中上健次の文学の思想としての特長
島崎藤村が『破戒』猪子連太郎や瀬川丑松をかりて、口ごもり、ためらい、おおげさに決心して告白する場面としてしか描けなかった被差別部落出身の問題を、ごく自然な、差別も被差別もコンプレックスにはなりえない課題として解体してしまったことだとおもう。
差別と被差別の問題は中上健次の文学によって理念としては終わってしまった。あとは現実がかれの文学のあとを追うだけだ。(「比類のない文学思想」1992.8.15「信濃毎日新聞」に掲載 追悼私記−中上健次−比類のない文学思想」1993.3JICC出版局に収録)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
差別と被差別の問題は中上健次の文学によって理念としては終わってしまった。あとは現実がかれの文学のあとを追うだけだ。(「比類のない文学思想」1992.8.15「信濃毎日新聞」に掲載 追悼私記−中上健次−比類のない文学思想」1993.3JICC出版局に収録)
- これだけのことを中上が生きているときに言ってあげればよかったのに。
- 吉本さんの中上への文学への批判は「これはきびしいな」と感じていた。
- この追悼だけで、中上は生き返りたいほどの内容ではないだろうか。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:30:58 Modified by shomon