遊星がポッポタイムのガレージに戻ると、いつも食事をとるテーブルでアキが突っ伏して寝ていた。
同居人は三人とも不在で、おそらく自分を尋ねてきたのだろう、待っている間に寝てしまったのだと考えられる。
「困ったな・・・起こすのも可哀相だ。」
今日は暖かいので風邪をひく心配はないが、普段見る事のない無防備な姿に内心ドキドキしていた。


いつの間にか好きになっていた―――が、未だに彼らはシグナーという痣を持つ仲間だという関係であり、それ以上の行動を共にするような事はない。
いつかは胸の内を打ち明けたい、と遊星は思っているが、今はWRGPもあり、それによってチームの絆が壊されてはいけない。遊星はチーム優勝まで、この気持ちを隠そうとしていた。

しかし、今は遊星一人しかいない。
スカートから伸びる足、細い腕、それらは遊星ですら誘惑する。
「・・・。」
手袋を外し、指を伸ばす。
頬を突いて見ると、意外な柔らかさが伝わってくる。
「アキが寝ているのが悪い。好きな奴がこんな姿でいたら意地悪もしたくなるに決まってる。」
遊星が一人ごちると、それに応えるようにアキが小さく唸る。
細い腕や肩にも思わず手を伸ばし、彼女の小ささや細さに眉根を寄せる。
「少し食べた方がいい。折れてしまいそうだ。」
遊星が少しバランスを崩した瞬間、ガタン、と椅子にぶつかるが、彼女は起きる様子がない。
アキが少しもぞもぞと動くと、腕の隙間から彼女の魅力的且つ豊満な胸が露になっていた。

「少しだけなら・・・起きないだろう。」
もう理性も何もない。勢いだけが遊星の背中を押し、アキの胸に手を伸ばす。
「起きないでくれ。アキ」
遊星は心の中で必死に謝りながら、柔らかさを堪能する事にした。
指先に伝わるのは、先程とは違い、みずみずしい弾力であった。
服の上からも解るそれは、遊星自身の熱を冷ませる事はない。
「落ち着け自分。落ち着け。」
このままでは起こすかもしれない。だが、遊星の普段抑えていた欲は前へ前へと勢いを増すばかりである。
「ん・・・」
何かのしこりに触れた瞬間、アキが微かに声をあげた。
その部分を撫でると、段々形作っていくのがわかる。
もう迷う事はない。遊星は背後に回ると、背中越しに膨らみに手を伸ばした―――。



「遊星ー!俺とデュエルしてよー!」
「遊びに来たよー!」
突然、なだれ込むアカデミアの生徒たち。その中には、龍亞と龍可の姿もあった。
遊星は咄嗟にバックステップで後退し、何とかごまかそうと策を巡らす。
「あれ?アキさん寝ちゃったの?」
「あ、ああ・・・起こしては可哀相だから外に行ってこい。」
遊星の提案に、子供たちは声を揃えて返事をすると、来た時と同じく慌ただしく出ていった。

そんな事があっても眠り続けるアキ。いつの間にか欲も収まった遊星は毛布を取り出し、そっと掛けてあげる。
「いつか、この想いを告げられたらいいのに。」
起こさないようにそっと部屋を出ると、いつものようにエンジンの開発に取り掛かった。





一方、ぐっすり寝ていたはずのアキは、毛布を握りしめて唸っていた。
「嘘でしょ・・・遊星が?」
実は遊星を驚かそうと寝たフリをしていたアキ。だが、起きるタイミングを逃してしまい、揚句の果てに一方的な告白をされ、悪戯のような事もされてしまった。
「ったく、今夜こそ決着つけるんだから。言い逃げは許さないわ。」
文句を言いつつも、口元には笑みが零れる。
さて、今夜は忙しい夜になりそうだ―――

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