三冊の本
いままでの読書の体験のうち、おそろしい精神的な事件のような読み方をしたのは、十代の半ばごろよんだファーブルの『昆蟲記』と、二十代のはじめのころよんだ『新約聖書』と、二十代半ば頃よんだ『資本論』とであった。
あえていえば、この何れの場合も、完全にこれらの書物を理解したとはいわない。しかし、たしかにわかったという感じがしたのである。
(「読書について」1960.4東販「新刊ニュース」掲載 「模写と鏡」1964.12.5春秋社に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
あえていえば、この何れの場合も、完全にこれらの書物を理解したとはいわない。しかし、たしかにわかったという感じがしたのである。
(「読書について」1960.4東販「新刊ニュース」掲載 「模写と鏡」1964.12.5春秋社に収録された)
- この三つの本に共通することは何だろうか。私から見えるのは、とてつもなく時間をかけた膨大なる量のものだ。人によっては一生のうちに全く出会わなくてもすんでしまうようなものだし、読んでみてもただその量とかけた時間に圧倒されてしまう。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月04日(月) 23:13:15 Modified by shomon