戦争が露出してきた
戦後というものをかんがえたばあいにどういうことがいちばん戦後の課題となりえたかというと、ようするに公(おおやけ)よりも、私のほうが大切だということ、国家よりも大衆の個人個人のほうが大切なんだ、つまり私が明日どうなるのかということのほうが国家が明日どうなるのかということより大切なんだということは最低限の了解事項だった。
(「戦後思想の頽廃と危機」1972.10.2日本読書新聞主催・創刊35周年記念講演会於新宿朝日生命ホール 「日本読書新聞」1972.10.30に掲載 「知の岸辺へ」1976.9弓立社に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「戦後思想の頽廃と危機」1972.10.2日本読書新聞主催・創刊35周年記念講演会於新宿朝日生命ホール 「日本読書新聞」1972.10.30に掲載 「知の岸辺へ」1976.9弓立社に収録された)
- この了解事項を破るような事態があらわれたという、テルアビブ空港事件の時のことだ。親は「息子を局刑にして下さい」と、マスコミに頭を下げた。このことが戦後何十年かたっても、結局戦争が露出してきてしまった。私はこの最低限の了解事項からもっと先に進みたいと思っている。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月09日(土) 14:55:34 Modified by shomon