「じょ、城之内っー!!」
 目の前には海だろうか見知らぬ砂浜で遊戯達楽しく遊んでいる。近寄ろうとするが見えない壁に阻まれ先に進むことはできない。
 拳を叩きつけるが衝撃は音もなく吸収された。
「無駄だ無駄だ。お前の愛しい奴はとっくの昔に忘れて楽しくやっているさ」
 言葉の通り城之内は妹の静香の手を握り水際へ誘っている。二人の間には満面の笑みがこぼれていた。いや二人だけではない。城之内の周りにいる人間すべてがこれ以上ない笑顔を振りまいていた。
こんなに近くにいるのに自分のことなど見えていないように。
「おやおや……さっきまでの威勢はどうした女」 
 声のした方をみると先ほどまで戦っていたマリクという少年がいつの間にか近くに寄っていた。血管の浮き出た顔には強者が弱者をいたぶる愉悦の表情で歪んでいた。
「こ、これは一体どういう事なの!」
「言っただろ。闇のゲームだと。敗者に罰ゲームを行うのは当然だ。喜べ。永遠の孤独を噛みしめる前に最後のお別れができたのだからな」
 そういって、マリクは私の顎に手をやろうとする。
「さわるなっ!……んん!(体が動かない)」
 抵抗しようとした途端全身に力が入らなくなった。
「俺からの情けだ。孤独と快楽を体に刻みながら闇の中に墜ちるが良い……くくくく……」 
 わざわざ私の耳元でマリクは囁くと乱暴に私の服をずらし乳房を露出させた。所々服が擦れ白い肌に紅の筋ができる。
「くっ……」
「ほほう。流石に自慢しているだけあるな。随分と立派なものをもっている」 
 無造作に乳房を鷲づかみにすると加減を考えずに握り始める。ずいぶんと酷い扱いだ。感じるといったことよりも痛みがさきにたつ。
 痣が残るほどの強さに眉をしかめるとマリクは不満げに問うてきた。
「女ぁ。気持ちいいんだろぉ……」
「……そんなわけないでしょ。カード以外のことはてんで駄目」
 言葉は最後まで発することは出来なかった。頬を力一杯殴られたためだ。床に倒れ込んだ私の髪を掴み無理矢理上体を起こしたマリクは一段と凶暴な瞳を私に向けた。
「貴様ぁ。大人しく身を委ねればいいものを」
 そう言った途端楽しげに遊んでいた城之内達の姿は消え、辺りに暗闇が訪れた。だがその静寂も一瞬で次の瞬間手の触れそうな位置にスポットライトが当たる。
 その中にはぼろぼろの姿になった茶髪の男-城之内が倒れ込んでいた。
「城之内!」
 すぐに駆け寄ろうとするが体は動かない。私の声が届いたのか、城之内が意識を取り戻し顔だけこちらを向ける。
 一瞬だけ安堵の様をみせたが、すぐさま憤怒の表情に変えた城之内はかすれた声で必至に叫んだ。
「ま、舞……どうして……マリク!! てめえ何しやがる!」
「なぁに。罰ゲームの余興さ。どうもこの女は寂しがり屋でなぁ。観客がいないと嫌だとさ」
 そういって、無理矢理私に口を近づけてきた。唇を強引にこじ開け舌をねじ込まれる。
(い、嫌……!)声をあげたいが口を押さえられた私は言葉にできなかった。
「んっんんんっ……ん」
 息をするのも難しいほど強引にされる。唾液が絡み口の端からだらりと糸を引いてこぼれるのを感じた。 
「舞っーー!!!」
 城之内の絶叫がどんな言葉よりも舞を蝕む。

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