ロシア宇宙主義についてのノート・調べものメモ

ロシアの宇宙主義者たちノート, 参考資料

バガヴァッド・ギーター 第12章


George Youngは「4.2 ヘシカズムの二人の偉大なロシアの聖人」で、サロフのセラフィムの提示する考えと、バガヴァッド・ギーター第12章の類似性を指摘している。
We cannot help but note how similar this passage is to the one describing the enlightenment Arjuna receives from Krishna in Book 12 of the Bhagavad Gita.

この一節が、バガヴァッド ギーターの第12章で、アルジュナがクリシュナから悟りの説明を受けている一節といかに似ているか留意しておこう。

[George Young: "4.2 Hesychasm; Two Great Russian Saints" in "The Russian Cosmists", 2012]

比較のため、以下に日本語訳をメモしておく;
バガヴァッド・ギーター 第12章

アルジュナはいった。
このようにたえずつとめて、誠信をささげておん身を信奉する者と、不滅の非顕現者(を信奉する者)のうちで、より実修(ヨーガ)の通暁した者はいずれでしょうか。(1)

聖バガヴァットはいった。
意(マナス)をわたしに向け、つねに実修を修めて、最高の信心をそなえてわたしを信奉する者は、最もよく実修を修めた者と、わたしには考えられる。(2)
しかしながら、不滅、不可表現、非顕現、あらゆる場所に遍満し、不可思議、不変、不動、永遠なるものを信奉する者、(3)
すべての感覚器官を抑制し、すべての対象を平等に見て、一切有情の利益を喜ぶ者、--- 彼らは必ずわたしのもとに到達する。(4)
心を非顕現なものに専念させる者の苦労は、さらに大きい。なぜなら、非顕現なるものの境涯は、肉体を持つ者には到達しがたいから。(5)
これに対して、すべての行為をわたしにささげて、わたしに専念し、ひたむきな実修をもって、わたしを瞑想しながら信奉し、(6)
心をわたしのみに向ける者を、プリターの子よ、わたしは死の輪廻海から、ただちに救い出す。(7)
心をわたしにのみ向けよ。理性をわたしに専念させよ。そのあとで、おまえはわたしのなかに宿ることになろう。(これについては)少しも疑いはない。(8)
ダナンジャヤよ、もしおまえが確固としてわたしに心を集中できないなら、反復的心統一の実修によって、わたしのもとに到達するように望め。(9)
もし、おもえが反復的心統一さえできないならば、わたしのための行為に専念せよ。わたしのための行為を行うだけでも、おまえは完成に到達しうる。(10)
もし、わたしへの誠信によりながら、これさえおまえにできないならば、自己(心)を統御して、あらゆる行為の結果を捨離せよ。(11)
なぜなら、知識は反復的心統一よりすぐれ、瞑想は知識にまさり、行為の結果を捨離することは、瞑想よりすぐれ、捨離からただちに寂静が生ずるから。(12)
すべての有情に対して憎しみをもたず、友情に富み、あわれみの情にあふれ、苦楽に対して心を等しく保ち、忍耐強く、利欲と我執を離れ、(13)
つねに心が満ち足り、実修を行い、心を統一し、強固な決意をもち、意と理性とをわたしに向け、誠信をささげる者、彼はわたしにとって愛しい者である。(14)
世間から嫌われず、また世間をもわずらわさず、喜びと怒りとおそれと悲しみを脱した者、彼はわたしにとって愛しい者である。(15)
少しも期待をいだかず、清浄であって用意周到、公平であって動揺を離れ、すべての意図された行為を捨てて、わたしに誠信をささげる者、彼はわたしにとって愛しい者である。(16)
喜ばず、憎まず、悲しまず、期待せず、善行・悪行を捨離して誠信をささげる者、彼はわたしにとって愛しい者である。(17)
敵と友とに対して平等、名誉・不名誉とに対してもまた同じく、寒暑、苦楽に対して心を等しく保ち、執着を脱し、(18)
非難と賞讃とを等しくみて、沈黙し、何ものにも満足し、住居(すまい)をもたず、堅固な心で、誠信をささげる者、彼はわたしにとって愛しい者である。(18)
しかし、いままで述べた不死の(状態に到達させる)この正法を信奉し、信仰心をもってわたしに専念し、誠信をささげる者、彼はわたしにとってとくに愛しい者である。(20)

[ 長尾雅人, 服部正明: "世界の名著1 (インド思想の潮流), 中央公論社, 1969 ]

なお...
書名は、教えを説くクリシュナが「バガヴァット」(幸あるもの、神)と呼ばれたことにもとづくもので、「ギーター」は「歌」の意。直訳すれば、「幸あるもの(神)の歌」である。全18章700詩節からなる小編で、『マハーバーラタ』第6巻の第25-42章を構成しているが、単独の書として広く読まれている。現代インドでも尊重され、イギリスからの独立運動で活躍したガンディーの思想を支えたことでも有名である。インドだけでなく、西欧でも広く読まれている。

[ 野沢正信 :"インド思想史略説, 第4章 ヒンドゥー教, 第3節 マハーバーラタ, 2.バガヴァッド・ギーター" (2015) ]

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