左翼とは
現在の「都市」と「農村」とを対立関係にあるとみなしたり、「人工」と「自然」が対立関係にあるとみなしたりする、歴史の無意識段階が産みだした概念は、高度な先進社会では根柢的に組みかえなければ無効だということは、さし迫った課題に外ならない。ただ左翼や進歩などというものは、泡沫としてしか存在しない。左翼とは何かを探しつつあるものだけが左翼なのだ。
(「映像都市論(2)」「海燕」1986年2月号に掲載「吉本隆明全集撰7イマージ論」1988.4.10大和書房に「ハイ・イメージ論−映像都市論」として収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「映像都市論(2)」「海燕」1986年2月号に掲載「吉本隆明全集撰7イマージ論」1988.4.10大和書房に「ハイ・イメージ論−映像都市論」として収録された)
- いわゆる旧左翼も新左翼といわれる部分も、あいもかわらず「都市」と「農村」「人工」と「自然」の対立抗争に焦点をあてている。現在自分たちの置かれている高度な世界都市に存在してしまったさまざまな空間を理解しようとはしていない。それらはもはや消えていく泡としてしか存在していない。それは今の政治情況を見ても誠に的確な指摘だと言えるだろう。問題は私たちが絶えず何を探し続けていけるかということだろう。やはり左翼であり続けたいということは、まだまだ今生きているこの世界にさまざま挑戦していくことだろう。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:08:48 Modified by shomon