513 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2009/08/21(金) 22:11:02 ID:eaNoSw3i
>482だけど、SS出来たので投下
ストーリー重視、シリアス路線、鬼畜趣味の人は つ《強制脱出装置》
途中、デュエルシーンがあるけど、ルールがおかしくてもスルー推奨
ヒロインは冒頭で分かるようにしたから、気に入らなかったら↑に同じ
以上が了解出来たデュエリストはどうぞ

よく晴れた日だった。学校の周囲には海しかない島は、早朝から鋭い反射光に包まれた。
デュエル・アカデミア高校では、特段天気のよい日には、実技デュエルを屋外で行うことが多い。
「俺のターン!ドロー!」
赤い制服の上に通したデュエルディスク。そこに収まったデッキからカードを引く。
俺の場には、伏せカードが一枚と、表側表示の《水霊使いエリア》ひとり。
黄色い制服を纏った相手は同じくひとつだけカードをセットし、守備表示の《マシュマロン》が身を固めている。
低ステータスながら戦闘で破壊されず、プロの時間稼ぎとして活躍する、最高性能の壁モンスターだ。
「霊使いで、光属性に対応するモンスターカードはなかったはずだ。少なくともこのターン、やられはしない!」
「どうかな。俺が今ドローしたカードで、そのマシュマロンを越えてみせるぜ!」
相手のライフは2500ポイント。今の手札で、届かない数値ではない。
「俺は手札から、儀式魔法《ドリアードの祈り》を発動!レベル3の、水霊使いエリアを生贄に!」
自分のモンスターゾーンにいたエリアが、光となって溶けていく。
「《精霊術師 ドリアード》を、攻撃表示で儀式召喚!」
そして同じ位置に、霊使いよりも幾分大人びた人型の女性モンスターが現れる。
攻撃力1200ポイント、守備力1400ポイント。闇と神を除く全ての属性を併せ持つ魔法使い族。
晴天の下に晒された蒼いローブと長髪のブロンドが、日光を浴びた水面のように煌めき、いつにもまして美しい。
「儀式モンスター……何をするつもりだ?」
「さらに、装備魔法《リチュアル・ウェポン》を、ドリアードに装備!攻、守力1500ポイントアップ!」
戦闘には頼りない色白の細い腕に、凝った装飾のボウガンが装着される。
1500という上昇値はなかなか侮れず、それだけで下級モンスターの火力に相当する。
「それがどうした!いくら攻撃力を上げようと、マシュマロンは戦闘では破壊されない!」
「分かってるさ。トラップカードオープン、《風林火山》!その効果で、相手モンスターを全て破壊する!」
「な、なんだってー!」
本来は風、水、炎、地の四属性を場に揃えなければ発動すら出来ないが、そのぶん、四択できる見返りも悪くはない。
ドリアードは、この強力なロマンカードの発動を、単独でなしえるモンスターだ。
ここで俺が選択したのは、いわゆる《サンダー・ボルト》と同等の効果。次の瞬間、マシュマロンは粉微塵に四散した。
「くっ……オレのマシュマロンが!」
「これで終わりだ!ドリアードで、プレイヤーにダイレクトアタック!」
ドリアードがリチュアル・ウェポンを構える。放たれた光の矢が、対戦相手に吸い込まれる。
これを身に着けたドリアードの攻撃力は、2700ポイント。この攻撃が決まれば、ゲームエンドだ。
「ははっ、詰めが甘いぜ、オシリス・レッド!トラップ発動、《魔法の筒》!」
「……ゑ?」
マジック・シリンダー。攻撃を無効にし、そのときの数値をそっくり相手プレイヤーに突き返すトラップカード。
鉄板の一枚や二枚貫けそうな勢いで、ボウガンの矢がぽっかりと口を開けた片方の筒にダイブする。
もう一方の筒から、まったく同じ矢が脇目もふらず、こちらに向かって飛んで来た。
すがるような思いで、俺は左腕のデュエルディスクを流し見た。ライフカウンターは、三桁を表示していた。

「だあ〜!今日も負け越しか〜」
背中から古ぼけたベッドにダイブする。スプリングの反動で身体が浮いた。
レッド寮の部屋は総じて相部屋だが、生徒人数の関係で、今は部屋にひとり、俺だけだ。得したようでもあり、寂しくもあり。
二段ベッドで夜を明かす友人がいないというのもまた、オシリス・レッドでは珍しいこと。
「でも、あの場面じゃモンスター優先だよなあ……伏せカードはブラフかもしれないし」
いつものように机のヘッドライトはつけっぱなしで、今夜も独り、反省会を開く。
俺のデッキは、光護封や《つまずき》などの簡易ロック系ギミックを取り入れた【霊使いコントロール】だ。
1ターンでいい、攻撃をかわし、霊使いのリバースで相手モンスターを奪う。そこから、ビートダウンをしかける。
採用したモンスターは、イラストの可愛い女の子カードばかり。いわゆるファンデッキで、仲間内の評判はよい。
ただ、どうしても趣味に走ったところがあり、実技の成績には眼を瞑りたくなる。
「はあ〜……それとも、今の俺じゃあ、あいつらの力を出し切れてないのかな?」
「そんなことはないと思いますよ。現に、勝利出来たことだってあるじゃないですか」
「まあ、そうだけどさ……ああ!?」
ベッドから跳び起きる。ドアも窓も開いた様子はないのに、誰かがいることがまず信じられない。
声の主を見たときの俺は、鏡に移せば自分でも驚くほど眼を丸くしたに違いないだろう。
「こんばんは。カードの中から、出てきてしまいました」
首が疲れそうな帽子を被り、淡い蒼色の法衣を纏う金髪美人が、コバルトブルーの瞳で呆けた俺の顔を覗き込んでいた。
「お、おま……ドリアードか?」
「はい。精霊術師 ドリアード。あなたのカードに宿る、精霊です」
花が咲いたようなおしとやかな笑顔で、美女は――ドリアードは、そう答えた。
というより、学内にこんな女性はいない。ごまかしきれない雰囲気というか、精霊だという自己紹介は妙に俺を納得させた。
「カードの精霊って……俺のデッキの?」
「ええ。いつもよくして頂いています」
「ほ、本物……だよな?」
「……そんな、オバケを見るような眼で見ないでください」
唇の端を笑わせたままで、ドリアードは金色の眉を垂らした。
「いや、カードの精霊なんて、目の前のお前以外見たことないからさ。精霊だってことは、信じるよ」
「うふふ、ありがとうございます。お優しいんですね」
いくらカードの精霊とはいえ、綺麗なお姉さんに褒められると気分がいい。
なにより、俺は恋愛的な意味では女子に恵まれていないので、彼女との会話そのものが、新鮮なときめきをもたらしたのだ

「――ですから、《サイクロン》をぶつけられても、それにチェーンして《和睦の使者》を使えば、無駄がないんですよ」
「へえ、なるほど」
「それと、このデッキは闇属性モンスターが含まれていませんので、《暗闇を吸い込むマジックミラー》もお勧めです」
カードの精霊に、カードの講義をしてもらう光景は、思いのほかシュールだった。
もっとも、俺の部屋に、いや、男子学生寮の一室に麗しい女性がいること自体、すでに場違いなのかも。
机に向い、一枚一枚デッキをバラして控えのカードと見比べる俺のすぐ後ろには、精霊術師 ドリアードがいる。
「例えば、《皆既日食の書》を発動したのちに《光の護封剣》を発動、そこから霊使いと《砂漠の光》をつなげれば……」
精霊はカードに触れないらしく、表向きで並べられたカードを指差して、丹念な解説をしてくれる。
しかし、俺は説明に身が入らない。原因はドリアードの立ち位置だ。
一言口にするたび、彼女の吐息が耳をくすぐってしかたがない。
同級生の女子とたわむれに話をする機会はまれにあるが、ドリアードの声は女子生徒達とは違う、大人の匂いがした。
「……もう。ちゃんと聞いてますか?」
「うおおっ!?」
襟首に腕を回し、俺の背中にドリアードが寄りかかる。今度は唇が耳たぶにかすった。
それだけでも相当な刺激だが、肩甲骨のあたりに二つ、服の上からでも分かる、柔らかい感触が押しつけられる。
たまらず大声を出してしまった。この寮の防音設備はどうなっているのか、ふと頭をよぎる。
「このデッキには、まだまだ改善の余地があります。基本的なものだけでも……あら?」
小言を途中で止めたドリアードは、首に巻いた片手を下へと伸ばした。
「なんでしょう?ここ、膨らんでいますよ?」
「お、おい待て、そこは……」
すでに膨張し始めている股間に、ドリアードの細い指先が触れる。
ズボン越しとはいえ、先端を軽く撫でられただけで、俺の分身は跳躍した。
「まあ。これは……ひょっとして、いやらしいことでも考えていたのですか?」
「だってお前、背中に胸が当たって……っああ!」
ドリアードの人差し指が、テントの頂点を正確に捉え、粘土をこねるように踊り始めた。
「ふふ、これでは集中しようにも、気が散ってしまうはずですね。わたしが楽にして差し上げます」
「ドリアード……お前、何を……」
机の下に潜り込んだドリアードに、手際よくベルトを外される。
「普段から、大切にしてもらっているお礼です。忠誠の証に、ご奉仕、させてください」
パンツを掴まれ、それをズボンもろとも一息にずり下ろされた。
下半身の束縛を解き放ち、焦らされたブツを外気にさらされるころには、俺もすっかり出来あがっていた。

自慰をしなくなって久しいので、性的な、それもブロンドの美女に刺激された俺の陰茎は、はち切れんばかりに主張していた。
極限まで緊張した一物を、紅潮した顔のドリアードが、すらりと華奢な手で掴み取った。
「ああ、もうこんなに……ご立派ですわ」
「……ドリアード」
「悪いようには致しません。どうか、じっとしていてください」
上目使いで微笑む間も、ドリアードの指は男根をしごき始めていた。
自分で慰めるときとは全く異なり、他人のセンズリは予測のつかない動きで、俺を攻め立てる。
ドリアードは長い頭髪をかき上げ、そそり立つ息子を口に含んだ。
「んふっ、ちゅぷっ、くぷ、ちゅく、じゅぷっ」
「うおっ、ああ!く、うう……」
真っ赤な舌が亀頭をねぶり回し、たっぷりと唾液を含んだ咥内で、俺の愚息は悦んでいる。
掌以外の方法で快楽を得たことが一度もないので、ドリアードの奉仕は本当に未知の領域だ。
「んぷ、んむぅ……っはあ。いかがでしょうか?気持ち、いいですか?」
「ああ……最高だよ。つーか、気持ちよすぎて、俺もうイキそう……」
「んふふ。承知致しました。全てわたしが受け止めますので、どうか遠慮なさらず、達してくださいませ」
再びドリアードに咥え込まれる。さっきとは違って根元まで食らい付き、唇を激しく上下させる。
右手の指で余った竿を摩擦し、左手は睾丸を揉みしだく。
わざと立てているのか、部屋中に響き渡る水っぽい音に耳まで犯されるようだ。
「ぐぷ、ぐぷっ、じゅく、じゅくっ」
「ああー射精る!ドリアード……うっ!」
感覚としては、行為を始めてから、あっという間の絶頂だった。ドリアードの頭を押さえ付け、彼女の口に射精する。
「んぐっ!んっ、んんー……」
自分で宣言した通り、ドリアードは一切の抵抗をせず、止めどなく吐き出されたスペルマに、喉の奥まで犯されるまま。
それどころか、舌の上で甘く痺れる男根を激しく吸引し、精液を絞り取ろうとする。
「あ、ああー……たまんね」
「んく……ふむぅ……」
脱力した俺の腕を押しのけて、ドリアードの口が股間から離れた。鈴口と唇が糸を引いている。
「んっ、ん……っく」
「おいおい……全部、飲み込んだのか?」
「はあぁ……すごく濃くて、熱いです。それに、量がとても多くて……飲み切れないかと思いました」
椅子の下でこちらを見上げているドリアードは、喉に手を当てて笑いかけた。
そのまますっと立ち上がり、今度はベッドのほうへ歩いてゆく。

二段ベッドの手前でドリアードは立ち止まり、ゆっくりと俺に向き直った。
上下を覆うこてこてしたローブの留め具らしきものを時間をかけて外し、開帳する形でそれを脱いだ。
「……そんな眼で、見つめないで下さい。わたしだって、人前で裸になるのは、その……恥ずかしい、です」
俺の眼は今、よほどぎらついているのだろう。赤面したドリアードがうつむく。
カードのイラストでは分からなかった、厚手の服の向こう側。身体のラインは細いほうだが、肉付きがよく健康的だ。
胸元の実りも形状は良質。大きさはちょうど顔が埋まるくらいで、理想的なスプレマシー・ベリーを抱えている。
極部を隠すショーツはあるが、胸元を拘束するものは何もない。桜色の乳首が情欲をそそる。
「へへ……驚いたな。すっげえ綺麗だよ、ドリアード」
「あ……ありがとう、ございます」
立ち上がって、俺もドリアードに歩み寄る。制服を取り去って下着一枚の彼女に近づくと、軽いめまいを覚えた。
俺にとって理想的な年上の女体。節操のない言葉を使えば、いい具合に熟れたとびきりの上玉だ。
「で、ドリアードはどうしてほしいんだ?」
「え?」
「いきなり下脱がせて、口でイカせて、裸になって、俺を誘って……これから何がしたいのかな?」
少々いじわるな詰問をしてやる。ドリアードのほうが僅かに長身なので、俺が見下ろされる格好だ。
にやけながら反応を観察する俺に、ドリアードは申し訳なさそうに言った。
「……やっぱり、わたし……ふしだらな女ですよね」
「え?」
一気に自信の色が消えた声に、今度は俺が不意打ちをくらった気分になる。ベッドに腰を下ろし、ドリアードは続けた。
「いくら精霊だからって、モンスターで筆降ろしをするのは……嫌、ですか?」
唇に手をあて、悪戯を詫びる少女のように、か細い声で鳴く。
淫売だと卑下されたつもりでいるのか。弁解するが、皮肉を吐いたわけではない。
どちらにしろくびれた腰をくねらせて、艶めかしくそんなことを訴えらえても、思春期の男にはフェロモンしか感じない。
「……うおおっ!ドリアードおぉ!」
「え、あ、きゃあ!」
有無を言わさず、ベッドに押し倒す。唐突な加重にバネが悲鳴を上げた。
「何いってんだよ、さんざん誘っといて!嫌なわけあるか、お前を抱きてえ!」
「ああ、ご主人さま……お願いします。どうか、お情けを!」
「望み通りにしてやるよ。今夜は、たっぷり可愛がってやる!」
抱き付いて離れないドリアードから、最後に残った布きれを剥ぎ取る。
それでも、決して全裸にはしない。片方の足に引っかけて、残しておく。
ついでに、重そうな帽子を外す。ほとんどすっぴんになってしまうと、外見ではもはや、誰だか分からない。

「ん。なんだよ。もうヌレヌレじゃん」
ショーツを剥がしたときにも分かったが、触れてもいないドリアードの性器は、じっとりと愛液が染み出していた。
初めて拝む本物の女性器。きっと現実の人間と比べても、さしたる相違はないだろう。
むせ返るようなメスの香りと、他に少しだけ、これは汗の臭いだ。
「そうですよ。敬愛するご主人さまと、ようやくひとつになれると想うだけで……」
「あはは。可愛いな、ドリアード。じゃあ……挿入れるぞ」
「はい……わたしの中に、来てください」
反り立ったものを掴み、滑りと、薄明かりの中でかすかな輝きを帯びた秘裂に、矛先を当てつける。
狙いを定めて少し埋めさせ、そこからは一気に突き入れる。
「あっ、ああっ!挿入り、ました。ご主人さまの、大きい……」
「う、ううっ……ドリアードの中……俺のを、締めつけてくるぞ……」
未経験な俺は、挿入しただけで軽く達しそうになっていたのだが、そこは男として、どうにか堪えた。
「はあっ、ずっと、夢見てきました。やっと、ご主人さまとひとつに……」
「ドリアード、悪い。お前の中すごすぎて、たぶんあんま……持たない」
「わ、わたしもです。がまん出来そうにありません。お好きなようになさって!」
繋がったまま体制を入れ替える。これは座位というのか、お互いに抱き合って足を絡め合う形になる。
耐久が見込めないなら、おのずと選ぶべき作戦は早期決着。最初の一突きから、奥深くを攻める。
「ひあんっ!深いですぅ!奥まで、届いてえっ!」
「すげえ……ドリアードのココからじゅぽじゅぽって、やらしい音が聞こえるぜ?」
「い、言わないで、ああん!くださぁい!」
「あー、エロい……よがってるドリアードの顔見てるだけでっ、俺!」
また俺の耳を熱い吐息が吹き付ける。規則正しい呼吸のそれではなく、快楽で乱れきった荒々しい息使い。
快楽に酔ったドリアードの顔を横目に、凛としたイラストの彼女を思い出した。
清楚な女性ほど、快感を知ると抑制が利かなくなるという。自らも腰を振っている彼女は、その典型なのだろうか。
「ひゃうっ!わたしの、中で、ご主人さまのペニス、こすれてっ!おかしくなっちゃいますぅ!」
「お、俺も、アツアツのマンコで、すぐにイカされそうだあっ」
「く、くださいませっ!ご主人さまの、熱いのをぉ!」
栓をした風呂に湯を注ぐように、支配欲が満たされていくのが分かった。
俺はドリアードを満足させるまで果てるまいと必死だったが、案外、向こうが持ちそうにないらしい。
そろそろ我慢も限界だ。最後の力を振り絞り、締まりのきつくなった肉襞をしゃくりあげた。

「はっ、ドリアード、俺もうイク!中に、お前の中に射精したい!」
「あふっ!い、いいですよ。達して、ください。わたしも、もうっ!」
「分かった。このまま……うっ、イク!射精る!」
道連れに昇天させてやるとばかりに、強く腰を打つ。ドリアードの最奥で、俺のナニが爆ぜた。
「お、おおっ!ああイクっ!」
「ひぁあん!あ、ああっ、ふぁああああ!」
あちらも限界が近かったらしく、注ぎ込む直前には根元から折れるかと疑うほど、強烈に締めあげられた。
人間の女性が絶頂したときも同じ反応をするのかしらないが、瞼を閉じたドリアードは、全身を弓なりにして痙攣していた。
「はぁ、はぁ、ふぅ……よかったぜ」
「わ、わたしも、深く気をやってしまいました……ご満足して、頂けましたか?」
「充分だよ。ってかこれ以上は、むしろ俺のほうが持たねえ」
微笑みかけてやる。それでも脱力して、きちんとした笑顔になったか怪しい。
それでもドリアードは、無理を感じさせずにっこりと微笑し、俺の肩に手を添えて、結合を離す。
これも凄まじい快感を孕み、たまらず太ももを白濁に染める。ドリアードが、わずかに驚いたようだ。
「もう……まだまだ元気じゃないですか」
「しょうがないだろ。こんなの初めてだし、第一お前の身体がよすぎるんだよ」
「あら。身体だけ……ですか?」
「この……い、言わせるなよ」
そっぽを向いてから、ここは素直にそうじゃないと言ってやるべきだと反省した。
「ふふふ……ご主人さま」
「ん?」
「これからも、わたしのこと……大事にして、頂けますか?」
デッキの中から、霊使い達まで顔を出したらどうしよう。なんて、余計な心配をしてしまう。
ただ、趣味に走ったデュエリストとしては、この問いに対する回答に迷わない。
「もちろんだぜ。それからまた、こうやって会いに来てくれるか?」
「ああ……嬉しい。もちろんです。いつまでも、お傍に置いてくださいね」
大手を振って抱き締められ、囁かれる。俺はどうも耳が敏感らしい。
別に鍛えてもいない俺の胸板に、ドリアードの潤いある乳房が、しっとりと優しく押し潰された。
一瞬の躊躇をこともなげに無視して、俺は彼女の背に腕を回した。

翌日、風邪をこじらせ、保険室で寝込んだ友人の代理で、実技授業に駆り出された。
デュエルの序盤、《光の護封壁》に相手がもたついている隙を狙って、霊使いと《幻惑の巻物》のコンボで、憑依装着を量産。
あとから《怨霊の湿地帯》も発動し、完全にこちらのペースだった。はずだ。それを、たった一匹のドラゴンが覆した。
《和睦の使者》を用意していなければ、突如として出現した奴の一撃で、今頃俺は膝をついていたことだろう。
「ふん……運のいいドロップアウトめ。残りライフが400しかないが、まあいい。オレはターンを終了する」
青い制服を羽織った生徒の傍ら、堂々たる威風と気品を振り撒き、俺の眼の前に《裁きの龍》が立ち塞がる。
「どうだ。いかなるデッキであろうと、【ライトロード】の前では紙束に等しい」
「うるせえ!次は、俺のターンだ!」
「元より勝率を度外視したレッド生のファンデッキなど、相手にもならないのさ!」
確かに状況は絶望的だ。元より下級モンスターの性能に優れたライトロードシリーズ。《オネスト》で痛手を被ったりもした。
せっかく整備したフィールドの環境さえ、1000ライフを払って裁きの龍が発動した効果で更地になってしまった。
頼みの綱の魔法・罠は一蹴され、俺に残されたのは1300のライフポイント、手札に《精霊術師 ドリアード》が一枚。
「くっ、頼む……ドロー!」
硬く眼を閉じ、デッキトップをめくる。震える瞼を持ち上げると、可能性をちらつかせる絵柄が出迎えた。
「俺は……《貪欲な壺》を発動!モンスターカード五枚をデッキに戻し、新たにカードを二枚……ドローする!」
幸い墓地が肥えていて、発動条件に事欠かなかった。ディスクが吐き出したカードを拾い上げ、デッキを外して混同する。
元の位置にデッキを戻すと、全自動でシャッフルが行われる。不快な汗が滲んだ右手で、今度こそ本当のデステニー・ドロー。
「……そうか。ドリアード、俺とお前は!」
追加された二枚の手札を見た瞬間、身体の隅々まで鳥肌が走った。
「なんだ?こいつ……何を引いたんだ?」
「へへ……いくぜ!まずは魔法カード《限定解除》を発動!1000ポイントのライフを支払い!」
焦る気持ちを気力の限り抑えつつ、順を追ってカード効果の処理を行う。
「精霊術師 ドリアードを、手札から特殊召喚する!」
喜々としてディスクのモンスターカードゾーンに、ドリアードを展開する。
昨日に比べて緩やかな日差しの下に降臨したドリアードは、心なしか凛々しい後ろ姿が頼もしい。
「限定解除を使用した儀式モンスターは攻撃できず、ターンエンドに破壊される……ライフを減らしてまで、血迷ったか!」
「さらに、装備魔法《黒いペンダント》発動!ドリアードに装備する!」
呼んで字の如く、ブラックな首飾り。明るい色彩に包まれたドリアードの胸元に、シックなワンポイント。
攻撃力が500ポイントアップするが、これも飾り気を求めたがゆえの、ファン精神から採用した装備カードだ。
まさか、そんなデッキのアクセサリーで、デュエルの引導を渡すことになろうとは。
「黒いペンダントだって!しまった、そのカードは!」
「俺のエンドフェイズ、限定解除の効果で特殊召喚したドリアードは消滅する……」
消えゆくマイ・フェイバリット・モンスターに、沈黙を介して謝罪を述べる。
すまない。こんな勝ち方をして。お前を捨て駒にするつもりなんか、なかったんだ。
別れ際に送ったペンダントを首から下げ、俺に振り向いてくれたドリアードは、眼もくらむような笑顔を湛えていた。
「ば、馬鹿な、オベリスク・ブルーのオレが、【ライトロード】が、こんな、こんな……」
「黒いペンダントの効果発動!このカードがフィールドから墓地に送られたとき、相手ライフに500ダメージを与える!」
「ありえない!認めるか!こんな……うわあああああ!」
絶叫してみじめに頭を抱える主を、裁きの龍は見向きもしなかった。
カードをめくれば、いつでも会えるはずなのに。俺は謎の罪悪感に襲われ、眼頭が火傷したように熱くなった。
しかし、それは楽しむためだけに構築したデッキで、一線級のエリートに劇的な勝利を収めたことに対する、男泣きとも思った。

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