関係の絶対性
人間は、狡猾に秩序をぬってあるきながら、革命思想を信ずることもできるし、貧困と不合理な立法をまもることを強いられながら、革命思想を嫌悪することも出来る。自由な意志は選択するからだ。しかし、人間の情況を決定するのは関係の絶対性だけである。ぼくたちは、この矛盾を断ちきろうとするときだけは、じぶんの発想の底をえぐり出してみる。そのとき、ぼくたちの孤独がある。孤独が自問する。革命とはなにか。もし人間の生存における矛盾を断ちきれないならばだ。
(「マチウ書試論3」1954〜55年稿 「芸術的抵抗と挫折」1959.2未来社に収録された)
共同社会における個々の人間の存在というものは、共同体自体と必ず逆立ちするということです。つまりそういう関係の仕方だけが、共同社会における個々の人間の存在というものを規定していく本質的な問題なのです。
(「新約的世界の倫理について」1968.11.9フェリス女学園講演 「信の構造Part2吉本隆明全キリスト教論集成」1988.12春秋社に収録)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「マチウ書試論3」1954〜55年稿 「芸術的抵抗と挫折」1959.2未来社に収録された)
- 人間はどのようにも選択できる意志を持っている。だが、人間と人間との関係が強いる絶対性の前にはそれらの意志も相対的なものなのだ。だからある革命思想が正しいのかどうかというのはただこの、関係の絶対性という視点だけなのだ。
共同社会における個々の人間の存在というものは、共同体自体と必ず逆立ちするということです。つまりそういう関係の仕方だけが、共同社会における個々の人間の存在というものを規定していく本質的な問題なのです。
(「新約的世界の倫理について」1968.11.9フェリス女学園講演 「信の構造Part2吉本隆明全キリスト教論集成」1988.12春秋社に収録)
- 一番近い関係との血で血を洗う関係。これは政治並びに革命の姿である。原始キリスト教とユダヤ教の相克、革共同両派の相克。言語国家心的現象への考察により、この関係の絶対性の構造を解き明かすのが吉本さんの姿である。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月03日(日) 12:56:30 Modified by shomon