コメについての唯一の立場
国民大衆にとって、毎日の主食であるコメについての唯一の立場は、眼の前に安くてうまいコメと高くてまずいコメがあれば、安くてうまいコメを買うにきまっているということだ。嘘つきでないかぎり、これには例外はない。また高くてうまいコメと安くてまずいコメがあれば、ふところ具合によって自由にどちらかを択ぶということだ。これが手離れしてはならない原則的な場所で、それ以外のことは政治家や政治指導者の政策的な振舞いや宣伝にすぎないから、政府の立場も反政府の立場もこの原則を免れるものではない。
(「情況との対話第九回−コメの話とはなにか−」1993.12.10「サンサーラ」徳間書店に掲載)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「情況との対話第九回−コメの話とはなにか−」1993.12.10「サンサーラ」徳間書店に掲載)
- まったくこれだけの話なのだが、何をいったい問題にしているのだろうと思う。あきれかえるばかりの論議が横行しているように思える。私たちはこの当り前の立場からのみ考え話をしていくべきではないのだろうか。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 15:15:51 Modified by shomon