街路樹の下をうつむいてゆく
私は又、「頭髪を無雑作に刈った壮年の男が、両手をポケツトに突込んだまま、都会の街路樹の下をうつむいてゆく、もしなれたらそういうものになりたい」ということを、一生の念願とするより外に能のない、下らぬ人間である。
(「哀しき人々」1945年稿「初期ノート」1964.6.30試行出版部に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「哀しき人々」1945年稿「初期ノート」1964.6.30試行出版部に収録された)
- 吉本さんを見ていると、このなりたい男になれたのではと思ってしまう。頭を無造作に刈って都会の街路樹の下をうつむいて歩いている姿を想像できてしまう。おそらくはもし下町の小径を歩いているときなら、すこしは顔がほほえんでいるような気がする。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月01日(金) 21:43:33 Modified by kozymemory