内容プラス文体
本気で小説家としてやっていくとしたら、内容プラス文体なんですよ。本気で読むほうだって内容プラス文体で読むわけですよ。文芸書というものは。まずはその人の文体の癖が大事なのに、それを無くすとどうなるかというと、ボクシングでいえばパンチに強弱がなくなるんです。文体の癖を無くしてわかりやすくすると、リズムがつかないんです。それがいいと思っているわけだからしょうがないですけれどね。
(「家族・老人・男女・同性愛をめぐって」2002.10.7談話収録 「吉本隆明が語る戦後55年第10巻」2003.3.10三交社に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「家族・老人・男女・同性愛をめぐって」2002.10.7談話収録 「吉本隆明が語る戦後55年第10巻」2003.3.10三交社に収録された)
- これは司馬遼太郎の小説のことを言っているのです。読んでいる私たちは彼の描く歴史のほうに興味があるからつい読んでしまうわけですが、たしかにあのだらだらとしたリズム感にはついていけません。たとえば、同じく数多く読者を獲得しているだろう赤川次郎や西村京太郎の小説のほうがずっとリズム感がありますよ。
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 18:30:16 Modified by shomon