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ドモストロイとストグラフ


ドモストロイ(Domostroy, Домостро́й)(家庭訓)とは...
そういったほとんど日本に紹介されていない文献のーつに十五世紀から十六世紀にかけて書かれた、「ドモストロイ(口シアの家庭訓)」と呼ばれる書がある。この十五、六世紀という時代は、いわゆるタタールの椀、すなわちモンゴル人の支配から解放され、ロシアがモスクワを中心とする強大な封建的専制国家への道を歩み始めた一方で、東ローマ帝国滅亡後ロシア皇帝はビザンチン皇帝の後継者であるとして、ロシア教会が皇帝の神権を唱え、皇帝の権力を大きく擁護する立場を取り始めた時期でもあった。この「ドモストロイ」はその後のロシア民族の歴史的推移を決定づけたロシア史における重要な時代を背景にして書かれた作品だと言えるであろう。

写本によって増減はあるが、六〇余りの章から成り立っており、内容の点から、一、正教徒の義務(いかにキリスト教を信仰し、皇帝に仕えるか)、二、家族生活の規範(いかに妻子、召使とともに日常生活を送るか)、一一一、実務上の注意(いかに家政、事業、商売を行なうか)の三つに大きく分類できる。各章では、神の心に合致した生活を送り、「世界の審判」の後で永遠の幸福な生活に入るためには、家長である夫はどう暮らし、妻子と召使を教え導くべきかといった類いのことが、日常生活の種々の具体例を引きながら細に密に説かれている。そして全体の根底には神が天で、皇帝が国家でそうであるように、父一親(夫)は家庭では絶対の者であり、祈祷に始まる一日の諸々の事をすべて差配し、それに妻、子、召使は完全に服従しなければならないのだとする考えがある。まさにここには当時のギリシャ正教徒の生活、考え方がリアルに描き出されているのである。しかしここに述べられている正教徒の暮らし方は決してこの時期のものだけではなく、その後革命までのロシアの保守的な家庭で受け継げられ守られており、随所にゴーリキーの自伝小説「幼年時代」(一九一三〜一六)で取り上げられているロシア人Q家庭生活を彷彿させるものがある。

[ 佐藤靖彦(訳): "ロシアの家庭訓 : ドモストロイ", 新読書社, 1984 ]


ストグラフ(Stoglav, Стоглав)とは
wikipedia:Stoglav (Hundred chapters)

『百章の書』ロシア語でストグラフ(Stoglav, Стоглав)「百の章」とも呼ばれ、1551年のロシア教会会議の決定を集めたもので、教会法と帝政ロシアでの教会生活、特にロシアの聖職者の日々の生活を規定した[1]。

この本は、ロシア皇帝イワン4世の100の問いに対する答えの形で構成されている。各章を貫く一貫したテーマは、「神権」と「王国」との間のビザンチンのシンフォニア(調和)である。

『百章の書』は、ギリシャや他の東方正教諸国で受け入れられていたものを犠牲にして、現地モスクワの儀式や習慣を正典とした。結果として、この教会規範はアトス山に住むロシアの修道士たちには決して受け入れられなかった[2]。

17世紀半ば、古儀式派はニーコン (モスクワ総主教)の権威と教会改革を弱体化させるためにストグラフ派を擁護した。1667年のモスクワ大会議では、ストグラフとその実践を異端として非難し、この本の使用を200年間禁止した[3]。 これは古儀式派(Raskol, раскол)として知られるロシア教会の大分裂の一因となった。

ストグラフの写本は少なくとも100冊あり、それらはすべて古儀式派によって作成された。18世紀と19世紀の公式の教会歴史家 (プラトン・レフシンなど) は、これらの文書を偽りのものとして切り捨てた。それらの信憑性は1863年に歴史家のイワン・ベリャエフによって再確認された[4]。

References:

[1] Jack Kollmann. The Moscow Stoglav ('Hundred Chapters') Church Council of 1551 (Ph.D. diss., University of Michigan, Ann Arbor, 1978).
[2] Steven Runciman. The Great Church in Captivity. Cambridge University Press, 1985. Page 329.
[3] Cambridge History of Christianity: Volume 5, Eastern Christianity. Cambridge University Press, 2006. Page 320.
[4] Просмотр документа - dlib.RSL.ru

[ wikipedia; Stoglav (Hundred chapters) ]





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