情況との対話
わたしは雑誌「サンサーラ」の休刊と一緒にこの情況との対話を一応とじることになる。しかし情況の相対的ビジョンなしには、文学、芸術、文化の指向性は透明に成り立たないというのは、さきの戦争を経てわたしが獲得した普遍的な理念だから、表現すると否とにかかわらず、わたし自身はいつも情況との対話をつづけているし、時代の解剖と理念の深化をやめることもありえない。わたしが時代の情況をどうみているかは、これからもいつでもどこかで言表されているとおもう。
(「大震災・オウム後思想の原像」1997.06.30徳間書店の「あとがき」)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「大震災・オウム後思想の原像」1997.06.30徳間書店の「あとがき」)
- 吉本さんはたびたび、これと同じことを言われています。そして言われるだけではなく、実際にやりえてこられています。これは実は非常に困難な姿勢だと思います。誰も情況への己の関わりかたによって、調子よく言い続けることもあれば、沈黙してしまうこともあるわけです。だが私たちの前にいる吉本さんは、いつも情況への発言をやめることはありません。
- 私も見習わなくてははいつも思っていることです。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 16:03:38 Modified by shomon