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Square Leg演習が示す英国国防の欠陥(by Duncan Campbell, 1980/10)


英国国防省と内務省は1980年10月に、核攻撃に対応した机上及び野外演習Square Legを実施した。これについて、Newstateman紙は、Duncan Cambellによる論評を掲載した。
[ Duncan Campbell & Rob Edwards: "Square leg caught out" ]

今週の内務省の民間防衛演習は、軍事の準備とは対照的に、民間の準備に大きな欠陥がることを明らかにした。スコットランドでは、一つの地方自治体が演習参加を拒否した。

内務省と地方自治体は、戦時指揮をとる防護バンカーを報道陣に初めて公開した。今週のプレスツアーには、Basingstoke地域の第62地域本部(Sub Regional Headquarters)と、Wanstead地域にあるLondonセクター本部(Sector control)が入っていた。(これら2つの本部の正確な位置について先週New Statemanは書いていたが、今秋のツアーでは、これらが公式には機密だというフリをすることに同意することが参加条件となっている。)

Basingstokeにある、半地下2階構造のバンカーはオフィスブロックの下に、1970年に建設された。このSRHQ62は、BuckinghamshireとBerkshireとHampshireとOxfordshireと Isle of Wightを管轄することになっていた。副大臣が任命されることになっている地域本部長(Sub Regional Commissioner)の指揮の下で、軍と政府の大半の部署から引き抜かれた200名程度が、これら5の郡に残存するすべてを統括する。

Basingstokeバンカーツアーでは、軍の施設だけが機能していて、それ以外は極端に荒廃した状態の残念な構図が見えた。ほかの多くのバンカーと同様に、Basingstokeも水漏れがひどく、それは秘密でも何でもなかった。男性宿舎の一つでは、滴る水で天井に1インチの鍾乳石ができていた。攻撃を受けた後、これらの突起は闇の中で光を放つだろう。施設修理のために駐車場を掘り起こすのを、上にあるオフィスを使用する政府部門が認めなかったため、6年にわたり鍾乳石が成長してしまったと、担当者の一人が陰気に述べた。

扉2つ離れたところには、大きな無線室があり、外界との非常用スタンバイリンクが置かれている。そこに装備された装置は、18か月前に近くの湿気から救い出されたものだった。固定電話戦は切断され、どこともつながっていなかった。

ほとんどの本部は誰もおらず、Sub Regionの軍アドバザリーチームが数名の文民だけがいた。SRHQ62が建設されてから10年、戦時に運営するよう任命された文民スタッフは、そこに来たことは一度もなかった。これまで地域本部(SRHQ)で活動が行われたのは2回だけで、いずれも軍の演習でだった。本部を運営する極少数の上位公務員を除けば、幸運にもバンカーで働けることになっていることを誰も知らなかった。戦時任務の訓練を受けた者もいなかった。家族や関係者のための防護された宿舎は用意されていないので、彼らのうち、どれだけが戦時に出頭するか疑わしい。混乱した状態はバンカー全体に広がっていた。食糧備蓄はなく、食事は陸軍の臨時調理師たちの好意で提供された。

担当者によれば、他の地域本部(SRHQ)もBasingstokeと同様か、さらに悪い状態である。記者発表では17の全地域本部がSquare Leg演習で稼働することになっていたが、実際には今時点では14しか建設されていない。2つが建設地選定済みで、うち、1つの建設がまもなく始まる。North Walesを管轄する3つめの本部が建設される見込みはない。地域本部がないところでは、文民及び軍のスタッフはバンカー代用の地上オフィスで任にあたった。

残りの14の本部のうち、少なくとも一つSRHQ101は、LaneのSouth portにある税務署及び裁判所の地下にあるが、大なり小なり水没している。他も不快なほど湿度が高い。

たとえ、Basingstokeの無線通信が生きていたとしても、おそらく核爆発の電磁パルス(EMP)で機能しなくなるだろう。英国空軍士官の一人は「だれもEMPの効果をわかっていない」と述べた。

Basingstokeの軍チームの任につくのは准将だが、その名前は公式には秘密である。彼は第4方面軍司令部(Region Armed Forces HQ)の参謀で、その平時司令部はAldershotにあり、独自のバンカーAFHQ4をどこかに置いている。Square Leg演習のために、彼は、公式には部署と名前を秘密にされている上級公務員とBasingstokeバンカーの指揮権を共有している。

准将は、生存者を軍がどう統制するかについての記者質問に対応した。略奪者を射殺する命令を出すか問われると、彼は「私はそのおうな決断の困難さを過少評価しない。射殺が望ましいなら、軍は論理的そうである場合のみ、そうするだろうと考えている」と応じた。国民にまぎれた破壊活動者の狩り出しについて、彼は「地域本部長は私に困難な行為、すなわち狩り出しと処分を求めてくるだろう」と応じた。彼は処分を弾丸ですることを否定しなかった。

中途半端な情報公開で、さらに好奇心をそそる光景は、WansteadにあるLondonセクターバンカーでの記者会見で示された。内務相Leon Brittanは、バンカーツアーで立ち止まって記者会見を行い、投下される爆弾の数と位置、演習中に発生する死者の数の詳細を応えるのを拒否した。そう話す彼の背後には、6フィートの高さのLondonの地図があり、Heathrow AirportとCroydonとPotters BarとOngarとThames estuaryに水爆が投下されているのが描かれていた。写真にある第2の地図では、東部および東部中央の郵便地区を除いて、Londonは粉砕されていた。

ScotlandではEdinburghのLothian地域議会が、公務員のSquare Leg演習への参加を禁じる決定を下した。演習開始の前の先週木曜日に禁止を命じた与党労働党は、戦争の可能性を増す危険な準備として、演習に反対する声明を出した。

これに怒った3人の保守党議員が動議を出して、スコットランド最高裁のRoss卿から、地域議会本会議あるいは委員会での政策審議なしに、労働党が参加を禁じることを禁じる判決を得た。しかし、動議は無駄だった。Lothian最高行政官で地域管理者であるRobert Peggieはすでにスコットランドオフィスの演習への招待を辞退して、週末のため執務室を離れていた。結果として、2名の緊急担当者と20名ほどのスタッフは、演習から除外された。

演習シナリオは労働党が予期した通りに恐ろしいものだった。Edinburghのすぐ北にあるRosyth dockyardエリアには3発が投下され、住民の40%が死亡もしくは重傷となった。Scotlandの文民及び軍の担当者たちは、演習の残りを、Edinburghの数マイル西にあるKirknewtonのScottish Central Controlバンカーで実施した。





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