世にも稀な根源的な理路
わたしは、漱石の『こころ』の推理小説版のように讀んだ。これはひとりの女性をめぐるふたりの男のかけひきの罪ではなく、氏素性や年齢や経歴の秘匿をめぐる罪のものがたりだ。漱石には根源的な不安があり、この作者のは世にも稀な根源的な理路があると思う。
(大西巨人「三位一体の神話」カッパノベルズ版1993.3のカバーへのった書評)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(大西巨人「三位一体の神話」カッパノベルズ版1993.3のカバーへのった書評)
- 大西巨人を読むといつも圧倒されてしまう。こんなひとが存在していることに驚いてしまう。「世にも稀な理路」なんて吉本さんはよくいいあてているなと思う。この理路をいつもいつまでもたどる人が大西巨人なのだ。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:43:15 Modified by shomon