地縛神の消滅と共に街の人々が戻ってきて、シティとサテライトとの境も無くなった。
最初こそ多少のいさかいがあったが、サテライトの人々のたくましさは復興には必要不可欠な物で
シティの人々もやがてサテライトの人々の存在を受け入れるようになっていった。
そして半年後…復興が進んだシティに龍亞と龍可の姿は無かった。

「いや〜疲れた疲れた!お腹も減った〜!」
愛用の居眠りカムフラージュ用アイマスクを振り回し、龍亞が大きく伸びをする。
教師達に「伝説の再来」と恐れられたアイマスクを、既に龍亞は完璧に使いこなしている。
「まったく…実技以外だとすぐ居眠りして…試験の時に困っても知らないわよ」
はぁ…と溜息をつくのは全教科で優秀な成績を収めている龍可。
デュエルアカデミアに入学した後も、二人の関係は全く変わることはなかった、少なくとも表面上は…。
龍可を護るために小さな身体で地縛神に挑み、その攻撃をまともに受けながらも心を折ることのなかった龍亞と
デュエルを引き継ぎ、苦痛を共にしてダークシグナーを撃破した龍可が普通の兄妹以上の絆と想いで繋がっていることは
一部の事情を知る者以外には決して知られてはいけない秘密だった。

「試験?へーきへーき!俺様天才だし!いざとなったらアキねーちゃんに教えてもらうからさ!」
まただ…龍亞の口から出た名前に龍可の胸がチクリと痛む。
二人の入学と同時に、アカデミアに復学した十六夜アキ。
不特定多数の人間と触れ合うことに慣れていない双子と力に怯えて離れたアカデミアに復学する不安を抱えたアキが
アカデミアでも共に行動することが多くなるのは当然の流れだった。
けれどもそれは同時に龍可にとって不安の種になった。
まるで姉の様に優しく、頼りになるアキに龍亞も龍可もすっかり懐いていた。
そう…「龍亞も」…なのだ。
ずっと傍らにいてくれた龍亞が徐々に離れていく…
不意に、問いかけが口を突いて出た。
「ねぇ、龍亞は遊星のこと、好き?」
「え?もちろん!」
「…ジャックのことは?」
「ジャックもキングじゃなくたってカッコ良いし大好きだなぁ!」
「じゃあ…アキさんのことは?」
「えと…アキねーちゃんも好きだよ。前はちょっと怖かったけど、キレイだし…」
やっぱり……そうなんだ…。俯いた龍可の拳がきつく握り締められる。
「……ぁの……き……」
「…龍可?今何て…」
「龍亞の嘘つきぃっ!!」
部屋に響き渡る大声と共に龍可は兄を思い切り突き飛ばした。

突然の龍可の暴挙に対応できなかった龍亞は床に思い切り尻もちをついた。
龍可は更に身体を投げ出された龍亞にまたがり、肩を押さえつける。
「龍亞の嘘つき!嘘つき嘘つき嘘つきいっ!」
「な、何するんだよ龍可…!それに嘘つきって…」
「私のこと護るって言ったじゃない!傍にいてくれるって言ったじゃない!なのに何で…何でアキさんなの!?」
目に涙を浮かべて怨嗟の言葉をぶつける龍可を龍亞は呆然と見上げることしかできない。
「今の声は何!…なっ!?ど、どうしたの二人とも!?」
廊下まで響いた声を聞きつけたのだろう。部屋に駆け込んできたアキが二人の姿を見て絶句する。
「る、龍可ちゃん!?あなた一体何を…」
「来ないで!!」
普段の控えめな態度からは想像も出来ないほど声を荒げた拒絶の言葉にアキも思わず身を硬くする。
「来ないで!龍亞に近づかないで!私から龍亞を取らないでよぉっ!」
激情を露わにする龍可の姿が、アキにはかつての自分と重なって見えた。
意を決してゆっくりと、確実に二人の元へ歩み寄っていく。
距離を詰めるアキにひるむことなく敵意を剥き出しにする龍可の背を優しく抱き包んであやすように囁く。
「大丈夫よ…龍亞くんはあなたから離れたりしないわ…。あなた達は二人でひとつ…そうでしょう?」
背中に感じる温もりに、龍可に冷静な思考が戻ってゆく。
「ぁ…ぁあ……ごめんなさい…ごめんなさい…。私…酷いこと沢山言った…」
「安心して、女の子はみんなそう。好きな男の子の事を想うと何も考えられなくなっちゃうの」
すっかり大人しくなった龍可に、やっぱり年上は頼りになるなぁと龍亞の口から安堵の吐息が漏れる、が…
「ところで…龍亞くん、女の子を不安にさせて…あまつさえ泣かせちゃうような男の子は…ダメね」
「ほへっ?」
突如ダメ出しを食らって龍可に組み敷かれたまま目を点にする龍亞。
「女心がわかっていない龍亞くんには…お仕置きが必要かしら」
誰もが見惚れると思われるような笑顔を浮かべるアキ。だが龍亞にはそれがなぜか獲物をとらえた狼のように見えた。
引きつった笑みを浮かべるしかない哀れな獲物にアキはゆっくりと腕を伸ばしていった。
数分後、哀れ龍亞は後ろ手にタオルで縛られて床に転がされていた。
「ど、どうして俺がこんな目に…」
理不尽な扱いに納得のいかない龍亞を見下ろしてアキはヤレヤレとばかりに首を振る。
「女の子を泣かせておいて何を言ってるのかしら…。ねぇ龍可ちゃん?」
「えっ?あっ…その……はい」
すっかり飲まれてしまい問いかけにも肯くしかない龍可の返事にアキは満足気な笑みを浮かべた。
「さあ…どんなお仕置きが良いかしら?……そうね…龍可ちゃん、龍亞くんに足を舐めて貰うなんて…どう?」
「「えっ!?」」
アキの過激な提案に双子が同時に驚きの声を上げる。
だがアキは龍可の耳元でそっと誘惑の言葉を囁きかける。
「想像してみて?いつも勝手気ままな龍亞くんがあなたの足の指を懸命に舐めている姿を…」
脳裏に浮かんだ光景に龍可がゴクリと唾を飲み込む。
「お、お仕置き…だもんね…」
「そう、お仕置きよ…。さぁ龍亞くん、覚悟は良いかしら?」
「る、龍可…まさか…そんなこと…しないよな…?」
不安と恐怖を露わにする龍亞の前で、龍可はゆっくりと右足のソックスを脱ぐと素足を龍亞の眼前へ差し出し、命じた。
「龍亞……舐めて」
拒絶したい…が、龍可の背後にはパーフェクトスマイルのアキが睨みを利かせている。
恐る恐る…龍可の素足の指先に舌を這わせていく。
(る、龍亞が…私の足…舐めてる……)
あの活発な龍亞が床に這いつくばって自分の足を舐めている…犬のように…。
そんな龍亞の姿を眺めている龍可の背筋にゾクリと何かが走った。
一方で突然突き飛ばされて罵倒され、挙句にこんな扱いを受けて…流石に龍亞も抗議の声を上げる。
「も、もう良いだろぉ!?大体なんでこんなこと……むぐぅ!?」
「……口答えしないで」
途中で龍可が自らの足を口の中に押し込み、龍亞の言葉を遮った。アキがわぉ、と冷やかしの声を上げる。
「もっとしっかり舐めて。ちゃんと出来たら許してあげる」
今の龍可に逆らってはいけない…本能で悟った龍亞は仕方なく龍可への奉仕を再開する。
足の指をしゃぶり、指の股まで舌を伸ばす龍亞を見下ろす龍可の顔は上気し、呼吸も荒くなっていた。
「龍亞くんも龍可ちゃんも幸せそうね…やっぱり兄妹は仲良くしないと」
龍可はともかく自分が幸せそうだなんて…恨めしげにアキを見た龍亞の目が次の瞬間驚愕に開かれた。
なんとアキはいつのまにか龍亞の制服のベルトを外し、ズボンを引き下ろそうとしていた。
下着ごとずり下ろされたズボンの下から飛び出した龍亞の勃起したモノを見て龍可は思わず息を呑んだ。
「あら…龍可ちゃんの足を舐めてて大きくなっちゃうなんて。龍亞くんたら変態ね、どうしよう龍可ちゃん?」
「龍亞の…こんなになってて……すごい……」
まるで夢遊病者のように龍可はフラフラと龍亞の下半身に吸い寄せられていった。
「こんな変態さんのおち○ち○、放っておいたら大変だわ。龍可ちゃん、ちゃんと躾てあげないと」
「うん…」
龍可が両手でモノを包み込むように握ると、ひっ、と悲鳴を上げて龍亞の身体がビクリと跳ねた
「龍可もアキねーちゃんも止めてよ!二人ともおかしいよ!」
「静かにしてなさい。誰かに見つかったら、困るのはあなたと龍可ちゃんよ?」
「そん……むぐっ!?む―――――っ、むぐ――――――――っ!」
口に猿轡代わりの――龍可が脱ぎ捨てたソックスを押し込まれて龍亞は息苦しさに悶える。
龍可はそんな苦しむ兄の様子など意に介さず掌の中の熱い棒を弄び始めた。
棒を握りしめた手を上下させる度に、龍亞の身体がビクリと震え、塞がれた口の奥から切なげな呻きが漏れる。
そんな龍亞の反応をもっと見たい………。龍可の手の動きは自然と速さを増してゆく。
床の上でもがく龍亞の呻きが嗚咽を含んだものに変わっていても龍可はその責めを緩めることはしなかった。
「待って、このままだとすぐに龍亞くんイっちゃうわ」
夢中になってモノをしごき続ける龍可の腕をアキが押さえつけた。
「これはお仕置きなんだから、イかせてあげちゃあダメじゃない」
苛烈な責めが中断され、ふーっ、ふーっと荒い呼吸を漏らし肩を上下させる獲物をさらに弄ぶ術を龍可の耳元で囁く。
「例えば…。…………………ね?」
囁かれた言葉にコクリと肯いた龍可は龍亞のモノに顔を近づけると、その先端をペロリと舐めた。
「ふぐぅっ!?」
舌先が一瞬だけもたらす快感に龍亞の身体が悲鳴と共に跳ねあがる。
それを許すまいとアキが肩を押さえつけ、モノを握りしめた龍可が敏感な先端を緩慢な動きで舐め続ける。
温かくて柔らかな舌の刺激は、しかし緩すぎて絶頂へと導かれるには足りない。
身体を押さえつけられて生殺しを延々と続けられる龍亞の姿が二人の狩猟本能を満たしていく。
「そんな泣きそうな目で龍可ちゃんを見て…龍亞くんイキたいの?龍可ちゃんにイかせて欲しいの?」
アキの言葉にもはや恥も外聞もなく、大きく首を縦に振り続ける龍亞。
「じゃあ龍可ちゃんにちゃんとお願いしなさい。『ボクをイかせて下さい』って」
口からソックスが抜き取られ、呼吸と発声の自由を与えられた龍亞は即座に龍可に懇願した。
「お願い、龍可!なんでもするから!イかせてっ、イかせてよぉっ!」
「って言っているけど…龍可ちゃん、どうする……ってあら…」
アキの言葉が終わる前に、いや龍亞の懇願が終わると同時に龍可は龍亞のモノを思い切り頬張っていた。
忙しく上下に揺れる頭と、響き渡る水音の大きさが口内での責めの激しさを物語っている。
「龍可っ!イクっ!もうイク、イっちゃうよおぉぉぉっ!!」
あえなく果てた龍亞は龍可の口内に思い切り欲望を吐き出した。
口内で白濁を弄ぶようにじっくりと味わい嚥下して糸を引いて唇を離すと、龍可は口の端を拭いニンマリと笑みを浮かべた。
「さぁ、次は龍亞くんをどうやって苛めちゃおうか?」
射精後の余韻で呆然としている龍亞と、満足気な様子の龍可にアキは「次」の話を持ちかける。
「え゙っ…………」
「あら龍亞くん、あれで終わりなはずがないでしょう?『なんでもする』って言ったわけだし。ね、龍可ちゃん?」
「えっ…あ、うん…言いましたね」
龍可も先ほどの懇願時の龍亞の言葉を思いだし、大きく頷く。
「それじゃあ邪魔者はいなくなるから…龍亞くん、頑張りなさい。龍可ちゃんが満足するまで、ね…」
「ちょ、ちょっと待っ……」
アキを呼び止めようにも手はいまだに後ろ手に縛られたまま、床に転がされて自由の利かない身体では何もできない。
「……龍亞…………ふふっ」
恐る恐る振り返ると、妖しく蠱惑的な笑みを浮かべた龍可が彼を見下ろしていた。
「それじゃあ続き………しよっか」
龍亞の顎に指を添えて獲物の品定めをする龍可。この捕食者から逃れる術など彼にはあろうはずもなかった。

廊下へと出たアキはふぅ…と大きく息をついた。
危なかった……もう少しで私も我を忘れるところだった。
男子学生の中でも頭一つ抜けている容姿を持つ龍亞の泣き顔の破壊力…龍可が我を忘れるのも無理はない。
あんな顔を見せられたらしばらく抑えていた欲求が再び顔を出してきてしまいそうになる。
……そうだ、今度の長期休暇は二人を連れてネオドミノに戻ろう。
アイツはどんな顔をするだろうか…いや、どんなことをしてやろうか…今から楽しみでたまらなくなってくる。
半開きの扉の向こう側から聞こえ始めた2つの可愛らしい喘ぎ声に口元を緩めると
アキは二人の世界を護るためにその扉をそっと閉ざした。



「……………!!?」
「ん?どうしたんだ遊星?急に身震いなんかして?」
「いや、なんでもない…。少し寒気がしただけだ」
「風邪か?しっかりしてくれよ、俺たちはあのゴーストとかいう連中をブチのめさなきゃならないんだからな」
「…ああ、そうだな」
背筋に走った悪寒のことはそれ以上深く考えず、遊星はエンジンの調整作業の続きに取り掛かった。
  • 終-

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