ドーマ編の最中の御伽×レベッカ
設定うろ覚えにつきご容赦

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キャンピングカーは荒地を突っ切っていく。
後部座席から前方を見つめるレベッカの表情は硬く、険しい。
まだあどけない少女の横顔を注意深く見つめ、御伽はふうっと息をつく。
一見すると、ただの子供にしか見えないその娘の意志の強固なことといったら。

コンピューターに精通し、マサチューセッツ工科大学に飛び級で入学した天才児、レベッカ。
彼女の頭の中は、いまや遊戯一色なんだろう。
デュエルに勝つことはもちろんだが、それすらも遊戯を念頭に置いたものに違いない。
緻密な戦略と、大胆な戦術。それらの全てを用いて、ただ思っているのだろう。
一時も早く、遊戯と合流したい。
「………全く、うらやましいねぇ」
ぼそりと呟いた御伽の言葉に殺気だったレベッカが反応した。
「なに」

その鋭い眼光が突き刺さった、ような心地がして御伽は首をすくめる。
「いや、ね。そんなに心配してもらえる遊戯くんがね、羨ましいって言ってるんだよ」
「バッカじゃないの!?」
そんな戯言は少女によって一刀両断、切り伏せられた。
「ダーリンは今ピンチなの!早く側に行ってあげたいの!!心配してもらえるですって?
心配するわよ!ダーリンのピンチだもの!そんな暢気なこと言ってられる場合じゃないの!」
頬を紅潮させてレベッカが御伽を睨みつけた。
子供のくせに。
そう思って御伽は目を眇めた。レベッカはそれを不満だと受け取ったのか更に言い募る。
「簡単なことじゃない!私はダーリンの力になりたいの!あなたもそうなんでしょ!?
私より年上のくせにだらしないわね!集中しなさいよ集中!」
「………」
「聞いてんの!?」
「ハイ」
これ以上黙っていると殴られそうな勢いなので、とりあえず御伽がそう返すと、
レベッカは
「よろしい!」
満足そうに言って前に向き直る。
揺れる座席に深く凭れ掛かり、レベッカの横顔をこっそりと見つめる。
感情があまり顔にでない自分だから、なりゆき任せで同行しているように思われても仕方がない。
(そしてそれは自分でも多少は認めている)
しかし、レベッカは分かっている。
御伽も遊戯の身に何が起こっているか知りたいのだと。
そして、何か不穏な事態になったのならば、力になりたいと思っていることを。
ほんの僅かの期間で御伽のことを、少なくとも理解しようとしている。

この子は賢い。年齢不相応に。
そして、この子は愚かだ。年齢相応に。

分かっている。
遊戯や城之内たちが陥っているこの状況は決して暢気に楽しんでいられるものではない。
しかし。
不謹慎にも御伽はレベッカとの時間を、ほんの少しだけ、楽しんでいた。

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