喰えなくなったら
わたしは、人間は喰えなくなったら、スリでも、強盗でも、サギでもやって生きるべき権利をもっていると、かねてからかたく信じていたいと思っているが、この映画の主人公貫坊と恋人の不良少女ミツ子は、まさしく、そういうモラルの実践者なので、わたしが狂喜したのはいうまでもない。
(「純愛物語」1957.10「映画評論」に掲載「夏を越した映画」1982.6.10潮出版社に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「純愛物語」1957.10「映画評論」に掲載「夏を越した映画」1982.6.10潮出版社に収録された)
- この映画は哀しい映画である。終り方がどうにもふにおちない。だけど、とくに前半のこの二人の不良の振舞いには、とにかく嬉しくなってしまう。できるなら、最後までこうした二人でいてくれたらと吉本さんでなくとも思ってしまうのだ。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月03日(日) 13:18:45 Modified by shomon