自然とは
天然自然というのは最高のものだっていうふうに考えるのはうそじゃないかと思います。例えば、人間だって自然の一部分だっていうことは、宮沢賢治だって云いますし、マルクスも云うわけです。それから、人間だって生物だし動物だ。それはもうそのとおりです。しかし、人間とは何なんだという問を発したとき、自然的な人間に対して抵抗することで、人間であるっていうような部分がたくさんあるわけです。云いかえれば、自然というのは、何が本質的かわかりませんが、本質的な自然を目指して人間は行くべきなんです。すぐにびっくりして、自然を守れなんていうのじゃなくて、僕はもっと人間の可塑性ってことを信じています。マルクスの言葉で云えば、人間はよく解決できる問題しか提起しないってことを、僕は信じています。本質的に云えば、人間は、多分いろんな問題を解決していくだろうなっていうふうに思います。
(「究極の左翼性とはなにか−吉本批判への反批判」1987.9.13東京品川寺田倉庫における「いま、吉本隆明25時」における最後の挨拶 「いま、吉本隆明25時」1988.2.25弓立社に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「究極の左翼性とはなにか−吉本批判への反批判」1987.9.13東京品川寺田倉庫における「いま、吉本隆明25時」における最後の挨拶 「いま、吉本隆明25時」1988.2.25弓立社に収録された)
- 自然とはどうとらえるべきなのだろうか。自然というと、もう天然自然そのものがいい、自然を守れという連中が多いわけだが、そうではないのだ。人間が自然に働きかけ、それを悪くも、良くも変えていけるのだ。天然自然よりいい自然を作る可能性を人間はいくらでも持っているのだ。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:15:39 Modified by shomon