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思いっきり「わかつき」作品を語ろう。ネタバレOKスレッド
36.水響俊二 - 10/02/18 23:31:22 - ID:KfNOKjWGyQ
『月下の巫女』には、いくつか特徴的な(新しい?)ところがありますね。巫女さんとかリングとかピアスとか。特にピアスは体に傷を付けるもので、わかつき作品では珍しいのではないでしょうか。まあ、ピアス穴はラストでふさがってしまったようですが。
それらの中で私が注目しているのが、「ひどいことはよけいなことよね。だから私をいじめてほしいの」という台詞です。
いじめてほしい、ひどいことしてほしい、と思うヒロインはこれまでにも沢山いましたが、それに理由付けをした子がいたでしょうか。私が読んだ範囲で(かつ記憶している範囲で)は誰もそんなことしませんでした。
これには、二つの効果があると思います。
まず、相手、この場合は朋也の気持ちを考えてみます。ただいじめてと言われただけでは、ほんとに大丈夫かといつも不安が付きまとうのではないでしょうか。でも、そこに理由があれば、不安も少しは薄らぐのではないかと思うのです。
もう一つ、読者として考えてみます。私なんかは、わかつき作品的ないじめは結構好きです。だから、いじめてなんて言ってくる女の子キャラはとても可愛いのですが、ちょこっとだけ、こんな都合のいい子いないよなぁ、という気になることがあります。でもそこに、乃乃香のように理由付け、あるいは裏打ちをしてくれると、ちょっとほっとします。
どちらも多分同じことで、理由とか原因があると、ああ、ほんとにそう思ってるんだ、と納得できるのです。このことは、小さいけれど改革と言えるかもしれません。
ところで、「まるで栓が抜けたのか」みたいな言い回しは久しぶりではないでしょうか。私が思い出せるのは、『いもうと。SWEET&BITTER』(美少女文庫)ですが。
ついでに氷室冴子さんの話ですが、『妹』と『いもうと物語』は別物ですね。