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ロシア宗教>スラヴの神々と精霊たち

スラヴの森の精霊レーシー


レーシー(Леший, Leshy)とは...
レーシー (ベラルーシ語の lyasun [1]、lesavik [2]、ウクライナ語の lisovik [3]。地域名や推定名は多数あります) は、東スラブ人の神話に登場する森の主精霊です。 レーシーは最も人気のあるスラヴ神話の登場キャラクターの一人であり、現代の神話の伝統の衰退を考えれば、今日でも比較的人気が残っている。レーシーの伝統的なイメージは複雑で多面的で曖昧である。

神話物語では、レーシーは植物、動物、または擬人化生物として登場する。レーシーが親戚や知人の姿で現れることもよくある。レーシーは巨人か小人のどちらかとして描写された。 レーシー彼は身長を変えることができるという考えもある。レーシーが服を着ていれば、一般的には普通の人と同じである。多くの場合、レーシーは強い風を伴うか、レーシー自身が強い風のように見えることがある。レーシーには影がない。レーシーは目に見えなくなることがある。レーシーにはとても強い力がある。レーシーは、森のさまざまな音を出せるが、人間のように話すこともできる。

多くの場合、レ0シーは孤独な生物として表現され、ひとつの森にレーシーは1匹しかいないと信じられていた。しかし、多くの神話物語では、レーシーは集まって、家族で村にさえ住んでいる(レーシーの妻はレーシーだったり、拐された少女だったりする。子どもたちもレーシーだったり、誘拐された子どもだったりする。)レーシーは物静かなキャラクターとして描かれることもあれば、楽しいことが好きだと描かれることもある。レーシーは強くて恐ろしいこともあれば、愚かなこともある。森の主として、レーシーは森を世話し、森を守る、森の動植物の守護者である。

人々のレーシーに対する態度は相反している。一方で、レーシーは人に敵対的であり、悪意があって人々には危険だが、しかし、意図せずして人々に害をなし、いたずらをし、また、失礼であり、悪意があると考えられた。他方で、レーシーは公正な森の主であり、人に害をなすことはないが、人々がレーシーの所有物を不当に扱えば、罰を与えることがあり、人々を助けることがあり、このため狩人や羊飼いはレーシーに贈り物をして、契約を結ぶ必要があると考えられていた。

森の中の人が道に迷うのは、レーシーのせいである。また、レーシーは親しげに見せかけて、追い付かれないように少し離れて姿を現すことがある。祈りや誓いや魔よけなどの手段の助けを借りてレーシーを追い出せると信じられていた。レーシーの呪縛を解くには、裏返しに服を着替える必要がある。森での人や家畜の損失はレーシーと関連していた。「誘拐」の理由として、レーシーたちは「悪魔に送る」という形の呪いを考えた。レーシーは赤ちゃんを丸太や醜い子供に置き換えることができる。レーシーは誘拐した少女たちを妻として迎え、子供をつくることができる。行方不明者を見つけるために、彼らは通常の捜索を行うだけでなく、「味見」の儀式も行った。聖人の魔術やおりなしで、贈り物を提示したり、脅したりした。

レーシーは未来を予知する能力があると信じられており、それに関連してレーシー召喚や占いの儀式が行われていた。過去の物語や童話の中で、レーシーは人々と自由にコミュニケーションを取り、時には人々の助けを受け入れ、感謝の意を表していた。レーシーは芸術作品の中でも人気の高いキャラクターである。 このおかげで、レーシーのイメージは伝統的な概念とは必ずしも一致しない新しい特徴を獲得していtった。

[1] Восходит к имени «ангела бездны», главы демонов в Ветхом завете Аполлиону.
[2] О. А. Черепанова считает, что «леший» и «водяной» пришли на смену «лешей и водяной силе» заговоров XVII века, при этом слово «леший» и подобные ему «прозрачно мотивированные» названия духов появились не ранее XVII века.
[3] Жития Никодима Кожеезерского, Иоанна и Лонгина Яренгских Чудотворцев, Евфросина Псковского, Иоанна Новгородского.

[ wikipedia: Леший ]

なお、アレグザンスキーとギラン(1960)によれば...
古代スラヴ人が住みつき、村落を作らなけれぱならなかった地域は、極めて木が多かった。 スラヴの村落建設者たちは、多くの障害や危険を冒して多くの巨大な森を通る道を開かなけれ ぱならなかったのである。彼らがそこで《レーシィ》(《レス》ー森の意ーから出た名)、すなわ ち森の精霊と出会ったのは、ごく自然のなりゆきである。

スラヴの民間伝説は《レーシィ》に人間の姿を与えているが、その両頬は青味がかった色を している。これは血が青い色をしているからである。多くの場名、緑色の突き出た眼と濃い毛 の密生した眉毛とを持ち、長い緑のひげをたくわえている。その髪はギリシャ正教の司祭の髪 と同じである。時A、民衆の気まぐれな空想がこの精霊に一風変った身なりをさせることがあ る。赤い革帯をしめ、右足に左足の靴をはいていたり、逆向きにポタンのついた《カフタン》を着ていたりするQである。《レーシィ》には影がなく一定の身長というものもない。 森のなかを歩きまわる時には、頭は森でいちぱん高い木の頂きまでとどく。森のへりを歩いて小さな瀬木や草むらの間を通る時には、木の葉の下にかくれることもできるような矮人に身を変える。

《レーシィ》は隣人たちの土地を侵そうとはしないが、その代り自分自身の王国はごくわず かでも奪われまいと警戒する。旅人がひとりで森を通ったり、百姓がひとりで森に茸や果実を とりにやってきたりすると、あるいは猟師が森のあまりに奥深くまで冒険をこころみようとし たりすると、《レーシィ》はきまってかならず彼らを迷わせ、やぷのなかをあちこちあらゆる 方向に歩きまわらせた後で、いつも同じ場所に連れ戻してやる。 けれども根は人の良いこの精霊は、ほとんどいつも最後にはそのいけにえを解放してやる。 特に、そのいけにえの人間が彼の呪いから逃れることができる場合には。そのためには、道に 迷った者は、木の幹に腰をかけて上着を脱ぎ、それを裏返しにおくのである。その場合、右足の上に左足の靴をおくことを忘れてはならない。

《レーシィ》は、いくつかの伝説によれば人間の女と悪魔との密通から生れたというが、にもかかわらず不死の精霊である。

しかし、《レーシィ》たちは毎年十月の始めに姿を消すか、あるいは翌年の新しい春が来る まで一時的に死ぬか、しなければならない。この時期には彼らは腹を立てやすく、特に危険で ある。多分身近に迫った消滅のことを考えてだろう、苦悩と怒りに満たされて森のなかを走り 回り、ロ笛を吹き、叫び、興奮した女の甲高い笑い声や、人間のすすり泣きの声や、猛禽や野 獣の叫び声などを真似てさまざまの声を発する。 いくつかの伝説は《レーシィ》に家族本能を与えており、そaのそぱに彼の妻《レシャーチカ》 と子供たち《レショーンキ》とを示してみせる。彼らは森の奥深くに住み、協同して悪い行な いをずる。

[ G.アレグザンスキー, F.ギラン 著, 小海永二 訳: "ロシアの神話 : スラヴ,リトワニア,フィンランド (みすずぶっくす)", みすず書房, 1960, pp.30-32]





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