女性の病気は初期と晩期に出る
女性の場合には、初期と晩期に病気の可能性があって、乳胎児にたいして影響を与える病気は初期に存在します。晩期は自分の問題としてあるとおもいます。それは男性といいますか、じぶんの配偶者といいますか、それに依存するよりもかつて産んだところの子どもの世代に依存します。ひろい意味での性といってもいいんですが、それを委譲するといいましょうか、そういうかたちで晩期の病気は現れるというのがまず普遍的な気がします。その普遍性から女性は女性なりに逃れようという意識があって、それはフェミニズムのなかにふくまれてしまっているとおもいますが、それは晩期の問題だとおもいます。だから初期の問題は回避し、晩期の問題はいかに解くかというのがフェミニズムの本質的な課題で、フェミニストはたいがいそうかんがえているとぼくはおもいます。男のばあいはまんべんなく病気ということだから、やってもしょうがない。なんかそれ自体を男性解放とかいっても、はじめからぜんぜん意味をなさないということがわかっている。これはけっして男性のほうが経済的に女性よりも優位な、人類はそういう歴史をつくってきたからというのはうそであって、男性のほうはもうはじめからそういうのは諦めているというか、もうわかっている。だからあまり主張しないだけで、内緒で浮気したりしてごまかしているというか、そのくらいですましているという感じじゃないかとおもいます。
フェミニストは、女性解放を経済社会問題のようにいおうとしていますが、それはまったくちがいます。情況的にはそれでいいとおもいますが、本質的にはそうじゃないです。初期と晩期をいかに解決するか、そういう問題なんだとおもいます。
(1992.9、10田原克拓によるインタビュー 「時代の病理」1993.5春秋社に収録)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
フェミニストは、女性解放を経済社会問題のようにいおうとしていますが、それはまったくちがいます。情況的にはそれでいいとおもいますが、本質的にはそうじゃないです。初期と晩期をいかに解決するか、そういう問題なんだとおもいます。
(1992.9、10田原克拓によるインタビュー 「時代の病理」1993.5春秋社に収録)
- まずこの初期の問題を女性がどうしていくのかということが問題だろう。 女性が初期の問題をさけていくのが本当のところの傾向かもしれないと考えてしまう。そして晩期の問題とは、今後ますます顕著に現れてくることのように思えるのだ。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:33:51 Modified by shomon