フロアボール用品の情報集積サイト。…といいつつ実質は管理人の書き留め。Exel, Fatpipe, Oxdog, Salming, Unihoc, Zoneの主要ブランドが対象です。

現状

合成樹脂
ゴム
熱可塑性エラストマー
熱可塑性樹脂
(プラスチック)
粘土状・粘弾性
ゴムとプラスチック両方の特性
靭性・弾性・しなり
フロアボールのブレードに利用できる素材は熱可塑性樹脂に限定されている。
しかし、素材について掘り下げていくとこのあたりの区分はかなり曖昧で、密度や発泡率の違いが変わるだけでもエラストマー寄りだったり、逆に樹脂寄りになったりすることが分かる。

ブレード素材として採用されている樹脂はポリエチレン(PE)ポリプロピレン(PP)の2種類だけで、各ブランドに違いがあったとしてもこの2種類の樹脂の混合率や密度だけである。
  • 最も加工がしやすく、安価で広く使用されているPEの例
    • HDPE 高密度ポリエチレン・・・硬い、弾性が高い →電子機器の外殻
    • (MD)PE 中密度ポリエチレン・・・中間 →ハッ○ーセットのおもちゃ
    • LDPE 低密度ポリエチレン・・・軟らかい、弾性が低い →ジップ○ック

2〜3年でシャフトが数十グラムも急激に軽くなったおかげで、ブレードに採用する熱可塑性樹脂の種類を再検討する時期に入りつつある。
シャフトだけが一方的に軽くなっていくと、スティックの重心がどんどんブレード側に寄ってしまって扱いづらくなるからだ。
また、シャフトの軽量化に伴って使用される部材の量が減少したことによって振動減衰性が低下し、これまで以上にブレードから手元に伝わってくる振動が大きくなってしまっている。
それを解決するためにいくつかのブランドはブレードの樹脂密度を下げたりしている。
ブランド側は当然そのデメリットも承知でそういった改善策を打ってきているが、残念ながら決定的なソリューションを提示できていない。

しかし、今後の採算や量産化の方向次第では現状が改善される光明もある。
(と私は勝手に妄想している)

主にブレードに用いることができる素材

Pebax ぺバックス

様々なスポーツで採用実績があり、成型性も良好なエラストマーとして知られる。
Arkema S.A.が製造する素材である。
他の樹脂素材に対して20%軽いにもかかわらず、他の物性をほとんど犠牲にしない。
  • 反復曲げサイクルにおいて非常に効率的な反発特性を発揮する(優れた耐屈曲疲労性と反発弾性)。
    =エネルギー損失が少ない
  • ポリアミドに起因する靭性と、ポリエーテル/ポリエステルによりもたらされる柔軟性/弾性とを高い次元で併せ持つ
  • 容易かつ柔軟な成形加工性を持ち、他の樹脂素材との複合化や混合が可能
    (製造ラインに組み込みやすい、ブランド色を出しやすい)

Pebaxプレートをインサートしたシューズ、Pebaxフォームをミッドソール部材にしたシューズは、今日のランニング界においてトレンドとなっている。
英語発音はピーバックスまたはピバックス。

Graphene グラフェン

蜂の巣のような六角形の構造が規則正しく平面上に繰り返された、2次元の原子シートである。
その構造上、存在する物質の中で最も薄い
物質として最も軽い上にダイヤモンドより硬く、鋼鉄の200倍の強度が特徴。
先端素材中の先端素材で、2004年になってようやくグラフェンの採取方法が確立された。
この功績によって2010年にはAndre Geim氏とKonstantin Novoselov氏がノーベル物理学賞を受賞している。

工業化には成功しているものの、例えばグラフェン単体でシャフトを形成できるような大きさでの量産化には成功していない。
(作れたとしても剛性が高くなり過ぎて実用性皆無のシャフトになってしまう)
しかしながら粒子状(粉末)での量産はすでに行われていて、レーシングタイヤブランド伊Vittoria社の製品に使用されている。
テニスブランドHead社はすでに一般顧客向けにラケットを販売している。
また英inov8社はMITとの共同研究の結果として、トレランシューズのラバーコンパウンドに混合することに成功した。

熱可塑性樹脂に混合することで、耐摩耗性・耐衝撃性・剛性・軽量性・振動減衰性etc...を飛躍的に向上させることができると見込まれる。
また、カーボン素材をシャフト(円筒形)に成型する前に、中間材として働くエポキシ系樹脂とグラフェンをカーボン素材に予め一緒に浸潤させておくことで上述のような恩恵を受けることができる。
難点があるとすればコストと技術的難度の高さである。

Cellulose Nano Fiber セルロースナノファイバー

CNFは木材やサトウキビから作られるスーパー繊維で、カーボンファイバーと同等以上の物性を持つ。
それでいながら一部製品においては、食品や化粧品に添加することも可能な極めて高い安全性がある。
植物から作られるため、製造・廃棄における環境負荷も非常に少ない

左:一般的なEVAフォーム、右:FlyteFoam(改良前)

Asics・星光PMCは改良したFlyteFoamの発泡材量の一部(STARCEL)として実用化している。
STARCELとは、「PEPP等の熱可塑性樹脂と溶融混練することでミクロン単位であったCNFをナ ノレベルまでに解繊すると同時に樹脂中にCNFを均一分散させることを可能とする技術」である。
また国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)がシューズの部材に添加する研究を行っている。
量産体制がさらに整えば、カーボン素材よりもさらに安価に利用できるといわれている。

※改良前のFlyteFoam

Polytetrafluorethylene(PTFE) ポリテトラフルオロエチレン

GORE-TEXeVentといった高品質防水透湿ウェアや医療用カテーテルの素材(ePTFE)として利用されている。
低摩擦性に優れていて、工業機械などのすべりを助長させる目的で使用されることも多い。
ブレードのヒール部文にPTFEをコーティングすることで、スウィング速度の低下を抑制することができると考えられる。
(ブレードテープとして最適な性質をもつ素材)

シャフトに用いることができる素材

Dynanotex

Cristex社が製造するカーボンシートで、Textremeの類似技術である。
Textremeと同じく一方向シート(UD)を作るシステムが中核となる。
  • 従来のカーボンシートよりも最大35%薄い
  • 機械的性能の向上
  • 繊維層間強度のの向上
  • 中間材の繊維含浸の改善

グリップテープに用いることができる素材

D3O ディースリーオー

2014年に英国女王賞を受賞したスマートマテリアル
普段は柔らかいが衝撃を受けたときにだけ分子結合が強化される特殊な性質を持っている(ダイラタンシー現象)。
加工状態にもよるが、ドロドロの原液状からプロテクターにも使用できる柔軟な防護素材、果てはシート状のフォーム材などのバリエーションがある。

グリップテープの緩衝材として使用することで、ただ握っているときはソフトな感触、ボールを打つ瞬間にだけソリッドな感触を提供することができると考えられる。
デモ動画の落球実験でEVAはタイルを割ってしまう。それに対してD3Oはタイルを割らず、しかもEVAより高く鉄球を跳ね返している。

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