ほんとの「敵」と「味方」
ほんとの「敵」と「味方」とは、空間ではなく縦の深層だ。いちばんこれを間違えるのは政治的な理念だ。だから多数を獲得することが理念の成就に近づくことだと錯覚する。空間的だからだ。政治的理念といえどおなじ水準の、進退を共にできる成員が三人あれば事足りる。それ以上は要らない。これは独裁的ということとはちがう。千人、万人いても窮地におちいった一人を見捨てて知らぬ顔をするばかりの徒党は無駄だ。まして窮地におとしいれることを得意技とする徒党など消えて無くなったほうがいい。
(「父の像」1998.09.20筑摩書房)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「父の像」1998.09.20筑摩書房)
- この誰が「本当の敵」であり、誰が「本当の味方」であるのかというのは、やはりさまざまな時のその成員の振舞いで判るように思います。その一人一人が一体どうするのか、自分なら自分はどう振舞うのかということで決ってくるのです。「今はまだその時ではない、今は我慢して、必ずもっと多くの同志を獲得してからやろう」というような言い方がどのくらい多くされてきたことだろうか。私は絶対にそうした連中は信じなかった。誰が何といおうと、やるべきことはやってしまうことが大切なのだ。そしてたしかにそれは3人いれば、絶対にやり遂げられるなと私は思っています。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 16:04:29 Modified by shomon