概要

トリスの戦いとは、ザールック3331年7月、フレイミスト国と、ビーストバリア国軍の間で起きた戦いである。
同時期にアーズ国とアトレティア国によるルクフェルの戦いが行われ、アーズ国の決戦に横槍をいれさせない為の戦いでもあるため、広い意味ではトリスの戦いはルクフェルの戦いの局地戦に含まれる。

戦闘に至るまでの背景



アーズ国がガザデルーと決着をつけるべく出陣した直後、フレイミスト国がアーズ国本国なり遠征軍の後背のみを狙うのは当然のことであった。その為アーズ国は、あらかじめビーストバリア国に、フレイミスト国の牽制を依頼していた。
だが、ビーストバリア国は、牽制を通り越して、フレイミスト国と存亡をかけた決戦に突入しようとしていた。
誰もが無謀と思われたその戦いだが、フレイミスト国は勝利を繰り返しながら疲労し、ビーストバリア国は他国の協力や偶然でなんとか勝っている様に擬態しながら、その戦力を着実に増加させていた。

フレイミスト国の思惑は、弱国と侮っていたビーストバリア国をこの戦いで打ち払い、そのままアーズ国の後背を突いて壊滅させ、ガザデルーが支配するアトレティア国に対して相当な発言力を持つ同盟国になるのが最終目的であった。この戦いはその為の最初の一歩に過ぎなかった。

両軍の戦力

戦闘経緯



戦前の予想を覆し、ビーストバリア国軍の軍勢はフレイミスト国の軍勢と互角に戦った。
ビーストバリア国は過去、自力で何かを成し遂げた事がなく、いつも他国の助けを借りていた。だからこそフレイミスト国はビーストバリア国を弱者とみていた。
リョウは優れた将であり、決して戦場で油断することはなかったが、それでも心の底では見下していた部分もあった。

しかし、戦端が開くと、ビーストバリア国軍は互角の戦いを演じた事に、リョウは少なからず呆然としていた。
ビーストバリア国軍は、全軍を3つのグループに別け、全軍で戦っているように見せて、地形を利用して常時1グループは休息させていた。この戦法に気づかぬまま、フレイミスト国軍は攻撃を続け、いつしか疲労を蓄積し、疲労の限界にきた瞬間、山脈に隠れていたガイラスマルラ部隊がフレイミスト国軍を背後から攻め立てる。
それに呼応してビーストバリア国軍もそれまで守勢だった陣形を攻勢に切り替え、フレイミスト国軍を狭い地形で、完全包囲していく。



艦隊戦においても、密かにこの地に移動させておいた対空魔導砲に誘い込まれ、フレイミスト艦隊は下方と前方から集中砲火を受ける。
対空魔導砲をこの様な山地に大量に移動させるには、相当前もって作業に取り掛からなければならず、この時はじめてリョウは、戦略においても、戦術においても、自分がここに誘い出されたことを悟る。

戦局は、完全包囲による一斉攻撃を加えたビーストバリア国の勝利で終わろうとしていた。
フレイミスト国は戦術も作戦も捨て、ビーストバリア国軍総旗艦聖獣へ突き進もうとするが、何重にも敷かれた防衛陣によってフレイミスト国は次々と兵力を削られ、ガイラが戦死、続いてエレナガリュウリョウの部隊も壊滅、フレイミスト国はビーストバリア国の前に完全に敗北した。

フレイミスト国は最初からビーストバリア国を弱者と決め付けていた感がある。
油断はしない、そう口には出しても心の底で相手をなめていた部分があり、そこに付け入られて包囲作戦を許してしまった。
開戦直後にビーストバリアが防御に徹したときも、「やはり敵は弱い、守ることで精一杯」という楽観が彼らの脳裏に走った事も確かである。
しかし、ビーストバリア国は数々の餌を喰らい、いつの間にか経験を重ねて「弱国」から「弱国を演じる強国」に変化していた。
開戦前にそのことに気づいていたのは、ベルーマ霊虎だけであり、彼らはその擬態を最大限に利用した戦法をとることで、この大勝利を得た。

戦いの結末

同じ頃、アーズ国もアトレティア国に勝利をおさめ、アトレティア陣営は事実上の終焉を向かえ、ザールックの支配者はアーズ国となった。
ビーストバリア国はそれに追随して国力の拡大を図ったが、ここでもまだ表に出ることを控え、あくまでもアーズ国を前面に押し立てて、その補佐という形に徹底した。
リョウを失ったフレイミスト国は、レンゲが急遽帰国、王位につくことで混乱を収拾、以後はビーストバリア国、アーズ国と和睦を結び、六界連合軍参加へと繋がっていく。


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