「ゴーシュ、座らせてもらうぞ」
 寒い季節の日、ドロワはそんなことを言いながら足の間に座り込んだ。
 すると、必然的に大事な部分にお尻が当たってきたりもするわけで、ゴーシュはそれを気にせずにはいられない。
「お、おいドロワ。一体どういうノリだ?」
「ここ最近冷え込むというのに、暖房が壊れている」
「つまり俺の体が暖房代わりか」
「そういうことだ」
 なるほど、いいノリだ。
 口では暖房といっても、わざわざ色めく勘違いをされかねない行動を取ってくるからには、そこには言葉なきメッセージが隠されている。
 つまり、今のドロワの気持ちを考えれば――。
 口調こそいつも通りの冷淡なものだが、つまりそういうことだろう。
 ゴーシュは細いからだを抱きすくめ、首筋に顔を埋めた。
「あまり調子に乗りすぎるなよ? ゴーシュ」
「乗り過ぎない、程度になら調子づいてもいいノリってわけか」
「ふん……」
 鼻を鳴らされはしても、否定はしてこない。
 これもつまり、暗に色々なあれやこれやを許しているということだ。
「へえ、中々大きいじゃねーか!」
 ゴーシュは下乳に手を差し込み、すくい上げるようにして揉み始めた。
 これで文句の一つも言ってこないのだから、やはり色めく何やかにやを許してもらえている。
 それどころか……。
「まだ少し冷えるな」
 言外にもっと暖めろと伝えてくる。
「だったら、もっとアツ〜いノリでいこうぜ!」
 膝に手を伸ばしてお姫様抱っこで持ち上げると、さすがのドロワも目を丸めた驚いた顔をした。
 いつも毅然としている冷血女なのに、たまにはこういう表情をするからいい。
「おい、どうするつもりだ」
「どうってなぁ、ドロワ。一緒に温まるに決まってんだろ」
 ゴーシュはそのスリムな身体をベッドへ運び寝かしつけ、添い寝する形で布団に入る。
「確かに温まるが、お前はもう充分調子に乗りすぎているぞ。ゴーシュ」
「そうか? このくらいのノリがあってもいいじゃないか」
 ゴーシュはドロワに覆いかぶさり、頭を撫でてやりながら優しく包む。
 そして、自分の顔をそっと近づけ……

 ――チュッ

 唇を重ねると、ドロワはそれはもう嬉しげに微笑む。
 しかし、即座に自分の表情に気づいたのだろう。
 はっと我に返ったかのように目を丸め、みるみるうちに普段の冷血な顔つきに戻っていった。
 ただ少し違うのは、頬が赤らんでいることか。
「おいゴーシュ、いい加減にしろ」
「嫌だったか? だとしたら悪かった。てっきりいいノリだと勘違いしちまってよぉ……」
 ゴーシュはわざとしょんぼりしてみせる。
 その効果あってか、ドロワは顔を恥ずかしそうにしかめてから言った。
「別に嫌というわけじゃない。ただ、私は寒いから暖房が欲しかっただけだ」
「そうか。なら、このままあったかくしてやるぜ」
 のしかかるように、腕で包むようにして胸板に頭を抱きこみ、ドロワに温もりを与える。
 ドロワも背中に腕をからめてきて、ぎゅっと強く抱き返してきた。
「お前、結構可愛いところあるよな」
「馬鹿め、何を言っている」
 悪態をつかれるが、腕の力は一切緩まない。ドロワはゴーシュを離すまいとしている。
「可愛いから可愛いって言ったまでだろ。それより、やっぱりいいムードなノリじゃねーか?」
「……そうかもな」
 来た、ドロワからの合意のサインだ。
「おっしゃあ! 今夜は最高のノリだぜ!」
「今夜だけだからな」
 ゴーシュは布団の中でもぞもぞ動いて服を取り去り、ドロワを裸体に剥く。
 胸と秘所へのひとしきりの愛撫で準備を整え、股をしっかり濡らしたところで一物をあてがう。
 ゆっくりと腰を沈め、ドロワの奥を突き上げた。
 すぐには出さないよう、時にはゆっくり時には早く腰を振り、ドロワを女としてよがらせる。
 やがて、限界に達してゴーシュは精を打ち込んだ。
「中に出すとは、責任は持てるんだろうな?」
「ああ、当然のノリだぜ」
 二人は背中に腕を回し合い、身を絡め合う。
「ドロワ、この時間こそ人生最高のノリだぜ」
「……かもしれないな。私も否定はしない」
 抱きしめあい、互いの体温を感じあいながら眠りに落ちていった。

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