いまや一切が終わったからほんとうにはじまる
われわれは十九六〇年代の黄昏に佇つてこう告知する
<いまや一切が終わったからほんとうにはじまる
いまやほんとうにはじまるから一切が終つた
見事に思想の死が思想によつて語られるとき
われわれはただ
拒絶がしずかな思想の着地であることを思う
(「文芸」1966.4.1に発表され、「自立の思想的拠点」1966.10.20徳間書店に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
<いまや一切が終わったからほんとうにはじまる
いまやほんとうにはじまるから一切が終つた
見事に思想の死が思想によつて語られるとき
われわれはただ
拒絶がしずかな思想の着地であることを思う
(「文芸」1966.4.1に発表され、「自立の思想的拠点」1966.10.20徳間書店に収録された)
- こうして「1960年代の黄昏」と吉本さんがいうときに、かなり吉本さんの心は暗いように思える。これは1966年のことであるわけだ。だが、ちょうど60年代後半の闘いが開始された時期でもある(私が大学に入ったのは67年のこと)。まさしく「一切が終わったからほんとうにはじまる」という言葉が私にはあの頃の情況を適確に表していると感じられてしまうのです。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月08日(金) 00:14:53 Modified by shomon