マス・イメージ
カルチャーまてはサブカルチャーの制作品を、全体的な概念とかんがえ、そのために個々の制作者とは矛盾するものとして、取扱おうと試みた。するとたしかに制作品は、個々の制作者と矛盾する表出の側面を露出してくる。だがこれの作者を「現在」という全体的な輪郭にまで形成することはたいへん難しいことであった。なぜかというと「現在」もまた「現在」に矛盾する自己表出(自己差異)を内臓しているからである。この内臓されたものの内部では、個々の制作者も、それをとりあげている論者も、いわば渦中の人であるほかない。
(「マス・イメージ論−あとがき」1984.7福武書店)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「マス・イメージ論−あとがき」1984.7福武書店)
- 「現在」という作者はいったい何者なのか、「現在」という現象は何なのか。その現象のひとつに「反核運動」があった。「現在」を解明しようとする吉本さんはこの運動を真剣にからかったのだ。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:05:08 Modified by shomon