ヴェイユの最後の到達点
人間の政治世界があれば、かならずそこに対立とは争いがあるということじゃなくて、どこから見ても、そこが普遍的真理の場所だというものを、わたしたちがかんがえている領域のはるか向こうにもうひとつ設定できるのだというヴェイユの最後の到達点は、たいへんわたしたちに希望を抱かせます。そこはどこから行ってもめざすことができる領域のようにおもえるし、党派、宗派独特の習慣儀礼に従わなくても、ただいかに真理に近づくかという考えだけがあればそこへ到達できる。不可能だとしても到達可能性がいつでもある。ヴェイユの神学思想として生きているほんとうの理由をそこに見たいとおもいます。
(「シモーヌ・ヴェイユの現在」1993.1.23芦屋市芦屋教育センターでの講演、のちに「ほんとうの考え・うその考え」1997.1.20春秋社に「シモーヌ・ヴェイユの神」として収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「シモーヌ・ヴェイユの現在」1993.1.23芦屋市芦屋教育センターでの講演、のちに「ほんとうの考え・うその考え」1997.1.20春秋社に「シモーヌ・ヴェイユの神」として収録された)
- このヴェイユの考え方が、吉本さんの言われる「還相」の到達点にようにも思えますし、また吉本さんが言われる「普通の生き方」を100パーセント達したことのように思えます。今の私には、その場所ははるかに見えませんが、必ず到達したいところでもあります。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:42:53 Modified by shomon