りゅうめい
子供の時は僕はなぜか友だちから「きんちゃん」(笑)とか「吉本」とか呼ばれて、親からも「きんこう」とか「きん」「きんちゃん」とか呼ばれていたので、「たかあき」と呼ばれるのは、学校の先生とか、特殊なときにしか呼ばれたことがありませんでした。だから両方とも日常的でない呼ばれ方だと思います。
僕はこれでもちゃんと正規に受験勉強をして、──あんまり正規じゃないか(笑)、ちょうど幸いにも戦争中で、配給(無試験)でもって大学に入ったので正規じゃないですけれど、──大学を出たということになっています。そういうところで通用しているのが「たかあき」です。物書きとしては、大抵「りゅうめい」というのが通用しているのです。でも生活人としては、全然通用していないです。(笑)というのは、僕は使い分けているわけではないけれど、そういうふうになっているのです。日常的には「たかあき」というようには、呼ばれたことがないです。
(1987.7河合塾名古屋校講演 「幻の王朝から現代都市へ−ハイ・イメージの横断」1987.12.1河合文化教育研究所に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
僕はこれでもちゃんと正規に受験勉強をして、──あんまり正規じゃないか(笑)、ちょうど幸いにも戦争中で、配給(無試験)でもって大学に入ったので正規じゃないですけれど、──大学を出たということになっています。そういうところで通用しているのが「たかあき」です。物書きとしては、大抵「りゅうめい」というのが通用しているのです。でも生活人としては、全然通用していないです。(笑)というのは、僕は使い分けているわけではないけれど、そういうふうになっているのです。日常的には「たかあき」というようには、呼ばれたことがないです。
(1987.7河合塾名古屋校講演 「幻の王朝から現代都市へ−ハイ・イメージの横断」1987.12.1河合文化教育研究所に収録された)
- これは講演のあとの質疑応答で、「たかあき」「りゅうめい」とどちらなのだという問に答えたものである。たいへんにほほえましく、こんな質問が出る講演会はかなりいい雰囲気だったのだろうと思う。私なんか「りゅうめい」としか読んだことしかないし、ほとんど話のときには「吉本さん」としてしかいわないな。そうとしてしか呼べないのです。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:15:12 Modified by shomon