(解禁条件:2018年12月28日に南エリアに追加された、営業「【コミュ】バラエティ番組収録」をクリア)
※1 ぬか炊き料理
糠みそを煮付けのだし汁として、鰯や鯖などの青魚を炊いた料理。福岡県北九州市の郷土料理であり、本コミュの舞台も福岡となっている。
出展元
(福岡) | |
つかさ | はー、お昼になっちまったか。 バラエティー番組の収録ってのも、なかなかハードじゃねぇ? な、留美さん。 |
---|---|
留美 | ふふ、「むしろ上等」って顔してるわよ、つかさちゃん。 私たちふたりでのお仕事、ここまでは順調ね。 |
つかさ | 留美さんは別行動で、アタシはこれからスタジオに行って、 午後からリハ、夕方から本番。 で、そのあいだの休憩が一時間……か。 |
つかさ | それじゃ、アタシはひと足先にスタジオ入りすっかな。 直前チェック、しときてぇから。 |
留美 | 本当、びっくりするくらいのバイタリティーね。 せっかくの観光地なんだし、 のんびり温泉にでもつかればいいのに。 |
つかさ | ははっ!台本チェックしてる留美さんが、それ言う? ま、気遣いだけは、ありがたく受け取っとくよ。 |
留美 | ふふ……あら? これは……。 |
留美 | ……ねえ、つかさちゃん。 これ、捨ててあったわよ。 貴方の大事なものじゃないの? |
つかさ | ん? ああ。もうアタシには必要ないんで。 興味があったら、留美さんにあげるよ。 |
留美 | 『名物 ぬか炊き料理』(※1)。 行きの道中、ずっと読んでたパンフレットよね。 |
留美 | 貴方の大切な趣味、ぬか床づくり……。 今回の仕事現場の近くに、その老舗のお店があるからって、 寄っていくのを楽しみにしてたわよね。 |
留美 | 「たかがぬか床に本気出せないヤツは、人生勝てない」。 隣で何回も言うから、私も覚えちゃったくらいよ。 ……で、そのお店、まだ行けてないわよね? |
つかさ | ん、まぁね……。 でもさ。 現場のスケジュールも変更になっちまったし。 |
つかさ | サイトでも調べたんだ。リハと本番の間に少しは休憩時間あるけど、 その頃にはもう店は閉店時間。 さすがにこれは、しょうがないんじゃね? |
留美 | 社長のお仕事もあるし……つかさちゃん、いつも忙しいでしょう。 この近くまで来られること、めったにないのに。 今日、行かなかったら、次のチャンスはいつになるか……。 |
つかさ | あのさ、留美さん。確かにチャンスはチャンスだよ。 でも、出会いの縁ってのもあるんじゃねぇかな? |
つかさ | 今日のアタシは、アイドルとしてここにいる。 で、今日のアタシの仕事は、収録のステージに立つことだ。 プライベートはプライベート。ビジネスはビジネスってね。 |
つかさ | 切り替えはスマートに。 それが、アタシの信条ってやつ。 じゃ、アタシスタジオ行くから、また後で。 |
留美 | …………。 |
(撮影現場) | |
ディレクター | リハーサル終了でーす。 休憩入りまーす。 |
---|---|
つかさ | 悪ぃ、なんかミスってばっかだな。 |
ディレクター | そんなことないですよ!全然できてますって! 本番もバーンといけちゃいますよ!はははっ! |
つかさ | …………。 どーも、ピリッとしねーな……現場もアタシも……。 こういう時、モチベ上げてくのはアタシの役目なんだけど……。 |
つかさ | ……そろそろ、あの店も閉まっちまう頃か。 この休憩が終わって、本番が終わったら、 今日のうちに事務所にトンボ帰りってね……。 |
つかさ | ……いけね。意識、トンでたわ。 はー、ダメだダメ! テンション、上げてかねーと……! |
スタッフ | あの、桐生さん。 ここの演出なんですけど、ちょっと提案が……。 |
つかさ | あー、えーと、 ちょっと待ってな。 |
つかさ | ……はー。アタシ、ダメだな。 判断スピードも鈍りまくりだわ、こりゃ。 |
スタッフ | ……? なんだ?なんだか外が騒がしいけど──。 |
留美 | つかさちゃん……! |
つかさ | 留美さん……!? |
留美 | つかさちゃん。 車を用意したから、早く乗って。 手配は全てできているわ。 |
つかさ | 手配……? |
留美 | 貴方が行きたがってた、あの店よ。 私が電話して、交渉してみたの。 そうしたら営業時間、ちょっとだけなら伸ばしてくれるって。 |
つかさ | えっ……。 |
留美 | ふふ。 私これでも、会社で秘書をやってた頃は、 「あきらめの悪い女」で通っていたのよ。 |
留美 | ねえ、つかさちゃん。出会いは、たしかに縁だと思うわ。 でも、その縁を自分の手で、たとえ泥臭くても、 繋ぎにいこうとする人たちを、私はたくさん見てきたわ。 |
留美 | 本気の情熱を持って誠実にお願いすれば、 相手だって悪くは思わないものよ。 |
つかさ | 留美さん……。 |
留美 | そのかわり、もし貴方が店の味を気に入ってくれたなら、 貴方の会社でもちょっと宣伝してくれたらうれしいって、 先方は言ってたわ。 |
留美 | さて……舞台の用意は整ったけれど、貴方はどうしたい? ……それともこれは、私の独断専行だったかしら? |
つかさ | ……留美さん。 |
つかさ | 最高だ!ありがとう! やー、ここ最近のアタシは、なんでもスマートにやりすぎてたわ。 おかげで、大事なこと忘れてたよ。 |
つかさ | ビジネスも、プライベートも、どっちも獲りにいく。 それでこそ勝ち組ってやつでしょ。 両方とも、遊びじゃねーからな。 |
つかさ | 「でも」とか「しょうがない」とか、これ禁句ね。 うちの会社の来月のスローガン、これで決まり。 |
留美 | ふふ。らしくなってきたわね。つかさちゃん。 ただし、相当タイトなスケジュールよ。 間違いなく、今回で一番ハードな行程になるわ。 |
つかさ | 上等! そういうの、むしろ燃えるんで! |
つかさ | じゃ、行ってくるわ、スタッフさんたち。 ……おっと、そうだった。 スタッフさん。さっきの演出アイディアだけど……。 |
つかさ | それ、採用! ははっ。本番、まかせといてくれよな! |
つかさは、ぬか炊き料理の店を堪能し、時間通りに戻ってきた。 そして調子を取り戻したつかさに呼応するように、 現場のモチベーションも高まり、収録は大成功に終わった……。 |
(帰路) | |
つかさ | はい、留美さん。 これ、おみやげのぬか漬け。 あそこ行ったら、やっぱマストでしょ。 |
---|---|
つかさ | ぬか床ってのはさ、一朝一夕にはできねーの。 混ぜたり、ほったらかしたり……温度に気を遣ったり……。 時間をかけて、旨味が育ってくるわけ。 |
つかさ | 留美さん。アタシは今日、学んだよ。 なんつーかさ、知ってたつもりでも、 本当の意味で理解しきれてないこともあるんだってことをさ。 |
つかさ | ……あー、悪ぃ。 さすがにエネルギー切れだわ。 20分だけ寝る。それで起きなかったら、起こしてくれ。 |
つかさ | …………。 |
留美 | しゃべるだけしゃべったと思ったら、 もう寝ちゃったのね。 台風みたいな子。 |
留美 | 私の肩にもたれかかっちゃって……無防備な社長さん。 こうやって寝顔を眺めてると、高校生の女の子なんだけどね。 ふふっ。 |
※1 ぬか炊き料理
糠みそを煮付けのだし汁として、鰯や鯖などの青魚を炊いた料理。福岡県北九州市の郷土料理であり、本コミュの舞台も福岡となっている。
出展元
コメントをかく