保管庫のリクエスト分
十代×カミューラ

十代とカミューラの日常4 結婚



8月31日
暦の上では夏から秋に変わる季節。
とは言うものの、まだまだ湿度の高い暑い日が続いている。
この暑さは去年、いや毎年恒例で9月末から10月の中頃まで続くことだろう。
そんな暑い夏休み最後のこの日は、遊城十代の誕生日でもあった。
デュエルアカデミアの生徒である彼は家族と離れて暮らしているため、基本的には所属するオシリスレッドの自身と恋人であるカミューラの部屋でささやかに祝っていた。
だが今年は違う。去年、一昨年と同じなら、今頃はアカデミアの寮で過ごしているはずなのだが、いま十代が立っている場所は誕生日とは全く関係のない場所。
寮でもなければ家でもない。彼が今立っているのは教会の神父さんの前なのであった。
服装もオシリスレッドの制服ではない。かといって私服という訳でもなかった。彼が着ているのは普通なら絶対に着ることがないであろう白のタキシードである。
そんな十代の隣には一人の女性が立っていた。見た目は二十代中頃といった感じで明らかに彼より年上の、大人の女性だ。
先の尖った耳と膝裏まで届く真っ直ぐな緑色の長い髪が印象的で、切れ長のつり目に形の良い細い眉、赤いルージュを引いた厚い唇と、手の平に治まらないほど大きな胸に細く括れた腰、そして肉付きのいいお尻と、
正に絶世の美女と呼べるその女性こそ十代の恋人カミューラだ。

彼女――カミューラはその尖った耳と、口の中に見える鋭い牙が示すように人間ではない。
吸血鬼、ヴァンパイアと呼ばれる種族である。
彼女の種族は中世の時代、彼女一人を残して滅ぼされている。「化け物、モンスター」と呼んで迫害した人間の手によって……。
そんな悲しい過去を持つカミューラは現代に於いて出会った遊城十代に惚れ、彼と結ばれ恋人となった。
かつては人間全てを憎んでいたカミューラであったが、十代を愛し、また愛され続けたことで『全ての人間が自分たちを滅ぼしたような者たちではない』と、考えをあらためるようになったのだ。
その証拠にデュエルアカデミアオシリスレッドの生徒となった彼女は、人間の教師が行う授業にきちんと出席しているし、人間の友人もできていた。
憎しみを持っていた頃では決して不可能だった人間との交友関係を築けたのだ。
彼女は思う、かつての人間たちがしたことは許せないものの、今を生きる人間たちとは違うのだと。
自分たちを迫害した中世の人間たちと、今を生きる現代の人間たちとは何の関わりもない他人。
そんな彼らに復讐するというのは、かつて自分たちヴァンパイア一族がされたことと同じこと。
これはカミューラが出会い、愛してしまった人間、遊城十代の言葉でもある。
だからこそ彼女は過去に拘り続けるのを止め、今のこの時を十代と共に前向きに生きていこうと決意したのだ。
それでも誇り高きヴァンパイアの貴婦人というプライド故か、デュエルに負けたときは「人間なんかに負けるなんて」と悔しそうにしているが。

そんな彼女もまたいつもの紅いドレス姿ではなかった。
お気に入りの紅いドレスではなく、純白の真っ白なドレスを着ている。
無論いつものドレスのように腰の目一杯までスリットの入った露出の多いエロチシズムを感じさせるものではなく、
殆ど露出の無い純白のドレスは彼女の全身を包み込む物で、頭と顔は白いヴェールで覆われていた。
白いドレスの上に流れる緑色の艶やかな長い髪もいつも以上に丁寧に手入れされ、光沢を帯びてきらきらと光り輝いている。
髪飾りなど何一つ付けていないというのに光り輝く髪は、まるで宝石がちりばめられているかのようだ。
それら全てが妖艶な美女というカミューラのイメージを根底から覆していた。
今の彼女はどこかの国のお姫様、或いは地上に舞い降りた天使と言っても過言ではないくらいの清楚な雰囲気を漂わせている。

「す、すっげー綺麗、」
「ば、バカ、」

そんなカミューラをまじまじと見つめていた十代は言葉を失っていた。
カミューラは確かに美しい。ただそれは妖しいとか妖艶なとか、大人の色気が強く表れた美しさ。
今の純白のドレスに身を包む淑女は彼の知るカミューラとは全く違う顔を見せていた。
もう二年も一緒に暮らしているのだが、こんな清楚で美しい彼女の姿を見るのは初めてだ。
彼女はただでさえ美人なのに、ここまで来るともう表現のしようがない。

「い、いや、ホントに綺麗だ……て、天使みてェ……」
「お、大袈裟なのよっ、普段着たことないからそう見えるだけよっ」

自分を褒めそやす、いや本心からそう思っている十代の言葉に、カミューラの頬が紅くなる。
今まで綺麗だと言われることはあっても天使みたいだなどと言われたことはないから余計に恥ずかしくなってしまうのだ。
それも“悪魔だ! 化け物だ!”と言われ続けたヴァンパイアである自分が、天使だなどと言われたのだから。

「オレはカミューラが好きだ」
「い、いきなりなにを言い出すのよっ、」

恥ずかしくて視線を下げるカミューラに対し、十代はハッキリとした声で想いを告げた。
十代は心からカミューラを愛している。それは出会ってからすぐのことであり、この世でたった一人のヴァンパイアたる孤独な彼女の側に居てあげたいという想いと共に強く大きくなっていった。
そして何度も何度も、数え切れないくらい身体を重ね、口付けを交わし、愛を育んできた。
そんな彼にとってカミューラと出会い、愛し合い、そして結ばれたのは運命という名の必然である気がしてならないのだ。
生まれたときから糸のような物で繋がっていて、最初から結ばれることが決まっていたような。
だからこそ今ここに彼女と二人で立っているのではないかと、十代はそう感じていた。

「でもさ、その気持ちってまだまだ甘い物だったんだってわかった。オレさ、なんていうかその……惚れ直しちまった」

そんな運命の女性であり天使のように美しいヴァンパイアの貴婦人を前に、彼は改めて惚れてしまった。
愛する女性に更に惚れるという感情の流れは激流となって彼の心を支配する。

「十代…」
「カミューラ…」

十代とカミューラは見つめ合う。
互いの瞳に愛する者を映しながら。
絡み合う視線に互いの胸の鼓動が高まり、今にも抱擁を交わしたくなってしまう。
この愛しい人と抱き合い、唇を重ね、心の赴くまま流されるままに愛し合いたいと。
だが、その前にしなければならないことがあった。
それは十代とカミューラの関係を、本来在るべき正しい形にすることだ。
それをする為だけに二人は此処に来たのだから。

そう、二人がこんな着慣れない服を着てこの場に立っているのは、在るべき正しい形になるため。
二人の正しい形……正式な夫婦となるためだ。
今日8月31日遊城十代18歳の誕生日をもって十代とカミューラは正式に結婚し夫婦となる。
これはすでに十代の両親とも相談の上で合意していたこと。18歳の誕生日の日に結婚すると……。
そもそも十代とカミューラの関係はとっくの昔に恋人を通り越して事実上の夫婦になっていた。
どこへ行くにも仲睦まじく寄り添い、危険日だとわかっていても子供を作ること前提で数時間にわたって愛し合ったり、
長期休暇のとき家族と過ごすという“家族”に当然のようにカミューラも入っていたりと、自他共に認める夫婦関係にあったと言えるだろう。
だからこそ正しい形にしなければならないのだ。恋人ではなく夫婦という正しい形に。

「あ〜、こほんっ! お二人とも仲がお宜しいようで大変結構ですが、そろそろ始めさせていただきますぞ」

いつまでも頬を赤らめて見つめ合う二人に、神父は後が控えているからと強引に式を始めた。

「汝 遊城十代は、健やかなるときも、病めるときも、デュエルのときも、この者カミューラを妻として愛し、守ることを誓うか?」
「ああっ、誓うぜっ!」
「汝 カミューラは、どのような苦難のときも、この者遊城十代を夫として愛し、ささえ続けることを誓うか?」
「誓いますわ」
「宜しい。では誓いの口付けを……」

神父の前で誓いを述べた二人は互いに向き合う。
目の前にいるのは憎しみと孤独に苦しみ、復讐のために生きようとしていた愛しいヴァンパイア。
目の前にいるのは一族を滅ぼされた孤独と寂しさから救いの手を差し伸べてくれ、愛してくれた愛しい人間。
人間とヴァンパイアという種族を越えて愛し合う二人は互いを見つめる。

「愛してるぜカミューラ」
「うふふ……十代、アナタはいつも正面からね。だけど、わたくしもそんなアナタを愛しておりますわ……」

十代はカミューラの顔を隠すヴェールを上げ、彼女に顔を寄せていく。
彼女もまた自分から顔を近づけ――僅かに傾け合った顔を交差させた二人は、互いの唇を重ね……誓いの口付けを交わした。
触れるだけの口付けは、何度もしてきた深い口付けに比べて物足りない筈だというのに、今までしてきたどんな口付けよりも新鮮で特別なものに感じた。
何故ならこの瞬間、二人は本当の夫婦になったのだから。

「アニキ、カミューラさん、おめでとう!」
「おめでとうザウルス!」
「十代、カミューラ、おめでとう」
「ちょっと悔しいけど……おめでとう十代、カミューラ!!」
「ううう〜〜〜っ、い、愛しい教え子の結婚を祝えるなんて教師冥利に尽きるノ〜ネっ!!」

十代の両親を始め、翔や剣山、明日香にレイなどアカデミアの友人たち、クロノス先生を始めとした幾人かの教員たちという列席者からの祝福の言葉がかけられる。
祝いの言葉の中、口付け合っていた二人はそっと離れると、見つめ合ったまま微笑んだ。

「これで今からホントの夫婦だな」
「そうね。じゃあこの後、婚姻届でも提出に行きましょうか?」

二人は列席者の方にブーケを放り投げる。
明日香やレイの女の子たちはもちろん、なぜか万丈目や三沢まで手を伸ばしていた。
そんな中ブーケを掴んだのは―――

「ま、マンマミーアァァァァ〜〜〜〜〜っ!!」

最も想定外の、思ってもみなかった人物だった……






役所に婚姻届を提出した二人は、とりあえず十代の実家の方に帰ってきた。
明日から新学期であるためあまり長居はできないところだったのだが、アカデミア島と本土を結ぶ定期船の出る日が三日後であるのと、新婚さんという特別な事情と言うことで余分に休ませてもらえるようになったのだ。
無論、生徒想いの熱血教師という側面も持ち合わせているクロノス先生の取り計らいである。
そのぶん補習が待っているのだが新婚の二人にとってはありがたいことでもあった。

「うふふ」
「ど、どうしたんだ?」

ソファに座っていたカミューラがいきなり含み笑いを上げた。
それもニヤニヤして嬉しそうに。

「今日から私“遊城カミューラ”になったのよねェ」
「あ、ああ……結婚したんだよな、オレたち」

結婚式は嬉しくてドキドキしていたのだが、まだ正式に十代の妻になった実感がなかったカミューラ。
それもそのはず、出会ってから今まで一貫して「私たちは夫婦」などと主張し続けたせいで、結婚というものに対する感性が麻痺していたのだから。
しかし、先ほど提出した婚姻届に自分の名前、遊城カミューラと書いたとき(ああ、私は十代の妻になったのね)とそこで漸く実感したのだ。
そのことを思い出したら自然と笑いがこみ上げてきた。
今日から自分は遊城カミューラ。遊城十代の妻。十代が夫。
それを思うと嬉しくて仕方がない、ということだ。

「そうよ結婚したの。私は本当に十代の妻になったのよ?」
「そ、そっか、カミューラはオレの嫁さんに、オレはカミューラの旦那になったんだな」

今日のことを振り返る十代。
結婚式。真っ白なウエディングドレスに身を包むカミューラ。
あまりに綺麗なその姿に惚れ直したこと。みんなが見守る前で誓いの口付けを交わしたこと。
提出する婚姻届には遊城十代という自分の名前と配偶者の欄に書かれた遊城カミューラの名前。
思い出すと確かに含み笑いが出そうになる。幸せな気持ちで嬉しいから当たり前だろう。
カミューラが嬉しそうに笑った理由がわかるというものだ。

「でもホント綺麗だったなあ〜、カミューラのウエディングドレス姿。なんか雰囲気が全然違ってて新鮮だった」

今はもう胸の部分に付いたコウモリ形のアップリケと、腰の両サイドの目一杯まで入ったスリットが特徴的なスカートといういつもの紅いドレスを着ていたが、
十代の脳裏には純白のウエディングドレスを纏った、天使と見間違うほど美しい彼女の姿が焼き付いていた。

「ふふ、そんなによかった?」
「ああ、もう一度見たいくらいだぜ」
「そう、でも残念ね、あれは一度だけよ。一生に一度だけ、女の子が特別な存在になれる時のものよ」
「お、女の子、ね……」
「なによ…、何か言いたいことでもあるのかしら?」
「い、いや、とくに……」
「ふんっ、悪かったわね○百歳のオバさんで。私だって女なんだから花嫁姿に憧れたりするわよ」
(オバさんってより、何百歳だとバアさんなんだけどな)
「言っておくけどバアさんなんて言ったら承知しないわよ」
「あはは……」

そんな風に話をしていたら徐々に日も暮れてくるもの。
時計の針も夜を示す時間帯へと突入していた。

「それにしてもお父様とお母様、ずいぶん遅いわねェ」

カミューラは時計を見て言った。
役所に向かう前「私たちは用事があるから十代とカミューラさんは先に帰ってて」と母が言っていたのだが、いくらなんでも遅すぎる。
彼女にとって十代の両親はヴァンパイアであるにも拘わらず快く嫁として迎え入れてくれた大切な家族。
なにかあったのでは? と、心配するのも無理はない。

「あ、悪い言ってなかった」
「なに?」
「今日は二人ともホテルに泊まるんだってさ。なんかさ、俺たち見てて自分たちも新婚の頃を思い出したとかで」

実際は新婚の息子夫婦を気遣ってのこと。
十代とカミューラにとって今夜は大切な夜なのだから。

「そうだったの……それを聞いて安心したわ」

そんな両親の配慮に全く気付かないカミューラは、事情を知って一安心とでもいう感じでほっと息をついた。
同じく十代の方も「いきなりだもんなあ〜」などと暢気に呟いている。
性格は全く違うというのにこういう処は意外と似ていたりする二人は、そこで会話を途絶えさせた。
両親が帰ってこないということは、今夜は二人きりなのだ。

「なぁ、カミューラ」
「なにかしら?」

途絶えた会話を再開させたのは十代から。

「今夜は二人きりだな」
「そうね」

互いに言わんとしていることはわかっている。
今日結婚したばかりで両親が不在の二人っきりの家で過ごす夜。
となれば考えることは一つだけ。そしてやるべきこともまた一つ。

「カミューラ……」

十代は隣り合ってソファに座る愛しい妻を抱き寄せると――

「んっ」

そのルージュを引いた赤い唇に、自分の唇をそっと重ねた。

「んっ… ちゅっ んうぅっ」

無論重ねるだけでは終わらない。
まず最初にカミューラの唇を啄み、その湿った唇を味わいながら、表面を触れ合わせる感触を楽しむ。

「んんっ んうっ んっ……ちゅっ」

触れ合う唇を小鳥が餌を食べるように啄みながら押しつけ、粘膜による接触を楽しみつつ、十代は舌を使って彼女の唇を押し割り口内へと進入させた。

「んちゅうっ あむっ ちゅるっ」

進入させた舌で歯茎や口腔をくまなく舐め回す。
いつも自分の血を吸うために首筋に突き立てる彼女の牙はとくに念を入れて、舌の表面で唾液を塗り込むように舐めていく。
この鋭い牙は気をつけて舐めないと舌を傷付けてしまいかねないが、愛する彼女にしかない身体的特徴である。

「んんっ んちゅっ、んっ、」

だからこそ念入りに舐めるのだ。
綺麗に舐めてあげて、また自分の血を吸わせてあげようと。
一方、牙を舐められているカミューラは、まるで愛撫されているような感触に啄む唇の動きを弱めていた。

「ふっ、んっ、んんうっ、」

牙を舐められて性的快感を覚えることは無いものの、愛を塗り込まれているような感じがして行動力を奪われてしまう。
牙への愛撫を終えた十代はそんな彼女の舌に自分の舌を絡みつかせる。

「んっ…んうっ…!?」

お互いに仲良く唇を味わっていた対等なキスは、ここで一方的なものに変わった。
カミューラの舌を絡め取り、巻き付かせながら吸い付く様は、十代が彼女を貪っているように見える。
実際に貪る勢いで熱く深いキスをしているのだが、そんなキスを受け入れているカミューラは赤い瞳を蕩けさせ、頬を真っ赤に染め上げていた。
恍惚とした表情の彼女の腕から力が抜ける。
それを埋めるかのように十代はカミューラを抱き締める手に力を入れて唇を貪りながら、彼女の身体をソファの背もたれに押しつけた。

「ふうっ! んんうっ…っ!」

口を塞がれたまま出る彼女のくぐもった声はもうキスと言うより喘いでいるような感じだ。
そうしてキスを続けていた十代は口の中に溜まりだした唾液を、上手く舌を使ってカミューラの口の中へと送り込む。

「んっ…んうっ…っ! こく…っ…・こくっ…」

口内に流れ込んできた唾液を小さく喉を鳴らせて飲み込むカミューラ。
ねっとりした十代の唾液が喉に絡まるも、無理矢理押し込んで飲み下す。
愛のこもった唾液なのだから全部飲んでしまいたいのだ。
そして彼女はお返しに自分の唾も飲んで貰おうと溜まった唾液を舌で押しだし、一つになっている唇から十代の口に送り込んだ。

「んうっ…、んくっ、んくっ……」

十代は自分の口の中に入ってきたカミューラの唾液を飲み込み、唾を送り込む彼女の舌に自身の舌をもう一度絡める。

「んっ……ちゅぱ……ちゅぱっ…」

今度はお互いに絡ませ合う形になった舌は、唾液をなすりつけながら隙間が出来るとねっとりした糸を引き、暫しの触れ合いを楽しんだ後ゆっくりと引き離された。

「ん…ふぅ…」

散々絡み合った舌と、触れ合い続けた唇の間を、混ざり溶け合った二人の唾液が透明の架け橋を作り、名残惜しげに伸びきった後ゆっくりと崩れ落ちた。

「はあっ、はあっ、なんてキスをするのよ……イっちゃったじゃない……」

ソファの背もたれに押さえつけられたままのカミューラは、熱い吐息を吐き出しながら抗議した。
ただ、頬を真っ赤に染めたまま瞳をふやけさせ、唇の端から涎を垂れ流している姿は誘っているようにしか見えない。

「ははっ、悪いな。新婚初夜って考えたら興奮しちまってさ」

十代はそんな軽口を叩きながらも彼女のドレスの腰に付いた、胸の部分にあるのと同じようなコウモリ形のアップリケ辺りを手で触る。
アップリケのすぐ下からは大きくスリットの入ったスカート。
そこからムッチリとした白い太ももが除いている。
彼はその太ももを触り、さするように撫でながらスリットに手を入れた。

「触っていいか?」
「スカートの中に手を入れておいてなにを言ってるのかしら?」
「だよな」
「うふふ」

カミューラと笑い合った十代は、太もも内側の奥の方まで手を入れ、イったという彼女の股間に触れた。

「あっ…!」

彼の温かい指で大切な処を触られたカミューラはぴくっと身体を震わせて小さく喘いだ。

にちゅ…
「ああホントだ、濡れてるな」
「んっ……アナタのせいで…下着……びしょ濡れよ」
「じゃあさ、風邪引く前に脱がせてやるよ」

それだけ言うと彼はもう片方の手で切れ込み目一杯の位置までスカートを捲りあげる。
露わになるむちむちの白い太ももと、レース付きの黒い下着。

「脱がせるぜ」
「ええ…」

彼女に一言断り両手で下着を掴むとゆっくり引き下ろしていく。
するする脱げていく黒い下着の真ん中の部分、丁度股間の膣口と接していた処に粘つきのある透明の糸が一本つーっと伸びている。
その糸は膣口と繋がっていて、下着を下げていくと間もなく切れた。

「おっ、愛液が糸になって伸びた。こんなに出てたんだなあ」
「アナタがあんなキスするからよっ!」

膝を越えたところでくるくる丸まってしまった下着を足下まで下ろした十代は、彼女に脚をあげて貰って下着を抜くと、それを自分の鼻に当てて匂ってみた。

「ああ……カミューラの匂いだ。オレの大好きなカミューラの匂いだ……」
「あ、あんまり下着匂わないでよ……恥ずかしいでしょ」
「なんでだよ? こんなにいい匂いなのに」

もう一度だけ匂いを嗅いで下着を置いた十代は、スカートをはだけさせたままソファに座るカミューラの前に立つと自分のベルトに手を掛けて緩め、ファスナーを開く。
そしてその下に履いているトランクスをズボンと一緒に膝まで下ろした。

「も、もうこんなに大きくなっていたのね」

十代の性器は血が巡り、硬く、そして大きく膨らみ勃起していた。
愛する妻カミューラと熱いキスを繰り返して興奮していたのは彼も同じなのだ。
それに今下着を脱がせたことで彼女の大切な処が丸見えになっているのも大きく影響している。

「お前だってほら」

彼女の足をグッと大きく開かせる十代。

「こんなに濡れてるし、物欲しそうにひくひくしてるぜ」
「やっ…!」

開いた股間の真ん中にある髪と同じ鮮やかな緑色の綺麗な陰毛。
その中を一筋の割れ目が走っている。
ぱくっと少しだけ左右に開いた割れ目には膜にも見えるびらびらした物があり、それに守られるように身体の奥へと続く膣口が口を開けていた。
口の開いた膣はひくひく蠢き、涎のように愛液を垂れ流している。
その様子は何か食べ物を欲しているかのようだ。
ここがなにを食べたいのか? それは十分わかっている。そんなものは一つしかないのだから。

「いくぜ……」
くちゅり
「あっ…、」

身体を寄せた十代はカミューラの股間に腰を近付け、彼女の身体が欲している自身の熱く猛る肉棒を愛液したたる膣口に押し当てる。
大切な処に感じる熱い感触に僅かに開けた口から吐息と共に喘ぎを漏らすカミューラ。

ずぶ…
「ああっ…」
ずぶずぶずぶぅぅ…
「あっ…ァァぁぁ…っ…じゅう…だい…っ」

そんな彼女にたまらず腰を前に出して猛る男の象徴を膣の中へと挿入した十代は、自分を歓迎するようにざわめき絡みつく襞を押し割り奥へ奥へと突き進む。
膣内を押し割り入ってくる熱い肉の塊を感じ取ったカミューラも、もたれているソファに押しつけたままの背を反らせるように浮かせ、顎を上に向けて喘ぎながら愛する夫の名を呼んだ。
根本までしっかり挿れ、股間を重ね合わせたところで、十代はカミューラの背中に手を回して彼女を抱き締めた。

「はあっ…ぅ…。こ、こんなところで、始めるなんて…」
「この流れでやらないなんて、そっちの方がおかしいだろ」
「ち、違う…わっ、そうじゃなくて…っ、今日は大切な新婚初夜、なのよ…っ、」

そう、今日は大切な新婚初夜。
結婚し、夫婦となって初めてする愛の営み。
それをソファの上で下着だけを脱がされ、服を着たまま始められたのが少し気になるのだ。
カミューラとしてはベッドの上でお互い裸となり、肌と肌を合わせて、脚を絡ませながら抱き合い、愛してほしかった。
しかし、十代の大きくなった熱い男性器はもう彼女の股間の割れ目を貫いて、身体の奥まで達している。
この状態で今更止めるというのは無理だろう。
彼女の身体も奥に挿れられた熱い性器を感じながら膣内をざわざわと蠢かせ、愛液を分泌させて性交の準備を整えてしまったのだから。

「べ…ベッドで、愛してほしいの……」
「わかってる」
ヌルぉぉ…
「あぁぁ〜っ」

ベッドで愛してと言うカミューラに十代は早速腰を引いていく。
すると中に入っている肉の塊が柔らかく包む膣肉を撫でるようにこすって彼女の身体に電気を流した。

「オレもせっかくの新婚初夜ってヤツを、これで終わらせたり……」

膣口から抜けるギリギリまで引いたところで今度は腰を前に出すと、性器は再び愛液溢れる蜜壺の中へ入っていく。

じゅぶぅぅぅ
「あァァァ…っっ、」
「しないって」

膣の中で動き始めた性器に襞を擦られているカミューラは、身体に流れる心地良い痺れに喘いだ。
一度抽挿が始まってしまえばもうどうすることもできない。

ずぶっ… じゅぽっ…
「あっ……ん…っ、っっ……んうっ、はァンっ」
「だからさ、これは前戯の代わりって感じかな」

などと言いつつ十代はカミューラの膝を抱えて奥までしっかり挿入している。
挿入した性器の先でしきりに子宮の入り口を小突いて彼女を気持ち良くさせてあげながら、自身も膣襞との擦れ合いで生じる快感を貪るように味わっていた。
とても前戯の代わりとは言えない本気のセックスだ。

「あっ、あっ……ァァっ……あうっ」
「先に一回だけして、慣らしておいてさ」

抽挿する性器に絡みついた愛液が肉が擦れるのに併せてぐちゅぐちょと淫らな水音を奏でる。

「ひっ、あァ…っ!」
「それから部屋でゆっくりやるんだ。時間を掛けてゆっくりとな」

性交によって高まる体温がカミューラのきめ細やかな白い肌から汗を浮かび上がらせる。
リズム良く行われる性器の突き込みに快楽を与えられ顔も身体も火照らせた彼女は、自分の膝を抱える十代の手にソファに付いているだけだった手を重ねた。

「じ、じゃあ、早く…っ 早く終わらせてっ…っ 部屋に…行きましょ…っっ」

奥まで突き込まれ、股間同士が接触すると、止め処なく湧出し続ける愛液が性器と膣口の隙間から溢れ出してくる。
それは触れ合う十代の股間にも付着し、陰毛に絡まってはねばねばの糸を引いて彼女との隙間を繋いで伸びた。
早くベッドの上で絡み合いたいというカミューラの想いを反映しているのか、性器に纏わり付く膣襞が圧迫感を増す。

「いいぜ、でも……まず最初に結婚祝いの白ワインを……カミューラのグラスの中に入れてやるからな」
「いただき…ますわ……っ、十代の……白ワインっっ…」

ぎゅっと抱き着くように締め付ける膣を強引に押し割った十代は、最奥にある注ぎ口に、硬く、そして大きく膨張した自身のボトルの口を差し込んだ。

びゅくうっ
「あァァ!」
びゅくん びゅくびゅくっ
「ア…・ッ アァァッ…ッッ……ッ! じゅ、十代のワイン……が…っ…っっ!」

差し込んだボトルの栓が抜かれ、カミューラのグラスに白く濁った濃厚なワインが注がれた。

「どうですかお客様? オレの作ったワインのお味は?」
「さ、最高にっ…美味しいっ…っ……ですわ…っっ」

注がれる“遊城十代”という名のワインの味に酔いしれるカミューラ。
彼女は身体を震わせ全身でその美酒を味わい続ける。
そんなカミューラにグッと股間を押しつけ、ボトルを差し込んだまま注ぐ十代は酔いの回った彼女を抱き締めた。

「カミューラ、お前のほっぺた真っ赤だぜ。酔っちまったのか?」
「お、美味しいもの……アナタのワイン……酔いも、回るというもの……ですわ」

彼女もまた十代の背に手を回すと、抱き締め合ったまま甘い口付けを交わした。



カミューラの中に濃厚な精子を全て注いだ十代は、ゆっくり腰を引いて性器を引き抜く。

「あ…んん…」

引き抜かれた膣口と、その中に入っていた性器の先を、白く粘つく糸が一本ツーッと伸びて名残惜しそうに繋いでいた。
側にあるティッシュの箱から二三枚紙を取った十代は、びしょ濡れの彼女の股間を拭う。

「ん、んぁ……ふ、拭かなくても、良いのではなくて……?」
「なんでだ?」
「どうせすぐに、濡れるじゃない……。いま拭いても、意味がなくてよ……?」
「まあいいじゃんか。一応拭いとこうぜ」

それだけ言うと十代は彼女の濡れた股間を綺麗に拭った。
唯でさえ一度セックスをして敏感になっている股間をティッシュ越しに触られたカミューラは、軽くイってしまい、また拭く羽目になってしまったが……。

「カミューラ、ちょっとジッとしてろよ」
「なにするの?」

十代は未だスカートをはだけたままのカミューラを見て彼女の肩を掴むとソファに寝かせた。

「ち、ちょっと部屋でするんでしょっ、」
「ああそうさ。だから連れてってやるんだ」
「えっ?」

ソファに押し倒された彼女は下着を脱がされたままというのもあって、またここでするのかと勘違いしていたが、もちろん違う。

「よっこらせっと」
「きゃっ…!」

彼は寝かせたカミューラの背中と膝の後ろに手を入れて、そのまま彼女を抱き上げた。
所謂お姫様だっこというものだ。

「ちょっ…、ちょっと、下ろしなさいよっ! 歩けるからっっ!!」

今まで何度か十代にこんな抱き方をされたことはあったが、やはり慣れないし恥ずかしい彼女は「下ろして」としきりに叫んだ。
尤も、十代に聞き入れる気はないのだが。

「まあまあ、堅いこと言うなって。カミューラはオレだけのお姫様なんだからさ♪」
「っっ〜〜〜〜〜!!」

そんな十代にオレだけのお姫様と言われたカミューラは、ゆでだこみたいに赤くなって黙り込む。
彼女は昔、女王様とか言われたことがあったが、お姫様というのはなかった。
そんなことを彼女に言うのは十代くらいのものである。

「はははっ、お前ってやっぱりかわいいな」
「バっ、バカにしてっ、」

カミューラをお姫様抱っこしたまま笑顔を向けていた十代は、そのままの状態で彼女の唇にキスをすると、ゆっくり歩き出した。

「さてと、じゃあ部屋に行こうぜ」
「う……うん……」
「あ、あれ? いま「うん」とか言わなかったか?」
「い、いい、言ってないわ!! そんな言葉遣い私がするわけないでしょう!?」

遊城家の新婚夫婦。
遊城十代と遊城カミューラの初夜はこうして始まるのだった。
二人の夜は、まだこれから……。

このページへのコメント

十代とカミューラの結婚後の話がもっと見てみたいです

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Posted by 名無し(ID:EisW+HjbUA) 2022年08月31日(水) 12:51:25 返信

今度は子作りをしないとな。元気と明るいのが取り柄の十代なら卒業までにカミューラを妊娠させられると思うし

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Posted by 名無し 2013年05月13日(月) 02:26:58 返信

十代・カミューラ結婚おめでとう!

カミューラ、十代との年齢差考えたらおもいっきり姉さん女房なのに反応が初々しくて可愛い

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Posted by VVV 2013年01月17日(木) 11:23:22 返信

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