音数律を捨て去って直喩や暗喩を成り立たせた
日本の近代詩が七・五調の音数律を捨て去って韻律を内在化したとき、その内在化に見合った直喩や暗喩の喩法を成り立たせた。そして同時に言語の音律からも解放された。これが多分、近代以後、詩が音数律を失ったいちばん重要な代償だったと思える。もちろん七・五の音数律を失うべき理由を手にしたあとでも、蒲原有明や薄田泣菫やそれ以前でいえば山田美妙のように四・七調や五・三調その他音数のヴァリエーションは、さまざまな形で試みられたが、さほど意味をもたないままに、失われてゆくほかなかった。
(「詩学叙説」2006.1.31思潮社『詩学叙説』)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「詩学叙説」2006.1.31思潮社『詩学叙説』)
- なんだか、これまた「なるほどそういうことだったのか」と私は頷いています。それはどうしても不得意な思いを抱きながら作っていた中学時代の私の詩の形を今になって、その意味が判ったような気持になっている思いなのだ。価値はないけれど、意味はあったのかもしれない。だけど、それは私が詩が変わったことにはついてはいなかったこと示していたのだ。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 21:00:08 Modified by shomon