いま何が心残りか
僕の人生がいま終るとするなら、何が心残りかというと、これは空想のまた空想ということになっていくわけだけど、超人的にすばらしいエロスを喚起するような異性がいて、そういう人にまだ(あるいは永久に)出会っていないと思うことかな。平凡な、凡々なる生命の起伏というのは、自分なりに体験したような気がするんだけど、すごい大歓喜という意味合いで、そういうのに出会ってみたいものだなというのが、心残りかもしれないと思います。
(「僕ならこう考える」1997.6.15青春出版社「僕が死ぬまえに出逢いたいもの」)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「僕ならこう考える」1997.6.15青春出版社「僕が死ぬまえに出逢いたいもの」)
- こういうふうに素直に言われてしまう吉本さんに驚くと同時に、大変に感激してしまいます。思えば、私はそうした体験はおおいにあるつもりですから、その意味ではいい人生だったのかな。そんな風に今思いました。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 16:02:59 Modified by shomon