人物
ワシリー・クプレヴィチの「長寿、夢の現実性」
ワシリー・クプレヴィチ（Василий Феофилович Купревич, Vasily Kuprevich, 1897-1969）は、現在のミンスク地方スモレヴィチ地区のカルニキ村生まれのソビエトの植物学者、政治家、公人である。ベラルーシ・ソビエト連邦科学アカデミー会員（1952年）、ソ連科学アカデミー正会員（1953年）、生物科学博士（1942年）、教授（1950年）、社会主義労働の英雄 (1969 年)、BSSR名誉科学者 (1967年)など。7冊の単行本を含む 100 冊以上の科学著作を出版している。
以下は「"Русский космизм: Антология философской мысли / Сост. и предисл. к текстам С. Г. Семеновой, А. Г. Гачевой; Примеч. А. Г. Гачевой. — М.: Педагогика-пресс"（ロシアの宇宙精神）」所収の「Купревич В. Ф. Долголетие: реальность мечты（V・F・クプレヴィチ: "長寿、夢の現実性"）」の訳:
V・F・クプレヴィチ: 長寿、夢の現実性
ワシリー・クプレヴィチの「長寿、夢の現実性」 
ワシリー・クプレヴィチ（Василий Феофилович Купревич, Vasily Kuprevich, 1897-1969）は、現在のミンスク地方スモレヴィチ地区のカルニキ村生まれのソビエトの植物学者、政治家、公人である。ベラルーシ・ソビエト連邦科学アカデミー会員（1952年）、ソ連科学アカデミー正会員（1953年）、生物科学博士（1942年）、教授（1950年）、社会主義労働の英雄 (1969 年)、BSSR名誉科学者 (1967年)など。7冊の単行本を含む 100 冊以上の科学著作を出版している。
以下は「"Русский космизм: Антология философской мысли / Сост. и предисл. к текстам С. Г. Семеновой, А. Г. Гачевой; Примеч. А. Г. Гачевой. — М.: Педагогика-пресс"（ロシアの宇宙精神）」所収の「Купревич В. Ф. Долголетие: реальность мечты（V・F・クプレヴィチ: "長寿、夢の現実性"）」の訳:
V・F・クプレヴィチ: 長寿、夢の現実性
V・F・クプレヴィチ: "長寿、夢の現実性[1] (1968)"
20世紀に入り、ホモ・サピエンスは宇宙的成熟の時期を迎え、その代表者の中には今や人類はその種に「定められた」寿命に制限されていると不満を漏らし始めている。これは何も驚くべきことはない。人間が自分自身と自分の周囲の世界を研究し始めて以来、人間の思考は常にこの世界と自分自身の性質を改善することに向けられている。
次に話すことは空想になるかもしれないが、今日の現実の多くもつい最近まで空想のように思えていた。
しかしその前に、より現実的と思われる問題について少し話しをしておこう。その解決策は今日すでに確立されている。長寿の問題。 Literary Gazette (1968, No. 35)[2] での議論は、おそらく多くの人にとって非常に興味深いものだった。たとえば、人間の寿命を100年長くするというと、それが可能だという確信を共有する人はまだほとんどいない。では、人間は長生きできるのだろうか？ 私は断言する。それは可能だ。そうでなければならない！ 人間は永遠に生きられるだろうか？ その質問はばかばかしいようにおもえる。しかし、本当にそんなにおかしなことだろうか？
「人間は島ではなく半島だ。 岬が沈むとヨーロッパは小さくなる。したがって、我々一人一人の死は人類を低下させる。誰のために鐘が鳴るかと問うな。それはあなたのために鳴る。」と詩人は続ける[3]。A. アインシュタインは統一場理論を完成させることなく亡くなった。ある年老いた農民は、土地の肥沃さの秘密を解明する暇もなく亡くなった。彼らの死が「時宜を得た」という事実を受け入れ、世代を超えてこれらの問題を解決させることはできるのだろうか？私は年老いた科学者として、多くの人が死の必然性を考える従順な運命論に憂鬱になっている。死は人間の本性に反している。人々は不死の神についての神話の中で永遠の命の夢を具現化した。おそらく人間は、50〜70年しか生きられないのであれば、進化が起こった何世紀も無駄になることを直感的に理解したのだろう。教会は人間に天国での不死を約束した。そこで哲学者たちは、生きるということは常に死ぬことを意味し、長生きするという夢は形而上学であると説得した。残念なことに、ほとんどの医師や生物学者がこの合唱団に参加している。ここで宿命論が足場を築けないはずがないではないか！
なぜすべての生物は死ぬ運命にあるということになるのだろうか? 通常、彼らは「観察、経験から」と答える。しかし経験上、我々は毎日、太陽が地球の周りを回っていると確信している。マルクスは、すべてを疑うという偉大な原則を我々に残した。これを科学に当てはめると、その基礎となっている一般に受け入れられている「明白な」真実を時々確認することを意味する。別の有名な遺伝学者 A. ワイズマン[4]は、すべての人間と植物の生命は一定の期間によって特徴付けられており、生命の性質そのものに反する永遠の存在によるものではないと指摘した。生物が「使い古した」細胞を再生する能力を失ったのは、その性質上、無限に増殖できないからではない。ただ、この能力は自然選択の結果として失われ、不死であると仮定された個体の寿命は、それが種にとって役に立たなくなった期間だけ短縮されただけである。
私がまだ学生だったとき、将来の生物学者である私は、すべての生物は老化し、いわば、避けられない死の種をその中に含んでいると教えられた。しかし、動植物の世界に詳しい専門家はこれに疑問を投げかけている。
実際、生命体の基礎はプロトプラストである。これは複雑で常に更新され、外部環境と物質やエネルギーを交換する過程でその特性を無制限に変化させることができる物質の一部である。生物は、自己再生または自己相似する能力において、他の高度に複雑な物質構造とは異なる。同化の過程、つまり特定の種類または種の生物の構築において、厳密に定義された環境要素を同化するプロトプラストの能力は無限である。
生物は非常に弾力性と耐久性に優れている。ポプラ属の代表的な化石は白亜紀から知られており、現生種と事実上区別がつかない。これは、7000〜8000万年にわたって、ポプラは祖先の最小の兆候を世代から世代へと伝えてきたことを意味する。一方、樹齢が1万〜1万2千年に達する樹木状植物の個体が知られている。我々は、山が崩壊し、川が流れを変えたり消滅したり、文明が興ったり滅んだり、広い地域の気候が繰り返し変化したり、大陸の輪郭が変化したりした生存期間について話している。その間、個体は生き続け、子孫を周囲に広げ、自身の質量を増やした。
耐久性と不変性において、生命の運び手であるプロトプラストに匹敵する物質構造は世界中にない。現代の動物界にも長寿種が存在する可能性はある。報道機関は、小さな湖に生息しているとされる生きた化石について繰り返し報道してきた。これらの出版物の信頼性を判断するつもりはないが、この生物がおそらく数千年にわたって生き残ったという事実は（彼らがそこで繁殖したことは疑わしい）、かなりの可能性がある。本質的にこれは不可能なことではない。
死は歴史的な現象である。それは常に存在していたわけではないが、生命の発達のある段階で現れ、すぐに進化の最も重要な原動力となった。世代の交代により、まさにこれらの環境によりよく適応した生物の出現（そして自然選択の結果としての保存）が可能になった。Mors Creator vitae est （生命の創造者は死である。） 死がなければ、我々の動物の祖先は決して「世に出る」ことはなかっただろう。しかし、新しい種を生み出すことによって、死は彼らの「自然な」寿命を確立した。人間は生物学的かつ社会的な存在である。人間は高等動物の直接の子孫であり、その寿命は生存可能な子孫を残すのにかかる時間とほぼ同じである。動物の祖先は、わずか数十年の生涯を我々に「遺贈」した。現代人の祖先の身体的性質の長い進化の結果、種の限界、つまり人類の平均寿命が生じた。
しかし、社会の出現とともに、人間は自然選択の力から出現した。人間の体は遠い過去に形成され、明らかに長い時間をかけて形成された。そして死は？ この場合、それは歴史の時代錯誤になってしまった。人類の向上に寄与する要素としては必要ない。社会から見ると有害である。人類が直面している課題を踏まえると、これはまったくばかげている。この不条理を永遠に解決したいと思う人がいるだろうか？
おそらく多くの人は、この種の限界（80年から100年）は、彼らが言うように、神からの揺るぎない絶対的なものであると信じている。我々は、それは歴史的に生じたものであると主張する。つまり、原則として何年でも延期できることを意味する。
我々は多くのことを知らず、人間がこれまでに生きた最高年齢さえ知らない。この限界は120歳だと信じている老年学者もいれば、150歳を超えた老人を示す人もいる。たとえば200〜300歳など、もっと長生きした人はいただろうか。この問いに答えるのは難しい。信頼できる情報がない。そして、長寿者に関するさまざまな報告がどれほど素晴らしいように見えても、空想はあまりにも多くの場合真実に基づいているので、理論上の論争よりも、長寿者の遺骨を見つけて確実に彼らの実際の人生の長さを確定する方がおそらく有益であると私は考えがちである。 。
しかし結局のところ、重要なのは長寿に関する通説の裏付けを見つけられるかどうかではない。別のことが重要だ。人間の寿命を延ばすための「道具」を手に入れるために、体の老化の原因を知る必要がある。考えられる期間に制限を設定するには、死の根本原因を突き止める必要がある。繰り返すが、そのメカニズムは進化の過程で生み出された。
生物の老化と死の必然性は理論的に正当化できない。それらは両方とも（生命そのものと同様に）量的現象ではなく、独自の特別な非時間的次元を持った定性的な現象である。
高等動物の寿命は何によって測られるのか? I.P.パブロフは犬を不安な状況に置き、彼らの精神的な固定観念を打ち破った。そのような動物は以前にも死亡した。おそらく、老化と死のプロセスは何らかの形でニューロン、つまり神経細胞と関係しているのだろう。老化の最も重要な兆候は、生命活動の秩序性の度合いの進行性の低下とその強度の低下として現れる。「求心性」合成、つまり体の反応を決定するすべての入ってくる刺激の即時合成が遅くなり、遅れる。神経系は老化し、磨耗していく。近い将来、人間の精神活動の科学が新たな基盤に基づいて再構築され、おそらく、神経系の磨耗を防ぎ、神経系を再生できる新しい心理療法の方法や手段が登場すると思う。
したがって、懐疑論者の警告にもかかわらず、ウォーカーは依然として「不死の妙薬」を探しに行くことになる。不死とは時間的に永遠の命を意味するわけでは決してないことを留保しておこう（すべての無限には条件があり、目に見える宇宙にも年齢がある）。我々を生んでくれた自然そのものに「不死の妙薬」を求めよう。我々は植物の世界に、ほぼ永遠の個体、つまり定期的に若返る単細胞生物を知っている。人間の場合も、一定時間が経過すると、古い細胞はほぼ完全に新しい細胞に置き換わる。なぜ「ほぼ」なのか？ しかし、人間の神経系は高度に分化しており、その細胞は誕生から死に至るまで変化しないからだ。では、人間の老化と死は、その人間の高度な神経組織への報復なのだろうか？もしそうなら、我々はもう猫以上には生きられないだろう。
老化には膨大な数の理論がある。特に、細胞の最も重要な要素の再生を制御するDNAとRNAの構造の損傷は、老化の主な原因のひとつとして指摘されている。遺伝学者は、これらの構造には将来のタンパク質分子の構築計画が含まれており、情報が伝達されるチャネルに何らかの「ノイズ」が入り込み、欠陥が発生すると考えている。つまり、間違った分子が合成され、新しい細胞がタンパク質と置き換わる。死んだ人は違うことが判明した。しかし、自然は生殖においてそのような欠陥を排除する。2つの欠陥のある細胞（父方細胞と母方細胞）が融合すると、通常、正常な生物の胚が出現する。一部の遺伝学者は、この場合、親のDNA欠陥が互いに重なっている可能性があると考えている。通常、損傷は染色体の異なる場所で発生するため、子孫には現れない。このような経路を見つけて、細胞要素の自己再生の過程で細胞要素に生じる欠陥を排除できる可能性がある。
老化の学者は、老化とは最終的には何なのか、つまり人間の老衰について共通の意見を得る必要がある。病気であれば治療が可能だ。遺伝子にプログラムされている場合は、そのプログラムを変更する必要がある。
老化と不死の問題が議題になっている。今日の「不老不死の薬」につながるすべての道を導き出すという懐疑と要求からそれらの研究が始まるはずはない。実験生物学に対する攻撃から始める価値はほとんどない。老化過程を研究する過程で、新しい事実や根本的に新しい現象が発見されることは間違いない。しかし、学校科学の初歩的な「真理」を克服できない人々には、これができる可能性は低い。
[1] Печатается по: Лит. газ. 1968 (�� 49). 4 дек.
[2] Речь идет о дискуссии, проведенной на страницах «Литературной газеты» 21 августа 1968 г. (Поводом для нее послужило сообщение газеты «Санди Тайме» об успешных опытах, проведенных в США, по значительному увеличению продолжительности жизни мышей.) Доктор медицинских наук В. Бурановский защищал традиционные медицинские методы продления человеческой жизни (искоренение болезней, улучшение условий труда и жизни). Биолог Л. В. Комаров, один из энтузиастов создания широкого фронта борьбы за радикальное увеличение видовой продолжительности жизни человека и его практическое бессмертие, выдвигал необходимость биологических способов направленного воздействия на механизмы старения, на генетическую систему, наследственность.
[3] Неточная цитата из стихотворения английского поэта Джона Донна (1572—1631), взятая в более полном объеме в качестве эпиграфа к известному роману Эрнеста Хемингуэя «По ком звонит колокол» (1940).
[4] Вейсман Август (1834—1914) — немецкий зоолог и эволюционист, создатель теории «неодарвинизма».
[ Купревич В. Ф. Долголетие: реальность мечты in "Русский космизм: Антология философской мысли / Сост. и предисл. к текстам С. Г. Семеновой, А. Г. Гачевой; Примеч. А. Г. Гачевой. — М.: Педагогика-пресс" ]
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