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妃の笑う夜

カツーン・・・カツーン・・・ 「はぁ・・・」 豪奢な装飾に彩られた広い城の廊下を歩きながら、私は深い溜息をついていた。 私の治めているこの小国がここよりずっと西方に位置するノーランド王国の属国だったのは、もう4年も前の話。 無事に独立を果たした後の私の生活は、この上もなく贅沢で明るいものになるはずだった。 いや確かに、私がこの国の誰よりも優雅で安寧な生活を送っていたのは間違いない。 そう、あの日までは・・・ 暗い面持ちで廊下の角を曲がると、やがて突き当たりに淡い燭台の明かりに照らされた寝室の扉が見えてく…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c8%de%a4%ce%be%d... - 2008年08月12日更新

秤上に揺れる哀と愛

開け放たれた城のテラスを駆け抜ける、爽やかな朝の風。 私はもう随分前からの日課となったテラスでの深呼吸を終えると、深い森に囲まれた南の方角へと目を向けた。 今頃はあの方が、父から課せられたある難題に応えるためにあの森へと足を踏み入れている頃に違いない。 無事に帰ってきてくれればそれでよいのだが、どうにも妙な胸騒ぎがするのは気のせいだろうか。 城下町で偶然出会った彼が王女である私に結婚を申し込んだあの日、父は彼の資質を試すためにこう言った。 「南の森に棲むという巨大な黒竜を討ち果たしてくるのだ。そうすれば、…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c7%e9%be%e5%a4%c... - 2008年08月12日更新

天国に巣食う闇

例年に無い猛暑が続いた夏から一転して、朝晩なかなかベッドから抜け出す気になれない快適な気温となった9月。 俺はもう間も無くやって来る大型連休を前に、徐々に量が増えてきた業務を少しでも多くこなそうと朝から休憩もそこそこに会社のPCと長時間格闘していた。 一体誰が名付けたのか5月の連休と比較してシルバーウィークなどという大仰な名前が付けられてはいるものの、つい1ヶ月程前にお盆を迎えた人々は今回、田舎の実家へ帰省するよりも観光地へ繰り出す割合が大きいのだろう。 今年俺と一緒に入社した同僚もまだ少ない給料で随分と…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2015年11月06日更新

ドラゴンになったカップル

獣化研究をしたいた未婚の20歳のドラゴン好きの女性、メリアは架空の生物に趣味を持つようになった。 架空の生物、それはドラゴンをこの世に誕生させようとしており 獣化研究をしたメリアは誰かがドラゴンになればいいと考えた。 メリアの夢はドラゴンになって動物園で暮らすこと。 かつて会社をクビにされバイトにも雇ってもらえず従姉妹の家に居候していた。 「私は仕事嫌いだから就職したくないの。だから従姉妹達、私はドラゴンの姿で生活したいわ」 メリアが街中で見つけた無職の男性、ロディオを気に入りカメラでロディオを写しロデ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a5%c9%a5%e9%a5%b... - 2011年01月02日更新

天国の主

「よーし、終わったぞ!」 大勢の教授達が見守る中での研究発表会・・・ その大舞台を無事に切り抜けて、俺はここ数日ずっと苛まれ続けた極度の緊張と不安からようやく解放されていた。 卒業論文もほぼ完成に近付いていて、今年度の行事は数日後の卒業式を残すのみ。 心配された就職先も近頃の景気回復の流れが味方したのか特別苦労すること無く見つかり、俺はこれから始まる社会人生活に早くも胸を高鳴らせていたのだ。 「良い発表でしたね。要点が纏まってて、教授達も凄く満足してましたよ」 「そうか?お前に対しても似たような反応だった…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2015年04月02日更新

細き指先には抗えず

ズッ・・・グチュ・・・ 「うっ・・・く・・・ふぅ・・・」 「フフフ・・・いいねぇ・・・随分と慣れてきたようじゃないか・・・」 淡い月明かりさえも差し込んで来ない暗い洞窟の奥底で、雌雄の竜が熱い一時に身を委ねていた。 寝床の上に横たわる真っ赤な鱗を纏った巨大な雌竜の上で、それよりも一回り小さな雄の黒竜が結合部より絶え間なく注ぎ込まれてくる無上の快楽に耐えようと忙しなく身を捩っている。 やがて甘過ぎる愛撫の坩堝に耐え切れなくなったのか雄竜が逃れようとして腰を引くと、すかさず屈強な雌竜の尾がそんな薄情な雄を引き…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ba%d9%a4%ad%bb%d... - 2008年11月11日更新

禁忌の報い

活発な人と物資の流れに栄えるノーランド王国。 隣国の領土へと伸びる幾本かの街道を除けば周囲をグルリと深い森に囲まれているこの国の名は、ほんの6、7年程前までは非常に危険な国の代名詞でもあった。 決して、国の治安が悪かったわけではない。 国の兵達は皆健康で団結心が強く、今は隠居している当時の王も民に善政を敷き大いに慕われていた。 だがこの国に向かって延々と深い森の中を突き進む街道やその周辺の森には自由に人間に姿を変えることのできる危険なドラゴン達が数多く巣食っており、それらが道行く人々を襲っていたのだという…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b6%d8%b4%f7%a4%c... - 2008年08月12日更新

子育て

"辰子山の行方不明者 例年の3倍" "秋の入山禁止令発令" 夏のある日、僕は大学から帰る途中にたまたま見つけた図書館で、去年の新聞を読み耽っていた。 ここ数年、9月から10月にかけて辰子山に登った人達が行方不明になるという事件が頻発し、世間を賑わせているらしい。しかも、行方不明になるのは決まって若い男性ばかりだった。 この不気味な謎は、将来新聞記者を目指す僕の好奇心を掻き立てずにはおかなかった。 きっと謎を解いてやる。そう思い立つと、僕はもうすぐ来る秋に向けて期待を膨らませた。 例年になく暑かった夏が終…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bb%d2%b0%e9%a4%c... - 2008年08月12日更新

無口な仔竜

バサッ・・・バサッ・・・ 清々しく晴れ渡った空の下を飛びながら、僕は遥か眼下に見える人間達の村へと視線を移していた。 住み処のある山の麓に広がるその村はそれ程大きなものではなかったのだが、山間の小村にしては珍しく大勢の子供達が連日のように賑やかな笑い声を上げながら走り回っている。 つい前日5歳になったばかりの僕にとっては、そんな楽しそうな人間達の様子が何よりも興味深かった。 僕もできることなら、あの人間の子供達に混じって一緒に遊んでみたい・・・ だがそんな些細な夢は、僕が人間ではなく竜に生まれたというだけ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cc%b5%b8%fd%a4%c... - 2012年06月24日更新

秘像

「よし、今度こそアタリを引いてやるぞ!」 颯爽とバイクを走らせる、俺は自称トレジャーハンター。 名前は「ジャック」っていう。 とある街で「世にも美しいドラゴンの像」というお宝の情報を手に入れて、 それからそこら中を探し回ってるんだけど、どれも空振り。 そのドラゴンの像は、とても美しい宝石でできていて、 見る者を圧倒させるという。 そんなお宝があるんじゃ放っておけないってんで、世界を股にかけて探し回ってる。 今回は、ちょいと有力な噂話を仕入れたんで、 その噂の出所である秘境の村まで向かってるってわけだ。 …

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c8%eb%c1%fc... - 2015年01月09日更新

闇夜を照らす紅蓮

「姉さん、もう起きてる?」 まだ外が薄暗い午前4時・・・俺は姉の寝室から漏れていた明かりを見て扉越しにそう呼び掛けると、すぐに返って来た心配そうな姉の声に小さな溜息を漏らしていた。 「ええ・・・余り眠れなくて・・・ずっと起きてたわ」 無理も無い・・・家で独り弟の帰りを待つ姉にしてみれば、出立の朝は不安で眠れないのも当然だろう。 だが、これも生活の為なのだ。 幼い頃に両親を病気で亡くして以来、たった3歳しか年の違わない姉は女手1つで俺を育て上げてくれた。 学問を修めるだけのお金の余裕が無かったせいもあって俺…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b0%c7%cc%eb%a4%f... - 2014年05月08日更新

ペット

朝目が覚めると、僕は裸で見知らぬ部屋にいた。 明らかに自分のものとは異なるベッド、テーブル、調度品。 そしてなにより、独特な獣の臭い。 ええと、昨日の夜は何をしていたっけ? 必死に記憶を辿る。確か、友達と飲んで、酔って帰る途中だったのは覚えている。 でもそこから先の記憶がない。 ということは、どこかで倒れて誰かの家で介抱されたのか? でもそんな見知らぬ酔っ払いを普通こんないいベッドに寝せるものなのかな?しかも服も着せずに。 みれば、僕のいた部屋は綺麗に片付けられていて、ホコリ一つ落ちていない。 その上ベッ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a5%da%a5%c3%a5%c... - 2008年08月12日更新

祝宴の夜に

「おいノイン、もう朝だぞ。早く起きろって」 「ん・・・うーん・・・」 ある晴れた日の朝、僕はそんな兄の声で心地良い夢の世界から現実へと引き戻されていた。 「全く・・・お前ももう9歳なんだから、いい加減独りで起きられるようにならないと駄目だぞ」 そしてゆっくりと目を開けてみると、兄が何処かへ出掛ける準備をしている様子が目に入ってくる。 「兄ちゃん・・・今日は何処か行くの?」 「今日は森の方に獣狩りに行くんだ。今晩、結婚の祝宴があるからな。料理の肉を調達するんだよ」 そう言えば、昨日確かにそんな話を聞いたよ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bd%cb%b1%e3%a4%c... - 2012年09月08日更新

歴史の真相

「ただ今」 「お帰りなさい。今日はどうだったの?」 「別に・・・何時も通りだよ」 家に帰り着くなり浴びせられたそんな母の声に返事になっていない言葉を返すと、俺はそそくさと2階にある自分の部屋に飛び込んで扉に鍵を掛けていた。 実家から地元の大学に通うという進路を選択したのはもちろん日々の生活が楽だと思ったからなのだが、20歳前後にもなると依然として自分を子供扱いする親の存在というものが些か鬱陶しくなってくるものだ。 とは言え歴史学者だった父が4年前に突然行方不明になってからというもの、唯一の家族となった俺の…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ce%f2%bb%cb%a4%c... - 2012年04月27日更新

我が翼を想いて

今ではもう数少ない書物の片隅でしか語られることのなくなった古き時代・・・ 大陸の方々に散らばる小さな国々が、領土を広げるために幾度となく制圧と統合を繰り返した時期があった。 とは言っても、国同士が血で血を洗うような戦争を繰り広げていたというわけではない。 ある程度の纏まりを見せ始めた幾つかの国が我先にと競うように行っていたのは、国境に面した未開の地に生きる無数の蛮族達の平定である。 そしてそんな彼らの軍事力として最も貢献していたのは、日々の訓練に明け暮れている屈強な兵士などではなく、当時の人間達にとって最…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%e6%a4%ac%cd%e... - 2008年08月12日更新

黒竜の罠

穏やかな波に揺れる船首の先には、大西洋上にひっそりと浮かぶ小さな島がその姿を現していた。 島の中央には、船乗りの間でダイヤモンドピークという名で呼ばれる深い樹海を従えた山があった。 その樹海の中には至るところに古代の遺跡のようなものが点在し、稀少な鉱石や文化的に価値のあるものが頻繁に出土するという。いわば宝島だ。 普通ならどこかの国が領有権でも主張しだして徹底的な探査のひとつも入りそうなところだが、噂を聞いた人達が次々と島へ押し寄せ、当初無人島だったこの島も今では海岸沿いに多くの民家が立ち並ぶまでになって…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b9%f5%ce%b5%a4%c... - 2008年08月12日更新

居場所

「父さんの馬鹿ぁ…ッ!!」 甲高い、半ば泣き叫ぶような罵声を残し、 家を飛び出していく女性。 薄暗い、歩き慣れた路を、涙を流しながら奔っていく。 彼女は、沢本 翔子。数日前まではごくありふれた女子大生であった。 …のだが、大学に馴染めず、クラスメイトからいじめに近い仕打ちを受け、 将来のことも決められず、苦渋の決断で「退学」という選択をしたのであった。 しかし、更なる仕打ちが彼女を待っていた。 父親の存在である。 普段から酒癖が大変悪く、昼間から酒を飲んでは家族に当たり散らしていた。 そんな折、翔子が大…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b5%ef%be%ec%bd%e... - 2012年04月08日更新

死神と呼ばれた少年

ふと気がついた時、僕の眼前に広がっていたのは欝蒼と茂った背の高い森の木々だった。 これは、町のそばに広がっているあの深い森の中なのだろうか・・・? だがぼんやりとした頭でそんなことを考えている内に、僕は何気なく自分の手の異様に気がついてそれをまじまじと見つめていた。 確かに自分の手が存在しているはずの場所に見える小さな黒い蹄と腕に当たる部分に生えた白い斑点のある栗毛が、この世界での自分の正体へと僕の意識を導いていく。 ああそうか・・・今度は僕・・・仔鹿なんだな・・・ 道理で周囲に生えている木がやたらと大き…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bb%e0%bf%c0%a4%c... - 2008年08月12日更新

紅き大老

「ぐ・・・うぅ・・・」 幾本もの燭台に灯された淡い蝋燭の明かりの中に、初老の男の苦しげな呻き声が響き渡っている。 「お、王様・・・あまり無理をされてはお体に障りますぞ」 「ふふふ・・・ワ、ワシも歳を取ったものだな・・・この程度で・・・ぐ・・・体が音を上げるとは・・・」 ほんの数日前、彼はここ最近親愛なる城下の民を苦しめていた毒の息を吐く悪竜の退治へと向かった。 そして東の山奥に潜んでいたその悪竜の住み処を数人の腕の立つ兵士達とともに急襲し、奇跡的に1人の犠牲者も出すことなく討伐に成功した・・・はずだったの…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b9%c8%a4%ad%c2%e... - 2008年08月12日更新

聖夜奇譚

 『チクショ〜!……んなぁーにがぁ、"性の6時間だぁ"』  ――毎年恒例のクソッタレあんちくしょうGo to Hellなひと時、クリスマス・イヴ。  『バカップル共がぁ……膣痙攣でも起こして腎虚インポで悶え死ね』  アパートの自室で俺は酔っていた。べろんべろんに酔っていた。もーどうしようもないほ ど酔っていた。でもだがしかしそれでも。飲まずにやってられなかったのだ。  『今年も一人か・・・・・・』  散らかった部屋。積み上げられた空き缶。エロコンテンツ満載のPC。ふがいない自分に責 があるのは分…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%bb%cc%eb%b4%f... - 2010年12月28日更新

どなたでも編集できます