの、次に何をされるのかはとうに分かっていて、
それでいて少し焦らす様な僕の行動が恥ずかしいのか、照れ隠しをするように微笑む小傘。
期待に応えるように、ゆっくりと太ももを這いながら、奥へ奥へと接近する。
秘境に近付くにつれて湿っぽい空気が手を包み始める。地が微かに汗ばむのを感じる。奥へ、奥へと進める。
十分奥へと進んで、頃合いを見計らってその聖なる布へと指を伸ばし……
「んぅっ……」
小傘はビクッと体を震わせた。
手に残ったのは、パンティの繊細な生地の感触……というよりも、しっとりと愛蜜に濡れた聖布の感触。
「小傘……」
「ふぇ……？」
「ごめんな……ここはずっと、準備して、我慢してたんだね……辛かっただろう？」
「う……うん、最初にキスした時から……おまたがキュンてしてて、でも○○を気持ち良くさせたかったし、○○の好きなように体を楽しませてあげたかったから」
「小傘……」
驚愕に飢えていて、いつも人を、とりわけ僕を驚かせることに苦心する麗しき姫君は、なかなかどうして健気で、慈愛に満ちていて、僕をこんなにも悦ばせてくれるのだろう。
でも、負けたくは無い。注ぐ愛の量で小傘に負けたくは無い。僕だって小傘のことが好きで好きで仕方がない。小傘が悦ぶようなことを何でもしてあげたいから。
そんな、ささやかな勝負心を胸に……
「あ……うん、脱がせて」
スカートに手をかけて、そっと脱がせる。
小傘は抵抗することなく、むしろ期待の眼差しを僕に注ぎ、僕の意を汲むように、脱がせやすいように足を閉じた。
おかげでスカートはするすると、容易く取り払われ、程良い肉つきの太ももと、それに囲まれた魅惑的な純白のショーツのデルタが露わになる。
ショーツの上から生地の感触ごと、小傘を堪能したいという欲が沸きおこる。でも、これ以上遠回りに責めるのはかわいそうだ。
欲を堪えて、純白のショーツも降ろしてゆく。スルリスルリとさしたる抵抗もなく下りてゆく。やはり小傘は、脱がせやすいように足を股を僅かに開いてる。
そんな小傘の期待に、少しでも応えてあげないと……なぁ。
小傘の蜜裂があらわになる……薄らと生えた産毛に、すでにたっぷりと湛えた愛蜜の雫がキラキラと輝きを放つ。
太ももの隙間に手を差し込んで、脚をそっと開こうとすると、小傘からも積極的に開帳してくれる。
こう言った所の恥じらいは少ないあたりが如何にも小傘らしい。
「んふ……あ…ん…、太ももすりすりしちゃ……あはぁ……」
「ここも、柔らかくてもちもちしてるなぁ……」
「あ…、○○っ……恥ずかしいって……」
「御開帳は良くて太ももは恥ずかしいのかい……」
「恥ずかしいものは恥ずかしいのっ！」
このまま乳肉のように太ももを揉み倒してしまいたい衝動に駆られるが、これ以上すると後が怖いのでやめておこう。
愛蜜を滴らせる小傘の秘所に、ゆっくりと顔を近づけてゆく……温かな熱気が顔を覆い、甘酸っぱい芳香が鼻腔を刺激する。
期待の為か、小傘の秘裂は微かに震えている……震えながら、僕を誘っている。
「その……こうすると、シやすいよね」
興奮を抑えきれないのは小傘も同じらしく、太ももに外側から手を回して固定し、自ら土手肉をアピールさせる。
やっぱり少し恥ずかしそうに、でも悪戯っぽく、いっそ僕を驚かせようという意気込みを込めた小傘の瞳がニクく、愛しい。
ぷりっ、と大腿に引きつられて小傘の秘裂が割れて、綺麗な桃色の果実がより一層露わになる。さらにむわっとした、小傘の香りが漂う。
「ああ、そんなに期待してくれてるんだな。ありがとう」
「ん…、どういたしまして…、っ！ 息が…、ぁぁぁ……」
僕が声を出すたびに、昂る心を宥めようと呼吸をする度に小傘の蜜壺口がぷるぷると震える。
まるで行き場を失った快楽に慌てふためく様な小傘の下の口を鎮めるべく、唇を交ねる。
「っ…！」
重なり合った瞬間に、僕の唇に秘唇を押し付けるように小傘の体が振動して腰を突き上げられる。
顔面にわりと勢いよく直撃を貰う、でも痛くなんてない。小傘の柔らかな股間の柔肉が気持ち良い。
「あ…、あぁっ……はぅ……」
間髪いれずに舌を拡げて小傘の秘肉を舐め上げる。膣口の下から陰核の上までを、まずはゆっくり、形と味を舌で確かめるように。
舌のざらつきに秘所を責められて堪らないといったように小傘は甘ったるい媚声をあげて悦びを謳歌する。
やっとのことで与えられた快楽に満足しつつも、まだ足りないのと言いたげにヒクつく小傘の陰唇に、第２、第３の舌を繰り出してゆく。
「ぁ…、気持ち…いいっ…、もっとぉ……頂戴♪」
舌を上下に往復させる度に、嫣然な撫で声を漏らしながら、更なる悦びを求める小傘。
そんな声が嬉しくて、もっともっと聞きたくて、夢中にさせられて、次第に舌の動きを速めてゆく。
「その…、ん……れろ…、小傘みたいに器用に舌を動かせないから、上手に出来てるか分からないけれど……」
「っ…、はぁっ……そんなことな……いっ！ 舌…、上手っ……いいっ…、あはぁっ」
「そっか……もっと、頑張るね……ん…、れろ……ふふふ」
秘所に舌を這わせながら、両手を取り出して陰唇にあてがい、ゆっくりと開いてゆく。
ぱっくりと、小傘の秘部の全てがはっきりと露わになる。紅く充血した陰核、淫猥に窄む膣口、そのおくに姿を覗かせる膣道。
めいいっぱい拡がった桃色の陰唇の壁を、円を描く様に舌で舐め回す。たらたらと、次々に溢れ出る愛液を舌で拭い去る様に、膣口の周りで円を描く。
舌による奉仕を続けながら陰唇を拡げている指を伸ばして、しっかりと自己主張をしている陰唇を軽く擦る。
「はぁっ…、っ…！ 〜〜〜っ！」
「れろ…、ちゅぷ……ここが好きなの？」
「うんっ！ クリトリスにっ！ もっとちょうだぁいっ！」
「ん…、可愛がってあげる」
膣口の縁を舌先で舐りながら、紅く勃起した陰核を指の腹で擦り続ける。
頭を左右に振り、涙ぐみながらも恍惚とした表情で幾度も訪れる快楽の波に溺れる小傘。
それでも時折心配そうに、あるいは着地点を見出すかのように僕の表情を窺ってくる。
そんな小傘の為に……これも小傘がしてくれたことだから、ずっと小傘の顔を、小傘の目を見つめていてあげよう。
小傘の、僕が与えた淫悦に溺れる様を見ながら、それを励ましに僕はクンニリングスへと没頭してゆく。
「はぁっ…、やぁっ！ クリぃ…、いいっ……あっ…、やぁっ…、ふぁぁ…あああぁっ！」
両手の指で包皮を拡げて陰核をそそり立たせ、そのまま唇に含んであげると発狂したかの様に甲高い嬌声を漏らす小傘。
その狂乱ぶりに少し不安にさせられるものの、すぐさま僕に向き直って、もっとほしいの、と催促してくるあたり流石妖怪だなと思う。
続けて唇に含み、ちゅうちゅうと啜りながら舌先で舐り上げる……溢れだした愛液が口内へと染み渡る。
甘酸っぱい、小傘の味をもっと味わいたくて、しゃぶりつくしたくて、卑猥に水音を奏でながら陰核への口淫を続ける。
「あはぁっ…、ああっ…、あああっ！」
舌先で陰核を舐りながら、指で下の方を刺激する。柔らかい陰唇の触り心地、熱い蜜の溜まりになっている膣口、どれも愛したい。
舌と陰核が擦れ合う音が、指が蜜液を拭っては陰唇を捲る水音が延々と響き渡る。官能的なその音に興奮を滾らせられてゆく。
モノを挿れるには少し狭そうな膣口にも、指を差し込みゆっくりと解してゆく……
否、それは解す必要など無いほどに十分柔らかく、指の動きに合わせて容易に穴の形を変え、
それでいて指を抜くと、元の締まりの良さそうな秘穴に戻るのである。
その面白さに、ついつい壺口も弄り倒してしまう……悩ましげな小傘の喘ぎ声が、それを加速させる。
「んぁ…、はぁ……膣内…、疼いちゃう……なかに……欲しいのぉ……ナカに…、頂戴……」
「中……？ 指、挿れていいか？」
「うんっ、ゆびぃ……頂戴っ！ いっぱい……くちゅくちゅってして欲しいっ！」
脚を拡げ、焦点の定まらない瞳でおねだりする小傘。
こうなんも躊躇いもなく恥じらいも感じさせずにおねだりする小傘は凄いと思う。
それは、はしたないだとか、節操無いという意味ではなく……此処まで僕を欲しい、僕を愛してるってことなのであれば、
何としても、僕のなけなしの沽券に懸けて小傘を満足させてあげたい。満たしてあげたい。
――ちゅぷ……
「……ぁ」
中指を蜜穴の入口へと差し込む。卑猥な水音と小傘の掠れた声が同時に響く。
温かい感触が指先を包み込む。小傘の熱、小傘の温もり。僕にとっての最大の癒し。指先に意識を集中して感じ取る。
「○○っ……」
「なぁに、小傘」
「ずっと、見つめていて……」
そう言う小傘の表情は微笑んでいて、でもその声は不安そうで。
「ああ、ずっと見ていてあげる……だから遠慮せずに、飛んじゃっていいよ」
「えへへ……」
安心させようと力強く約束してやると、心底嬉しそうに微笑んでくれた。
情事の最中である事を微塵も感じさせない微笑み、先程までの法悦に浸る艶顔、ころころと変わる小傘の表情が堪らなく好きだ。
そして今からもまた、この笑顔を、快楽に染めていくこととなるのだろう、そう思うだけで興奮する。やりがいを感じる。
――ずぷぷ……
「んぁ…、あはぁ……指ぃ……挿入ってくるぅ……」
ゆっくりと中指を挿入させる。膣内の柔肉の感触を味わう様に、あるいはじっくりと小傘の官能を高めていくようにゆっくりと。
狭い膣道は、しかし、きゅうきゅうと締め付けることはあれど指の侵入に抵抗することなく、積極的に受け入れてゆく。
そう、僕が指を挿れているのではない……小傘の秘裂に吸付かれているのだ。
長く、熱く、小傘が吐息を漏らす。ほら、もうこんなにも色っぽい表情をしている。そんな小傘も見ていたい。
――ぬぷ……
「んっ…、っ……あはっ♪ ゆびぃ、根元まで咥え込んじゃった」
第一関節、第二関節を飲み込み、遂には中指の根元まで小傘の膣内に収められる。なにか達成を得た様な満足げな表情を浮かべる小傘。
膣壁の柔肉は微かに蠢いて僕の指をやわやわと刺激する。それはまるで、そう、精を絞らんとするように。
あいにく射精は出来ないのだけれど、口で強く吸われた時の様な、力が抜ける感じがして気持ちいい。
絡み付く様にして締め付けてくる膣肉を振りほどく様に、ゆっくりと指を前後に動かし始める。
――ちゅぷ…、ぬぷ…、ずぷ……
「ん…、はぁ……あぁ…、んぁ……」
ゆっくりと引き抜いて、挿し込み、またゆっくりと引き抜いてを繰り返す。
指を引き抜こうとすると、抵抗するように途端に淫肉が指に纏わりついて離すまいとし、挿し込みに転じると一切の抵抗なく指を受け入れてゆく。
穏やかな吐息の混じった小傘の喘ぎ、陰核責めのような息も絶え絶えになるほどの激しい快楽とはまた違う、内側を優しく蠢かれる感覚を堪えているといった様子だ。
それならば、両方いじってみるのはどうだろう。
「あぁぁ…、っ！ あぁっ！ んぁっ！ クリトリスも一緒にっ、なんてぇっ……あぁっ！」
膣内を弄られる様を寂しそうに傍観していた陰核を親指で刺激してやると、呆然とした表情を崩して甲高い声で喘ぐ小傘。
休む暇を与えまいと、さらに中指を抜き差しして親指で陰核を転がす。
ぬっぷぬっぷという指の抽送に伴って現れる水音と、頭の芯にまで響きそうな小傘の嬌声がシンクロする。
「小傘……どっちが好き？」
「あっ…、あぁんっ……どっちもっ……クリトリスもナカもどっちも好きなのっ」
「どっちも……気持ちいいか？」
「あぁっ…、どっちもぉ……○○のゆびぃ……じょうずでっ…、あはぁっ……きもちいいのぉっ……」
ああ、こんなにも小傘を悦ばせることが出来るなんて、嬉しい……切実に。
「ありがとう小傘……最後にまた、おっぱいさせてくれ」
「えっ……あぁっ、やぁんっ！」
小傘の返答を聞くよりも前に、体を前に倒して喘ぎにぷるんぷるんと震える肉丘の片割れへと口元を近付ける。
『ずっと、見つめていて』と言われた約束の、唯一の妨げ手であった僕の目の前で悩ましげにゆれる乳肉を……
……それならば僕の口で封印してしまえばいい。揺れることも、目に付くこともなく、僕によし、小傘によしだ。
一瞬小傘の瞳から視線を逸らしてしまうことを心の中で詫びながら、白磁色の果実を口に含む。
――ちゅぷ……
「ひぁ…、もう……本当に私のおっぱい、好きなのね」
「うん……れろ…、小傘の体なら何処でも好きなんだけれどね、此処はほら、僕を気持ち良くしてくれたから」
「だからキメ顔でいうことじゃな……っ…、んもぅ……これじゃ大きな赤ちゃんじゃない……」
呆れ顔で、でも心底嬉しそうにそう言うと、小傘は片手を取り出して僕の頭の上に置き、そっと抱え込んでくる。
小さくて、でもどこか力強い手の感触が頭から伝わる。温かい……これ、気付いたら僕が小傘に包まれる形だな……
「こうして、赤ちゃん扱いしてやるんだからぁっ！」
「……ああ、僕の全力御奉仕だ……受け取ってくれ……」
赤ちゃん扱いというのは少々屈辱的な気もしたけれど、でもこうして小傘に優しく包まれるのが嬉しくて、
……やっぱり恥ずかしいからありがとうとは言えないけれど、でも全力で小傘を悦ばせることを誓う。
再び小傘の乳房を口に含み、止まっていた秘所責めを再開する。
――ちゅう、ちゅるる……
―‐くちゅ…、ずぷ…、にゅぷ……
「あっ…、あぁっ…、やぁ……あぁぁっ！」
口が乳首に吸いつく音、指が秘所を掻き乱す音が愛撫の再開を告げ、ワンテンポ遅れて小傘の喜悦の嬌声が鳴り渡る。
ぶるぶると、密着した肌から小傘の体の震えを感じる。伝わる震動が心地よい。もっと震わせたい、よがらせたい。
その一心で硬く勃起した乳首を舌で舐りあげ、キツキツに絡み付く膣壁をかき分けるように解し、充血した陰核を親指で弾く。
――れろ、ちゅる…、ちゅう……
――ずぷ…、ぬぷ…、くちゅ…、ずぷぷ……
「あぁっ…、すごっ…、い…いっ…、おかしくなっちゃ…、あぁっ！」
体を激しく痙攣させ、指マンに呼応するようにガクガクと腰を突き上げる小傘。
僕の頭を抱え込む手の力が強くなり、ぎゅうぎゅうと顔を双丘に押しつけられる。柔らかな乳房の海に埋められる。
溺れるように小傘の肉実にしゃぶりつき、芯を舌で転がす。乳首の感触を味わう様に、何度も何度も舌の平で舐る。
「ダメぇっ…、私……もうっ……イっちゃっ……」
「ああ、ずっと……見つめていてあげる、抱きしめていてあげるから……安心してイってくれっ」
男の我が身には理解できない、話に聴くだけのオンナの絶頂に伴う恐怖感を少しでも和らげようと、小傘の瞳をしっかりと見つめる。
小傘もまた、蕩けきった焦点の定まらない視線を必死に泳がせて、なんとか僕の目を捕らえようとしている。
差し向けられた視線をしっかりと掴むように、握り返す様に見つめ返して、施しにラストスパートをかけてゆく。
――ちゅぷぷ…、にゅぷ…、ちゅうう……
――くちゅ…、くちゅ…、ぐっちゅ…、ぐぷ……
「あっ…、やぁっ……んぁ…、あぁっ！」
中指を深く挿し込んで軽く指を曲げ、ざらついた天井を確かめるように圧迫してゆく。
外側からは痛々しく充血した陰核を親指で、根元からなぞり上げるように擦りつける。
スキーン腺と陰核の同時攻めに、湿っぽく粘り気のある水音が卑猥に鳴り響く。小傘の狂ったような喘ぎも一緒に……
揺れる乳房に吸付いて、舌を絡ませる……目の前の、小傘の崩れた顔を、でも必死に僕を見つめる顔を堪能しながら、肉実をじっくりと味わう……
辿り着くべき頂きへと上り詰めらせる為に、胸も、秘所も、秘裂の中も全てに快楽注ぐ。
安心して達せられるように、しっかりと小傘の体を空いた方の腕で抱えて、快楽に崩れる愛しき顔を見つめ続ける。
目に見えて小傘が絶頂へと上り詰めるさまが良く分かる……気持ち良くさせることが出来る喜びを胸に、とどめを刺す。
「あぁっ…、イっ…、っ！ 〜〜〜〜っ！」
最後に一際強く、小傘の尿道海綿体を指圧してやると、スイッチを押されたかのように体を揺らし絶句して、絶頂に達する小傘。
中指が凄まじい力で柔肉に喰い締められる。透明な生温かな液体が手のひらへと吹きつけられる。ゆっくりと指を動かしてその余韻を味わう。
これまでにない体の震えを宥めるように、ぎゅっと抱き寄せる、包んであげる。絶頂とその余韻が、小傘にとって少しでも心地よい物になったらいいなという願いを込めて。
「はぁっ…、あっ…♪ はぁ…、やぁ……はぁ…」
絶頂の余韻はなかなかに収まらず、荒い呼吸が、微かな体の痙攣が続く。
目を細めて、首を左右に振りながら取り乱していた可愛らしい小傘の顔が、少しずつ落ち着きを取り戻して、呆然とした大きな瞳を僕に向ける。
その緋色の瞳を、蒼色の瞳を見つめ返す。ずっと見つめていたよって、ずっと見ていてあげるよって、大好きだよって気持ちを込めて。
微かに口元がにんまりと微笑む。ぶるりと体を震わせ、長く緩やかな法悦に身を委ねながらも僕に微笑みかける……ああ、可愛らしいなぁ。
自惚れかもしれないけれど、こんなにも小傘の幸せそうな表情が見れて、気持ち良くさせることが出来て、僕もまた、幸せでいっぱいになる。
「はぁ…、ふぅ……んぁ……はぁ」
「落ち着いた？」
昂りを冷まそうと呼吸を繰り返す小傘にそっと問いかける。小傘の口元から漏れ出す吐息が温かく、そして甘い。
「うん……気持ち良かったよ。いっぱいシてくれて……ありがとう」
「こっちこそありがとう、小傘が悦んでくれると、ちょっぴり恥ずかしいけれど、嬉しいというか、救われるんよ」
「んふふー」
嬉しそうに微笑む小傘の髪の毛に、そっと手櫛を差し込む。絶頂の為噴き出した汗の為か、少々湿っぽい。でもさらさらと指の隙間を通過してゆく。
敏感になった体に頭の撫でられる感覚がくすぐったいのか、小傘は微かに目を細めて顔を揺らし、鼻に抜ける撫で声を漏らす。
「小傘……」
「ん……」
「傘のお礼と、御奉仕のお礼……返せたかな」
「ふふふ……なぁに、それ？ ○○が勝手に言いだした事でしょう？ 私が評価することじゃないわ」
「ああ、それもそうか」
「でも、お腹いっぱいにはなったよ……○○ってば私にごほーししてる最中にも驚いてくれるんだもの……だから、大満足♪」
実に、その言葉だけで救われる思いだ。小傘が何て言おうと、どう思っていようと、なにか小傘にされっぱなしというのは嫌だったから。
今日の事……まあヌいてもらうのは毎日の事なんだけど、とりわけ傘を持ってきてくれた事に関しては、きちんと恩返しがしたかった。
恩返し……出来て、よかった。
「本当に……よかった。それじゃそろそろ夕食の準備に……」
「ああ、それはダメかな♪」
「……っ！？」
小傘の体から離れ、立ち上がろうとした瞬間、物凄い力で引っ張られ再び床に膝をついてしまう。
張力の発生源は、僕の腕をぎゅっと握りしめた小傘の腕、白い腕、細い腕、綺麗な腕、でも妖怪様の力強い腕。
恐る恐る、小傘の表情を窺う……さっきまで見つめ続けることが出来た顔が、今は見るのが怖い……
つい数秒前まで為すがままに愛撫を受けていた少女は、酷く意地悪な表情を僕に向けていた……
「まだ、食べれそうね」
「お腹いっぱいなんじゃないのか？」
「たとえお腹一杯でも、目の前に御馳走があったら齧り付く……そうでしょ？」
「これ以上は驚いてやれる自信がないよ……なにせ２回も射精したんだし」
「あら、じゃあこのご馳走はなにかしら？」
「ぇ……っ！」
悪戯な視線を向けられると共に、局部を襲ったむずむずとした感触に思わず悲鳴じみた声をあげてしまう僕。
見ると、再び熱り立った肉棒を愛しそうに擦る小傘の手が、そこにあった。なんか悔しい。
悔しいけれど小傘の示唆する通り、僕の分身は紛れもなく、御馳走の塊で、吐き出さないことには僕にとってのお荷物であるようだ。
「ああ……あと別に食い意地張ってるわけじゃないのよ？ あんなに御奉仕されちゃったら余計に疼いちゃってさ……最後まで、シたいの」
「そっか、分かったよ……最後の最後まで、僕を、小傘にあげる」
「うん……頂戴♪ ○○が……欲しいよ……」
そう言うと先程と同じように、両脚を開いて腕で抱え込んで固定する小傘。いわゆるＭ字開脚の形。
僕が散々愛した秘所は、これ以上ないほど潤滑に満ちており、いかにも物欲しいの、といわんばかりにヒクついている。
それを見つめるだけで、僕の愚息がより熱を帯びて、硬度を得てゆく。まるで、どうすればいいか分かってるな？ と言われているようだ。
奮う肉茎を指でつまみ、そっと肉扉にあてがう。
「んふ……おちんちん……暴れてるの、挿れる前でも分かるよ……」
「小傘の方こそ……凄く、貪欲だ……喰われてしまいそうだ」
そのままゆっくりと、カウパー腺液に濡れる亀頭を、愛蜜を湛える柔肉に擦りつける。
ちゅぷり、ちゅぷりという淫靡な音が耳の奥まで響いて、そのあまりにも官能的な響きに、思わずため息が漏れる。
亀頭を擦らせるたびに、ぶるりっと花唇が震えて、更なる蜜液を染みださせてゆく。
「ん…、はぁ……焦らしてるの？」
「まあ、形式美というか……」
「別にいいけど……後が怖いわよ？」
「ああ、まったくだ。おまんこが怖いよ」
顔は悪戯っぽい笑みを浮かべて、暗に焦らさないでと言われてしまう。実際、ぎりぎりなのは僕の方だ。
このままもう少し、柔らかな濡れ肉にセンズリしたい気持ちをぐっとこらえつつ、充血した先端を淫口へそっと差し込む。
「んぁ…、挿入って……くるぅ……」
柔らかな粘膜に分身が包まれてゆく様を堪能しながら、ゆっくりと小傘の中へと入ってゆく。
指を挿れるにも狭く感じた膣口は、しかしその倍以上の太さはあるであろう肉棒をもなんなく奥へ奥へと受け入れてゆく。
喰い締める、という形容が相応しいほどに強く締め付けてくるのに、侵入に一切の抵抗を感じない……
そればかりか、まるで小傘の膣内が待ちきれないの、と言わんばかりに吸付いて、積極的に飲み込んでゆくようですらある。
気を抜いたら一瞬で根元まで咥え込まれてしまう……そのまま精を抜かれてしまいそうな吸引に耐えるように、ゆっくりと挿れてゆく。
「あ……ん…、大きい……おまんこ……おちんちんの形になっちゃうかも……」
「はぁっ…、むしろ既に形を覚えられてるみたいだっ…、はぁっ……ぅ…ぁ……」
ぴったりと絡み付く膣肉を掻き分け、ゆっくり、ゆっくりと……柔肉が僕の雁首の形に沿う様に柔軟に形を変えてゆく。
亀頭、雁首、竿……次々に飲み込まれる……まるで体を優しく丸呑みにされている様な全身を伝う激しい快感に、長い息を漏らしながら、
すぐにでも欲望を吐き出してしまいそうになるのを必死に堪えて、膣肉の感触を感じながら根元まで差し込んでゆく……
「あぁ…、根元まで挿入った……く…、喰い締められるっ」
「だめ……」
「ん？」
「もっと、近くに来てっ」
「っ…、うぁっ……」
ずっぽりと、外から見えなくなるまで愚息を膣内に収め、その快感に射精しそうになるのを堪える時間を与えまいとするように、
ぐいっと両手を小傘に掴まれ、そのまま引っ張られてしまう。
一瞬にして小傘の顔が目の前に接近する。小傘のお腹とか、胸とかが僕の体に密着する。温かな小傘の地肌を、全身で感じる。
「ふふっ……膣奥まで……挿入ってきたぁ……お腹の中…、○○でいっぱいだよ」
「ああ…、っ……咥え込まれてる……小傘にっ……かはっ……」
重力の支援を受けて小傘の上に圧し掛かり、根元まで挿し込む形となり、このまま色々なモノを吐き出してしまいそうになるのをぐっと堪えるのがやっとだ。
このまま射精を堪えながら抽送を開始したら……考えただけで理性を焼かれてしまいそうだ。
「ふふっ……驚いてる♪ いつものシてることなのにねぇ」
「ああ、ごめん。しばらくこのままじっとしていて……いいか？」
「うん、いいよ。私もしばらくこうしていたいし……そのかわり……」
小傘が唇の端をにんまりと吊り上げたかと思うと、後頭部を押さえつけるような感覚に見舞われ、そのまま
「ん…、ちゅ……」
「っ…！」
接近してきた唇に、本日三度目の接吻を受ける。
そのあまりにも柔らかな、心地よい感触に……折角の静止が無駄になりそうになるが、なんとか射精を堪える。
「ふふ…、キスで一発ヌいちゃうかもって思ったのに、堪えるのね」
「それだけは勘弁だ……もう後がなさそうだしな」
「そう……じゃあ続けてキスしちゃうよ。ん…、ふぅ…、ちゅう……」
悪戯な笑みを浮かべて、二回、三回と口づけをされる。唇を触れあっているだけなのに、肉棒を柔肉に包まれるのと同じくらい気持ちいい。
立て続けに唇から齎される快楽に、少しずつ浸ってゆき、なんとか愚息から意識を外すも今度は全身を緩やかな快楽が包む。
体表を波打つような、ゾクゾクという快感……頭を固定されて甘美なその媚悦から逃れることも許されない。
「ねぇ……○○からも……キス、して♪」
「うん……ん…、ちゅ……ちゅぷ」
小傘に促されるままに、頭を落として桃色の口唇を啄む。ぐっと腰に体重がかかり、より一層深みに嵌ってゆくのを感じる。
でもそれよりも、唇が触れ合うことの快感に、夢中になる。小傘がしてくれた分、いやそれ以上のキスを返す。
「ん…、ちゅぷ…、れろ……ちゅる…、ちゅぱ……」
どちらからというでもなく、お互いに舌を伸ばして絡め合う。小傘の舌の程良い滑りとざらつきの加減が快楽を齎してゆく。
小傘を求めて舌を絡ませる。濃厚に……絡み合う。小傘もまた、激しく僕を求めるように、うねりうねりと舌を絡みつけてくる。
重なり合う、蕩けあう、混ざり合う……秘部も口も、体も心も一つになる……小傘を包んで、小傘に包まれる。
「小傘…、ちゅ……本当にキスが好きなんだな」
「ふふ……○○が教えてくれたんだよ？ キスが気持ちいいってこと……ちゅ…、れろ……」
「んむっ…、ちゅく……そんな馬鹿な、僕は小傘によってキスが好きになったんだ……ぴちゅ……辻褄があわないぞ」
「どっちだって……、れろ…、ちゅる……いいじゃない……気持ちいいんだもん」
「ああ……どっちでも……ちゅく…、はむ…、いいな……れろ……ちゅ……」
言葉を交わしながら、接吻への称賛を繰り返しながら、僕たちは深く、激しく……そして何よりも甘く舌を絡め合う。
こんなにも長い間唇を交わしあっているのに、今日三回目の接吻なのに、
それこそ小傘のことを好きになって、想いが通じ合ったその日から、毎日といっていいほど唇を交わしてきたのに、
一向に唇を重ね、舌を絡め合うというこの行為に飽きる気配がない……少なくとも僕は、そして小傘もきっと。
そんなことを想いながら、キスに没頭してゆく……没頭させられてゆく。
「ふふ…、ちゅ…、んっ……おちんちん……どんどん大きくなってるよ？」
「ああ……小傘も、きゅっきゅって締め付けが強くなってる…、ん……ちゅ」
「んふ……大丈夫？ 射精しちゃいそうなんじゃなかったの？」
「うん……さっきよりも、もっと気持ち良くなってるのに、射精を堪えらそうだ」
「そう……じゃあそろそろ、動きましょ？ んっ」
返事をする代わりに、ゆっくりと腰を持ち上げてゆく。
肉棒を引き抜いてゆくと、膣壁が強く肉棒を締め付ける。まるで離すまい、抜いちゃいやだと主張するように。
螺旋状に絡み付く柔肉は雁首に引っ掛かって激しく抵抗する……その抵抗が、強い快楽となって悶々とさせられる。
雁首まで引き抜いてから、このまま全て抜かれてしまうことを悲しむ小傘の蜜壺を安心させるように、挿入へと転じる。
一転して締め付けが緩くなり、動きへの激しい抵抗感が消え去る。招かれる様にして奥へ奥へと咥え込まれる。
「あ……ん、そんなゆっくりぃ……動かれると……」
「ごめんね、この姿勢だとあまり速く動けない……っ…、はぁ……」
「ううん、ゆっくり動かれるのも……気持ちいいの…、ひぃっ！？ 奥に……当たって」
根元まで突き入れると、コリコリとした膣壁とは少々違う感触に行き当たる。
小傘の子宮口、刺激して欲しいのとばかりに肉棒に心地よい感触。コツン、コツンと揺すってあげるとぶるりと小傘の体が痙攣する。
「あぁっ…、はぁっ…、奥…、突かれるのぁ……幸せぇ……」
「ああ、僕も……奥を刺激するの、気持ちいいぞ…、くぅっ……本能……かもなっ」
「あ……ん…、ふふっ……本能ねぇ」
本能、という言葉を聞いた瞬間に、小傘はうっとりと焦がれるような表情を浮かべる。
「○○は……私達の赤ちゃん、欲しい？」
「……ああ、それが小傘へのプレゼントになるのなら……とても欲しいかな」
「今までもいっぱいヤっちゃってるけど……諦めずに続けたら…、んぁ…、出来るかな？」
「……ああ、まったく分からん。でも小傘が欲しいのなら、僕は何でもするよっ！」
「あ…ん…、人を喜ばせるのが好きなのねっ」
「喜ばせる事しかできないけどなぁ…、くぅっ…、あと、“人”じゃなくて“小傘”だけっ」
どうだろう、これまでに散々搾り取られちゃって一向に兆しなしだからなぁ、人間と妖怪じゃ無理なのかなぁ。
でもきっと、なんでもありの此処幻想郷だから、なにか方法がある筈。
今は、僕に出来ることを、小傘にプレゼントできる物を、ただ捧げるだけさ。
「あっ…、はぁ……もっと、激しく……好きにしていいのよ？」
「はぁ…、っ…、ははっ……ではお言葉に甘えて」
抽送の振動ゆえか、あるいは快感に対する反応ゆえか、僕の視界の中で蠱惑するように揺れる純白の肉丘にそっと手を這わせる。
ああ、相変わらず柔らかい……もちもちだぁ……
「っ…、やぁっ……また胸ばっかりぃ」
「まあ好きにしてと言われても、ヤることはこれくらいしかなくて」
「そんなこと言ってぇ…、っ！ んぁ……本当に、おっぱい大好きなのねっ」
「うん、とても大好き」
「キメ顔で言うことじゃないっ…、３回も言わせ…、るなぁっ！」
口ではそう言いながらも――口ですら、語調は抵抗も拒絶も感じさせないのだけど――体は正直なようで、
貫かれながら双丘を捏ね繰り回されるのが心地よいのか、力を加えるたびに体を震わせ、可愛らしく喘ぐ小傘。
「はぁ…、いい…、おっぱいぃ……おまんこぉ……あっ…、いいのっ」
「すっかりトロ顔じゃないか…、うれしい…、っ…、ぞ」
「んぁ…、ん…、ふふふ……じゃあ私からも、好き勝手させてもらうね」
「えっ…、あっ…、あぁっ！」
溜まらず悲鳴を上げたのは、小傘の脚が腰回りに絡み付いてきて、締め付けてきたから。
きゅっと強く、小傘の柔肌に密着することを強制される。深く、小傘の奥地へと分身を突き挿れることとなる。
両腕も背中の後ろに伸ばされ抱きしめられる。抱きしめる力は妖怪じみた強さで、もはやひきはがす事はできない。
「ふふ…、あ……んぅ…、これぇ……だいしゅきホールドって言うんだよねぇ」
「っ…、う…ぁ、何処で……そんな言葉っ……拾ってきたっ？」
内側からも、外側からも締め付けられる……ヤバイっ……本当に、絞られているようだ……
深挿れを強要するように、腰に絡み付いた両脚が、強く絞まる……中に溜まっているモノを吐き出せと呼びかけているようだ。
腰回りに抱きついた腕のおかげで、胸やお腹、地肌でもより広く深く密着して、全身が気持ちいい。もう快感の逃げ場なんてない。
「ふふっ…、あんぅ……捕まえた♪ このままぁ……ん…、ちゅ……れろ」
逃げ場の無くなった僕の唇を奪い、緩い唇の隙間に一気に舌を突き入れてくる小傘。敏感になった口腔の粘膜に容赦ない刺激を与えられる。
肉棒が膣内を暴れ抉るのに合わせて、小傘の舌が僕の口内を蠢き蹂躙する。舌が上顎を舐るのに合わせて、まるで頭の中を舐られているかのような錯覚を覚える。
ぴちゃぴちゃと口内から響く唾液と舌の絡みあう音、じりじりと思考を焼き切る電流のような快感……追い詰められてゆく。
挿れながら挿れられる媚悦に、なりを潜めていた射精感が込み上げてくるのを感じる。
「ん…、ぴちゃ……はむぅ…、んぷ……はぁん……キスでおちんちんビクビクって……あっ…、ん…、ちゅ」
「んぐっ…、ぷぁ……小傘っ…、もう……イキそう」
「うん……一緒に…、んちゅ……」
僕の反応を見た小傘は恍惚とした表情で僕の唇を奪い、舌を激しく絡ませてくる。
それはまるで、近付く絶頂が待ちきれないのと言わんばかりに、射精感を促す様に、そしてより心地よい絶頂を僕に味わせるかのように。
そんな小傘にも気持ち良くなって欲しくて、侵入してきた舌に僕からも舌を絡める。
激しさを増す接吻に促されるように、腰を深く突きいれると、小傘の膣肉の締め付けもより強くなる。
小傘もきっと絶頂が近いのかもしれない。一緒にイキたい、そんな共通の欲望をかなえるべく、一心不乱に腰を打ちつける。
肉棒を引き抜く度に膣内の粘膜が精を絞り上げるように絡み付き、突き入れる毎にコリコリとした子宮口が亀頭に刺激を与える。
高まる射精感に合わせて小傘の最奥をコツン、コツンと、これから此処に精を出すよと告げるようにノックする。
「小傘っ……こがさっ…、僕……もうっ！」
「うんっ、頂戴っ！ 私の膣内にっ…、○○のせーえき…、いっぱいちょうだいっ！ 一緒にイクからぁっ！」
僕が腰を振るのに合わせて小傘も腰を上に突き上げる。ぱんっ、ぱんっ、と腰と腰がぶつかりあい、亀頭と子宮口がちゅっ、ちゅと衝突する。
膣壁は意志を持っているかのように、蠕動して精を求めてくる……既に限界ぎりぎりな僕を確実に高めてゆく。
精嚢に溜まり溜まった欲望を腰の突きに任せて解き放つように、一際強く腰を打ちつけると、それがとどめとなったのか、膣肉が激しく分身を喰い締める。
それが、僕に対してもとどめとなった
「こがさっ…、受け取ってっ…、っ！！」
「あっ…、イっちゃっ…、〜〜〜っ！」
小傘の絶頂に合わせて、腰を深く突き込んで子宮口に軽く咥えさせた先端から白濁を放出する。
とくん、とくんと根元の律動に合わせて、温かいものが精管を、尿道を通過し子宮へ直接注がれる。
精の放出に合わせて剛直を包み込む柔肉が強く痙攣し次の放出を何度も催促する。
膣だけではない。彼女の脚が、腕が強く絡み付いて、胎への精の献上を強要する。
精液を漏らすことも、射精を打ち止めることも許されず、彼女の要求に応じてドクン、ドクンと熱を放ち続ける。
「あはぁ…、んぅ……温かいのっ…、射精てるっ！ 奥にピュッピュて……当たってるの……気持ちいい」
「っ…、ぁ……か…はぁ……搾りっ……取られっ」
貪欲に精を求める小傘の膣内のポンプ運動に、２度も射精をしたにもかかわらず、欲望の脈動は終わる気配を見せない。
先端を子宮口に密着……否、軽く先端を食まれたまま、小傘の貪るような膣壁の律動に応じるように、
温かな生命素を、濃厚な遺伝情報の塊を小傘の子壺へと注ぎ込む……小傘を満たしてゆく、僕を……全て捧げる。
溜まったモノを全て空っぽにされ、よもや精製中のモノまで吸われそうになった所で、ようやく膣肉の蠕動が、やがては精管の収縮が収まる。
「はぁ…、ん……膣内にぃ…、いっぱいっ……お腹がたぷたぷって……いっぱいぃ♪」
「うん……抜くよ……くぅ…、体がっ……ふぅっ……」
満足げにお腹を撫で擦り、なんとも穏やかな表情で微笑む小傘の姿に軽く幸福を覚えつつ、空っぽにされて思う様に動かない体に鞭打ち肉棒を引き抜く。
微かに白いだけの、ほぼ透明な液体が亀頭とクレバスの間に垂れる。あとは、すっかり胎に吸収されてしまった。
卑猥に収縮を繰り返す膣口の様子に軽い興奮こそ覚えるものの、もはや股間が何か物言う様子は無い。
それよりも、満足そうな小傘の笑みだけが、僕のただひとつの達成感だった。
「小傘……」
「ん…、お腹……いっぱい」
「それはどういう意味だ」
「んふふー、それはもう、○○がイク瞬間に、いっぱい驚いてくれるんだもの」
「そうか……御馳走出来た様でなにより」
「まぁ、コッチも……いっぱいだけどねぇ……」
そう言いつつ、小傘は自分の腹部に愛しそうな視線を注ぎつつ、引き続き優しく撫で擦り続ける。
対していつもと変わらない、程良く柔肉のついた、でも引きしまった小傘のお腹。
あの中に空っぽになるまで注ぎ込んだ僕の生命素が渦を巻くように溜まっていて、万に一つ愛の結晶を生成するかもしれない、
そう考えると少しでも恩返しできたかなって、そう思う。
「さて……立ち上がらないと……っ…、あぁっ」
立ち上がろうと腰に力を入れる。膝と腕を地について全力を振り絞る、も一向に動く気配をみせない。
ここまで精を抜かれたのは初めてだ。でも小傘に捧げたって考えると、悪くない気もする。
……やっぱり情けないけど。
「ははっ……力がはいらねぇ……だらしねぇや」
「私は、○○を“食べた”からね……あんまり無理しない方がいいと思うよ？」
ああ成程。これが、心を喰うって事なのか。
小傘に驚かされたという話はあまり聞かないし、僕自身、これ程までに一日で驚かされたことはないので気付かなかったけれど、
ここまで人を腑抜けにしてしまうあたり、やっぱり小傘も流石妖怪なんだなぁって、素直に思う。
でも正直、あまり他の人の心を喰って欲しくはないかなぁって、出来れば僕の心で食いつないで欲しいなぁと思うのは我儘だろうか？
「でも夕食の準備をしないとなぁ……」
「私ならお腹いっぱいだけど」
「僕はお腹が空いたんだ……小傘の心で腹を満たせないからね」
「私が作ろっか？」
立ち上がろうと苦心する僕を嘲笑うかのように、すぐさま起き上り、するっと立ち上がる小傘。
「なんでそんなに元気に立ち上がれるんだ……」
「満たされてますから」
「いや……分かってはいるんだ、いるんだけど……」
「それで、今日のご飯は私が作ってあげるよ」
「うーむ……雨の中を助けてもらって、さらに助けてもらっては礼がしきれな……」
「いやいや、そんなにあざといこと考えてないって」
なんだか嬉しそうだ。小傘が喜んでくれるというのなら、それもいいか。
「うん、じゃあお願い、しようかな」
「ふふん、任せてっ……驚くようなモノ、作っちゃうよ」
そう言って、小傘はいつのまにやら衣服を身につけると、鼻唄を歌いながら台所へと消えていった。
驚く様なもの、というとゲテモノかなにかとも思うのだが、意外にも小傘は料理が上手だ。ビックリした。
なんだかんだで、努力家なんだなぁと思う。努力の方向性が間違ってることがあるけれど。
「あ、そうそう。○○？」
「ん？」
ふと台所から顔を出して何やら尋ねてきた小傘。
「ごはんのお礼に、夜……期待しちゃっていいんだよね」
「……」
こがさこわい。
ロダicyanecyo_0327.txt
SS : 多々良 小傘へ戻る
このページへのコメント
このSSの作者様についてどなたかご存知ないですか？
何回読んでも、最高!!
小傘大好きになりました。
ありがとうございます。
6回、抜いちまったぜ。
おおお!!まさしく理想郷!!
いい話でしたね。