三番目の敗北
三番目のぼくの敗北というのは、まあ日々これ敗北みたいなものですけれども、まあそういわないとすれば、六十年のときだったと思います。このときは、もうすでに職場から追われていましたし、そのときの敗北は、分析してみとおすことができていたと思います。ぼくがその時考えたことは、こういう敗北の仕方のあとのゆりもどしといいますか、反動といいますか、それはきついにちがいないと考えました。そして、まず第一に、おれはもの書きとして、おそらくそういう世界からシャットアウトされるにちがいないとおもいました。そうだとしたならば、書くことに対して必然があるなら、シャットアウトされても、やはり書くべきもの、あるいは書きたいものは書くという場をつくらなければならないとおもいました。つまり、そのときには敗北の構造については、かなりな体験的な見通しをもっていたようです。いまは別にどうってことはありませんが、安保闘争後の数年間、自分なりの拠点をつくっていくことで大変真剣だったと思います。
(「敗北の構造」1970.6.10反帝戦線・社学同政治集会講演於明治学院大学 「敗北の構造」1972.12.15弓立社に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「敗北の構造」1970.6.10反帝戦線・社学同政治集会講演於明治学院大学 「敗北の構造」1972.12.15弓立社に収録された)
- こうして吉本さんは「試行」を発刊していくのだと思う。そこに「言語にとって美とはなにか」を連載して、やがて「勝利だよ!
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月08日(金) 22:13:09 Modified by shomon