ルガト(Lugat):アルバニアに伝わる吸血鬼。
血を求める死者であるが、霊体化する事も、物質化する事も出来るという。
ルガトは霊体の時の呼び名で、物質化している時はククチと呼ばれるらしい。
狼が天敵らしい。
狼に噛まれたルガトは、埋葬された墓に戻り、二度と出てこれないとも言われる。
●ヴリコラティオス(Vrykolatios):ギリシャに伝わる吸血鬼。
ヴリコラカス(Vrykolakas):ギリシャに伝わる吸血鬼。
ヴロウカラカスとか、ブルコロカスと呼ばれる場合もある。
元々ヴリコラカスは人狼の事だったという。
しかしやがて人狼も死後に吸血鬼となるという説が生まれ、だんだんと吸血鬼の側面が強調されるようになっていったらしい。
寝ている人をしゃがんで押し潰す怪物とも言われ、悪事を働いた者や、神を嫌う者などが、死後にヴリコラカスになると言われる。
生前よりも体つきがごつく、怪力。
しかも時間と共に、ひたすらに強くなっていく。
さらには、ヴリコラカスに襲われた者は新たなヴリコラカスになるとされる。
ただし、ヴリコラカスは日曜日には墓から出れないという説もあるから、退治するならその時であろう。
また、大元のヴリコラカスさえ退治すれば、ヴリコラカスにされた者達は共に滅びるようである。
●エムプーサ、エムプーゼ、エムプサ(Εμπουσα, Empusa, Empousa):ギリシャ神話に登場する悪魔でメスのカマキリを意味しています。エムプーサは眠っている男の血を吸ったり、男の旅人を食い殺したりします。
●モルモー、モルモ(Μορμώ, Μορμών, Mormō):ギリシャ神話に登場する吸血鬼です。
●ラミア(Λαμία Lamia):ギリシャ神話に登場する下半身がヘビの女性の怪物で、ラテン語では女性の吸血鬼を意味する言葉にもなっています。ブルガリアの民話に登場するラミアは複数の頭を持つ大ヘビで、若い女性の血を吸っていきている怪物とされています。
ピジャヴィカ(Pijavica):スロベニアやクロアチアに伝わる吸血鬼
例によって悪党が死ぬとなるらしい。
ピジャヴィカになった者は、家族と親戚一同を次々襲うらしい。
ピジャヴィカは血の繋がりを感知する事が出来るようで、生前には存在すら知らなかったほど疎遠な親戚まで見つけてしまうという。
素早く強いのに加え、高い再生能力を持ち、心を読むことまでできる。
しかし直射日光に弱く、長時間浴びてしまうと焼け死ぬという。
バラバラにしてもくっついてしまうが、この時に、首に足をくっつけたり出来るという。
これは友好的な退治方法らしいが、おそらくの頭脳を失ってしまうのではないだろうか。
ウーストレル(Ustrel):ブルガリアに伝わる吸血鬼。
土曜に生まれ、洗礼を受けられずに死んでしまった子供が成る、霊的な吸血鬼。
ウーストレルは埋葬から9日後に墓から出て、家畜などに取りつき、取りついた者の血を吸い付くす。
実態がなく、無敵に思われがちだが、火や熱にかなり弱いとされる。
また土曜生まれの者にはその姿を探知されてしまうらしい。
ウポウル(Upour):ブルガリアの吸血鬼。
この世に未練を亡くした者が、この吸血鬼になるという。
同じくブルガリアのウーストレルとは違い、物理的に巨体の吸血鬼であり、その巨体の形成の為か、死後40日ほどは現れないらしい。
鼻の穴がひとつしかないとされる。
血液の他、家畜の糞からも栄養を得る。
というかそっちの方が好みのようである。
トゲのある舌からは、火を吐く事もあるという。
どういう訳か、柵を超えられず、ロウソクを恐がるらしい。
モーラ(Mora):ブルガリアの吸血鬼。
睡眠中の者を窒息させて、心臓から血を奪うという。
ポーランドに伝わるズモーラと同じ吸血鬼だとされる。
赤い膜に包まれて生まれてきた女の子が、適切なお祓いを受けられなかった場合に、この吸血鬼になると言われる。
一説によると、吸血鬼にはならなかったが、その力をしっかりと残した者が魔女になるらしい。
また、生物だろうが無生物だろうが、サイズも素材も関係なく様々なものに変身出来る。
それに、その鋭い目には、悪夢を見せる力があるという。
ニンニクや十字架が苦手と言われる。
お菓子好きで、好みのお菓子で手なずけれるという話もある。
ヴコドラク(Vukodlak):ユーゴスラビアの地域に伝わる吸血鬼、
ヴリコラカス同様に、本来は人狼だったのが、いつの間にやら吸血鬼扱いされていたという。
元々人狼だった事もあり、狼への変身能力を持つ。
ただし名前を呼ばれると変身は解除されてしまう。
また、吸血鬼らしく、夜にしか力を発揮出来ない。
赤い膜に包まれた子が成ったヴコドラクは、クドラクと呼ばれ、狼に限らない多彩な変身など、より強力な存在。
このクドラクは、白い膜の吸血鬼ハンター、クルースニックの最大の宿敵ともされる。
●クドラク(Kudlak):クドラクの一種。クルースニクの宿敵。スロベニアやイストリア半島に住むスラブ人の伝承に出てくる吸血鬼で、 黒いオオカミの容姿をしています。
●テナツ(Tenatz):ユーゴスラビアの吸血鬼。
ヴァルコラキ(Varcolaci):ルーマニアに伝わる吸血鬼。別名プリクリクス
伝承によって、犬だのドラゴンだのと姿が様々だが、単に変身能力によるものかもしれない。
ただし人間の姿を取る場合は美青年とされる。
そしてその優れた容姿で誘惑した人を、変身した姿で襲い、血を吸う。
その魔法的能力は高く、魂を肉体から離して、それを空に広げる事で日食すら引き起こせるらしい。
洗礼を受けなかった者、不浄な行いを繰り返した者、未婚の母の子、真夜中に暗闇で働く女性の子などが、死後にヴァルコラキになるとも言われるが、やはり伝承により統一感がなく、はっきりしないという。
ストリゴイ(Strigoii):ルーマニアの吸血鬼の典型だと言われる。
赤い毛に青い目、それにふたつの心臓を持つ吸血鬼。
自殺者や犯罪者、魔女に殺された者、七番目の子、この世に未練を残した者が、死後にこの吸血鬼になる。
また、ストリゴイに襲われた者もストリゴイになる。
死後に猫に跨がれた者もストリゴイになるというか、この猫は変身した魔女か何かなのではないだろうか?
ストリゴイになる者は、左目がまず開くらしいので、死者の左目が開いていたら、それはストリゴイになってしまう兆候なのだという。
ストリゴイは、たいてい生きていたころの家族や親戚を襲う。
最大の弱点はやはりその第二の心臓だという説が有力。
●ズメウ(Zmeu):ルーマニア
ノスフェラトゥ(Nosferatu):ルーマニアに伝わる吸血鬼。
私生児の親から生まれた子が死後に成るという。
ノスフェラトゥは、死後すぐに吸血鬼としての行動を開始するため、事前の予防は立てにくい。
吸血はもちろん、人間の苦しみを糧にすると言われる。
普通に家庭を持つ場合があり、ノスフェラトゥと人間の子はモロイという半吸血鬼になるという。
ノスフェラトゥを退治する有効な方法は、刃物でも弾丸でもいいから、とにかくその体を貫くことだとされている。
ビビ(Bibi):ルーマニアの女吸血鬼
霊的な吸血鬼でもあり、襲うのはもっぱら子の母か、子供らしい。
子を亡くしてしまった母親の怨念が起源だという説がある。
たいてい赤い衣装で、二人の少女と、二匹の山羊を連れているという。
この少女達が実は、哀れな女の霊を利用する、ビビなんではないだろうか?
吸血鬼ではあるが、仲良くなると幸福をもたらすとも言われている。
モロイ(Moloii):ルーマニアの、半吸血鬼とも生ける吸血鬼とも言われる存在。
幽体離脱などが出来るほか、男女の違いによって、わりと明確に異なる性質を持つ。
男は、基本、頭に毛がなく、女は顔が赤い。
男女どちらも幽体離脱能力を持ち、適当な誰かに取り付いて悪事を働くが、女のモロイはさらに動物を操ったり変身出来る能力を持つらしい。
単にモロイにも、デキる奴とそうでないのがいるというだけの話かもしれないけど。
死後はストリゴイになる確率が高いらしい。
●ユダの子ら(Children Of Judas):ルーマニア