最終更新:ID:P8uAioaXSg 2012年02月14日(火) 05:51:21履歴
ケイトさんへの思いがクリアマインドの域まで達しそうで書いてしまった。
▽ ▽
数か月前に開かれたWRGPを、タッグを組んで優勝してからというもの、アタイとあいつの日常は大いに変化した。
もともとシングルが活動の場だったアタイはデュエル誌で『孤高の女帝、番の翼を得て大きく飛翔』などと報じられ、あいつもネオ童実野シティに大きく名前が知れ渡った。
直後に『アメリカ横断ゴールデン・タッグ・トーナメント』出場で海外に出ていたから良いものの、帰って一ヶ月ほどは寝る時間も削る過密スケジュールに追い立てられた。
雑誌のインタビュー、キッズデュエル大会でのエキシビジョンの要請等々…それもかなり落ち着いてきており、こうして二人で夕食を楽しむ時間も出来てきたという訳だ。
申し遅れたがアタイの名はケイト・モヘア。
一応デュエルの賞金とその関連収入だけで飯に困らない程度の生活を送れている、プロデュエリストの端くれだ。
今は、ふとした事で知り合った相方と同棲している。
殺風景な部屋で食後のコーヒーを飲みつつ、話題は明日の予定についてだった。
明日は二人ともが完全オフ。久しぶりにどこかへ出掛けようと切り出そうとしたところで、あいつが先んじて口にした言葉が――
「孤児院への慰問?」
アタイが聞き返すと、こいつは「…の真似事」と付け足した。
聞けば、こいつはアタイと知り合う前から、子供好きが高じてちょくちょく旧サテライト地区の孤児院に出入りしていたらしい。
今まではデュエルや遊びに付き合う程度しかできなかったが、WRGP以降の収入増加で、やっとそれらしい慰問ができそうで嬉しい…と、彼はにこにこ笑っていた。
アタイも子供は好きだ。二つ返事で付き合いを請け負うと、こいつは嬉しそうに「子供達にカレーを作ってあげて」と言ってきた。
お金が余裕がある分、今まで不便をしてきた子供達にたくさんプレゼントが出来る…そう言いたげに、あいつは明日のプレゼント予定物をリストアップし始める。
子供達がどうこうと喋る時のこいつの表情は、おかしな事にどんな子供よりも幼い。緩んだ口元を隠すように、アタイはコーヒーを呷った。
コーヒーも飲み干し、シャワーを浴びてベッドの中へ…あいつはすでに目を閉じてうとうと気分。邪魔するよ、と一声かけてから潜り込んだ。
肩まで布団をかぶって、明日の予定について考えてみる。なにせ慰問の真似事など初めてなのだ。
明日は孤児院にいる子供の人数を聞いて、行きがけにカレーの材料とカードパックを買って…結構な荷物になりそうだが、Dホイールがあるし何とかなる――
――って、ちょっと待った。
「何してんのさ…」
もぞもぞと身体を這いあがってくる手をぱしりと叩くと、眠りかけていた筈の誰かさんが「えー…」と不満げに言った。
明日は子供達の相手するし、体力使うんじゃないのか…そう言っても、一度サカったこいつは大抵のことじゃ止まらない。草食動物みたいな顔してんのに。
でも、最近は忙しくてろくにシてなかったし、こいつも溜まってるんだろう。何より、アタイもやぶさかではない。
諦めて好きにさせてやると、不埒な手は迷わずアタイの胸に飛び付いた。
こいつは、デュエルの邪魔になる、アタイの無駄にデカい乳が大好きなのだ。
アタイも強くは言えないから、好きにさせたら更に成長するという悪循環。ブラの買い替えで結構な額を使ったって今度教えてやろうか。
それにしたって、涼しい顔してこいつはアタイの弱点を見つけるのが上手い。アタイの身体も正直なもんで、すぐに反応してしまう。
…やれやれ、スキンのストックはまだあっただろうか?
あぁ、そういえばハジメテの時にこいつ、アタイの緊張をほぐしたいのか「大丈夫、シンクロ召喚みたいなものだよ」とか言ってたっけ。殴ったけど。
過去の他愛もない、それでもアタイにとっては大事な一夜を思い出しながら、あたいは目の前にある赤い帽子を取っ払った。
「まったく、寝る時も脱がないだなんて…」
――こんなんじゃ、キスだってできやしないじゃないか。
▽ ▽
いきなりで何だが、Dホイールってのはこれで中々に揺れる乗り物だ。
道がどれほど快適に整備されていようが、如何せんエンジンの近くに腰掛けるため、細かい振動がグリップやシートを介してぶつかってくる。
アタイもプロとして、Dホイールのパーツにはそれなりのものを揃えていた。
そして、今はその上等なパーツのいななきがアタイを苦しめている。
申し遅れたがアタイの名はケイト・モヘア。
一応デュエルの賞金とその関連収入だけで飯に困らない程度の生活を送れている、プロデュエリストの端くれだ。
今は、ふとした事で知り合った相方と同棲している。
…話を戻そう。何故Dホイールに乗っているだけでアタイが苦しんでいるのか。
「苦しむ」というのは語弊があるか…。正確には、じんじんと身体の一部が痛むのだ。
言っておくが手が痺れたとかではない。Dホイーラーとして、必要最低限の筋力は鍛えてある。
ではどこが痛むのか――正直に言おう、腰だ。
シートを震わす振動が、尻から腰に響いてくるのだ。
アタイは仏頂面で、少し先を走るDホイールの主の背中を忌わしげに睨みつけた。
こいつが全て悪いのだ。
アタイのDホイールと…否、Dホイール全体と比較してもかなりゴツい部類のそれを駆る男は、アタイの相方デュエリストだ。
風と一体化して鼻歌でも歌いそうなほど上機嫌なこの男のせいで、アタイは今苦しんでいる。
腰が痛む原因が男、と言えばだいたい想像はつくだろう。
要するに昨晩うっかり交接を許そうもんだから、あいつが良くないハッスルをやらかしたのだ。
人を殴る度胸もなさそうな人畜無害フェイスをしているが、あいつはかなり凶暴で――何がって…ナニがだ。
今日こうしてDホイールを走らせているのは旧サテライト地区の孤児院に慰問に行くためで、それを提案したのはあいつの方だというのに。
何が悲しくて、無垢な子供達に会う前夜にオトナオトナしなきゃいけないのか…そう思ったが、途中から完全に呑まれたアタイは何も言えない。
嗚呼、正直者に過ぎるぞアタイの肉体――だが、それを差し引いても抜かずの3回ってどんだけ絶倫だ。
当然のことだがスキンは飽和量超過で途中リタイヤ。芽吹いたら絶対に責任取らせる所存だ。
ワイト程度なら焼き尽くせそうなアタイの熱視線に気付いたのか、あいつがひらひらと手を掲げた。
どう文句を言ってやろうか、と思ったが、どうやらアタイの視線に反応した訳ではなさそうだった。
くいくい、と指が差す方を見て、気付く。
もうすぐネオダイダロスブリッジの終着点、旧サテライト地区だ。
手分けして運んでいる大量の荷物の中身を思い出しつつチェックする――16人分のカレーの材料と、カードパック、新品の調理器具の数々…うん、大丈夫。
あいつの先導に従い、アタイはブリッジの小さく枝分かれした出口に向かってハンドルを切った。
「まぁまぁ、ケイト・モヘアさん! よくテレビで拝見しておりますよ」
そう言ってアタイを出迎えたのは、「清貧」という言葉の似合う妙齢の美女だった。
アタイはヘルメットを脱いで「光栄です」と頭を垂れた。
ハリエットと名乗ったこの女性が、どうやらこの孤児院の責任者のようだ。
ちなみにアタイ「達」を出迎えた、と表現しなかったのは…
「あらあら、相変わらず人気者ね」
ちらりとハリエットさんの視線を追って横を向く。
その先では、既に丈の低い人だかりができていた。
「赤のにーちゃんだ!」「あいたかったよー!」
「すげーにもつ! おみやげ!?」「あとでデュエルしてよー」
「あたし、かたぐるま!」「あ、ずりーぞ、おれもー!」
「おにいちゃん、あたしとけっこんするやくそく、かんがえてくれたー?」
「でぃーほいーるかっこいー!」「赤のおにいちゃーん」
ハリエットさんは頬に手を添えて「あらあらうふふ」とでも言いそうに微笑んでいる。
アタイも無邪気な子供達を見るのは好きだ。気が付けば、自然と頬が緩んでいた
…何やら聞き捨てならない言葉があった気もするが、子供の発言と思ってスルーだ。
Dホイールのリア部分に括りつけた荷物をほどいて、カレーの材料を降ろす。
「彼の提案で、子供達にカレーを作ろうと思って…お昼前にでも、台所を借りられますか?」
そう言うと、ハリエットさんは「あらあら」と言いながら、こっちが恐縮するほど頭を下げてきた。
「そうそう、ニンジンは細かく切るんだよ。うん、上手じゃないか」
「えへへ、おねえちゃんにほめられちゃった」
孤児院に到着してから数時間後、アタイはエプロンを着けて台所に立っていた。
着いてしばらくはアタイを警戒していた子供達も、あいつの知り合いと分かるとすぐに打ち解けてくれた。子供の良いところだ。
しばらくはあいつと一緒に、子供達のデュエルに付き合ったり、遊んだり、おみやげのカードパックを配ったり…
パックを開封して、その中身に一喜一憂する子供達の姿は、本当に微笑ましかった。
そんなこんなで昼飯時も近くなり、こうして孤児院の台所を借りているというわけだ。
「おねえちゃん、ジャガイモのかわむきできたー」
「ありがとう。それじゃ、こっちに持ってきてくれるかい?」
アタイの周囲にいるのは、この数時間でアタイに懐いてくれた女の子達だ。
同性の「おねえさん」がいるのが嬉しいのか、この子達はすすんでカレー作りの手伝いを申し出てくれた。
ボウルに入ったジャガイモを受け取り、さっさと切っちまおう…と台に並べて――ふと、窓から外が見えた。
『ぼうしとーった!』
あいつが、トレードマークの赤いキャップを持ったやんちゃそうな男の子を追いかけ回していた。
返してくれよー、と困ったように笑いながら、わざと男の子に追い付かない速度で走っている。
人のことを言えたもんじゃないが、ちょっと甘すぎるんじゃないだろうか。
「おねえちゃん…?」
迂闊なことに子供達と遊ぶあいつを見て、しばらく動きが止まっていたようだった。
ジャガイモを渡してくれた女の子が、アタイの方をまっすぐ見上げていた。
「あ、あぁごめんね、なんでもないよ」
アタイは取り繕うように笑って、ジャガイモをカットし始める。
「見てな、アタイのカレーはモウヤンのカレーより美味しいからね」
カレー作りに関しては、ちょっとした自信がある。アタイの発言に、女の子達は目を輝かせて「ほんとー?」と聞き返してきた。
「本当さ、あいつもウマいウマいって、いつも2回くらいおかわりするんだ」
孤児院の庭で未だに鬼ごっこに興じるあいつを指差して、アタイは笑ってみせる。
――まぁ、この時点でアタイも女の子が、いかにマセているかを失念していたわけで…
「赤のおにいちゃんに、いつもつくってあげてるの?」
「あぁ、そうさ」
「じゃあ、赤のおにいちゃんと、どーせーしてるんだね!」
「………へっ?」
幼い女の子が口にするには、いささか生々しい単語に、アタイが一瞬呆けていると、周囲の女の子達が「どーせーってなあに?」と聞き返す。
そこへすかさず「オトナのおとことおんながいっしょにすむことよ!」と異論を挟む余地もない説明が入ったもんだから大変だ。
おかげで、恋に恋する小さき乙女達のテンションは一気にヒートアップ。
「きゃーすごーい!」「オトナだーおねえちゃんオトナだー」
「ちゅーするの!」「えっちなことするの!」
きゃーきゃーと黄色い声で騒ぎ立てる子供達。
あぁ、キスならともかく、この歳の女の子が「えっちなこと」と発言するのは如何なものか。
――具体的な単語のおかげで昨夜のアレコレがフラッシュバックするじゃないか…。
しかし、ここで流されるようでは「オトナのおねえさん」の面目が立たない。
アタイは極力平静を装いながら、マセた発言で場を盛り上げてくれやがった犯人の額をツンと指でつついた。
「あんまり背伸びしてると、美味しいカレー食べさせてやんないからね」
額を押さえた女の子はぺろりと舌を出して「ごめんなさい、カレーたべたい」と白旗宣言。
うむ、子供は歳相応の素直が一番。アタイも「オトナのおねえさん」を全うできて何より。
気を取り直してジャガイモを素早く捌く。スピーディーな動作に、周囲からは「おぉー」と素直な感心の声。
あぁそうだ、この手さばきに注目して大いに感心するといい――だから、ちょっとアレな回想で赤くなってるアタイの顔には気付いてくれるな。
「オトナのおねえさん」に加えて料理上手という認識を子供達に植え付けたアタイは、その後ヤラしい考えを振り払うように作業に集中するのだった。
…ちなみにその直後、
「あらあら、賑やかですわね〜」
ばっちり会話を聞いていたであろうハリエットさんが笑顔でやってきた。
――笑ってない視線がダイレクトアタックより辛かった…。
そんなこんなで作り終わったカレーは、子供達のみならずハリエットさんにも好評だった。
昼飯を食い終わったら子供達と並んで歯を磨いて、また遊んで…
正直、体力的にはキツいが、それでも穏やかで心休まる時間が過ぎていく。
空が朱色に染まって「そろそろ帰るか」って言った時に子供達がぐずった時は、不覚にも目頭が熱くなった。
なんとか「オトナのおねえさん」を全うして涙を流さなかったアタイ自身を褒めてやりたいね。
「赤のおにいちゃんまたねー」「おねえちゃんのカレーおいしかったー」
「つぎはデュエルまけないかんなー!」「けっこんしきにはよんでねー!」
「カード、だいじにするね!」「おにいちゃんもおねえちゃんもだいすきー!」
ヘルメットをかぶってDホイールのエンジンをふかすアタイ達の背中を、名残惜しげな声が撫でる。
思い思いに告げて手を振る子供達に、クールを気取って振り返らずに親指を立ててみせた。
背中から聞こえる、子供達の黄色い歓声。まったく、本当に素直な子達だ…。
――また来よう。こいつと二人で。
Dホイールが砂埃を巻き上げつつ駆け出す。子供達との距離を一瞬で離す無情なスピードも、今のアタイにはありがたかった。
並走するあいつから、微笑み交じりの視線を感じた。
こっち見んな、泣いてない。泣いてないってば!
夕食は帰りに手近なレストランで済ませ、あいつの家に到着するまでには、涙はなんとか止められた。
…嘘は言ってないとも。目はまだ赤いが。
――これで一日を終えられりゃ、綺麗に締められた筈だったと思うぞ、アタイは。
「さて、一応訊くけど……アンタ正気か?」
ジト目で睨んでやるが、この馬鹿は動じた様子もなく、にこにこ笑顔で「もちろん」と言外に語る。
子供達と遊んだ時の汗を流そうとシャワールームの脱衣所に入ったら、何故かこいつも一緒に入ってきたのである。
この行動の意味するところが分からないほど鈍感ではないが、それにしたって正気を疑う。
アタイも料理やら何やらで大変だったが、こいつは男の子達の無限の体力に付き合ってもっと大変だったはずだろうに。
明日だって、タッグデュエルプロリーグの一戦があるのだ。
…そこまで考えて、ある事に気付いた。
「もしかして…そこまで溜まってんのか?」
こいつの性欲が半端じゃないのは身を以って知っているが、それでもこいつはアタイの身体に配慮して、二日連続で求めてくる事などなかった。
だが、この一ヶ月の多忙でこいつには長いことオアズケを強いていた。
昨日もこいつの溜まりに溜まった衝動を、失神一歩手前にまでなって受け止めたのだが、あまりの禁欲で溜まったものは、それだけでは消費しきれなかったらしい。
でも正直な話、二日連続でこいつの凄まじい攻めを受け入れられる自信がない。腰の痛みだってまだ癒えてない。
「なぁ、我慢できないか…? アタイ、今日は…」
言葉は最後まで発することができなかった。
背後からアタイの身体を抱きすくめる腕が、抵抗する力と意識を奪う。
ったく、こんなんで言い返せなくなるアタイもアタイだ。惚れた弱みってやつだろうか…あぁ、大好きだ、この野郎。
「分かった、分かったから…待って…」
なんとかあいつの腕から逃れて、正面から向き合う。
あいつが求めてくれるのが嬉しいのは紛れもなくアタイの本音だ。それに最大限応えてやりたいとも思う。
でも、アタイだってプロのデュエリストだ、情事に溺れて本分がおろそかに…とはいかない。だから…
アタイはこいつの手を取り、抱きすくめてやる。胸のふくらみを意識させるように、押し付ける。
「口とかで、シてやるから…それで我慢してくれ」
あいつの顔が嬉しそうに、ぶんぶんと頷いた。
あぁ、そんな綺麗な瞳で見つめるな、こっぱずかしい!
かぽーん、と…
効果音としちゃあ最上級にベタだが、事実としてこういう音なんだから仕方ない。
現代アベレージど真ん中のバスルームだが、中の用具はことごとく和風の木製だ。趣味が爺むさい。
湯気が立ち上り、白く霞んだ視界だが、その中心はほとんど肌色で占められていた。
言うまでもなく、あいつの肉体だ。
今、アタイは身体に泡を塗りたくり、身体そのものをスポンジのようにして、こいつの身体を洗ってやっている。
恥ずかしいことこの上ないから滅多にやってやらないが、今日は特別だ。
元からデカかったのに、こいつにいじられまくって更に成長した乳を背中に押し当て、滑らせるように動く。
乳は卑猥に歪み、泡でヌチヌチとやらしい音をたててこいつの身体を磨いていく。
身体をぴったりと密着させまま、腕はこいつの腰に巻きついて、凶悪にそそり勃ったモノを握ってしごいていた。
指が回りきらないほどに太い凶器は、蒸し暑い風呂場にあってなお熱く、アタイの奉仕を受けて嬉しそうにビクビクと脈打っている。
この行為はこいつに仕込まれたのだが、どうにも身体と手の動きが両立できない。
身体を動かせば手が止まってしまい、手を動かせば身体が止まってしまう。
「ん、ふ…ぁ……」
やらしい気分でなきゃ聞いてられない自分の声。
両立できないなら、片方に集中してしまえ…と開き直り、こいつを洗ってやる事に専念した。
背中が終わり、細いがしっかり筋肉がついた腕を胸で挟み込むようにして洗い、正面に回り込む。
たくましい胸板に自分の乳を押しつけながら、目の前で薄く開いた唇に食らいついた。
「ん、ちゅっ、ちゅる…」
錯覚だと分かっているのに、煮詰めたシロップのように唾液が甘ったるい。どれだけ啜っても、まだ足りない。
「む…んぐぅ…っ!?」
食らいついたアタイの方が、いつの間にか口内を蹂躙されていた。
差し込まれたあいつの舌が無遠慮に暴れ回り、歯列をなぞって舌に絡まる度に、意識が飛びそうなほどゾクゾクした。
――あぁ、でも駄目だ。今日は…アタイが奉仕してやんないと。
なんとか理性を総動員して、こいつの口から離れた。あぁ、口周りが唾液でベタベタする…。
「ながす、よ…」
ひとこと言ってから、シャワーで互いの泡を洗い流した。さすがにアタイも泡まみれのモノを口に入れるのは無理だ。
「あ、あぁ…」
もしかしたら、泡を流すのは失敗だったかもしれない…そう気付いた時には遅かった。
目の前に、白い豊かな泡で覆われていたモノが、綺麗さっぱりにその凶悪なフォルムを晒したのだ。
浅黒く、ヘソまで反りかえった長大な肉の幹は血管を浮かせて、時折ピクピクと脈動している。
内に湛えた衝動の捌け口を求めるように蠢くそれから、アタイは目を離せなくなった。
コクリ、と喉が鳴る。じわりじわりと身体の芯が熱くなる。
微動だに出来なくなったアタイの頬に、手が添えられた。あいつと視線が絡まる。
アタイの内側を見透かすように微笑んで立ちあがったこいつは、傍らの湯船の縁に腰かけた。
あぁ、そうだ…その位置が、その高さが…丁度いい。
誘導されるように、四つん這いになって這い寄るアタイに向かって、あいつは笑って「いいよ、あげる」とだけ言った。
――それだけで、アタイの堰を切るには十分だった。
浅ましい、はしたない…そんなことは百も承知だ。最初の目的と完全に違っているが、抑えられなかった。
あいつが「欲しいんだろ?」と目で語っている。
悔しいけど認めてやる。欲しくて欲しくてたまらない。
アタイは四つん這いの…盛りのついた犬のような体勢のまま、目の前にそそり勃つ凶悪で愛しいモノにしゃぶりついた。
「ぁむ、ん…んぐ、ぢゅる……」
何度も言うがこいつのモノはデカい――と言っても、こいつ以外のサイズは知らないけど。
口で慰めるのは何度やっても顎が疲れるし、勢いが過ぎて喉奥まで迎えてしまい、えずいた事も一度や二度じゃない。
それでも…なんなんだろう今日のアタイは。こいつが望むまま、アタイが欲するまま、どこまでも呑み込んでいけそうだ。
頬も喉も唇も、全てを使って奉仕してやる。奉仕というよりはアタイが堪能してるのか…口全体を使って。
口内全体に熱が満ちる。
「ん、んぶっ! んじゅ、ぢゅ…おごっ…んぉ……」
奥に進むにつれて締めた唇が肉塊に巻き込まれて内側を向く。
「ちゅ、ちゅ…んぢゅるるるる……!!」
ゆっくり顔を引くと、今度は唇が引きずり出されて、自分でも分かるくらいに顔が下品に歪んだ。
深く呑み込み、浅く引いて、より深く呑み込む。こいつを、深くまで迎え入れる…。
とうとう、根元まで咥えこんでしまった。こいつの陰毛が口周りをくすぐり、こそばゆい。
こいつを受け入れながら昂っていったアタイの目尻は、とろりと蕩けて垂れていた。
口の中は、栓をねじ入れたようにこいつのモノで埋め尽くされ、洒落にならないくらい息が苦しい。
それでもこれを放せない。放したくない。
目線を上に向けると、あいつが息を荒くしながら、アタイの髪を梳くように撫でた。
唇は締めたまま上を向いたため、鼻の下は伸びきり、頬は窄まり…あぁ、アタイは今ひどく下品で卑猥な表情になっているんだろう。
こんな浅ましい行為に溺れるアタイを、優しく愛でられる――それだけで、背筋にぞくぞくと甘い電流が駆け抜ける。
気持ち良くなってくれているだろうか…それとも、何かをミスって苦しめているのだろうか…
むせ返るほどの性臭に蕩けた頭では、それすらも判別がつかなかった。
何かを堪えるように、歯を食いしばっている。どうしよう、苦しそうだ…何がいけなかったんだろう。
こいつを気持ち良くしてやりたいのに。
まずは、これを口から出してやらないと。そう思い、アタイは歯を立てないように顔を引いた。
口内を満たす肉塊がヌルルル…と逆流していく。
「んぶぶ…! ぁ、あが、んぶ…ぶぷっ…!!」
そうだ、ちゃんと解放して、どうすればいいのか聞いてやらないと。
勢いよく、口からこいつのモノが抜けていく。
…蕩けた思考の隅で、あいつが「待っ…!」と言ったような気がした。
「んぐご…ぬぷ……っっぱはぁっ!」
大口を開けて、とうとうこいつを解放してやることが出来た。
「げほ、けほ…! ごほっ…けほっ!」
気管が一気に解放され、アタイは大きく咳き込んだ。視界は明滅して、なんだかくらくらする。
アタイは苦しくてもいい…こいつは大丈夫だろうか、心配だ…。
キスの時以上にずるずるに汚れた口元を拭うことも忘れ、アタイは顔を持ち上げた。
「…あはっ…なんだ………」
苦しめたのか…その懸念は、全くの徒労だった。
視線の先に鎮座するあいつの肉塊は、苦しみ萎えるどころか、より昂っていた。
アタイの口内でさらに膨らんだのか、一回り大きくなったモノは固く張り詰め、先端からトロトロと涎を垂らして震えている。
唾液にまみれ、これ以上は耐えられないとばかりにピクピクと震えるモノはグロテスクな筈なのに、今は猛烈に愛おしい。
依然として歯を食いしばるこいつの足の間に再び潜り込んだアタイは、胸の内の万感を唇に集めて
ちゅっ…
震えるモノの先端に、キスをした――それをトドメに、あいつは達した。
熱くて生臭い、白く淀んだ精液が、目を疑うような量と勢いで吐き出される。
限界に達した長く太い肉の塊がドクン、ドクン、と大きく何度も脈打って、先端から濃厚な粘液を放出し続ける。
あいつは絶頂に達した快感で仰け反り、荒く息を吐いていた。
「あ…、すご……」
見たこともない吐精に呆けるアタイの顔へ、あいつの性欲が無遠慮に降り注ぐ。
髪に、額に、頬に、鼻先に…所有権を主張するように、べたべたと。
ありきたりなポルノじみた行為も、アタイは蕩けた笑顔で受け入れてしまった。
飛びかかる精液を受け止めようと舌を出して…その行為も、口内への吐精の懇願なのかもしれない。
顔では湛えきれなくなった精液が滴り、アタイのデカ乳にぽたぽたと落ちる頃に、ようやくあいつの射精は止まった。
肩を震わせていたあいつが、大きく息を吐く。肺の底から絞り出すようなそれを見て、アタイは充足を感じとっていた。
よかった、こいつをちゃんと満たしてやれた。
そう思っていたのは、完全にアタイの早合点だったらしい。
「え、きゃっ…!?」
ほっと息をついたアタイの肩が無造作に掴まれ、あいつの腹近くにまで引き寄せられた。
あいつの両脚を脇に抱え込むような体勢にさせられたアタイの目の前では、
「あ、あは……」
常識外れの射精の後だというのに「こんなんじゃ満足できねぇぜ」とばかりに、萎える様子もなくそそり勃つ凶悪な肉の剣。
次なる柔肉を求めてピクンと脈打ったモノが、半ば呆然となっているアタイの鼻っ面をはたいた。
その拍子に、顔中にへばり付き胸に滴り落ちた精液の性臭が鼻腔を満たした。
それだけで、戻りつつあったアタイの理性は消し飛び、顔は再び淫蕩に歪む。
そうだ、こいつはまだまだ元気なんだ、アタイを求めてくれるんだ…
あいつの両手がアタイの乳房を優しく持ち上げた。
「ぱいずり、が…いいの、か…?」
アタイの問いかけに、短く首肯が返ってきた。
ほんと、アタイのデカ乳大好きだなこいつ。
仕方ないな、とばかりに溜め息をついたが、まだ求めてくれるのが嬉しくて、顔がにやけちまってる。
溜まりに溜まった性欲をアタイにぶつけてくれる…その事実に、アタイの心は満たされていく。
愛おしさがこみ上げて、口から熱い吐息が出た。
普段はデュエルの妨げにしかならない、邪魔でしかなかったこのデカ乳も、こいつがいたく気に入ってくれるから今は満更でもない。
こいつを悦ばせてやれる自分の胸と、その内に包み込んだ浅黒い肉の凶器を強く抱きしめ、アタイは身体を上下に揺すり始める。
「いいよ、いっぱいシてやる。だから…たくさん……ビューって、して」
唾液でとろとろになった舌で、胸の間から突き出してくる赤黒い先端をねぶってやると、こいつは嬉しそうに肩を震わせた。
――んで…
「ほんっと信じらんない、このバカ!」
怒声を張り上げるが、アタイ自身がばたばた動きまわっているもんだから大した迫力が込もらない。
あいつはアタイの罵声を浴びても動じた様子もなく、玄関で突っ立っていた。
「先に起きたんなら普通アタイも起こすだろ!!」
――そう、つまり今は朝だ。
あの後、こいつの衝動は、更に3回の射精をアタイに受け止めさせてようやく鎮まった。
こいつは最後までアタイの案に従って、挿入することだけは踏みとどまってくれた。
しかし、孤児院での疲れに加えて、長時間の奉仕に疲れ切ったアタイは、風呂から上がると泥のように眠りこけたのだ。
加えて、目覚ましのアラームを設定し忘れてた、というのが致命的だった。
カーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた時、目の前にはあいつの顔があった。
「おはよう」と挨拶をくれた笑顔のまま、あいつに淡々と現時刻を告げられたアタイは、リアルに「血の気が引く音」ってのを聞いて――
――そうだ、寝坊だ。疑う余地もない完全なる寝坊だ。今日はタッグデュエルのリーグ戦があるというのに。
しかも急げばギリギリ間に合う時間だってのがまた憎かった。
飛び起きたアタイは、まずこいつの頭をブン殴ると、取り急ぎシャワーを浴びて着替え、違和感が無い程度に薄く化粧をした。
当然のことながら朝メシは抜きだ。こんなコンディションで勝てるかどうか…。
どうにか準備を終わらせて、テーブルの上に置いていたDホイールのキーを引っ掴む。
今からDホイールをスッ飛ばせば、なんとか間に合うだろう。
「お待たせ…ほら、急ぐよ!」
玄関でのんびり待っていた馬鹿の胸板を叩き、ドアを開いた。プロの面目は潰さずに済みそうだ。
マンション地下のガレージでDホイールに跨りながら、アタイは静かに決心した。
――今度からは定期的に発散させてやんないとな。
無論、デュエリストの本分に支障をきたさぬ為だ。ホントにその為だ。
▽ ▽
▽ ▽
数か月前に開かれたWRGPを、タッグを組んで優勝してからというもの、アタイとあいつの日常は大いに変化した。
もともとシングルが活動の場だったアタイはデュエル誌で『孤高の女帝、番の翼を得て大きく飛翔』などと報じられ、あいつもネオ童実野シティに大きく名前が知れ渡った。
直後に『アメリカ横断ゴールデン・タッグ・トーナメント』出場で海外に出ていたから良いものの、帰って一ヶ月ほどは寝る時間も削る過密スケジュールに追い立てられた。
雑誌のインタビュー、キッズデュエル大会でのエキシビジョンの要請等々…それもかなり落ち着いてきており、こうして二人で夕食を楽しむ時間も出来てきたという訳だ。
申し遅れたがアタイの名はケイト・モヘア。
一応デュエルの賞金とその関連収入だけで飯に困らない程度の生活を送れている、プロデュエリストの端くれだ。
今は、ふとした事で知り合った相方と同棲している。
殺風景な部屋で食後のコーヒーを飲みつつ、話題は明日の予定についてだった。
明日は二人ともが完全オフ。久しぶりにどこかへ出掛けようと切り出そうとしたところで、あいつが先んじて口にした言葉が――
「孤児院への慰問?」
アタイが聞き返すと、こいつは「…の真似事」と付け足した。
聞けば、こいつはアタイと知り合う前から、子供好きが高じてちょくちょく旧サテライト地区の孤児院に出入りしていたらしい。
今まではデュエルや遊びに付き合う程度しかできなかったが、WRGP以降の収入増加で、やっとそれらしい慰問ができそうで嬉しい…と、彼はにこにこ笑っていた。
アタイも子供は好きだ。二つ返事で付き合いを請け負うと、こいつは嬉しそうに「子供達にカレーを作ってあげて」と言ってきた。
お金が余裕がある分、今まで不便をしてきた子供達にたくさんプレゼントが出来る…そう言いたげに、あいつは明日のプレゼント予定物をリストアップし始める。
子供達がどうこうと喋る時のこいつの表情は、おかしな事にどんな子供よりも幼い。緩んだ口元を隠すように、アタイはコーヒーを呷った。
コーヒーも飲み干し、シャワーを浴びてベッドの中へ…あいつはすでに目を閉じてうとうと気分。邪魔するよ、と一声かけてから潜り込んだ。
肩まで布団をかぶって、明日の予定について考えてみる。なにせ慰問の真似事など初めてなのだ。
明日は孤児院にいる子供の人数を聞いて、行きがけにカレーの材料とカードパックを買って…結構な荷物になりそうだが、Dホイールがあるし何とかなる――
――って、ちょっと待った。
「何してんのさ…」
もぞもぞと身体を這いあがってくる手をぱしりと叩くと、眠りかけていた筈の誰かさんが「えー…」と不満げに言った。
明日は子供達の相手するし、体力使うんじゃないのか…そう言っても、一度サカったこいつは大抵のことじゃ止まらない。草食動物みたいな顔してんのに。
でも、最近は忙しくてろくにシてなかったし、こいつも溜まってるんだろう。何より、アタイもやぶさかではない。
諦めて好きにさせてやると、不埒な手は迷わずアタイの胸に飛び付いた。
こいつは、デュエルの邪魔になる、アタイの無駄にデカい乳が大好きなのだ。
アタイも強くは言えないから、好きにさせたら更に成長するという悪循環。ブラの買い替えで結構な額を使ったって今度教えてやろうか。
それにしたって、涼しい顔してこいつはアタイの弱点を見つけるのが上手い。アタイの身体も正直なもんで、すぐに反応してしまう。
…やれやれ、スキンのストックはまだあっただろうか?
あぁ、そういえばハジメテの時にこいつ、アタイの緊張をほぐしたいのか「大丈夫、シンクロ召喚みたいなものだよ」とか言ってたっけ。殴ったけど。
過去の他愛もない、それでもアタイにとっては大事な一夜を思い出しながら、あたいは目の前にある赤い帽子を取っ払った。
「まったく、寝る時も脱がないだなんて…」
――こんなんじゃ、キスだってできやしないじゃないか。
▽ ▽
いきなりで何だが、Dホイールってのはこれで中々に揺れる乗り物だ。
道がどれほど快適に整備されていようが、如何せんエンジンの近くに腰掛けるため、細かい振動がグリップやシートを介してぶつかってくる。
アタイもプロとして、Dホイールのパーツにはそれなりのものを揃えていた。
そして、今はその上等なパーツのいななきがアタイを苦しめている。
申し遅れたがアタイの名はケイト・モヘア。
一応デュエルの賞金とその関連収入だけで飯に困らない程度の生活を送れている、プロデュエリストの端くれだ。
今は、ふとした事で知り合った相方と同棲している。
…話を戻そう。何故Dホイールに乗っているだけでアタイが苦しんでいるのか。
「苦しむ」というのは語弊があるか…。正確には、じんじんと身体の一部が痛むのだ。
言っておくが手が痺れたとかではない。Dホイーラーとして、必要最低限の筋力は鍛えてある。
ではどこが痛むのか――正直に言おう、腰だ。
シートを震わす振動が、尻から腰に響いてくるのだ。
アタイは仏頂面で、少し先を走るDホイールの主の背中を忌わしげに睨みつけた。
こいつが全て悪いのだ。
アタイのDホイールと…否、Dホイール全体と比較してもかなりゴツい部類のそれを駆る男は、アタイの相方デュエリストだ。
風と一体化して鼻歌でも歌いそうなほど上機嫌なこの男のせいで、アタイは今苦しんでいる。
腰が痛む原因が男、と言えばだいたい想像はつくだろう。
要するに昨晩うっかり交接を許そうもんだから、あいつが良くないハッスルをやらかしたのだ。
人を殴る度胸もなさそうな人畜無害フェイスをしているが、あいつはかなり凶暴で――何がって…ナニがだ。
今日こうしてDホイールを走らせているのは旧サテライト地区の孤児院に慰問に行くためで、それを提案したのはあいつの方だというのに。
何が悲しくて、無垢な子供達に会う前夜にオトナオトナしなきゃいけないのか…そう思ったが、途中から完全に呑まれたアタイは何も言えない。
嗚呼、正直者に過ぎるぞアタイの肉体――だが、それを差し引いても抜かずの3回ってどんだけ絶倫だ。
当然のことだがスキンは飽和量超過で途中リタイヤ。芽吹いたら絶対に責任取らせる所存だ。
ワイト程度なら焼き尽くせそうなアタイの熱視線に気付いたのか、あいつがひらひらと手を掲げた。
どう文句を言ってやろうか、と思ったが、どうやらアタイの視線に反応した訳ではなさそうだった。
くいくい、と指が差す方を見て、気付く。
もうすぐネオダイダロスブリッジの終着点、旧サテライト地区だ。
手分けして運んでいる大量の荷物の中身を思い出しつつチェックする――16人分のカレーの材料と、カードパック、新品の調理器具の数々…うん、大丈夫。
あいつの先導に従い、アタイはブリッジの小さく枝分かれした出口に向かってハンドルを切った。
「まぁまぁ、ケイト・モヘアさん! よくテレビで拝見しておりますよ」
そう言ってアタイを出迎えたのは、「清貧」という言葉の似合う妙齢の美女だった。
アタイはヘルメットを脱いで「光栄です」と頭を垂れた。
ハリエットと名乗ったこの女性が、どうやらこの孤児院の責任者のようだ。
ちなみにアタイ「達」を出迎えた、と表現しなかったのは…
「あらあら、相変わらず人気者ね」
ちらりとハリエットさんの視線を追って横を向く。
その先では、既に丈の低い人だかりができていた。
「赤のにーちゃんだ!」「あいたかったよー!」
「すげーにもつ! おみやげ!?」「あとでデュエルしてよー」
「あたし、かたぐるま!」「あ、ずりーぞ、おれもー!」
「おにいちゃん、あたしとけっこんするやくそく、かんがえてくれたー?」
「でぃーほいーるかっこいー!」「赤のおにいちゃーん」
ハリエットさんは頬に手を添えて「あらあらうふふ」とでも言いそうに微笑んでいる。
アタイも無邪気な子供達を見るのは好きだ。気が付けば、自然と頬が緩んでいた
…何やら聞き捨てならない言葉があった気もするが、子供の発言と思ってスルーだ。
Dホイールのリア部分に括りつけた荷物をほどいて、カレーの材料を降ろす。
「彼の提案で、子供達にカレーを作ろうと思って…お昼前にでも、台所を借りられますか?」
そう言うと、ハリエットさんは「あらあら」と言いながら、こっちが恐縮するほど頭を下げてきた。
「そうそう、ニンジンは細かく切るんだよ。うん、上手じゃないか」
「えへへ、おねえちゃんにほめられちゃった」
孤児院に到着してから数時間後、アタイはエプロンを着けて台所に立っていた。
着いてしばらくはアタイを警戒していた子供達も、あいつの知り合いと分かるとすぐに打ち解けてくれた。子供の良いところだ。
しばらくはあいつと一緒に、子供達のデュエルに付き合ったり、遊んだり、おみやげのカードパックを配ったり…
パックを開封して、その中身に一喜一憂する子供達の姿は、本当に微笑ましかった。
そんなこんなで昼飯時も近くなり、こうして孤児院の台所を借りているというわけだ。
「おねえちゃん、ジャガイモのかわむきできたー」
「ありがとう。それじゃ、こっちに持ってきてくれるかい?」
アタイの周囲にいるのは、この数時間でアタイに懐いてくれた女の子達だ。
同性の「おねえさん」がいるのが嬉しいのか、この子達はすすんでカレー作りの手伝いを申し出てくれた。
ボウルに入ったジャガイモを受け取り、さっさと切っちまおう…と台に並べて――ふと、窓から外が見えた。
『ぼうしとーった!』
あいつが、トレードマークの赤いキャップを持ったやんちゃそうな男の子を追いかけ回していた。
返してくれよー、と困ったように笑いながら、わざと男の子に追い付かない速度で走っている。
人のことを言えたもんじゃないが、ちょっと甘すぎるんじゃないだろうか。
「おねえちゃん…?」
迂闊なことに子供達と遊ぶあいつを見て、しばらく動きが止まっていたようだった。
ジャガイモを渡してくれた女の子が、アタイの方をまっすぐ見上げていた。
「あ、あぁごめんね、なんでもないよ」
アタイは取り繕うように笑って、ジャガイモをカットし始める。
「見てな、アタイのカレーはモウヤンのカレーより美味しいからね」
カレー作りに関しては、ちょっとした自信がある。アタイの発言に、女の子達は目を輝かせて「ほんとー?」と聞き返してきた。
「本当さ、あいつもウマいウマいって、いつも2回くらいおかわりするんだ」
孤児院の庭で未だに鬼ごっこに興じるあいつを指差して、アタイは笑ってみせる。
――まぁ、この時点でアタイも女の子が、いかにマセているかを失念していたわけで…
「赤のおにいちゃんに、いつもつくってあげてるの?」
「あぁ、そうさ」
「じゃあ、赤のおにいちゃんと、どーせーしてるんだね!」
「………へっ?」
幼い女の子が口にするには、いささか生々しい単語に、アタイが一瞬呆けていると、周囲の女の子達が「どーせーってなあに?」と聞き返す。
そこへすかさず「オトナのおとことおんながいっしょにすむことよ!」と異論を挟む余地もない説明が入ったもんだから大変だ。
おかげで、恋に恋する小さき乙女達のテンションは一気にヒートアップ。
「きゃーすごーい!」「オトナだーおねえちゃんオトナだー」
「ちゅーするの!」「えっちなことするの!」
きゃーきゃーと黄色い声で騒ぎ立てる子供達。
あぁ、キスならともかく、この歳の女の子が「えっちなこと」と発言するのは如何なものか。
――具体的な単語のおかげで昨夜のアレコレがフラッシュバックするじゃないか…。
しかし、ここで流されるようでは「オトナのおねえさん」の面目が立たない。
アタイは極力平静を装いながら、マセた発言で場を盛り上げてくれやがった犯人の額をツンと指でつついた。
「あんまり背伸びしてると、美味しいカレー食べさせてやんないからね」
額を押さえた女の子はぺろりと舌を出して「ごめんなさい、カレーたべたい」と白旗宣言。
うむ、子供は歳相応の素直が一番。アタイも「オトナのおねえさん」を全うできて何より。
気を取り直してジャガイモを素早く捌く。スピーディーな動作に、周囲からは「おぉー」と素直な感心の声。
あぁそうだ、この手さばきに注目して大いに感心するといい――だから、ちょっとアレな回想で赤くなってるアタイの顔には気付いてくれるな。
「オトナのおねえさん」に加えて料理上手という認識を子供達に植え付けたアタイは、その後ヤラしい考えを振り払うように作業に集中するのだった。
…ちなみにその直後、
「あらあら、賑やかですわね〜」
ばっちり会話を聞いていたであろうハリエットさんが笑顔でやってきた。
――笑ってない視線がダイレクトアタックより辛かった…。
そんなこんなで作り終わったカレーは、子供達のみならずハリエットさんにも好評だった。
昼飯を食い終わったら子供達と並んで歯を磨いて、また遊んで…
正直、体力的にはキツいが、それでも穏やかで心休まる時間が過ぎていく。
空が朱色に染まって「そろそろ帰るか」って言った時に子供達がぐずった時は、不覚にも目頭が熱くなった。
なんとか「オトナのおねえさん」を全うして涙を流さなかったアタイ自身を褒めてやりたいね。
「赤のおにいちゃんまたねー」「おねえちゃんのカレーおいしかったー」
「つぎはデュエルまけないかんなー!」「けっこんしきにはよんでねー!」
「カード、だいじにするね!」「おにいちゃんもおねえちゃんもだいすきー!」
ヘルメットをかぶってDホイールのエンジンをふかすアタイ達の背中を、名残惜しげな声が撫でる。
思い思いに告げて手を振る子供達に、クールを気取って振り返らずに親指を立ててみせた。
背中から聞こえる、子供達の黄色い歓声。まったく、本当に素直な子達だ…。
――また来よう。こいつと二人で。
Dホイールが砂埃を巻き上げつつ駆け出す。子供達との距離を一瞬で離す無情なスピードも、今のアタイにはありがたかった。
並走するあいつから、微笑み交じりの視線を感じた。
こっち見んな、泣いてない。泣いてないってば!
夕食は帰りに手近なレストランで済ませ、あいつの家に到着するまでには、涙はなんとか止められた。
…嘘は言ってないとも。目はまだ赤いが。
――これで一日を終えられりゃ、綺麗に締められた筈だったと思うぞ、アタイは。
「さて、一応訊くけど……アンタ正気か?」
ジト目で睨んでやるが、この馬鹿は動じた様子もなく、にこにこ笑顔で「もちろん」と言外に語る。
子供達と遊んだ時の汗を流そうとシャワールームの脱衣所に入ったら、何故かこいつも一緒に入ってきたのである。
この行動の意味するところが分からないほど鈍感ではないが、それにしたって正気を疑う。
アタイも料理やら何やらで大変だったが、こいつは男の子達の無限の体力に付き合ってもっと大変だったはずだろうに。
明日だって、タッグデュエルプロリーグの一戦があるのだ。
…そこまで考えて、ある事に気付いた。
「もしかして…そこまで溜まってんのか?」
こいつの性欲が半端じゃないのは身を以って知っているが、それでもこいつはアタイの身体に配慮して、二日連続で求めてくる事などなかった。
だが、この一ヶ月の多忙でこいつには長いことオアズケを強いていた。
昨日もこいつの溜まりに溜まった衝動を、失神一歩手前にまでなって受け止めたのだが、あまりの禁欲で溜まったものは、それだけでは消費しきれなかったらしい。
でも正直な話、二日連続でこいつの凄まじい攻めを受け入れられる自信がない。腰の痛みだってまだ癒えてない。
「なぁ、我慢できないか…? アタイ、今日は…」
言葉は最後まで発することができなかった。
背後からアタイの身体を抱きすくめる腕が、抵抗する力と意識を奪う。
ったく、こんなんで言い返せなくなるアタイもアタイだ。惚れた弱みってやつだろうか…あぁ、大好きだ、この野郎。
「分かった、分かったから…待って…」
なんとかあいつの腕から逃れて、正面から向き合う。
あいつが求めてくれるのが嬉しいのは紛れもなくアタイの本音だ。それに最大限応えてやりたいとも思う。
でも、アタイだってプロのデュエリストだ、情事に溺れて本分がおろそかに…とはいかない。だから…
アタイはこいつの手を取り、抱きすくめてやる。胸のふくらみを意識させるように、押し付ける。
「口とかで、シてやるから…それで我慢してくれ」
あいつの顔が嬉しそうに、ぶんぶんと頷いた。
あぁ、そんな綺麗な瞳で見つめるな、こっぱずかしい!
かぽーん、と…
効果音としちゃあ最上級にベタだが、事実としてこういう音なんだから仕方ない。
現代アベレージど真ん中のバスルームだが、中の用具はことごとく和風の木製だ。趣味が爺むさい。
湯気が立ち上り、白く霞んだ視界だが、その中心はほとんど肌色で占められていた。
言うまでもなく、あいつの肉体だ。
今、アタイは身体に泡を塗りたくり、身体そのものをスポンジのようにして、こいつの身体を洗ってやっている。
恥ずかしいことこの上ないから滅多にやってやらないが、今日は特別だ。
元からデカかったのに、こいつにいじられまくって更に成長した乳を背中に押し当て、滑らせるように動く。
乳は卑猥に歪み、泡でヌチヌチとやらしい音をたててこいつの身体を磨いていく。
身体をぴったりと密着させまま、腕はこいつの腰に巻きついて、凶悪にそそり勃ったモノを握ってしごいていた。
指が回りきらないほどに太い凶器は、蒸し暑い風呂場にあってなお熱く、アタイの奉仕を受けて嬉しそうにビクビクと脈打っている。
この行為はこいつに仕込まれたのだが、どうにも身体と手の動きが両立できない。
身体を動かせば手が止まってしまい、手を動かせば身体が止まってしまう。
「ん、ふ…ぁ……」
やらしい気分でなきゃ聞いてられない自分の声。
両立できないなら、片方に集中してしまえ…と開き直り、こいつを洗ってやる事に専念した。
背中が終わり、細いがしっかり筋肉がついた腕を胸で挟み込むようにして洗い、正面に回り込む。
たくましい胸板に自分の乳を押しつけながら、目の前で薄く開いた唇に食らいついた。
「ん、ちゅっ、ちゅる…」
錯覚だと分かっているのに、煮詰めたシロップのように唾液が甘ったるい。どれだけ啜っても、まだ足りない。
「む…んぐぅ…っ!?」
食らいついたアタイの方が、いつの間にか口内を蹂躙されていた。
差し込まれたあいつの舌が無遠慮に暴れ回り、歯列をなぞって舌に絡まる度に、意識が飛びそうなほどゾクゾクした。
――あぁ、でも駄目だ。今日は…アタイが奉仕してやんないと。
なんとか理性を総動員して、こいつの口から離れた。あぁ、口周りが唾液でベタベタする…。
「ながす、よ…」
ひとこと言ってから、シャワーで互いの泡を洗い流した。さすがにアタイも泡まみれのモノを口に入れるのは無理だ。
「あ、あぁ…」
もしかしたら、泡を流すのは失敗だったかもしれない…そう気付いた時には遅かった。
目の前に、白い豊かな泡で覆われていたモノが、綺麗さっぱりにその凶悪なフォルムを晒したのだ。
浅黒く、ヘソまで反りかえった長大な肉の幹は血管を浮かせて、時折ピクピクと脈動している。
内に湛えた衝動の捌け口を求めるように蠢くそれから、アタイは目を離せなくなった。
コクリ、と喉が鳴る。じわりじわりと身体の芯が熱くなる。
微動だに出来なくなったアタイの頬に、手が添えられた。あいつと視線が絡まる。
アタイの内側を見透かすように微笑んで立ちあがったこいつは、傍らの湯船の縁に腰かけた。
あぁ、そうだ…その位置が、その高さが…丁度いい。
誘導されるように、四つん這いになって這い寄るアタイに向かって、あいつは笑って「いいよ、あげる」とだけ言った。
――それだけで、アタイの堰を切るには十分だった。
浅ましい、はしたない…そんなことは百も承知だ。最初の目的と完全に違っているが、抑えられなかった。
あいつが「欲しいんだろ?」と目で語っている。
悔しいけど認めてやる。欲しくて欲しくてたまらない。
アタイは四つん這いの…盛りのついた犬のような体勢のまま、目の前にそそり勃つ凶悪で愛しいモノにしゃぶりついた。
「ぁむ、ん…んぐ、ぢゅる……」
何度も言うがこいつのモノはデカい――と言っても、こいつ以外のサイズは知らないけど。
口で慰めるのは何度やっても顎が疲れるし、勢いが過ぎて喉奥まで迎えてしまい、えずいた事も一度や二度じゃない。
それでも…なんなんだろう今日のアタイは。こいつが望むまま、アタイが欲するまま、どこまでも呑み込んでいけそうだ。
頬も喉も唇も、全てを使って奉仕してやる。奉仕というよりはアタイが堪能してるのか…口全体を使って。
口内全体に熱が満ちる。
「ん、んぶっ! んじゅ、ぢゅ…おごっ…んぉ……」
奥に進むにつれて締めた唇が肉塊に巻き込まれて内側を向く。
「ちゅ、ちゅ…んぢゅるるるる……!!」
ゆっくり顔を引くと、今度は唇が引きずり出されて、自分でも分かるくらいに顔が下品に歪んだ。
深く呑み込み、浅く引いて、より深く呑み込む。こいつを、深くまで迎え入れる…。
とうとう、根元まで咥えこんでしまった。こいつの陰毛が口周りをくすぐり、こそばゆい。
こいつを受け入れながら昂っていったアタイの目尻は、とろりと蕩けて垂れていた。
口の中は、栓をねじ入れたようにこいつのモノで埋め尽くされ、洒落にならないくらい息が苦しい。
それでもこれを放せない。放したくない。
目線を上に向けると、あいつが息を荒くしながら、アタイの髪を梳くように撫でた。
唇は締めたまま上を向いたため、鼻の下は伸びきり、頬は窄まり…あぁ、アタイは今ひどく下品で卑猥な表情になっているんだろう。
こんな浅ましい行為に溺れるアタイを、優しく愛でられる――それだけで、背筋にぞくぞくと甘い電流が駆け抜ける。
気持ち良くなってくれているだろうか…それとも、何かをミスって苦しめているのだろうか…
むせ返るほどの性臭に蕩けた頭では、それすらも判別がつかなかった。
何かを堪えるように、歯を食いしばっている。どうしよう、苦しそうだ…何がいけなかったんだろう。
こいつを気持ち良くしてやりたいのに。
まずは、これを口から出してやらないと。そう思い、アタイは歯を立てないように顔を引いた。
口内を満たす肉塊がヌルルル…と逆流していく。
「んぶぶ…! ぁ、あが、んぶ…ぶぷっ…!!」
そうだ、ちゃんと解放して、どうすればいいのか聞いてやらないと。
勢いよく、口からこいつのモノが抜けていく。
…蕩けた思考の隅で、あいつが「待っ…!」と言ったような気がした。
「んぐご…ぬぷ……っっぱはぁっ!」
大口を開けて、とうとうこいつを解放してやることが出来た。
「げほ、けほ…! ごほっ…けほっ!」
気管が一気に解放され、アタイは大きく咳き込んだ。視界は明滅して、なんだかくらくらする。
アタイは苦しくてもいい…こいつは大丈夫だろうか、心配だ…。
キスの時以上にずるずるに汚れた口元を拭うことも忘れ、アタイは顔を持ち上げた。
「…あはっ…なんだ………」
苦しめたのか…その懸念は、全くの徒労だった。
視線の先に鎮座するあいつの肉塊は、苦しみ萎えるどころか、より昂っていた。
アタイの口内でさらに膨らんだのか、一回り大きくなったモノは固く張り詰め、先端からトロトロと涎を垂らして震えている。
唾液にまみれ、これ以上は耐えられないとばかりにピクピクと震えるモノはグロテスクな筈なのに、今は猛烈に愛おしい。
依然として歯を食いしばるこいつの足の間に再び潜り込んだアタイは、胸の内の万感を唇に集めて
ちゅっ…
震えるモノの先端に、キスをした――それをトドメに、あいつは達した。
熱くて生臭い、白く淀んだ精液が、目を疑うような量と勢いで吐き出される。
限界に達した長く太い肉の塊がドクン、ドクン、と大きく何度も脈打って、先端から濃厚な粘液を放出し続ける。
あいつは絶頂に達した快感で仰け反り、荒く息を吐いていた。
「あ…、すご……」
見たこともない吐精に呆けるアタイの顔へ、あいつの性欲が無遠慮に降り注ぐ。
髪に、額に、頬に、鼻先に…所有権を主張するように、べたべたと。
ありきたりなポルノじみた行為も、アタイは蕩けた笑顔で受け入れてしまった。
飛びかかる精液を受け止めようと舌を出して…その行為も、口内への吐精の懇願なのかもしれない。
顔では湛えきれなくなった精液が滴り、アタイのデカ乳にぽたぽたと落ちる頃に、ようやくあいつの射精は止まった。
肩を震わせていたあいつが、大きく息を吐く。肺の底から絞り出すようなそれを見て、アタイは充足を感じとっていた。
よかった、こいつをちゃんと満たしてやれた。
そう思っていたのは、完全にアタイの早合点だったらしい。
「え、きゃっ…!?」
ほっと息をついたアタイの肩が無造作に掴まれ、あいつの腹近くにまで引き寄せられた。
あいつの両脚を脇に抱え込むような体勢にさせられたアタイの目の前では、
「あ、あは……」
常識外れの射精の後だというのに「こんなんじゃ満足できねぇぜ」とばかりに、萎える様子もなくそそり勃つ凶悪な肉の剣。
次なる柔肉を求めてピクンと脈打ったモノが、半ば呆然となっているアタイの鼻っ面をはたいた。
その拍子に、顔中にへばり付き胸に滴り落ちた精液の性臭が鼻腔を満たした。
それだけで、戻りつつあったアタイの理性は消し飛び、顔は再び淫蕩に歪む。
そうだ、こいつはまだまだ元気なんだ、アタイを求めてくれるんだ…
あいつの両手がアタイの乳房を優しく持ち上げた。
「ぱいずり、が…いいの、か…?」
アタイの問いかけに、短く首肯が返ってきた。
ほんと、アタイのデカ乳大好きだなこいつ。
仕方ないな、とばかりに溜め息をついたが、まだ求めてくれるのが嬉しくて、顔がにやけちまってる。
溜まりに溜まった性欲をアタイにぶつけてくれる…その事実に、アタイの心は満たされていく。
愛おしさがこみ上げて、口から熱い吐息が出た。
普段はデュエルの妨げにしかならない、邪魔でしかなかったこのデカ乳も、こいつがいたく気に入ってくれるから今は満更でもない。
こいつを悦ばせてやれる自分の胸と、その内に包み込んだ浅黒い肉の凶器を強く抱きしめ、アタイは身体を上下に揺すり始める。
「いいよ、いっぱいシてやる。だから…たくさん……ビューって、して」
唾液でとろとろになった舌で、胸の間から突き出してくる赤黒い先端をねぶってやると、こいつは嬉しそうに肩を震わせた。
――んで…
「ほんっと信じらんない、このバカ!」
怒声を張り上げるが、アタイ自身がばたばた動きまわっているもんだから大した迫力が込もらない。
あいつはアタイの罵声を浴びても動じた様子もなく、玄関で突っ立っていた。
「先に起きたんなら普通アタイも起こすだろ!!」
――そう、つまり今は朝だ。
あの後、こいつの衝動は、更に3回の射精をアタイに受け止めさせてようやく鎮まった。
こいつは最後までアタイの案に従って、挿入することだけは踏みとどまってくれた。
しかし、孤児院での疲れに加えて、長時間の奉仕に疲れ切ったアタイは、風呂から上がると泥のように眠りこけたのだ。
加えて、目覚ましのアラームを設定し忘れてた、というのが致命的だった。
カーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた時、目の前にはあいつの顔があった。
「おはよう」と挨拶をくれた笑顔のまま、あいつに淡々と現時刻を告げられたアタイは、リアルに「血の気が引く音」ってのを聞いて――
――そうだ、寝坊だ。疑う余地もない完全なる寝坊だ。今日はタッグデュエルのリーグ戦があるというのに。
しかも急げばギリギリ間に合う時間だってのがまた憎かった。
飛び起きたアタイは、まずこいつの頭をブン殴ると、取り急ぎシャワーを浴びて着替え、違和感が無い程度に薄く化粧をした。
当然のことながら朝メシは抜きだ。こんなコンディションで勝てるかどうか…。
どうにか準備を終わらせて、テーブルの上に置いていたDホイールのキーを引っ掴む。
今からDホイールをスッ飛ばせば、なんとか間に合うだろう。
「お待たせ…ほら、急ぐよ!」
玄関でのんびり待っていた馬鹿の胸板を叩き、ドアを開いた。プロの面目は潰さずに済みそうだ。
マンション地下のガレージでDホイールに跨りながら、アタイは静かに決心した。
――今度からは定期的に発散させてやんないとな。
無論、デュエリストの本分に支障をきたさぬ為だ。ホントにその為だ。
▽ ▽
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