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kusakidoshoten 2020年04月02日(木) 00:44:04履歴
この倉庫は、下書きでして、それはWIKIにあげずに、どこかにメモしておけば?と訝られる向きもございましょうが、画像の大きさをはじめ、サイドメニューを実際入れた形にしてみないと整形ができず、お見苦しいところをご覧に入れております。正式頁に移動してからお読み頂ければ幸いです。
ググル
店舗開業から一年 時代の流れに棹さして
『青春の町』高円寺と『無暦堂』さんの思い出
寺院の
昔の人は少しも求めず。
ただありのままにやすくつけけるなり。このごろは深く案じ、
才覚をあらはさんとしたるように聞ゆる、いとむつかし。
人の名も目なれぬ文字をつかんとする、益なき事なり。
何事も珍しき事を求め異説を好むは、
「送料が売価を圧迫し通販も限界。これからは原点回帰の『店』だ」と大見得を切り、丁度一年前の1月、実店鋪開店した。その四度目の古本屋開業から、速や一年。この
対象の懸案について、凝念していれば、道は開けるのが森羅万象を貫く道理であります。(実はそんなに大層な事でもないのですが...(笑))
[古本の店売りだけでは、家賃分が出ない」というので、ネット販売(以前は目録通販)や「古本市」など出張販売でその赤字を補填して営業してきたが、それもついに一線を超え、「自宅でネット販売一本に絞る」というスタイルにまで後退してきたのが、昨今の古書業界の形だった。これに一石を投じようと「ヤッパ店だよ」というアンチテーゼを掲げ、更に自ら実践した身を切る実験でも、店売りでは到底食べていかれない事は実証された。
そこでだ。店-畳む-自宅に籠もるという発想を逆転させて、【自宅を無くして店に住む】と考えれぱ、本屋を続ける事が可能ではないか?と提案したい。
そもそも、爺の店は、過去三度とも「住付貸店舗」だった。所帯持ちでも、店の裏に一間、２階に二間もあれば大好きな仕事が出来るのだから良しと言えよう。ましてや、独身であれば、居住空間き３畳で十分。立って半畳、寝て１畳である。「住付店舗」。出久根さん、虹さんなど古本屋は言うに及ばず、昔のお爺の２軒目の店は、店が3坪、この真上に６畳があると考えて欲しい、店の帳場の裏に３畳のPCやFAXなど完備した事務室兼食事場。台所とトイレで３畳分あり、垂直に近い階段を登った２Fに６畳間。ここに二段ベッドを置き下段部分に目録品の在庫を置き、上段はカミさんと愛犬の寝床。店の真上の６畳は、ほとんど本で埋め尽くされ、ダンボールの間で爺が寝ていた。この時代も極貧だったが、命ギリギリ働いて、振り返れば楽しい時代だった。台所の裏手には小さな庭もあり、ここにクロガネ倉庫を建て『スーパーダイエー古本市』用の在庫50函積んでいた。
当時「店舗に住む」というオーソドックスな案を進言した仲間の事を思い出す。まだ東京組合中央線支部に在籍していた頃だ。当時「早大三羽烏」実の名は「円居、無暦ご両人はまたここでも、支払いは月末でいいよ、という優しい定食屋さんとスナックを近所に持っていて、まこと羨ましい限りだった。
無暦さん、一度小田急デパート展の直前に、講談社学術文庫を大量に持ち込まれた。この時も売り主の方が「支払いは、売れてからでいいよ」と言ってくれたらしい。勿論バカ売れしたのは言うまでもない。爺と違い「人徳」があるのに違いない。誰もが彼を助けてあげたくなるのである。
爺、49歳の時、癌になり生死を彷徨ったのだが、何とか一命をとりとめたその翌年、完治せずヨロヨロしながら「所沢古本まつり」に参加していた時分、無暦さんが疲れ果てた感じでバックルームに
本屋になってから、こんなに悲しんだ事はなかった。自分が癌になった時より辛かった。野田市の斎場で葬儀があったのだが、無暦さんのご親族の方が「こんなにみなさんに慕われていたのですか!!」と驚かれた位の参列者の列だった。支部の仲間は勿論、属していた資料会のメンバーも涙涙であった。多分、前年私が死んでも、こんな悲嘆に包まれた葬儀にはならなかったと思った。やはり「人徳」である。
中央線支部の機関誌部を任されて「支部報」を出したのだが、その中で『店名ベストワン』を決定した事がある。「本名派」(山岡.えびな)・「地名型」(穂高書房)・「動植物型」(楽古堂.うつぎ書房)・「文学系」(畸人堂.円居)、そして「概念派」(千年堂.独楽書房.ユマニテ)と分けて候補を絞り、全体で栄えある第一位に輝いたのが「無暦堂」さんだった。(私の独断で決めただけなんですけどね...「本名」の両名は機関誌部理事だったので...)当店なども、「何とか自分の想いを店名に託して...」なんて事を考えて呻吟した口でありますが、兼好法師も言っているように、本名を店名にしている方が一番「渋い」上に、昔も今もみな商いに成功してらっしゃるんですがね。(当地の一流店、今井・佐藤両店とも「本名派」)
これからの古本屋の実店鋪は?という命題に突き当たっていたら、やっぱり懐かしい無暦さんの事が思い出されたので、少しエピソードを書き記してみた。
「店に住んで経費削減!!」今、商店街は危機に瀕していて、街中空き店舗が目立つ。格安物件も多い。今、5万円のアパートに住んでNET販売をしている、というような場合は、あと1〜2万上積みしても、住付店舗に移転されたらいいと考える。勿論ここを基点にNETも外売もやるのである。結局「ふりだしに戻る」しかない、という、至極単純な結論。それが一年間、実店鋪を開いてみた結論であります。「なあんだ」という感想が聞こえてくるようですが、古本屋を続けたい、古本屋として死にたい、という熱い想いはこの方法でしか貫徹できないのだと確信しています。
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※画像2枚目は草木堂最初の店。1984年6月24日12時開店のスナップです。早速友人が駆けつけてくれた集合写真も左に足しておきましょう。皆若かった。何時の時代も女性陣に助けられて生き延びて来た爺であります。女性陣、この中でお一人は、すでに多発性側索硬化症で亡くなりました。女性陣には、ロックバンドを組んでいた時代から「面子があるから、男連中には借りられん」なんて甘っちょろい事を言って、借金したりメシを食わせてもらったり...。まあ有り体に言えば、ヒモですな。何時も無謀な事を始める私にオナゴ達は文句を言いつつも加勢してくれます。まあ爺が「ヤル」と言い出したらきかないので諦めているのだろう。※私が組合加盟した年の「支部報」編集は出久根達郎氏。私のとは格段に格調高い編集でした。翌年には、上に貼った「中央線沿線古書店ガイドマップ」が発行された。これには当店も掲載に間に合いました。高野哲夫さん、鳩書房の高橋弘氏、沼袋の北原奉昭さん(なんでも鑑定団の北原氏の兄)それに若くして亡くなった、狛江の田中順氏。筆頭に大御所竹岡昭さん。そして出久根さんが編集に名を連ねています。マップ欄外の、ミニ情報がいかにも出久根さんらしい。
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※徒然草、橋本治(文)・田中靖夫(絵)の、現代語版。古文苦手な方にも楽しく読めます。笑えます。
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◆ただ中野区の都立家政商店街のはずれで営業していた時、伊豆の山中に自宅を構えたので、ここと半々に移動する暮らしとなった。更に熱海に店を構えた時は、自宅から車で20分程の通勤をしていた。ただ、冬場は雪が降ると、山道は登れなくなるので、店の裏の居住空間に数日寝泊まりした。また毎週、神田の中央市に参加していたので、車に本を満載して朝6時に出発するから、前日は店に泊まったものだ。月２回の沼津の市場の前日も店泊まりである。無謀にも、年４回の西部古書展にも参加し続けたので、この会期中も店から、初日最終日(搬入-搬出)はライトエースで、初日は、懇親会で飲むので新幹線通勤した。(爺、旅館、ホテルにひとりで泊まる事ができないので、最終で熱海へ帰った)熱海店は爺の古本屋人生で一番気に入った店で、15坪で4万円。冬でも床からポカポカとしている温泉地。平成元年当時はヤオハンだけで、スーパーの競合が無く、日本一物価が高い、とか言われていたが、マックスバリューが
◆スーパーの古本市は「明日から来て」と呼ばれても、受けなくてはならないものだった。常時値付け済みの函、50函ば準備していた。
◆業界で成功しているのは、国学院卒が多かった。三羽烏の内、爺以外の二人は、確か北九州の進学校、八幡高校の同級生だったと記憶する。大学では、爺の方がかなり先輩だが、古本屋としては、円居さんの後輩である。爺も長く田無に住んでいて、フリーペーパーに若者が古本屋開業という記事が載り、「先を越された」と読んだものだ。丁度、爺も開業を夢見たのだ。それの若者こそが円居さんだった。その記事は爺どっかに保存しているはずだ。
◆癌から復帰したものの、金木さんや真理さんなんかのお陰で、「所沢古本まつり」に、参加できていた。
◆店を構えるのは、地域貢献なのである。蔵書の整理の依頼を受け、困難にはなっているが、何とか次世代に、文化遺産を引き継ぐという、大事な仕事をしてこその古本屋稼業ではないだろうか。「世の為になっている」というのが、人間最大の生き甲斐だと信じる者である。「利他」の人生、必ず天は見捨てないだろう。
◆ねじめさんが「高円寺純情商店街」で直木賞をとって、高円寺銀座商店街も名前を変えました。(庚申通り商店街はまだあるのだろうか?)私は自転車で都立家政から通ってました。当時30代の爺は、諸先輩がキープしてあるボトルを頼りにレーザーカラオケを歌い狂っていたものだ。全部飲まずに残しておくのが手である。「あれー、こんなに飲んだかな?」と先輩方は首を傾げるが、なにせこちとらは、三羽烏の筆頭でありますので...「この間はメチャクチャ飲んでましたよお」と誤魔化す訳であります。いい時代でした。高円寺は「青春の町」だ。
昨年1月末から、門司の黄金町に新規に店を開き、週3日営業を始めた。13時から17時、これ以上は体力的に無理である。癌で胃を全摘しているので外食ができない為、自宅で30分かけて昼食を摂る。更に同程度は横にならないと腹痛を起こすので、13時開店が精一杯。また夕食の為、17時30分には閉店して、自宅に戻らねばならぬ。店を覗いてみたい、と考えておられる方には、極めて短い営業なのでご迷惑をおかけしている。
古書店にみえるお客様の集書分野は、実に多岐の分野に亘っている。商いはすべてお客様次第だから、古本屋の主は、どんな会話にも付いていかなくてはならない。今回四度目の開店をしてすぐ、JAZZ好きの方が来店された。音楽の中で不得手なジャンルだったから、入門書を漁り、また市場でJAZZのCDを落札しては聞き込み、付け焼き刃にしろ、JAZZ全体の流れは掴むことができた。それで別に好きになったという訳ではない。仕事である。35年間こんな具合に、お客様のニーズに合わせて、鉄道関係、アイドル写真集、書道、翻訳文学...と広く浅くではあるが、頭の隅に叩き込んできた。どんな分野にも、概説の書はあり、歴史と評価が掴めれば、自分なりの古書価を付けられるようになるものである。
そんな爺が好きで読む本、といえば、何を隠そう「捕物帳」なのである。病院入院中も、こればかり読んでいた。暇な催事や売れない店番の時も、捕物帳が最高の友である。多くは短編なので、仕事の合間に読むのに丁度いいのである。大好きだった漫画家で考証家の杉浦日向子さんが「江戸時代に若旦那として生まれたかった」とおっしゃっていたが、爺も同感で「江戸時代にタイムスリップしたい」と言っていたが、思えば当家は僅か数代前「士族」だったから、詰まらぬ失態で切腹はイヤなので前言を取り消した事があった。
「捕物帳」今までは、ただ乱読して、「これはチョット面白い」「これは全然ダメ」と大半は読み捨ててきたが、少し系統だって考えてみよう、という気にさせられたのが、「釘抜藤吉捕物覚書」だ。店主が読んだのは、河出書房刊の昭和40年発行の「一人三人全集」の、林不忘(時代・捕物)の巻。二段組で細かい字なので、老眼には難儀だったが、これが実によく書けている。
【釘抜藤吉捕物覚書】全13話
◆01 のの字の刀痕◆02 梅雨に咲く花◆03 三つの足跡◆04 槍祭夏の夜話◆05 お茶漬音頭◆06 巷説蒲鉾供養
◆07 怪談抜地獄◆08 無明の夜◆09 怨霊首人形◆10 宇治の茶箱◆11 影人形◆12 悲願百両◆13 宙に浮く屍骸
※ネット上に14話、と記載されているサイトもあるが、全13話が正確なところである。
その巻末に「半七と右門のあいだ」という題で、都筑道夫先生が解説を書かれていたのである。ちゃんと考える人は考え、資料に当たられているのだ。以下はその要約である。
日本のシャーロックホームズ物語を江戸を舞台に置き換え、見事にモダンディテクティブストーリーに仕上げてある名作「半七捕物帳」。話が派手で、発端が異常なだけで、適当に事件を解決してしまう佐々木味津三の「右門捕物帖」。パロディとしてなら成立するが、とても推理小説としては成立していない。小説の発表順序としては「半七」「藤吉」「右門」と連なっていくのだが、林不忘の「藤吉」は、ディテクティブストーリーでありながら、時代小説を意識したあまり、推理小説らしさを希薄にしてしまったところなどが、「右門」へ繋がっていったのだと思う。捕物帳を推理小説とは認めないファンが時おりいるが、久生十蘭の「顎十郎捕物帳」や坂口安吾の「安吾捕物帳」のように近代推理小説の骨格をそなえたシリーズがちゃんとあるのだから、なおざりにしていいはずがない。
と記しておられる。慧眼であろう。林不忘・谷譲次・牧逸馬と使い分け全く別のジャンルの小説を書きまくった天才長谷川梅太郎。都筑道夫先生だって、ミステリからSF、捕物帳まで自在にこなし、一人雑誌という本まで出された超人的作家だ。半七の正統的後継作、「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズは、店主も繰り返し繰り返し読み続けている。「からくり砂絵」がシリーズの中でも傑作揃いの一巻である。再三装幀を変えて出されているが、角川文庫の最初の山藤章二氏のカットのものがやはりいい。本文の行中にも山藤さんのカットが入っているのだ。
ちなみに「半七」「藤吉」「右門」「銭形」の初出の年を記載しておこう。
| シリーズ名 | 発行年 | 掲載雑誌 |
| 「半七」 | 大正6年 | 「文芸倶楽部」 |
| 「藤吉」 | 大正14年5月 | 「探偵文芸」 |
| 「右門」 | 昭和3年3月 | 「冨士」 |
| 「銭形平次」 | 昭和6年4月 | 「オール讀物」 |
ビートルズが編み出したトータルアルバムと同じ発想「短編集全体でひとつのテーマを浮かび上がらせる」というのに成功した稀有の例が、泡坂妻夫大先生の「夢裡庵先生捕物帳」である。これは平成に入って、書かれた捕物帳の最高峰だと思う。「びいどろの筆」（1989年2月 徳間書店 / 1992年11月 徳間文庫）
「からくり富」（1996年5月 徳間書店 / 1999年7月 徳間文庫）
「飛奴」（2002年10月 徳間書店 / 2005年1月 徳間文庫）で完結。
2017年12月 「夢裡庵先生捕物帳」として文庫上下巻に纏められ、徳間書店から発売された。捕物帳ファンならずとも、時代小説、歴史小説の読者、江戸大好きの読書子も必読のシリーズだ。僭越ながら、古本屋の爺が折り紙を付ける。一話ごとに、推理する人物がバトンタッチされて行くのだが、どの人も極めて魅力的で、各々を主人公にしても、短編集が何冊もかけそうな人物造型なのだ。大サービスで、まことに勿体ないのである。講釈好きの小僧、蕎麦屋の女主人、医者、読売屋、易者、彫師...まさに市井の人の織りなす大河ドラマとなっていて、こんな素晴らしい了見を持った人々の生き抜いてきた町が、巻末で薩長の
【あとがき】
◆縄田一男の「捕物帳の系譜」もお薦めの研究書。そのあとがきでも触れられている、城昌幸の「若さま侍捕物手帖」・横溝正史の「人形佐七捕物帳」・坂口安吾の「明治開化-安吾捕物帳」なども爺の愛読書。またの機会のお話とさせて頂く。
◆都筑道夫先生に憧れたあまり、爺、ミステリを書く時の筆名を「雪戸毬夫」とした事もあった。あまり縁起のいい名ではないので、現在は「浅賀栗介」で統一している。「山野荘事件シリーズ」などホームページに連載を載せたりしたが、全く反響なしだった。(笑)浅賀栗介というペンネームだけでも、登録商標化しておいたらいいかも知れないね。
◆当家のルーツを探ってきて判明したのだが、ご先祖は父親が常々言っていた「水戸天狗党」ではなく、江戸詰めで「大発勢」として、那珂湊辺りで戦死、もしくは獄死したようだ。砲術.鉄炮関連の隠密同心という事であった。もちろん下級武士である。
[幕末の水戸藩の騒乱-大発勢]
江戸藩邸の主導権をにぎった尊攘派鎮派は、藩主徳川慶篤にせまって藩内抗争を武力で収束することになり、支藩宍戸藩主松平頼徳を将とする部隊が水戸にむかった。これを大発勢という。水戸の鎮派を結集した武田耕雲斎の部隊も江戸へむかう途中で、幕府軍に進路をさえぎられ、大発勢に合流した。水戸城に迫った大発勢は、諸生派に入城をこばまれ、やむなく那珂湊にしりぞいた。天狗党もここに接近して、大発勢を支援する姿勢をとった。幕府軍は水戸の諸生派と連携して大発勢を包囲し、松平頼徳を誘い出して切腹させた。幕府軍はさらに那珂湊の大発勢と天狗党に総攻撃を加えた。....騒乱の鎮圧に向かったというのに、巻き込まれて、非業の死を遂げた、あまり釈然としない部隊であった。ちなみに、松平頼位(頼徳の父)の三女、松平高を母とするなつの孫が三島由紀夫である。尊王思想の原型がここにあるやも知れない。
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もうろく じじいの もくろく ばなし
【耄碌爺の目録噺 (七)】
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もくろくにくろくも
目録に黒雲
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2011年物故者追悼 立川談志・スティーヴ.ジョブズ
メモリ増設、ピーラムクリア、サッドMacでチャラリラリン。よいしょ。
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実は爺、作文の際には「現物主義」を貫いてまして、伝聞や、ネット上の記事から引用するのを、なるべく避けておるんです。ですから、このコラムで取り上げた書籍も雑誌も古書店目録も、手元にあるのでして、ご注文頂けるなら、お売りできるのであります。是非お買上げ下さいませ。コラムにとりあげて即座に売れましたのは、「ビブリア古書堂の事件手帖」。これは新聞広告によると、87万部突破とあり、読んだ方は、古本を含めるとゆうに100万人はいる勘定。すでにPart２も出まして、爺、今日入手しました。今夜の酒の友にしようという段取り。「ビブリア古書堂の事件手帖」、短編の各編にはいわく付きの古書がテーマとして置かれるのですが、今度のは古本屋、ちと困りました。第二話が福田定一の「名言随筆・サラリーマン」の巻。これ爺が長年、どこの古書市場の雑本の山も、街の古本屋の均一台も丁寧に必ず見るようにしている最大の理由。目当ての中の一冊で、あああ、じきに100万人に知れ渡ってしまうか...!本稿「ビブリア古書堂2」のネタばれになりますので、必ず読んでから、お進み下さい。(推理小説の紹介は隔靴掻痒になるのも、仕方ない所ですなあ。)
「ビブリア古書堂2」を読まれた後は、必ず新旧「時計じかけのオレンジ」が読みたくなるはず。はいこれ在庫ごさいます。(旧版735円・新版315円/送料80円)
先日、小倉の市場で司馬遼太郎の特集雑誌を一口落札した。新人物往来社の「全作品事典」・朝日出版の「司馬遼太郎の世紀」・文藝春秋の「司馬遼太郎の世界」・中央公論の「司馬遼太郎の跫音」なんかであります。「名言随筆..」、どの雑誌も年譜にはしっかり、昭和30年本人名義で六月社から発行、などとあるのですが内容など取り上げられたり、部分的にも再録されている節はありません。ただ、文藝春秋は中程20pのグラビアが【福田定一から司馬遼太郎へ】というタイトル。1923年から1996年までの著者の貴重な写真が掲載されています。ハイ、在庫ございます。
「名言随筆・サラリーマン」は、【DO楽】というサイト[神田古書街で司馬遼太郎の作品を集める]という特集で、厳南堂書店、西塚さんが書影を紹介しておられるので、カバーデザインは確認できます。ちなみに古書価は30万円。爺、当然手にした事も読んだ事もない。100円均一の台にポロッとあるんじゃないかと、探し続けて三千里、苦節20年....、って、ただざっと眼を通せばいいのだから、苦労の内には入りません。ネットからの引用は避けたかったのですが、現物が到底入手不能につき、ご容赦下さい。とここまで、長いまえがきと言い訳。今回は「えびな書店目録」の巻だったのですが、同目録の写真版でどうにも気にかかる一枚があった。小杉放庵の書簡。その文面が気になって、ここは押川春浪の「本州横断癇癪徒歩旅行」に当たらねば、という仕儀になり、 朝日ソノラマの横田順彌著 「[天狗倶楽部]快傑伝-元気と正義の男たち」に再録されているというので、これをば読まん、と現在入手中。あくまで実物の本を確認の上、紹介するのが努めと、つと思うのでありますが...
で「えびな目録」を休みまして、昨年11月21日に立川談志が亡くなった話なぞ、手元にあるだけの現物を写真に撮りまして、ひとつやっつけようて寸法で。立川談志落語集 「定本九州吹戻し」という本が在庫してたんすが、読んですぐ売れまして。よくもまああんな噺を覚えるもんだと、落語家ってえものは偉いもんだ、と感服しました、が手元にないので、余り書かない。手拭い入りのCDボックス、も売れました、「現代落語論」?「売れました」。「談志楽屋噺」」?「売れました」。なんかないの?糠床の底の方かき回したら、大根の尻尾かなんか、え?「全部頂きました」しょうがないねえどうも。【今朝寒く 談志が死んだ 酌むさ酒】 東京都は千葉速人さんの川柳。
11月の26日の朝日川柳に載った回文。[だんしがしんだ]まではアタシもこさえてた。"今朝寒く-酌むさ酒"かあ。てやんでえ、寂しいな、ときたもんだ。しかし、戒名がスゴイね。"うんこくさい"ですからね。参りました。家元には足元にも及ばないよ全く。
講談社の読書人の雑誌『本』。堀井さん曰く、名人たちの落語を寄席で聞いたことない人に、CDやDVD薦めるのは考えものと。完璧にはその良さが分からないはずだから、という。藝は一代で消えていくものでいいんで、聞いた我々の記憶の中に残っているので充分。現物主義だ。爺は、圓生も文楽も金馬も志ん生も、リアルタイムで聞いてきたので、CDでも速記本でも何でも集めて楽しんで許されるのだな。古い人間で良かったのだ。
家元も逝っちまったが、去年10月5日には、スティーヴ・ジョブズも亡くなった。別に涙が出る程、悲しくもないが、この天才のせいで、世の中すっかり変わっちまった。音楽や本の世界、古書業界も。そして、理数赤点、メカ音痴、質実剛健、堅忍力行、忠孝仁義、守旧保守を絵に書いたような爺自身も、コピペですよ。メモリ増設、ピーラムクリア、サッドMacでチャラリラリン。よいしょ。ジョブズ。世界中で追悼の記事が出て爺の出る幕はないが、朝日新聞の別刷紙グローブ、11月20日号。ニューヨークタイムスの記者ヘザー・ハブリルスキーの分析、「吸血鬼」=ジョブズ「ゾンビ」=ゲイツ、は楽しめた。
BEATLESならジョンが吸血鬼でポールがゾンビという訳だ。まあこういう類型化はお遊びの域を出ないが。ウィンドウズにいいとこ持っていかれた頃のMacは[ゾンビに油揚げさらわれた]という所か。
まだ我が家には、沢山のMacファミリーが健在です。オムツカバーと嫉妬から酷評された把手の付いたシェル型iBook・アップルストアから買ったM7707J/A-iBook・iMac DV-SE グラファイト・現役主力のeMac...沢山の家族が色々な名前で、毎日ジャーンと起動音を響かせてます。シェル型iBookは、新宿のソフマップで買って、西武新宿線に乗って家路についたら、前の座席に自慢気にタンジェリン(オレンジ色)iBookのをむき身で膝に載せている美少女と眼が合い、微笑みあったのが懐かしい。PCが輝いてた時代。途方も無い可能性があるなんて、錯覚でしたな。(苦笑)思い起こせば1994年春。[Macintosh-SE]を友人から貰ったものの、全く使いこなせないまま、自家目録「泥花」は相変わらずシャープのワープロ[書院]で打っていた。'95・'96と年を経るごとに、これからは絶対インターネットの時代と思い詰め、(爺はよく思い詰める)Macの情報誌の講読を開始。附録の紙製のキーボードを机の上に貼り付けて、いつMacが家に来てもすぐ使えるように練習。"ハリー"と名前も決めてその時を待った。1996年の秋に、とうとう、当時爺が「PCはここに完成した」と宣言、購入決断した[パフォーマー5410]が我が家に到来し「家族」に。ダーティじゃないピカピカの"ハリー"を駆使し2ケ月後の1997年一月、草木堂のホームページを完成させたのですから、素人にしちゃ見上げたもんだよ屋根屋の褌。
ただ、当初、インターネットの言語=HTMLがなかなか飲み込めず、徹夜徹夜で呻吟したもの。爺は9.2.2がMacOSの完成、と悟って、動物園みたいなOSとインテル入ってなんたらかんたら、今までのはゴミと言われても、OSXには馴染めませんでした。あの頃-eMacで、すでにジョブスとはお別れしてたんですな。しかし時を経て、Appleの基幹が今日のようにケータイになってしまうとは思いもしなかった。ちなみに爺は携帯電話は所持しない事にしてるのでiPhoneもお呼びじゃない。SONYが「ウォークマン」を発売した時も、歩きながら音楽を聞くなぞ不埒、と拒絶してきたから、iPodも興味無し。ゴメンネ、ジョブズ。追悼になっとらんな。
7月26日は小松左京氏が他界。小説はどうも肌が合わなかったが「人間博物館[性と食の民族学]」は波長が合った。昭和52年光文社発行、共同討論者は石毛直道・米山俊直という強者。小松左京らの博学と、ユーモアに抱腹絶倒。以下に痛快無比の目次を掲げる。◆一夫多妻制は男の天国か?◆日本のお正月はなぜダメになったか?◆性器加工の儀式「割礼」のすべて◆人は人まで食べていた◆魔女狩り、私刑など裁きのいろいろ◆「いい湯だな、ははん」の歴史的考察◆トルコ風呂こそ、最高の「病院」だ。
坂上二郎、北杜夫、団鬼六、田中好子、市川森一、内藤 陳...昨年の物故者関連の本・CDを挙げ続けたら、終わりがございません。
深く哀悼の意を表しまして、ここいらで、お後がよろしいようで。
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復刻・店主フォト散歩 (記事.写真共、若干の推敲は致しましたが原文のまま掲載)
フォト散歩、コラムなどの撮影に使用しているデジカメは永久に愛用したいQV-2300と2400です。野草撮影には最適。1cmまで接写ができレンズが回転式なので、這いつくばらずにも小さな花を撮影できます。(※今回の復刻に当たり画像サイズ更に変更しました)
今回から、元の画像、少し大きめに変えました。カメラ自体はPCの処理能力上、800×600pixelsで撮影。Photoshopで横サイズなら450に縮小しています。一覧画像、若干ボケたで感じになりましたが、画像クリックして頂けましたら、元の写真は幾分迫力のあるサイズになっていると存じます。また試行錯誤して、より見やすいものにして参ります。WIKI文法上で何かヒントありましたら、ご教授下さい。
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山藍(ヤマアイ)の群生【鷲峰山公園-小倉南区】
[2012年3月3日(土)/曇]
去年同定できなかった野草、ヤマアイと判明しました。
◆北村四郎著/保育社原色日本植物図鑑II-草本編.離弁花類/PLATE18(とうだいぐさ科-ヤマアイ属)
小倉南区、蒲生から、山田緑地、熊谷方面に抜ける拡幅道が整備されましたが、その切通しの上、小倉競馬場を見下ろす鷲峰山(136m)の山頂には展望台があり、観音像が立っています。遠くからご覧になった方も多い事でしょう。私も随分気になっていて、やっと昨年訪れたのですが、途中の崖が崩落し、その復旧工事中で、頂上まで登れませんでした。その登山道の始まり附近に艶々とした葉のヤマアイが自生しています。昨年は花の時期に合わず、葉のみで、図鑑に当たったものの不明のまま。今年は花がついていて、山藍と判明。その群生、壮観です。ちなみに紫川に架かる桜橋のたもとの嵐山の裾にも、この山藍の群生が見られます。どちらも、附近にオドリコソウが咲くので、似た環境なのかも知れません。
野草は移植しても、根付きませんので、自生地であるがままの姿を鑑賞、保護していきたいものです。
登山道、といいますか、散策路横の崖の地層は、崩れやすそうな岩の層からなっています。
鷲峰山の頂上部分は平坦地になっていて、、小倉市街を見下ろす格好の展望台になっています。この日は曇空の上、仕事の関係で訪れたのが夕刻。景観を鑑賞して頂ける程の画面が撮影できませんでした。観音像の足元には三角点の標識。この三角点のある各地の山を踏破する方も多いと聞きます。
この地に立つ平和観音像は昭和39年完成。高さ17.7m。当時としては西日本一の偉容を誇るものだったとか。
側には、野戦重砲兵、第20連隊の慰霊碑「平和の礎」の石碑が建つ。
下山の途中、登りの時気づかなかった植物に出会いました。ハナミョウガ。
実は、この鷲峰山公園の入り口には、大興善寺という名刹があるのです。これはまた、晴れた日にでも、じっくりと再訪する事に致しましょう。
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長泉寺から平和公園-日露戦役戦没者の墓を訪ねて
広寿山-福聚寺の隣には、仏母寺そして、少し山手に玉泉山長泉寺があります。こぢんまりとした本堂全面の扉には、桃の絵、また魚の形をした法具、
それから勝手に店主が「山辺の道」と名付けた、足立山麓の
毎年ギンナンを拾い頂く、平和公園。最近は健康器具が設置され、年配者が楽しく利用しているのを見かける。その公園から道を隔てた崖の下に【日露戦争・満州事変・上海事変 戦病死者の碑】という案内板がある。いまは誰も訪れる人もなく、ひっそりと残されている空間である。
爺の父親も上海事変に参戦した。つごう二度徴兵されたと聞かされた。そこで戦死していたら、いまの私はこの世にはいないのである。
当地で亡くなったロシアのコザック兵捕虜も、日本兵と同様に丁重に埋葬されていて、日本の高邁で気高い人情が伺われる。
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※私、子供の頃から墓所が好きで、後に「掃苔録」などという書物も知るのですが、今も墓場を尋ね歩くと心が休まります。錦織りなす紅葉も程なく散り果てよう。「苦労」や「責任」という荷を背負うのから逃げ、勝手気儘に生き抜いた、面白可笑しいこの境涯も残りわずか。その日が来たら、名残つきねど、お念仏の力で彼岸へ旅立たせて頂こう。見上げれば、雲ひとつない真っ青な空に鳶が舞っている。今日は墓参者がいないのか、線香の匂いが漂ってはこない。枯葉の香りだけが、そよ吹く風に載り香ってくる。今日は本当に、いい一日だった。
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『ノンステップバス ノンストップ』
『大富豪同心』のテーマ曲『夢の振り子』は、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』に似ている。間奏部分にドヴォルザークの『ユーモレスク』と同じフレーズあり。
古本屋の日常は極めて平穏無事で、特段変わった事は起こらないから、日誌形式のいわゆるブログ開設は到底無理である。このコラムは身の回りで見つけた瑣細な事を、余りに凡庸なので「この話、あるいは皆さんご存知でしたかね」と逃げをうっておいて、ポツリポツリと書き記しているのでございまして。「老人の繰り言」。読み流しての、お付き合いを給わりますように。
ネット通販の仕事は、いわゆる居職で、日がな部屋に籠もり、本の撮影-説明書き-ネットUP-受注-梱包-発送...の繰り返しであります。家を出るのは、歩いて5分の特定郵便局まで、多い日で2〜3度出向く時だけ。爺、ご送金頂いたら即発送しないと、気が済まないのである。実は14時と17時にしか本局の集配車は来ないので、さっき出した荷物が窓口の奥に積んであるのを目にする仕儀になる。(笑)
去年から「規格外ゆうメール」が廃止になり、発送の大半が「クリックポスト便」になった。この郵便「追跡番号」が付くのが一番の利点。発送連絡の際、番号をお知らせするから、受付時間がお客様に即時に伝わり、「迅速丁寧」の誠意は感じて頂いていると信じている。当地の方言で申せば「せからしい」
拙宅の老朽アパートはバス停の真ん前。次の停留所が郵便局前。歩道も無い狭い旧道で注意するのは、センターラインの幅も越えるバスである。(バス路線は大体旧道である)ここは主要路線で3系統のバスが次々に来る。上下合わせると、5分に一台は通る。西鉄バスも、最近はノンステップバスというのが増えてきた。年寄りには多少助かるが、低床にしろ、あと何年あの段々を登れる事か...
そのバスが誰もいない郵便局前バス停を通過して、かなりのスピードで走り去ったのである。ここで、天の啓示か『ノンステップバス ノンストップ』というフレーズが閃いたのだ。いつも気の利いた文句を探している身としては、久々のヒットである。コラムは落語と同じで『マクラ』と『落ち』が必須なので、これを見つければ何とか新作をUPできるのだが、どう捻っても『ノンステップバス ノンストップ』では話が膨らまない。『ミケランジェロ イケンジャロ』とか『派遣スタッフ タフ』とかフレーズはそこそこ浮かんではきたが、並べてみても「それがどうした!」である。
それでも何とか月に一度は、野草写真の更新と、コラムの新作を書かねば、とホットカーペットの上でゴロゴロしながら話の種を思案してみた。丁度手元にあったクラシックのダイジェストCDなどを聞いてみたら、まあ小さな発見はあった。
今年唯一のヒット歌謡曲とも呼べるNHK金曜時代劇『大富豪同心』のテーマソング『夢の振り子』。この曲のイントロが、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』のフレーズとそっくり。間奏部分はドヴォルザークの、あの有名な『ユーモレスク』と同じ。というのを発見したが少し地味で、みなさんの諸手を挙げての同意を得られそうにない気がするが、今月は絶不調という事で、ご勘弁願う次第である。竹島宏君歌う『夢の振り子』は今年発表された歌謡曲の中で出色の出来だった。「こりゃ絶対年末の紅白に登場して、中村隼人以下、稲森いずみ、渡辺いっけい、石井正則など出演者が番組の衣裳をつけバックで並んで踊るな」そこだけ見よう、と考えていたのに、何やら局上層部の「演歌歌手は減らせ」という方針で若手演歌歌手は落選。(実はこの曲は、山内惠介君にピッタリの曲で、彼が歌うべきだったとは感じてはいたのだが...それなら紅白でも見られた。)
我々団塊世代の善良なる視聴者を舐めたこの態度では、いよいよ捏造記事専門のA新聞同様、国民からソッポを向かれて、近いうち終末期に突入していくだろう。若年層にスタンスを移す?だと!今時、TVの前に座っているのは年寄りばかりで、若い者はスマホばかり見て、TVなんぞ所有もしていないではないか!!苦肉の策でネットやワンセグからも徴収するとか狂気の沙汰である。国民の善意により成立している協会であったはずだ。
昔『仏のトミさん』の異名をとった郷土の政治家、橋本登美三郎先生が存命の頃は、局内に「橋本会」というものまであり、中立公正を旨とし、偏向報道など許さなかったのだが...ニュースなぞ、今やまるで中共のニュースである。情けない現状である。
爺、ソクラテスに倣い、悪法にも従う覚悟だから、ずっと受信料は払ってきたが、この惨状ではN国の言う【スクランブル放送化】がいいのかも知れない。
『大富豪同心』のテーマ曲『夢の振り子』は、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』に似ている。
この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
追記:サッカーJリーグ、誠に不本意ながら、カープに続き、我がアントラーズもVを逸してしまった。そこに朗報!!来年の元旦は、国立競技場での、天皇杯復活!待ちに待った夢実現だ。12月21日、準決勝の相手はV・ファーレン長崎。ホームのカシマスタジアムでの対決だから、かなり有利とは思うが、J2で唯一ここまで勝ち上がってきたチーム、
今年もプロ野球のドラフト会議があって、CARPは何と単独指名で森下を指名、完璧だった。
去年読売に6位指名された高校生に、戸郷翔征がいた。昨年U18のチームの根尾昂・藤原恭大らから9奪三振を奪った素晴らしい投手だ。来年一軍定着するのでは?と見ているが、彼の出身校は、ウルスラ学園だ。今、読み耽っているのが、『絵画に見る聖書』アダムやイヴや、ヤコブやモーゼが名古屋弁で話す、ともかく愉快な一冊で、笑いながら聖書の全貌が分かるのだから素晴らしい。巻末に、聖人・聖女の一覧が載っている。この聖ウルスラの項があるので、要約して引用してみる。
※気の利いたフレーズ。パロディ曲ならできるのだが...近所に「てるみ美容室」というのを見つけ、早速『てるみ』というスローバラードを作ったが、あざといので、録音には至っていない。"照美よ バック 戻ってくれよ 照美よ バック 帰ってくれよ 照美よ バッグ 返してくれよ"てな悲惨な一曲。ストーンズファンに蹴っ飛ばされるぜ。
こけしブーム再到来?
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こけし、『小芥子』とも書く。発音する時は「こげす」と言うと、東北らしさが出て渋い。
わだすは
わーの好みで言えば、土湯系だべな。胴の模様がスンプルなものがめんこいな。
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今春の「小倉駅ナカ古本市」に某書店がザッと見渡して、なかり筋のいい品ではあったけれど、近年の熊本の地震もあり、不安定な形状の木形子を集めようという方がまだおられるのか?古本市の販売台に占める割合からして、採算に見合うか正直不安に感じたのだ。
爺、これが「遠刈田系」こっちは「蔵王系」と系統は説明できるものの、現在の相場にはすっかり
爺が中野に店を構えていた時分、隣の駅、野方にまだA書店があった。その大先輩の大恩人も『こけし』に詳しく「草木ちゃんも買ってみたら?」と誘われ、まず手引書を手に入れて、少し
工人だ、年代だ、系統だ、と知識は暗記できるけれど、蒐集に当たって肝要な「見極めるコツ」となると、なかなか会得は難しい。本書の結論も、こけし鑑賞、鑑定の結局の結論は「感覚の世界つまり『勘』である」と記されていて、「『直感』を鍛える事しかない」とあり、どんな世界も一筋縄ではいかぬのだ、と嘆息するわけである。まあ良いもの優れたものを数多く見ては手にして、失敗を繰り返してしか、極意は掴めぬという事だけは言える。
さてその「小倉駅ナカ古本市」。いざ蓋を開けてみたら、コケシ、大きなものから小さなものまで、それこそ飛ぶように売れたので、今度はその理由を考えさせられる羽目になり、未だに結論は出ずにいる。単なる一過性のものか?今年、第三次ブームが勃興したのではないのか?現在何万という相場になっているものを、店主が格付けせず均一価格で並べたせいなのか?まあこの辺りが全ての勝因と言えばそうなのだろうが...爺の希望としては、勿論ブーム再燃を望むところである。
実は爺の初任地は山形で、『こけし』の取材は天童の『将棋の駒』づくりと並ぶTV取材の定番だった。後に、バンドをしながらアルバイトに明け暮れた時代、新井薬師の電設会社の仕事で、福島市で当時最先端の『光ケーブル』の融着の仕事をした折り、当初商人宿に泊っていたのだが、吾妻小富士の麓、鄙びた土湯の旅館でもあまり宿賃が変わらない、というので、しばらく温泉から通って仕事をした事がある。(バブリィだったナ)その時、随分こけしの作業場で
蛇足だが、温泉旅館で最初の1-2日目までは、「御馳走に温泉で極楽極楽」と上機嫌だったのだが、日にちを重ねるごとに、鍋の固形燃料の匂いまで鼻につき、御馳走にも飽き、また商人宿に舞い戻った。狭いポリバスに交代で入り、朝晩自分でご飯と味噌汁をよそって、シンプルなオカズで食べる、という暮らしに「やっぱ飽きない暮らしが最高」なんて言うに及んで、全く人間というのは我儘なものであると自戒したものだ。
さて今回の令和最初の古本祭。『こけし』では「春の馬鹿売れの後追い」と言われそうなので、爺、粋に捻って郷土玩具の『土鈴』を取り上げてみた。数が足りなかったので、一台に玩具と版画を並べる事にした。あくまで本屋なので「本」を並べてその現物も、という風にしたいので、版画の奥には『版画芸術』を配し、土鈴の奥には、『版芸術』の「郷土玩具特集號」を配置する目論見だったが、こちらはギリギリ落札できず、次回廻しとした。版画の方は、渡辺省亭花鳥図や、棟方志功のカレンダー分売、歌舞伎座カレンダー分売などが順調に捌けていた。
爺、次回、春の催事に
※追記:玉屋デパートの頒布品らしい湯呑。手に馴染むので愛用している。
底に『タマヤ創業175年祭記念』との記載。以前どこかのリサイクルショップで手に入れたものだ。
『こけし』ばかり気にしていたら、何やら土湯系に
見えてくるから愉快だ。
※福島市の中心部は共同溝が完備していて、暗渠の中にケーブルを這わすので、この部分の作業の時は、東北の冬なのに割と暖かかった。(発電機で絶えずトンネルに空気を送り込む必要はあるのだ。酸欠の危険性が大なのである。)勿論現場が郊外に移ってからは、極寒の中電信柱に登って震えながらの作業もあった。(ビニールで囲いは作るのだが...)
光ケーブルの仕事は確か最初は東京工業大学だったと記憶している。この電設会社は主に警察関連の信号機の仕事が多く、幹線道路のF型や門型なんて大型信号機を取り付けたものだ。商店街の街路灯も受け持っていて、建柱から電球の交換までのメンテナンスをした。世田谷の桜新町ザザエさん通り、平井の商店街、新宿の末広亭あたりの街路灯なんか。
湾岸道路の信号工事の頃は、休み時間はまだ未開通の広い道路で、「サーキットの狼」に出でくる運転テクニックをマスターすべく励んだものである。スピンターン・四輪ドリフトとか...(ジャンピング・ターン・フラッシュは無理である(笑))これらを勿論会社の車でである。自由な時代じゃった。それまでして運転上達に勤しんだ爺が、間もなく高齢者検定で、免許剥奪の憂き目に会うやも知れぬとはトホホである。お国には、召し上げは、せめてあと5年勘弁して頂きたい。
※爺は半村良を見習い「ありとあらゆる仕事に就こう」と志した。電気工以外にも、鉄筋工、トラック運転手、土方、ペンキ屋、DJ、粉屋、自販機の修理、掃除夫(新宿駅ビル・日生劇場など)、古紙-金属の回収、ホテルのプール監視員、雑誌の広告取り、都市ガス13A変換作業、極め付きは知らずにやった某リゾートホテルのスト破り...そのひとつひとつで珍奇なる経験をしたので、短編小説なら数冊は書けるネタは持っている。そもそも小説を書くために飛び込んだ訳で、エピソードを刻み込んでは次の仕事に移ったものだ。ただ自分が重度の飲兵衛の為、飲食関係の経験が少ない。夜になると客として飲んでしまうからである。カウンターの向こう側に立たないと、やっぱり小説は無理だったのかも知れない。
運転手稼業も数件の運送屋さんで経験させて貰った。配った商品は多岐で、丸井のインサート類(工事現場で使う隙間を確保する器具。山口百恵夫妻が買った品川のマンションの壁や床の鉄筋とコンクリートの隙間には爺の運んだインサートが入っているのだ!自慢)、資生堂の化粧品(厳しい掟があった。美容部員に手を出すな!惚れるよなあ綺麗だから)、保険会社の契約書輸送、新潮社の書籍雑誌(丁度『フォーカス』発行の頃。他には、大日本印刷・小高製本・あかつき書店・岩崎書店etc...)とそれぞれにやった者しか知り得ない面白いエピソードがあって、何時思い出しても楽しい経験をしたものだ、と感謝している。一番長いバイトは、トラック運転手だが、流石にもう古本屋の親父としての年月の方が長くなった。古本屋の開店も今度で4軒目だが、照明器具の取り付け、床の張替え、ペンキ、剥離、壁の穴あけ...何でも自分でやりきれる。長い間の経験が無駄では無かったのだ。
※『土鈴』そこそこ売れたが、台の効率が悪いと見て、3日目には絶版文庫に入れ替え、売上を確保した。台一台一日5000円という最低ラインを決めて、毎日商品を入れ替えていくのが爺の手法だ。売れ残ったものがそのラインに届きそうもない場合、他店で今回売れているジャンルの本などに躊躇なく入れ替える訳だ。(翌日お客様がここにあった本売れましたか?とお聞きになるケースも多く、逆目もあるのだが...)だから催事には毎日出向く。今回、秋の回は、遠方の古書店の方の参加が多く、地元の爺は毎日店番に立ったので、催事全体の方向というのは手にとるように分かったのである。古本屋の辞書には「面倒くさい」という言葉は無いのである。また本人の時間給も考慮しない(できない)のは当然である。まだまだ酷暑の残る9月頭の催事で、何とか赤字を出さずに全うできたのは、マメに動いた賜物である。※1ケ月経過した今になって、この時の無理が祟って、体が動かなくなっている。若い時は疲れが翌日とか翌々日とかに出たものだが、残暑が去り、夜眠りやすくなってからの、このダルさ。あと何年、催事に参加できるのだろう、と流石に不安がよぎるこの頃である。
★福岡県植物目録 1・2巻揃/筒井貞雄 編★売切
1988年・1992年福岡植物研究会発行/(1) シダ植物(2)種子植物/二冊共-初版函付ビニールカバー付/[B5判-◆1巻516p◆2巻-385p]◆上巻-巻頭写真頁56p(内カラー8p)◆下巻巻頭カラー写真ページ40p/※(1)のビニールカバー少し痛み/
夏支度-店
梅雨空が続いていますが、昨年の猛暑を考慮してクーラーを設置。傘立てが斜めで、もうひと工夫必要。
鱒渕ダム周遊路-初秋 2019年9月24日
秋晴れの鱒渕ダム。日中の日差しは暑く、秋の植物は僅かでした。 苦手な吊橋-鱒渕橋。
ヌマダイコン ベニバナボロギク アキノタムラソウ ゲンノショウコ
ホトトギスの蕾 イタドリの花 彼岸花 シロツチガキ?未同定
周遊路で、大型のアオダイショウと遭遇、蛇嫌いの店主、弁当もそそくさと食べ帰還と相成った。
動画でも撮影すれば?いえいえ、震えてとても出来ません(笑)よく趣味が野草探索などと言える。
夏支度-自宅
今年も南高梅漬けました。晴れ間にベランダから突き出して干す。いつものアイデア。太陽は真上です。
シシトウは鈴生り。幾つかはもう唐辛子に。当たると痺れる辛さ。ロシアンルーレットの楽しさである。
買入チラシ頒布-自宅近く
小文字一丁目付近。道端に咲く花を楽しみながら配布。 ヨウシュヤマゴボウ
ナンキンハゼ ムラサキシキブ ハマユウ ノウゼンカズラ
「彷書月刊」大量入荷!(詳細後程)
江戸川乱歩氏は生涯に回、引っ越しをされたと聞く。
爺も引っ越し魔と呼ばれて、友人連中から、年賀状のシーズンになると、
今、お前は何処に住んでいるの?との苦情も届く。我々夫婦は大体別に住んできたし、
店まで持ち、伊豆に自宅を構えるに至っては、皆目意味が分からなかったのも頷ける。
18歳で上京してから今日までの住まいを書き記してみよう。()内番号は転居の順番
(1・2)代々木上原(で二箇所引っ越し=永井さんの下宿が6月末まで埋まっているとの事で、ご近所の布団部屋のような3畳に仮に住んだからだ。ここの高校生の息子が、階段をバタバタ駆け上ってきて、「恋のハレルヤ」のレコードを持ってきて、ものすごく素敵な歌手が出た!!とご注進になったのを今だに覚えている。ミニスカートがとにかくカッコいいのだそうだ。黛ジュンで一番の名曲は「天使の誘惑」に決まっている。後にステレオ装置を買ってヘッドホンで聴くと、間奏の部分、ストリングスが左から右にピューンと飛ぶのがともかくシビれたものだ。永井さんのお宅、井の頭通りを挟んだ斜め向こうに古賀政男邸があった。爺は、この下宿からよく渋谷の駅まで歩いたものだ。名画座に通う日々であった。)
(3)椎名町(池袋経由で帰るのが面倒くさいので、目白から歩いて帰ったものだ。)
(4)上井草(学生の分際で同棲を始めてしまった。銭湯の傍のカンカンアパート。6畳一間。炊事場は共同。勿論トイレも共同。しかもポッチャン。赤貧で、空き瓶を拾い集めては、コロッケなどを買って、分け合って食べたものだ)
(5)野方(この時代はほとんど西武新宿線沿線を転々とする)
(6)山形(就職し赴任地が山形市。周りが全部山に囲まれているので、鬱々とし、大嫌いな雪が降るのには参った。)
(7)都立家政(退社し上京。東京ガスの制圧機のある隣のアパートなのにプロパン、という4畳半、２間の西日の当たる部屋。)
(7)花小金井(友人の山本君の電気工事の会社のバイトにして貰い、朝5時に自宅を出たものだ。庭付きの一軒家だった。)
(8)田無(でも2箇所家を借りた。夫婦別に住みたい為である。)
(9)下井草(これは私が借りた。近くに後に大変懇意にして頂く、大村書店さんがあった。)
(10)野方(これはカミさんが住んだ。この頃野方は、西武線の中心地のように賑やかだった。)
(12)都立家政北口(町名は鷺ノ宮)に古本屋を開業。線路の南側の野方にアパート1Fに同居。
(13)店より更に北、新青梅街道を越えた中村南の庭付き一軒家が見つけ引っ越し-すぐに犬を飼う
(14)犬の為にと、伊豆韮山の山中に自宅を買う。
(15)東京で棲む所を確保する為、住居附店舗を探し、移転。都立家政の駅の南側。
(16)熱海(10年以上、店と韮山の毎週往復をしていたが、癌にもなり自宅近くに移転)
(17)
WIKI-BN孤狼(古老)の市場綺譚 (序)
雪 隠 聞 書(ゆきがくれ ききがき)
「古本屋必携四請願」(古本屋心得)
■序章=夜飲の歓談 (やいんのかんだん)
私が古書組合に入りました折には、翁はすでに雪深い地方都市に隠遁されておりました。
駆け出しの私が、「市場の孤狼」と異名とる、伝説の「経営員」の翁の元に度々訪れ、
後世に残すべき翁の遺訓をこうして記録するに至ったのは、もう四年前にもなりましょうか、
ある市会の大市の打ち上げ慰労会に袖がテカテカに光ったジャンパーを身に纏った、痩躯の
老人が紛れ込んできた事に端を発しているのであります。「現在の市会の会長の同期」
という紹介があり、壇に立たれたのが、その御老体で、尾羽打ち枯らした姿に、誰も憐憫の情を
持ちこそすれ、尊敬の念を抱くといった雰囲気には到底なれませんでした。
翁は「会長の召喚により、いささか市場の経営員(市場を運営する係)の心構えや、古本屋としての
あるべき姿などの指針を話しに参った」と前置きし、30分程話された。
私にとっては幾つかの膝を打つ箴言を伺う事ができたと感激したのだが、回りの同僚若手からは、
「時代が違うんだよな」とか「年寄りの自慢話かよ」、挙句は「あいつ、まだ生きてたのかよ」
などというひそひそ話が聞こえてきた。
確かに翁の全盛の時代は高度成長期からバブル期の頃で、その頃の市場の規律や問題点、
そのなすべき行動規範を現在にそのまま敷衍されたのですから、本屋自体の存在の危機が囁かれている昨今、
日々どん詰まりのような売上の中でもがいている若手には(何せ本が売れた時代を知らないのですから)
反発しか起こってこないのも、当然であったかも知れません。
私は宴が終わり、翁が席を立たれる際、お側に近づき、貴重な訓話に対して感謝の意をお伝えし、
心ない同僚の陰口をも詫びました。翁は歯のない口を開けて、快活に笑われ、
「もう二度と皆さんの前には現れないだろうよ」とおっしゃられ、
「今は古書の氷河期、人類の開闢以来の知的財産、先人の熱い思いも白く冷たい雪に覆われ隠されている。
しかし、書物、「知」が無くなった訳ではない。わしの拙い経験から導き出された規範も純白の真実である。
その白さの故、皆には見えないのであろうが、いつか雪が溶ける日もあろう。その時、きっと白い真理が
知の平原に光輝くであろうよ」
といった意味の事(勿論訥々と語られたのではありますが)を語られました。
私は会長が翁を遠路東京まで呼び寄せ、我々に理解させたかった中身をもう少し知りたくなり、
実家が丁度、翁の移住された町、という奇縁もあり、菓子折など持参して翁を訪ねる事にしたのである。
翁は実は、出家され、廃寺のような崩落寸前の山寺に住んでおられた。さすがに元古本屋で、庫裏には
背丈を越す書物が積まれ、その山脈のむこうから、私の訪問を大変喜んでくだすった。
歯の不自由な翁にはいいだろうと持参した、生シュークリームをお渡しすると、
「女子供の食する西洋菓子か。まあ寺に近所の子供らも来るから、あれらに食べさせようか。みやげなど
気を使うな、まあ今度は酒の一本でも下げて参れ、一献酌み交わそう」
とおっしゃられ、私は赤面の至りだった。
しかし、翁の古書市場や経営員の心得などの聞書をしてみたいと、お伝えすると、
「講演などで、分かって貰おうというのがどだい無理じゃな。文字に書き残しておくのは、あながち
無意味な事ではないかも知れないな」
と、受け入れて下さったのでした。
さして、その第一回は、「古本屋必携四請願」と後に呼ばれる、次の4つの心得だったのであります。
一、古本道に於いて、おくれ取り申すまじき事。
一、読書子、研究者の御用に立つべき事
一、諸先輩、親に孝行仕るべき事
一、大慈悲を起こし、周圍の人、後の人の為になるべき事
明日は無き身と覚悟し、日々この四請願を心に念じ、一歩一歩尺取虫のように、先ににじり進むべきものが、
古本屋である。と申されました。
この度不肖わたくし、翁の「遺訓」に 【雪隠(ゆきがくれ)】という名を冠し、長く後世に伝えんと
するものであります。
次回から、具体的な生き方についての道話を記して参る積りです。拙い文章にて、正確に翁のご意思を
伝える事ができますか、不安もありますが、翁の人柄も併せて記して、人間味溢れる聞書になればと念じております。
是非ご一読くださいますよう、伏してお願い申し上げます。
追記。最初の訪問日、今にも振りそうな空模様で、折り畳み傘を持参していたのを翁の居間に忘れ、
山門から引き返して、玄関でその旨声をかけましたら、翁は親切にも傘を持って出て来られました。
その時、翁の口の回りには、白いクリームがべったりと付いておりましたのを、忘れもしません。
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※実は、このコラムに対して、発表当時反響が皆無だったので「葉隠」のパロディ企画は、
この前文のみでボツにしてしまった。続きをどう書く、とか頭の中では決めていたはずだが、
惚けて、すっかり忘れてしまった。
先日、今井書店さんのツイッターに、古本屋入門のノウハウが書かれたものが無いか?
とのお客様の依頼があった、という一文が掲載されていた。「無い事もないが、相場など
激変していくし、難しい」とご返事されたようだ。
確かに個別の商いはやはり各自が考えるしかなく、むしろ自分で考えるところが、
古本屋冥利に尽きる、ところではないのでしょうか?
むしろ、継続していく力の源泉、と申しましょうか、「理念」とか「理想」とかを
持たないと半年も続けられない仕事だと言えましょう。「儲け」とか「採算」などを
考えたら、到底できる仕事ではないのですから..
「理念」なら、こんなお巫山戯のパロディでも、何かのお役に立てば?
と再掲載した次第です。
杜甫
おそ こうざん うるわ
遅日江山麗 遅き日に江山は麗しく
かそう か
春風花草香 春の風に花草は香んばし
つばくろ
泥融飛燕子 泥は融けて燕子の飛び
すな えんおう ねむ
沙暖睡鴛鴦 沙は暖かにして鴛鴦の睡る
人間は不完全だというのに、山川草木は常に秩序と調和に満ちている。
まあ、そんな人間もまた自然の一部にすぎないのではある。
そんな思いの詩人の魂が窺える名詩であるが、期せずして、
この中に、「泥」と「花」の二語が含まれていて改めて驚いた。
この歌の名筆を見つけて、それを自家目録の誌名ロゴにすれば良かった。
下手な店主の筆で済ましてしまった。
私は昭和61年から1998年(平成10年)まで「泥花」という自家目録を出していたのである。
49歳で癌になり、胃を全摘し、ろくろく体がままならない時期、
丁度インターネットが始まった。紙の目録からいち早くネット販売に移行して、
、この通販の媒体変更で何とか糊口をしのいだ次第である。
HP上で「泥花」に散逸したコラムを集めようと幾度か企画したのですが、
毎度、日々の仕事にかまけて、できずじまいでした。多分この先も叶わぬ夢なのも知れません。
「小倉駅ナカ古本市」で、一度滅びていたレコードが、また売れだした。早速仕入れて出品だ、とプリメインアンプの電源を入れたら、
いつの間にか壊れていた。電気機械類は使わないでいるとこういう事がある。湿度だろうか?機械が拗ねるのだろうか?
仕方なく細かく分解して廃棄、ヤフオクで中古を1500円程で落札した。爺、何でも同じメーカーで揃える癖がある。こんな感じの中古アンプ。
TV.ブルーレイレコーダー.VHS録画再生機。店のPCと音楽用の外部スピーカーもSONY製だ。古本祭に出すレコードは一度、自分で全部聞いて、「音飛び」や、疵の「ノイズ」をチェックするので、ともかく時間がかかっている。でも音楽はいい、聞きながら値付けの仕事などできるからだ。更に、今まで自家用のレコード棚に差してあったレコードに纏わるあれこれに気がついて、このコラムの種になったという訳なのである。
先日棚から取り出し聞いた「THE EVERLY BROTHERS BEST」。このLPがベスト盤の中でも嚆矢だろう。ビートルズから遡って、エバリー.ブラザースに行き当たった同年代の方も多いと思う。(当初ビートルズは4人組のエバリーBro.と呼ばれていた)柔らかなコーラスが、何時聞いても、心地良い。そんな折、某サイトで『Very Best of EVERLY BROTKERS』というLPを聞いた。これは曲目が多すぎて冗漫だ。ただ、その中の『Maskrat』という曲には驚いた。
「竹内まりあ」の名盤『Quiet Life』の中の『コンビニ・ラバー』とウリふたつなのである。恋愛経験の乏しい(と推察する)彼女に似つかわしくない内容の一曲で、ファンキーな曲-アレンジなのだ。「エバリー・ブラザース」の中でも、日本であまり知られてない『Maskrat』を達郎さんが、パクったのだな、と推察する。イメージ通りの出来で、良い狙いだと感心した。是非ご試聴を!!
そう、今回は「ベスト盤」の話である。「ベスト盤」と言っても、「ビートルズの中で一番のLPは『ハードデイズナイト』だ」というような事ではなく、その歌手やグループのヒット曲を集めた「ベスト盤」の事である。これ、いざ選ぶとなると、なかなかしっくりこない例が多い。あのヒット曲が入ってないとか、好きな一曲がはずれている、とか...人それぞれ好みもあるので、難しいところではあるが。
大好きな「青江三奈」のベスト盤はどれがいいのだろう。お気に入りの曲は「池袋の夜」。これずっと曲名を「夜の池袋」と覚えていた。爺、二十歳の頃二年間、西武池袋線で池袋の次の駅、「椎名町」に住んでいた。線路沿いの下宿で、朝のラッシュ時なんかは雨戸を開けたら、電車が目の前に止まっていて、すし詰めの人と顔が合い恥ずかしかったものだ。オールナイトで「昭和残侠伝○本立」なんかを見て、始発の前に、線路を歩いて帰ったものだ。この方が近いのでつい...(これ時効にしておいてください)
この頃の日本の歌謡曲の歌手は、ビートルズが始めたいわゆる、「トータルアルバム」LP全体をひとつのコンセプトで作るというような、制作はされていなくて、(ニール.セダカの頃の英米でもそうだが)シングルヒット曲をただ並べるとか、従来の名曲を「○○叙情演歌を歌う」とか「○○軍歌を歌う」「○○ブルースを歌う」といった企画のものがほとんどだった。現在買えるCD『ゴールデンベスト-カヴァーコレクション』、18曲目「雨に咲く花」は一瞬、藤圭子が歌っているのか!と紛うような声で、むしろ藤圭子が青江三奈の歌唱法なぞったのかも知れない。これも是非ご試聴を!!
好みのベスト盤が無いグループに、「ソニー&シェール」がある。輸入盤を含め、どのベスト盤にも、泣きながら聞きたい『バンバン』が入っていないのである。どうした事か!!アメリカのレコード会社の神経を疑う。もう自分で編集するしかないと観念している。
爺、LP「レットイットビー」が嫌いで、シングル盤やアンソロジーなどの音源から曲を寄せ集めて、ジョンの目指したシンプルなR&Rアルバムを作り、独り楽しんでいた時代があったが、2003年11月、ジョージ・マーチンにより、フィル.スペクターのオーヴァー・ダビングを取り除き、本来の演奏にデジタル修正した『レット・イット・ビー...ネイキッド』が発売されたのには驚いた。私と、考えていた事が全く同じだったからだ。(こちらはオリジナル音源持ってないけどね(笑))「レットイットビー」として発売された、「ゲットバック」のスタジオ録音セッションでは、「エバリー・ブラザース」の『バイバイラブ』も録音されたという事である。レコードには入らなかったのだが、やっぱり彼らにとっても「エバリー・ブラザース」は原点だったのだと思う。
あとがきほいほい(補遺補遺)
※1.【ベスト盤】小柳ルミ子は『ベスト＆ベスト』かな。本音は彼女の楽曲は、初期のものだけでいいのだ。愛しい彼は都会へと旅立つが、自分は田舎に残り忍び泣きながら待つ、という娘たち。日本人共通のそんなイメージがあった頃、(もしくは「失われつつあった時期」の郷愁かも知れないが...)土着性と母性が輝いていた、日本の美しい風景そのままの若き女性達の姿。爺、水戸に残してきてしまった多くの女性のみなさん「本当にゴメン」と今更ながら謝罪しながら聞くのであります。
[1.わたしの城下町・2.お祭りの夜・3.雪あかりの町・4.瀬戸の花嫁・5.京のにわか雨・6.漁火恋唄・7.恋の雪別れ・8.星の砂・9.冬の駅・10.雨・・・・11.来夢来人・12.お久しぶりね・13.今さらジロー・14.乾杯]/ベスト盤なら、「雪あかりの町」「お祭りの夜」は絶対に外せないところで、しっかり組まれている。11曲目以降は、カットして、もっと初期の作品が聞きたい。「ひと雨くれば/ほたる列車」が無いのは残念だ。B面が良いのだが...「ひとり囃子」も欲しいところ。まあキリが無い。これだけヒットのあるスーパースターは、ベスト盤でさえ、2枚組になってしまうのかな。
※2.【トータルアルバム】アイドル歌手から脱皮を遂げた、山口百恵の『曼珠沙華』なんかは、トータルアルバムと言えましょう。
新緑の小倉-鷲峰山
登山口は墓所。眼下に小倉の街を見渡す136mの山ですが、自然を満喫できます。 キランソウ
ヤマアイ(山藍) オドリコソウ フデリンドウ キツネアザミ キツネノボタン
| 花無心招蝶 | 蝶無心尋花 | 花開時蝶来 | 蝶来時花開 | 吾亦不知人 | 人亦不知吾 | 不知従帝則 |
吾もまた人を知らず 人また吾を知らず 知らず帝の則に従ふ (良寛)
便利は危険
最近、手の中に入る便利なものの危険性が気になって仕方がない。5年前オートマチックの車を焦って買った。フロアに変速レバーが付いている、最後の車種だと思う。ラジオの付いている場所に、シフトギアの把手が付いている昨今の仕様というのは、どうにも不安になる。５ミッションのＭＴ-マニュアル車に戻そうか、とも考えたが、門司は山の中腹に多くの家が建っている為、ＡＴ車でないと辛いのである。まだお寺の月忌参りの仕事をしていたので、毎日急勾配の細い道を上り下りするので、ギリギリ、床にレバーのある国内で一番安い「軽」、アルトを購入したのだ。実はこれが、余輩が70年の生涯で初めて新車というものを買った記念すべき一台なのである。赤貧の身、一生車なんて持つ事はなかろう、と思っていたが、38歳の時、ダイエーの古本祭りをやらせて頂ける事になった際、古本を運ぶためにライトエース(８万キロ使用)を買ったのが最初である。もちろん当時クーラーなんてものも付いていなかったし、冬はドアの隙間から秩父颪が吹き込んで、それは寒かった。(八王子.立川.千葉.我孫子.小山遊園地店.高崎など転々としたものだ)
古本屋は、カーローンを組んで貰えないので、一括現金で買わなくてはならない。月末の家賃にも事欠いていた当時、借金して何とか購入し、スーパーマンに転身できたという思い出がある。
前置きが長くなった。このアルトに、随分と便利な鍵が付いていたのである。「キーレス・キー」というらしいが、鍵は確かに現存する。鍵の中のボタンを押すと、車にロックをかけたり、解除できたりするのである。雨の日、傘と荷物などを持っている時、実に楽なのである。
私の座右の銘は「石橋を叩いて渡らない」で、クレジットカードも使う予定のある時しか持ち歩かない、携帯電話も極力持ち歩かない、なんて生活だが、このキーレス装置が不安で不安で仕方なくなっている。もし、スーパーの駐車場で落としてしまったら、簡単に車が盗まれてしまうではないか!!今までの手動の鍵なら、拾っても、どの車の鍵か分からないが、この便利な魔法の鍵なら、カチカチ、スイッチを押しながら歩けば、「ここだよ」と車のウンイカーがチカチカ点灯して教えてくれる寸法である。年がら年中、ポケットの中の鍵を確認している爺である。まあ車の中には何も金目のものは載っていないのだが...
仕事上もうひとつ危険な事態を抱え込んだ。郵便局のクリックポスト便である。クロネコメール便の時は宛名を手書きしていたが、営業所の廃止で、クリックポスト便に移行した。これ、バーコードを宛名用紙に印刷しなくてはならず、プリンターが必需なのだ。爺、パソコンを現在４台所有せざるを得なくなっている。2002年に買ったeMacにはフォトショップを入れているし、クラリスワークスという抜群のドローソフトが入っているので、手放せない。ちなみにOS9.2だ。門司店にはVISTAのWIN機、もうネットには繋げなくなったので、CDの再生と、本の原稿データ作りをしている。それと通販の基地の自宅に、WINDOWS.10の2機種。どちらも中古PCショップで2万円程度で買ったもの。万が一、1台動かなくなったら、ご注文の返事メールひとつお送りできなくなってしまうので、不安で不安で、二台置いてある。そしてプリンターも、二台。クリックポストのラベル印字ができなければ、発送できないのだから、冷や冷やドキドキものである。(今1台調子が悪いので、また1台買わなくてはならぬ)
便利は危険で、回避するために、あれこれ抱え込む事が多くなって、収拾がつかない感じである。
昔から便利なものは、「アブナイ」と相場は決まっているのだ。自動車の発明は便利だったが、どれだけの人が轢かれて死んだか。飛行機もしかり、テレビなんて代物も、捏造ばかりの放送を垂れ流して、人々を惑わせているし、インターネットの時代に入り、詐欺や誹謗中傷の例を挙げたら種は尽きない。とにかくこれだけ危険に満満ちた時代もあるまい。振り返れば、爺の子供の頃は実に安全だった。田舎は家に鍵もかけなかった。TVも無かった。電話のある家も少なかった。車も大して走っていなかった。馬が荷車を引いていた。ハワイなんぞ夢の島だった。スーパーマーケットも無かった。冷蔵庫には氷を入れていた。暖房は炭火鉢、炬燵は練炭、カイロはハクキンカイロ...振り返れば不便だった事はキリがない。でもみんな元気だった。だって、それが普通だったのだから。江戸時代は東海道、京都まで歩くんだから大変だったろう、と言っているようなものだ。
人間、一度便利を享受すると、後戻りできないのも分かる。この変哲爺にして、ウォシュレットの無い便器はもう勘弁して貰いたくなったのだから。
明治維新関連・近世史含
| 番号 | 書 名 | 著 者 | 発 行 | 版・判型 | 内 容 | 刊年 | 価格 |
| 01 | 国史総論・日本近世史 | 内田銀蔵 | 同文舘 | A5判554p 天金・再版 | 切支丹禁制及鎖国・日本號の起源・大和魂及武士道に就きて他※目次ページ喉部分下綴じ外れ | 大10 | 1000 |
| 02 | 西郷南洲先生伝 | 南洲神社五十年祭奉賛会編 | 代表= 松本学 | A5判253p 天金・再版 | 公爵島津忠重候題簽 | 昭4 | 1500 |
| 03 | 側面観幕末史(全) | 桜木 章 | 啓成社 | A5判912p/再版裸本 | 浦賀の夜話・江戸の警鐘・飴利菓船べい・唐人追・桜田の紅雪・七卿の都落・筑波颪・トコトンヤレ節・江戸城の明渡などなど幕末の風刺的落書を集めたもの/巻頭に木版画一葉あり | 明38 | 5000 |
| 04 | 幕末史の研究 | 井野辺茂雄 | 雄山閣 | A5判690p/初版函欠-背上端痛 | 昭和2年 | 7500 |
今月号の「古書通信」を見て、遅ればせながら、横田順彌氏が逝去された事を知った。きわめて残念。SFというジャンルを明治時代の書籍にまで広げて下さった功績は計り知れない。氏が登場してから、苗字が同じという事で、ずっと親近感を持って本を集めてきた。もちろん他の苗字の作家の方に親近感を抱かない、という事ではない。(この辺、ヨコジュン調)
追悼特集を、と思ったが、『日本SFこてん古典』を始め、全部売却済で、手元には3冊しか残っていない。そのうちの一冊「古本探偵の冒険」は正月に読もう、と炬燵の横に置いていたのだが、今年は新年2日から、実店舗開店の作業に入り、全く馬車馬のように内装作業に勤しんできたのでこの文庫まだ読み切っていない。
爺も高校時代から生意気にも「ＳＦマガジン」を購読していて、ＳＦ歴は長いほうだったが、Ｐ.Ｋ.ディックで打ち止めて、いわばＳＦ読書のゴールとなってしまった。(PKだけに)無論、新しいものは読まないが、ヨコジュン氏の指針に従い、こてん古典に親しむのにやぶさかではない。ヨコモリ(私はそう呼ばれてた)から、深く哀悼の意を表させて頂きます。
「古書通信」にはもうひとつ目を惹く囲みがあった。広島の古書籍BOXさんの、古書目録「LINE」発行の広告。店の形態の表記、これが素晴らしい!!多分日本で唯一ではないか!この謳い文句!!『非ネット無店舗』。「店持たずネットで細々やってます」というパターンは多いが、これは営業は「目録だけ」という事ではないか。注文も葉書とFAX。当店の自家目録『泥花』の時代の受注体制である。懐かしい。広告本体だが、A5判ハードカバー40pで[文字極めて小読難し]とある。虫眼鏡かハヅキルーペが要りそうだ。しかも無料、とある。最近は集書はネットばかり、と振り返られている読書子には、是非取り寄せてご覧頂きたいと思う。
あれっ、いつ翠町(みどりまち)に越されたのだろう?以前は呉だったような...翠('まち'は付かないのだった)は、爺の親友、山本雅史君が広島修道高校時代に住んでた処で奇遇だ。インターネットの網の外に棲まわれているBOXさんには、こうして、ネットでご紹介しても、伝わらないのであろう。むしろ何でもすぐ伝わるより奥ゆかしいのではないか。
昭和11年発行の菅原兵治著の「野の英哲 二宮尊徳」の巻頭に安岡正篤の漢詩が載っている。
尊徳二宮先生
| 一 | 英 | 名 | 朧 |
| 雄 | 侯 | 畝 | |
| 村 | 好 | 一 | 空 |
| 是 | 去 | 傳 | |
| 萬 | 野 | 少 | 梁 |
| 古 | 人 | 知 | 父 |
| 心 | 伴 | 音 | 吟 |
第二水準にない字あり、検討
木枯らし吹きすさぶ夜など、熱燗を飲んでいると、
漢詩を作りたくなってくるから不思議だ。
といったって爺のは何でもパロディでして...
では(盲腸炎)という号で一首。
(白文)
| 本 | 夜 | 處 | 冬 |
| 売 | 店 | 々 | 眠 |
| 知 | 夫 | 聞 | 不 |
| 多 | 婦 | 低 | 覚 |
| 少 | 声 | 調 | 商 |
とうみんあきないをおぼえず
しょしょていちょうときく
よるのみせふうふのこえ
ほんうれることしるたしょう
(口語訳)
仕事もせず冬眠する動物のように居眠りしていると
何の商売も不景気だと聞こえてくる
夜更に隣の古本屋を覗くと 帳場の裏で夫婦が話している
寒い割に珍しく 今日は本が少し売れたようだ
当地小倉北区の足立山麓一帯のお宅の庭には、必ず山茶花が植えられている。これがどのお宅も手入れも行き届いていて、丸く、あるいは四角く刈り込まれている。自由奔放な椿は生け垣には適さなが、山茶花は剪定され人工的な形に整えられても、小倉の街の東の
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行った旅館が随分山奥で、もう蚊が多くてね。
そりゃ災難だったね。痒くて眠れなかった?
いやあそれが全然平気だった。「刺さん蚊の宿」。
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昔、東京の中野に住んでいた頃、サンプラザの前の公園で、苗木の無料頒布があったのを思い出した。それで近所には、区推奨?の「ハナミズキ」の木が多かったものだ。この寿山、山門、妙見地区も、以前、サザンカの苗木頒布があったのやも知れぬ。
「神田川」の嘘
BS12で「時間ですよ」の再放送があり、時々気づいた時に見ている。先日は向田邦子の脚本で、浜さんが物語の中心に据えられて、悠木千帆が怪演技を見せていた。堺正章の体当たりの演技や歌が青春してるし、浅田美代子の音痴ぶりも楽しい。脈絡なく出てくる、その「銭湯三人組」のギャグが「バラエティとドラマの垣根を超越している」と今更ながら感心する。風呂屋だから当たり前なのだが、女湯の脱衣所シーンが必ず入るので、毎回「おいおいTVでおっぱい写していいのかあ!!」とツッコミを入れながら、若い女性のパンティ姿に見入ってしまう。雑誌のヌード写真なんぞ見ても何の感興も湧かないが、茶の間で家族と見るTVという媒体だと、ハラハラしてしまうのは何故?
昨今の「何でもセクハラ」という風潮に賛同しかねる爺、毎回女湯に闖入する江戸家猫八も「だめですよお、全く」で許されちゃう、大らかな時代が懐かしい。「君、痩せた?」も「今日の服似合ってるね」も、『セクハラ』だってんだから、うっかり女性と会話も出来ぬ。
プロデューサーの久世光彦は確かに天才だったが、歌番組からドキュメンタリーまでTV全体が面白かった時代だった。
銭湯で思い出したのだが、南こうせつとかぐや姫の「神田川」には「大嘘こくな!」と言いたくなる。真冬に彼女の髪を「芯まで冷やす」男はいないだろう。アチラさんは、大ヒットで名声を得た方だから、失礼を承知で書かせて頂けば、「高節さん、当時彼女いなかったんじゃないの?」である。20歳と19歳で同棲して、勘当、親の仕送りが途絶え、貧乏暮らしのまま、40歳まで内風呂も無く、ずっと銭湯通いしていた爺からすると、「神田川」の歌詞はあり得ない。
「時間ですよ」の松の湯にも、悠木千帆が、これから自分の髪を洗おうという母親の子供を預かったりするシーンが出てくるではないの。ベルリンの壁のような仕切りがある訳でもなし、野郎は皆「オーイ出るよ」と女湯に声かけて、一緒にあがったものだ。カラスの行水の爺が先にあがり、牛乳を飲んでいると、番台に座ったご主人が「そろそろ奥さん出るよ」なんて教えてもくれた。タイルの仕切り越しに、シャンプーやリンスを渡し合ってたもの。二つ買う金が無かったのだ。どっちかが風呂屋の出口で待つなんて、それこそ当時の流行り言葉で言えば「ナンセンス」な事をしているカップルはいなかった。クレヨンとクレパスに拘っていた割には、シンガーソングライター、どこの銭湯にお入りになっていたのか、知りたいものだ。何故「神田川」が流行ったか?こっちこそが、爺の一番悩むところである。
二曲目のヒット「赤ちょうちん」は悪くない。そうそう、伊勢正三作『なごり雪』の「去年よりずっと綺麗になった」はセクハラと認定されるのでしょうか?女が唄えばOK?
「22歳の別れ」はよく出来た歌。爺の周りのカップルは全員、この原理に従って別れた。卒業したての収入も無い男との結婚を親が許す訳ない。これ今なら分かる。ところが、爺だけは腐れ縁で続いて来た。50年間、ほとんど同居せず、近くに住んで時々会う、というスタイルを貫いたのが良かったのだろう。はたして良かったのか...あまり『夫婦』という概念では括れない両人である。
足立山妙見宮 まだ七五三の旗がなびいていました
来年は亥年。妙見神社のコマイヌは猪です。傷ついた和気清麻呂公を温泉に案内し、命を救った神獣です。
銀杏の大木、黄色く色づくもの、散るもの。境内は初冬の色模様。
この「桜香神苑」の「しだれ桜」は有名で、見頃には大勢の参詣者で賑わいます。現実の猪が根本を荒らしてます。電気の保護柵も効果は無いようです。猪は守り神なので、駆除という訳にはいかないのも厄介。
境内の一角に建立されている、清麿像。猪にまたがっています。由来の解説看板。
マユミの実が枝にまだ残っていました。足立の連山を望む。
横山白虹など三名の俳人の句碑が像の足元に。「春あさし人のえにしの絶ちがたく(白虹)」と読みましたが...
遠く皿倉山を望む。帰り道、道端にまだ赤々と輝くクコの実を発見。冬は野草が少ないので嬉しかった。
今東光 著作
今東光著作がまとめて入荷しましたが、大体保存状態が悪く、通販には適さないと思っておりました。
お手にとって、「この程度なら」とご納得の上、お買い上げ頂ければ?と保管しておりました。
そんな折り新刊在庫情報で確認してみると、ほとんどの著書が{絶版-品切れ}で、若い読書子が、これだけの
名作-名文に触れる事ができなくなっていて、唖然としました。
今回、全くコンディションの悪いものは除外して、掲載致します。内容を是非お読み頂きたいです。
昨今の作家には到底太刀打ちできない、生死一如、聖俗一如...今東光の世界が展開されております。エネルギッシュで哀歓溢れる俗世の愛憎の果ての人間の有様を、一種達観した心で暖かく見つめる。どの小説、エッセイにも和尚の深い愛情が脈々と流れていて、感動する事請け合いです。
文庫本程度の価格でUP致します。撮影等にお時間頂きますので、とりあえず前半分、掲載致します。発行年代前後致しますが、後で並べ替えたいと存じます。
| 番号 | 書 名 | 発行出版社 | 版・内容 | コンディション | 刊年 | 価格 |
| 01 | 十二階崩壊 | 中央公論社 | 初版カバー帯付/[B6判318p]/谷崎潤一郎の身近にあってその微細を知り尽くした著者が、壮年期の谷崎像を鮮明に彫琢しつつ自らの文学的青春を綴る。絶筆となった長編力作。 | (並-下)※カバー少し汚れ・カバー耳にシミ浮き・小口に少しシミ浮き、本の扉の下-底にわずかスレあり | 昭53 | 540 |
| 02 | 十二階崩壊 | 中央公論社 | 初版カバー帯ビニカバー付 | (並-上)※カバー少シミ・小口に少シミ | 昭53 | 860 |
| 03 | 悪童 | 現代社 | 12版カバー/[B6判324p]/自伝的長編/ | (並-中)※カバー裏表紙側折れ跡あり・小口縦筋シミ浮き | 昭33 | 860 |
| 04 | 悪妻 | 中央公論社 | 初版函付/[B6判250p] | (やや難あり)※頁にシミある頁(250pの六分の一程度)函端わずかスレ・本体背にシミあり | 昭33 | 540 |
| 05 | 悪太郎 | 中央公論社 | 再版函付/[A5判273p] | (難あり)※ムレ本・蔵印あり・小口天地ヤケ-鑢がけしました・函痛み/体背にシミあり | 昭34 | 430 |
| 06 | 尼くずれ | 角川書店 | 初版函付/[B6判227p] | (並-中)※函少痛み・小口天地ヤケ-鑢がけしました・巻末新刊案内頁にシミ・見返し焼け | 昭33 | 750 |
| 07 | 毒舌文壇史 きき手= 梶山季之 装幀= 黒田征太郎 | 徳間書店 | 【炸裂する文壇絵巻】初版函帯付/戦雲渦巻く大正後期から昭和初期にかけて百家争鳴、左右混沌の暗雲をくぐりぬけ。跳梁跋扈した今東光氏が、初めて明かす文壇の秘話!「噂」誌上に連載され絶賛を博した型破り文壇史。/[B6判273p] | (美-中)※天と地にわずか点状シミ | 昭48 | 1260 |
| 08 | 弓削道鏡 | 文藝春秋社 | 再版函欠裸本/[B6判340p] | (難あり)※頁に少シミある頁あり | 昭35 | 320 |
| 09 | 蒼き蝦夷の血 藤原四代・ 清衡の巻 | 新人物往来社 | 初版カバー帯付/[B6判262p]/百年余にわたって古代の奥州に君臨し、金色堂に代表される黄金文化を築いた奥州藤原氏。永年の構想のもとに、筆者独特の史観で描く藤原四代の興亡のドラマ | (並-上)※小口、天地に点状シミ浮き | 昭47 | 750 |
| 10 | 裸蟲 | 新潮社 | 初版カバー付/[B6判248p] | (並-中)※頁三方から焼け入っています(この本はこんな状態のものが多いです)・巻頭表題頁蔵印あるも剥離にて消しました・カバー背上端少しめくれ.背端にわずかシミ | 昭42 | 540 |
| 11 | はぜくら 装幀=芹沢�げ� | 中央公論社 | 初版函付/[B6判230p]/慶長遣欧使節をモデルに描いた小説。困難な旅にもかかわらず、威厳ある態度で粛々と使命を果たそうとする支倉常長の姿を描く。 | (並-上)※函少し汚れと端に微細な疵・小口と本文頁に少シミ | 昭36 | 1080 |
| 12 | ひとり寝 | 中央公論社 | 初版函付/[B6判232p]/「近代社会は或る意味に於いては「虚栄の市」だ。そこで名を成し、財を築き、地位を獲得するということは、蓋し真実を離れたところから始まる。その意味では真実を追求することは、脱俗の境地に達しなければならない。」(著者あとがき)/連載していた「週刊公論」が連載の半分位の時に廃刊となり、未完となっていたものが、映画化もされた。また出版を希望する企画もあったが、少し結末をつけて、という事だった為、未完のままにしておいたものが、中央公論社がこのままで発行、と申し出で、本書の発行となった。続編を期待して欲しい。とある。 | (やや難あり)※カバー汚れと端に切れ目あり・本文も小口天地焼けており、研磨しましたが、小口のシミは深く消えずに残ってます。また頁所々にシミあります。 | 昭37 | 650 |
| 13 | 小説河内風土記 巻之二 | 東邦出版 | 2刷カバー/[B6判272p]/全6巻中の第2巻/短編集=「真言秘密の法」「ドけち」など、河内を舞台にした人情味あふれる短編全12話収録 | (並-上)※小口少シミ | 昭52 | 750 |
| 14 | 姣童 （こうどう) 装幀=風間完 | 講談社 | 初版カバー付(帯は残っていますが切れております)/[B6判267p]/鬼才の若き日の甘くも苦い数奇に満ちた万丈の自伝小説 | (並-上)※小口くすみと一箇所縦筋に少凹み箇所あり・後ろ見返しに書店価格表剥がし跡あり | 昭44 | 860 |
| 15 | 好色夜話 | 新潮社 | 初版カバー付/[B6判227p] | (並-中)※小口天地少シミ | 昭39 | 860 |
| 16 | 南米耳袋 和尚ラテンアメリカを行く | 講談社 | 初版カバー帯付/[B6判227p] | (並-中)※小口・天=少シミと焼け・カバー少し痛み(端に少切込) | 昭37 | 860 |
| 17 | 吉原哀歌 | 徳間書店 | 初版カバー帯付/苦海に身を沈めた遊女たちの哀歓と過ぎ去りし己が青春を愛惜の念をこめて描く、巨匠入魂の連作 | (並-中)※小口・天地=少シミ | 昭51 | 860 |
👅がき
| 番号 | 號 名 | 発行年 | 価格 | 番号 | 號 名 | 発行年 | 価格 | |||
句碑ばかり おろかに群るゝ寒さかな
牡丹亭 獅子文六の五月かな
(久保田万太郎)
NEW ◆(29)ピーマンの思い出と男性コーラスグループ
『ピーマン』という野菜を何時から食べ始めたか?焼き鳥・餃子・ロールキャベツ・焼き肉・タンメン・麻婆豆腐・お好み焼き...
18歳で東京に出てから初めて食べた食物は数え切れないが、わが家の食卓に全く出なかった食材の中で『ピーマン』を初めて口にした時だけは鮮明に覚えている。
振返ってみても、コンサートに行った覚えも無いし、学生達の採算がとれたのか、
せめて4人のサイン位貰えなかったものか、ピーマン到来以外、皆目記憶がない。
「ダーク・ダックス」の対抗馬といえば、「デューク・エイセス」。こちらはオリジナルヒット曲に恵まれたグループ。「ダーク・ダックス」は「銀色の道」位ではないのかな?ロシア民謡が土台で、あとはカヴァー曲や流布している名曲だ。デュークはJAZZが基盤にあり、洒落ていたし、ハーモニーも数段良く、何より永六輔、いずみたくのコンビに恵まれたのが幸運だった。「デューク・エイセス」の歌で、いつ聞いても涙が出そうになるのが、『おさななじみ』。幼稚園から小学校、恋に落ちて結婚、親になる...どんどん話が進み、エンドレスな所が輪廻というか「命の連鎖」を感じさせてくれる。永六輔師、さすが寺の子である。
『南無阿弥陀仏』つながりで申せば、法事などの際、故人の文章や伝記を纏めた本、いわゆる「饅頭本」が配られたりするが、その巻頭には大体、数ページに亙り写真アルバムが載せられている。両親に抱かれた幼児。学生服の写真。出征時の写真。会社設立時の写真。役職時代。退職、孫達との集合写真と相場が決まっている。「ああ、人の一生など所詮、数ページに収まるのだなあ」といつも感慨深く見てきた。
『おさななじみ』はグルグル回るエンドレスソングだが、この歌と良く似てるなあ、と最近気づいたのが、『鉄道唱歌』。全6集374番、または、全7集399番あるといわれている。歌っても歌っても次の駅があるエンドレス。東海道編を皮切りに、山陽、九州、北海道と全国の路線あまねく網羅され、満州鉄道編まであると聞く。こちらは、早稲田グリークラブ出身の「ボニージャックス」の歌が有名である。
少し前、BS日テレで徳光和夫アナの案内で『鉄道唱歌で行く！東海道線の旅』という番組があり、録画して楽しんでいる。歌だから何度見ても飽きない。どこがいいって、七五調なのと、文語体がすこぶる良いのである。名調子で簡潔、かつ格調高い日本語なのである。「はや我汽車は離れたり」「片瀬腰越江の島も たゞ半日の道みちぞかし」「こゝは桓武のみかどより 千有餘年の都の地」「豐太閤のきづきたる 城に師團はおかれたり」「七度うまれて君が代を まもるといひし楠公の」...明治の気概も伝わってくる。
「世に名も高き興津鯛 鐘の音ひゞく清見寺」の興津では、レポーターの立川談慶が実際に清見寺で鐘を撞かせて貰い、真下を汽車が行くという趣向が面白かった。『鉄道唱歌』は日本の名所-旧跡-故事来歴-偉人伝等がすべて詰め込まれていて、当時の児童の基礎的教養の高さも窺える。と思いきや「文語体を棄てて日本人は駄目になった」が持論の阿川弘之氏の快著『論語知らずの論語読み』に「昔は子供に随分難解な文章や歌詞をそのままよんで聞かせたり歌わせたりしたる子供は分からないから、勝手な空想をする。内田百間先生は、幼い頃、鉄道唱歌の『海のあなたにうすがすむ 山は上総か房州か』というのを、海の向こうに臼が住む、と信じていた子供があったと、書いている」という一段があった。当時の子供が今より格段優れていた、という訳でもないのだ。今の児童だって校歌などすぐ覚えてしまうではないか。まあ長じてその中身を知り、先達のはぐくみに感激するというのがむしろ自然なのかも知れぬ。このあたり、知らずに唱えてもありがたい「お経」と同じでなのである。
「おさななじみ」は「鉄道唱歌」に似ている。
※父母は、明治大正の生まれで、肉は
※「ダークダックス」は1958年に紅白歌合戦に出場して、全国的な売れっ子になっていた。
アンチャンが水戸に呼んだのも、その1-2年後だった訳だ。
※当時、爺が魅了されたコーラスグループは「パラダイスキング」時をおかずシャボン玉ホリデーが始まると、もう完全に「クレージーキャッツ」の虜に。もちろん当時の
※子供の頃の兄の思い出では、ピーマンの他にもうひとつある。近所迷惑な事に二階の窓を開け放って、応援歌「若き血」や「塾歌」を放吟しては、それをこっちが覚えさせられた事だ。贔屓目だが、応援歌なら「紺碧の空」がベストワンに決まっている。何せ古関裕而作曲である。「若鷲の歌」「鐘の鳴る丘」「長崎の鐘」「イヨマンテの夜」「栄冠は君に輝く」「六甲おろし」「闘魂込めて」...名曲揃いだが、後半の2曲は敵チームの曲ゆえオヨビデナイ。(笑)
※爺の憧れていた某国立大学には校歌が無い。有名な「嗚呼玉杯に花うけて」は旧制高校時代の寮歌である。
※永六輔、あのご尊顔で天才的な詩を書くのだが、俳句も巧みだ。俳号は「六丁目」。住所が俳号で、以前は住んでいた「並木橋」。以前紹介した、変哲こと、小沢昭一の俳句入門書『句あれば楽あり』にも登場する「東京やなぎ会」の主要メンバーである。光石(入船亭扇橋)・滋酔郎(江國滋)・阿吽(加藤武)...と多士済々のメンバー。当地がらみの永さんの句を引く。「人力も日傘もくるくる無法松」「奥豊後いつ死んでもいい新緑」(六丁目)
※ちなみに、爺の
※うちのカミさんは、春日八郎の『お富さん』の「粋な黒塀見越しの松に〜」を、「粋な黒兵衛さんと神輿の好きな松ッあん」だとずっと思っていたという。
タイムリーな入荷品
★椎名麟三の昭和 (混沌からの蘇生)/中村真一郎他★ 1,080円〜
平成9年姫路文学館特別展図録/[A4判135p]/原稿・著作書影・解説・鼎談他/●正誤表付・美本/
古書通信の本年8月号に、川和孝氏の「椎名麟三の処女戯曲」という記事があった。氏がライフワークとしている「明治以後100年間の優れた一幕戯曲100作品上演」に、今回選んだのが、椎名麟三の「家主の上京」。作家はこの作品を皮切りに戯曲家顔負けの作品を残してきたという。筋立ては家主から借りていた家に急に家主が移り住んできて、そこでくりひろげられる不条理。というのだが、劇作の中心がムーランルージュで喜劇仕立て、というから、笑っている間に作者のシニカルな視点や社会風刺にドキッとさせられる、という感じなのだろう。
爺が若い頃、TVで見ていた「デン助劇場」なんかでも、故郷の親に「東京で立派に出世して、店の社長になっている」と嘘をついた主人公のところに、田舎から母親が訪ねて来る事になり、優しい会社の社長以下みんなが、主人公を社長という事にして辻褄を合わせるが...思うようにいかず次々起こるドタバタ、というのがよくあった。関西の喜劇にもあるから定番のパターンなのだろう。実は母親は最初から全部見抜いていて、みんなに感謝して帰郷する、というオチが付いていた。浅草軽演劇は、義理と人情、笑いと涙だから、高尚な「不条理演劇」など目指してはいなかったろうが、大宮座長にとって、椎名麟三はそんな劇の原型だったのだろうか...「椎名麟三の昭和」からは読み取れなかった。勿論、掲載の年譜には1953年「戯曲 家主の上京」はしっかり明記されている。
川和孝氏の本劇の公演は、9月11日〜15日。東京両国のシアターＸで公開されるとの事である。
※川和孝=1935年２月東京に生まれる。イェール大学大学院修了。劇団俳優座、青年座に在籍したのち、フリーで新劇、オペラ、ミュージカル、ファッション・ショーや各種イベントの企画・構成・演出を手掛ける。
※店主、まるで演劇には不勉強にて、頓珍漢な事ではございましょう。ご教授頂けたら幸いです。
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白波誤嚥男 野夫奥無残の場
知らざあ言って聞かせやしょう
この世紀から始まりし
生まれし素人
以前を言やあ目録で 年季の入った古本屋
日に百冊も売るという 法螺に惹かれて踏み込めば
二冊売るのが関の山
完全無料の釣り声に とんと騙されても 抜け出せず
値上、改悪、無責任 その度歯ぎしりするものの
他に売る当て梨の花 本に未練を加計呂麻の
喜寿まで持たぬこの境涯
送料値上のこの秋に
こいっあ 秋から 食い上げだわい
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NEW ◆(28)諸行無常 嗚呼無情! 書籍小包廃止
願以此功徳 （願わくばこの功徳を以て）
平等施一切 （平等に一切に施し）
同発菩提心 （同じく菩提心を発して）
往生安楽国 （安楽国に往生せん） (善導大師)
引き続きの愚痴というか、もはや悲鳴である。「日本国内、どんな辺鄙な地方に住む人にも知識・教養・娯楽をあまねく平等に享受できるように」という趣旨で、全国同一料金で安価な『書籍小包』(現ゆうメール)というのが設定されたと記憶している。(1966年)それが本年9月からは事実上廃止と決まった。「インターネットの時代に今更、地方との格差だあ?」と善男子善女人をナメたのではなかろうが、読書無くして、国は成り立つまい。国民の生命財産は基より、言葉と文化を守る為の国力-武力である。
と息巻いたものの、今回の値上には
『世界の一流品大図鑑』1983年版は他の年度とは違って、竹宮恵子、金子國義、塚本邦雄などが
「私の一流品考」というテーマで文章を寄せているのだ。で当店の解説文はこうなる。
【ライフカタログ 世界の一流品大図鑑1983年版/竹宮恵子・金子國義・塚本邦雄他】1983年講談社発行/[A4判354p大冊]/◆厳選309ブランド・一流商品1642点収録=宝飾アクセサリー・婦人服・腕時計・万年筆・香水・銀製品など/「私の一流品考」=竹宮恵子.金子國義.塚本邦雄.中原理恵.小池一夫.飯田深雪/一流ブランド物語/海外旅行通関手続ノウハウ/世界の一流ショップガイド/◆送料=規格外ゆうメール560円
となるのだが、実はこの本の販売価格は540円。前回の改悪、ゆうメールで1Kg以上は規格外という時点で、すでに送料の方がお高くなってしまっている。更に9月からは規格外の定形外(何とも人を小馬鹿にした区分)で送料700円でお送りせざるを得ない。ゆうパックなら、遠方の方なら、1510円である!!
全集にも未収録の文章が掲載されていて面白いが、流通量が多いから古書価は500円程度、というような重たい本・厚い本が沢山ある。その提供が当店の存在理由なのに、送料が「定形外の規格外」か「ゆうパック」という事になれば売値の倍にもなって、通販は無理だ。送料との戦いに負けたのである。負けたからといって、
前回書いたように、実店舗に戻るしか決め手はないのだろうが、
その山口の【マツノ書店】松村さんが10日逝去された。このHP右メニュー欄にもリンクを張らして頂いている、唐津の西海洞さんのブログで知った。最近マツノさんの著書が入荷し、【本の本・古本屋の本】のコーナーを作りUPしたばかりだった。何という巡り合せか...同書に挟まっていた「防長火車日誌」は今で言うブログ。「明治期日本捕鯨誌」の復刻の経緯や「六時閉店」の出版の過程も垣間見られる。これは別に売ろう、と分けて保存していた矢先だ。随分昔、東京で広島アカデミーさんも同席で、マツノさんと親しくお話をさせて頂いた事がある。惚けて記憶も薄れてきたが、確か全連の大市の懇親会だったと記憶する。「出版を手がけてこその本屋」かあ、目指してみたい、と感銘を受けた覚えがある。氏がアカデミーさんに、「儲けてばかりじゃ駄目、残る仕事をしたら」なんてハッパをかけていたのを覚えている。結局日々の暮らしに追われ続けて、私は、貧しい自家目録を「出版の真似事」のように発行し続ける事しかなかった。
遅ればせながら、松村様の
【唐津-西海洞書店ブログ】※新聞の訃報記事も掲載されています。ご一読を。
「文庫のぶんこ」は光文社文庫に挟まれていた冊子。57号には泡坂妻夫氏訪問記が載っている。私はこれを1号から揃えて、何セットも売った記憶がある。古本祭店頭の草木堂文庫コーナーの文庫には、パンフが挟まっていなかった。新潮文庫の応募券も三角形に切り取られていたはず。カミさんがYonda君のブレゼントに応募して、文豪腕時計とかをgetしていたのである。セコイ。(現在はこのサービス無くなった)
今年は、何十件、貸し店舗の物件を見歩いたろう。すべて徒労であった。保証協会の他に連帯保証人が必要って一体保証協会って何?
追記:巻頭の回向文は善導大師の『観無量寿経疏』の中の偈文。「讃仏偈」などお経の最後に唱える回向文である。人間はやはりどこまでも愚かで浅ましい。「平等施一切」という尊い思いは、やはり仏様にしか有り得ぬのであろう。この際、恨みつらみは言うまい。ただ来世に生まれさせて頂ける事を感謝して生きるだけである。(丁度今日はお盆の15日。僧侶をしていた時は疲労困憊、ダウンの日だった)
NEW ◆(27)遅々として
組合の市場で「これは売れるべき本だ!」と確信した本を落札し持ち帰るのだが、ただ積んでおくだけでは当然売れない。写真撮影し、その本の勘所を探し出して解説文を書き、ネットにＵＰせねばならぬ。これが遅々として進まぬので、本の山に埋もれていくばかりなのである。安野光雅の絵が好きで、随分買い込んだのだが、半分以上は自家用と化している。今回売ろうと抜き出したのは、俵万智の和歌に絵を添えた、「そこまでの空」。写真は撮った、さて解説文で、タイトルの意味が分からず気になり、ご多分に漏れず他の書物同様、中身を読む訳である。和歌と絵なのでスイスイ読め、
絵葉書はそこまでの空「明日からはここにいない」という語残して
という一首に辿り着いて、以下のような解説文が完成した。
★そこまでの空/安野 光雅/俵 万智【著】★
1994年河出書房新社発行/初版カバー付/◆現在絶版-品切れで新刊ではお求め頂けません。/(表紙サイズで約20.5cm×22cm-64p)/安野光雅の絵と俵万智のことばがはるかに響きあい懐かしいハーモニーを奏でる夢の絵本。[『あい』という言葉で始まる五十音だから傷つくつくつくぼうし]・[我が頬の髪を払える余裕見てしまえば寂しいキスと思えり]・[絵葉書はそこまでの空「明日からはここにいない」という語残して]他/※カバー裏表紙端ごくうっすら焼け=●古書の経年の劣化にご理解ある方のご入札をお待ち致しております/◆送料=クリックポスト(追跡番号付)で164円(※9月から185円)/古書価=1,080円
全冊こんな調子なので「遅々」なんてものではない。読書感想文を書いているようなものだ。プロはもっと肝の掴み方を素早くせねばなるまい。更に、9月にはクリックポストの値上や、長い間お世話になってきた「ゆうメール(昔の書籍小包)」が廃止、という事で、ネットに上げた約3,000点の一々を書き換えないといけない事態になっているのだ。一日50点と決めてとりかかっても、60日かかる。当然新ネタも作らなければならぬ。配送料金の法外な値上げの前には「店舗はありません-ネット販売で細々やってます」なんて寝言も言ってはおられぬ。
[Ａ４判-３cm-１kg]以上の本でもお読み頂きたい本は無数にある!!全集やセット本、大判の本もお売りしたい!!送料が本体を越える時代。これからはお買い上げ頂くお客様にしても実店舗に戻るしか無いはずなのである。「これからは店頭販売だ」という確信はあるのだが、爺、もはや親も子も無く、親戚もみな年金暮らし、賃貸の店舗を借りる際の保証人が皆無なのである。大体本人があと何年生きられるかさえ怪しい。さてしも、どなたか奇特な方で、爺にお貸し頂ける方あれば、是非お願いしたい。但し稼ぎ出せる家賃額は３万円程度であります。「一日1,000円売って月３万円」と言ったら周りから「時何を高望みしているのだ」と叱られたが、人生の終末に最後の華々しい挑戦をしてみたいと燃えているところである。
「逆走台風」が去り、北寄りの風が雲を吹き飛ばして涼しい。まだ未練を棄てられぬ爺にとっても
「そこまでの空」が頭上に広がっている。
「それぞれに帰える場所持つ肉体をぬけがらとして立つ冬の海」(万智)
嵐去り北風強き平尾台
送料程の価値ある本ありしか わが書庫の前 立ち尽くす夕暮れ (白骨)
六月は忙しい
| 水無月や 梅酒梅干 辣韮漬け | 水無月の風 田をわたり 稲馨る | 観音様と笹酒汲みて竹供養 | 白骨 |
六月は忙しい、といっても、古本屋の商いの話ではない。毎年この時期になると、「そぞろ神」が取り憑いたように保存食の制作にとりかかるのである。スーパーの店頭に「
田圃には満々と用水から清よらかな水が貯められ、苗代から一斉に田植え。この時期あぜ道に立つのが一番好きな爺だ。甘く稲の若葉が香ってくると「ああ百姓の血が自分には色濃く流れているんだなあ」と感じるのだ。それでいて、稲刈りの頃は余りDNAを感じないのだから勝手なものだ。
父親から「お前は士族だ、武士の子だ。シャンとしろ。」と頭ごなしに言い聞かされてきたが、どうみても饅頭屋の子だし、母親は木更津の農家の出。できたら切腹覚悟の武士は遠慮蒙りたい。刈り取りは、鋭利な鎌を使うのが嫌いだったのかも知れない。(爺は刃物がともかく嫌いで、毎月台所の包丁を研ぐのも億劫な方、これではやっぱり菓子屋にはなれない。カステラなどを切る包丁は毎日研ぐのである。)
さて今年も２キロのラッキョウと(1/4は「塩らっきょう」に)梅酒を二瓶漬けた。連日の雨で土用干しが大幅にズレ込んだが梅干も何とか作り上げた。夏至の頃は、ベランダに陽が差し込まないので、写真のような工夫で干すのである。
関東一円のスーパーダイエーで古本祭をしていた30年程前、NHKのTVテキスト「今日の料理」は欠かせない商材だった。その中で最も売れるのが「おせち料理特集」号。時期を問わずいつでも売れるのだ。昔の主婦の「おせち」に対するプレッシャーというのが、如何ばかりだったか想像がつく。次に売れるのが案外六月号なのである。果実酒、梅干し...こちらの内容は主婦にとって重荷というより、楽しみ。むしろ男の領域でもあるから、一家揃っての和気藹々とした料理といえる。
爺も子供の頃、土用に庭中に梅干しを並べる作業を毎年手伝わされたものだ。水戸は烈公の「戦にそなえて梅を植えよ」のご下命で城下、梅干づくりが盛んで、どの家庭でも大量に作る風習が残っていた。特にウチは店と工場の裏に30坪程の庭があリ、オヤジが道楽の植木、作庭、盆栽に凝る以前は実に広々していた。ここ一面に家人職人、総出で赤く染まった梅を干したものだ。
更に我が家、冬には大樽で3つも4つも白菜を漬けた。これも男連中の仕事だった。どちらも漬ける時、大きな重しの石を使うからだろう。
ベランダから紫蘇の香りが漂って、空には雲無く風そよぎ、爺は子供の頃の思い出に浸りながら、「今年の夏も何とか乗り切ろう」と決意するのである。
※補記:今年はトウガラシのストックが底をついたので、苗木をプランターに植えつけた。スーパーなどで売っている鷹の爪は全て中国産なので、自分で栽培するしか無いのだ。鯵の南蛮漬けやら、糠味噌に必需なのだ。ところが今年は日照時間が少なく、花の付きが悪く心配している。常備のパセリも根腐れた。いま「胡麻」に困っている。メンマも自分で作ってみたが、失敗。福神漬は成功したが、市販のものはかなり甘いのだと痛感。これらの食品は、みなチャイナ産で、国産が流通していないのだ。
秋、渋柿が出回ると、干し柿作りだ。暖冬だと難しい。渋柿、もう少しお安くならないものか...結構な値段である。
当地に来て知った「連子鯛」は美味。多めに買った時は、干物にしている。むしろ干物の方が美味。北九州、「ハタハタ」も時期には店頭に並ぶので、こちらも干した方が断然美味い。水戸だけの名産と思っていた「アンコウ」も鍋のシーズンにはいつも魚売り場にならんでいて、驚いた。(爺は食さない)。北海道産の生ダラが一匹300円程で買えるので、これを鍋やら塩焼きやら味噌漬けやら色々アレンジして楽しんでいる。北九は本当に魚が良くて離れがたい地ではある。
※語源辞典の説によれば、「水無月」は水の無い月という意ではなく、「神無月」の「な」と同様、「の」の意味で、水の月、田にみずを引く月の意、という事だ。勿論、旧暦の7月だから「渇水」という意味だ、という説もある。渇水なら8月かな、という気もするが...
※梅干しは、一昨年水戸の「十銭屋」さんから頂いた梅干が随分残っているので、今年は少なめに。「十銭屋」さんは、生家のあった和菓子屋の三軒隣の瀬戸物屋さん。実に美味な南高梅の梅干。いつも良くして頂いてきた。生家は現在「つくば銀行(元関東銀行)」にお売りしたが、新営業所は建築始めたのだろうか?東関東大震災で、ビルの内部が随分破損していて、立て直すしかない、との事だった。3.11当時当店も、
※冒頭の拙句のお口直しに、水無月の名句をいくつか
| 水無月の竹を叩くや俄雨 (松瀬青々) | 水無月の蟻おびたゞし石の陰 (正岡子規) | 黒鯉は最澄の黒水無月会 (森澄雄) |
【最近お客様のお手元にお届けできた名著】
ポケット菜根譚詳解講義
◆久保天随講述 大正5年金刺芳流堂発行/[9cm×15.5cm493P]/三方金/前集-225項目・後集-134項目の処世修養の書。
※表紙若干の脱色(シミ)ありますが、本文は全体として大正のものとしてはまずまずの保存でしょう。三方の金はやや退色気味です。
菜根譚 (前集100項)
居逆境中、周身皆鍼砭薬石、砥節礪行而不覚。
処順境内、満前尽兵刄戈矛、銷膏靡骨而不知。
注）砭：つぼに刺す石製の針。
人が思いに任せず逆境にある時は、針灸や薬石で体の病を直す如く知らず知らずのうちに、自分の人格を磨いているのである。しかし、本人は一向にそれを自覚していない。
何事もうまく行く順風満帆の時は、周りは総て誘惑ばかりで、あたかも刃により胸は刺し貫かれ、骨髄は粉々に砕かれてしまうようなものである。また、ここでも本人は一向に気が付かない。
これによって考えてみると、逆境は楽の種、順境は苦の種なのである。
※「砭」 外字を使用しているので、Winでは見られるが、Macでは如何か...
石偏に「乏」という字です。
しろたへの ウインブルドン 始まれり 白骨
選手は純白のウェアで、聖地の競技に臨みます。
「しろたへの」を是非「ウインブルドン」の枕詞に付け加えて頂きたく存じます。
徹夜で緊迫した試合見てますと、半分朦朧としてまいります。そこで、
くだらない、シャレなどを連想して、眼を覚ましているわけでございます。
キリオスと掛けまして十和田湖と解きます
そのこころは? 「けいこく」もあるでしょう
(問題児で今回も警告を受けました。勿論十和田湖といえば奥入瀬渓谷。)
錦織、キリオス戦は時間との戦いでもあったね。
段々薄暗くなってきてた。
あと18分で日没だっだだけに、何とかサンセットで終わらせた。
芝のコート、夕暮れて、暗れえ
本の本・古本屋の本 乱読すれば良書に当たる!!
| 番号 | 書 名 | 著者 | 出版社・版 | 解説・状態 | 刊年 | 価格 |
| 01 | 復録版 日本大雑誌 明治大雑誌 大正大雑誌 昭和大雑誌 (戦前.戦中.戦後篇) 5冊揃  | 漱石.春浪.虚子.乱歩.綺堂.柏亭.荷風.三島.川端康成 耿之介. 万太郎. 龍之介他 | 流動出版 初版カバー付 | 明治-大正-昭和各時代に発行された雑誌から80〜100篇を精選し１冊にまとめた/各冊巻頭に雑誌の表紙カラーグラビア８p・当時の雑誌広告、挿絵も復刻!!※カバー少シミ浮き・頁端少経年の焼け | 昭53 | 2160 |
| 02 | 出久根達郎著作 11冊一括  | 出久根達郎 | 筑摩書房・文藝春秋・中央公論社・新潮社他 1冊除き初版カバー帯付 | ◆漱石先生とスポーツ◆漱石先生の手紙◆風がページをめくると◆面一本(※小口と天-少シミ浮き)◆本のお口よごしですが◆粋で野暮天◆仕合せまんまる◆死にたもう母(※カバー背うっすらシミ・帯色移り)◆倫敦赤毛布見物◆昔の部屋◆あったとさ(※4刷) ※「あったとさ」以外は全冊初帯 ※帯・小口などに経年の痛みある本含みます | 1991〜 2001 | 5400 |
| 03 | 六時閉店 地方出版の眼 | 松村久 | マツノ出版 初カ帯 | 貸本.古本.出版・私の出版五原則・古本屋は不滅である・いなか本屋の四季他/※帯少痛み | 平成元年 | 540 |
| 04 | 愛の目録 小説のなかの女101 | 尾崎秀樹 ・恵子 | 創隆社 初カ帯 | 101の愛のストーリー・愛のカタログ | 1982 | 540 |
| 05 | 知の職人たち 辞書に生きる豊かな個性 | 紀田順一郎 | 新潮社 初カ帯 (B6判209p) | 吉田東伍と「大日本地名辞典」・斎藤秀三郎と「斎藤和英大辞典」・新村出と「広辞苑」他 | 昭59 | 540 |
| 06 | 古本漁りの魅惑 | 高橋輝次.編著 | 東京書籍 初カ帯 (B6判257p) | 古書好きの著名な方々が古本屋や店主たちのおもかげ、古書をめぐる珍談、奇談不思議な因縁、古書へのうんちくなどを生き生きと楽しげに綴る。どれもこれも興趣が尽きない。/(１)私の古本漁り;奥野信太郎「曝書」・小島政二郎「古本屋」他・(２);心に残る古本屋=岩佐東一郎「兵隊古本屋」・山田風太郎「ある古本屋」他・(３);異国の古本屋=松村武雄「古本探しの記」・市河三喜「古本漁り」他/※カバー背と裏表紙に少シミ浮き | 2000 | 650 |
| 07 | 古本屋の本棚 店主たちのこだわり | 高橋 輝次.編 | 燃焼社 初カ帯 (B6判235p) | 本当は売りたくない！」本の話。ベテランから若手まで、いずれ劣らぬ愛書家、読書家としての面々が、各々の専門分野で、自己の愛蔵書、偏愛書、珍しい本の数々を愛着をこめて語る。資料の発見による出版史の掘り起こしも行う。さらに、東西の古本屋の人と歴史がわかる重要な文献を収録する。お楽しみのコラムや短編小説も豊富に併載。/(１)書物・資料へのこだわり=斜視と古本と―非売資料のゆくえ・書物列車に乗ってきた旅人たち・ＳＦ古書蒐集について他・(２)お楽しみの時間[コラムと創作]=古本屋のひとりごと・古本屋控え帳抄・レンブラントの闇他・(３)古本屋の人と歴史=古書鑑定の苦楽・文淵閣浅倉屋のこと・成城駅前露店の古本屋他/※小口に一箇所小さな凹み疵あり | 平9 | 540 |
| 08 | 海音寺潮五郎 人と文学 | 尾崎秀樹 | 朝日新聞社 初カ帯 | (I)文学的資質・(II)軌跡を追う・(III)史伝の系譜=「赤穂義士」の位置・幕末の群像・将門と純友他/巻末に年譜付/※カバーにシミ浮き | 昭53 | 750 |
| 09 | 魔術的な急斜面 創元クライム・クラブ | 紀田順一郎 | 東京創元社 初カ帯-B6判254p | 古書店の跡継ぎ争いが思わぬ展開を見せる。古本十番勝負。※天に少しシミ浮き | 1991 | 540 |
| 10 | 乱読すれば良書に当たる | 百目鬼 恭三郎 | 新潮社発行 初カ帯 | 読書人のために良書70余冊を懇切に紹介/※帯少痛み | 1985 | 540 |
●古書のほそみち/村尾栄一郎● 平成3年藝林荘発行/第二版カバー帯(重版五百部)/[19.8cm×15cm-104p]/古書店主のエッセイ集/ ◆日本橋店開業の頃◆伊達家の本◆光悦の謡本◆盲折居の小鼓◆写楽一枚◆佐野兵六さん他 ※カバー少しシミ浮き=古書に理解ある方のご入札をお待ちいたします。/●送料=郵便局クリックポストで164円
赤村
阿柯(あか)
『源じいの森』超速訪問記
組合主催の国東半島旅行の旅すがら、仲間の本屋さん達が、「よく『源じいの森』で遇ったなあ」と懐かしがっていた。日帰り温泉施設があるらしい。みなさん温泉好きである。まあ当方は入浴にはさっぱり興味が無いが、「森」というのが気になり、小倉から小一時間で着くようだし、行ってみる事にした。金辺峠を越えて、香春町を過ぎれば、さしたる急峻な山道もなく、信号も無いので順調に車を走らせる事が出来た。途中平成筑豊鉄道田川線に沿った道を行くのだが、遥か右手を見ると、面白そうな三連の「橋」らしき構造物が見えた。早速車を停め、眺めていると、真下で望遠カメラを構えた方が、「汽車がもうすぐ来ますよ」と教えてくれた。慌ててデジカメを取り出して撮ったのがこの二枚。遠すぎる上に焦っているのでさっぱり不明瞭な写真と相成った。左側2つのアーチの下を川が流れているようだが、崖下まで降りる道が分からず先を急いだ。
この構造物は、「内田の三連アーチ橋」と呼ばれていて、『1895年竣工されたもの。内田川の下流側は煉瓦積み、上流側は切石積みとなっている。煉瓦積みの方は、将来の複線化の際の橋梁増設を考慮して、煉瓦を交互に突き出させた「げた歯構造」と呼ばれる積み方で、縞模様および市松模様にみえる』という説明を後で知る事となった。当地の観光スポットらしい。行き当たりばったりの旅はこれが面白い。
さて『源じいの森』に到着はしたが、自然のままの渓谷やら林道などがあるのかな、と思いきや、整備されたバンガローとキャンプ施設。それと日帰り温泉施設が建っているだけで、珍しい野草には出会えなかった。
5000匹のほたるが見られるらしい。やなば橋とあるので、この下に簗があったのだろう。
車掌車「ヨ9001」が静態保存されている。当時時速100Kmに耐えられる車両だった。
また当地、石坂渓谷には、鉄道が敷かれる以前は水運が開かれていて、船着き場があったようだ。鉄橋をくぐり、その川べりまで降りてみた。ここで川のカーブが巾着形になっていて、水深は浅い。川が白く濁っているのが気になった。渓流-清流という感じではない。
橋脚の幅からして、将来の複線化を考慮にいれていたように見える
最後に駅を撮影して、滞留時間30分弱で、引き返したのである。実は、その後にメインの目的があったのだ。
駅全景。1995年開業の無人駅である。
時刻表=一時間に一本のようだ 陸橋の奥に九州最古の石坂トンネルがある
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今回の小さな旅には、他の目的があったのだ。柔らかいウドンを食べさせる店探しである。爺は三島由紀夫とご同様で、(喩えが凄いね)一人では食堂やレストランに入れない質で、かろうじて「立ち食い」なら耐えられるのだ。丁度昼過ぎになり、小倉までの帰路の途中にあるドライブイン香春の中の、「立ち食いうどん」という名のウドン屋を目指した。
昨今どこもかしこも、「シコシコ麺」だの「モチモチ麺」だの、「歯ごたえ」だの、ウドンにあるまじき異形を売り物にしている店ばかりで、辟易していたところだ。いよいよ困り、ネットで「北九州-やわらかいウドン」と検索して、見つけたのである。この日は日曜日の為か、物凄い客でごった返していて、注文受けて数十秒で作られる手際の良さをもってしても、10分程は待つ事に。この混雑ぶりで、お客が何を求めているか、分かりそうなものだ。噛まずに食べられそうな位の麺、柔らかさが懐かしく、実に美味なウドンでありました。できれば「明太子丸天」は普通の「丸天」で出して欲しいところ。汁が若干塩っぱいので、甘みが欲しいところ。製麺所の名を控えてきたので、もしどこかのスーパーにでも卸しているなら、買いに行きたいと思っている。図録/雑誌/写真集/カストリ/図鑑/新聞切抜/文庫本/SF/絵葉書/古地図/エンタイヤ/初版本/辞書/ポスター/漫画/革装天金/郷土史/アンカット/豆本/絵本/ちりめん本/戦史/洋書/映画パンフ/和本/双六/アイドルグッズ/料理本/法帖
古本乙女の 日々是口実 カラサキ・アユミ
『日々是口実』古本大好き乙女の探書珍道中
古本漁りの楽しみとは「感性の無限の追求と遭遇の快楽(エクスタシー)」
唐津の西海洞さんから、楽しい本を送って頂いた。「古本乙女」の書いた古本愛に満ち満ちた一冊。4コマ漫画(続きものもあり)を中心に、「本人真剣・周囲爆笑」の抱腹絶倒-古本アルアル話が繰り広げられている。漫画と交互に、幼少の頃の古本体験から、相方との出会い結婚を経て、なおかつ古本道をひたすら驀進し続ける筆者のエッセイが挟み込まれている。漫画は吹き出したくなるようなパワーが溢れているが、エッセイの方は気取らず、論理的で読みやすい好感のもてる名文なのである。まず表紙と見返しの「仕掛け」にニンマリ。こりゃ相当古本好きであるな、と、仕掛けを撫で回してしまった次第。
古本が実際に並んでいる現場にこだわる著者。「この本」と、決まったものを探すならネットも有効だが、何か事務的で味気ない。どんな本に出会えるのだろう!!と胸ときめかせて、古本屋や古本市、古書展に踏み込む事こそ、古本集めの醍醐味なのである。古本漁りを「楽しみ」「趣味」「生きがい」とするなら、断然現場へ狩猟のごとく出撃する方が幾倍にも喜びに浸れるというものだ。カラサキさんも、「そこに古本屋があるから探書する」と言い切っている。
特定のジャンルの研究者が、筋目を追って集書するのと違い、彼女は、手に取り、目で見てピンとくるかどうかで判断して買い蒐めるのである。感覚、センスである。何やらその好みの傾向が誰かに似ているなあと追想してみたら、今は亡き「上野文庫」さんだ、と気づいた。目録からは一切買わず、展覧会の会場で猛烈な勢いで本を抜き、何箱分もお買い上げ頂いたのを思い出す。実際に手に取り、琴線に触れる本を集めていたのだ。しかし、カラサキさんのような、うら若き乙女がいわゆる「エロ古本」を蒐集するなどというのは、過去にあまり例のない画期的流れで、嬉しい限りだ。爺も「エロ」は大好きで、実店舗を持っていたら、あれこれ陳列してお待ちしたいところだ。
独り古本渉猟をしていた(大体孤独が当然だが)が、SNSという道具を得て、本に魅入られた多くの人々と交流できるようになり、本書の発行にまで繋がった、とある。スマホ時代の大いなる功績でもあろう。まあ、魂の根源から湧き上がる古本への執着は、「広がり」を持たずとも、失せる事は無かったではあろうが...
古本業界も時々、「風雲児」と目される店主が現れる事がある。件の「上野文庫」さんもそうだし、風の便りには「頭突き書房」さんとか「月の輪書林」さんとか...ごく身近では西部展の後輩、「千年堂」さんがいた。彼の出品物は、値付けが途方もない額でも、飛ぶように売れていくので、ある日意を決して聞いてみた事がある。「どういう基準で本を集め、値付けしてるの?」彼の答えに呆然とした。決して真似できないからだった。「ドロドロしてるか、してないかだね」というのだ。彼の独特の感覚が、お客様のフィーリングと一致していたのである。
先達たちは書痴-紙魚-ビブリオマニアの楽しみのレベルを下から、本を「読む楽しみ」-「集める楽しみ」-「探す楽しみ」-「買う楽しみ」などと分類してきた。本編でも「本を読むなんて、まだまだ素人」と、古書蒐集の王道が描かれている。
古本屋のオヤジにとっては、究極の「買う喜びの為に本を買う」という一種、桃源郷か、禅の境地まで達したお客様が毎月10人程来店頂ければ、糊口を凌げるのだが...
御本人のツイッター(pugyurata@fuguhugu)を拝見させて頂いたところ、東京堂の5月1日調べで「週間ベストセラー1位」というどえらい事になっている。陰ながら「おめでとうございます」と申し上げたい。また、このこの『日々是口実』を端緒として、多くの「感受性の無限の開放と昇天の快楽」を実践する特に女性の方が増えて頂けたらと切に願うのであります。
図録/雑誌/写真集/カストリ/図鑑/新聞切抜/文庫本/SF/絵葉書/古地図/エンタイヤ/初版本/辞書/ポスター/漫画/革装天金/郷土史/アンカット/豆本/絵本/ちりめん本/戦史/洋書/映画パンフ/和本/双六/アイドルグッズ/料理本/法帖
It Never Rains In Southern California若い時分から「この人は誰かに似てる」とか「この歌はあの歌にそっくり」、「誰それの声はあのスターに瓜二つ」とかを見つけるのが特技の爺で、そんな何の得にもならぬ事を書こう、というのがそもそもこのコラムの趣旨でして、もっと短めの話の積りでした。
最近気づいたのは、アルバート.ハモンドという歌手の大ヒット曲「カリフォルニアの青い空」を久しぶりに聞いたら、歌い回しや声があまりにもジョージ.ハリスンに似ていて、その潜在意識で好感を持ったのかも知れない。
カリフォルニアの歌は他にも、ママス＆パパスの「カリフォルニアドリーミング」・イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」とビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」と名曲揃い。そりゃニューヨークやシカゴよりは明るい感じがする。
暗い気分の時は、西海岸ソングもいいが、爺、実は雨の方が好きなのである。冬の間乾燥した「からっ風」が吹き、関東ローム層の土埃が舞い上がる風土に育ったので、しっとりとした雨の日が心休まったものだ。勉強にも集中できたし、よく眠れたものだ。傘をさすのも好きである。小学校の備え付けの、学校名の入った番傘の匂いが好きだった。母親が「蛇の目でお迎え」なんか絶対来てくれなかった。父親は菓子工場、母親は店があるので、運動会にも学芸会にも来たためしはない。学芸会では、いつも悪役を割り当てられて、学年で一番の可愛い児童がやる悪業の落差に満場の笑いをとっていたものだが...花咲か爺、こぶとり爺、三匹の子豚の狼...
ともかく日々、本を読まないと気がすまないのである。古本屋だから、当然仕事としての書物も読まねばならないが、楽しみの為の「読書」も無けりゃやっていられない。若い時分は、SFやミステリーが中心だったが、SFはP.K.ディックでおしまい。海外ミステリでは「黒後家蜘蛛の会」は売れずにいる。
不惑を越えてからは時代ものが中心となり、司馬遼太郎・藤沢周平を読み終えて、山本一力から宇江佐真理、そして山本兼一と読み継いできた。もうこの個人の読書本は、市場に出るのなど待っていられないので、新刊で買ってしまう。読後売るのであるから、半額で読める。古本屋の特権である。気に入ったら遡って買い漁り一気に読んでしまい、あとは新作を待ち焦がれる、といういつものパターン。
山本兼一では、何より「とびきり屋見立て帖」の世界が好きで、享年57歳。まだまだ書きたかっただろう作家の早世、ただただ惜しまれる。それにつけても文春さん、「ええもんひとつ」・「赤絵そうめん」はもう絶版とは、早すぎませんか?この好ましい若夫婦の行末、水戸の恥、芹沢鴨との関係も気になるところ。この本の影響を受け、骨董に目覚めるか?というと、モノにはまるで執着心が起こらないのだ。身辺に置くなら本に限る。馥郁たる時を過ごす媒体は「本」に尽きる。
そういえば宇江佐真理さんも亡くなられ、「髪結い伊三次」の新作が読めなくなったのも寂しい限りだが、これ少しシリーズが長すぎた感あり。中村橋之助でTV化も、あまり面白くなかった。橋之助で良かったのは、「御宿かわせみ」。高島礼子がすこぶる好きなもので...名作「結婚できない男」、一緒に出ていた馬鹿男のせいで、シリーズ再放送もうできなくなった。大体あんなのと結婚するかなあ!!
爺、時代物では「捕物帳」が特にお好みで、「半七」、「なめくじ長屋」シリーズは売らずに自家用の棚に置いてある。変わった所で、
倉庫 推敲前・没コラム・MEMO....
線引-書込について考える
市場に大山で出る本の中から、「これは!」というものを見つけるのは実に楽しい作業だ。誰も後々整理に手間のかかる大量の本は嫌うから、容易に落札できる可能性大なのである。万年スカンピンの爺にはうってつけの出品物なのである。
市場の経営員をやっている頃は「ちゃんと仕分けして状態確認して出品すれば、高くなるよ」「何なら整理しましょうか?」と、出品者のみなさんにお薦めする側だったのだが、尾羽うち枯らした今となっては、緋毛氈の上に恭しく展示された「良品」、人だかりのできている「売れ筋」は目の保養、値頃を確かめるだけ。大半の時間、雑多に組まれ放置された「見切り品」の前にじっとしゃがみ込む訳である。
そして首尾よく手に入れたお目当て本の手入れをしてみると、目当ての本に限って、線引・書込みが見つかるという、お馴染みのコースを辿る羽目になる。
黒鉛筆ならまだ消せるからいいが、赤や青鉛筆、最近ではボールペン、挙句にはマーカーのピンクの線などがあれば、もうお陀仏である。しっかり私の手で成仏させなくてはならない。再流通させたら、又どっかの古本屋が泣く羽目になる。書物を製紙原料に貶めるのは、窯から取り出して出来の悪い陶器を、南無三と割る陶工の気分である。
そんな中の一冊。県の広報連絡協議会発行「防長歳時記」(昭46)は、表紙が初三郎で、売れる!!と、ぬか喜びしたのだが書込み線引き甚だしく、とても売り物にはならぬ代物。まあ自分で読むには問題なし、と読み始めて驚いた。単なる覚えの為の線引-書入れでは無かったのだ。例えば「にぎあう」を「にぎわう」・「ホタルの養殖」を「増殖」に、「中学校の児童」を「生徒」にと訂正するような単なる誤植訂正もあるが、一見事実のように書き継がれた記事そのものへの異議申し立てなのである。
のっけから、頁余白に「ウソ」とあるから読まずにはいられない。山口県の「無角牛」の記述で、「見島牛の肉質の良さをそこなわず、欠点である晩熟性と体格の小さい点だけを改良することに注目したのが、山口県の和牛改良の出発点となり、本県特有の角の無い牛の誕生へと発展した」という記事、コレ「嘘」。正確なところは同じ本の「122p記載されている」と書き込まれている。後述の事実はこうだ。「大正年間に輸入されたスコットランド系のアバディン、アンガス種の無角牡牛と在来の和牛とを交雑してできたもの。『見島牛』よりやや大きく、筋肉が発達し、四肢が強いことから、農用牛、肉食牛に適している」
ここまできて分かるのは、複数の著者によってバラバラにこの一冊は書かれている、という事なのだ。そして、全体を見渡して齟齬-食い違いを確認する人の手が入らなかった、と見ていい。誤謬の記事は更に「無角牛に県は国とともに助成金を出している」と続くが、旧蔵者のチェックが鋭く入っている。県の後に「市」と書入れている。行政にも詳しい人らしい。
数ページ後には、「大理石」と並んで「石灰石」の項目があるが、これは項目としておかしく、石灰岩の後ろに「が熱変質してできたもの」との書込み。大理石の説明部分だという指摘。どうも岩石地質の知識も有する方のようだ。
山口県産の清酒一覧にも、×印が漬けられている。その酒蔵は無いのかな、と調べたら実在する。つまり「美味くない」の×のようだ。これは持ち主の趣味の問題。ご愛嬌だ。
「自然と風土」の章に白ヘビの記事があり、「世界でも珍しい」と書かれているが、すかさず横に「各地に棲息」と書入れ。アオダイショウの白色化にすぎないのは周知の事だ。出版前に校正すべきであった。
爺も伊豆の自宅のそば、DEN報道の別荘下の土手から白ヘビが出できて、ギャーっと飛び退いた経験がある。神田の市場で自然林さんに話したら、「捕まえたら良かったのに、アルビノで十二支の動物集めてるお寺があるから、高く売れたのに...」と言う。千葉の鋸山かどこかかにそんな縁起物を集めた寺の動物園があったようだ。犬や鶏、鼠なんか簡単だろうが、龍はどうするのか、タツノオトシゴかなんかで誤魔化すのだろうな。旧蔵者、動植物にも詳しい。更に読み進もう。
長門市の「鯨回向法要」の項。「長門市通地内にある観音堂境内の『青海島鯨墓』の前で行われる。その際「通鯨唄」が奉納される」という記事。訂正者は「長門市向山寺本堂にある」と訂正。おまけに「鯨唄は奉納されない」と書込み!!「またこの唄は山口県無形文化財に指定されている」とあるが、これも、キッパリ「指定されていない」と指摘。ウーム。祭祀関連にも強いようだ。
続々訂正は続くが、有名な萩の夏みかんのコーナーで、「青海島の大日々部落の西本チョウという人が海岸で拾った名もない果実の種まいたのが成長した。それを萩に移植したもの」という記事には「?」を付けている。
「見島」の表記では、「地理的にも韓国に近いことから、当時交易があったと考えられる」に対しては、「定説ではない」-「防人」「防犯」との書込み。秋芳洞には「特別記念物」という冠を付けて書いているが、訂正者は正確に「特別天然記念物」と「天然」を書き加えている。その記事と次の秋吉台の記述は全部四角でくくって、「原文ママ」とあるから、何かパンフレットの丸写しで、むしろ正確という事だろう。
ここまでで本の約半分、まあ疑問点、不正確な記述が多く、この後も長門峡のＴ字谷を丁字川と書いたり、御嶽(ミタケ)にオンタケとルビを振ったりと訂正は続くが、「?」となっている部分も多い本書、県としても改訂版を出す義務はあるだろう。この書込み本を是非お買上げ頂けないだろうか?(笑)
(補記)
この本を元に、孫引きした記事が拡散する可能性もある。ツイッターなども事実確認を怠ったものもあるだろう。爺も「通鯨唄」に関して、山口県のHPで確認してみた。旧蔵者の勘違いもあろうし、時代も経たからである。やはり「県」ではなく、「市の無形文化財指定」のようだ。県指定の無形文化財は、「祝島の神舞神事」「切山歌舞伎」など34あるが、「通鯨唄」は漏れている。通(かよい)地区では1992年に新しく「鯨祭」が始められたらしい。HPを見ると、楽しそうな祭である。勿論「通鯨唄」が歌われるとの事。捕鯨の文化を後世に守り伝えていって欲しい。
参考;https://nanavi.jp/events/kujiramatsuri/
昭和47年に本書、正誤表付で再版が出ているようだ。是非その正誤表を見てみたい。いつか入手出来る日を楽しみにしたい。
カーリングとボルダリング
食わず嫌いで新しいスポーツにはなかなか飛びつかない爺だが、見始めたら案外、病膏肓に入る事がある。カーリングがそうだった。冬のスポーツで唯一面白いと確信している。50年も昔、すでにビートルズの映画「ヘルプ」に登場していたというのに、当時10代の爺には何の事かさっぱり理解できずにいた。それがソチオリンピックの頃からは欠かさずTV観戦である。解説者のお陰で作戦にも長けてきた。LS北見、北海道銀行、SC軽井沢...メンバーまですっかり詳しくなった。氷上のチェスと呼ばれているらしいが、むしろ一種「碁」のような感じで、文字通り布石が肝心である。何よりいいのは、観客も一緒に考えながら観戦できるという所だ。
今回の某国のオリンピックは、人工雪・整備不良のコース・強風・極寒・審判の不正・ノロウィルス・悪質な政治利用...と、目をそむけたくなるばかりだが、カーリングだけは面白い。レフェリーも採点者もいない、セルフジャッジでスポーツマンシップに則って行われる競技なので実に清々しい。特に今回から採用された、"ミックスダブルス"は石が"ハウス"に多く溜まって、点数も多く入り逆転も劇的で、実にスリリングだ。
もうひとつ、最近のスポーツで爺も実際やってみたのは、2020年東京五輪に採用された"ボルダリング"。これも「ただ壁登るだけじゃないか」なんて高を括っていたら、結構ハマってしまい、録画に撮って見るほどになった。
その壁が、少し前近所の児童公園にも作られた。爺も早速挑戦したら難なく登れた。「まだまだ動けるぞ」と内心得意になったものだ。
しかしこの競技、急激にブレイクはしたものの、先が見えた感じがした。昨年の世界選手権、長身の外国人選手が、まるで忍者のような日本人選手を楽々と負かしてしまうのだ。日本人選手の届きそうもないホールドに難なく手を伸ばす事ができるのだ。次のホールドに飛びついて掴まるチビを向こうに回して、手足の長いノッポたちはまるで蜘蛛のように壁面を登っていく。バスケットボールやバレーボール、最近のテニスも長身の選手に席巻されているではないか。身軽さを活かして、この種目で先行した日本人選手だが、世界と戦うとなると、保たないかも知れない。
さて近所のボルダリング施設、最近、子供が取り付いているのを見た事がない。男の子も女の子も、すぐ横の自然の崖をよじ登ったり滑り降りたりして、楽しそうに遊んでいるのである。
組合HP巻頭用写真
寒中御見舞申し上げます
1月11日 皿倉山の冠雪 1月6日のレンブラント光線 (寿山より皿倉山を眺む)
南小倉区 東大野八幡神社
校歌はこうか? トンネルと島を知らずに僕等は育った
校歌、県歌(♪空には筑波白い雲...)、は普通いくつになっても覚えているもの。それが最近惚けの進行で怪しくなってきた。グーグルというのは何でも調べられて便利だが、爺の出た水戸市立五軒小学校の校歌、というのが検索しても何故か出てこない。まさかあの水戸にまで妙な教員組合でも蔓延り出したのか...卒業生は一斉にブログやツィッター上に歌詞を掲げて名誉回復すべきだと思う。
”流れも永久に一筋に 気高く清き那珂川の水にも...”(この辺りから歌詞が浮かんでこない)"深き望みあり”だったか、次のフレーズは"心を鍛え身を練りて”かな。"栄えある学び舎、誇れよと”か、締めの"共に励まん国の為”というのは合っていると思う。この真っ直ぐな詞に難癖を付けられるというのなら、世も末である。
それから進んで、第二中学校の校歌は覚えている、"阿武隈の青き遠山”という美しい曲だった。正に遠い山。茨城県には筑波山以外目立った山が無い。だから小学校の遠足で県北の袋田-矢祭山に行った時、初めて汽車がトンネルというものに入って、全員で歓声を挙げたものだ。ちなみに「島」、海の向こうに浮かぶ島、というものは全く無く、九州に来て海のすぐ眼前に島があるのに感動したものである。このカルチャーショックが後に南太平洋の島々を目指して手製ヨットを作る原動力になろうとは、その時は露ほども感じていなかった。
対岸に島が見えるというのは、海に漕ぎ出す勇気をくれるのだ。月が浮かんでいたから、人類は宇宙を目指したのかも知れない。
”♪水戸を離れて東へ三里、波の渦巻く大洗♪”まで行けば、その先は見渡す限りの太平洋、その向こうはアメリカだった。
水戸一高の校歌はきわめて短く、これは折角覚えているのに、Youtubeに歌声までUPされている。在校時先生方が「一度でいいから野球部が甲子園に出場し勝って、この校歌を全国の人に聴かせるのが夢」と言っていたが、当時野球部員が8人。県予選の時は他の運動部に頭を下げて頭数を揃えていたというのだから、初戦すら勝てるはずもなかった。
歌詞は、実に尊皇攘夷思想の原点、水戸らしい骨っぽいもので、
一、旭輝く日の本の 光栄ある今日のそのもとは 義人烈士の功績ぞ
忠孝仁義の大道を貫く至誠あるならば 天地も為に動きなん
二、世界にきおう列強と ならびて進む帝国の 基礎は堅忍力行ぞ
花朝月夕つかのまも 古人に恥じぬ心して ゆめ怠るな一千人
という、由緒正しいものなのであります。
水戸市は、片側二車線の広い国道50号線の両側に、馬の背のように長く商店街が続く町なのだが、男子校と女子校の生徒が同じ側の歩道を一緒に歩いても「けしからん-男女席を同じうせず」といった風土だった。まあ他の街を知らないから「そんなもの」として成長してきたが、15-6歳の頃からこの封建的な土地柄が嫌になり、早く親元を離れ、自由の待つ東京に飛び出したい、と熱望し始めたのであります。脱出したものの、「自由」といっても特段愉快な事も無く、暗く淀んだ青春時代を過ごす羽目になっただけなのだが。こうして半世紀を過ぎて死期も迫って来ると、人間としての基礎は、あの窮屈な城下町でしっかり叩き込まれたのだと、懐かしく振り返る事ができる。その後の貧乏と心労ばかりの人生と較べてみると、親や町内の先達、先生たちに守られ明るく輝く日々を過ごせたと感謝の念で一杯だ。
画像が無い・困った・何かとからませるか...
※家(店)のすぐ裏手にあった五軒小学校は、元の警察学校の方に移転し、現在は水戸芸術館が建っている。入った事も無いが、水戸に地震、というTVのニュースが流れると、妙ちくりんなベビのようなタワーが映る、アレである。質実剛健の水戸に芸術は不似合いと感じる。「芸道」なら許せる。
想い出のサブマリン707
手塚治虫の鉄腕アトムより、横山光輝の鉄人28号の方が、好きだった「ろぼっと」が善人に渡れば善、悪人に渡れば悪と変わるところにハラハラドキドキしたものだ。アトムになりたい、と思った子供はおそらく誰もいなかったろう。爺をはじめ皆、月光仮面になりたかったはずだ。風呂敷を背負い、「月よりの使者」なんてんで、塀から飛び降りるので、「月光仮面ごっこ」は禁止された。鉄人も月光も「我こそ正義」なんて言わないところが格好良かった。「あくまで正義の味方」。僕ら小国民が命をかけて義を貫かねば、味方してもらえない、まあ日米安保みたいなもんだ。
そんな爺の一番好きな漫画は小沢さとるの「サブマリン707」!!何が好きって、潜水艦ですよ。何時からと言われると記憶も薄らいだが、爺はずっと潜水艦乗りになりたかった。映画も潜水艦ものに血湧き肉踊るのだ。密やかに潜行し、機雷の間をすり抜ける、魚雷を放つ!!爆雷を投下してくる駆逐艦との戦い。死ぬ時は艦もろとも、いわば棺桶じゃ。いい。実にいい。空も飛ばなくていいし、悪路を行軍したり、塹壕を掘ったり、兵站を輸送したり、軍馬を世話したり、しないでいい。
映画も潜水艦ものは見逃せない。戦争映画としても、出来の良いのが揃っている。「レッドオクトーバーを追え」も、「Uボート」も「眼下の敵」も「深く静かに潜行せよ」もいいが、「クリムゾンタイド」がまた良かった。ジーン・ハックマンが抱いてた犬、あれが可愛くて、欲しくなったものだ。近所に美人の飼い主に連れられて、そのジャック.ラッセル.テリアが一匹現れたけど、チビのくせに結構気が強く、ウチの能天気なビーグル犬なんかタジタジだった。
潜水艦の事を知りたい、と問われれば、木俣滋郎著の「潜水艦入門」をお薦めしている。昔、光人社の単行本で絶版だった頃は古本屋のドル箱だった名著である。光人社NF文庫に入ってしまったので、本屋の売上には貢献できなくなったが、多くの人が読めるようになったのだから、結構な話である。
以下二冊は入荷して、すぐ売れてしまった潜水艦ものである。
★海底十一万浬 [伊号潜水艦出撃戦闘録]/稲葉通宗★
【南無八幡大菩薩の長旗をはためかして】/[太平洋戦争ノンフィクション]/昭和55年今日の話題社発行/初版カバー付/イ6潜.イ36潜艦長・元海軍大佐-稲葉通宗著/
◆本艦は唯一、太平洋戦争を生き残ったイ十五型潜水艦である。何と零式小型水上偵察機1機（呉式1号4型射出機1基）を搭載しておるのだ!!組み立てて潜水艦から発進できるのだ。真珠湾の偵察に出撃した際は行方不明となってしまったが...数々の困難を切り抜けた、稲葉艇長の能力は群を抜いていたのだろう。戦後、米軍によって破壊されたが、戦争博物館を造り展示すべき一隻だったろう。「南無八幡大菩薩」の長旗を掲げて、というのも泣けて来る。
★深く静かに潜航せよ/エドワード.Ｌ．ビーチ/鳥見真生 訳★ [柏艪舎文芸シリーズ]/2003年柏艪舎発行/初版カバー帯付美本/[B6判358p]/◆1941年、日本軍のパールハーバー奇襲により太平洋戦争が勃発。アメリカ海軍は戦局を打開すべく、潜水艦隊を日本艦艇の通航の要衝である豊後水道へ派遣、商船隊を集中的に攻撃して補給路を断とうとした。だが米海軍潜水艦の前に立ちはだかったのは、日本駆逐艦を率いる歴戦の勇士“豊後ピート”だった―両者の熾烈な攻防、海の男たちの誇り、人間ドラマを当事者の目から克明に描いた記念碑的作品。名作映画の原作、初の完訳。
現代の戦争は正に潜水艦が主役の戦争。某国の潜水艦、追いまくられて、国旗を掲げて浮上なんて、大恥をかいていたようだが、海中でドラム缶を叩きまくっているような音を立てているらしい。豪州も日本製を導入すべきだったろう。潜水艦物に関する関心と理解が益々高まるのは、古本屋の爺の望むところでもある。
画像図版探し続行-一応文章のみ発見
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もうろく じじいの もくろく ばなし
耄碌爺の目録噺(3)
『書宴』の巻-(下)
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店主にとって原点の古書目録というのは、「手書き」や、「ワープロ」の原稿をコピーして、製本や綴じも内輪の手作業で作られた、いわゆる「自家目録」というスタイルのもので、それで「書宴」からお話しを始めたという次第なのであります。
皆様ご承知の如く古書目録には、旧来より国文学・翻訳文学・近代文学・理工書・法経・仏教書・資料物.バックナンバーなどなど、専門店がその専攻ジャンルに関しての書籍雑誌を網羅した専門店目録がございます。「自家目録の時代」と呼ばれた時代には、そんな基幹目録の他に、お客様から無秩序に持ち込まれた在庫や、通常の印刷目録では経費的に見合わない本などをうまく料理してお目にかける、いわば在庫目録、新入荷書目といったものがありました。芳雅堂、出久根さんは、へりくだって「雑本目録」「雑書目録」などと銘打ってらっしゃいましたが、これが若き日の耄碌爺の琴線(金銭)に触れた訳です。
「これなら経費もかからないし、できるかも...」(苦笑&冷汗)
勿論こういった個別の古書店の目録以外に、各地で開催される、古書展や古本祭の参加店による共同目録というものもあります。これも、定型郵便50gに収まる頁建てのものから、写真頁も配した分厚いデパートの古書展覧会目録まで様々です。また、即売会場を持たない共同目録もあります。前章で紹介させて頂いた、「火の車通信」「九州春秋会」なども共同目録で、お客様は各店へ注文する、という形。北九州へ来る前に当店も参加していた、「静岡東部愛書会」も共同目録でしたが、こちらは、各店が受注した本を持って沼津の市場に集まり、まとめてお客様に発送するスタイルをとっていました。結構発送作業は忙しかったですね。(静岡組合の皆様、手伝えなくなり相済みません)
勿論、次に参考にさせて頂く、古書情報誌の後半も古書目録が掲載されています。
第一回目の「古書目録」の発行数の件、曖昧な事ではいけないと思い、『日本古書通信』(以下略して古通)の今年半期の"受贈古書目録"の欄の数字と、『彷書月刊』の1992年、「目録ガンバレ大賞」特集号の、「全国目録発行書店一覧」を比較してみました。古通の方は本年1月号=(8軒)・2月号=(12軒)・3月号=(5軒)・4月号=(5軒)・5月号=(2軒)・6月号=(11軒)・7月号=(8軒)/で、複数号発行店もあり、重複を除いて43軒。勿論「古通」に目録を送っていない店もあると思います。上記『彷書月刊』で「目標『泥花』!!」なぞという、身に余る賛辞を頂いた実験書房さんの『幻』は、当店には届いておりますが、古通に無いようですからあくまで参考値として。
『彷書月刊』1992年3月号で一覧された全国目録発行書店は、何と174軒。現在の目録を発行店されている古書店の数は古通の残月で推算し30軒プラスで70軒余かと。より詳細な実数御存知の方おられましたら、お知らせ戴ければ幸いです。訂正させて頂きますので。
また、自家目録隆盛の時は季刊や、隔月刊の小冊子が多かったと記憶していまして、仕入れた本を次々に目録に書いて発行し続けていた感じでした。こういう作業はいまは、東京組合運営の「日本の古本屋」のデータベースに日々打込む、という仕事に変化してしまったのでしょう。
しかし「日本の古本屋」や「ヤフーオークション」などは、書名や価格は機械的に一覧表示にされて、分断された無表情なデータになってしまいます。本屋の個性などとは関係なく、受注が成立する世界。古本屋が日々の仕事をしていて、ここが一番淋しく感じるところなのではないでしょうか。一覧の中で安いとか高いとか。売れた、売れない....だけの日暮らし。やはり「目録を出さなきゃ、古本屋としての存在価値は無いよ」と勧めて下さった諸先輩の教えに戻る時期なのかも知れません。
さて最後に、『書宴』の18号を読み直して、初心を振り返ってみたいと思います。18号も読み所満載。巻頭は[有島武郎著作集]の奥付の色々。第6輯から出版社が新潮社から、叢文閣になっています。検印の色も朱と紫があるとの事。奥付から検印が省略された最近の本。寂しく感じるのは、店主だけでございましようか。巻末「紙くず学入門」は、選挙の後届いた、「棄権者調提出に関する件」のハガキ。棄権するなど以ての外のお達し。選挙権は貴重な選ばれた者の権利かつ義務でありました。
こちらの葉書は直木賞を受賞される以前の出久根さんからのお葉書。1991年の年賀状の方は、プリントゴッコでしようか懐かしい色調。印刷文面なので、画像掲載させて頂きます。「無明の蝶」が104回直木賞の最終候補に選ばれたとあります。もう一枚は、私が機関誌部を担当し、中央線支部報の編集をする際、支部員全員にアンケートに答えて貰い、支部の過去と未来を記録-展望するという企画にとりかかった旨をお知らせした時、わざわざ下さった心構えと励まし。文末には「落し宿」の長編の取材に土佐の山奥に赴く旨の文面。
組合に加盟して、高円寺の市場に参加させて頂くようになった折り、当時は「フリ市」でして、新人は最初は、坐る場所さえないので、芳雅堂-出久根さんの後ろに立って、氏の仕事を「盗ませて」頂きました。氏は嫌がるなどという事、微塵もなく、あれこれ呟いて教えて下さいました。「ともかく作者の名前と書名を沢山覚えなさい」紙くずのようなものを競り落とされた時は、振り向いて、由来を教えて下さいました。私の古本屋の背骨になった至言は、「安く売っても高く売っても自慢にはならない。古本屋は適正価格で仕入れて適正価格で売ることに努めないとダメ」という言葉。自家目録『泥花』を出すようになってからは、「草木ちゃん、本屋は手間を惜しんではいけないよ」丁寧な誌面作りを勧めて頂き、『泥花』の何号かで、500円均一コーナーを設けた時は、お客様の楽しみを奪っては駄目と諭されました。著名作家として、手の届かない所に行ってしまわれ、十年は経ちました。先日TVでお姿を拝見したのですが、茨城弁が一向に直らない御様子。水戸と北浦と離れてはいても、同郷の軽輩には訥々とした口調が大変懐かしかったのです。
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もうろく じじいの もくろく ばなし
耄碌爺の目録噺(4)
探偵小説目録の巻
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雑木林から蜩の声が聞こえ、もう秋の気配が感じられます。夏は、お暑い上に夏祭り、花火大会などというものが挙行されまして、どうにも喧しくていけません。耄碌店主、子供の頃から人ごみというのが、どうにも苦手なんであります。古書ライターの岡崎武志さんも、祭で好きなのは「古本まつり」だけ、と書かれてましたが、全くもって同感。 さて、いよいよ秋となりますと、混雑とは縁遠い「星を見る」という楽しみがございます。これ、関門海峡花火大会のような経費が一切かかっていない。地球の廻りは昔から星だらけで、見るのはタダときている。太古から人は空を眺めて暮らしてきました。朝日に夕陽、これは拝んでました。昼は雲の流れに舞うトンビ、囀る雲雀、夜は満ち欠けする月を愛でて、無月(雨月)も良し、なんてね。
『枝豆を喰へば雨月の情けあり』(虚子)
虫の聲を聞きながら一杯。酒は独り静かに呑みたいもの。ちなみに糸魚川の銘酒[月不見の池]が店主のお薦め、え?先刻御承知で。
秋の夜は月、星を見る。[子曰 為政以徳 喩如北辰居其所 而衆星共之] 孔子さんは紀元前六世紀に、もう北極星の事を書かれてますから、偉いものですが、最近の方はあまり、漢文をお読みになりません。突然、政治家が先祖返りか、「明鏡止水」などと、心境を述べるのに漢語を用いますが、普段は「斬新」なカタカナ語ばかりでしょう、と揶いたくもなります。まあ我々だって、戊辰戦争以後、中国風の星座を捨てまして、西欧風星座を楽しんでます。
カシオペア、双子座、アンドロメダ、動物名ではクジラにイルカ、白鳥、トカゲに山羊、大熊座、小熊座...。すっかり目がかすんできた耄碌爺には判別が付かない星座もございます。昔は秋にはギリシア神話の本が売れたのは、あれは星座がらみでしたんでしょうな。
読書も集書も探書も、無限に広がる本の宇宙に見えない線を引き、自分なりの図形-星座、絵を描き、大系を作る楽しみ、と申せましょう。
長年、本を読み映画を見ていますと、自分で意識して「線を引こう」としていないのに、偶然の出会いが起こる事が良くあります。
先日、TVの「鬼平犯科帳」第一シリーズ「血頭の丹兵衛」の巻、蟹江敬三さんが、配下に加わる回を見ました。島田正吾さんが「蓑火の喜之助」役で出演。入歯をはずして、老いた盗賊を演じてらっしゃいました。長谷川平蔵とのからみ、実にいい味でしたな。その放送を見終わり、夕方すでに届いていた古書通信8月号を開封、巻頭を見て仰天。何という暗合か。龍生書林さんが「続-記憶に残る本」に村上元三氏の「上総風土記」を落札された経緯を公開されているではありませんか。この本、直木賞受賞本収集の難関の一冊でありまして、それが何と、島田正吾氏の蔵書の一部が明治古典会に出品された際に中に混じっていたという逸話。島田氏への献呈署名入で美本!更に幸運にも帯が挟まっていたのを、落札後知るのです。無事入手できた龍生さんの喜びが、文章に溢れておりました。
島田正吾氏は、惜しまれつつ平成16年、98歳で往生されました。
店主、気になる本は売る前に片っ端から読む、という商売人の風上にも置けぬ所業をしておるのですが「売りたい」ったって一向に売れないので、目録に取った後の本も読んでいる。新しいものから古いものまで、なんでもござれ。
最近のヒットは第一回創元推理短編賞を受賞した剣持鷹士の「あきらめのよい相談者」(2005年-東京創元社)。実に楽しい安楽椅子探偵物。原語で書くとアームチェアーディテクティヴ。探偵が動き回らず、依頼人や関係者の話を聞いただけで事件を解決する。探偵小説の醍醐味が集約されたジャンル。クリスティの「ミス・マープル」物もこれ。耄碌爺が何度も読み返す、アシモフの「黒後家蜘蛛の会」。 勝手に師と仰ぐ都筑道夫先生にも「退職刑事」や「泡姫シルビア」シリーズあり。読むたび名文に惚れる坂口安吾には「明治開化-安吾捕物帖=勝海舟の推理」...思いつくだけでも傑作が目白押し。剣持鷹士著「あきらめのよい相談者」でも、主人公の雇われ弁護士の解けない謎を友人コーキが簡単に解決してしまう、という、お馴染の展開。この友人同士の会話の部分になると、急にプリミティヴな「博多弁」になるのが笑える。この傑作短編集に、「万人が納得する解答は存在しないであろう、芥川の小説と同じで」という一節が出て来ましたんで。これが二つ目の偶然。 市場で落札した新書本のヤマの中に、大岡昇平の「現代小説作法」(1972年レグルス文庫)があり、解説が立原正秋。レグルス版で加えられた「芥川龍之介を弁護する」の章で、芥川龍之介の「薮の中」に関しての、中村光夫、福田恆存両氏の論争に、大岡昇平が示した見事な判断を読むことができました。この二冊を続けて読めたのですから、読書は楽しい。暇な店は楽しい。
目録のコラムだというのに、マクラが長い。今回の「目録」は探偵小説専門店の目録。1989年2月発刊の、芳林文庫さんの、目録第一号です。当店や、所属の展覧会から推理小説・大衆文学、SF関連を大量に、豪毅に御買い上げくださっていたお客様でもございました。私より後に組合に入られたというのに、推理-探偵小説の分野で、すぐさま頭角を現され、市場にそのジャンルを出品する際には、「芳林さんに先に連絡を入れとかねば」という迄になられた方。
その初々しい手製の目録は、ワープロで御本人が打たれたようで、記入忘れの部分など手書で足されてます。「急ぎ作製の為御見苦しいものに」という前書。70年代80年代と、徐々に本の世界でも価値基準が変化し、大衆文学や探偵小説が、いわゆる純文学より、高値を呼ぶようになってきました。古漫画や怪奇幻想、サブカルチャーも同様で、忘れてはいけませんが、それらの古書目録も手元に集めてはおりますので、いずれ改めて。
さて芳林文庫目録1号の中からめぼしい本を抽出してみましょう。
◆国事探偵(ゴルキー)=5000◆黒猫探偵叢書2[金槌事件]=1万
◆紙魚殺人事件(ロッス)=7000◆首切.セレナーデ(デコブラ)=6000
◆[十二の刺傷](クリスティ)=8500◆死の序曲(マーシュ)=5000
◆オルドスの鷹(渡辺啓介)=15000◆海野十三全集4[怪鳥王]=1万◆世界犯罪叢書[軍事探偵篇](大仏次郎)=8000、などなど珍しい所が目白押し。
コンディションにもよりますが、いずれも現在の古書価は、2倍から3倍程度に上がっていて、相変わらず容易に集められる本では無いことを物語っています。私も様々な本を「日本の古本屋」にUPする際、結構珍しいのでは?と思い、検索して確認すると全国で何十冊も登録されていたりして、落胆する事が多いのですが、探偵小説・大衆文学のジャンルは全国でも1・2冊、[見当たらない]というものも多く、古書店にとって、このジャンルへの勉強努力の余地は十分残されています。ただ、集書が困難なだけに、『売れて、仕入れに苦労する』というのが、古本屋のツライところです。
あの頃、私も芳林さんを真似て、キャンドルミステリーだの、クライムクラブだの推理叢書の落札に躍起になったのを思い出します。ただ、その日暮らしの生活を続けていた当店は、月末になると、値がつく品から市場に出してしまい、家賃と生活費に換えるという有様で、良書珍書は手元に残らず、結局「泥花」のごとき貧弱な目録を出し続けるばかりだったのであります。
次回は、美術目録。えびな書店目録を取り上げさせて頂きます。
BN発見したもののこれは@wiki文法で、変換必要
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| もうろく じじいの もくろく ばなし |
| &bold(){【耄碌爺の目録噺(5)】} |
情報雑誌二誌休刊-『ぴあ』と『彷書月刊』
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このコラム、古い仲間にメールを送って「必ず読むように」「ご高覧あれ」「是非読んでいただきたい」「お暇な折り御読みくだされたく」「頼むから読んでよ」などと、手を換え品を替え、泣きを入れまして、最後には、「御互い何時死ぬか分からんのだぞ。その時、ああ読んでおいてやったら、と悔やむ羽目になるぞ」などと、こうなると、もう脅迫です。ま、そこは長年、耄碌爺を暖かく許してきて下さった連中、いえ諸氏ですから、色々感想まで寄せてくれるようになりました。ありがたい、持つべきものは友です。家族より友であります。家族は爺のコラムなど見向きもしません。で、御礼を兼ねまして、今回は御時間を頂きましてQ&Aを。
(1)「画像が色々間に挟まって、今までの文字だけのコラムより新鮮」とか(2)「マクラがおもろい」(3)「本文の意義、そして趣旨は」(4)「相変わらず、まとまりねえな」等々。
Q(1)画像に関して、[文章と関連がないものがある]との御指摘。前回の出久根さんの「古本供養」の画像と思われます。この本には『芥川を読む』という章がありまして、「薮の中」がらみで触れる積もりが、そこは耄碌マダラボケで、書き忘れ。ご容赦。「古本供養」お読み頂けましたら、本が益々読みたくなる事請け合い。
Q(2)[マクラが面白い]につきましては、本コラムなぞより、柳家小三治師匠の『まくら』が誠に結構でして、特に「駐車場物語」がもう絶品でございます。師匠の駐車場に長谷川さんという人が住みついてしまうという、お話で。巻末に矢野誠一さんが、解説を書かれてまして、「週刊文春」のグラビアに当の長谷川さんを写したポラロイドが掲載され、まくらの話とイメージが完全に一致する写真だという。これには[炎天に鉢巻の人立っている(土茶)]という小三治師匠の句が添えられてたとの事。その号、私、買い忘れてました。
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爺、新刊本もどんどん買いますが、雑誌も買うんです。「週刊文春」今週9月15日号は。すっ飛んでって、買いました。ああた、[吉木りさ]が巻頭グラビアに登場ですよ!爺としてはメジャーになって欲しくなかったが、やっぱりブレイクしましたな。オークションでも、「ヤンチャンの抽プレのQUO」に22,000円もつける出品者まで、え?何言っているか分からない、分かろうとしなくていいんです。老体に鞭打ち、古本屋として売れ筋に絶えず気を配っているという事をご理解下されれば充分。しかし、他にも可愛い娘はいるのに、胸は無いし、さほど器量が良い訳でも無い、というのに[吉木りさ]色気あります。あの眼かなあ。ゴホン(咳払)。
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押し付けがましい自慢話程度しか書けない耄碌爺と比べて、知らず知らず古本の魅力に引き込まれる傑作推理小説が、この春、出てました。
『ビブリア古書堂の事件帖』(三上延著)メデイアワークス文庫発行。前号[探偵小説目録]で触れましたが、これもアームチェアディテクティヴもの。主人公の古書店の美人店主-栞子さんは、足を怪我して入院生活。そこに語り手の「俺」が色々な「謎」を持ち込み、栞子さんが見事解決、という設定。著者の古書の楽しさを伝えたい、という気持ちが全編に溢れています。「漱石全集新書判」「小山清-落穂拾ひ・聖アンデルセン」「クジミン・論理学入門」「太宰治-晩年」という4冊の本のエピソードから成ります。本の紹介、特に推理小説の紹介は難しく、爺の手に負えるものではありませんが、『ビブリア古書堂...』読後感も爽やかで、人間の心理を読む深さも抜群、並々ならぬ手だれの作家と御見受けします。コバルト文庫のようなジャンルからの発行なので、もったいない、という気もしますが、古書や古典の面白さを若い人に伝えたい、という趣旨には合致しているのかも知れません。
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『彷書月刊』編集長の休刊の挨拶
平成16年には京都で季刊で発行されていた『京古本や往来』も100号で休刊になっています。これは版型やイメージとしては『古書通信』のような感じ。最終号には総目次や、多くの読者の惜しむ声などが掲載。記事は村井市郎氏の「珍書稀覯画探求余聞」・安藤武彦氏の「俳諧史研究余録-『涼み塚』入手をめぐって」など、爺、お寺さんの立場からは、「龍樹大士出現図(仮名)」について、が興味深いものでした。結局は図の中心描かれている、菩薩様と覚しき方が結んでおられる印から、弘法大師さまではないか、という結論に至るのですが、経過~結論がまことに有難いものでした。
情報誌と言えば、若者の必需品だったFM雑誌も今では見ることもできません。
◆「ＦＭレコパル」（小学館-95年休刊）◆「週刊ＦＭ」（音楽之友社-91年休刊）◆「ＦＭファン」（共同通信社-01年休刊）◆「ＦＭステーション」（ダイヤモンド社-98年休刊）[エアチェック]なんて死語になりましたな。You-tubeからipodにダウンロードというスタイルです。未だにトリオのアンプでレコード聞いてる爺って...
そして『ぴあ』が8月4.18号で廃刊になりました。『ぴあ』には、ほろ苦い思い出があり感慨もひとしお。40年程前、1970年か71年か、落第生時代、わが相棒の山根君が夏休みを終え故郷から「広島映画情報」だったか(誌名の記憶が消えている)丁度『銀座百点』のような横型の小冊子、映画情報誌中心のタウン誌を持ち帰り、20歳時分の「僕」に見せた訳です。稲妻が走り、「コレジャ」と叫んだように覚えているが、それほど感動しなかったかも知れない。就職なんてものはハナから考えていないので、「学生の内に何か仕事を始めんと、喰うちゃいかれん」というので「タウン誌を作ろう」という気運だけは在って、実は誌名はもう出来ていました。『BABA』というので、Bの字がひとつは逆向き。当時流行のグループ『ABBA』のもじりであります。早速、高田馬場の小滝橋側、西友の地下のパール座に、「広島映画情報」を持参、支配人にお会いし、これと同じような映画情報誌を作りたい、『BABA』という名で。とお話したら、熱心に聞き届けて下さり「頑張ってみなさい、できたら協力を」とまで言って頂いたか記憶もぼやけましたが、ともかく意気軒高に階段を登ったのは覚えている。その後はおおかた[さかえ通り]に流れて、「鳥安」か「とん八」辺りで祝杯、飲み崩れてしまったような。すぐに「早稲田松竹」、鶴巻町からずずーっと足を伸ばして「牛込文化座」更に、神楽坂から下って「飯田橋佳作座」と、いつも通ってる館を全部廻る必要がありました。まずは、飲食店や古本屋さんから、広告をとらない事には、何も進みません。メンバーを集めようだの、特集をどうするの、ゴダールがすべったの、緋牡丹博徒がころんだの、どうじゃのこうじゃの検討している時に、誰かが『ぴあ』ちゅうものを買ってきて、「こんなん出ちゃった」。「アカン」と一瞥して分かりました。東京全域の映画、演劇、音楽、イベント情報ですから。小滝橋から飯田橋までの情報ではね。おまけに実に企画(今で言うコンセプト)が「クール」で、映画批評を「おいら」が担当しよう、なんて「ホット」な事を夢想していた『BABA』はすでに時代からずっーと遅れていたのでした。
そげん事なら、監督脚本を担当して、自ら8ミリ映画を作らん。と何やら作ったものの、放研の先輩、村瀬春樹氏の仲間の布川さんが沖縄の17歳の売春婦を描いたドキュメンタリー「モトシンカカランヌー」を作るに及び「コリャアカン」。映画製作も挫折。「映画は見るに限る」なんてね。観客にUターン。箸にも棒にもかからない「青春時代」でした。『ぴあ』さえ無ければ今頃は...別に何も変わってないのでしょうね。きっと。
Q(4)[まとまりがない]には、低頭するばかり。今回も実は、えびな書店の目録を振り返ってみようと目論んだ途端、ご本人が本を出されまして、『えびな書店 店主の記』。これを読まずして、書くこと能わず、という事で、この幕間コラムとなった次第。毎回、行き当たりばったりなのは、わがMacのHD同様、脳がフラグメンテーション(断片化)しているせいでありまして、耄碌爺、突如フリーズするのであります。
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[くきの海辺の船もよい 船も帆がなきゃ行かれない お供についたくまわにが 山で帆柱きりました その時きった帆柱は 帆柱山の杉でした]
熊鰐って...ご存知無き向きは次号にて。
#シャラシャラシャンシャン鈴つけた、お馬に揺られて濡れていく#と、しゃがれた声で呟けば、私が私を泣かせます。というマクラも次回のこころだあ。
(続く)
小林信彦著作特集 ※数字赤色はヤフオク入札進行中
| 番号 | 書 名 | 出版社 | 版 | 解説・状態 | 刊年 | 価格 |
| オヨヨ城の秘密 | 晶文社 | 初カ帯 | イラスト=小林泰彦・小口に縦筋状シミあり・天少し点状シミ浮き | 1974 | 540 | |
| オヨヨ大統領の悪夢 | 角川書店 | 初カ帯 | 口の上部(表紙裏表紙の端含む)にスレ跡・小口に一本縦筋シミ(2cm弱)あり・カバー全体的に時代がかっています | 1975 | 1080 | |
| 横溝正史読本 | 角川書店 | 初カ | カバー端三ヶ所切れ込み入り・1頁赤ボールペンの線引あり・後見返しに蔵名あり・小口と天に点状シミ浮き | 1976 | 1080 | |
| つむじ曲がりの世界地図 | 角川書店 | 初カ帯 | カバー背うっすらシミ・帯少スレ・小口点状シミ少しあり | 1976 | 750 | |
| オヨヨ島の冒険 | 晶文社 | 重カ帯 ビニカバ | 天の端に少し点状シミ・小口に数点シミ浮き | 1977 | 売切 | |
| 袋小路の休日 | 中央公論社 | 初カ帯 ビニカバ | ※表紙カバーごく少しシミ浮き・ ビニカバーわずか痛み | 昭55 | 540 | |
| 対談 昨日を超えて、なお...(vs片岡義男) | 角川書店 | 初カ帯 | カバー裏表紙側にシミ跡・小口ごく僅かシミ・天端の角わずか曲がり | 昭55 | 540 | |
| 変人十二面相 | 角川書店 | 初カ帯 | カバーわずかスレと凹みあり・帯わずか痛み | 昭56 | 540 | |
| サモアン・サマーの悪夢 | 新潮社 | 初カ帯 | 帯背シミ・小口下小さなシミ・見返し裏(表題前頁焼けあり) | 昭56 | 540 | |
| 超人探偵 | 新潮社 | 初カ帯 | カバーうっすら焼け | 昭56 | 540 | |
| 悪魔の下回り | 文藝春秋 | 初カ帯 | ■コンディション-[美-下] | 昭56 | 540 | |
| 地獄の観光船 コラム101 | 集英社 | 初カ帯 | 美本ですが帯極少痛み | 1981 | 540 | |
| 地獄の映画館 | 集英社 | 初カ帯 | . | 1982 | 540 | |
| 道化師のためのレッスン | 白夜書房 | 初カ帯 | 帯わずか汚れ(ラベル剥がし跡) | 昭59 | 540 | |
| 発語訓練 | 新潮社 | 初カ帯 | . | 1984 | 540 | |
| セプテンバー・ソングのように 1946-1989 | 弓立社 | 初カ | カバー背うっすら焼け | 1989 | 540 | |
| コラムの冒険 [エンタテイメント時評] | 新潮社 | 初カ | 小口上端にわずかシミ浮き | 1996 | 324 | |
| 結婚恐怖 | 新潮社 | 初カ帯 | 小口と底に鑢も少シミ | 1997 | 540 |
謹賀新年
本年も北九州古書組合加盟店に引き続きのご贔屓を賜りますようお願い申しあげます。
南小倉区 東大野八幡神社 注連縄が独特です
謹賀新年
本年も草木堂書店をご贔屓に願います
南小倉区 東大野八幡神社 注連縄が独特です
【どの画像もクリックして頂ければ拡大されます(長辺650ピクセル程度)】
『あまちゃん』とティファナブラス
今現在、爺がNHKの朝ドラ中最高傑作と認定する、『あまちゃん』。特にそのテーマソングには、東日本大震災の被災者のみならず、全国民が毎朝元気づけられたものだ。
ドラマ本体は無数のパロディが散りばめられていてディープ過ぎ、爺より更に年配の方にはさっぱり従いて行けないようだったが、皆異口同音に、オープニングの華やかなトランペットのメロディは「良いね。元気が出るね!!」と言っていたのを思い出す。そして皆さん、いざドラマが始まるとストーリー展開には余り関心が無いようだった。
そういう爺にしたって、この朝ドラの深か〜い元ネタの全てを理解できていない。大体「アイドル」というのには興味が沸かず、キョンキョンの歌も、ほとんどリアルタイムで共有した覚えが無い。その後のおニャンコやら今を時めくAKBにも全く無関心で来た。
脚本の宮藤官九郎ちゃんは、劇中「さゆりさん」の後釜で漁協に入った花巻珠子に「分かる奴だけ分かればいい」 などと、楽屋落ちを居直るかのようなセリフまで吐かせていたから、『あまちゃん』は裏情報が分かる人ほど面白かったのだろう。
作曲担当の大友良英氏もまた、大好きなアーティストへのオマージュやパロディ、パスティーシュを番組の至る所に散りばめていたのだ。その最たるものが番組冒頭から高らかに謳い上げるトランペットの旋律!!何年間も気づかなかったが、成る程、元を知るとこれがまた嬉しくなるものである。
毎朝鳴り響いたタイトルバックの曲は、ティファナブラスだったのだ。大友氏は「スカ」と「チャンチキ」の要素を入れて作曲した、と告白していたが、この要素に「マリアッチ」が加えられないといけないだろう。
LP『Herb Alpert's Tijuana Brass』中の「El Presidente」という曲が下敷きであったのだ。闘牛場のファンファーレで始まる熱く明るい曲だ。大ヒットの「Lonely Bull」とそっくりのイントロではある。一度お聴きあれ!!
朝ドラで、国民的ムーヴメントが起こった例では、「ふたりっ子」のオーロラ輝子の「夫婦みち」のシングル盤発表-紅白歌合戦出場があった。「マッサン」でニッカウヰスキーの「竹鶴」なんかが店頭から消えた時期があった。再び出回ってからの味は、どうにも???だったが...今年辺りは復活したろうか。いずれにしろ値段的に爺には手の届かぬ酒だ。2015年の「あさが来た」ではディーン・フジオカのブレイクがあった。
しかし、「あまちゃん」は別格である。沸騰した話題が多すぎて一つに絞れない。「種市先輩」の颯爽とした登場。春子の若い時代役の有村架純やGMTのリーダー、入間しおり役 の松岡茉優も大人気になり、すぐ他のドラマの主演を演じるようになった。後半はマネージャー水口琢磨役の松田龍平も多くの女性の熱い支持を得した。秋元康に似たプロデューサー役の古田新太の怪演も見逃せない。
遂には主題歌や挿入歌のEP・LPまで発売された。即買い求めた一人である。松岡茉優は、二年後、木曜時代劇「銀二貫」で爺の涙を絞り尽くしたものだ。
ここ数年は朝ドラ、全く見るべきものがなく、朝はブルーレイに録画した「あまちゃん」を最初から見直している。そして、次々に新しい発見も出てきた訳なのだ。
この間「あまちゃん」から遡って、「木更津キャツッアイ」とか「マンハッタンラブストーリー 」のVHSを買って観た。コリャ全作品を縦断する官九郎ワールドだわ。薬師丸ひろ子も古田新太も小泉今日子も尾美としのりも皆、以前から登場してたのね。ただ、この二作はいまひとつ「ノリ過ぎ」「ハチヤメチャ」で感情移入できない。「マンハッタンラブストーリー 」のマスター役はTKIOの松岡昌宏。同じバンドの長瀬智也も次項に登場。全く相関図が凄い。
そして、超傑作を忘れてませんか?「タイガー&ドラゴン」。市川森一脚本の畢竟の名作「淋しいのはお前だけじゃない」を下敷きにしている。この作品でサラ金の取り立て役だった西田敏行が、「タイガー&ドラゴン」では集金される側に廻り、ヤクザ(長瀬智也)に返済しては、噺を一つづつ教えて授業料を貰う、という筋書き。設定がウマイ!!一話づつ落語の噺をモチーフに二重のパロディで我々を楽しませてくれた。荒川良々(北鉄の副駅長)の売れっ子落語家ぶりの怪演、ずでにここでも暴発。
「タイガー&ドラゴン」はブルーレイに焼いてあるのだが、「淋しいのは...」は録画し損ねた。現在DVD-はすこぶる高値である。レンタル店にも無い。爺、この作品を見た後、梅沢富美男を十条や浅草まで見に行ったもの。当時の篠原劇場の入場料は安かった。舞台に万札が飛ぶので、あれでやっていけたのでしょう。先日「座長襲名披露公演」と銘打って、北九州にも来てました。例によって腰の重たい爺は行かずじまいでした。
名作は過去に遡っても、また出演者のこれからの作品に期待する事も出来て、楽しみは尽きませんな。
シングル盤「淋しいのは...」の後、同じ曲調で「もしもピアノが弾けたなら」が出た。元歌の方が爺は好きだ。ヤクザの取り立て役、という所を避けて、似た曲を出したのだと睨んでます。そして西田敏行は無事「紅白」にというレールが敷かれたと。そう言えば、お寺の手伝いをしてきて、毎年大晦日は除夜の鐘撞きの行事で「紅白」なんぞ最後に何時見たのか忘れた。興味も失せた。一度廃止という話が決まったのでは?最近の大河ドラマといい、偏向報道といい、あんな程度のものしか作れないなら、受信料は高すぎだ。CM抜きという趣旨には賛同するから、月500円が適価と感じる。政治家も早急に「放送法」を変えて欲しいものだ。職務怠慢である。
車谷長吉著作リスト (初出単行本)特記したもの以外、初版帯付・美本です ◆Ｘは在庫無し
| 番号 | 書 名 | 発 行 | コンディション・ 内容など | 刊年 | 価格 |
| 01 | 鹽壺（しおつぼ）の匙 | 新潮社 | ※カバー耳に新聞批評貼り付け・表紙側耳=剥がし跡残り・カバー背少し焼け | 1992 | 1080 |
| 02 | 漂流物 | 新潮社 | ※カバーヤケ・後見返しに新聞記事貼付(3.5cm×9cm)・本の天に点状シミ浮き・小口に少シミ浮き | 1996 | 540 |
| 03 | 赤目四十八瀧心中未遂 | 文藝春秋 | 【直木賞】カバー耳裏表紙側に小さく読了日付書込みあり・天に少しシミあり | 1998 | 1620 |
| 04 | 業柱抱き | 新潮社 | ※カバー背と裏表紙側焼けあり・本の天に点状シミ浮き・本書の広告(4.5cm×8.5cm)カバー耳に貼付 | 1998 | 860 |
| 05 | 金輪際 | 文藝春秋 | ※カバー裏表紙側少しスレ跡 | 1999 | 860 |
| 06 | 白痴群 | 新潮社 | ※カバー背と表紙側上端少ヤケ | 2000 | 1080 |
| 07 | 車谷長吉句集 | 湯川書房 | . | 2000 | Ｘ |
| 08 | 車谷長吉句集 | 沖積舎 | . | 2003 | Ｘ |
| 09 | 文士の魂 | 新潮社社 | ※本の天に点状シミ浮き・カバー耳に雑誌評論貼り付け跡残り(4cm程) | 2001 | 540 |
| 10 | 錢金について | 朝日新聞 | ※カバー小さなシミあり | 2002 | 860 |
| 11 | 贋世捨人 | 新潮社 | ※2刷カバー帯 | 2002 | 540 |
| 12 | 忌中 | 文藝春秋 | . | 2003 | 640 |
| 13 | 愚か者 畸篇小説集 | 角川書店 | ※表紙裏に本書新聞雑誌広告2枚貼り付け・帯は最初から付いていない本かと思われます | 2004 | 860 |
| 14 | 反時代的毒虫 - 対談集 | 平凡社 | 平凡社新書 | 2004 | 320 |
| 15 | 飆風 | 講談社 | ※カバー表紙側耳に新聞広告貼付跡少残り | 2005 | 1080 |
| 16 | 女塚―初期作品輯 | 作品社 | . | 2005 | 1080 |
| 17 | 雲雀の巣を捜した日 （随筆集） | 講談社 | ※カバー耳に新聞批評貼り付け剥がし跡3点残り・帯端にセロ跡あり | 2005 | 860 |
| 18 | 文士の生魑魅 | 新潮社 | カバー耳に新聞批評貼り付け剥がし跡少残り・カバー背少し焼け | 2006 | 540 |
| 19 | 世界一周恐怖航海記 | 文藝春秋 | . | 2006 | Ｘ |
| 20 | 灘の男 | 文藝春秋 | ※帯折れ跡あり | 2007 | 860 |
◆以下在庫無し (参考の為に)
『物狂ほしけれ』（エッセイ集）平凡社・2007
『蜘蛛の巣』（句集） 湯川書房・2007
『四国八十八ヶ所感情巡礼』文藝春秋・2008
『史伝 隠国』飾磨屋書店・2008
『阿呆者』（随筆集）新書館・2009
『車谷長吉全集』全3巻 新書館・2010
『妖談』文藝春秋・2010
『人生の四苦八苦』新書館・2011
『車谷長吉の人生相談 人生の救い』朝日文庫・2012
古楽夢
今は昔。かんじちやう職につきし女ありけり
顔に似ず人目もはばからぬ有り様あさましきことかぎりなし
なかなかしぶとげなる女にてぞ侍りける (うじ周囲物語)
ネット上の書込みには、爺、当初あまり興味が無かった。ツイツターとかブログとかも、読むのは時間の無駄などと考えていた。そんな心境がある書込みでコロリと変化した。あれは中国共産党が、あまりの人民の道徳欠如に手を余して、「論語」を復活し、精神教育を薦めるという記事が出た時の事。
「2ちゃんねる」だったか、論語導入に「やっと気づいたか」などと、概ね賛同の意見がある中、間髪を入れず「論語より、むしろ韓非子だろ」という一言!!いやあ教養が滲み出てる上に頭の回転が早いと感じ入った。それからネット上のやりとりを楽しく読むようになった。
この10月、いよいよ日本国の命運がかかった、総選挙となったが、爆笑ものの名言が続出していて、準戦時下にもかかわらず若い人々のユーモア感覚の発露にいよいよ頼もしさを感じている。
何と言っても今年の流行語大賞は古典の素養さえ感じさせる「かんじちやう」だろうが、「赤い
いにしえの「落首」や「川柳」等での世相批判が今は「ネット」への書き込みに取って代わったのである。爺の老婆心、余計なお世話だが、くれぐれも、発言の前には、十分書物にも眼を通され、過去の経緯、事実の裏付けなどよくよく検証して頂きたい。どんな笑いにも、「品」が大事。「本」はその人の品格を磨きますから。これはこれは古本屋の読書の薦めになってしまいましたな。
宇治拾遺物語には第25段「鼻長僧事」など楽しい話の宝庫で、勿論これは芥川龍之介の「鼻」であります。第170段「慈覚大師入纐纈城行事」は映画化にしたいような、サスペンスストーリーだ。慈覚大師が仏法を学びに入唐した時、丁度「武宗」が仏教弾圧を始める。慈覚大師は他国に逃げ、ある築地をめぐらした家に逃げ込む。ところがここは実は纐纈城であった。辿り着いた人にまず口のきけなくなる薬を与え、次に太らせて血を搾り取って纐纈を染めるどんでもない場所であった。そこに先に囚われ苦しんでいた者が、地面に木で酷い手口を書き示してくれ、大師は薬を飲む振りをして飲まず、肥る薬も捨てて過ごす。そして「三宝助け給え」と祈請すると一匹の犬が現れ、道案内をしてくれ、何とか脱出する。人里まで逃げ村人に会い、「あそこは纐纈城。よく逃げてこられてた。仏の御助でなければ叶わなかったろう。あなたは尊い方だ」と事の顛末を知る。やがて武宗崩じて、廃仏は止み、無事修行を積んだ後、日本に帰り、真言を広めたという。
ものが言えなくなる薬か...最近本邦ではあえて「トロイの木馬だ」と宣言して(公言する策ってあり?)「薬」を飲む振りをした輩があった由。古典はいつまでも古びない。龍之介の名作に「蜘蛛の糸」もあり、こちらは日本の古典出拠の作品ではないが、これまた類似の出来事がリアルタイムで見られた。いと浅ましき事にてやあらん。 (段数は岩波文庫に依る)
一応染織専門店なので、蝋纈染についてしばしの紹介をさせて頂く。天平時代 染色は 臈纈・きょう纈・纐纈 の三纈があった。 臈纈は臘染・きょう纈は板染・纐纈は今の絞り染め。臈纈は臘を除去するのが難しく、奈良時代以降すたれていたが、大正時代、京都の鶴巻鶴一博士が正倉院の臈纈染を見て研究を開始。それに啓発され若い人たちが臘染めを開発して昭和の初めから文展で再び花開いた。(宮田善次郎「蝋纈染の理論と実際」等に拠る)
そうそう、爺は昔から「誰が誰に似ている」というのを見つけるのを得意としてきたのだが、最近とみに人の名前が出てこなくなった。いや本当にボケてきたのである。自分でもすこぶる不安になる程だ。
昨日やっと思い出した名前がある。立民党に「もう一度入れて」と言ったとか云わないとかの女性議員の方、この色ぽさは誰かにクリソツだと思っていたのだが、やっと喉元に出てきました、「柳田やよい」様でありました。爺の品位を保つ為(もはやすっかり地に落ちてますが)ジャンルは伏せます。キョーミのある方は、是非ネットで検索下さい。出演DVDも色々あります。但し18歳未満の方の、検索及び購入はご遠慮くださいね。いやあ名前が出てきてスッキリしたけど、これってひょっとして「エロ惚け」!?
古楽夢
自動車三題
(1)更新
先日免許証の更新に行った。写真撮影の後、通路で、任意の「高齢者テスト」を受けませんか?と、係の方に呼び止められた。こう言うと不謹慎だが、硬い椅子に長時間座って講義を受けるより面白そうだと、やってみる事にした。
受講部屋にはゲームセンターのようなハンドルが付いたTVが並んでいて、これは退屈せずに済むと内心ほくそ笑んだ。
あまり面白味のない筆記テストの後、いよいよTV台の前に座る。これは、画面の上から棒状のターゲットが右-中-左、アトランダムに落下して来る、これをハンドルを操作してタッチするというゲーム、いや検査である。試験である。
大昔ゲーム喫茶でアルバイトまでしていた私だ。操作し始めてすぐ効率よく点数が稼げるアイデアが閃いた。極端に左右に降りてくる「的」は追わないで、遊びの多いハンドルでも十分対応できる中心寄りの「敵」だけを撃滅する事に集中したのだ。左右に動いた後はすぐ真中に戻る。フェデラーである。錦織である。賢い作戦!!だてに「ブロック崩し」や「インベーダー」の台に100円玉を注ぎ込んでいた訳ではないのだ!!素早くハンドリング、キャッチ&ゲット、うわーい大成功!!熱中していたら、「はい終了」と教官に宣告されてゲームは終わり。
いよいよ「成績発表」となったら「落第!!」という意外な結末。『結構ポイント捕れたけどなあ...』
検定官の方、曰く「あなたは左右への注意が極端に不足していて危険です」
そうだったのか!内野のノックのように取れないまでも、ダイビングキャッチの特攻精神で、球を追わないといけなかったのだ。高得点を取るゲームではなかったのだ。反射神経の検査であった。動体視力の試験であった。免許更新は遊びではないのだ。
そんな爺でも、免許は無事更新して頂けた。ただ感謝である。新しい免許証を胸に、深々と一礼の後、左右確認を励行して試験場を退所したのであった。
次、本番の後期高齢者運転テストの赤紙が来た時は、十分今回の反省にたち奮闘努力する事を心に誓ったのである。しかし何歳まで更新できるのだろう?淋しいが、爺その時が来れば潔く運転免許証、返上する積もりだ。
古楽夢
一体何の雑誌が売れるのか?オセーテ、オセーテ!!
人気絶頂の大相撲がピンチになっている。4横綱のうち3横綱が休場、人気の宇良や高安まで怪我。土俵に上っている面々も満身創痍だ。力士の大型化もあろうが、ハードな興行日程も一因だろう。テレビの無い時代からラジオで応援してきた身としては、四ツに組んで「のこったのこった、水入りィ〜」はなんて「力比べ」を期待してきたが、範を示すべき横綱が、ラリアートまがいの攻撃で脳震盪を喰わせるなんて、目を背けたくなる有様で....
大体相撲は「神事」で、横綱土俵入りの綱は御幣を下げた注連縄、力自慢がワッショイワッショイ騒いで、神様を喜ばす行事。土俵は相手を痛めつける場ではないので、「しょっきり」とまではいかないにしても、相手を庇いながらの取組でいいのでは、と思う。
「投げの打ち合いの時、顔から落ちろ」とかビデオ判定に偏して「庇い手」を認めないとか、ガチンコでいけ、とかいう流れが、怪我を助長してきたと感じる。相撲は多少「八百長」でいいのでは?と思う一人だ。
実はこのところの空前の「相撲」ブームのあやかって、古い相撲雑誌をごっそり仕入れて、古本祭に出してみた。ところが、さっぱり捌けない。古い時代の力士なんかに興味がないのかな、と推察した。「輪島も高見山も貴乃花さえ知らない」のか。知らないなら遡らないのか?
爺たちの世代は、音楽で言えば、ビートルズに凝ったら、その前の時代の音楽、ビートルズが影響を受けたミュージシャンの音楽を辿っていったものだ。ブルース、ブルーグラス、カントリー、ヒルビリー、ゴスペル...
日本の歌謡曲も遡った。西村小楽天のやっていたラジオ番組、どこの局か、時間帯も曜日も忘れたが、戦前の歌謡曲を聞き齧ったものだ。この辺を聞いておかないと、談志の落語も分からない。弟子の”志らく”は、このツボを心得ていて、築地に修行に行かされずに済んだと記憶する。勿論「映画」も師匠と同じ趣味にすり合わせて、博覧強記。”ヨイショ”も此処まで来ると立派なもん。
そういえば、野球雑誌も古いところは動かなかった。王、長島、中西、荒木大輔、イチロー...さっぱり。そういえば鉄道雑誌も、近くに鉄道博物館のあるというのに、「鉄道ピクトリアル」「鉄道Fan」も、「RAIL」も微動だにせず。
映画博物館があるのに、古い「スクリーン」(ヘップバーンもドロンもクーパーもしっかり特集されているんですが...)に振り向く人もなく。要するに爺の得意とするジャンル=雑誌が、全然売れなかった、という事だ。ほとんど、[のこった・のこった] (涙)
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