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思いっきり「わかつき」作品を語ろう。ネタバレOKスレッド
2.水響俊二 - 10/01/31 01:57:27 - ID:ClL1H4zFAQ
わかつき作品のスレッドでいきなり若月作品の話をしていいのだろうかとも思いますが……。雑記帳からの続きです。
私が若月先生のサイトに書いた『華族調教』の感想について。
前半は、普通の感想です。ここが好き、という話ですね。
でも、長くなるので書きませんでしたが、後半のような感想を書きたくなったということこそが、本当に伝えたいことなのです。
エピローグで、三年後の三人が描かれていますね。顕子は自分を幸せ者と言いますし、地の文でも清治郎が顕子にとって大事な人になっていたと書かれています。でも、清治郎の方はどうなんでしょう。彼の心の中が明確に描かれていないためはっきりわかりませんが、何だかドライな印象を受けます。彼女を気に入ってはいるようですが。
何故そんなことを気にするかというと、彼女の幸せをより大きなものにしてあげたいと思うからです。肉体的には満たされているようなので、もっと心の方を。途中まで凌辱の対象として見ていたヒロインが、愛しくなってしまっているのです。
私は、最後まで非情ではいられませんでした。この作品には、特にヒロインには、そういう魅力がある。あのコメントで後半にあのように書いたのは、そういう意味なのです。
でも、難しい。これもコメントに書きましたが、エピローグで清治郎が顕子にメロメロになっていては、なんだか清治郎という人物が薄っぺらくなってしまいます。私は彼女にご褒美をあげたいと書きましたが、そんなことではご褒美になりません。清治郎の魅力が損なわれるということは、彼女の幸せも損なわれるということなのではないでしょうか。
でも、209頁の清治郎のモノローグで充分なのかも知れません。
──そうだ。俺は、未亡人を気に入っているんだ……。
これがあるのだから、読者は安心していていいのかも知れないですね。