西行の時代的な苦悩
かれの自意識がつくりだす苦しみとか、あはれとかは、生粋に内部からやってくるようにみえるが、そこにどうしても時代の苦しみやあはれが、形にそう影のように離れないでつきまとってくる。西行は、きっと、どこをほっつき歩いても、何処の山岳にこもっても、権力の交替する首都を逃れることができなかったのである。
(「西行小論」1957.10「荒地詩集1957」荒地出版社に掲載 「芸術的抵抗と挫折」1959.2未来社に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「西行小論」1957.10「荒地詩集1957」荒地出版社に掲載 「芸術的抵抗と挫折」1959.2未来社に収録された)
- 西行は清盛や頼政、頼朝などの死闘を文字通りつぶさに見ていたに違いない。この大いなる過渡期の時代にこの詩人の孤独さのみが浮んでくる。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月03日(日) 13:15:57 Modified by shomon