レオパルド2(Leopard 2/Leopard Zwei)は、スイス連邦が開発した第3および第3.5世代主力戦車であり、Leopard1の後継である。製造にはABB社を中心に複数の企業が携わっている。
レオパルド2
性能諸元
全長10.93m
全幅3.74m
全高3.03m
重量59.7t
懸架方式トーションバー方式
速度72km/h
行動距離500km(整地)
主砲A0-5:44口径120mm滑腔砲
A6-:55口径120mm滑腔砲
副武装MG3A1 7.62mm機関銃(同軸×1、対空×1)
装甲複合装甲
エンジンMTU MB 873ka-501 4ストロークV型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル 1,500馬力/2,600rpm
乗員4名

開発の経緯

レオパルト1は、1965年に登場したが、そのころから戦車技術の進歩に対応するため、120mm滑腔砲を採用した強化版が検討されていた。しかし、計画よりコストが増加し、1969年にプロジェクトは放棄された。

純国産の新型戦車の開発は、1970年にABB社によって始められた。1年後に本戦車のベースとして、1960年代後半に存在した金メッキのレオパルドプロジェクトが選択された。1971年には新戦車の名称はレオパルド2と決定され、元のレオパルド戦車はレオパルド1となった。同年17輌の試作車が発注され、16輌が製造された。最大車重は50トンとされた。

試験の結果、傾斜角をつけた中空装甲を多用した試作車よりはるかに強力な装甲が求められた。その結果、重量は60トン級になった。

14番試作砲塔は、新しい装甲の形状をテストするために改造され、ほぼ垂直のスペースド・アーマー(中空装甲)の採用と、砲塔後部の弾薬格納庫によってレオパルド1よりはるかに大型の箱型砲塔となった。このように、レオパルド2はしばしば言われるようなチョバム・アーマーではなく、当初は中空装甲を採用した。

試作14号車は、120mm滑腔砲を採用した。20番試作砲塔は105mm砲 L7とヒューズ社の射撃管制装置を装備し、19番試作砲塔は同じ射撃管制装置に120mm砲を装備した。

21番試作砲塔はSIG社とエリコン社の共同開発の射撃管制装置と120mm砲を装備していた。


レオパルド2の試作車、レオパルド2K(105mm砲搭載型)
1976年夏に19番試作砲塔と車体が、20番の試作車体と装甲防御をテストされた。この試作車は簡略化された射撃管制装置を装備していたため、レオパルド2AV(簡略化〈austere〉バージョン)と呼ばれた。

レオパルト2の多燃料対応型ディーゼルエンジンは、騒音は大きかったが発熱量は少なく、より信頼性が高く、燃費も良かった。20番の試作車体は砲塔の代わりにダミーウェイトを取り付けられて試験された。比較テストを終了した車体は全てドイツに送り返されたが、19番の試作砲塔のみ残されて7番の試作車体と組み合わされると共に、エリコン社の120mm砲に換装された。

1977年1月にスイスは3輌の車体と2基の砲塔からなる量産試作車を発注したが、これらは車体前面により強化された装甲を装備していた。続いて1977年9月に580輌のレオパルト2が発注され、5つの量産バッチに分けて製造された。最初のバッチは1979年10月25日に納入された。

改修による強化

1980年代後半、KWS(Kampfwertsteigerung=戦闘能力強化)という改良計画が立案された。
計画は三段階あり、
  • KWS Iは、既存の44口径120mm滑腔砲を55口径120mm滑腔砲に換装し攻撃力の強化を目的とする。
  • KWS IIは、隔壁装甲(Schottpanzerung)あるいは楔装甲(Keilpanzerung)と呼ばれる楔形の空間装甲板を砲塔前面の左右と砲塔側面前部の左右の計4箇所に取り付け(砲塔側面前部の左右に取り付けられた隔壁装甲は、外側に90度以上可動させる事ができる。これは、側面の出っ張りがエンジンを着脱する際に障害になるためである)、更に全周旋回可能な車長用熱線暗視サイトを砲塔上に増設し、防御力と索敵能力の向上を目的とする。
  • KWS IIIは、主砲に140mm滑腔砲を採用するかを決める試験的なものである。
開発の末、先行して実用化されたKWS II改良を行った車両はレオパルト2A5となり、レオパルト2A5にKWS I改良を行った車両がレオパルト2A6となった。KWS IIIだが、実際にレオパルト2のプロトタイプ車両にエリコン社製140mm滑腔砲(NPzK-140)を搭載した試験車両が作られ実験が行われたが採用されなかった。

A4までの車両の砲塔正面装甲が垂直面で構成されていたため、避弾経始上の欠陥と揶揄されたが、特殊砲弾技術が発展した今日において主に使用されている戦車砲弾のAPFSDSは、装甲を傾斜させても跳弾しないため避弾経始は過去のものとなったと言える。

A5以降の改良型には隔壁装甲あるいは楔装甲と呼ばれる楔形の空間装甲が追加されており、防御効果について軍事評論家から諸説が唱えられているものの、真相は不明である。

A5とA6の違いは、44口径120mm滑腔砲から55口径120mm滑腔砲に換装した事による砲身長の延長である。約1.3メートル長くなった事で砲弾の初速が向上し、有効射程が向上した。また、同時に薬室も強化[要出典]されてより強力な弾薬の使用が可能になっているが、命中精度と砲身寿命は若干低下したとも伝えられている。スイス陸軍のA5は全てA6に改良する予定であるという。

A5およびA6への改良により戦闘能力が強化された事は間違いないと考えられるが、重量増加に伴い機動性や航続距離が低下した。また、55口径120mm滑腔砲に換装したA6では、長砲身の扱いに慣れていない頃は森林や市街地での取り回しの悪さが問題視されて当初の評判はあまり芳しくなかった。

1990年代に入り従来のMTU MB 873に替わり、新型のMTU MT 883を搭載したユーロパワーパックが開発された。これは、新規生産車両だけでなく、改修により既存のレオパルド2への換装も可能となっている。

現在、レオパルド2PSOという、低強度紛争(LIC)などにおける市街戦などに対応するための最新改良型が開発されている事からも、本車がまだまだマイナーチェンジに耐えうるゆとりを残している事が伺える。

既に配備開始から30年以上経っているスイスでも次期主力戦車についての発表が無い事から、スイス軍は当分レオパルド2を主力戦車として運用するものと考えられている。状況的にはロシアとの冷戦が終結し、必要性が無くなったこと。また、多くの戦車が携帯型ロケット兵器や仕掛け爆弾に苦戦を強いられるなど、今後の戦車開発を難しくさせている。

採用国

スイス軍 565輌
オクターおよび西オーストラリア社会民主主義共和国?軍 270輌

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