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顕竜刀記知愛之巻

 (―――マたカ)  彼は苛立だしげに喉の奥で唸ると、爬虫類に酷似した瞳孔を細め周囲を窺った。もう何 度繰り返してきたかしれないその行為は、またしても徒労に終わる。  (ダが、イる……)  周囲は深い森の中、一頭の年若い雄竜は不安を確かにしつつ四肢の歩みを再開した。薄 緑の鱗はまだ歳月の綻びを知らず瑞々しい輝きを湛え、頭部の角も完全に伸びきっていな い。さしずめ幼年期を終えたばかりといった所。彼は今勝ち得て間もない餌場に出向く途 中、思わぬ追跡者に悩まされていた。  グオ! オ、オォウッ、オオオオ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b8%b2%ce%b5%c5%e... - 2010年08月11日更新

竜と僕と竜の僕

我が名はアーサー・ガン・ランス。今においては何事もなく私の親友とともに暮らしている。私の親友というのは… 「おい、アーサー。今日はこんなに天気なんだ。退屈凌ぎに少し外で己の身を磨き合おうぞ。」 この少しばかりせっかちな奴のことだ。 「あ、ああ…。」 「どうしたんだ?」 「…え?あ…、す、少し考え事をしていただけさ。」 「考え事??」 「ああ。俺とお前が出会ってからちょうど2年目じゃないか。だから昔を少し思い出していたんだ。」 「ああ、そうだったな。では退屈凌ぎはいったん保留か…。」 濃い緑色のドラゴンが名…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ce%b5%a4%c8%cb%c... - 2009年12月21日更新

Lunatic

月の光がもたらす狂気。 視界に伸ばしたその腕は、漆黒の鱗をまとう。 都会。 夜も深けて、車の音がまばらに聞こえる住宅街。 会社の残業で遅くなってしまい、こんな深けた時間になってしまった。 人間の息吹を感じない、いつもと全く違う公園の遊歩道を歩いていると、 突然後ろから大きな影に襲われた。 心臓が大きく痛むような感覚と息の詰まるような驚きを覚え、 体が動くままに飛びのいた。 その姿は他の人から見れば、実に滑稽だっただろう 襲われた影のほうをよくよく見てみれば、誰もいない。 街灯の周りを蛾が飛んでいる…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a3%cc%a3%f5%a3%e... - 2009年11月30日更新

異国の姦計

「ま、待て、待ってくれ!た、頼む・・・うぅ・・・あ・・・」 初めてここへ来た時に比べると随分と力を失ったか弱い声が、地面に頭を押し付けられた男の口から細々と漏れてくる。 彼が身に付けていた重厚な剣や鎧は、巨大なドラゴンとの激しい戦いの末に既にボロボロの鉄屑の如き様相を呈して周囲の地面の上へと無残に転がっていた。 愚かな人間め・・・黙って町で幸せな人間生活を楽しんでいればいいものを、何を思ったのか私の命を狙おうなどという身の程知らずな考えを起こすからこうなるのだ。 大した苦もなく仕留めた腹下の獲物を見下ろし…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b0%db%b9%f1%a4%c... - 2009年02月21日更新

早苗

母は頭の良い人だった。 僕の気付かないような些細なことにもとてもよく気が付き、僕はよく怒られた。 父がよく母にそうしていたように僕のことをぶったし、爪で引っ掻いたりもした。 父は本当に母のことを愛していると言っていたから、きっとあれも母なりの愛情表現なのだろうと思う。 その証拠に、母は僕の顔をまず殴らなかった。 僕が誰かに傷を見られて、惨めな気持ちにならないようにと言っていた。 母の言うとおり僕の体に数多く出来た傷は、服を着ることで綺麗に隠れた。 僕は服を着るたびに、よくまあこんなに上手く傷が作れるものだ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c1%e1%c9%c4... - 2008年12月10日更新

正体不明のキノコ 番外編

あの小屋からしばらく飛んで、俺の家に着いたはいいものの、アイツはもうかなりの時間眠ったままだ。 やはり睡眠薬でも飲まされたのだろうか・・・・・そんな事を考えながら、俺はベッドの上に寝かせている白い竜のほうを見た。 少し驚かせてやろうと思って、まだ縛られていた時の縄を解いていないまま、とりあえず俺のベッドに寝かせたはいいんだが・・・・・ 「・・・・・いい加減起きろよ、待ってるこっちの身にもなれっての」 ・・・・今の本心がつい口をついて出てしまったようだ。なぜかこの体になってからは本心が行動に出やすくなって困…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%b5%c2%ce%c9%d... - 2008年08月13日更新

森に走る閃光

煌煌と照りつける太陽の下でも不気味なまでの薄暗さを保つ深い森。 包帯や消毒薬の入った薬袋を抱えながら、俺はその森の中を家に向かって急いでいた。 俺自身は元来丈夫な体に慎重な性格もあいまって、怪我をしたり病気を患ったりしたことなどはほとんどない。 だが子と親は対を成すというのか、母親はおっちょこちょいな所が多分にあるせいでいつも怪我や生傷が絶えず、そのお陰で俺は月に1度程度の割合で森を抜けた先にある隣町まで薬や包帯を買出しに行くのが仕事になっていた。 「ふう・・・村まではまだ遠いな・・・」 流石に道の悪い中…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bf%b9%a4%cb%c1%f... - 2008年08月12日更新

願いの果てに

不老長寿・・・相反する2つの願いがこめられたこの言葉は、遥か昔から特に女性が憧れた言葉のひとつだった。 健康的な食事、睡眠、生活。これらを忠実に実践するならば、ある程度不老長寿を実現可能ではある。 だがある時、古くから霊峰と呼ばれていた巨大な山の奥に、食べることで不老長寿になることができるという幻の果実の噂が広まった。 たった1つ食べるだけで永きに渡る若さを保つことができる・・・ そんな誘惑にかられて、ある者は家族の反対を押しきり、またある者はほとんどの財産を売り払ってその果実を手に入れようとした。 だが…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b4%ea%a4%a4%a4%c... - 2008年08月12日更新

正体不明のキノコ 1話

64名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ投稿日:2005/08/08(月)08:51:26ID:Fc8sajpb     正体不明のキノコを食べたらドラゴンになっていました ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ -1話-  丁度、いわゆる「竜伝説」の残る土地へ旅行に行ってきた友人から箱が届いた。 中には現地の装飾品やら加工食品やら人形やらが入っていた。正直いらない。 ・・・で、ちょっと気になるものがあった。キノコだ。見た目は普通のキノコだ。  だが、図鑑を見ても類似…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%b5%c2%ce%c9%d... - 2008年08月12日更新

正体不明のキノコ 2〜7話

64名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ投稿日:2005/08/08(月)08:51:26ID:Fc8sajpb     正体不明のキノコを食べたらドラゴンになっていました ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ -2話- とりあえず俺は俺は今まで会ったことをアイツに話しながら食事を取った。 こんな姿になってしまったからには、やっぱり竜語見たいなのになってしまってるかも、と少し不安だったがアイツとは普通に会話することができた。少し安心した。 犬サイズになってしまったが…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%b5%c2%ce%c9%d... - 2008年08月12日更新

地下牢の記憶

「被告に死刑を宣告する」 裁判官が高らかにそう告げると、王宮法廷の一同から喚声にも似たざわめきが起こった。 被告、つまり俺は、城下町で出会った美しい女性に声をかけただけだった。 いや、少しは誘惑的なことも言ったかも知れない。だが、たったそれだけだった。 その女性が王の娘だったことなど知らないし、何かいかがわしいこともした記憶もない。 それがどういうわけか王宮裁判にかけられ、死刑を宣告されている。 裁判官が何やら刑の詳細について語っているようだが、俺の耳にはほとんど聞こえていなかった。 やがて唐突に2人の衛…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c3%cf%b2%bc%cf%b... - 2008年08月12日更新

竜の呪い

「何?姫がいないじゃと?」 城下町が感謝祭で賑わう日曜日、ミリアン王国の王バルスは、姫のお目付け役の兵から報告を受けたときも、大して驚きはしなかった。 あの御転婆娘のこと、また勝手に城を抜け出しては町の人々と一緒にワルツでも踊っているのだろう。 「よいよい、いつものことじゃ」 王は手をひらひらさせながら兵士にそういうと、兵士は困惑した表情で玉座の前から退いた。 感謝祭の日くらいは好きにさせてやろう。叱るのは後でもできる。王は内心溜息をつきながらも、傍らの小さな台に乗っていたグラスワインを呷った。 盛大な…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ce%b5%a4%ce%bc%f... - 2008年08月12日更新

Lunatic(another failure)

月の光がもたらす狂気。 視界に伸ばしたその腕は、漆黒の鱗をまとう。 山々が赤と黄色に染まりきる紅葉の季節半ば。 道路にもその色使いの落ち葉が敷き詰められた山道。 1台の紅いステーションワゴンが軽快なエンジン音を唸らせ、 夜が更けて真っ暗な山道を登っている。 何のことは無い。 私がこんな所にいる理由はただひとつ、走ることだ。 このあたりの地方では雪が降らないし雨も少ない。 腕を上げるためには、低いグリップの元での限界走行が最も肝心だという。 しかし、この当たりには安全に走れるダート路面すらない。 その…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a3%cc%a3%f5%a3%e... - 2008年08月12日更新

ラーゲル クヴィストの雫

ラーゲルクヴィストの雫 ---------- 龍が、舞い上がる。 風という踊る舞台を与えられ、地面から舞い上がる木の葉が、 狂ったように私の前をちらつく。 時折、私の眼にめがけてワルツを踊り、 近づいてくる木の葉を訝しそうに手で払う。 龍の翼を広げたその体は、ただ禍々しく私の視界を埋め尽くす。 翼がひとつ羽ばたくたびに、私の体から覇気が削がれていく。 削がれていく覇気を逃すまいと、私はその手に握った木の枝を握りなおした。 私は、がむしゃらに突進する。 もちろん、届かないことは承知の上、 逃げるその…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a5%e9%a1%bc%a5%b... - 2008年08月12日更新

押掛女房朱鷺色恋記

 ……来てしまった。    とうとうここまで来てしまった。  後ろ足だけで歩いたせいか疲れがひどい。人間に化けず本来の姿で来た方がよかっただろうか、と思うものの、竜の姿では見つかる危険の方が大きいから仕方がない。 とにかくここが森の、人間の住処との境目だ。この橋を渡ればもう引き返せない。何度も練習を重ねて覚悟を決めた筈なのに、胸の高鳴りが苦しくて動けなくなる。  『でも、もうすぐあえへ、あっ、あ――会える』  多少もつれはしたが、人間の言葉もちゃんと話せる。大丈夫。大丈夫だと私は自分を励ました。私に…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%a1%b3%dd%bd%f... - 2008年08月12日更新

三十路旦那鋼尾談

『はぁいアナタ……あ〜んっ♪』 『あ、あ〜ん』  愛妻から差し出された木さじ一杯。その旨みを心行くまで堪能してから嚥下し、ヴィス トは苦笑まじりに諭す。 『うん……美味いっ。けどな……その』 (一口ごとにそれじゃ、いつまで経っても食事が終わらないぞ?)  手料理を妻が夫に手づから食べさせる。新婚夫婦によくある仲睦まじい光景だ。  ――そう。食事に時間と愛情がたっぷり掛かるのは、良くある事。  ――ただし。  妻が人間より遥かに強靭な竜の場合は……なんというか、その非常に稀有な光景と言え る…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bb%b0%bd%bd%cf%a... - 2008年08月12日更新

龍根奇話

 ――朝起きたら、アレがアレになっていた。  (落ち着け俺)  息を吸って吐いて、呼吸を整えこめかみをグリグリと抉り込むように刺激する。  『痛っ!』  少々やり過ぎたが完全に目が覚めた。うん覚めたそうに違いない今度こそ。  ゴソゴソ。  ――パジャマをまさぐり、再度アレを確認。  グネッ。  『……』  イヤな感触。思い切って下着まで引き摺り下ろす。  グネグネグネグネ。  『う、う! うわぁああああああ!』  ――視線の先に確かにソレはいた。今度こそ間違いない現実。  (な、…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ce%b6%ba%ac%b4%f... - 2008年08月11日更新

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