昼寝をします
安保闘争を勝利と考えたものたちは、政暴法闘争でも「勝利」するだろうし、つぎに何々闘争でも勝利するだろう。そしてその果てには徹底他力、組織物神、自己覚醒の放棄、官僚的屑の幻しかあらわれるはずがないのだ。敗北を知りながらたたかわねばならないときは必ずあるものなのだ。そのことはたんなる決断のもんだい以外の何も意味しはしない。しかし、一度、敗北した方法で、二度敗北することはだれにも許されないのである。「出掛けませんか」、「よしましょう、昼寝をしますよ」
(「頽廃への誘い」1961.6.25「われわれの現在」に掲載「擬制の終焉」1962.6.30現代思潮社に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「頽廃への誘い」1961.6.25「われわれの現在」に掲載「擬制の終焉」1962.6.30現代思潮社に収録された)
- 私はこの「昼寝をする」という吉本さんと最初に出会ったわけだ。私にはどうにも分からなかった。私はだれが昼寝をしようと、闘いは闘いだから、私は出掛けていこうと思っていた。60年代後半の闘いとは、皆そんな思いではなかったろうか。そしてまた私たちも敗北を知った。しかし闘ったからこそ、敗北に到達しえたのだ。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月05日(火) 23:57:31 Modified by shomon