タグ検索で♀竜×♂人間125件見つかりました。

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桃竜の願い

「ハァ・・・ハァ・・・」 木々の葉が赤や黄の紅葉に染まり始める季節、1人の青年が荒い息をつきながらなだらかな山道を登っていた。 登り慣れているとはいえ、しばらく振りの登山に鈍った体が情けない悲鳴を上げている。 「フー・・・こりゃちょっと体力つけないとまずいかもなぁ・・・」 額に汗を浮かべながらようやく坂道を登り終えて一息つくと、彼はボソリと独り言を呟いた。 俺がこの山に登り始めたのは、ちょうど3年くらい前だろうか。 その時は登山なんて俺の性分じゃないと思っていたけど、友達に誘われて初めてこの辰子山を登っ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%ed%ce%b5%a4%c... - 2008年08月12日更新

忘れようとした記憶2

Hunter-side [[Lioleia-side>忘れようとした記憶]] 「なぁおっちゃん、これで弓を作ってもらえるかい?」 ようやく、憧れだった念願の武器が手に入る。 僕はそんな期待感に胸を膨らませながら真っ赤に溶けた金属の熱がこもる武器工房へと駆け込むと、いつものように腕を組んでふんぞり返っているおっちゃんにやっとの思いで集めてきた素材と金を差し出した。 「何だボウズ。お前はまだハンターになりたての青二才だろう?」 だがこれまたいつものようにというべきか、僕の依頼を聞いたおっちゃんが意地悪…

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継承

「へえ・・・ここかぁ・・・」 すでに日が暮れて暗くなった山の中に建てられていた山小屋を見ながら、僕は感嘆の溜息をついた。 切り株や小さな畑が辺りに点々と作られていて、誰かがつい最近までここで生活していたことを物語っている。 先日、僕は20歳の誕生日の贈り物に父が所有していた小高い山を譲り受けた。 ほとんど手付かずの森林の中にポツンと山小屋が一軒だけ建っていて、父は少なくとも数年の間ここで暮らしていたという。 だが、どうにかして手に入れた大きなお金で新しい家を建てるらしく、父は僕にこの山の登記所を手渡す時に…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b7%d1%be%b5... - 2008年08月12日更新

秘湯

「ふう・・・ここがこんなに険しい山だとは知らなかったな」 鬱蒼とした森林に埋もれた山の中腹をひたすらに歩きながら、俺は切れてきた息を整えるようにゆっくりと呟いた。 1度山登りを覚えると、いろんな場所の山に登ってみたくなるのが人の心理というものだろう。 俺もそのご多分に漏れず登り慣れた山から離れて新たな頂を求めてみたが、標高が低い割に険しい道程に少し不安を抱え始めていた。 時刻は午後の5時。まだ雪が降るような季節ではないものの、さすがに空は薄っすらと朱に染まり始めている。 「こりゃあ夜は冷えるだろうな・・・…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c8%eb%c5%f2... - 2008年08月12日更新

異国の姦計

「ま、待て、待ってくれ!た、頼む・・・うぅ・・・あ・・・」 初めてここへ来た時に比べると随分と力を失ったか弱い声が、地面に頭を押し付けられた男の口から細々と漏れてくる。 彼が身に付けていた重厚な剣や鎧は、巨大なドラゴンとの激しい戦いの末に既にボロボロの鉄屑の如き様相を呈して周囲の地面の上へと無残に転がっていた。 愚かな人間め・・・黙って町で幸せな人間生活を楽しんでいればいいものを、何を思ったのか私の命を狙おうなどという身の程知らずな考えを起こすからこうなるのだ。 大した苦もなく仕留めた腹下の獲物を見下ろし…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b0%db%b9%f1%a4%c... - 2009年02月21日更新

忘れようとした記憶

Lioleia-side [[Hunter-side>忘れようとした記憶2]] また、茹だるような暑さの照り付ける季節がやってきた。 不思議な絆で結ばれた人間と愛娘を森に残してこの鬱蒼とした木々の茂る密林に移り住んでから早4週間。 毎晩のように降り頻る激しい雨や涼しい洞窟の中に巣食う不快な虫どもに幾度となく辟易しながらも、私は何とか新たな塒となりそうな美しい縦穴のある洞窟を見つけてほっと胸を撫で下ろしていた。 今頃はもう、あの娘も成体といって差し支えない程に大きく成長しているに違いない。 それにあ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%ba%a4%ec%a4%e... - 2008年08月12日更新

早苗

母は頭の良い人だった。 僕の気付かないような些細なことにもとてもよく気が付き、僕はよく怒られた。 父がよく母にそうしていたように僕のことをぶったし、爪で引っ掻いたりもした。 父は本当に母のことを愛していると言っていたから、きっとあれも母なりの愛情表現なのだろうと思う。 その証拠に、母は僕の顔をまず殴らなかった。 僕が誰かに傷を見られて、惨めな気持ちにならないようにと言っていた。 母の言うとおり僕の体に数多く出来た傷は、服を着ることで綺麗に隠れた。 僕は服を着るたびに、よくまあこんなに上手く傷が作れるものだ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c1%e1%c9%c4... - 2008年12月10日更新

塔上の煌き

雲を突くほどの高さにまで伸びる古の塔。 その周囲を覆うどんよりと曇った空からは所々陽光が筋となって差し込んでいるものの、それは決して神聖な趣ではなかった。いやむしろ、そこにあるのは見る者の足を竦ませる不吉な気配。 そして永きにわたって人間の接近を拒んできたその古塔の最上部で、蒼き鱗を身に纏った1匹の巨獣が怒りの表情を浮かべて眠っていた。 その獣の名はナナ・テスカトリ。遥か昔からこの地に伝わる伝説の古龍種の末裔である。 名に冠したナナの字は"妃"を意味し、獅子に似た殺気漲る形相で炎を自在に操るその様に、人々…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%e3%be%e5%a4%c... - 2008年08月12日更新

森に走る閃光

煌煌と照りつける太陽の下でも不気味なまでの薄暗さを保つ深い森。 包帯や消毒薬の入った薬袋を抱えながら、俺はその森の中を家に向かって急いでいた。 俺自身は元来丈夫な体に慎重な性格もあいまって、怪我をしたり病気を患ったりしたことなどはほとんどない。 だが子と親は対を成すというのか、母親はおっちょこちょいな所が多分にあるせいでいつも怪我や生傷が絶えず、そのお陰で俺は月に1度程度の割合で森を抜けた先にある隣町まで薬や包帯を買出しに行くのが仕事になっていた。 「ふう・・・村まではまだ遠いな・・・」 流石に道の悪い中…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bf%b9%a4%cb%c1%f... - 2008年08月12日更新

分かたれた者達

アルコールの匂いとベタつく光沢が染み込んだ、小さな樫の木のテーブル。 その前でグラスを片手に椅子に腰掛けながら、俺はカウンターの奥の壁にかけられた丸時計へと目をやった。 「あの・・・」 突如背後からかけられた、おどおどした小さな声。正に時間通りだ。 俺は顔色1つ変えずに後ろを振り向くと、そこに立っていた小柄な町長の姿に目を止めた。 「この度はありがとうございました。これが・・・謝礼の金貨50枚です」 そう言って、町長がズッシリと金貨の詰まった麻袋を俺の前に差し出す。 「ああ、悪いな。また何かあれば言ってく…

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孤竜のその後

麓までの道を知るドラゴンの協力もあって、僕はあの日奇跡的に悪天候の雪山から生還した。 恐らく僕はもう2度と冬の雪山には登らないだろう。何も危険な目に遭ったからだけではない。 僕は今、あの日会ったドラゴンとともに暮らしているからだ。 若者の1人暮らしにドラゴンという新たな住人が加わって早3日目、彼女は既に人間の生活に慣れ始めている。 だが奇妙なことに、僕達はまだ1度もお互いに名前を呼んだこともなければ名を名乗ったこともなかった。 「早く起きないとご飯冷めちゃうよ」 「ううむ・・・もう少し待ってくれぬか・・…

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無垢な視線

まだ薄暗い早朝の森の中をあてもなく歩きながら、ワシは午後の予定に頭を悩ませていた。 「フゥ・・・今日は何を話してやればよいのか・・・」 ここ最近昼過ぎになると、暇を持て余した子供達がワシの寝ている大きな一枚岩の周りにガヤガヤと集まってはやかましく騒ぎ立てるのだ。 そのせいでとても昼寝などできるような環境ではなかったものの、長年自分の居場所として過ごしてきた岩の上を子供達に取り上げられてしまうのも癪だったワシはある日子供達に色々な話を聞かせてやることにした。 これまでに見てきた珍しい物、珍しい場所、珍しい体…

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王の贖罪

どこか不穏な熱気を孕んだ人だかりの中で、俺は懐に隠した細身の短剣を緊張の面持ちで押さえていた。 もうすぐ、城の前でこの国の王が大勢の国民に向かって政略演説を始める。 そしてその時、子供っぽい利己的な理論によって積み重ねられた王の暴政に終止符が打たれるのだ。 俺は、本来暗殺者などではなかった。どこにでもいる一般市民・・・むしろ、農民といってもいいだろう。 心無い政治に苦しめられる人々が寄り添い合ってついに革命を企て始めたとき、俺は真っ先にその実行役を買って出た。あの王のせいで、俺には誰も親族がいなくなって…

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願いの果てに

不老長寿・・・相反する2つの願いがこめられたこの言葉は、遥か昔から特に女性が憧れた言葉のひとつだった。 健康的な食事、睡眠、生活。これらを忠実に実践するならば、ある程度不老長寿を実現可能ではある。 だがある時、古くから霊峰と呼ばれていた巨大な山の奥に、食べることで不老長寿になることができるという幻の果実の噂が広まった。 たった1つ食べるだけで永きに渡る若さを保つことができる・・・ そんな誘惑にかられて、ある者は家族の反対を押しきり、またある者はほとんどの財産を売り払ってその果実を手に入れようとした。 だが…

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裏窓

俺の部屋の窓の正面には、ボロアパートと廃墟になったオフィスビルが建っている。 俺はその隙間から見える雲が好きだった。 それはアパートのベランダの格子の隙間を縫うように現れて、向かいのオフィスビルまでゆるく蛇行しながら橋をかけている。 俺は毎日、昼夜問わずその雲を眺めて過ごした。 俺が俺のアパートの俺の部屋に入ったときから、雲の形は変わっていない。 変わる訳が無い。 俺は、本物の雲を見たことが無い。 俺が気に入っている雲は、この町を覆う壁に描かれた絵なのだ。 俺の住んでいる町には、空が無かった。 どこまでも…

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銃撃の代償

パァーン! 清々しく晴れ渡った青空の下、山々の間に大きな銃声が響き渡る。 「当たったか?」 「見てくるよ」 俺とともに猪狩りに参加していた彼はそう言って茂みの中に姿を消すと、中型の猪を重そうに引きずりながら草の間から顔を出していた。 「バッチリだ」 これで今日の収穫は3頭目になる。 荷物になるだろうと思って弾は初めから散弾銃の中に装填されていた7発しか持ってきてはいなかったが、たった4発で3頭仕留めたのだから上出来というものだろう。 近頃麓の町で猪が暴れて困っているという話を聞いて渋々出張ってきたものの、…

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地下牢の記憶

「被告に死刑を宣告する」 裁判官が高らかにそう告げると、王宮法廷の一同から喚声にも似たざわめきが起こった。 被告、つまり俺は、城下町で出会った美しい女性に声をかけただけだった。 いや、少しは誘惑的なことも言ったかも知れない。だが、たったそれだけだった。 その女性が王の娘だったことなど知らないし、何かいかがわしいこともした記憶もない。 それがどういうわけか王宮裁判にかけられ、死刑を宣告されている。 裁判官が何やら刑の詳細について語っているようだが、俺の耳にはほとんど聞こえていなかった。 やがて唐突に2人の衛…

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沈黙の胸の内

「いや〜いろいろ珍しいものが見れてよかったな」 両手に余るような大量の買い物袋を揺らしながら、友人が満足そうに呟く。 彼は村の中でも数少ない同い年の親友であり、そして俺の唯一の幼馴染でもあった。 「ああ・・・そうだな」 まだ木々の間から見える明るい空を見上げながら、俺も曖昧に返事を返す。 今日は久々にお互い自由な時間が取れた上に天気も良かったお陰で、俺達は森を抜けた先の隣町まで買い物に出掛けたのだ。 まあ、さして物欲のない俺は普段目にすることのない都会の品々に多少興味を惹かれた程度で、彼のようにいらぬもの…

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竜の呪い

「何?姫がいないじゃと?」 城下町が感謝祭で賑わう日曜日、ミリアン王国の王バルスは、姫のお目付け役の兵から報告を受けたときも、大して驚きはしなかった。 あの御転婆娘のこと、また勝手に城を抜け出しては町の人々と一緒にワルツでも踊っているのだろう。 「よいよい、いつものことじゃ」 王は手をひらひらさせながら兵士にそういうと、兵士は困惑した表情で玉座の前から退いた。 感謝祭の日くらいは好きにさせてやろう。叱るのは後でもできる。王は内心溜息をつきながらも、傍らの小さな台に乗っていたグラスワインを呷った。 盛大な…

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竜の女王

見渡す限りの大海原。穏やかに揺れる船の舳先が、紺碧の水面を滑らかに滑っていく。 俺は甲板で辺りにたち込める潮の香りを一杯に吸い込むと、船室で待っていた船長のもとへと急いだ。 そろそろ、待ちくたびれた船長が葉巻をふかし始める頃合だろう。 二十歳を迎えた俺は、学生時代にせっせと貯めたお金で世界旅行を計画した。 だが、所詮バイトで稼いだ額など高が知れている。 さすがに飛行機で各地を回ることはできず、俺はしかたなく遠洋漁業用の船に乗せてもらうことにしたのだ。 「すみません、遅れちゃって」 「遅れるのは構わんさ。…

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